JP4808364B2 - 昇温してファイバーを延伸するためのオーブン - Google Patents
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Description
本発明は、昇温してファイバーを延伸するためのオーブンに関するものであり、該オーブンは、オーブン中のファイバーにジグザグに上下した軌道を与えるガイドロールが互いに対向した2つの面上に装備されているものである。また本発明は、本発明のオーブンを用いるファイバー延伸方法に関するものであり、特に、高配向ポリエチレンファイバーの製造方法に関するものである。
【0002】
上記のようなオーブンはChemiefasern Textilindustrie, Januar 1985から知られている。この文献は、互いに対向した2つの面上に2つのガイドロールを有するオーブン中でポリエチレンゲルファイバーが延伸され、オーブン中においてガイドロールがゲルアフィバーをジグザグに上下に通過させることをスキーム的に記載している。オーブン中をジグザグに通すことの目的は、制限された空間中で長い延伸軌道を得ることである。かかるオーブンのもう1つの例は、EP−A−205,960の実施例4に記載されている。この例は3回横断経路を有する「マルチパス(multi-pass)」オーブンを記載しており、延伸軌道は合計12メートルに及ぶ。延伸軌道の始めと終わりに延伸デバイスがあり、それらは始めと終わりの延伸デバイスのスピード比により決定される特定の延伸比にまでファイバーを延伸する。延伸デバイスはファイバーに速度と応力を与えることのできるものである。なぜなら、いくつかの外被がある結果、ファイバーとデバイスとの間に十分な摩擦抵抗が存在するからである。
【0003】
既知オーブンの欠点は、それが商業的に魅力のある工業的規模での使用に関して非常に魅力がないということである。ファイバーに高い延伸比を与え、許容される生産能を伴って1工程にて高配向ファイバーを得ることは可能ではない。EP−A−205,960において、延伸応力および延伸温度を増大させ、延伸速度を低下させて、いくつかの延伸工程がこの目的を連続的に解決しようとしている。工業的規模において技術的および経済的な魅力がないので、これを行なうことは困難である。高温における延伸中にファイバーがロールに及ぼす力はベアリングの磨耗およびベアリングの摩擦の気付かないドリフトを引き起こす。ベアリングの摩擦の問題は延伸条件の気付かない変化を誘発し、紡錘糸の断裂および生産能の低下を引き起こす。知られているオーブンもまた、非常に低いクリープ速度を有するファイバーを許容できる生産能で得るには特に不適である。もう1つの欠点は工業的規模で生産する際に、ガイドロールがディメンションを有する結果、ガイドロールの質量慣性のため延伸工程をゆっくりと立ち上げる必要があり、結果としてファイバーおよび生産能が低下するということである。
【0004】
本発明の目的は、上記欠点を有しない、あるいはそれらの欠点をより少ない程度で有する延伸オーブンを提供することである。
【0005】
本発明によりこの目的が達成される。なぜなら延伸軌道が少なくとも20メートルの長さであり、ガイドロールが駆動されるからである。
【0006】
本発明のオーブンを用いると、生産能を高めつつ単一の延伸工程で高い延伸比を得ることが可能となる。非常に低いクリープ速度でファイバーを生産することが可能である。本発明の延伸方法は安定であり、タイタースプレッド(titre spread)があまり起こらず、ベアリングの摩擦におけるドリフトの結果としての損失がない。本発明の延伸方法は、規格外の製品ができるのを最小限にしつつ迅速に立ち上げることができる。
【0007】
好ましくは、ガイドロールは電気モーターで駆動される。好ましくは、各ガイドロールの周速度をセットし、別々に制御することのできる制御システムを使用する。各ガイドロールが駆動される速度を選択して、ファイバーとガイドロールとの間にスリップが生じないようにする。本発明の好ましい具体例において、ガイドロールの駆動機構の消費パワーを決定するためのデバイスを延伸オーブンに装備する。この利点は、パワー消費に基づいて、ベアリングの摩擦のドリフトを不慮の紡錘糸断裂前の時間内に観察することができる。好ましくは、各ガイドロールの速度を選択して、延伸プロセスにおけるガイドロールの消費パワーができるだけ低くなるようにする。延伸中のパワー消費とファイバー不存在時の同じオーブンセッティングにおけるパワー消費とを比較することにより、各ロールについて別個にこのパワー消費を決定することができる。この利点は、ファイバーとガイドロールとの間のスリップが防止され、延伸プロセスがより安定なものとなることである。
【0008】
好ましくは、ガイドロールは筒状であり、少なくとも20cmの長さである。この利点は、数本のファイバーが互いに隣り合って延伸されうることである。好ましくは、長さは50cm、より好ましくは1メートルよりも長い。多数のファイバーがかかる長いガイドロール上で同時に延伸される場合、ガイドロールが延伸応力により曲がり、ファイバーが定位置から移動するという問題が生じることがわかっている。ベアリングが一方の面上にしかない場合には、ファイバーはロールからはずれる。ベアリングが2つの面上にある場合には、ファイバーはロールの中央部にある。好ましくは、延伸中のロールの曲がりは0.1%未満である。本明細書において「ロールの曲がり」は、正常な応力のない条件と比較して紡錘糸の応力の影響下にある機体軸の偏りをロールの長さで割ったもの(100倍して%とする)であると理解される。好ましくは、ガイドロールの半径は少なくとも2cmであり、より好ましくは少なくとも5cmである。したがって、ロールの曲がりはより少なくまり、特に、太いフィラメントまたはマルチフィラメント紡錘糸の場合において延伸の均一性がより高まるであろう。
