図1は本発明の一実施形態の抵抗変化機能体100の概略断面構造を示している。この抵抗変化機能体100は、第1の電極111と第2の電極112との間に挟まれた絶縁体101中に、上記第1、第2の電極111,112間の電気抵抗が変化するように設けられたナノメートルサイズの複数の導電性微粒子102を含んでいる。この微粒子102を含んだ絶縁体101を微粒子含有体113と呼ぶ。
なお本発明による抵抗変化機能体は、メモリ機能体として用いることもできるので、適宜、メモリ機能体と呼ぶことがある。
この抵抗変化機能体100は、図3(関連する図3A〜図3Dを総称して図3と呼ぶ。他の図でも同様。)に示す工程にしたがって次のようにして作製されている。
この例では、半導体産業で用いられている既存の装置を用いて作製できるように、基板300としてシリコン基板、絶縁体101の材料としてシリコン酸化膜、導電性微粒子102の材料として銀を用いるものとする。
i) まず図3Aに示すように、シリコン基板300の表面に熱酸化工程により絶縁体としてシリコン酸化物101を形成する。この例では、形成されたシリコン酸化物101の膜厚は約50nmであった。なお、本実施の形態ではシリコン基板300は第2の電極112として用いられる。このような工程であれば工程数が少なくて済む。
ii) 次に図3Bに示すように、シリコン酸化膜101中に銀303を負イオン注入法により導入する。
ここで、注入エネルギは、あまりに高すぎると、注入される銀の分布が広がりすぎて数百nm以下の薄膜101への注入に相応しくなく、また膜101へダメージを与えて欠陥を生じてしまう。このため、注入エネルギは、100keV未満、より好ましくは50keV未満に設定するのが好ましい。
また、注入ドーズ量は、あまりに多いと、微粒子の粒径が大きくなりすぎ、また膜101へのダメージも多くなる一方、少なすぎると微粒子密度が小さくなりすぎてしまう。このため、注入ドーズ量は、1×1012/cm2より多く、かつ1×1020/cm2より少なく設定するのが好ましく、例えば1×1013/cm2より多く、かつ1×1017/cm2より少なく設定するのが、より好ましい。
この例では、注入エネルギは約30keV、ドーズ量は約1×1015/cm2に設定した。最も好ましい設定量は材質や膜厚、狙いとする粒径や密度などで異なるが、注入濃度が0.1%未満だと形成される微粒子の大きさが小さすぎたり、密度が低すぎたり、あるいは形成に時間がかかり過ぎたりし、注入濃度が20%を越えると形成される微粒子の大きさが大きすぎたり、密度が高すぎたりするので、おおむね注入濃度が0.1%〜20%になるような値に設定するのが好ましい。この例では最も濃度が高いところでおおよそ1%程度になるように設定した。
また、上述のように、この例では、イオン注入法として負イオン注入法を採用している。負イオンを用いて注入した場合、正イオンの場合のように注入を受ける材料(この例ではシリコン酸化膜101)の表面電位が正イオンの加速電圧近くまで上昇することなく、数ボルト程度の非常に低い値に収まる。すなわち、正イオン注入の場合は、正の電荷のイオンが材料表面に入射し、負の電荷の二次電子が放出されるため材料表面は正に帯電する一方であり、最終的に正イオンの加速電圧まで上昇する。これに対して、負イオン注入の場合は、負の電荷のイオンが入射し負の電荷の二次電子が放出し、表面電位は±数ボルト程度に収まる。したがって、正イオン注入に比べ実効的な加速電圧の変動が少なくなるため、注入深さのばらつきを抑制することが可能となる。また、注入を受けるシリコン酸化膜101やそれを支持する基板300が殆ど帯電しないので、絶縁破壊等による欠陥の発生を抑制することが可能となる。
iii) 次に、熱処理を行って、注入元素(この例では銀)を凝集または拡散させる。これにより、図3Cに示すように、シリコン酸化膜101中に銀からなる所定の粒径の微粒子102を抵抗変化効果が起こるような所定の密度に形成するとともに、本実施例ではシリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に微粒子102を分布させることもできる。また、イオン注入時に発生した欠陥を修復する。
この熱処理の温度は、低すぎると効果がないが、あまりに高温であると注入元素が拡散、溶融するため、微粒子を形成できない。したがって、熱処理の温度は、200℃より高く、かつ注入元素の融点未満に設定するのが好ましい。また、熱処理の時間は、一定温度であっても長くすればその温度での効果は増大するが、あまりに長いと、粒径が過度に大きくなる場合や、注入元素が微粒子を形成すべき領域外まで拡散する場合がある。このため、熱処理時間は、24時間より短く設定するのが好ましい。
例えば通常の熱処理炉を用いる場合は、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気中で、熱処理の温度を300℃〜900℃の範囲内に設定するのが好ましい。この例では、アサヒ理化製作所製のセラミクス電気管状炉を用い、アルゴン雰囲気中で、約700℃の温度で約1時間の熱処理を行った。
iv) この後、図3Dに示すように、この微粒子102を含んだシリコン酸化膜101上に、第1の電極111を形成する。
この第1の電極111の材料は、金属または半導体、さらには、導電性を有する限り、有機物質であっても良い。第1の電極111を形成する方法としては、CVD(化学気相成長法)や蒸着、MBE(分子線エピタキシ法)などを採用できる。
この例では、蒸着によって、第1の電極111としてAl膜を形成した。
このようにして作製した抵抗変化機能体100の、微粒子102を含んだシリコン酸化膜101、つまり微粒子含有体113を断面TEM観察によって調べた。その結果、図1Aに示すように、イオン注入された銀が凝集して、粒径が約3nm程度以下のナノメートルサイズの微粒子102となっていることが分かった。また、設定した注入エネルギ(銀イオンの加速エネルギ)から予想される深さを中心として、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に微粒子102を分布させることができた。なお、厚さ方向V1,V2に関する微粒子102の分布については、後に詳述する。
このようにイオン注入によれば、絶縁体101中に導電性微粒子102を一度の処理で短時間に高密度に形成できるとともに、絶縁体101の厚さ方向V1,V2に導電性微粒子102を分布させることができる。しかも、イオン注入によれば、導電性微粒子102を形成するためにフォトリソグラフィやエッチングなどの微細加工技術を要しない。したがって、生産性に優れる。
また、この例では、絶縁体101中に導電性微粒子102を形成するための物質を負イオン注入法により注入しているので、注入時に上記絶縁体101やそれを支持する基板が帯電するのを抑制できる。したがって、注入エネルギを正確に制御でき、注入ばらつきを抑制できる。また、帯電が抑制されるので、帯電によって絶縁体101が破壊して欠陥が生じるのを抑制できる。これらの結果、抵抗変化機能体100の信頼性を向上させることができる。
図2は、上述の方法で作製した抵抗変化機能体100の常温(25℃)における電流対電圧(I−V)特性のグラフを示している。
この特性は、第2の電極112(シリコン基板300)を接地し、第1の電極111に電圧を印加して、第1の電極111に流れる電流を観測したものである。まず電圧を高い方から低い方へ連続的に変化させると、図2中に矢印S1で示すように、クーロンブロッケイド効果特有の階段状の変化を示しながら、電流が減少した。続いて、折り返し、電圧を高い方へ連続的に変化させると、図2中に矢印S2で示すように、クーロンブロッケイド効果特有の階段状の変化を示しながら、電流が増加した。図2から分かるように、この電流対電圧(I−V)特性にはヒステリシスも現れている。
第1の電極111と第2の電極112との間に十分な電位差を与えた場合、電流は主に、ほぼ直線上に配置された一連の微粒子を介した経路を流れる。ここで、その他の微粒子に1個乃至数個の電荷が蓄積され、その蓄積された電荷によって、前記一連の微粒子を介した電流経路中の電子に対してクーロン相互作用が及ぼされる。
前記その他の微粒子に蓄積される電荷の有無や多寡によって前記一連の微粒子の少なくとも一個のポテンシャルを変化させる。したがって、電流の流れ易さ、つまり電気抵抗を容易に階段状に変化させることができる。
この理由を、図1Cを用いて次に詳しく考察する。図1Cは、図1Bに示した微粒子含有体113のうち、4個の導電性微粒子102を含む単位領域114を拡大して模式的に表している。この単位領域114には、4個の導電性微粒子102が互いに隣り合い、かつ互いに離間した状態で含まれている。4個の導電性微粒子102のうち第1の微粒子121が第1の電極111に対して最も近くに位置し、第2の微粒子122が第2の電極112に対して最も近くに位置する。残りの第3の微粒子123、第4の微粒子124は、第1の電極111と第2の電極112とが対向する方向(図において上下方向であり、絶縁体101の厚さ方向に相当する。)に関して、それぞれ第1の微粒子121と第2の微粒子122との間に位置している。
ここで、第1の微粒子121と第3の微粒子123との間隔をd13、第2の微粒子122と第3の微粒子123との間隔をd23、第1の微粒子121と第4の微粒子124との間隔をd14、第2の微粒子122と第4の微粒子124との間隔をd24とする。このとき、d13<d14かつd23<d24なる関係が満たされている。また、第3の微粒子123と第4の微粒子124との間隔をd34としたとき、d13>d34かつd23>d34なる関係が満たされている。
第1の電極111と第2の電極112との間に十分な電位差を与えた場合、この単位領域114では、電流は主に、ほぼ直線上に配置された第1の微粒子121と第3の微粒子123と第2の微粒子122とを介した経路を流れる。ここで、第4の微粒子124に1個乃至数個の電荷が蓄積され、その蓄積された電荷によって、第1の微粒子121と第3の微粒子123と第2の微粒子122とを介した電流経路中の電子に対してクーロン相互作用が及ぼされる。
しかも、第4の微粒子124は、第1、第2の微粒子122に比して第3の微粒子123に近い位置、つまり主な電流経路から少しだけ横方向に離れた比較的近い位置に存在する。したがって、第4の微粒子124に電荷を出し入れし易くなる。また、第4の微粒子124が第3の微粒子123に近い位置に存在するので、第4の微粒子124に蓄積される電荷の有無や多寡によって第3の微粒子123のポテンシャルを変化させ易い。したがって、単位領域114における電流の流れ易さ、つまり電気抵抗を容易に階段状に変化させることができる。
このような単位領域114が絶縁体101中に複数存在する結果、マクロなレベルで第1、第2の電極111,112間の電気抵抗が階段状に変化したと思われる。また、図2の電流対電圧(I−V)特性で、電圧を低くするとき(S1)と高くするとき(S2)との間で各単位領域114で第3の微粒子123のポテンシャルが変化した結果、ヒステリシスが現れたと思われる。
なお、第3の微粒子123と第4の微粒子124との間隔d34が大きすぎると、電流経路に与えるクーロン相互作用は極めて弱いものとなり、実質的に無視できる程度となる。d13>d34かつd23>d34の場合、微粒子124に捕獲された電子による電流経路になっている微粒子への影響は大きいと推定され、ヒステリシスの増大が見込まれる。
また、ヒステリシスの発生原因は、微粒子群の中で極微小な粒径の微粒子が電流の影響により拡散消滅、または凝集大型化した結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。その他、ジュール熱による熱エネルギにより、微粒子から電子が放出された結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。
この抵抗変化機能体100は、ヒステリシス効果を利用して、電流の大小を読み出すことで2値データを判別し、メモリとして使用することが可能である。また、本発明の抵抗変化機能体は、電子の捕獲をするため電荷保持機能体と言い換えることもできる。
なお、本抵抗変化機能体100の第1、第2の電極111,112間に過剰な電圧を印加した場合、電流値が著しく増大した。これは絶縁体101中に含まれる微粒子102が変化したため、あるいは微粒子102,102間の絶縁体101が絶縁破壊をおこしたためと思われる。ただし、微粒子102,102間の絶縁体101はトンネル障壁であるので絶縁破壊をおこしにくいことから、ジュール熱により微粒子102が拡散または凝集したか、電流によるマイグレーションため微粒子102の状態が変化した可能性が高いと思われる。
また、通常の絶縁膜等の絶縁破壊を利用するヒューズメモリでは、その絶縁膜等を絶縁破壊させるために高電圧を必要とする。これに対して、微粒子含有体113を利用する本抵抗変化機能体100では、微粒子102,102間の実質的な絶縁膜厚は薄く、また微粒子102,102間はトンネル可能な絶縁膜厚が大部分であるから、従来のヒューズメモリに比べて低電圧で書き込み動作が可能になる。したがって、本抵抗変化機能体100は、低電圧で使用できるヒューズメモリとして用いることも可能である。
