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JP4806893B2 - ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法 - Google Patents
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ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、積層型チップコンデンサの誘電体層の形成材料に用いられるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)の製造方法に関する。
ペロブスカイト構造を有する酸化物、例えば、チタン酸バリウムなどは、積層型チップコンデンサ(積層セラミックコンデンサ)などの電子部品のための誘電体材料として用いられている。
近年、このようなペロブスカイト構造を有する酸化物を、誘電体材料(誘電体原料粉末)として用いる場合、粒子径が小さく、かつ高い正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を有する原料粉末であることが要望されている。積層型チップコンデンサにおいては、小型かつ大容量化を図るために誘電体層(誘電体セラミック層)の厚みをできるだけ薄くする必要があるからである。
例えば、チタン酸バリウム粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を高めるためには、いわゆる固相反応法において、仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くすることが効果的であるとされている。すなわち、炭酸バリウム等のバリウム化合物と二酸化チタン等のチタン酸化物とを混合してペレット状に成形した後、仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くする操作が有効であるとされている。
また、仮焼き雰囲気の圧力や酸素分圧を調整することによって、微粒で結晶性の良好なチタン酸バリウム粉末を得る旨の提案もなされている。
しかしながらこのような高温・長時間の仮焼き条件では、通常、粒子の成長による粗大粒の発生や粒子間のネック成長が生じてしまい、得られたチタン酸バリウム粉末の微細化および粒径の均一化が困難となってしまうという問題が生じていた。また、仮焼き雰囲気の圧力や酸素分圧を調整する方法では、使用できる炉のタイプの制約があるとともに、操作が極めて煩雑となり、安定した物性を有する粉末を得ることが難しいといえる。
特開2002−255552号公報 特開2001−316114号公報
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、簡易な製造方法であって、素子の薄層化に対応できるように平均粒径が小さくかつ均一な粒径が得られ、粗大粒子の含有率が極めて少なく、しかも正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性の優れたペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らが仮焼きの焼成雰囲気について鋭意研究を進めた結果、昇温部における仮焼き雰囲気を積極的に二酸化炭素雰囲気とすることによって、正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性に優れ、しかも平均粒径が小さくシャープな粒度分布を持つ均一な粒径のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末が得られることを見出し本発明に想到したものである。
すなわち、本発明は、正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する原料準備工程と、これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する混合工程と、混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする仮焼き工程と、を有する正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、前記仮焼き工程は、徐々に仮焼き温度を上げていく第1段階としての昇温部と、昇温した後に一定の高温を保持する第2段階としての高温保持部と、保持されていた高温を徐々に温度降下させていく第3段階としての降温部とを有し、前記第1段階としての昇温部における処理雰囲気中にのみ二酸化炭素(CO2)が導入され、第2段階としての高温保持部および第3段階としての降温部における処理雰囲気は、空気雰囲気であるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記第1段階としての昇温部における処理雰囲気中に導入される二酸化炭素(CO2)は、炉内雰囲気を完全置換するように導入される。
また、本発明の好ましい態様として、前記二酸化炭素(CO2)の導入開始時期は、昇温部の温度が室温〜650℃の温度範囲内であるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記主原料粉末がABO3(AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種であり、BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種)で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末であるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末がチタン酸バリウム粉末であり、前記主原料粉末がチタン化合物およびバリウム化合物であるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記主原料粉末のバリウム化合物が炭酸塩を含有してなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサの誘電体層を形成するために用いられるように構成される。