【0009】
好ましくは、本発明のオーブン中の延伸軌道の長さは少なくとも50mである。より好ましくは、延伸軌道の長さは少なくとも75m、さらに好ましくは少なくとも100m、最も好ましくは125mより長いものである。1の利点は、許容される生産能を保持しつつ、より高い延伸比が1工程で得られることである。次いで、駆動されるガイドロールの数を選択して、オーブンのディメンションが許容限界内に維持されるようにし、ガイドロール間でファイバーがたるまないようにする。好ましくは、ガイドロール間の距離は2mよりも長く、好ましくは5mよりも長く、しかしながら20メートル未満であり、より好ましくは15メートル未満であり、さらに好ましくは10メートル未満である。
【0010】
好ましくは、オーブン中での加熱は熱せられたガスにより行なう。好ましくは、加熱されたガスの流れを放出するためのデバイスをオーブンに装備する。好ましくは、ガスの流れの方向は、好ましくは、ガイドロール間のファイバーの主移送方向に対して実質的に直角の角度をなす。この利点は、オーブン中の温度分布がより良好に明確化され、ファイバーから放出された物質が出ていくことである。もう1つの具体例において、ガスの流れを加熱または冷却して、移送方向に対して直角方向に温度勾配を作り出すためのデバイスをオーブンに装備し、その結果、特に、ファイバーが軌道の始めよりも軌道の終わりにおいてより高いあるいはより低い温度を有する。これらのデバイスは、例えば、熱交換器あるいはガス送風機である。
【0011】
さらにもう1つの具体例において、オーブンは、ファイバーの移送方向に対して実質的に直角方向のガスの流れを作り出すための2またはそれ以上のデバイスを有し、各デバイスにおいてガスの流れの温度を別個にセットできるものである。好ましくは、これらのデバイスは、ファイバーの移送方向において互いに隣り合って配置される。かくして温度勾配をファイバーの移送方向において作出することができる。これらのデバイスは、例えばガス加熱デバイスおよびブロウ−イン(blow-in)デバイスからなる。
【0012】
本発明のオーブンの特別な具体例において、ガス流れを精製するためのガス精製装置をオーブンに装備する。この具体例は、昇温して延伸する間に放出される揮発性成分を未だ含有しているファイバーを延伸する場合に特に有利である。それによりオーブンが乾燥オーブンとして適したものなる。
【0013】
好ましくは、オーブンは、ガスの流れが作出される面とは反対側の面上に、ガスの流れをガス精製装置に誘導するためのデバイスを含む。
【0014】
本発明は、本発明の上記オーブンを使用してファイバーを延伸する方法、ならびにそれにより得られるファイバーにも関する。また本発明は、本発明のオーブンを用いて、溶媒を含有するファイバーを乾燥させ、同時に延伸する方法にも関する。好ましくは、ファイバーから除去された溶媒はガス精製装置に回収される。後者の方法において、好ましくは、ファイバーの移送方向に対して直角方向の温度勾配がオーブン中に作出され、温度は延伸軌道の始めよりも終わりにおいて高い。
【0015】
詳細には、本発明は、低配向ポリエチレン前駆体ファイバーを、135ないし160℃、少なくとも2.5の延伸比で単一工程にて延伸して、少なくとも1000g/denの弾性率および少なくとも30g/denの強度を有する高配向ポリエチレンファイバーを得ることを特徴とする、高配向ポリエチレンファイバーの製造方法に関する。
【0016】
EP−A−205,960に記載の方法に優る該方法の利点は、該方法がより労力を必要とせず、特に大規模な工業的規模で使用した場合に経済的により魅力的なことである。好ましくは、延伸比は少なくとも3、より好ましくは少なくとも3.5、さらに好ましくは少なくとも4、最も好ましくは少なくとも4.5である。
【0017】
本明細書において「低配向」は、500g/denの引張り係数および20g/denの引張り強度を有することと理解される。好ましくは、本発明の方法において低配向の前駆体ファイバーは150ないし500g/denの引張り係数および5g/denないし20g/denの引張り強度を有する。温度勾配を延伸前駆体ファイバーに適用することができる。実際的には、好ましくは、延伸温度はオーブンのすべての部分において実質的に同じであろう。なぜならより安定なプロセスが得られるであろうからであり、すなわち、紡錘糸の断裂の危険性がより少なくなるであろうからである。
【0018】
好ましくは、上記のごとく本発明のオーブン中でポリエチレン前駆体ファイバーを延伸する。この1の利点は単一工程にて、工業的規模において、低配向の前駆体ファイバーから出発して良好な生産性を伴って、高配向ポリエチレンファイバーを得ることができることである。良好な耐クリープ性を得ることができる。「良好な耐クリープ性」は、約0.4%/h未満、好ましくは0.2%/h未満、最も好ましくは0.1%/h未満のプラトークリープ速度(71℃、270MPaにおいて)であると理解される。他の好ましい具体例および利点は上の延伸オーブンの説明において記載した。
