JP4805628B2 - 複層塗膜形成方法、これに用いる塗料および塗装物品 - Google Patents
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Description
しかし、これら合成樹脂成形品は、美装性や耐候性付与のため、一般に、いわゆる複層塗膜形成が行われている(特許文献1〜4参照)。これは、プラスチック基材の表面性状が外から見えないようにする(隠蔽性)とともに着色により美装することのため、プラスチック基材の表面に、まず、着色材を含む着色ベース塗料による塗膜形成を行い、その上に、最表面の耐侯性や耐擦傷性を向上させることのため、クリヤー塗料による塗膜形成を行う複層塗膜形成方法である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、プラスチック基材の表面に複層塗膜を形成する方法において、塗装工程を短時間で作業効率良く行うことができ、しかも、塗膜表面の外観品質が高くて外装部品に要求される諸品質を付与することができる、複層塗膜形成方法とこれに用いうる塗料および塗装物品を提供することにある。
前記着色ベース塗料は、Tgが60℃以上で重量平均分子量(Mw)が5万以上のアクリル樹脂(A1)と、Tgが120℃以上で数平均分子量(Mn)が3.5万以上のセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)とを、固形分重量比(A1/B1)が30/70〜70/30となる配合で含むものであり、かつ、前記クリヤー塗料は、光重合性官能基が1分子中に2.5個以上で重量平均分子量(Mw)が1100〜3000のウレタンアクリレート樹脂(C)と、光重合性モノマー(D)とを固形分重量比(C/D)が10/90〜40/60となる配合で含むものであって、
前記着色ベース塗料の膜化は乾燥で行い、クリヤー塗料の膜化は活性エネルギー線硬化で行とともに、前記クリヤー塗料の塗装は、着色ベース塗膜の不揮発分量が70重量%以上となった段階で、かつ、クリヤー塗料の塗着粘度が50mPa・s以下となるようにして、行い、前記活性エネルギー線による硬化は酸素濃度が5%以下の雰囲気下で行う、
ことを特徴とする。
上記本発明の複層塗膜形成方法においては、クリヤー塗料の塗装時点における塗着粘度の調整を、65℃以下の温度でのクリヤー塗料の加温により行うことが好ましい。また、上記クリヤー塗料は、蒸発速度60以上の有機溶剤を固形分基準で25重量%以下の割合で含むことができる。
そして、本発明にかかる塗装物品は、上記本発明にかかる複層塗膜形成方法で表面修飾された塗装物品である。
以下、まず、本発明にかかる複層塗膜形成方法に用いる着色ベース塗料とクリヤー塗料、および、プラスチック基材について説明し、そののち、本発明にかかる複層塗膜形成方法について詳しく述べる。
〔着色ベース塗料〕
本発明にかかる複層塗膜形成方法(以下、「本発明の方法」と略することがある。)に用いる着色ベース塗料は、少なくとも、その塗装層が乾燥により着色した塗膜を得させるものであれば、その種類は問わないが、本発明にかかる着色ベース塗料、すなわち、Tgが60℃以上で重量平均分子量(Mw)が5万以上のアクリル樹脂(A1)と、Tgが120℃以上で数平均分子量(Mn)が3.5万以上のセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)とを、固形分重量比(A1/B1)が30/70〜70/30となる配合で含む着色ベース塗料を用いることが好ましい。本発明の着色ベース塗料は、上記の構成において、OH基含有アクリル樹脂(A2)を、アクリル樹脂(A1)とセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)の合計固形分量に対し35重量%以下の割合で、かつ、前記OH価がアクリル樹脂(A1)とOH基含有アクリル樹脂(A2)の合計量に対し25KOHmg/g以下となる割合で、さらに含む、溶剤型アクリルラッカーエナメル着色ベース塗料として用いることができる。
