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JP4792806B2 - 抵抗器 - Google Patents
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本発明は、例えばモータやスイッチング・レギュレータの制御回路等に電流検出用として用いられる低抵抗の抵抗器に関する。
従来、モータ制御やスイッチング・レギュレータ制御等に用いる回路に電流検出用として用いるシャント抵抗があるが、近年、このような抵抗器として、特に小型化された電子機器に対応して表面実装可能な低抵抗のチップ型抵抗器が用いられている。例えば、特許文献1では、高伝熱性セラミックス基板の表面に銅−マンガン合金(マンガニン)のシート状抵抗体を銀ろう等のろう材で貼り付けたチップ型シャント抵抗素子が提案されている。また、特許文献2では、基板の表面にシリカを主成分とする無機接着剤を介して抵抗箔を設けた抵抗器が提案されている。
特開平11−97203号公報(段落番号0011、図1) 特開平9−320802号公報(特許請求の範囲、図1)
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、従来の特許文献1に記載の技術では、ろう材を用いて抵抗体を貼り付けているが、ろう材自体が導電性を有するために、抵抗器全体の抵抗値及び抵抗値の温度特性を制御することが難しいという不都合があった。また、従来の特許文献2に記載の技術では、接着剤を用いて抵抗箔を貼り付けているが、この場合、接着剤の介在により抵抗体(抵抗箔)の熱放散性が悪化し、抵抗体の許容電流や温度特性等が劣化してしまうという不都合があった。なお、スパッタやメッキを用いて抵抗体をセラミックス基板に直接形成する方法も考えられる。しかしながら、スパッタによる場合は、厚膜形成に時間がかかり製造コストが増大してしまうと共に、高い接合強度が得難い不都合がある。また、メッキによる場合は、二成分合金や三成分合金における組成制御が難しいという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、セラミックス基板と抵抗体との熱抵抗が小さく、温度−抵抗値特性に優れた抵抗器を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の抵抗器は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板上に直接熱拡散で接合された銅−ニッケル合金箔の抵抗体と、前記セラミックス基板に設けられ前記抵抗体に接続された一対の端子電極と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の抵抗器は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板上に直接接合された銅−ニッケル合金箔の抵抗体と、前記セラミックス基板に設けられ前記抵抗体に接続された一対の端子電極と、を備え、前記セラミックス基板の前記抵抗体との接合面近傍における粒界内に、銅が含まれていることを特徴とする。
これらの抵抗器では、セラミックス基板上に銅−ニッケル合金箔の抵抗体がろう材や接着剤を介さずに直接接合されているので、抵抗値の温度係数が低下し、優れた温度−抵抗値特性を得ることができる。また、抵抗体とセラミックス基板との熱抵抗が小さくなり、抵抗体の負荷電流による温度上昇の小さい抵抗器を得ることができる。さらに、ろう材や接着剤が不要であるため、製造コストが安価になると共に、予め組成制御された合金箔を作製して、これを接合させるので、二成分合金や三成分合金でも高精度な組成成分を得ることができる。また、熱拡散によってセラミックス基板の抵抗体との接合面近傍における粒界内に、銅が含まれるので、銅によるアンカー効果が得られ、高い接合強度を得ることができる。なお、本発明における熱拡散による接合は、上記合金箔の融点に近い温度まで加熱した状態で上記合金箔とセラミックス基板とを密着させる接合手法である。
さらに、本発明の抵抗器は、前記銅−ニッケル合金箔が、銅−ニッケル−マンガン合金箔であることを特徴とする。
また、本発明の抵抗器は、前記銅−ニッケル合金箔が、銅−ニッケル−マンガン合金箔であり、前記接合面近傍における粒内に、マンガンが含まれていることを特徴とする。
これらの抵抗器では、銅−ニッケル−マンガン合金箔が直接熱拡散で接合されているので、接合面近傍におけるセラミックス基板の粒内にマンガンが侵入して拡散されており、より密着度が高くなり、熱伝導性をさらに向上させることができる。
