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JP4793604B2 - 単結晶引下げ方法、及び引下げ装置 - Google Patents
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JP4793604B2 - 単結晶引下げ方法、及び引下げ装置 - Google Patents

単結晶引下げ方法、及び引下げ装置 Download PDF

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Description

本発明は、所謂レーザ用光学素子、非線形光学素子、医療用シンチレータ、圧電素子、超磁歪素子、等に用いられる、酸化物、フッ化物、金属合金等の単結晶を製造する装置に関する。より詳細には、坩堝下端に設けられた孔より原材料融液を引き出しつつ所望の結晶材料を得る引下げ法、特に、ファイバー状単結晶を得る所謂マイクロ引下げ(μ-pD)法と称呼される単結晶製造方法、及び単結晶引下げ装置に関する。
加熱溶融された原材料を保持する坩堝の下端部に引き出し孔を形成し、当該孔から漏出する原材料融液に対して結晶核(以降シードと称する。)を接触させ、孔からの原材料の漏出に伴って該シードを引下げることにより、該シードを核として成長する単結晶を得る、所謂引下げ法が知られている。当該方法により得られる単結晶は、結晶径が従来から知られるCZ法に代表される所謂引き上げ法等により得られる単結晶と比較して得られる結晶の径はより小さくなる。しかし、結晶成長に要する時間が短く、且つCZ法と比較して安価に結晶性に優れた単結晶が得られる方法であるとして、現在実際の製造装置としてのハード面での改変、及び各種単結晶への適用の検討が為されている。
当該引下げ法において、より結晶性が高いファイバー状の結晶が得られ且つ結晶の成長速度を高く保てる方法として、所謂マイクロ引下げ法(特許文献1或いは2参照)が存在する。当該方法を用いて、アルミナ、カルシアといった酸化物単結晶等の製造条件が検討されている。また、特許文献1に開示されるように、引下げ時に原材料融液の供給状態を工夫して単結晶の引下げ軸に垂直な断面における形状を制御する方法、或いは特許文献2に開示されるように、引下げ軸方向に垂直な断面における結晶内部での組成変化の均一性を改善する方法等、実用化に向けて単結晶の形状或いは品質の制御を為す方法も考案されている。
特開2003−095783号公報 特開2008−239352号公報
上述したマイクロ引下げ法においては、種々の材料を用いて棒状の単結晶の製造が一般的に行われている。しかし、実際の製造工程では、坩堝に対する原材料の充填、坩堝の装置への取り付け、必要に応じた装置内部の排気と所定の気体の導入、原材料の加熱溶融、坩堝から漏出する原材料融液に対するシードの適切な接触、適切な速度でのシードの引き下げ、得られた単結晶及び装置の徐冷、装置開放及び単結晶の取り出し、といった操作が順次為され、得られる単結晶の商業ベースでの展開を考慮した場合、その工程時間の短縮も同時に求められる。
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、単一の坩堝より複数の単結晶の育成を可能とすると共に、製造装置の操作者によらず好適且つ安定的な製造を可能とする単結晶の引下げ方法、及び当該方法に好適な引下げ装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る単結晶の引下げ方法は、原材料及び原材料の融液を内部に保持可能な本体部と、本体部の内部と連通して原材料融液が漏出可能な貫通孔複数個と、を有する坩堝の貫通孔各々から漏出した原材料融液に、原材料融液が結晶化する際の結晶方位を定めるシードを接触させ、シードを所定の引下げ軸に沿って引き下げることによって複数の単結晶を得る単結晶の引下げ方法であって、坩堝の内部に原材料を装填し、シードを貫通孔が開口する開口端面に当接させて坩堝を引下げ軸に沿って所定量押し上げ、原材料を溶融し、坩堝に設けられた複数の貫通孔の開口部より漏出する原材料が溶融して得られる原材料融液をシードに接触させ、引下げ方向にシードを引き下げて単結晶を複数育成する、ことを特徴としている。