この例では、作製した微粒子102の粒径は、TEM観察の範囲においてほぼ3nm以下であった。なお、同様の方法を用いて微粒子の粒径がほぼ6nm以下、ほぼ10nm以下の試料も作製した。そのような試料のI−V特性を測定したところ、微粒子の粒径が大きくなるにつれて、I−V特性のグラフにおける階段形状やヒステリシスは小さくなり、室温よりも低温であっても、不明瞭になる傾向が観測された。したがって、ヒステリシスを得るために要求される微粒子102の粒径は11nm以下、好ましくは7nm以下、より望ましくは4nm以下であることがわかった。
一方、熱処理温度を上げることによって微粒子102の粒径をさらに縮小し、TEM観察の範囲においてほぼ1nmに満たない粒径で、0.4nm未満の微粒子が多数を占めるような試料も作製した。そのような試料のI−V特性を測定したところ、I−V特性グラフにおける階段形状やヒステリシスは室温では明確には観測できなくなった。この理由は、銀イオンが絶縁膜全体に拡散したことによって、絶縁膜101の電気的な絶縁性が低下したためだと推測される。このときのイオン注入濃度は1×1015ions/cm2であり、絶縁膜101の膜厚は約50nmであった。したがって体積濃度は約2×1020ions/cm3となる。
この結果、微粒子102の粒径が0.2nm以上であることが好ましく、さらには0.4nm以上であることが好ましく、1nm程度がより好ましい。さらに微粒子が存在しない、または粒径が0.4nm未満の個所での濃度は約2×1020ions/cm3以下であることが好ましいことがわかった。
なお、既述のように、好ましくはクーロンブロッケイド効果を用いることが望まれる。クーロンブロッケイド効果が顕著になるには、微粒子102の容量を考えた場合、電荷を離脱させるために必要なエネルギが周囲温度による熱エネルギと比較して十分大きくなければならない。そのためには微粒子102を完全導体球と仮定したとき微粒子102の半径は0.5nm〜1nm程度であろうと推定される。なお、微粒子102の粒径が小さくなるにつれてクーロンブロッケイド効果自体は顕著になるが、微粒子102の粒径が小さすぎると第1、第2の電極111,112間に高電圧が必要となるため、デバイス応用の観点からは好ましくない。
また、シリコン酸化膜101中に導電性微粒子102を形成するために負イオン注入を行っているので、作製後のシリコン酸化膜101は単一熱酸化膜と同等の品質を維持しており、非常に信頼性が高いものとなった。また、CVDなどに比して、処理時間が短くなり、生産性に優れる。
また、負イオン注入によれば、既述のように帯電による微粒子のばらつきを抑えられるので、シリコン酸化膜101の厚さ方向に関して微粒子102の分布がばらつくのを抑制できる。したがって、微粒子含有体113を薄膜化することができ、微細化が可能になる。そのように微粒子含有体113を薄膜化した場合、第1、第2の電極111,112間に同じ電圧を加えても微粒子含有体113に印加される実効電場が強くなる。したがって、抵抗変化機能体100を動作させるための電圧を低電圧化することが可能となり、生産性および低消費電力性に優れる。
図1Aに模式的に示したように、シリコン酸化膜101中の微粒子102を構成する銀元素の濃度は一様ではなく、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に、微粒子102を構成する銀元素の濃度が高い領域に連なって銀元素の濃度が低い領域がそれぞれ存在する。同様に、シリコン酸化膜101中の微粒子102の密度は一様ではなく、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に、微粒子102の密度が高い領域に連なって微粒子102の密度が低い領域が存在する。同様に、シリコン酸化膜101中の微粒子102のサイズは一様ではなく、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2に、微粒子102のサイズが大きい領域に連なって微粒子102のサイズが小さい領域が存在する。これらの場合、シリコン酸化膜101の厚さ方向V1,V2、つまり第1の電極111と第2の電極112とが対向する方向に関して、電流が過度に流れにくかったり、過度に流れ易くなったりすることを抑制することができる。したがって、抵抗変化機能体100の特性が安定する。
また、負イオン注入の際に斜め注入を行えば、シリコン酸化膜101の厚さ方向に関して微粒子102の分布の広がりを抑制することができる。したがって、微粒子含有体113を薄膜化することができ、微細化に適する。
図4は上記抵抗変化機能体100の第1の電極としてAl膜を蒸着しパターン化してなる電極411を備えた態様を示し(この電極411には図示しない電源および電流センサが接続されている。)、図5はこの電極411を備えた抵抗変化機能体100の常温(25℃)における電流対電圧(I−V)特性のグラフを示している。このグラフを用いて、上記抵抗変化機能体100をメモリとして用いた時の記憶状態を判別する動作を説明する。
この特性は、図2におけるのと同様に、シリコン基板300を接地し、第1の電極411に電圧を印加して、第1の電極411に流れる電流を観測したものである。まず電圧を高い方から低い方へ連続的に変化させると、図5中に矢印S1で示すように、クーロンブロッケイド効果特有の階段状の変化を示しながら、電流が減少した。続いて、折り返し、電圧を高い方へ連続的に変化させると、図5中に矢印S2で示すように、クーロンブロッケイド効果特有の階段状の変化を示しながら、電流が増加した。図5から分かるように、この電流対電圧(I−V)特性にはヒステリシスも現れている。
ここで、例えば図5中に示すように書込電圧をVw、消去電圧をVeとする。そして、メモリウィンドウ(ヒステリシス)の中央になるように書込状態と消去状態とを判別するための読出電圧をVr、判別基準となる電流値をIjに設定する。電圧Vrを印加したときの電流の大きさを読み取り、その電流の読取値とIjとの大小関係で記憶状態を判別する。例えばその電流の読取値がIjよりも大きければ消去状態(論理0)、その電流の読取値がIjよりも小さければ書込状態(論理1)と判別する。
このように、この抵抗変化機能体100は少なくとも2値以上のメモリとして用いることが可能である。以下、抵抗変化機能体をメモリ機能体と呼ぶことがある。
図6Aは、メモリ機能体604(既述の微粒子含有体113と同じ物)を選択するための選択トランジスタ601が上記メモリ機能体604と電気的に著列に接続され、シリコン基板600上に集積化された態様を模式的に示している。選択トランジスタ601は通常のMOSトランジスタであり、シリコン基板600の表面に互いに離間して形成されたドレイン領域602およびソース領域603と、それらの間の基板表面を覆うゲート酸化膜608およびゲート電極609を含んでいる。なお、コンタクト605,606がそれぞれドレイン領域602、ソース領域603に接続されている。
この例では、選択トランジスタ601のドレイン602につながるコンタクト605の一部としてメモリ機能体604が設けられている。具体的には、図6Bはドレイン領域602に接するようにメモリ機能体604を備えた例であり、図6Cはビットライン626のメタル配線に接してメモリ機能体604を備えた例であり、図6Dはコンタクト605の途中にメモリ機能体604を備えた例である。
図7は、上述のメモリ機能体と選択トランジスタとを含むメモリセルMを行列状に備えたメモリの回路構成を示している。ワードラインW、ビットラインBがそれぞれ行方向、列方向に延びている。各メモリセルMのメモリ機能体604と選択トランジスタ601は、対応するビットラインBとグランド(接地)との間に直列に接続されている。
例えばメモリセルM(320)を選択するとき、それに接続されたワードラインW(300)に選択トランジスタの閾値電圧以上の電圧VHを印加し、その他のワードラインW(100),W(200),W(400)には0V(接地電位)を与える。かつ、メモリセルM(320)に接続されたビットラインB(020)に書き込み、読出し、消去に必要な電圧Vbを印加し、その他のビットラインB(010),B(030),B(040)にはたとえ選択トランジスタがON状態であっても、書き込み、消去が行われない電圧、例えば0Vを与える。
このようにすれば、メモリセルM(320)のメモリ機能体604には電位差約Vbの電圧が印加されメモリ動作が行われる。その他のメモリセルでは選択トランジスタ601がOFF状態であるか、選択トランジスタ601がON状態であってもビットラインBの電位が0Vであるのでメモリ機能体には電圧が加わらずメモリ動作は行われない。
図8は、上述のメモリ機能体604と選択トランジスタ601とを含むメモリセルMを行列状に備えたメモリの回路構成を示している。この例では、行方向に隣り合うメモリセルMの間でメモリ機能体604と選択トランジスタ601との配置が対称(逆)になっており、各メモリセルMのメモリ機能体604と選択トランジスタ601は、対応するビットラインBとソースラインSとの間に直列に接続されている。
例えばメモリセルM(320)を選択するとき、それに接続されたワードラインW(300)に選択トランジスタの閾値電圧以上の電圧VHを与え、その他のワードラインWには0V(接地電位)を与える。かつ、メモリセルM(320)に接続されたビットラインB(020)に書き込み、読出し、消去に必要な電圧Vbを印加し、ソースラインS(010)にはメモリセルM(310)が書き込みまたは消去動作しない電圧、例えば電圧Vbを与える。その他のビットラインB(040)およびソースラインS(030),S(050)にはたとえ選択トランジスタがON状態であっても、書き込み、消去が行われない電圧、例えば0Vを与える。
このようにすれば、メモリセルM(320)のメモリ機能体604には電位差約Vbの電圧が印加されメモリ動作が行われる。その他のメモリセルでは選択トランジスタ601がOFF状態であるか、選択トランジスタ601がON状態であってもビットラインBとソースラインSとの間の電位差が0Vであるので、メモリ機能体には電圧が加わらずメモリ動作は行われない。
図9Aは、上述のメモリ機能体と選択トランジスタとが直列接続されたタイプの複数のメモリセルM1,M2,M3,…をシリコン基板900上に集積化した一態様のメモリの断面構造を示している。各メモリセルMの選択トランジスタは、シリコン基板900の表面に互いに離間して形成されたドレイン領域903およびソース領域907と、それらの間の基板表面を覆うゲート酸化膜908およびゲート電極909を含んでいる。隣り合うメモリセルは基板900と平行な方向(図9における左右方向)に関して対称に構成されている。メモリセルM1,M2のソース領域907は一体に連続して形成され、このソース領域907上に1つのソースコンタクト902が形成されている。つまり、メモリセルM1,M2間でソースコンタクト902が共有されている。メモリセルM2,M3のドレイン領域903,903は左右に離間して分離され、それらのドレイン領域903,903上にまたがって1つのメモリ機能体904(既述の微粒子含有体113と同じ物)と1つのビットコンタクト901が形成されている。つまり、メモリ機能体904は2つのドレイン領域903,903に接するように、左右方向に一体に連続して形成されている。また、メモリセルM2,M3間でビットコンタクト901が共有されている。ビットコンタクト901には対応するビットライン926が接続されている。
この構成では、メモリ機能体904のうちメモリ動作を行うのは、図9Bに示すように、ビットコンタクト901とドレイン領域903,903との間に挟まれて電圧が印加される領域905,905に限られる。メモリ機能体904は導電性微粒子を含有するとはいえ、基本的には絶縁体であるから、メモリ機能体904のうち有効な電圧が印加されない残りの部分(領域905,905の間に相当する部分)は、メモリ動作をしない。
したがって、このメモリでは、メモリ機能体904は2ビットメモリ機能体として働く。このため、個々のドレイン領域903上にそれぞれ1つのメモリ機能体を形成する場合に比べ、メモリ機能体904の占有面積は約半分になる。また、ビットコンタクト901、ソースコンタクト902の数も約半分に減少させることができる。したがって1セルあたりの占有面積が減少し集積度が向上する。
図10A,図10Bはそれぞれ図9に示したメモリの変形例を示している。なお、既に示した図中の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付して、説明を省略する(以下同様。)。
これらの変形例では、隣り合うメモリセルM2,M3のドレイン領域903,903は、基板900の表面に形成された断面矩形のトレンチ(溝)1003によって左右に分離されている。トレンチ1003を定める基板壁面(トレンチの内壁)に沿って絶縁膜1001が断面コの字状に形成され、絶縁膜1001の内側は例えばポリシリコンや金属などの導電性物質(トレンチ電極)1005で埋め込まれている。トレンチ電極1005はビットコンタクト1006と電気的に接続されている。
図10Aのメモリでは、絶縁膜1001のうち基板表面に近い領域のみに導電性微粒子が含有されてメモリ機能体1004が構成されている。この例では、メモリ機能体1004は、基板表面からドレイン領域903の深さよりも深くまで達している。一方、図10Bのメモリでは、絶縁膜1001のうち全領域に導電性微粒子が含有されてメモリ機能体1014が構成されている。