本発明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する原料準備工程と、これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する混合工程と、混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする仮焼き工程と、を有するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、前記仮焼き工程は、徐々に仮焼き温度を上げていく第1段階としての昇温部と、昇温した後に一定の高温を保持する第2段階としての高温保持部と、保持されていた高温を徐々に温度降下させていく第3段階としての降温部とを有し、前記第1段階としての昇温部における初期の空気処理雰囲気中に二酸化炭素(CO2)を導入してなるように構成されているので、簡易な製造方法であって、素子の薄層化に対応できるように平均粒径が小さくかつ均一な粒径が得られる。粗大粒子の含有率も極めて少ない。正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性にも優れる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法について説明する前に、本発明の製造方法により製造される酸化物粉末の好適な用途例の一つである誘電体層(誘電体セラミック層)を備える一般的な積層型チップコンデンサの概略構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図であり、図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための一例を示した斜視図である。
図1〜図3に示される好適な一例としての積層型チップコンデンサ1は、第1内部電極層23と第2内部電極層28とが誘電体層7を介して交互に積層された素子本体2と、この素子本体2の対向する端面に設けられた一対の外部電極11,15とを備えている。誘電体層7が本発明の製造方法により製造される酸化物粉末の好適な用途例の一つである。
素子本体2は、通常、直方体形状とされるが、特に形状に制限はない。また、素子本体2の寸法も特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜2.5mm)程度の大きさとすることができる。
内部電極層23、28は、上述したように誘電体層7を介して交互に積層された第1内部電極層23と第2内部電極層28から構成されている。このような構造を形成するための好適例が図3に示されており、この図によれば、誘電体層7と第1内部電極層23を有するシート体73と、誘電体層7と第2内部電極層28を有するシート体78とが互いに順次繰り返し多層に積層される。
積層される第1内部電極層23は、図3に示されるように前記第1外部電極11側に露出する接続部23aを有し、この接続部23aは第1外部電極11に接続されている。図3に示されるごとく第1内部電極層23は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部23aのみ(より正確には接続部の端部のみ)である。
この一方で、積層される第2内部電極層28は、図3に示されるように第2外部電極15側に露出する接続部28aを有し、この接続部28aは第2外部電極15に接続されている。図3に示されるごとく第2内部電極層28は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部28aのみ(より正確には接続部28aの端部のみ)である。
上述したように本発明の製造方法の対象となるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層7の形成材料として好適に使用される。
以下、本発明のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法について工程順に従い説明する。
〔ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程〕
主原料粉末は、ABO3で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末から構成される。上記AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種を表し、上記BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種を表す。
ぺロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の主原料材料は、一般に、金属酸化物粉末および金属炭酸塩粉末が用いられることが多い。
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末として、チタン酸バリウム粉末を好適例として挙げて、以下説明する。
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末であるチタン酸バリウム粉末を得るためには、まず、加熱分解によって酸化バリウムを生成するバリウム化合物の粉末が準備される。このバリウム化合物としては、例えば、炭酸バリウム(BaCO3)を好適に使用することができる。比表面積は、5〜40m2/gの範囲のものが好ましい。炭酸バリウムに混合して、あるいは炭酸バリウムに代えて、塩化バリウム(BaCl2)、水酸化バリウム(Ba(OH)2)を用いてもよい。
また、炭酸バリウムを含む2種類以上のバリウム化合物を混合して用いる場合には、炭酸バリウムの含有率は50モル%以上とすることが好ましい。
金属酸化物粉末としては二酸化チタンが準備される。このものは、例えば、四塩化チタンを熱分解することによって得ることができる。比表面積は、10〜50m2/gの範囲のものが好ましい。
〔主原料粉末を混合する工程〕
上記二酸化チタンで例示される金属酸化物粉末と、上記炭酸バリウムで例示される金属炭酸塩粉末とを、所定のモル比となるように秤量して、混合する。Ba/Ti比は、0.990〜1.020程度とされる。
混合に際しては、上記原料粉末に水を添加して行なう湿式混合とすることが好ましい。より具体的な好適例として、上記混合対象粉末を水およびジルコニアボールとともにボールミルに入れて、湿式で、16時間以上混合することが望ましい。
このような混合により得られたスラリーは、通常、乾燥させられて混合粉体が形成される。
〔混合された主原料粉末を仮焼きする工程〕
上記混合工程で得られた混合粉体は、通常、加圧成型によってペレット状物に成型するが、混合粉体のままでも良い。加圧成型する場合は、通常、上記混合粉体に水等が添加され成型可能な状態とされた後に行なわれる。
成型されたペレット状物は仮焼きされる。本発明の第1の要部は仮焼き工程における処理条件にあり、以下詳細に説明する。
仮焼き工程における経時的な温度操作条件は、(1)徐々に仮焼き温度を上げていく第1段階としての昇温部と、(2)昇温した後に一定の高温を保持する第2段階としての高温保持部と、(3)保持されていた高温を徐々に温度降下させていく第3段階としての降温部を有している。このような一連のステップは仮焼き工程で通常操作されているステップである。