なお、上述する単結晶の引下げ方法において、複数の貫通孔が開口する平面は同一の第一の平面内に存在し、シードは第一の平面と対向する第二の平面を貫通孔との当接面として有することが好ましい。また、複数の貫通孔は、本体部より引下げ方向に各々独立して突出する突起部に各々が配されることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る単結晶の引下げ装置は、原材料及び原材料の融液を内部に保持可能な本体部と、本体部の内部と連通して原材料融液が漏出可能な貫通孔複数個と、を有する坩堝の貫通孔各々から漏出した原材料融液に、原材料融液が結晶化する際の結晶方位を定めるシードを接触させ、シードを所定の引下げ軸に沿って引き下げることによって複数の単結晶を得る単結晶の引下げ装置であって、坩堝を捲回して配置されて高周波電流が導通可能であって高周波電流によって高周波磁界を生成可能なワークコイルと、原材料融液が結晶化する際の結晶方位を定めるシード、を保持するシード保持具と、シード保持具を引下げ軸に沿って上下に駆動するシード駆動機構と、シード駆動機構によってシードが坩堝を所定量押し上げた際の押し上げ量を検知する坩堝上下位置検知手段と、を有することを特徴としている。
なお、上述する単結晶の引下げ装置において、複数の貫通孔が開口する平面は同一の第一の平面内に存在し、シードは第一の平面と対向する第二の平面を貫通孔との当接面として有することが好ましい。また、複数の貫通孔は、本体部より引下げ方向に各々独立して突出する突起部に各々が配されることが好ましい。或いは、坩堝における貫通孔が形成される外側面には、隣接する貫通孔から漏出する原材料融液の相互作用を防止する幅及び深さを有する溝が形成されていることが好ましい。
単一の坩堝の下端面に複数の貫通孔を配し、該貫通孔に対応した複数のシードを該貫通孔各々から漏出する原材料融液と接触された後にこれらを引下げることで、理論上はファイバー状単結晶を複数本同時に育成することは可能である。しかし、実際には、このような複数のシード各々を同時に原材料融液に接触させ、好適なメニスカス(固液境界部)を得る所謂シードタッチを為すことは困難である。具体的には、個々のシードの上端面が同一水平面内に存在するように厳密な加工を施し、且つ当該シードを特定の治具対して精密に固定した場合であっても、坩堝の設定状態等、育成装置内に存在する種々の取り付け誤差等によりシードタッチにばらつきが生じてしまう。本発明によれば、複数の坩堝貫通孔の開口に対して個々のシードを設けるのではなく、平板状のシードを用いることによってまずシード各々の貫通孔開口との位置関係の安定化を図っている。
更に、本発明においては、シードタッチ時において貫通孔の開口面に対してシード上端面たるシードタッチ面を面接触させ、更にこの状態から当該シードを更に所定量上昇させることとしている。即ち、平板状のシードを坩堝下端面に当接させた後、シードによって該坩堝を所定量持ち上げることとしている。当該操作を為すことにより、坩堝の固定配置によらず、シードタッチ面は、全ての貫通孔の開口形成面に対して密着した状態が得られる。このような所定量の押し上げ状態を維持して坩堝内の原材料を加熱溶融し、各々の貫通孔からの原材料融液の漏出を行わせている。当該操作を為すことにより、全ての貫通孔開口部において好適なシードタッチを行うことが可能となる。当該状態からシードの引下げを行うことによって、複数の単結晶について、均等且つ好適な育成を実施することが可能となる。なお、シードの引下げ操作時において、メニスカスはある程度の厚さを有して存在する。例えば得ようとする単結晶が酸化物系の材料である場合、メニスカス厚さは1mm以下である。シードによって坩堝を持ち上げる場合、所定の持ち上げ量はこのメニスカス厚さ以上であることが好適であり、例示した酸化物系単結晶を得る場合には所定量を1mmとすることが好ましい。なお、持ち上げ量がメニスカスより小さい場合には、例えば坩堝において部分的に持ち上げられていない場所が存在した場合には、この部分におけるシードタッチが適切に行われていないにも拘らず他の部分でメニスカスが形成されてしまい、当該部分で単結晶の育成が成立しなくなる可能性が生じる。