また、本発明の抵抗器は、前記セラミックス基板上に、前記抵抗体を覆うと共に前記抵抗体と前記セラミックス基板との段差を埋めて表面を平坦面とする保護層が形成されていることを特徴とする。すなわち、抵抗体とセラミックス基板との段差があると、自動実装の際のハンドリングに支障が生じるおそれがあるが、この抵抗器では、セラミックス基板上に表面を平坦面とする保護層が形成されているので、自動実装時に正確で安定したハンドリングが可能になる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る抵抗器によれば、セラミックス基板上に銅−ニッケル合金箔の抵抗体が直接熱拡散で接合されているので、優れた温度−抵抗値特性を得ることができると共に、抵抗体の負荷電流による温度上昇の小さい抵抗器を高精度にかつ安価に得ることができる。また、セラミックス基板の抵抗体との接合面近傍における粒界内に、銅が含まれるので、アンカー効果で高い接合強度を得ることができる。したがって、モータ等の制御回路等の電流検出用に好適な低抵抗の抵抗器を得ることができる。
以下、本発明に係る抵抗器の一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。
本実施形態の抵抗器は、図1に示すように、セラミックス基板1と、セラミックス基板1の表裏面上に直接熱拡散で接合された銅(Cu)−ニッケル(Ni)合金箔の抵抗体2と、セラミックス基板1の両端部に設けられ抵抗体2に接続された一対の端子電極3と、セラミックス基板1の表裏面上に抵抗体2を覆って形成された保護層4と、を備えている。
上記セラミックス基板1は、例えばアルミナ(Al)セラミックスで形成されている。なお、本実施形態では、厚さ0.2mmのセラミックス基板1を用いている。
上記銅−ニッケル合金箔は、マンガン(Mn)を含む銅−ニッケル−マンガン合金箔であって、例えば10〜13重量%のマンガン、1〜4重量%のニッケル、及び残りが銅の合金箔を採用している。なお、本実施形態では、厚さ50μmの銅−ニッケル−マンガン合金箔を用いている。
上記保護層4は、樹脂又はガラス等で形成され、抵抗体2とセラミックス基板1との段差を埋めて表面を平坦面とするように成形されている。なお、本実施形態では、ガラス材料で保護層4が形成されている。
上記端子電極3は、保護層4がガラス材料であるので、これに対応して銅粉末を用いたサーメット系電極材料で形成されている。
この抵抗器では、図2に示すように、セラミックス基板1の抵抗体2との接合面J近傍における粒界内に、銅(Cu)が拡散して含まれていると共に、接合面J近傍におけるアルミナ(Al)粒内に、マンガン(Mn)が拡散して含まれている。
次に、本実施形態の抵抗器の製造方法について、図1、図3から図7を参照して説明する。
まず、セラミックス基板1の表裏両面に銅−ニッケル−マンガン合金箔を配し、カーボン板で挟んだ状態で加熱し、熱拡散による接合を行うことにより、図3に示すように、セラミックス基板1上に板状の抵抗体2を形成する。この熱拡散による接合は、上記銅−ニッケル−マンガン合金箔の融点に近い温度まで加熱した状態で合金箔とセラミックス基板1とを密着させる接合方法である。なお、本実施形態では、酸素濃度50ppm以下、温度960℃〜980℃の雰囲気中で5分間〜70分間加熱することで熱拡散を行う。次に、図4に示すように、板状の抵抗体2を、エッチング等により所望の形状や抵抗値が得られる短冊状に整形する。さらに、単品の抵抗器となる各部分で、レーザトリミング等を施して所望の抵抗値となるように抵抗体2を整形する。
次に、図5に示すように、抵抗体2を覆うように樹脂又はガラス等をコーティングして保護層4を形成する。この際、抵抗体2とセラミックス基板1の表裏面との段差を埋めて表面を平坦面とするように、保護層4を成形する。そして、図6に示すように、短冊状の抵抗体2に対して長尺方向に直交する方向に、セラミックス基板1及び抵抗体2をダイシングラインDに沿ってダイシングして短冊状の一次分割体とする。なお、ダイシングの代わりにレーザスクライバを用いて分割しても構わない。
次に、ダイシングされた一次分割体の切断面(セラミックス基板1、抵抗部2及び保護層4の切断面)に、スパッタ等により銅粉末を用いたサーメット系電極材料で端子電極3を形成する。さらに、この端子電極3を形成した面と直交する方向に、一次分割体をダイシングして、図1に示すように、チップ状の抵抗器が作製される。このとき、ダイシングの他にレーザスクライバを用いて分割しても構わない。なお、端子電極3上に、図7に示すように、銅めっき、ニッケルめっき又は錫めっき等を施してめっき膜5を形成しても構わない。この場合、めっき膜5によって、より表面実装を容易かつ確実に行うことが可能になる。