前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、およびこれらのエステル化物(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ラウリルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、イソボロニルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシブチルエステル、4−ヒドロキシブチルエステル、(β−メチル)グリシジルエステル、ポリエチレングルコール等多価アルコールとのモノエステル等);(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)クリルアミド等のアミド基含有アクリルモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物;等が挙げられる。そして、前記他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明にかかる着色ベース塗料は、必要に応じ、上記3つの樹脂(A1)、(A2)、(B1)以外の樹脂、例えば、上記(A1)や(A2)以外のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などを含むことができる。
本発明にかかる着色ベース塗料において、アクリル樹脂(A1)は、そのTgが、60℃以上であることが着色ベース塗膜による美装性(外観品質)、耐溶剤性、プラスチック基材との密着性および塗膜強度を確保する上で必要なことであり、65℃以上であることが好ましく、その重量平均分子量(Mw)が、5万以上であることが美装性(外観品質)、耐溶剤性、プラスチック基材との密着性および塗膜強度を確保する上で必要なことであり、6万以上であることが好ましい。
本発明にかかる着色ベース塗料において、アクリル樹脂(A1)とセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)の配合割合が、固形分重量比(A1/B1)で、30/70〜70/30であることがクリヤー塗膜との界面制御性(低鮮明性の発生防止),プラスチック基材との密着性を確保する上で必要であり、35/65〜65/35であることが好ましい。
本発明にかかる着色ベース塗料は、美装性や隠蔽性を発揮させたりするために、着色材として着色顔料および/または光輝顔料を含むものである。上記着色顔料としては、限定する訳ではないが、有機系として、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、金属錯体顔料等を挙げることができ、また、無機系として、黄色酸化鉄、ペンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等を挙げることができる。上記光輝顔料としては、限定する訳ではないが、ホワイトマイカ、着色マイカ、干渉マイカ等のマイカ系顔料やアルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、グラファイト顔料、金属チタンフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、金属めっきガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆めっきガラスフレーク顔料、ホログラム顔料およびコレステリック液晶ポリマーからなるフレーク状顔料等を挙げることができる。上記着色ベース塗料は、これらの着色顔料や光輝顔料の群より選ばれた少なくとも1種の顔料を含むものである。また、着色ベース塗料は、必要により体質顔料を含むことができる。体質顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
〔クリヤー塗料〕
本発明の方法に用いるクリヤー塗料は、活性エネルギー線により硬化する塗料であれば、その種類は特に限定するものでないが、好ましくは、本発明にかかるクリヤー塗料、すなわち、光重合性官能基が1分子中に2.5個以上で重量平均分子量が1100〜3000のウレタンアクリレート樹脂(C)と、光重合性モノマー(D)とを、固形分重量比(C/D)が10/90〜40/60となる配合で含むとともに、必要に応じ、蒸発速度60以上の有機溶剤を固形分基準で25重量%以下の割合で含み、活性エネルギー線で硬化する、クリヤー塗料を用いることである。
本発明にかかるクリヤー塗料において、反応性希釈剤として用いられる光重合性モノマー(D)としては、例えば、着色ベース塗料の部分で説明したモノマー類、すなわち、(メタ)アクリル酸、およびこれらのエステル化物(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ラウリルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、イソボロニルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシブチルエステル、4−ヒドロキシブチルエステル、(β−メチル)グリシジルエステル、ポリエチレングルコール等多価アルコールとのモノエステル等);(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)クリルアミド等のアミド基含有アクリルモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物;等が挙げられる。