また、複数の単結晶の同時引下げを実施しようとした場合、各々の貫通孔から漏出する原材料融液の表面張力等による相互作用を妨げない場合には、個々の原材料融液の接触によって育成結晶の変形等が生じ得る恐れがある。従って、この相互作用の防止を図ることが必要となると考えられる。なお、本発明では、原材料融液と坩堝における原材料融液との接触面とが所謂濡れ性の良い組み合わせとなる場合を特に好適な対象としている。この場合、原材料融液がシードタッチ時に引下げ軸に垂直な面内に濡れ広がり、相互作用を起こす可能性が大きくなる。ここで述べる原材料融液の相互作用に関しては原材料融液−坩堝における該融液の接触領域間の濡れ性が大きく影響する。濡れ性とは、該接触面を平板とし、その上面に原材料融液を滴下した状態で得られる原材料融液と該平面との接触角により規定される特性であり、該接触核が90度より小さくなる場合を濡れ性が良い組み合わせとして本明細書では規定する。
本発明では、本発明では、坩堝下端面に対して、坩堝下端において該坩堝の内部から下方に貫通する貫通孔を複数配置し、該貫通孔の開口部各々を、該貫通孔に対応して坩堝下端面から引下げ方向に突出する突起部の引下げ方向における下方平坦面に設けることとしている。更に、隣接する突起部は、引下げ操作開始時の温度において原材料融液がその表面張力による相互作用を及ぼし合わないように所定の間隔を空けて各々独立して坩堝本体から突出するように設けられる。このように、突起部を独立して設けることにより、貫通孔から漏出する際の原材料融液の相互作用が防止される。なお、この場合、複数の貫通孔開口部の間に、相互作用を防止可能な幅及び深さを有した溝を配し、これにより作用効果的に前述した突起部の形成と同様の効果を得ることとしても良い。
また、本発明によれば、貫通孔の開口部に対してシードを密着させた状態でシードタッチを行い、当該状態からシードの引下げが実施される。従って、引下げ操作開始時の段階から、単結晶の引下げ軸方向に垂直な断面の形状について、得ようとした形状が当初から得られることとなる。このため、得られる単結晶についても後加工時に削除する領域が減少し、製造効率を高く維持することも可能となる。
また、引下げ方向における坩堝の下部には円筒状の所謂アフターヒータと称呼される部材が配置される。該アフターヒータは坩堝下部の引下げ空間を規定し、自体が発熱することにより該空間内の温度勾配及び温度分布等を引下げ条件に適するように改善する働きを有する。従って、上述した突起部はこのアフターヒータの内壁面に対して各々同一の条件となるように配置されることが好ましい。坩堝の軸心とこのアフターヒータの軸心とは一致するように配置されることから、これら突起部は軸心を中心として等配に設けられることが好ましい。また、突起部におけるアフターヒータの内壁面との対向面と該対向面の反対面とは、これらが当該アフターヒータにより形成される温度分布において比較的均一な分布範囲に共に配置されることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る単結晶の引下げ方法に関し、当該方法における一工程を主要部の構成を模式化して示すものである。 本発明の一実施形態に係る単結晶の引下げ方法に関し、当該方法における図1Aに示す工程に続く一工程を主要部の構成を模式化して示すものである。 本発明の一実施形態に係る単結晶の引下げ方法に関し、当該方法における図1Bに示す工程に続く一工程を主要部の構成を模式化して示すものである。 本発明の一実施形態に係る単結晶の引下げ方法に関し、当該方法における図1Cに示す工程に続く一工程を主要部の構成を模式化して示すものである。 本発明の一実施形態に係る単結晶引下げ方法において用いられる坩堝の軸方向断面を示す図である。 図2Aに示す坩堝を矢印2B方向から見た状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る単結晶引下げ装置の主たる構成を模式的に示す図である。