本実施形態では、セラミックス基板1上に銅−ニッケル−マンガン合金箔の抵抗体2がろう材や接着剤を介さずに直接接合されているので、抵抗値の温度係数が200ppm/℃以下に低下し、優れた温度−抵抗値特性を得ることができる。また、抵抗体2とセラミックス基板1との熱抵抗が小さくなり、抵抗体2の負荷電流による温度上昇の小さい抵抗器を得ることができる。
さらに、ろう材や接着剤が不要であるため、製造コストが安価になると共に、予め組成制御された合金箔を作製して、これを接合させるので、三成分合金でも高精度な組成成分を得ることができる。また、セラミックス基板1の抵抗体2との接合面J近傍における粒界内に銅(Cu)が拡散して含まれるので、銅(Cu)によるアンカー効果が得られ、高い接合強度を得ることができる。また、接合面J近傍におけるセラミックス基板1の粒内にマンガン(Mn)が侵入して拡散されているため、より密着度が高くなり、熱伝導性をさらに向上させることができる。
さらに、抵抗体2とセラミックス基板1との段差があると、自動実装の際のハンドリングに支障が生じるおそれがあるが、この抵抗器では、セラミックス基板1上に表面を平坦面とする保護層4が形成されているので、自動実装時に正確で安定したハンドリングが可能になる。
上記実施形態と同様の製造方法で抵抗器を実際に作製し、ESCA(XPS)分析(X線光電子分光分析)を行ってセラミックス基板1の接合面J近傍における深さ方向の金属元素(アルミニウム(Al)、マンガン)の含有状態を調べた。このESCA分析の結果を、図8のグラフに示す。なお、図8において、横軸はスパッタリング時間を示し、縦軸は各元素の含有量を示している。なお、このグラフでは、スパッタリング時間が長い程、接合面Jから深いことを示している。
この分析結果から、マンガンが接合面Jからセラミックス基板1内に拡散して存在していることがわかる。
また、この接合面J近傍の断面TEM(透過電子顕微鏡)観察及びEDS分析(エネルギー分散形X線分析)等を行った結果、セラミックス基板1と抵抗体2との界面(すなわち接合面J)から100〜200nm程度までのセラミックス基板1内に、マンガンが拡散していることがわかった。そして、電子線回折によりマンガンが拡散している領域の構造を調べた結果、セラミックス基板1のアルミナと反応して異なる相を形成しておらず、単にアルミナの粒内へマンガンが拡散していることがわかった。また、アルミナの粒界には、銅が検出された。
このように、本実施例では、セラミックス基板1と抵抗体2との接合面J近傍において、アルミナの粒内にマンガンが拡散していると共に、アルミナの粒界に銅が侵入している。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、抵抗体2として、銅−ニッケル−マンガン合金箔を用いたが、銅−ニッケル合金箔を用いても構わない。この場合、アルミナ粒界に侵入した銅によるアンカー効果等を得ることができる。
本発明に係る一実施形態の抵抗器を示す断面図である。 本実施形態の抵抗器において、セラミックス基板と抵抗体との接合面近傍における金属元素の拡散状態を説明するための断面模式図である。 本実施形態の抵抗器の製造方法において、抵抗体の接合工程を示す断面図である。 本実施形態の抵抗器の製造方法において、抵抗体のエッチング工程を示す斜視図である。 本実施形態の抵抗器の製造方法において、保護層の形成工程を示す断面図である。 本実施形態の抵抗器の製造方法において、ダイシング工程を示す平面図である。 本実施形態の抵抗器の製造方法において、めっき膜の形成工程を示す断面図である。 本発明に係る実施例において、ESCA分析の結果を示すグラフである。
符号の説明
1…セラミックス基板、2…抵抗体、3…端子電極、4…保護層、5…めっき膜

Claims (4)

  1. セラミックス基板と、
    前記セラミックス基板上に直接熱拡散で接合された銅−ニッケル−マンガン合金箔の抵抗体と、
    前記セラミックス基板に設けられ前記抵抗体に接続された一対の端子電極と、を備え、
    前記熱拡散による接合が、前記銅−ニッケル−マンガン合金箔の融点に近い温度まで加熱した状態で前記銅−ニッケル−マンガン合金箔と前記セラミックス基板とを密着させる接合であることを特徴とする抵抗器。
  2. 請求項1に記載の抵抗器において、
    前記セラミックス基板の前記抵抗体との接合面近傍における粒界内に、銅が含まれていることを特徴とする抵抗器。
  3. 請求項に記載の抵抗器において、
    前記接合面近傍における粒内に、マンガンが含まれていることを特徴とする抵抗器。
  4. 請求項又はに記載の抵抗器において、
    前記セラミックス基板上に、前記抵抗体を覆うと共に前記抵抗体と前記セラミックス基板との段差を埋めて表面を平坦面とする保護層が形成されていることを特徴とする抵抗器。
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