いずれにしても図10Cに示すように、メモリ機能体1004のうちメモリ動作を行うのは、トレンチ電極1005とドレイン領域903とで挟まれて電圧が印加される領域1024,1024に限られる。メモリ機能体1004は導電性微粒子を含有するとはいえ、基本的には絶縁体であるから、メモリ機能体1004のうち有効な電圧が印加されない残りの部分は、メモリ動作をしない。
これらの図10A,図10Bのメモリでは、図9のメモリと同様に、個々のドレイン領域903上にそれぞれ1つのメモリ機能体を形成する場合に比べ、メモリ機能体1004,1014の占有面積は約半分になる。また、ビットコンタクト901、ソースコンタクト902の数も約半分に減少させることができる。したがって1セルあたりの占有面積が減少し集積度が向上する。
図11は、上述のメモリ機能体と整流機能体とを含むメモリセルMを行列状に備えたメモリの回路構成を示している。ワードラインW、ビットラインBがそれぞれ行方向、列方向に延びている。各メモリセルMのメモリ機能体1204(既述の微粒子含有体113と同じ物)と整流機能体1201は、対応するビットラインBとワードラインWとの間に直列に接続されている。各整流機能体1201は、ワードラインWからメモリ機能体1204を通してビットラインBへ電流が流れるのを許容する一方、ビットラインBからメモリ機能体1204を通してワードラインWへ電流が流れるのを阻止する。
例えばメモリセルM(320)を選択するとき、それに接続されたワードラインW(300)に正電圧VHを印加し、かつビットラインB(020)にメモリ機能体1204に書き込み、読出し、消去のうち所望の動作に必要な電位差になるような負電圧VLを印加する。さらにその他のビットラインB(010),B(030),B(010)には、ワードラインWに正電圧VHが印加されていてもメモリ機能体1204に書き込み、消去が行われない電位差になるような電圧を印加する。例えば電位差を0にするならば電圧VHを印加する。同様に、その他のワードラインW(100),W(200),W(400)には電圧VLを印加し選択しないメモリ機能体1204に加わる電位差を0になるようにする。
このようにすれば、メモリセルM(320)のメモリ機能体1204には電位差約(VH−VL)のが印加されメモリ動作が行われる。その他のメモリセルMでは電位差が0であるか、電位差があっても整流機能体1201に対して逆方向電圧であるので、電流が制限されてメモリ機能体1204はメモリ動作を行わない。
あるいは、整流機能体1201として、閾値が存在し順方向であっても電位差Vt未満では電流が流れないかメモリ動作しない程度の小電流しか流れないものを用いても良い。但し、メモリ機能体1204のメモリ動作に必要な電位差をVmとしたとき、Vt>(Vm/2)であるものとする。例えば、メモリセルM(320)を選択するためにはワードラインW(300)に正電圧(Vm/2)、ビットラインB(020)に負電圧−(Vm/2)を印加して、メモリ機能体1204にメモリ動作に必要な電位差Vmを与える。その他のワードラインWおよびビットラインBには電圧0Vを与える。この場合、非選択のメモリセルMには最大(Vm/2)の電位差が加わるが、整流機能体1201によって電流が制限されるので、メモリ動作は行われない。
図12は、上述のメモリ機能体とPN接合からなる整流機能体とを含むメモリセルがとり得る様々な構造を示している。
図12Aは、メモリ機能体1204(既述の微粒子含有体113と同じ物)と整流機能体1201とが電気的に直列に接続された態様を模式的に示している。整流機能体1201は、N型半導体1202とP型半導体1203とが作るPN接合を含んでいる。
図12Bは、図12Aにおける整流機能体1201を半導体基板(例えばシリコン基板)1215上に形成した態様を模式的に表している。この例では、整流機能体1201のP型半導体領域1203およびN型半導体領域1202は、公知の方法により、半導体基板1215の表面へ順次不純物を注入、拡散等することにより形成されている。
図12C〜図12Eは、図12Bにおけるメモリ機能体1204の配置を具体的に表している。図12Cはメモリ機能体1204がコンタクト1226の途中に設けられた例であり、図12Dはメモリ機能体1204がN型半導体領域1202に接するように設けられた例であり、また、図12Eはメモリ機能体1204がビットライン1247に接するように設けられた例である。メモリ機能体1204は既述の方法により形成され、コンタクト1226,1227は公知の方法により形成される。
図13は、各メモリセルにメモリ機能体とPN接合からなる整流機能体とを含み、かつ隣り合う2つのメモリセルで構成要素を共有したときの様々な構造を示している。なお、この図13ではコンタクトが簡略化した形で表されているが、公知の方法により形成される。
図13Aは、メモリ機能体1204と整流機能体1301とを含むメモリセルM11,M12,M13,…が電気的に直列に接続された態様を模式的に示している。隣り合うメモリセルは互いに対称に構成されている。各整流機能体1301は、N型半導体領域1302とP型半導体領域1303とが作るPN接合を含んでいる。P型半導体領域1303にはワードコンタクト1305、メモリ機能体1204にはビットコンタクト1304がそれぞれ電気的に接続されている。
図13Bは、上述の複数のメモリセルM11,M12,M13,…をシリコン基板1316上に集積化してなるメモリの断面構造を示している。隣り合うメモリセルM11,M12の間ではN型半導体領域1302,1302が基板1316と平行な方向(図13における左右方向)に離間して形成され、それらのN型半導体領域1302,1302上にまたがって1つのメモリ機能体1204と1つのビットコンタクト1304が形成されている。つまり、メモリ機能体1204は2つのN型半導体領域1302,1302に接するように、左右方向に一体に連続して形成されている。隣り合うメモリセルM12,M13の間ではP型半導体領域1303が一体に連続して形成され、その上に1つのワードコンタクト1305が形成されている。このようにした場合、1セルあたりの占有面積が減少し集積度が向上する。
このメモリを作製するには、まずシリコン基板1316の表面に酸化膜(図示せず)を形成し、既述の方法でメモリ機能体1204を形成する。次に、シリコン基板1316の表面へ順次不純物を注入、拡散等することによりP型半導体領域1303、N型半導体領域1302を形成する。このとき、メモリ機能体1204に覆われた領域には不純物は注入されない。この後、公知の方法により、コンタクト1304,1305を形成する。
図13Cは、図13Bに示したメモリの変形例を示している。この変形例では、隣り合うメモリセルM11,M12のN型半導体領域1302,1302間に、公知の方法により素子分離領域1327が設けられている。このようにした場合、隣り合う2つのメモリセルM11,M12間を確実に電気的に分離できる。
図13Dは、さらなる変形例を示している。この変形例では、隣り合うメモリセルM11,M12のN型半導体領域1302,1302間に、公知の方法により断面矩形のトレンチ(溝)1333が設けられている。トレンチ1333を定める基板壁面(トレンチの内壁)に沿って絶縁膜1331が断面コの字状に形成され、絶縁膜1331の内側は例えばポリシリコンや金属などの導電性物質(トレンチ電極)1335で埋め込まれている。トレンチ電極1335はビットコンタクト1304と電気的に接続されている。そして、絶縁膜1331のうち基板表面に近い領域のみに導電性微粒子が含有されてメモリ機能体1334が構成されている。この例では、メモリ機能体1334は、基板表面からN型半導体領域1302の深さと略同じ深さまで達している。このようにした場合、隣り合う2つのメモリセルM11,M12間を確実に電気的に分離できる。
図14は、上述のメモリ機能体と整流機能体と選択トランジスタとを含むメモリセルMを行列状に備えたメモリの回路構成を示している。ワードラインW、ビットラインBがそれぞれ行方向、列方向に延びている。この例では、行方向に隣り合うメモリセルMの間でメモリ機能体1204、整流機能体1201、選択トランジスタ1209(既述の選択トランジスタ601と同じ物)の配置が対称(逆)になっている。また、列方向に関してワードラインWを介して隣り合うメモリセルMの間でメモリ機能体1204、整流機能体1201、選択トランジスタ1209の配置が対称(逆)になっている。各メモリセルMのメモリ機能体1204と整流機能体1201と選択トランジスタ1209は、対応するビットラインBとビットラインBとの間に直列に接続されている。なお、各ビットラインBは、切り替えられてソースラインとしても働く。
メモリセルM(320)を第1のセルとし、それに対して行方向に隣り合うメモリセルM(310),M(330)をそれぞれ第2のセル、第4のセルとし、列方向に隣り合うメモリセルM(220),M(420)をそれぞれ第3のセル、第5のセルとする。第1のセルM(320)と第2のセルM(310)についてビットラインB(020)は共通、ワードラインW(200)は共通、かつソースラインB(010),B(030)は非共通である。第1のセルM(320)と第3のセルM(220)についてビットラインB(020)は共通、ソースラインB(030)は共通、かつワードラインW(200),W(100)は非共通である。第1のセルM(320)と第4のセルM(330)についてソースラインB(030)は共通、ワードラインW(200)は共通、かつビットラインB(020),B(040)は非共通である。そして、第1のセルM(320)と第5のセルM(420)についてワードラインW(200)は共通、第1のセルM(320)のソースラインB(030)と第5のセルM(420)のビットラインB(030)は共通、かつ第1のセルM(320)のビットラインB(020)と第5のセルM(420)のソースラインB(020)は共通である。
例えば、第1のセルM(320)を選択する場合、ワードラインW(200)に選択トランジスタ1209がONする電圧Vo、その他のワードラインW(100)には選択トランジスタ1209がOFFする電圧Vuを印加する。かつ、ビットラインB(010),B(020)には高電圧VH、その他のビットラインB(030),B(040)には低電圧VLを印加する。ただし電位差(VH−VL)はメモリセルMがメモリ動作するに十分な順方向電流が流れる電位差とする。
このようにすれば、第1のセルM(320)にはメモリ動作に必要な電位差と順方向電流が流れる。
第1のセルM(320)に対して行方向に隣り合い、それぞれ第1のセルM(320)とビットラインB(020),B(030)を共用しているセル、つまり第2のセルM(310)と第4のセルM(330)は、選択トランジスタ1209のON、OFFにかかわらず電位差がなく(電圧が加わらず)、電流が流れないのでメモリ動作はしない。
第1のセルM(320)に対して列方向に隣り合い、第1のセルM(320)とビットラインB(020),B(030)の両方を共用しているが、ワードラインW(200)を共用していないセル、つまり第3のセルM(220)は、選択トランジスタ1209がOFFであるので、メモリ動作に必要な電流が流れずメモリ動作はしない。
第1のセルM(320)に対して列方向に隣り合い、第1のセルM(320)とビットラインB(020),B(030)およびワードラインW(200)の全てを共用しているセル、つまり第5のセルM(420)は、整流機能体1201のお蔭で逆方向電流しか流れないため、メモリ動作に必要な電流が流れずメモリ動作はしない。
このメモリでは、ビットラインおよびワードラインの共用が可能になるので、配線を減少させることができ、配線に起因する占有面積の増大を大幅に抑制することが可能となる。
図15は、上述のメモリ機能体とショットキー接合からなる整流機能体とを含むメモリセルがとり得る様々な構造を示している。
図15Aは、メモリ機能体1504(既述の微粒子含有体113と同じ物)と整流機能体1501とが電気的に直列に接続された態様を模式的に示している。整流機能体1501は、金属1502とN型半導体1503とが作るショットキー接合を含んでいる。
図15Bは、図15Aにおける整流機能体1501を半導体基板(例えばシリコン基板)1515上に形成した態様を模式的に表している。この例では、整流機能体1501のN型半導体領域1503は、公知の方法により、半導体基板1515の表面へ不純物を注入、拡散等することにより形成されている。その上に金属1512を形成して、金属1502とN型半導体1503との間にショットキー接合が形成されている。金属1502上にはコンタクト1526を介してメモリ機能体1504が設けられている。金属1502とコンタクト1526は同じ材質から成っていてもよく、その場合、工程を分けずに済むため工程を減らすことができ、生産性に優れる。
図15C〜図15Dは、図15Bにおけるメモリ機能体1504の配置を具体的に表している。図15Cはメモリ機能体1504がコンタクト1526の途中に設けられた例であり、図15Dはメモリ機能体1504が金属1502に接するように設けられた例である。