本発明の仮焼き工程においては、前記第1段階としての昇温部における初期の空気処理雰囲気中に二酸化炭素(CO2)が導入される。特に、第1段階としての昇温部における処理雰囲気中にのみ二酸化炭素(CO2)が導入され、第2段階としての高温保持部および第3段階としての降温部における処理雰囲気中には二酸化炭素(CO2)は導入されない態様とすることが望ましい。
第1段階としての昇温部の処理雰囲気中に導入される二酸化炭素(CO2)による炉内の二酸化炭素(CO2)の濃度は、4〜100Vol%、好ましくは20〜100Vol%、さらに好ましくは50〜100Vol%の範囲とするのがよい。中でも特に、炉内雰囲気を完全置換するような操作とすることが好ましい(すなわち、二酸化炭素(CO2)が100Vol%)。
二酸化炭素(CO2)の導入開始時期は、昇温部の温度が室温(昇温操作の開始温度と同義であり通常、25℃程度)以上、特に400℃以上、さらには、550〜650℃の温度範囲内の時に行なうことが好ましい。また、一旦形成された二酸化炭素(CO2)雰囲気は高温保持部に到達する時点まで継続しておくことが好ましい。このような昇温部の昇温速度は、100〜300℃/hr程度とするのがよい。
また、第2段階としての高温保持部および第3段階としての降温部における処理雰囲気は、二酸化炭素(CO2)を導入することを止めて、空気雰囲気とするのが良い。
第2段階としての高温保持部の温度は、800〜1200℃、特に900〜1100℃、特に好ましくは、950〜1000℃、さらに好ましくは950〜985℃とされる。この温度値が、1200℃を超えると、粒成長が活発になり粒径そのものが大きくなるとともに粗大粒の混在割合も多くなる傾向が生じる。また、この温度値が800℃未満となると、結晶性が悪くなる傾向がある。
第2段階としての高温保持部では、通常、一定温度での長時間の保持が行なわれ、保持時間は、1〜10hr、好ましくは2〜5hrとされる。
第2段階としての高温保持処理が完了すると、第3段階としての降温部における降温処理が行なわれる。降温部の冷却速度は、100〜300℃/hr程度とされる。
また、仮焼き工程における処理雰囲気中の圧力については、特に制限はないが、通常、大気圧とされる。
〔仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程〕
上記仮焼きされたペレット状物は、必要に応じて例えば解砕機等により解砕された後、湿式粉砕の処理が施される。
湿式粉砕は、pHが7.0〜13.0、特に8.5〜12.5(特に好ましくは、9.7〜12.1)の溶液(溶媒)中で粉砕処理されることが望ましい。すなわち、解砕されたペロブスカイト構造を有する酸化物は、上記のpH範囲内に調製された溶媒の中に入れられ、ジルコニアボールとともにボールミル内で湿式粉砕される。ボールミル粉砕方法以外に、遊星ミル、振動ミルなどの粉砕方法を用いてもよい。
溶液(溶媒)のpH調整手段は特に制限されるものではないが、アルカリ側への調整としては、例えば、水にアンモニア水を加えて調整する方法を採用するのが簡便で好ましい。pH調整の最適化を図ることにより、比表面積に対するc/a比およびΔH(111)の向上が図れる。
また、湿式粉砕におけるスラリー濃度(固形分濃度)は、例えば10〜30wt%程度とされ、また、粉砕時間は、例えば12〜60hr程度とされる。
このようにして得られたペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(チタン酸バリウム粉末)は、焼成工程を経て焼結体とされることによって、例えば、上述した積層チップコンデンサの誘電体層(誘電体セラミック)として好適に用いることができる。焼成工程における焼成条件の一例を挙げると、焼成温度は、1100〜1400℃、焼成時間は、1〜5hr、焼成雰囲気は酸素分圧が10-2〜10-15MPaの雰囲気とされる。
誘電体層(誘電体セラミック)形成に際しては、上述のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末に、Caや、Sc,Yを含む希土類元素、Zr,Mn,Mg,Siなどの添加物を添加することができる。
なお、上述してきた説明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末として、二酸化チタンと炭酸バリウムとを用いて合成されたチタン酸バリウムを好適例として示してきたが、この発明は、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、およびこれらの複合酸化物などの他のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法にも適用することが可能である。
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1−1)
比表面積5.7m2/gの炭酸バリウム粉末および比表面積22.3m2/gの二酸化チタン粉末を準備した。二酸化チタン粉末は四塩化チタンの熱分解により製造されたものである。
炭酸バリウムと二酸化チタンとのモル比が1.005:1.000となるように、炭酸バリウム粉末および二酸化チタン粉末をそれぞれ秤量した。
次いで、これらの原料粉末を水およびジルコニアボールとともにボールミル内に入れ、湿式で16時間混合した。得られたスラリー(混合物)を乾燥機に入れ、120℃で乾燥させて混合粉体とした。次いで、得られた混合粉体に水を10wt%添加して、このものを金型に投入して加圧成型することにより、ペレット状物(成型物)を得た。次いで、下記に示される条件でペレット状物の仮焼きを行なった。なお仮焼き用の焼成炉は100mm径のアルミナ製管状炉を用いた。
仮焼き条件
昇温部
常温から975℃(高温保持温度)までの温度に至るまで、200℃/hrの昇温速度で昇温させた。最初は空気雰囲気(空気流量=2リットル/min)として、温度が550℃に上昇した時点で二酸化炭素の導入を開始し、すぐさま焼成雰囲気を空気雰囲気から二酸化炭素雰囲気に完全置換し(CO2ガス流量=2リットル/min)、この状態を975℃に達する時点まで継続した。すなわち、昇温部における550〜975℃の範囲までを100Vol%の二酸化炭素雰囲気とした。
高温保持部
975℃(高温保持温度)に到達した時点で、二酸化炭素の導入を止め、これに代えて空気の導入を開始し、すぐさま焼成雰囲気を二酸化炭素雰囲気から空気雰囲気に完全置換した(空気流量=2リットル/minとし100Vol%の空気雰囲気)。この状態を975℃の高温保持の間、すなわち2時間継続した。
降温部
高温保持部における処理が完了した後、200℃/hrの冷却速度で温度を降下させた。この場合における雰囲気は、高温保持部における雰囲気と同じ100Vol%の空気雰囲気とした(空気流量=2リットル/min)。
このような仮焼き工程の後、得られたペレット状物を解砕し、実施例サンプル1−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例1−1)