そして、前記他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられるほか、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコールなどのジオールのモノあるいはジ(メタ)アクリレート、グリセリン、トリメチロールエタンやトリメチロールプロパンなどのトリオールのジあるいはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリあるいはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのテトラ、ペンタあるいはヘキサ(メタ)アクリレートなども挙げられる。
本発明にかかるクリヤー塗料において、ウレタンアクリレート樹脂(C)と光重合性モノマー(D)との配合割合は、固形分重量比(C/D)で、10/90〜40/60であることがクリヤー塗料自身の硬化性、クリヤー塗膜の耐薬品性、膜強度、肉持ち感および耐候性を確保する上で必要であり、15/85〜35/65であることが好ましい。
ベンゾイン系:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなど。
アントラキノン系:2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなど。
ケトン系:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン、1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル〕―2−メチル−2(4−メチルフェニルサルファ)プロパン−1−オンなど。
その他:フェニルグリオキシリック酸メチルエステル、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなど。
なお、紫外線吸収剤の存在下での硬化の場合は、光重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなど350nm以上の波長範囲に最大吸収波長を持つ光重合開始剤とベンゾフェノンなどの水素引き抜き型光重合開始剤とを併用することが好ましい。
トリアジン系:2−[4−[(2−ヒドロキシー3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシー3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシー4−イソーオクチロキシフェニル)−S−トリアジンなど。
ベンゾフェノン系:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノンなど。
本発明にかかるクリヤー塗料は、光安定性を確保するために、光安定剤を含むことができる。光安定剤の含有量は、クリヤー塗料中の樹脂固形分に対し、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ましい。光安定剤の種類としては、特に制限はなく、一般に用いられる光安定剤が本発明でも用いられるが、具体例を挙げれば、以下のとおりである。
ヒンダードアミン系:ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(N−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなど。
本発明のクリヤー塗料は、スプレー適正を確保するために、必要であれば、前述した光重合性モノマー(D)のほかに有機溶剤を添加することもできる。このとき、クリヤー塗料の回収再使用を考えると有機溶剤の使用は少ないのがよく、また、クリヤー塗膜形成の時間短縮のためには蒸発速度の速い有機溶剤であることが望ましい。具体的には、酢酸n−ブチルエステルの蒸発速度(重量)を100としたときの相対的蒸発速度60以上の有機溶剤を固形分基準で25重量%以下の割合で用いるのが好ましいのである。このような有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール(370)、イソプロピルアルコール(205)、エチルアルコール(203)、n−プロピルアルコール(130)、2−ブチルアルコール(115)、i−ブチルアルコール(83)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(66)、n−ヘキサン(1000)、シクロヘキサン(720)、トルエン(195)、エチルシクロヘキサン(145)、キシレン(68)、アセトン(720)、メチルエチルケトン(465)、メチルイソブチルケトン(160)、酢酸エチルエステル(525)、酢酸イソプロピルエステル(435)、酢酸2−ブチルエステル(180)、酢酸n−ブチルエステル(100)、酢酸2−アミルエステル(87)などを挙げることができる(溶剤の例示中の丸括弧内は蒸発速度を表す)。