ここで、金属と半導体との間にショットキー接合を形成するためには、半導体の不純物濃度(N型、P型を問わず)が低濃度、例えば1018/cm3未満であることが望ましい。半導体の不純物濃度が高濃度すぎると、オーミック接合が形成されてしまうからである。なお、半導体をN型にするかP型にするかは整流方向をどちらにするかによる。例えば半導体をN型にした場合、金属−n型半導体ショットキー接合の順方向は金属からN型半導体の方向になる。すなわち、電子はN型半導体から金属の方向へ移動する。
図15Eは、上述のN型半導体領域1503が、金属1502に接する低濃度N型半導体層1543と、その周りを取り囲みコンタクト1527に接する高濃度N型半導体層1548とからなる態様を示している。高濃度N型半導体層1548の不純物濃度は、例えば1020/cm3を超える程度とする。抵抗半導体層1548を備えた例である。このようにすれば、金属1502との間でショットキー接合を形成できるとともに、コンタクト1527との間でオーミック接合を形成できる。しかも、N型半導体領域1503(高濃度N型半導体層1548)の抵抗を低減することができ、動作速度の向上および低消費電力化が可能となる。
なお、コンタクトと半導体層との接合をオーミック接合とするには、半導体層の不純物濃度を高濃度にする、あるいは接合部分に金属シリサイドを形成するなどの方法を用いることができる。
図16は、各メモリセルにメモリ機能体とショットキー接合からなる整流機能体とを含み、かつ隣り合う2つのメモリセルで構成要素を共有したときの様々な構造を示している。なお、この図16ではコンタクトが簡略化した形で表されているが、公知の方法により形成される。
図16Aは、メモリ機能体1504と整流機能体1601とを含むメモリセルM21,M22,M23,…が電気的に直列に接続された態様を模式的に示している。隣り合うメモリセルは互いに対称に構成されている。各整流機能体1601は、N型半導体領域1602と金属層1603とが作るショットキー接合を含んでいる。金属層1603にはビットコンタクト1605、メモリ機能体1504にはワードコンタクト1604がそれぞれ電気的に接続されている。
図16Bは、上述の複数のメモリセルM21,M22,M23,…をシリコン基板1616上に集積化してなるメモリの断面構造を示している。隣り合うメモリセルM21,M22の間ではN型半導体領域1602,1602が基板1616と平行な方向(図16における左右方向)に離間して形成され、それらのN型半導体領域1602,1602上にまたがって1つのメモリ機能体1504と1つのワードコンタクト1604が形成されている。つまり、メモリ機能体1504は2つのN型半導体領域1602,1602に接するように、左右方向に一体に連続して形成されている。隣り合うメモリセルM22,M23の間では金属層1603が一体に連続して形成され、その上に1つのビットコンタクト1605が形成されている。このようにした場合、1セルあたりの占有面積が減少し集積度が向上する。
このメモリを作製するには、まずシリコン基板1616の表面に酸化膜(図示せず)を形成し、既述の方法でメモリ機能体1504を形成する。次に、シリコン基板1616の表面へ順次不純物を注入、拡散等することによりN型半導体領域1602を形成する。このとき、メモリ機能体1504に覆われた領域には不純物は注入されない。次に、N型半導体領域1602とショットキー接合を形成するように金属層1603を形成する。この後、公知の方法により、コンタクト1604,1605を形成する。
図16Cは、図16Bに示したメモリの変形例を示している。この変形例では、隣り合うメモリセルM21,M12のN型半導体領域1602,1602間に、公知の方法により素子分離領域1627が設けられている。このようにした場合、隣り合う2つのメモリセルM21,M22間を確実に電気的に分離できる。また、上述のN型半導体領域1602が、金属層1603に接する低濃度N型半導体層1643と、その周りを取り囲みメモリ機能体1504と接する高濃度N型半導体層1648とからなっている。これにより、N型半導体領域1602(高濃度N型半導体層1648)の抵抗を低減することができ、動作速度の向上および低消費電力化が可能となる。
図16Dは、さらなる変形例を示している。この変形例では、隣り合うメモリセルM21,M12のN型半導体領域1602,1602間に、公知の方法により断面矩形のトレンチ(溝)1633が設けられている。トレンチ1633を定める基板壁面(トレンチの内壁)に沿って絶縁膜1631が断面コの字状に形成され、絶縁膜1631の内側は例えばポリシリコンや金属などの導電性物質(トレンチ電極)1635で埋め込まれている。トレンチ電極1635はワードコンタクト1604と電気的に接続されている。そして、絶縁膜1631のうち基板表面に近い領域のみに導電性微粒子が含有されてメモリ機能体1634が構成されている。この例では、メモリ機能体1634は、基板表面からN型半導体領域1602の深さと略同じ深さまで達している。このようにした場合、隣り合う2つのメモリセルM21,M22間を確実に電気的に分離できる。また、図16Cにおけるのと同様に、上述のN型半導体領域1602が、金属層1603に接する低濃度N型半導体層1643と、その周りを取り囲みメモリ機能体1504と接する高濃度N型半導体層1648とからなっている。これにより、N型半導体領域1602(高濃度N型半導体層1648)の抵抗を低減することができ、動作速度の向上および低消費電力化が可能となる。
図17Aは上述のメモリ機能体が基板に対して垂直な方向に複数配置されているメモリの3次元立体構造を示し、図17Bは図17A中の構成要素の電気的接続を示している。なお、図17Aでは層間絶縁体は図示していない。
このメモリは、図示しない基板に対して平行にそれぞれ異なる高さで延びる複数の配線1701,1702,1703,…を備えている。上層の配線1701と下層の配線1703とは平行で、これらに対して中間層の配線1702が交差している。配線1701と配線1702とが交差する箇所に、コンタクト1706を介してそれらの配線1701,1702に挟まれるようにメモリ機能体1710(既述の微粒子含有体113と同じ物)が設けられている。これにより、メタル配線1701とメタル配線1702とが交差する箇所に、メモリセルが構成されている。同様に、配線1702と配線1703とが交差する箇所に、コンタクト1716を介してそれらの配線1702,1703に挟まれるようにメモリ機能体1720(既述の微粒子含有体113と同じ物)が設けられて、メモリセルが構成されている。なお、別の言い方をすれば、コンタクト1706,1716をそれぞれ分断するようにメモリ機能体1710,1720が設けられている。
この図17Aの構造では、メモリ機能体1710,1720が3次元的に集積化されているので、大幅な実効占有面積の縮小が可能であり、メモリ容量の増大が可能となる。
図18Aは、上述のタイプの3次元立体構造を持つメモリであって、各メモリセルがメモリ機能体と整流機能体とを含むものを示している。図18Bは図18A中の構成要素の電気的接続を示している。
このメモリは、図示しない基板に対してそれぞれ異なる高さで延びる複数のメタル配線1801,1802,1803A,…を備えている。下層のメタル配線1801と上層のメタル配線1803Aとは平行で、これらに対して中間層のメタル配線1802が交差している。メタル配線1801とメタル配線1802とが交差する箇所に、メタル配線1801に接してショットキー接合を形成するように半導体1820が設けられている。メタル配線1801と半導体1820とで整流機能体が構成されている。その整流機能体をなす半導体1820とメタル配線1802とに挟まれるようにメモリ機能体1810(既述の微粒子含有体113と同じ物)が設けられている(半導体1820とメタル配線1802とはメモリ機能体1810によって電気的に隔てられている。)。これにより、メタル配線1801とメタル配線1802とが交差する箇所に、メモリセルが構成されている。同様に、メタル配線1802とメタル配線1803Aとが交差する箇所に、全く同じ態様で、半導体1820とメモリ機能体1810とが設けられて、メモリセル1832Aが構成されている。さらに、メタル配線1803とその上層の図示しないメタル配線とが交差する箇所にも、全く同じ態様で、半導体1820とメモリ機能体1810とが設けられて、メモリセル1833Aが構成されている。
図18Bは、図18Aに示したメモリの変形例を示している。図18Aの構造では、例えばメタル配線1803Aの上下に配置されたメモリセル1833A,1832Aが上下方向に1列に並んでいる。これに対して、この図18Bの構造では、下層のメタル配線1801に対して上層のメタル配線1803Bが横方向(この配線1803Bの長手方向に対して垂直な方向)にずらして配置されている。これとともに、例えばメタル配線1803Bの下に配置されたメモリセル1832Bに対して、上に配置されたメモリセル1833Bがこの配線1803Bの長手方向にずらして配置されている。この結果、この図18Bの構造では、図18Aの構造に比べて、メモリセル間の空間的な平均距離がより遠くなっている。したがって、メモリセル間で互いに影響を与えにくくなって、メモリの信頼性が向上する。
次に、図19を用いて、図18Aに示したタイプの3次元立体構造を持つメモリの作製方法を説明する。図19A,図19B,図19C,図19D,図19Eは作製途中の物をそれぞれ同一方向から見たときの態様を示し、図19F,図19G,図19H,図19I,図19Jはそれぞれ図19A,図19B,図19C,図19D,図19Eの物を右側方から見たときの態様を示している。
まず図19A,図19Fに示すように、図示しない基板上の全域に、メタル配線層1901と、このメタル配線層とショットキー接合を形成するための半導体層(例えばポリシリコン層)1902と、メモリ機能体層1903とを順次積層する。メモリ機能体層1903は、既述の微粒子含有体113と同じ構造になるように、例えばシリコン酸化膜を形成した後、そのシリコン酸化膜中に導電性微粒子をイオン注入して形成する。
次に図19B,図19Gに示すように、各層1903,1902,1901を一括してエッチングして、一方向に延びるライン状にパターン加工する。このように一括してエッチングを行えば、各層1903,1902,1901毎にエッチングを繰り返すよりも、工程を簡略化することができる。なお、このエッチング後、全域に図示しない層間絶縁膜、例えば酸化シリコンを堆積し、CMP(化学的機械的研磨)法によりその表面の平坦化を行う。
次に図19C,図19Hに示すように、この上の全域に、繰り返して、メタル配線層1924と、このメタル配線層とショットキー接合を形成するための半導体層1925と、メモリ機能体層1926とを順次積層する。
次に図19D,図19Iに示すように、各層1924,1925,1926一括してエッチングして、上記各層1903,1902,1901が延びる方向に対して略垂直に交差して延びるライン状にパターン加工する。このように一括してエッチングを行えば、各層1924,1925,1926毎にエッチングを繰り返すよりも、工程を簡略化することができる。この段階で、下層のメタル配線1901とその上のメタル配線1924とが交差する箇所に、パターン加工された半導体層1902とメモリ機能体1903とを含む1層目のメモリセルが形成されている。なお、このエッチング後、再び全域に図示しない層間絶縁膜、例えば酸化シリコンを堆積し、CMP法によりその表面の平坦化を行う。
この後同様にして、図19E,図19Jに示すように、メタル配線となるべきメタル層1947、半導体層1948、メモリ機能体層1949の堆積と、一括エッチングとを繰り返す。この段階で、メタル配線1924とその上のメタル配線1947とが交差する箇所に、パターン加工された半導体層1925とメモリ機能体1926とを含む2層目のメモリセルが形成されている。
このようにして、メタル層、半導体層、メモリ機能体層の堆積と一括エッチングとを繰り返すことによって、3次元立体構造を持つメモリを作製することができる。
なお、次回の一括エッチングによって、パターン加工された半導体層1948とメモリ機能体層1949とを含む3層目のメモリセルが形成される。
さて、既に述べたように、メモリ機能体は導電性微粒子を含有するとはいえ、基本的には絶縁体であるから、メモリ機能体のうち有効な電圧が印加されない残りの部分は、メモリ動作をしない。
例えば図20Aに示すように、メモリ機能体層2001を挟む上下一対の電極2003,2002;2003,2002;…が層方向(図20における左右方向)に互いに離間して並べて置かれているものとする。この場合において、例えば右端の電極対2003,2002の間に電圧が印加されたとき、メモリ機能体層2001のうちメモリ動作する領域は、右端の電極対2003,2002の間に挟まれた領域2004A近傍に限られる。したがって、電圧が印加されない中央の電極対2003,2002の間に挟まれた領域2004Bが誤動作することはない。
また図20Bに示すように、メモリ機能体層2011の下に左右方向に延びる配線層2012が形成され、メモリ機能体層2011の上に奥手前方向(図20の紙面に垂直な方向)に延びる配線層2013,2013,…が互いに離間して並べて置かれているものとする。この場合も、例えば配線層2012と右端の配線層2013との間に電圧が印加されたとき、メモリ機能体層2011のうちメモリ動作する領域は、それらの配線層2012,2013が交差する領域2014A近傍に限られる。したがって、配線層2012と中央の配線層2013との間に挟まれた領域2004Bが誤動作することはない。