【0019】
引張り強度(強度)および引張り係数(係数)が定義され、それらは500mmのファイバーのクランピング長(clamping length)、50%/分のクロスヘッド速度およびInstron 2714クランプを用いてASTM D885Mに記載のごとく決定される。先ずファイバーを31rpmで対にする。測定された応力−伸び曲線から0.3%伸長ないし1%伸長の間の勾配として係数を推定する。測定された引張り力をタイター(10mのファイバーを秤量することにより決定)で割ることにより係数および強度を計算する。
【0020】
本発明方法の特に好ましい具体例において、溶媒を含有するポリエチレンゲルファイバーを乾燥させ、同時に延伸することにより前駆体ファイバーを製造する。この方法において、ファイバーの温度はオーブン中のファイバー軌道のすべての部分において、好ましくは製造されるファイバーの融解温度よりも10℃低い温度よりも低い。このことにより、紡錘糸断裂の危険性がより少なくなり、より効果的な鎖の方向付けが起こる。「融解温度」は、拘束されない試料において10℃/分の速度で加熱した場合にDSCにおいて測定されるピーク融解温度であると理解される。
Claims (17)
- 昇温してファイバーを延伸するためのオーブンであって、オーブン中のファイバーにジグザグに上下した延伸軌道を与えるガイドロールが互いに対向した2つの面上に装備されており、延伸軌道が少なくとも20メートルの長さであり、ガイドロールが駆動されることを特徴とするオーブン。
- ガイドロールが筒状であり、少なくとも20cmの長さを有し、数本のファイバーがガイドロール上を互いに隣り合って通過しうることを特徴とする請求項1記載のオーブン。
- 延伸中のロールの曲がりが0.1%未満であることを特徴とする請求項2記載のオーブン。
- 延伸軌道が少なくとも50mであり、オーブンが少なくとも4つのガイドロールを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーブン。
- 駆動機構の消費パワーを決定するためのデバイスが駆動されるガイドロールに装備されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオーブン。
- ガイドロール間のファイバーの移送方向に対して実質的に直角の方向のガスの流れを作出するためのデバイスが装備されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオーブン。
- ガスの流れを加熱あるいは冷却して、移送方向に対して直角の方向の温度勾配を作出するためのデバイスが装備されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオーブン。
- ガス精製装置がオーブンに装備されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオーブン。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のオーブンを使用するファイバー延伸方法。
- 請求項8記載のオーブンを使用し、ファイバーから除去された溶媒がガス精製装置に回収されることを特徴とする、溶媒を含有するファイバーを乾燥させ、同時に延伸する方法。
- 請求項7および8に記載のオーブンを使用し、オーブン中にファイバーの移送方向に対して直角方向の温度勾配が作出され、延伸軌道の始めよりも終わりにおいて温度が高いことを特徴とする請求項10記載の方法。
- 低配向ポリエチレン前駆体ファイバーが、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のオーブンにおいて、135ないし160℃の温度、少なくとも2.5の延伸比で単一工程にて延伸されて、少なくとも1000g/denの引張り係数および少なくとも30g/denの強度を有する高配向ポリエチレンファイバーを得ることを特徴とする、高配向ポリエチレンファイバーの製造方法。
- 前駆体ファイバーが150g/denないし500g/denの引張り係数および5g/denないし20g/denの引張り強度を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
- 延伸温度がオーブンのすべての部分において実質的に同じであることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
- 請求項10または請求項11に記載の溶媒含有ポリエチレンゲルファイバーの乾燥および同時の延伸により前駆体ファイバーが製造されることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
- オーブン中のファイバーの軌道のすべての部分においてファイバーの温度が、製造される低配向前駆体ファイバーの融解温度よりも10℃低い温度よりも低いことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
- オーブンのすべての部分においてガスの温度が、製造されるファイバーの融解温度よりも10℃低い温度よりも低いことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
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