〔プラスチック基材〕
本発明にかかる複層塗膜形成方法を適用し得るプラスチック基材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂等を成形してなる基材が挙げられる。
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、プラスチック基材上に、ラッカー型着色ベース塗料を塗装し、着色ベース塗装層を乾燥して着色ベース塗膜を得たのち、その上にクリヤー塗料を塗装し、クリヤー塗料塗装層を活性エネルギー線で硬化させて塗膜化する複層塗膜形成方法において、以下に述べる物性管理と雰囲気管理を行うところに特徴を有し、この2つの管理を行うことで、低鮮明性の発生を防ぐとともに耐溶剤性、密着性、硬度、塗膜強度、耐候性や耐薬品性を高め、塗装工程の時間短縮を可能とさせ、かつ、必要に応じ、クリヤー塗料の回収をして塗料の無駄をも生じさせないようにできるのである。
クリヤー塗装時の物性管理:クリヤー塗料による塗装は、着色ベース塗膜の不揮発分量が70重量%以上となった段階で、かつ、必要に応じ、65℃以下の温度での加温によりクリヤー塗料の塗着粘度が50mPa・s以下となるようにして、行うこと。なお、着色ベース複層塗膜の場合は、最表面の着色ベース塗膜、すなわち、上で述べた着色ベース複層塗膜の例で言えば、着色ベース塗料(2)による塗膜の不揮発分量が70重量%以上となった段階で、クリヤー塗料を塗装すればよい。
本発明の方法において、クリヤー塗料による塗装を、着色ベース塗膜の不揮発分量が70重量%以上となった段階で行うことは、着色ベース塗膜とクリヤー塗膜との界面制御性(低鮮明性の発生防止)を確保し、着色ベース塗膜の凝集破壊や層間剥離を防ぐ上で必要なことであり、着色ベース塗膜の不揮発分量が80重量%以上となった段階で行うことが好ましい。
着色ベース塗膜の不揮発分量が70重量%以上とするための条件は、塗料に使用するスプレーシンナーの設計、塗装工場の乾燥ブース条件(熱風温度、風速、ラインスピードなど)、その他についての事前テストで設定することができる。
ところで、クリヤー塗料の塗着粘度を上記した適性範囲に調整するための最も簡便な方法は、先にも述べた、クリヤー塗料の回収再使用を考えると、光重合性モノマー量で塗着粘度を調整することであるが、クリヤー塗料の硬化性、塗膜物性を確保する上で、光重合性モノマーの添加量には上限がある。そこで、クリヤー塗料の加温のみにより塗装粘度の適正化を図るか、または、光重合性モノマーの添加量は必要最少量に止め、クリヤー塗料の加温によることとの併用で塗装粘度の適正化を図ることが有効である。このとき、クリヤー塗料の熱安定性を考えると、クリヤー塗料の加温温度は65℃以下とすることが好ましい。
着色ベース塗料およびクリヤー塗料を塗装する方法としては、特に制限はなく、例えば、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、浸漬塗装、シャワーコート塗装、ロールコーター塗装、回転ベル塗装等の公知の塗装方法を採用すればよい。なお、スプレー塗装や回転ベル塗装の場合は静電塗装であってもよい。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、着色ベース塗膜の膜厚(硬化後の厚み)は、限定する訳ではないが、8〜30μmとすることが好ましく、10〜20μmとすることがより好ましい。
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、例えば、以下のように行うことができる。脱脂洗浄した基材に対して乾燥後の膜厚が8〜30μmとなるように着色ベース塗料を塗装する。そして、高温(例えば、80℃)で強制乾燥したのち、50℃以下になるまで冷却する。次いで、クリヤー塗料の塗着粘度が50mPa・s以下となるよう、65℃以下の温度でクリヤー塗料を加温しておいて、この加温状態のクリヤー塗料を、硬化後の膜厚が10〜50μmとなるよう、塗装する。次いで、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のランプを用い、5%以下の酸素雰囲気下で、紫外線光量500〜5000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより塗装塗膜を硬化させて、着色下地塗膜とクリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成する。