このように、メモリ機能体層のうち有効な電圧が印加されない残りの部分は、メモリ動作をしない。したがって、メモリ機能体層をエッチングによってメモリセル毎に分割せず、一体に連続した状態にすることができる。そのようにした場合、メモリ動作する領域にエッチングによるダメージを与えるのを防止でき、メモリの信頼性を向上することができる。
次に、図21を用いて、3次元立体構造を持つメモリを作製する際に、メモリ機能体層を層方向に一体に連続した状態に形成する作製方法を説明する。図21A,図21B,図21C,図21D,図21Eは作製途中の物をそれぞれ同一方向から見たときの態様を示し、図21F,図21G,図21H,図21I,図21Jはそれぞれ図21A,図21B,図21C,図21D,図21Eの物を右側方から見たときの態様を示している。
まず図21A,図21Fに示すように、図示しない基板上の全域に、メタル配線層2101と、このメタル配線層とショットキー接合を形成するための半導体層(例えばポリシリコン層)2102とを順次積層し、これらの層2102,2101を一括してエッチングして、一方向に延びるライン状にパターン加工する。さらに、半導体層2102をエッチングして、メモリセル毎に分離する。このエッチング後、全域に層間絶縁膜となるべき絶縁体層2103、例えば酸化シリコンを十分厚く堆積し、図21B,図21Gに示すように、CMP法によりその表面の平坦化を行う。この平坦化は、半導体層2102の上面が露出するまで行うのではなく、半導体層2102上の絶縁体層2103の厚さが、次工程で形成すべきメモリ機能体層の厚さに相当するところまで行う。
次に図21C,図21Hに示すように、絶縁体層2103のうち半導体層2102の上面より上の領域に、導電性微粒子をイオン注入してメモリ機能体層2104を形成する。メモリ機能体層2104は、既述の微粒子含有体113と同じ構造で、半導体層2102に接し、かつ基板上の全域に層方向に一体に連続した状態に形成される。
次に図21D,図21Iに示すように、再び全域にメタル配線層2105と、このメタル配線層とショットキー接合を形成するための半導体層2106とを順次積層し、これらの層2106,2105を一括してエッチングして、メタル層2101が延びる方向に対して略垂直に交差して延びるライン状にパターン加工する。さらに、半導体層2106をエッチングして、メモリセル毎に分離する。このエッチング後、全域に層間絶縁膜となるべき絶縁体層2107、例えば酸化シリコンを十分厚く堆積し、図21E,図21J中に示すように、CMP法によりその表面の平坦化を行う。この平坦化は、半導体層2106の上面が露出するまで行うのではなく、半導体層2106上の絶縁体層2107の厚さが、次工程で形成すべきメモリ機能体層の厚さに相当するところまで行う。
この後、同様の工程を繰り返して、図21E,図21Jに示すような3次元立体構造を得る。この図21E,図21Jは、メタル配線層、半導体層、メモリ機能体層を3組積層した様子を表している。図中、2108はメモリ機能体層、2109はメタル配線層、2110は半導体層、2111は層間絶縁膜(絶縁体層)、2112はメモリ機能体層をそれぞれ示している。
この構造では、図21Eから分かるように、例えばメタル配線2109の下に配置されたメモリセル2124に対して、上に配置されたメモリセル2134がこの配線2109の長手方向にずらして配置されている。また、図21Jから分かるように、例えばメタル配線2105の下に配置されたメモリセル2114に対して、上に配置されたメモリセル2124がこの配線2105の長手方向にずらして配置されている。この結果、この構造では、メモリセルを上下方向に1列に並べる場合に比べて、メモリセル間の空間的な平均距離がより遠くなっている。したがって、メモリセル間で互いに影響を与えにくくなって、メモリの信頼性が向上する。
図22A,図22Bは、図21E,図21Jに示した構造の変形例を示している。図22Bは図22Aの物を右側方から見たときの態様を示している。
この変形例では、メモリ機能体層2104とその上下のメタル配線層2105、半導体層2102との間、メモリ機能体層2108とその上下のメタル配線層2109、半導体層2106との間、また、メモリ機能体層2112とその上下のメタル配線層2113、半導体層2110との間に、それぞれコンタクト2205が設けられている。
当然ながら、図21、図22においてそれぞれメモリ機能体をメモリセル毎に分離した構造を用いることもできる。
図23A,図23Bは、図21E,図21Jに示した構造の別の変形例を示している。図23Bは図23Aの物を右側方から見たときの態様を示している。
この変形例では、ショットキー接合からなる整流機能体に代えて、PN接合からなる整流機能体が設けられている。すなわち、メタル配線層2101とメモリ機能体層2104との間、メタル配線層2105とメモリ機能体層2108との間、また、メタル配線層2109とメモリ機能体層2112との間に、それぞれPN接合をなすP型半導体層2353とN型半導体層2352との対が設けられている。
なお、P型半導体層とN型半導体層とは入れ替えても良い。P型とN型を入れ替えることにより整流方向を反転させることが可能である。
この図23の構造は、半導体層をP型半導体層とN型半導体層との2層とする工程以外は、図21の例と同様の工程で作製することができる。
一般に、ショットキー接合ダイオードに比べ、PN接合ダイオードは不純物濃度によって障壁高さを調節し易い。したがって、ショットキー接合からなる整流機能体に代えて、PN接合からなる整流機能体を用いた場合、整流機能体の特性を調整し易く、汎用性に優れる。例えば障壁高さを調節すれば、一定電圧下で流れる電流量あるいは容量を変化させることができ、メモリ動作電圧を調整することが容易である。
図24A,図24Bは、図23A,図23Bに示した構造の変形例を示している。図24Bは図24Aの物を右側方から見たときの態様を示している。
この変形例では、整流機能体としてPN接合をなす2層の半導体層のうち、メタル配線層に接する半導体層2451がそのメタル配線層に沿ってライン状に延びている。つまり、メタル配線層2101,2105,2109にそれぞれ接する半導体層2451,2451,2451はメモリセル毎に分離されるのではなく、メタル配線層2101,2105,2109とそれぞれ同じパターンに加工されている。
一般に、半導体層はメタルよりも高抵抗であるため、メモリセル毎に分離するよりも、この図24A,図24Bの構造のように、例えばビットラインをなすメタル配線層に沿ってライン状に延びるものとするのが好ましい。これにより、半導体層2451を少なくとも2つ以上のメモリセルで共通化して、実効的に低抵抗化できる。
詳しくは、図23A,図23Bに示した構造では、半導体層2353がメモリセル毎に分離されているため、メタル配線2101からメモリ機能体2104へ流れる電流経路は、図25A中に矢印で示すように、個々の半導体層2353のパターン内に限定される。これに対して図24A,図24Bに示した構造では、メタル配線2101からメモリ機能体2104へ流れる電流経路は、図25B中に矢印で示すように、メタル配線2101に沿った方向に広がる。したがって、配線実効断面積が増大して低抵抗となる。この結果、メモリの高速動作が可能となる。
当然ながら、半導体層2451がそのメタル配線層に沿ってライン状に延びていることによる効果は、メモリ機能体2504が層方向に一体に連続している場合だけでなく、メモリ機能体2504がメモリセル毎に分離されている場合でも同様である。
図26Aは一実施形態の半導体装置2600の概略平面レイアウトを示している。
この半導体装置2600は、上述のメモリ(メモリセル)を有するメモリ回路2601と、ロジック回路を有する周辺回路2602と、上記メモリ回路および周辺回路以外の機能を有する機能回路2603とを、同一の半導体基板上に集積化された態様で備えている。
図26Bは、比較のため、従来の半導体装置2610の概略平面レイアウトを示している。メモリ回路2611には、従来のフローティングゲートを有するフラッシュメモリが集積されている。この従来の半導体装置2610は、上記フラッシュメモリの駆動電圧がロジック回路の駆動電圧よりも高いので、周辺回路2612に昇圧回路や制御回路などが必要になり、また、メモリ回路の高い駆動電圧に耐えるように、周辺回路のトランジスタのゲート酸化膜を厚くする必要があって、周辺回路2612の占有面積が大きくなっていた。したがって、半導体装置の小型化が困難であった。また、メモリ回路2611および周辺回路2612の占有面積が大きいので、他の機能のための機能回路2513の占有面積の割合が小さく制限されていた。
これに対して、この半導体装置2600では、本発明によるメモリセルを有するメモリ回路2601が低電圧で動作可能であるので、周辺回路2602と同じ電源電圧で動作可能である。したがって、メモリ回路2601と周辺回路2602との間で電源を共有でき、従来の昇圧回路や制御回路が削除できる。この結果、周辺回路2602の占有面積を小さくできる。また、メモリ回路2601の駆動電圧が低いので、周辺回路2602が含むトランジスタのゲート酸化膜を薄くでき、周辺回路2602の占有面積を小さくできる。さらに、メモリ回路2601は高集積化できるので、メモリ回路2601の占有面積を小さくできる。これらの結果、この半導体装置2601は、従来の半導体装置2610よりも小型にできる。また、メモリ回路および周辺回路以外の機能回路2603のための占有面積を広げることができるので、従来よりも高機能の半導体装置を構成できる。
あるいは、この半導体装置2600に従来の半導体装置2610と同じ占有面積を許せば、従来よりも多くのメモリセルを集積して、半導体装置の記憶容量を増大できる。これによって、大規模なプログラムを一時的に読み込み、電源を切断した後もそのプログラムを保持し、電源を再投入した後もプログラムを実行するといったことが可能となり、かつ、そのプログラムを他のプログラムと入れ替えることもできる。
図27は、本発明による電子機器の一例として、上述の半導体装置を備えた携帯電話機2700の構成を模式的に示している。
この携帯電話機2700は、本体2710に、アンテナ部2715と、RF回路部2713と、表示部2714と、半導体装置としての制御回路2711と、これらの各構成要素に電力を供給するための電池2712とを搭載している。2716は信号線、2717は電源線である。
制御回路2711は、本発明のメモリを有するメモリ回路とロジック回路とを混載したLSI(大規模集積回路)であり、RF回路部2713と表示部2714を制御している。制御回路2711は、本発明による半導体装置が組み込まれているので、この携帯電話機を高機能化でき、また、消費電力を低減して、電池寿命を大幅に延長することができる。
なお、本実施形態では、電子機器の一例として携帯電話機を構成したが、携帯情報端末やゲーム機器など他の電子機器を構成しても同様の効果を発揮することが可能である。
なお、上述の実施形態では、絶縁体101の材料としてシリコン酸化物を挙げたが、シリコン窒化物、酸化アルミニウム、酸化チタン等の絶縁体であれば用いることができる。ただし、微粒子の大きさにもよるが、絶縁体101があまりに高誘電率材料であると、容量が増大して動作速度に影響を与える。このため、絶縁体101の材料としては、比誘電率が10以下、好ましくは4以下の低誘電率を有するものが好ましい。
また、微粒子102を構成する材料として銀を挙げたが、微粒子102を構成する材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、錫、ニッケル、白金、亜鉛、ハフニウム、マンガン、タンタル、チタン、タングステン、インジウム、ガリウム、など他の金属を用いることもできる。また、シリコン、ゲルマニウム等の半導体や化合物半導体を用いることも可能であり、または合金やその他の化合物を用いることも可能である。また磁性体であっても用いることが可能である。ただし単体元素であるほうが、注入工程が容易であるので好ましい。
また、第2(第4)の電極112としてシリコン基板を用いたが、シリコン以外の半導体または金属材料からなる基板を用いても良い。また、ガラス基板などの絶縁体材料からなる基板上に、CVD(化学気相成長法)や蒸着、MBE(分子線エピタキシ法)などによって導電層を形成し、その導電層を第2(第4)の電極として用いても良い。
シリコン膜の形成はエピタキシャル成長やポリシリコン堆積、CGS(連続粒界シリコン)などを用いることができる。ただし、比較的低温での形成が可能なポリシリコンやCGSを用いるのが好ましい。より好ましくは結晶性のよいCGSを用いた方が、整流性能が向上し信頼性に優れる。CGSは特開平8−78329号公報などに記載の作製方法によって低温で作製可能なシリコンであり、他の低温で作成可能なアモルファスシリコンやCGS以外の低温ポリシリコンなどに比べて結晶性が良く高移動度が得られるなどの利点を有する。
以上より明らかなように、本発明のメモリによれば、メモリ機能体を通して流れる電流の大小を、常温で比較的低電圧で電気的に制御して変化させることができる。したがって、実用性のあるメモリが提供される。
