JP4786972B2 - 増設壁を利用する既存構造物の免震化工法 - Google Patents
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このような場合の対策工法として、従来は、仮受けジャッキによる支持部分をPC鋼棒を用いて緊張しプレストレスを導入して強度、剛性を高めている。或いは仮受けジャッキによる支持部分から柱に向かって鋼材によるサポートを設置して支持反力を上階へ伝達する工法が実施されている。しかし、仮受けジャッキの支持部分をPC鋼棒を用いて緊張しプレストレスを導入する対策工法は、周辺環境によっては実施できない場合があるし、仮に実施できても施工が面倒で工期を要する。また、前記鋼材によるサポートはジャッキダウンの後に解体撤去しなければならず手間が掛かる。
本発明の次の目的は、特に既設エレベータシャフトの免震化工事で、エレベータシャフトの柱から偏倚した位置に免震装置を設置して免震化する場合で、エレベータシャフトの下端部(着床レベル)が免震層(免震ピット)へ突き出て所謂干渉を起こしている場合に、免震化工事に適切な基礎を造り代えるとか、エレベータシャフトの着床レベルを免震装置による支持に支障ない高さまで上げとか、或いは免震クリアランスを確保できる寸法までエレベータ篭の寸法を小さくするとかの大工事や大改変を必要とせず、従って、エレベータ使用者への影響が無いエレベータシャフトの免震化工事を行う、増設壁を利用する構造物の免震化工法を提供することである。
免震層2内の柱1から偏倚した位置へ仮受けジャッキ4を設置し、上部構造の鉛直荷重を仮受けジャッキ4へ盛り替えて実施する既存構造物の免震化工事において、
免震層2内の柱1から偏倚した位置へ設置する仮受けジャッキ4の直上位置の上階躯体6A、7Aが仮受けジャッキ4の軸力を支持しきれない場合に、予め仮受けジャッキ4の直上位置の梁6A及びスラブ7Aで形成される上階躯体と、柱1と、上階の梁6B及びスラブ7Bとで形成される上部構造とに囲まれた部分へ増設壁8を新設し、
前記増設壁8による補助で仮受けジャッキ4の支持反力を上部構造および柱1へ伝達させて仮受け支持させた状態で免震層2内の前記柱1を切除し、同柱1の切除部へ免震装置9を設置して免震化することを特徴とする。
構造物の既設エレベータシャフト20の下端部が免震層2内へ露出しており、同エレベータシャフト20の外周柱21から偏倚した位置へ免震装置9を設置する既存構造物の免震化工事において、
免震層2内の既設エレベータシャフト20の外周柱21から偏倚した位置へ免震装置9を設置して上部構造の鉛直荷重を支持させる場合で、同免震装置9の直上位置の上階躯体が免震装置9の支持反力を支持しきれない場合に、前記免震装置9の直上位置の上階躯体22と外周柱21とに囲まれた部分へ増設壁23を新設し、この増設壁23による補助で免震装置9の支持反力を上部構造および外周柱21へ伝達させること、
前記エレベータシャフト20の下端部であって前記免震装置9で支持される部位にも補強躯体25を増設し、更に免震層2内に新設した耐圧版26と前記補強躯体25との間へ免震装置9を設置して免震化することを特徴とする。
そして、前記増設壁8による補助で仮受けジャッキ4の支持反力を上部構造6B、7Bおよび柱1へ伝達させて仮受け支持させる。その上で、免震層2内の前記柱1を切除し、同柱1の切除部へ免震装置9を設置して免震化する。
請求項2に記載した発明は、構造物の既設エレベータシャフト20の下端部が免震層2内へ露出しており、同エレベータシャフト20の外周柱21から偏倚した位置へ免震装置9を設置する構造物の免震化工事において、
免震層2内の既設エレベータシャフト20の外周柱21から偏倚した位置へ免震装置9を設置して上部構造の鉛直荷重を支持させる場合で、同免震装置9の直上位置の上階躯体22が免震装置9の支持反力を支持しきれない場合に、前記免震装置9の直上位置の上階躯体22と外周柱21とに囲まれた部分へ増設壁23を新設し、この増設壁23による補助で免震装置9の支持反力を上部構造および外周柱21へ伝達させる。
そして、前記エレベータシャフト20の下端部であって前記免震装置9で支持される部位にも補強躯体25を増設し、更に免震層2内に新設した耐圧版26と前記補強躯体25との間へ免震装置9を設置して免震化する。
まず図1は、請求項1に記載した発明の実施例を示すもので、最終的に図2に示すような免震化工事を完成するにあたり、先ず既存構造物の柱1が負担している鉛直荷重Wを一次仮受けして、免震層2に、同柱1を切除した免震装置取り付け部を設ける必要がある。