以下の実施例・比較例に用いた着色ベース塗料とクリヤー塗料を構成する樹脂として、表1,2に記載するものを使用した。
<ウレタンアクリレート樹脂UA−1の合成例>
攪拌羽根、温度計、温度制御機および冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチルエステル498部とトリメチロールエタン240部(2モル)およびジブチル錫ジラウレート2部を仕込み、60℃に昇温。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート1008部(6モル)を、フラスコ内の温度を60℃に保ちながら60分かけて滴下し、さらに60分同温度に保温した。空気を吹き込みながら、2−ヒドロキシアクリレート730.8部(6.3モル)およびハイドロキノン2部を60分かけて滴下し、さらに60分同温度に保温した。残存イソシアネート基がないことを確認した後、温度50℃で減圧下、酢酸エチルエステルを除去することによって、不揮発分99%、重量平均分子量980、光重合性官能奇数3のウレタンアクリレート樹脂UA−1を得た。
<着色ベース塗料の調製例>
攪拌機付き容器にアクリル樹脂(A1)と酢酸ブチルエステルを、そして、必要に応じOH基含有アクリル樹脂(A2)も、仕込み、攪拌下、セルロースアセテートブチレート樹脂(B1)の溶液と、黒顔料ペースト、アルミ顔料、白顔料ペーストおよびマイカ顔料のいずれかの顔料と、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステルを順次添加し、攪拌下で30分間保持して、着色ベース塗料を得た。なお、セルロースアセテートブチレート樹脂(B1)の溶液は、表5の配合で攪拌下、温度60℃の溶剤に樹脂を少しずつ添加し、30分間保持することで調製し、顔料ペーストは、表6,7の配合で原料を予備混合したのち、サンドグラインダーミルで30分間分散させることで調製した。
攪拌機付き容器に光重合性モノマー(D)を仕込み、攪拌下でセルロースアセテートブチレート樹脂を少しずつ添加して、30分間保持した。その後、攪拌下で、光重合開始剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤およびウレタンアクリレート(C)と、必要に応じて酢酸ブチルエステルを添加し、30分間保持して、クリヤー塗料を得た。
70mm×100mmで厚み3mmのABS樹脂板を基材とし、その表面をイソプロパノール洗浄したあと、上で準備しておいた着色ベース塗料を用い、スプレー方式で、基材表面に乾燥膜厚が15μmとなるよう着色ベース塗装を行い、70℃で熱風乾燥したのち、上で準備しておいたクリヤー塗料を用い、スプレー方式で、着色ベース塗膜の上に硬化膜厚が30μmとなるようクリヤー塗装を行い、1分間放置後、2000mJ/cm2の紫外線照射によって複層塗膜の同時硬化を行った。
なお、クリヤー塗料スプレー時の着色ベース塗膜の不揮発分量、クリヤー塗料の加温温度と塗着粘度、および、紫外線照射による複層塗膜同時硬化時の雰囲気(酸素濃度)は、表8に記載されている。
紫外線照射は、フュージョンUVシステムズ社のDバルブ(メタルハライドランプ)(MH)とHバルブ(高圧水銀灯)(Hg)を使用して行った。MH−Hg併用持の紫外線積算光量は、各1000mJ/cm2 、合計2000mJ/cm2 であった。このとき使用した光量計はHIT社製の商品名「Power Puck」である。
<着色ベース塗膜の不揮発分量>
試験対象となる着色ベース塗料を用いて、アルミニウム箔(重量:X)上に所定の乾燥膜厚(以下の実施例・比較例では15μm)となるよう塗装し、70℃の乾燥温度で表8に示す乾燥時間保持したのち、揮発成分が逃げないよう、直ちに、アルミニウム箔を折りたたんで重量(Y)を測定し、ついて、折りたたんだアルミニウム箔を広げて、JlS−K5601−1−2に準じて105℃で3時間加熱したのちの重量(Z)を測定し、下式に従い求めた値(W)を当該着色ベース塗料の不揮発分量とする。
<クリヤー塗料の塗着粘度>
試験対象となる各クリヤー塗料について、表8に示す温度で、ブリキ板上に乾燥膜厚30μmとなるようにクリヤー塗装し、2分間放置後に直ちに掻き取って、B型粘度計(東機産業社製、RB100L型)を用い、そのときのクリヤー塗料温度と同温度での粘度を測定して、その値を当該クリヤー塗料の当該温度での塗着粘度とした。
<耐溶剤性>
アセトンを含ませたネル布で試験片の表面を30往復こすり、塗膜表面の状態を目視で観察し、下記の評価をした。