また、この発明のメモリの製造方法によれば、そのようなメモリを生産性良く作製できる。
また、この発明のメモリを含む半導体装置は、高集積化、低消費電力化が可能になる。
また、そのような半導体装置を備えた電子機器は、小型化、低消費電力化が可能になり、携帯の用途に適する。
図28Aは、第1の電極3601と第2の電極3602の間に設けられた微粒子含有体3113(既述の微粒子含有体113と同じ物)に対して、第1の電極3601と第2の電極3602とが対向する方向V1,V2に垂直な方向(これを「層方向」と呼ぶ。)H1から第3の電極3603が隣接している例を示している。第1の電極3601と第2の電極3602は微粒子含有体3113を厚さ方向V1,V2に挟んでいる。これに対して、図28Bの例では、微粒子含有体3113に対する電極の配置が異なり、第1の電極3611と第2の電極3611とが上述の微粒子含有体3113を層方向H1,H2から挟み、微粒子含有体3113に対して厚さ方向V1から第3の電極3613が隣接している。
図28Aの例では、第2の電極3602を接地し、第1の電極3601に電圧を印加して、それらの電極3601,3602間に流れる電流を観測した。また、図28Bの例では、第2の電極3612を接地し、第1の電極3611に電圧を印加して、それらの電極3611,3612間に流れる電流を観測した。いずれの場合も、観測は、第3の電極3603を接地した場合と、第3の電極3603に電圧を印加した場合との両方で行った。
第3の電極3603,3613を接地した条件下では、図28Aの例と図28Bの例とでは、電流対電圧(I−V)特性に違いが見られたが、いずれの場合もヒステリシス特性が現れた。第3の電極3603,3613に電圧を印加した条件下では、いずれの場合も、第3の電極3603,3613を接地した場合に比してメモリウィンドウ(ヒステリシス)の幅が増大することが分かった。これは、第3の電極3603,3613に電圧を印加した場合、メモリ機能が向上することを意味する。これにより、記憶状態を読み出すときの読出しエラーが減少して、メモリの信頼性が向上する。
図29は、図28Bに示したタイプの電極配置を持つメモリを、半導体基板の表面に作製する方法を示している。
まず、図29Aに示すように、半導体基板、例えばシリコン基板3700上に、酸化のためのマスクとしてシリコン窒化膜3701を堆積し、このシリコン窒化膜の所定の領域に開口3701aを形成する。そして、図29Bに示すように、通常の素子分離工程と同様に、開口3701aを通してシリコン基板3700の表面から酸化して、シリコン基板3700の表面近傍領域(メモリ機能体を形成すべき領域)に、絶縁体としてのシリコン酸化膜3712を形成する。
次に、図29Cに示すように、シリコン酸化膜3712に対して半導体または金属のイオン注入を行って、シリコン酸化膜3712中に導電性微粒子3723を形成する。この例では、既述の方法と同様に、シリコン酸化膜3712中に銀を負イオン注入法により導入した。この例では、さらに熱処理を行った。この熱処理は省略することも可能であるが、熱処理を行ったほうが好ましい。熱処理を行えば、導電性微粒子3723の粒径の調整や分布の調整ができ、更に注入欠陥等の回復が可能だからである。このようにして、既述の微粒子含有体3113と同じ構造を持つメモリ機能体3715を形成する。
次に、図29Dに示すように、公知のMOSトランジスタのゲート電極を形成するのと同様の方法で、メモリ機能体3715上に第3の電極としてのゲート電極3734を形成する。ここで、シリコン窒化膜3701を残したままゲート電極3734を形成するのが好ましい。そうすれば、ゲート電極3734とメモリ機能体3715との位置関係が自己整合的に定まるので、製造ばらつきが軽減するからである。
シリコン窒化膜3701を剥離した後、図29Eに示すように、ゲート電極3734をマスクとして、半導体基板3700の表面に不純物をイオン注入して、メモリ機能体3715を層方向(図29における左右方向)両側から挟むように、第1,第2の電極としてのソース領域3745、ドレイン領域3746を形成する。
このようにして、図28Bに示したタイプの電極配置を持つメモリを、半導体基板3700の表面に作製することができる。作製されたメモリは、ソース領域3745とドレイン領域3746との間に所定の電圧を印加した前後で、メモリ機能体3715を通して流れる電流の大小が変化して、その電流の大小に応じて記憶状態(書込状態、消去状態)が判別される。
図30は、図28Bに示したタイプの電極配置を持つメモリを、半導体基板の表面に作製する別の方法を示している。
まず、図30Aに示すように、シリコン基板3800上に熱酸化によるシリコン酸化膜3802を形成する。続いて、既述の方法と同様に、シリコン酸化膜3802中に銀を負イオン注入法により導入して、シリコン酸化膜3802中に導電性微粒子3803を含む層状のメモリ機能体3815を形成する。続いて、メモリ機能体3815上の全域に、第3の電極を形成するための物質、例えばポリシリコン3804を堆積する。
次に、図30Bに示すように、公知のMOSトランジスタのゲート電極をパターン形成するのと同様の方法で、メモリ機能体3815上に第3の電極としてのゲート電極3804(理解の容易のため、上記ポリシリコンのものと同じ符号を用いる。)を形成する。
次に、図30Cに示すように、酸化を行って、シリコン基板3800の表面にシリコン酸化膜3826を形成するとともに、ゲート電極3804の表面にシリコン酸化膜3827を形成する。
次に、図30Dに示すように、公知の方法を用いて、メモリ機能体3815を層方向(図30における左右方向)両側から挟むように、第1,第2の電極としてのポリシリコンサイドウォール3836,3837を形成する。ポリシリコンサイドウォール3836,3837は、シリコン酸化膜3826,3827によって、シリコン基板3800とゲート電極3804に対して電気的に絶縁されている。
次に、この上に図示しない層間絶縁膜を形成した後、図30Eに示すように、公知のコンタクト工程を実施して、ポリシリコンサイドウォール3836,3837およびゲート電極3804の上に、それぞれコンタクト配線3848,3849,3850を形成する。
なお、メモリ機能体3815内では、導電性微粒子3803はシリコン酸化膜3802の厚さ方向に関して、シリコン基板3800に近い側に分布させるのが望ましい(図30A参照)。この理由は、導電性微粒子3803を第3の電極(ゲート電極)3804から離れるように形成して、第1,第2の電極(ポリシリコンサイドウォール)3836,3837と第3の電極(ゲート電極)3804との間で無用なメモリ動作が行われないようにするためである。具体的には、導電性微粒子を形成するためのイオン注入を、注入深さがシリコン酸化膜表面より十分深くなるように実施する方法や、メモリ機能体3815とゲート電極3804との間に絶縁体膜を形成する方法などを用いることができる。
図31は、上述のメモリ機能体が基板に対して垂直な方向に複数配置されて、3次元的に集積化されたメモリの構造を示している。図31Aは層間絶縁膜を取り除いてメモリを上方から見たときの平面レイアウトを示し、図31Bは図31AにおけるB−B’線矢視断面を示している。図中、メモリ機能体は3904、第1の電極は3902、第2の電極は3903、第3の電極は3905で表されている。コンタクト配線3907は、基板に対して垂直な方向に複数配置された第2の電極3903,3903,…を電気的に接続している。
このメモリは、3次元的に集積化されているので、大幅な実効占有面積の縮小が可能であり、メモリ容量の増大が可能となる。
なお、図31では図示を省略しているが、基板としては、例えば、ガラス基板や、シリコン基板の上層を酸化したもの等を用いることができる。従来の浮遊ゲート型のメモリでは通常のMOSトランジスタを基本にしているため、シリコン基板上に作製するのが一般的であるが、本発明によるメモリは必ずしもシリコン基板上に作製する必要はない。
次に、図32および図33を用いて、図31に示したタイプの3次元立体構造を持つメモリの作製方法を説明する。
図32A〜図32Eは、上記メモリの作製途中の工程断面を示している。
まず、図32Aに示すように、下地あるいは基板4000の上にシリコン酸化膜等の絶縁体膜4001と、シリコン膜4002を順に積層する。続いて、シリコン膜4002上に、酸化のためのマスクとしてシリコン窒化膜4003を堆積し、このシリコン窒化膜の所定の領域に開口4003aを形成する。そして、図32Bに示すように、開口4003aを通してシリコン膜4002の表面から酸化して、シリコン膜4002の所定の領域(メモリ機能体を形成すべき領域)に、絶縁体としてのシリコン酸化膜4018を形成する。
続いて、図示しないマスクを用いて、既述の方法と同様に、シリコン酸化膜4018中に銀を負イオン注入法により導入し、さらに熱処理を行って、メモリ機能体3904を形成する。なお、シリコン膜4002のうち酸化されずに残った領域は第1の電極3902および第2の電極3903として用いられる。
次に、図32Cに示すように、この上の全域に、第3の電極を形成するための物質、例えばポリシリコンを堆積し、公知のMOSトランジスタのゲート電極をパターン形成するのと同様の方法で、メモリ機能体3904上に第3の電極としてのゲート電極3905を形成する。その後、この上の全域に、層間絶縁膜4026を形成する。そして、この層間絶縁膜4026の表面をCMP(化学的機械的研磨法)などで平坦化しておく。
この後、層間絶縁膜4026上の全域に、再びシリコン膜4032を積層する。そして、上に述べたのと同様の工程を繰り返すことによって、図32Dに示すように、2層目のメモリ機能体3904、第1の電極3902、第2の電極3903および第3の電極3905を形成する。その後、この上の全域に、層間絶縁膜4056を形成する。そして、この層間絶縁膜4056の表面をCMPなどで平坦化しておく。
このようにして、所望の層数まで多層化した後、図32Eに示すように、第2の電極3903,3903,…を基板4000に対して垂直な方向に接続するようにコンタクト配線3907を形成する。
図33A〜図33Fは、作製途中の上記メモリを上から見たときの平面レイアウトを示している。
図33Aに示すように、シリコン膜4002は基板上の全域に形成される。
次に、図33Bに示すように、シリコン膜4102は、第1の電極3902、第2の電極3903となる部分を残して部分的に酸化されて、シリコン酸化膜4018が形成される。第1の電極3902は図33Bにおいて縦方向にライン状に延びている。一方、第2の電極3903は矩形のパターンを持ち、シリコン酸化膜4018中に個々に孤立している。シリコン酸化膜4018は素子分離の役割も果たす。第2の電極3903は、隣り合う第1の電極3902,3902間の中央に、縦方向に沿って複数配置されている。
次に、図33Cに示すように、メモリ機能体3904は、シリコン酸化膜4018内で第1の電極3902と第2の電極3903との間に挟まれた矩形領域にそれぞれ形成される。このときの断面図が図32Bに相当する。
次に、図33Dに示すように、第3の電極としてのゲート電極3905が、縦方向に並ぶ複数のメモリ機能体3904上を通るように、縦方向に延びるライン状に形成される。
次に、図33Eに示すように、この上の全域に層間絶縁膜4026が形成される。このときの断面図が図32C,図32Dに相当する。
その後、図33Fに示すように、コンタクト配線3907が第2の電極3903を貫通する位置に形成される。このときの断面図が図32Eに相当する。
また、この例では、第1の電極3902と第3の電極3905とが配線としていずれも縦方向に延びて平行になっているが、これに限られるものではない。通常の集積回路の作製におけるのと同様に配線を多層にすれば、第1の電極3902のための配線と、第2の電極3903のための配線3907と、第3の電極3905のための配線とが互いに交差するように形成することが可能である。
例えば図34Aは、第1、第2、第3の電極につながる配線が互いに実質的に垂直になっているメモリの構造を示している。図34B,図34C,図34Dはそれぞれ図34AのメモリをB方向、C方向、D方向から見たところを示している。
このメモリでは、メモリ機能体4204に対して、第1の電極4209、第2の電極4202、第3の電極4205が図34Aにおいてそれぞれ左方向、右方向、上方向から接している。第1の電極4209には、コンタクト4219を介して、図34Aにおいて奥手前方向に延びる第1の配線4229が電気的に接続されている。第2の電極4202には、図34Aにおいて上下方向に延びる第2の配線4207と電気的に接続されている。第3の電極4205には、コンタクト4215を介して、図34Aにおいて左右方向に延びる第3の配線4225が電気的に接続されている。
このように第1、第2、第3の電極につながる配線を互いに実質的に垂直に配置すれば、さらに大幅な実効占有面積の縮小が可能であり、メモリ容量の増大が可能となる。
なお、上述の実施形態では、微粒子含有体を構成する絶縁体の材料としてシリコン酸化物を挙げたが、シリコン窒化物、酸化アルミニウム、酸化チタン等の絶縁体であれば用いることができる。ただし、微粒子の大きさにもよるが、絶縁体があまりに高誘電率材料であると、容量が増大して動作速度に影響を与える。このため、絶縁体の材料としては、比誘電率が10以下、好ましくは4以下の低誘電率を有するものが好ましい。