以下に図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1A〜1Dは、本発明の一実施形態に係る単結晶の引下げ方法について、個々の工程を模式的に示す図である。より詳細には、6本の単結晶の引下げ、育成を行う系について、坩堝の下方端部及びシードの軸方向断面を各々も模式的に示し、これらの動作を順次段階的に示している。なお、これら図面に示す工程について説明する前に、本実施形態において用いる坩堝11の構造についてまず説明する。図2Aは本実施形態で用いる坩堝11の軸方向断面を示す図であり、図2Bは図2Aに示す坩堝11を矢印2B方向から見た状態を示している。
坩堝11は下端部11aによって一方の端部(引下げ操作時において下方に配置される端部)が閉塞された円筒形状を有する。坩堝11は、この円筒部分と下端部11aとによって本発明における本体部を構成する。当該下端部11aにおける円筒外表面である底面外部には、坩堝11の軸心(A)と平行であって且つ該軸心と一致する引下げ方向の下方(図中左側)に向けて突き出す突起部11bが配置される。なお、同図では、当該突起部11bが6個の形態が示されている。図2Aではその内2個の突起部の軸方向断面が説明の容易化のために模式的に示されている。該突起部11bの先端部である突起部端面11dは、坩堝軸心と平行な該突起部11bの軸心に垂直な平坦面とされている。これら突起部端面11dは、全てが同一平面内に存在するように設けられている。当該平坦面の中心には、突起部11bの軸心を通るように坩堝11の内側から外側に連通する貫通孔11cが設けられている。また、下端部11aの坩堝内側となる面には、当該貫通孔11cの開口部を頂点とするような軸方向断面が円錐形状となる凹部が設けられる。当該凹部の存在によって、坩堝11内部の原材料融液は、その全てが安定して貫通孔11c内に注がれることとなる。突起部11bを除いて平坦面からなる下端部11aの坩堝外側面の外周部分には、該平坦面よりも坩堝内側方向に掘り下げられるように設けられた段差部11fが設けられる。当該段差部11fは、後述するアフターヒータと坩堝11とを当接させる際にこれらの位置関係を規定する作用を呈する。
なお、本実施形態は、原材料融液と坩堝における原材料融液との接触部分との濡れ性が良い場合、例えば金属製の坩堝であって表面研磨が為されたものと、酸化物系の単結晶を得るための原材料融液との組み合わせに対して好適である。この様な組み合わせの場合、各々の突起部11bにおける突起部端面11dの表面には原材料融液が濡れ広がる可能性がある。また、原材料融液の保持温度によっては、該突起部11bの側壁面(坩堝下端部11a表面と突起部端面11dとの各々に垂直な方向に延在し且つこれら面を繋げる平面)にも濡れ上がる可能性がある。この原材料融液の濡れ上がりは、引下げ操作時の温度での、坩堝11における当該面と原材料融液との間に作用する界面張力によってもたらされる。本発明では、以下に述べる条件を考慮して突起部11bの形状、配置等を定めることにより、これら濡れ広がり及び濡れ上がりの影響の抑制を図っている。なお、これら濡れ広がり及び濡れ上がりの程度は、原材料融液の粘度によって左右され、当該粘度は原材料融液の温度によって一義的に決定される。従って、以下に述べる条件は主に引下げ操作時において原材料融液が保持される温度における当該原材料融液の特性に応じて決定される。
具体的には、本形態では、隣接する突起部11bの間で最も近接した部分の間隔dについては、d>2tとしている。ここで、tは、原材料融液の坩堝に対する接触角を測定する際の、坩堝と同等材からなる平板に対して特定の温度(引下げ操作時における原材料融液の保持温度)に保持された原材料融液を垂らした際に平板に付着する液滴の液厚さに対応する。図に示した坩堝11においては得られた2tの値に製造誤差、結晶育成時の操作上の不備等を考慮した安全率を掛け、間隔dを0.5mmとしている。また、濡れ上がりついては、原材料融液と坩堝との界面張力と、原材料融液に作用する重力との関係からその量が決まると考えられる。