△:塗膜表面に艶引けが認められた
×:塗膜表面が溶解した
<塗膜外観>
鮮明度光沢計(財団法人日本色彩研究所製、PGD−iv型)で塗膜表面の鮮明度を測定し、以下の評価をした。
○:PGD値0.4以上
△:PGD値0.3−0.2
×:PGD値0.1以下
<密着性>
得られた複層塗膜に1mm間隔で碁盤目状に基材に達するまでの切り込みを入れて100個の桝目を作成し、その上に接着テープを貼り付けて急激に剥がしたときの残存する桝目の数を数えて、下記の評価をした。
△:99−90/100
×:90未満/100
<塗膜強度(鉛筆硬度)>
芯先端を平らにした三菱ユニ鉛筆を硬度の低いものから高いものに順次取り替えつつ、それぞれ、45度の角度で芯先端を塗膜表面に当てて表面を引き掻く動作をし、基材に達する掻き傷が得られたときの鉛筆硬度により、下記の評価をした。
○:F以上
△:HB−B
×:2B以下
Claims (10)
- プラスチック基材の表面に着色ベース塗料による塗膜とクリヤー塗料による塗膜とを積層形成する複層塗膜形成方法において、
前記着色ベース塗料は、Tgが60℃以上で重量平均分子量(Mw)が5万以上のアクリル樹脂(A1)と、Tgが120℃以上で数平均分子量(Mn)が3.5万以上のセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)とを、固形分重量比(A1/B1)が30/70〜70/30となる配合で含むものであり、かつ、
前記クリヤー塗料は、光重合性官能基が1分子中に2.5個以上で重量平均分子量(Mw)が1100〜3000のウレタンアクリレート樹脂(C)と、光重合性モノマー(D)とを固形分重量比(C/D)が10/90〜40/60となる配合で含むものであって、
前記着色ベース塗料の膜化は乾燥で行い、クリヤー塗料の膜化は活性エネルギー線硬化で行うとともに、
前記クリヤー塗料の塗装は、着色ベース塗膜の不揮発分量が70重量%以上となった段階で、かつ、クリヤー塗料の塗着粘度が50mPa・s以下となるようにして行い、
前記活性エネルギー線による硬化は酸素濃度が5%以下の雰囲気下で行う、
ことを特徴とする、複層塗膜形成方法。 - クリヤー塗料の塗装時点における塗着粘度の調整を、65℃以下の温度でのクリヤー塗料の加温により行う、請求項1または2に記載の複層塗膜形成方法。
- 前記クリヤー塗料が、蒸発速度60以上の有機溶剤を固形分基準で25重量%以下の割合で含むものである、請求項1または2に記載の複層塗膜形成方法。
- 前記着色ベース塗料は、OH基含有アクリル樹脂(A2)を、前記アクリル樹脂(A1)とセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)の合計固形分量に対し35重量%以下の割合で、かつ、前記アクリル樹脂(A1)とOH基含有アクリル樹脂(A2)の合計量に対しOH価が25KOHmg/g以下となる割合で、さらに含む、請求項1から3までのいずれかに記載の複層塗膜形成方法。
- 着色ベース塗料の塗装は、着色顔料を含む着色ベース塗料(1)による塗装をしたのちにマイカ系光輝顔料を含む着色ベース塗料(2)による塗装を施すことで行う、請求項1から4までのいずれかに記載の複層塗膜形成方法。
- Tgが60℃以上で重量平均分子量(Mw)が5万以上のアクリル樹脂(A1)と、Tgが120℃以上で数平均分子量(Mn)が3.5万以上のセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)とを、固形分重量比(A1/B1)が30/70〜70/30となる配合で含む、請求項1から5までのいずれかに記載の複層塗膜形成方法に用いる着色ベース塗料。
- OH基含有アクリル樹脂(A2)を、前記アクリル樹脂(A1)とセルロースアセテートブチレート樹脂(B1)の合計固形分量に対し35重量%以下の割合で、かつ、前記アクリル樹脂(A1)とOH基含有アクリル樹脂(A2)の合計量に対しOH価が25KOHmg/g以下となる割合で、さらに含む、請求項6に記載の着色ベース塗料。
- 光重合性官能基が1分子中に2.5個以上で重量平均分子量(Mw)が1100〜3000のウレタンアクリレート樹脂(C)と、光重合性モノマー(D)とを、固形分重量比(C/D)が10/90〜40/60となる配合で含み、活性エネルギー線で硬化する、請求項1から5までのいずれかに記載の複層塗膜形成方法に用いるクリヤー塗料。
- 蒸発速度60以上の有機溶剤を固形分基準で25重量%以下の割合で含むものである、請求項8に記載のクリヤー塗料。
- 請求項1から5までのいずれかに記載の複層塗膜形成方法で表面修飾された塗装物品。
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