また、微粒子を構成する材料として銀を挙げたが、微粒子を構成する材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、錫、ニッケル、白金、亜鉛、ハフニウム、マンガン、タンタル、チタン、タングステン、インジウム、ガリウム、など他の金属を用いることもできる。また、シリコン、ゲルマニウム等の半導体や化合物半導体を用いることも可能であり、または合金やその他の化合物を用いることも可能である。また磁性体であっても用いることが可能である。ただし単体元素であるほうが、注入工程が容易であるので好ましい。
また、基板としてシリコン基板を用いたが、シリコン以外の半導体または金属材料からなる基板を用いても良い。また、ガラス基板などの絶縁体材料からなる基板上に、CVD(化学気相成長法)や蒸着、MBE(分子線エピタキシ法)などによって導電層を形成し、その導電層を第2の電極として用いても良い。
シリコン膜の形成はエピタキシャル成長やポリシリコン堆積、CGS(連続粒界シリコン)などを用いることができる。ただし、比較的低温での形成が可能なポリシリコンやCGSを用いるのが好ましい。より好ましくは結晶性のよいCGSを用いた方が、整流性能が向上し信頼性に優れる。CGSは特開平8−78329号公報などに記載の作製方法によって低温で作製可能なシリコンであり、他の低温で作成可能なアモルファスシリコンやCGS以外の低温ポリシリコンなどに比べて結晶性が良く高移動度が得られるなどの利点を有する。
以上より明らかなように、本発明のメモリによれば、メモリ機能体を通して流れる電流の大小を、常温で比較的低電圧で電気的に制御して変化させることができる。したがって、実用性のあるメモリが提供される。
また、この発明のメモリの製造方法によれば、そのようなメモリを生産性良く作製できる。
また、この発明のメモリを含む半導体装置は、高集積化、低消費電力化が可能になる。
また、そのような半導体装置を備えた電子機器は、小型化、低消費電力化が可能になり、携帯の用途に適する。
図35は、一実施形態の抵抗変化機能体(全体を符号5100で示す。)の概略断面構造を示している。この抵抗変化機能体5100は、第3の電極5130と第4の電極5140との間に挟まれると共に、これらの第3,第4の電極5130,5140とは別に設けられた第1の電極5110と第2の電極5120との間に挟まれた絶縁体5150を備えている。具体的には、第3の電極5130と第4の電極5140とは図における上下方向から絶縁体5150に接し、第1の電極5110と第2の電極5120とは図における左右方向から絶縁体5150に接している。絶縁体5150中には、第3の電極5130と第4の電極5140との間に所定の電圧を印加した前後で、第1の電極5110と第2の電極5120との間の電気抵抗がサイズ効果に基づいて変化するように配置された複数の導電性微粒子5160が含まれている。この例では、絶縁体5150の材料としてシリコン酸化膜を用いる一方、導電性微粒子としては粒径が1μm未満の銀粒子を用いるものとする。微粒子5160は、略均一な粒径で絶縁体5150の全域にわたって略一様に分布している。
この抵抗変化機能体5100では、絶縁体5150中での複数の導電性微粒子5160の配置によって、第3の電極5130と第4の電極5140との間に所定の電圧を印加した前後で、第1の電極5110と第2の電極5120との間の電気抵抗が、導電性微粒子5160のサイズ効果に基づいて変化する。つまり、第3の電極5130と第4の電極5140との間に電流を流すことによって、電流経路の近傍あるいは電流経路中の或る導電性微粒子に1個乃至数個の電荷が蓄積され、その蓄積された電荷が電流経路中の電子に対してクーロン相互作用を及ぼす。したがって、導電性微粒子5160に蓄積された電荷の有無や多寡に応じて、第1,第2の電極5110,5120間の電気抵抗が変化する。
図36は、更に好ましい一実施形態の抵抗変化機能体(全体を符号5200で示す。)の概略断面構造を示している。この抵抗変化機能体5200は、図35の抵抗変化機能体5100と同様に、第3の電極5230と第4の電極5240との間に挟まれると共に、これらの第3,第4の電極5230,5240とは別に設けられた第1の電極5210と第2の電極5220との間に挟まれた絶縁体5250を備えている。この例では、絶縁体5250は層状に形成されている。
第3の電極5230と第4の電極5240とは絶縁体5250の厚さ方向(図における上下方向)V1,V2両側に設けられている。第1の電極5210と第2の電極5220とは上記厚さ方向V1,V2に対して垂直な絶縁体5250の層方向(図における左右方向)両側に設けられている。
絶縁体5250中には、第3の電極5230と第4の電極5240との間に所定の電圧を印加した前後で、第1の電極5210と第2の電極5220との間の電気抵抗がサイズ効果に基づいて変化するように配置された複数の導電性微粒子5260が含まれている。この例では、先の例と同様に、絶縁体5250の材料としてシリコン酸化膜を用いる一方、導電性微粒子としては粒径が1μm未満の銀粒子を用いるものとする。
導電性微粒子5260は、絶縁体5250の層方向に関して一様に分布するとともに、絶縁体5250の厚さ方向に関して或る範囲内に分布している。これにより、第3の電極5230と第4の電極5240との間で、絶縁体5250の厚さ方向に、電流が過度に流れ難くなったり、過度に流れ易くなったりすることが抑制される。したがって、絶縁体5250の層方向両側に設けられた第1の電極5210と第2の電極5220との間の電気抵抗の変化が安定する。この結果、安定した特性が得られる。
また、図36中に示すように、絶縁膜5250に含まれる微粒子の粒径が少なくとも2種類以上あって、第1の電極5210と第2の電極5220との間を移動する電荷は比較的大きな微粒子を伝って移動できるが、第3の電極5230と第4の電極5240との間を移動しようとする電荷は比較的小さな微粒子を伝って移動しなければならない構造を有していることが好ましい。
具体的には、導電性微粒子5260を構成する銀元素の濃度は、絶縁体5250中の或る位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向V1,V2に離れると低くなっているのが好ましい。その場合、第3の電極5230と第4の電極5240との間で、絶縁体5250の厚さ方向V1,V2に、電流が過度に流れ難くなったり、過度に流れ易くなったりすることがさらに抑制される。この結果、さらに安定した特性が得られる。
また、導電性微粒子5260の密度は、絶縁体5250中の或る位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向V1,V2に離れると低くなっているのが好ましい。その場合も、第3の電極5230と第4の電極5240との間で、絶縁体5250の厚さ方向V1,V2に、電流が過度に流れ難くなったり、過度に流れ易くなったりすることがさらに抑制される。この結果、さらに安定した特性が得られる。
また、導電性微粒子5260粒径は、絶縁体5250中の或る位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向V1,V2に離れると小さくなっているのが好ましい。その場合も、第3の電極5230と第4の電極5240との間で、絶縁体5250の厚さ方向V1,V2に、電流が過度に流れ難くなったり、過度に流れ易くなったりすることがさらに抑制される。この結果、さらに安定した特性が得られる。このように、導電性微粒子5260として複数の大きさの微粒子を用いれば、主に電気伝導を担う微粒子と、電荷を保持して電気抵抗を変化させることを担う微粒子とに役割を分担することが可能となり、優れた動作安定性を得ることができる。
この抵抗変化機能体5200は以下のようにして形成される。
先ず、図37Aに示すように、シリコン基板5300の表面に、熱酸化工程によって絶縁体としてシリコン酸化膜5250を形成する。この場合、形成されたシリコン酸化膜5250の膜厚は約25nmである。尚、シリコン基板5300は、上記抵抗変化機能体5200の第4の電極5240として用いられる。
次に、図37Bに示すように、上記シリコン酸化膜5250中に、導電性微粒子を構成する元素として銀を負イオン注入法によって導入する。ここで、注入エネルギは、余りに高すぎると注入される銀の分布が広がり過ぎてシリコン酸化膜5250の薄膜への注入としては相応しくなく、さらにシリコン酸化膜5250にダメージを与えて欠陥を生じてしまう。そのため、上記注入エネルギは、100keV未満に設定するのが好ましく、50keV未満に設定するのがより好ましい。尚、15keVで注入することによって、シリコン酸化膜5250の中程の深さまで注入することができる。
また、注入ドーズ量は、余りに多い場合には微粒子の粒径が大きくなり過ぎ、シリコン酸化膜5250のダメージも多くなる。一方、余り少ない場合には、微粒子密度が小さくなり過ぎてしまう。そのため、注入ドーズ量は、1×1012/cm2より多く且つ1×1020/cm2より少なく設定するのが好ましく、1×1013/cm2より多く且つ1×1017/cm2より少なく設定するのがより好ましい。本実施の形態においては、注入エネルギを約15keVとし、ドーズ量を約1×1015/cm2に設定している。
また、上述のように、本実施の形態においては、イオン注入法として負イオン注入法を採用している。このように、負イオンを用いて注入を行った場合には、正イオンの場合のように、注入を受ける材料(この例ではシリコン酸化膜5250)の表面電位が正イオンの加速電圧近くまで上昇することがなく、数ボルト程度の非常に低い値に収まる。すなわち、正イオン注入の場合には、正の電荷のイオンが材料表面に入射され、負の電荷の二次電子が放出されるために材料表面は正に帯電する一方である。したがって、最終的には正イオンの加速電圧まで上昇するのである。
これに対して、負イオン注入の場合には、負の電荷のイオンが材料表面に入射され、負の電荷の二次電子が放出されるため材料表面には正の電荷が発生し、表面電位は±数ボルト程度に収まる。したがって、正イオン注入に比べて実効的な加速電圧の変動が少なくなり、そのために注入深さのばらつきを抑制することが可能になる。また、注入を受けるシリコン酸化膜5250やそれを支持するシリコン基板5300が殆ど帯電しないので、絶縁破壊等による欠陥の発生を抑制することも可能になる。
次に、図37Cに示すように、熱処理を行って、注入元素(本実施の形態においては「銀」)を凝集または拡散させる。一旦十分拡散させたり、前出の注入工程において、注入分布濃度の勾配を緩やかにすることによって、図35に示した例のように微粒子5160を均一な粒径で絶縁体5150の全域にわたって略均一に分布させることは可能である。しかし、図36に示した例のように、より好ましい状態を実現するためには、注入濃度分布があまり広がらないように適度に熱処理を行う。これによって、シリコン酸化膜5250中に銀微粒子5260をサイズ効果が顕著になる粒径またはクーロン力もしくはその両方が有効になるような密度で形成すると共に、シリコン酸化膜5250における或る深さCを中心としてその深さから厚さ方向V1,V2に或る範囲内に銀微粒子5260を分布させることができる。また、イオン注入時に発生した欠陥を修復することができる。
この熱処理の温度は、低過ぎると効果が無いが、余りに高温であると注入元素が拡散・溶融するために微粒子を形成することができない。したがって、熱処理の温度は、200℃より高く且つ注入元素の融点未満に設定するのが好ましい。また、熱処理の時間は、一定温度であっても長くすれば、その温度効果は増大するが、余りに長いと粒径が過度に大きくなる場合や注入元素が微粒子を形成すべき領域外まで拡散する場合が生ずる。そのために、熱処理時間は24時間よりも短く設定するのが好ましい。
例えば通常の熱処理炉を用いる場合は、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気中で、熱処理の温度を300℃〜1000℃の範囲内に設定するのが好ましい。但し微粒子の材料として銀を用いている場合は、高温で長時間の熱処理を行うと略均一になるまで拡散してしまうので、この例では、アサヒ理化製作所製のセラミクス電気管状炉を用い、アルゴン雰囲気中で、約600℃の温度で約1時間の熱処理を行った。
尚、上記微粒子5260として、上記「銀」以外のより高融点の材料の例えば「金」等の導電性物質を用いた場合、「金」の場合には、図37に示すように約900℃の高温のアニールでもあまり拡散せず微粒子5260を形成することができる。ところが、例えば「銀」を用いて同様の微粒子を形成した場合には、900℃でアニールを実施すると略均一になるまで拡散してしまう。半導体産業において典型的なシリコンの酸化温度が900℃程度であるから、微粒子5260として高融点材料を用いることが、既存の半導体プロセスと整合性の点で有利である。