その準備として、図1は、柱脚基礎3上であって前記柱1から偏倚した位置、即ち、柱1を切除して免震装置取り付け部を設ける作業に必要な作業スペースを確保できる位置に仮受けジャッキ4を設置して鉛直荷重Wの盛り替えを行う段階を示している。そのため柱脚基礎3上にジャッキ台5を構築し、また、仮受けジャッキ4が支持する直上位置の梁6A及びスラブ7Aで形成される上階躯体と、柱1と、上階の躯体である梁6B及びスラブ7Bで形成される上部構造とに囲まれた部分へ増設壁8が新設されている。
したがって、増設壁8は、仮受けジャッキ4による鉛直荷重の盛り替え時における支持反力Pを柱1および上部構造へ伝達するのに必要充分な強度と剛性を備えた構造で新設する。また、増設壁8を新設する位置は、前記仮受けジャッキ4による鉛直荷重の盛り替え時における支持反力Pを柱1および上部構造である上階躯体の梁6Bとスラブ7Bへ伝達するのに有効な部位であればよく、その設置場所の如何、および設置範囲の如何を問うものではない。
その場合に、上記の増設壁8は、仮受けジャッキ4による鉛直荷重の盛り替え時からはじまって、図2のように免震装置9を設置した後も、環境上許されるなら、そのまま本設壁として利用することが好ましい。そうすると、解体撤去の手間とコストを省けて好都合である。
なお、図2中の符号10は免震システムに不可欠のダンパー(図示例は壁型粘性体ダンパー)を示す。符号11は新設の耐圧版である。
本実施例は、既存構造物の既設のエレベータシャフト20の下端(着床レベル)が免震層2へ突き出て干渉を起こしている場合に、同エレベータシャフト20の着床レベルを変えることなく、また、エレベータシャフト寸法を変えること無く、免震化工事を行う対策工法の実施例を示している。図4に示すように、既設エレベータシャフト20の外周の柱21から偏倚した位置(偏倚量e)に免震装置9を設置して上部構造の鉛直荷重を支持させる条件下での実施例でもある。
本実施例の場合、当然のことながら、免震装置9の直上位置の上階躯体22(図示例の符号22は地下階スラブを示す。)には、免震装置9の支持反力を支持する耐力がないと診断されていることを前提に、やはり上階躯体22と柱21に囲まれた部分へ増設壁23を新設し、この増設壁23による補助で免震装置9の支持反力を図示を省略した上部構造および柱21へ伝達させる構成である。当然のことながら、既設エレベータシャフト20の下端部であって、免震装置9の支持力を受ける部位にも、免震装置9の支持力を受け止めるに足る耐力を備えた補強躯体25が、エレベータシャフト20の側方へ上記の偏倚量eを満たす長さの片持ち形式に突き出る形態に新設されている。
上記の構成を前提に、免震装置9によるエレベータシャフト20の免震化工事は、免震層2内へ新設した耐圧版26と上記補強躯体25との間へ免震装置9を設置することによって実現でき、ことさらに着床レベルを変える必要はない。また、既設エレベータシャフト20の寸法を変える必要性も無く、安全に手順良く施工できるのである。
4 仮受けジャッキ
W 鉛直荷重
6A、7A 上階躯体(梁とスラブ)
6B、7B 更に上階の梁とスラブ
8 増設壁
P ジャッキ軸力
9 免震装置
20 既設エレベータシャフト
21 柱
22 上階躯体
23 増設壁
25 新設の補強躯体
26 新設の耐圧版
Claims (2)
- 免震層内の柱から偏倚した位置へ仮受けジャッキを設置し、上部構造の鉛直荷重を仮受けジャッキへ盛り替えて実施する既存構造物の免震化工事において、
免震層内の柱から偏倚した位置へ設置する仮受けジャッキの直上位置の上階躯体が仮受けジャッキの軸力を支持しきれない場合に、予め仮受けジャッキ直上位置の梁及びスラブで形成される上階躯体と、柱と、上階の梁及びスラブで形成される上部構造とに囲まれた部分へ増設壁を新設し、
前記増設壁による補助で仮受けジャッキの支持反力を上部構造および柱へ伝達させて仮受け支持させた状態で免震層内の前記柱を切除し、同柱の切除部へ免震装置を設置して免震化することを特徴とする、増設壁を利用する既存構造物の免震化工法。 - 構造物の既設エレベータシャフトの下端部が免震層内へ露出しており、同エレベータシャフトの外周柱から偏倚した位置へ免震装置を設置する既存構造物の免震化工事において、
免震層内のエレベータシャフトの外周柱から偏倚した位置へ免震装置を設置して上部構造の鉛直荷重を支持させる場合で、同免震装置の直上位置の上階躯体が免震装置の支持反力を支持しきれない場合には、前記免震装置直上位置の上階躯体と外周柱とに囲まれた部分へ増設壁を新設し、この増設壁による補助で免震装置の支持反力を上部構造および前記外周柱へ伝達させること、
前記エレベータシャフトの下端部であって前記免震装置で支持される部位にも補強躯体を増設し、更に免震層内に新設した耐圧版と前記補強躯体との間へ免震装置を設置して免震化することを特徴とする、増設壁を利用する既存構造物の免震化工法。
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