上記実施例1−1において、仮焼き条件の昇温部における二酸化炭素の置換を行なわなかった。すなわち、昇温部、高温保持部および降温部のすべての焼成雰囲気を100Vol%の空気雰囲気とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして比較例サンプル1−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例1−2)
上記実施例1−1において、仮焼き条件の昇温部における二酸化炭素の置換を行なわなかった。その代わりに高温保持部において、二酸化炭素の置換を行なった。すなわち、昇温部と降温部のすべての焼成雰囲気を100Vol%の空気雰囲気とし、高温保持部の焼成雰囲気のみを100Vol%の二酸化炭素雰囲気とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして比較例サンプル1−2のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例1−3)
上記実施例1−1において、仮焼き条件の昇温部における二酸化炭素の置換を行なわなかった。その代わりに降温部において、二酸化炭素の置換を行なった。すなわち、昇温部と高温保持部のすべての焼成雰囲気を100Vol%の空気雰囲気とし、降温部の焼成雰囲気のみを100Vol%の二酸化炭素雰囲気とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして比較例サンプル1−3のチタン酸バリウム粉末を得た。
(実施例2−1)
上記実施例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=80/20とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例サンプル2−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例2−1)
上記比較例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=80/20とした。それ以外は、上記比較例1−1と同様にして比較例サンプル2−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例2−2)
上記比較例1−2において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=80/20とした。それ以外は、上記比較例1−2と同様にして比較例サンプル2−2のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例2−3)
上記比較例1−3において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=80/20とした。それ以外は、上記比較例1−3と同様にして比較例サンプル2−3のチタン酸バリウム粉末を得た。
(実施例3−1)
上記実施例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=50/50とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例サンプル3−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例3−1)
上記比較例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=50/50とした。それ以外は、上記比較例1−1と同様にして比較例サンプル3−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例3−2)
上記比較例1−2において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=50/50とした。それ以外は、上記比較例1−2と同様にして比較例サンプル3−2のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例3−3)
上記比較例1−3において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=50/50とした。それ以外は、上記比較例1−3と同様にして比較例サンプル3−3のチタン酸バリウム粉末を得た。
(実施例4−1)
上記実施例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=10/90とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例サンプル4−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例4−1)
上記比較例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=10/90とした。それ以外は、上記比較例1−1と同様にして比較例サンプル4−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例4−2)
上記比較例1−2において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=10/90とした。それ以外は、上記比較例1−2と同様にして比較例サンプル4−2のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例4−3)
上記比較例1−3において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)の一部を塩化バリウム(BaCl2)に変えて、(BaCO3)と(BaCl2)とのモル比を(BaCO3)/(BaCl2)=10/90とした。それ以外は、上記比較例1−3と同様にして比較例サンプル4−3のチタン酸バリウム粉末を得た。
(実施例5−1)
上記実施例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)を塩化バリウム(BaCl2)に変えた。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして実施例サンプル5−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例5−1)
上記比較例1−1において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)を塩化バリウム(BaCl2)に変えた。それ以外は、上記比較例1−1と同様にして比較例サンプル5−1のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例5−2)