そこで、突起部端面11dと下端部11aの下側表面との段差hについては、実際に先の特定の温度における原材料融液と坩堝との間に作用する界面張力をγ、原材料融液の密度をρ、とした場合に重力加速度gを考慮して、γ/ρg<hなる関係を満たすように設定している。図に示した坩堝11においては得られたγ/ρgの値に先に述べた安全率を掛け、段差hを3mmの段差としている。これらd及びhについて以上の条件を満たすように設定することにより、個々の突起部に対応して複数の原材料融液の分離独立した状態での引下げを安定的に行うことが可能となる。なお、段差hに関しては、後述するアフターヒータによる原材料融液の温度勾配の制御性に突起部11bが影響を与えないことが好ましいことから、アフターヒータの軸方向における均熱領域に突起部11bが侵入しない大きさであることが好ましい。
上述した実施形態においては、複数の貫通孔開口部から漏出する原材料融液の表面張力等に基づく相互作用の影響を、該貫通孔開口部を所定の条件を満たすように設けられた突起部11bの存在により抑制している。しかしながら、該相互作用の抑制様式は当該突起部に限定されない。即ち、坩堝下端部11aの外側面に配された複数の貫通孔開口部について、隣接する開口部の間に対して幅を上述したdとし、且つ深さを上述したhとした溝を設ける様式としても良い。
また、貫通孔の開口部及び突起部の水平面内における配置は、アフターヒータによって構成される均熱領域において全ての開口部及び突起部が同一温度条件下にあることが好ましい。従って、開口部及び突起部はアフターヒータの軸心に対して等配されることが好ましく、且つ得ようとする単結晶の軸方向に垂直な断面における径の2倍以上の距離をアフターヒータの内壁より開けて配置されることが好ましい。
なお、上述した実施形態は、坩堝と原材料融液との所謂濡れ性が良い組み合わせについて好適なものを示している。しかし、逆に濡れ性が悪い組み合わせの場合、貫通孔から漏出した原材料融液の濡れ広がりは生じない。従って、上述したような複数の漏出部分での濡れ広がりによる原材料融液の相互作用を抑制する突起部或いは溝の形成は、必要ではなくなる。従って、先の実施形態において突起部端面として規定される貫通孔の開口形成面は、突起部が存在せずに単に開口部が形成された開口端面として規定されることが好ましい。また、このような突起部端面は同一平面である第一の平面内に全て収容されているとし、且つ平坦面とされたシードの上平面は該第一の平面と対応してこれに対向する当接面である第二の平面として規定されることが好ましい。
以上の坩堝を用いて行われる実際の引下げ操作について説明する。なお、説明の簡略化のため、図1A〜1Dにおいては、図2Aにおいて示した坩堝の先端部及びシードのみを模式的に示すこととする。図1Aに示すように、本発明では坩堝対向面5a(以下、上平坦面と称する。)が平面であって、坩堝における貫通孔11cの開口部を全て覆うだけの面積を有するシード5を用いている。また、坩堝11の内部には固体状の原材料7が挿入されている。なお、図示されていないが坩堝11はアフターヒータ上に載置され、該アフターヒータを基準に位置決めされている。この状態からシード5を上昇させ、シード5の上平坦面5aを突起部端面11dに当接させる。この状態から更に坩堝11と共にシード5の上昇を行い、坩堝11が所定量Δl移動したことを確認した後、シード5の上昇を停止させる(図1B参照)。シード5の上昇停止後、原材料7の加熱を行い、これを溶融させる。溶融して生じた原材料融液8の一部は各々の貫通孔11cを通り、シード5の上平坦面5aに達する。
シード上平坦面5aはアフターヒータ等によりメニスカス生成温度に維持されており、図1Cに示すように、当接部分においてメニスカスを形成する。この状態からメニスカスが所定位置において安定的に形成される速度にて、シード5の引下げを開始する。以上の工程の実施によって、図1Dに示すように各貫通孔11cより所定の形状を有した単結晶9が得られる。通常複数の突起部端面11dは同一平面内に存在するように加工され、且つシード上平坦面5aも当該突起部端面11dと正対するように装置構成自体は設計されている。しかし、上述したように、実際には坩堝11の装置本体に対する取り付け精度の問題等により、突起部端面11dによってはシード上平坦面5aとの間に目視では判別しきれない微小な隙間が形成される恐れがある。原材料融液8が容易にシード5に達するようにその設定温度を上昇させて低粘度化を図った場合には、メニスカスの生成が困難になる恐れがある。従って、原材料融液8の温度は該原材料融液8の粘度がある程度高くなる状態に維持する必要がある。しかしこの場合、前述した隙間の存在によって各貫通孔11cを通る原材料融液8が全て好適にシード5に達することができないことが起こり得る。また十分な時間の確保によって原材料融液8とシード5との好適な接触を図ろうとした場合には、シード5自身の融解が生じる恐れもある。
本発明の如く、所定量の坩堝11の押し上げを行うことによって、全ての突起部端面11dを好適にシード上平坦面5aに当接させた状態で原材料融液8の貫通孔11cの通過を為すことが可能となる。なお、前述したように、この上昇する所定量は、メニスカスの厚さに応じて少なくとも該厚さ以上に設定することが好ましい。又上昇量がある程度大きいほうが位置関係の再現性は高くなるが、坩堝11を元の状態に戻した際に坩堝11に設けられた坩堝段差部11fの存在によって、坩堝11とアフターヒータとの位置関係が初期の状態に確実に復帰し得るように定められることが好ましい。本実施形態ではメニスカス厚さが凡そ0.1mmであり、且つ段差が0.5mmであることから、所定の上昇量を1.0mmと設定している。
次に、上述した単結晶の引下げ方法に好適に引下げ装置の具体的構成について説明する。図3は、当該引下げ装置の主要部であって、該装置の結晶引下げ方向に沿った構成を示している。該引下げ装置1は、主たる構成として、シード5、坩堝11、アフターヒータ13、ワークコイル17、坩堝ステージ19、アウターチューブ25、シード保持具31、シード駆動機構33、CCDカメラ35、上昇検出部37、及び制御装置39、を有している。引下げ装置1は、高周波誘導によって材料の加熱、溶融を行っている。高周波磁束は、内部に冷却用の水等を導通可能な金属製のチューブを所定の内径を有するコイル状に形成したワークコイル17を介して、加熱源等に伝達される。より詳細には、ワークコイル17は、高周波電流が導通可能であって該高周波電流を流すことによって高周波磁界を生成し、該高周波磁界による誘導加熱によってその内部に配置される導電性の物体を加熱する。原材料が保持され且つ溶融される坩堝11は、底面(下端面)が閉止された円筒形状を有しており、カーボン或いは高融点金属(例えば、Re、Ir、W、Ta、Mo、Pt、或いはこれらの合金)から構成される。なお、具体的な坩堝11の形状についてはすでに詳述しているのでここでの説明は省略する。坩堝11は、ワークコイル17と同軸であって且つワークコイル17の長手方向における中央部分に配置される。
なお、本実施形態において、結晶の引下げ方向は坩堝11等の軸心(A)の延在方向と一致している。坩堝11の下方には、坩堝11の下端外周近傍と当接して該坩堝11を支持する、円筒形状のアフターヒータ13が配置される。アフターヒータ13は、坩堝と同様の材料より構成されており、坩堝11と同軸となるように配置されている。原材料加熱時において、該アフターヒータ13も高周波誘導によって発熱し、坩堝11の下端より漏洩する原材料融液を加熱可能としている。また、アフターヒータ13の長さは、ワークコイル17の長手方向において中央部に配置される坩堝11と該アフターヒータ13とを当接させて配置した際に、ワークコイル17における有効加熱領域に該アフターヒータ13が収容されるように設定されている。該アフターヒータ13の設置により引下げ方向における均熱領域が拡大可能となり、結晶育成の条件をより広範なものとすることが可能となる。また、本実施形態において、アフターヒータ13は、その下端において、円環状の坩堝ステージ19の上面によって支持されている。坩堝ステージ19は、セラミックス、石英等、加熱に用いる高周波誘導に対して絶縁性を有する材料から構成されている。