上記比較例1−2において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)を塩化バリウム(BaCl2)に変えた。それ以外は、上記比較例1−2と同様にして比較例サンプル5−2のチタン酸バリウム粉末を得た。
(比較例5−3)
上記比較例1−3において、原料粉末として用いた炭酸バリウム(BaCO3)を塩化バリウム(BaCl2)に変えた。それ以外は、上記比較例1−3と同様にして比較例サンプル5−3のチタン酸バリウム粉末を得た。
このようにして得られた実施例および比較例のサンプルについて、(1)D50の値、(2)(D90−D10)/D50の値、(3)比表面積SSA(m2/g)、(4)結晶のc/a軸比、および(5)結晶の(111)面の半値幅ΔH(111)の値をそれぞれ下記の要領で求めた。
(1)D 50 の値(μm)、および(2)(D 90 −D 10 )/D 50 の値
サンプルを超音波ホモジナイザーにより分散させ、レーザー回折粒度分布計を用いて粒度分布を測定し、D50の値および(D90−D10)/D50の値をそれぞれ求めた。D90は粒度90%篩い粒径を表し、D10は粒度10%篩い粒径を表し、D50は粒度50%篩い粒径を表す。
(3)比表面積SSA(m 2 /g)
BET法にて、粉末の比表面積SSA(m2/g)を求めた。
(4)c/a軸比、および(5)(111)面の半値幅ΔH(111)
X線回折測定を行い、結晶のc/a軸比、および(111)面の半値幅ΔH(111)をそれぞれ求めた。
結果を下記表1に示した。
比較例1が従来の基準(Standard)となっており、表1における各測定項目のクリアすべき基準は、D50の値が0.550以下であり、(D90−D10)/D50の値が1.100以下であり、SSA値が4.100以上であり、c/a軸比が1.00800以上であり、ΔH(111)が0.132以下である。
Figure 0004806893
表1の結果より、実施例サンプルでは全ての測定項目をクリアできており、平均粒径が小さくかつ均一な粒径が得られていることがわかる。正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性もよい。
例えば比較例1−1サンプルでは、SSAが大きくなっているにもかかわらずD50の値が実施例1−1サンプルと同程度であり、比較例1−1サンプルのものは、粗大粒子と微細な粒子が凝集して擬似1粒子を構成しているものと考えられる。そのためc/a軸比とΔH(111)が良くなっている。なお、粒子群の凝集はSEM写真で確認されている。
例えば、比較例1−2サンプルおよび比較例1−3サンプルでは、粒径が全体的に大きくなっており、かつ均一性に欠けるために素子の薄層化に対応するには不適である。また、粗大粒子も多く存在していることがSEM写真で確認されている。粒径そのものが大きいために見かけの結晶性は良好な数値が得られている。
このような実験結果は、バリウム原料粉の構成を変えた実験グループ2〜5についても同様な傾向が見られる。
本発明は、例えば、積層型チップコンデンサの誘電体層の形成材料に用いられるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)の製造分野に利用可能である。
図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図である。 図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための斜視図である。
符号の説明
1…積層型チップコンデンサ
2…素子本体
7…誘電体層
11,15…外部電極
23,28…内部電極層

Claims (7)

  1. 正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する原料準備工程と、
    これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する混合工程と、
    混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする仮焼き工程と、を有する正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、
    前記仮焼き工程は、徐々に仮焼き温度を上げていく第1段階としての昇温部と、昇温した後に一定の高温を保持する第2段階としての高温保持部と、保持されていた高温を徐々に温度降下させていく第3段階としての降温部とを有し、
    前記第1段階としての昇温部における処理雰囲気中にのみ二酸化炭素(CO2)が導入され、第2段階としての高温保持部および第3段階としての降温部における処理雰囲気は、空気雰囲気であることを特徴とする正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
  2. 前記第1段階としての昇温部における処理雰囲気中に導入される二酸化炭素(CO2)は、炉内雰囲気を完全置換するように導入される請求項1に記載の正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
  3. 前記二酸化炭素(CO2)の導入開始時期は、昇温部の温度が室温〜650℃の温度範囲内である請求項1または請求項2に記載の正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
  4. 前記主原料粉末がABO3(AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種であり、BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種)で表される正方晶ペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
  5. 前記正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末がチタン酸バリウム粉末であり、前記主原料粉末がチタン化合物およびバリウム化合物である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
  6. 前記主原料粉末のバリウム化合物が炭酸塩を含有してなる請求項5に記載の正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
  7. 前記正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサの誘電体層を形成するために用いられる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の正方晶ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
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