坩堝ステージ21は、下面において、該ステージ21と同様の材料からなる円筒状のアウターチューブ25の上端部によって支持されている。これら坩堝11、アフターヒータ13、坩堝ステージ21及びアウターチューブ25は、同軸となるように配置されており、結晶の引下げ操作は該軸に沿って行われる。また、シード5はシード保持具31の上部端部によって保持されており、棒状のシード保持具31はその下端においてシード駆動機構33と接続される。シード5は、このシード駆動機構33によるシード保持具31の軸方向の上下動に応じて上下動可能とされている。なお、従来構成においては、シード駆動機構33によるシード5の上下の移動範囲の上端部は、シード5が坩堝11の下部端面に当接する位置に設定されている。しかし本発明においては、上述したように当接後、坩堝11を所定量押し上げることが可能となるようにその移動範囲を延長している。
CCDカメラ35は、メニスカスの形成状態を観察するために用いられる。アフターヒータ13にはメニスカス観察用の貫通窓が設けられており、CCDカメラ35は当該貫通窓を介してメニスカス形成領域の映像を撮像することが可能となっている。上昇検出部37は、シード5が坩堝11を押し上げた際の押し上げ位置の検出を為す近接センサより構成される。上昇検出部37は制御装置39に坩堝11の押し上げ量、或いは停止位置に関連する信号を発生し、当該信号を制御装置39に送る。制御装置39は当該信号に応じてシード駆動装置33を制御し、シード5の上昇動作の減速、停止、或いは降下への変更等の動作を実施させる。また、CCDカメラ35から得られた映像も制御装置39に送信され、得られた映像に基づいてメニスカスの状態の判別が行われ、シード5の引下げ速度の制御が行われる。
以上の一実施形態として述べた構成からなる引下げ装置を用いることにより、複数の開口部より原材料融液を供給する坩堝を用い、複数の単結晶の引下げ、育成を好適に実施することが可能となる。即ち、平坦な上端面を有するシードの複数の開口部に対する当接−所定量の押し上げ、押し上げ状態での原材料融液の溶解、原材料融液の複数の開口部からの漏出−シードタッチ、各開口部におけるメニスカスの形成、シードの降下による坩堝のアフターヒータ上所定位置への復帰、所定速度でのシード引下げによる複数の単結晶の同時育成、なる工程を容易且つ確実に実施することが可能となる。特に、シードによる坩堝の押上を行う場合、坩堝の当初位置により押し上げ状態が変化する可能性もあることからシード駆動機構33による所定量の押し上げの確認は困難である。本発明では坩堝側の挙動より実際の押し上げ量或いは押し上げ状態を検知することによって、実際には0〜1.0mmレベルの微小な押し上げ量を確実に制御し、開口部各々とシード上平端面との確実な当接状態の確保を可能としている。
なお、上述した基本構成は一例であり、例えば原材料に応じて種々改変が可能である。具体的には、坩堝11とワークコイル17との間に更なる発熱体となる導電性材料からなる円筒状の部材を配しても良い。また、坩堝11自体が発熱する構成ではなく、この円筒状の部材が発熱する構成としても良い。或いは、アフターヒータをなくする構成とする、アフターヒータを二重構造とする、アフターヒータをワークコイルとの位置関係を改変可能とする、等の構造とすることも可能である。また、本発明では坩堝の押し上げ量を検知する構成が必須であり、上述した実施形態では坩堝押し上げ方向に近接センサを配することを特徴としている。しかし、押し上げ量の検知方法は当該様式に限られず、例えばメニスカス観察用のCCDカメラの視野を拡大する或いはCCDカメラに引下げ軸方向の上下動作をさせる等することにより、CCDカメラの映像から坩堝の押し上げ量を検知する構成としても良い。従って、これら構成は坩堝上下位置検知手段として種々形態を包含する構成として把握されることが好ましい。
なお、上述した実施形態においては、図示した構成以外の構成物に対して特に言及していない。しかし、得ようとする結晶によっては、雰囲気中の酸素分圧の低減、或いは特定のガスからなる雰囲気環境の形成等が必要な場合があり、上述した各構成は、内部空間の減圧、ガス置換等が可能な、密閉された空間内部に配置されることが好ましい。また、本実施形態において各構成は円筒状或いは円環状の形状からなることとしているが、本発明はこれら形状に限定されず、前述したように、引下げ方向に垂直な断面(端面)の形状を得ようとするファイバー状単結晶の外形状に応じて種々に改変可能である。この場合、各々の構成が引下げ方向と平行な所定の軸に対して全て同心となるように配置された際に、各々の構成間に形成される間隔が略一定に保たれれば良い。
以上述べたように、本発明によれば、複数の単結晶を同時に育成する製造工程において、これら複数の単結晶用に坩堝に設けられた複数の貫通孔に関して、好適且つ安定的なシードタッチを行うことが可能となる。従って、複数の単結晶を、再現性良く同時に製造することが可能となる。
1:引下げ装置、 5:シード、 7:原材料、 8:原材料融液、 9:単結晶、11:坩堝、 11a:坩堝下端部、 11b:坩堝突起部、 11c:坩堝貫通孔、 11d:突起部端面、 11f:坩堝段差部、 13:アフターヒータ、 17:ワークコイル、 19:坩堝ステージ、 25:アウターチューブ、 31:シード保持具、 33:シード駆動機構、 35:CCDカメラ、 37:上昇検出部、 39:制御装置

Claims (7)

  1. 原材料及び原材料の融液を内部に保持可能な本体部と、前記本体部の内部と連通して前記原材料融液が漏出可能な貫通孔複数個と、を有する坩堝の前記貫通孔各々から漏出した前記原材料融液に、前記原材料融液が結晶化する際の結晶方位を定めるシードを接触させ、前記シードを所定の引下げ軸に沿って引き下げることによって複数の単結晶を得る単結晶の引下げ方法であって、
    前記坩堝の前記内部に前記原材料を装填し、
    前記シードを前記貫通孔が開口する開口端面に当接させて前記坩堝を前記引下げ軸に沿って所定量押し上げ、
    前記原材料を溶融し、
    前記坩堝に設けられた複数の前記貫通孔の開口部より漏出する前記原材料が溶融して得られる前記原材料融液を前記シードに接触させ、
    前記引下げ方向に前記シードを引き下げて前記単結晶を複数育成する、ことを特徴とする単結晶の引下げ方法。
  2. 前記複数の貫通孔が開口する平面は同一の第一の平面内に存在し、前記シードは前記第一の平面と対向する第二の平面を前記貫通孔との当接面として有することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の引下げ方法。
  3. 前記複数の貫通孔は、前記本体部より前記引下げ方向に各々独立して突出する突起部に各々が配されることを特徴とする請求項1或いは2何れかに記載の引下げ方法。
  4. 原材料及び原材料の融液を内部に保持可能な本体部と、前記本体部の内部と連通して前記原材料融液が漏出可能な貫通孔複数個と、を有する坩堝の前記貫通孔各々から漏出した前記原材料融液に、前記原材料融液が結晶化する際の結晶方位を定めるシードを接触させ、前記シードを所定の引下げ軸に沿って引き下げることによって複数の単結晶を得る単結晶の引下げ装置であって、
    前記坩堝を捲回して配置されて高周波電流が導通可能であって前記高周波電流によって高周波磁界を生成可能なワークコイルと、
    前記原材料融液が結晶化する際の結晶方位を定めるシード、を保持するシード保持具と、
    前記シード保持具を前記引下げ軸に沿って上下に駆動するシード駆動機構と、
    前記シード駆動機構によって前記シードが前記坩堝を所定量押し上げた際の押し上げ量を検知する坩堝上下位置検知手段と、を有することを特徴とする単結晶の引下げ装置。
  5. 前記複数の貫通孔が開口する平面は同一の第一の平面内に存在し、前記シードは前記第一の平面と対向する第二の平面を前記貫通孔との当接面として有することを特徴とする請求項4に記載の単結晶の引下げ装置。
  6. 前記複数の貫通孔は、前記本体部より前記引下げ方向に各々独立して突出する突起部に各々が配されることを特徴とする請求項4或いは5何れかに記載の引下げ装置。
  7. 前記坩堝における前記貫通孔が形成される外側面には、隣接する前記貫通孔から漏出する前記原材料融液の相互作用を防止する幅及び深さを有する溝が形成されていることを特徴とする請求項4或いは5に記載の引き下げ装置。
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