以上のようにして、上記シリコン酸化物5250中に銀微粒子5260を適度に分散させて形成した後、図37Dに示すように、シリコン酸化膜5250の層方向(図における左右方向)両側に、エッチングによって、銀微粒子5260の分布を越える深さをもつ溝5251,5252を設ける。更に、蒸着等によって、溝5251,5252を導電性物質で埋め込むことにより第1の電極5210および第2の電極5220を形成する。
また、図37Eに示すように、シリコン酸化膜5250の表面上に、蒸着等によって、第3の電極5230を形成する。
これにより、第3の電極5230とシリコン基板5300(つまり第4の電極5240)とがシリコン酸化膜5250を厚さ方向両側から挟み、第1の電極5210と第2の電極5220とがシリコン酸化膜5250を層方向両側から挟む状態になる。
この第1の電極5210および第2の電極5220および第3の電極5230の材料は、金属または半導体、更には、導電性を有する限り有機物質であっても差し支えない。本実施の形態では金を用いた。また、これらの電極を形成する方法としては、CVD(化学気相成長)や蒸着やMBE(分子線エピタキシ)等を採用することができる。
さらに、水素シンタを実施することが好ましい。そうすることによって、界面準位等の微粒子5260以外の電荷トラップ要因を抑制することができ、動作特性を安定化させて信頼性を向上させることができる。尚、600℃以上で水素シンタを行えば、上記欠陥回復のための熱処理と水素シンタとを同時に行うことが可能になり、工程の簡略化が可能となるためより好ましい。
このようにして作製した抵抗変化機能体5200の、微粒子5260を含んだ層状のシリコン酸化膜5250の断面をTEM(Transmission Electron Microscope; 透過型電子顕微鏡)によって観察した。その結果、図38に示すように、イオン注入された銀が凝集して、粒径が約3nm程度以下のナノメートルサイズの微粒子5260となっていることが分かった。また、シリコン酸化膜5250中で、設定した注入エネルギ(銀イオンの加速エネルギ)から予想される深さCを中心として、厚さ方向V1,V2に関して或る範囲内に既述のように微粒子5260を分布させることができた。すなわち、導電性微粒子5260を構成する銀元素の濃度は、絶縁体5250中の或る位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向V1,V2に離れると低くなっていた。また、導電性微粒子5260の密度は、絶縁体5250中の或る位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向V1,V2に離れると低くなっていた。さらに、導電性微粒子5260粒径は、絶縁体5250中の或る位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向V1,V2に離れると小さくなっていた。
このようにイオン注入によれば、絶縁体5250中に導電性微粒子5260を一度の処理で短時間に高密度に形成できるとともに、絶縁体5250の厚さ方向V1,V2に導電性微粒子5260を好ましく分布させることができる。しかも、イオン注入によれば、導電性微粒子5260を形成するためにフォトリソグラフィやエッチングなどの微細加工技術を要しない。したがって、生産性に優れる。
また、本実施の形態においては、上記絶縁体5250中に導電性微粒子5260を形成するための物質を負イオン注入法により注入しているので、注入時に上記絶縁体5250やそれを支持するシリコン基板5300が帯電するのを抑制することができる。したがって、注入エネルギを正確に制御でき、注入ばらつきを抑制することができる。また、上述のごとく帯電が抑制されるので、帯電によって絶縁体5250が破壊されて欠陥が生じることを防止できる。以上の結果、抵抗変化機能体5200の信頼性を向上させることができるのである。
図39は、上述の方法で作製した抵抗変化機能体5200の常温(25℃)における電流対電圧(I−V)特性のグラフを示している。
この特性は、第2の電極5220を接地し、第1の電極5210に電圧を印加して、第1の電極5210に流れる電流を観測したものである。まず電圧を低い方から高い方へ連続的に変化させると、図39中に特性データS1で示すように電流が増加した。続いて、第3の電極5230と第4の電極5240間に約5Vの電圧を印加した後、再び第1の電極5210と第2の電極5220の間に電圧を印加して同様に電流を観測すると、図39中に特性データS2で示すように、電流が増加した。図39から分かるように、この電流対電圧(I−V)特性から、第3の電極5230と第4の電極5240の間に電圧を印加した後、第1の電極5210と第2の電極5220の間に流れる電流は、測定した電圧範囲内ではどの電圧に対しても少なくなっている。すなわち、抵抗が増大している。この理由を、次に考察する。
図39の特性データS1では、第1の電極5210と第2の電極5220の間に電圧を印加した場合、主に、シリコン酸化膜5250の厚さ方向に関して分布中央C付近に存在する比較的大きな微粒子を層方向に伝って電荷が移動、すなわち電流が流れると推察される。中央C付近の比較的大きな微粒子から厚さ方向V1,V2に離れた領域には比較的小さな微粒子が散在している。この領域は微粒子の粒子が小さく、また隣り合う微粒子の間隔も中央C付近に比べ離れている確率が高い。したがって、小さな微粒子を伝達する電荷は少ないと考えられる。
次に、第3の電極5230と第4の電極5240の間に電圧を印加した時の様子を考察する。この時、電圧の印加方向を考慮すれば、ある一定電圧以上を加えれば、中央C付近の比較的大きな微粒子から厚さ方向V1,V2に離れた領域に存在する比較的小さな微粒子にも、周りの酸化膜をトンネルして電荷が注入されることが容易に推察される。一旦、これら小さな微粒子に電荷が注入されれば、第3の電極5230と第4の電極5240の間の電圧印加をやめても、周囲を絶縁体で囲まれているので、それらの小さな微粒子に電荷が保持されていると考えられる。
この状態で、再び第1の電極5210と第2の電極5220の間に電圧を印加した場合を考察する。この時、中央C付近の比較的大きな微粒子から厚さ方向V1,V2に離れた領域に存在する小さな微粒子には電荷が保持されている。当然、それらの電荷は、中央C付近の大きな微粒子を伝達して第1の電極5210と第2の電極5220の間を移動しようとする電荷に対し、クーロン相互作用を及ぼし、電荷の移動を阻害することが予想される。すなわち、第1の電極5210と第2の電極5220の間を流れる電流は抑制され、特性データS1の状態に比べ電流は減少すると考えられる。つまり、第1の電極と第2の電極の間の電気抵抗を増大させると考えられる。
また、電気抵抗変化の原因は、微粒子が電流の影響により拡散消滅、または凝集大型化した結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。その他、ジュール熱による熱エネルギにより、微粒子から電子が放出された結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。
この抵抗変化機能体5200は、抵抗変化を利用して、電流の大小を読み出すことで2値データを判別し、メモリとして使用することが可能である。また、本発明の抵抗変化機能体は、部分的に電荷の捕獲をするため局所電荷保持機能体と言い換えることもできる。
なお、本抵抗変化機能体5200の第1、第2の電極5210,5220間や第3、第4の電極5230、5240間に過剰な電圧を印加した場合、電流値が著しく増大した。これは絶縁体中に含まれる微粒子が変化したため、あるいは微粒子間の絶縁体が絶縁破壊をおこしたためと思われる。ただし、微粒子間の絶縁体はトンネル障壁であるので絶縁破壊をおこしにくいことから、ジュール熱により微粒子が拡散または凝集したか、電流によるマイグレーションため微粒子の状態が変化した可能性が高いと思われる。
また、通常の絶縁膜等の絶縁破壊を利用するヒューズメモリでは、その絶縁膜等を絶縁破壊させるために高電圧を必要とする。これに対して、抵抗変化機能体を利用する本メモリでは、微粒子間の実質的な絶縁膜厚は薄く、また微粒子間はトンネル可能な絶縁膜厚が大部分であるから、従来のヒューズメモリに比べて低電圧で書き込み動作が可能になる。したがって、本メモリは、低電圧で使用できるヒューズメモリとして用いることも可能である。
なお、サイズ効果の一種のクーロンブロッケイド効果を利用して小さな微粒子に効率的に電荷を保持させる場合、クーロンブロッケイド効果が顕著になるには、微粒子の容量を考えた場合、電荷を離脱させるために必要なエネルギが周囲温度による熱エネルギと比較して十分大きくなければならない。そのためには微粒子を完全導体球と仮定したとき微粒子の半径は0.5nm〜1nm程度必要であろうと推定される。なお、微粒子の粒径が小さくなるにつれてクーロンブロッケイド効果自体は顕著になるが、微粒子の粒径が小さすぎると電荷の注入も難しくなり、高電圧や動作速度の低下が起こるので、デバイス応用の観点からは好ましくない。
また、シリコン酸化膜中に導電性微粒子を形成するために負イオン注入を行っているので、作製後のシリコン酸化膜は単一熱酸化膜と同等の品質を維持しており、非常に信頼性が高いものとなった。また、CVDなどに比して、処理時間が短くなり、生産性に優れる。
また、負イオン注入によれば、既述のように帯電による微粒子のばらつきを抑えられるので、シリコン酸化膜5250の厚さ方向V1,V2に関して微粒子5260の分布がばらつくのを抑制できる。したがって、抵抗変化機能体5200を薄膜化することができ、微細化が可能になる。そのように抵抗変化機能体を薄膜化した場合、第3、第4の電極5230,5240間に同じ電圧を加えても抵抗変化機能体に印加される実効電場が強くなる。したがって、抵抗変化機能体を動作させるための電圧を低電圧化することが可能となり、生産性および低消費電力性に優れる。
図36に模式的に示したように、シリコン酸化膜5250中の微粒子5260を構成する銀元素の濃度は一様ではなく、シリコン酸化膜5250の厚さ方向V1,V2に、微粒子5260を構成する銀元素の濃度が高い領域に連なって銀元素の濃度が低い領域がそれぞれ存在する。同様に、シリコン酸化膜5250中の微粒子5260の密度は一様ではなく、シリコン酸化膜5250の厚さ方向V1,V2に、微粒子5260の密度が高い領域に連なって微粒子5260の密度が低い領域が存在する。同様に、シリコン酸化膜5250中の微粒子5260のサイズは一様ではなく、シリコン酸化膜5250の厚さ方向V1,V2に、微粒子5260のサイズが大きい領域に連なって微粒子5260のサイズが小さい領域が存在する。これらの場合、シリコン酸化膜5250の厚さ方向V1,V2、つまり第3の電極5230と第4の電極5240とが対向する方向に関して、電流が過度に流れにくかったり、過度に流れ易くなったりすることを抑制することができる。したがって、抵抗変化機能体の特性が安定する。
また、負イオン注入の際に斜め注入を行えば、シリコン酸化膜5250の厚さ方向に関して微粒子5260の分布の広がりを抑制することができる。したがって、抵抗変化機能体を薄膜化することができ、微細化に適する。
図40は、本発明の一実施形態の抵抗変化機能体を示す概略断面図である。この抵抗変化機能体6100は、第1の電極6111と、第2の電極6112と、この第1の電極6111と第2の電極6112との間に挟まれた媒体としての絶縁体6101を備える。上記絶縁体6101中には、ナノメートルサイズを有すると共に絶縁体6104によって表面が覆われた導電性微粒子6103を1つ以上含んでいる。
上記抵抗変化機能体6100は、図41A乃至図41Dの工程図に示すようにして作製されている。
本実施形態では、半導体産業で用いられている既存の装置を用いて作製できるように、上記絶縁体6101の材料には、第1の材料としての酸化シリコンを用い、上記微粒子6103の材料には、第3の材料としての銀を用い、上記絶縁体6104の材料には、第2の材料としての酸化銀を用いる。
まず、図41Aに示すように、シリコン基板6300の表面に、シリコン酸化膜6101を熱酸化工程によって形成する。この例では、上記シリコン酸化膜6101の膜厚を約35nmに形成する。なお、上記シリコン基板の上記シリコン酸化膜6101以外の部分は、第2の電極として用いられる。
次に、図41Bに示すように、シリコン酸化膜6101中に、負イオン注入法によって銀6303を導入する。
ここで、注入エネルギが過大であると、上記注入された銀6303のシリコン酸化膜6101における分布範囲が広くなり過ぎて、抵抗変化機能に対して不適切であり、また、上記シリコン酸化膜6101へのダメージが過大になって欠陥を生じてしまう。したがって、注入エネルギは、100keV未満であるのが好ましく、特に、50keV未満に設定するのが、より好ましい。
また、上記銀のドーズ量(単位面積当りの注入量)は、過大であると、導電性微粒子の粒径が過大になり、また、上記シリコン酸化膜6101へのダメージが多くなる一方、過小であると、導電性微粒子の分布密度が過小になる。したがって、上記銀のドーズ量は、1×1012/cm2より多く、かつ、1×1020/cm2より少なく設定するのが好ましく、例えば、1×1014/cm2より多く、かつ、1×1017/cm2より少なく設定するのが好ましい。
本実施形態では、注入エネルギは約15keV、ドーズ量は約1×1015/cm2に設定した。言うまでもまく、注入するイオン種によって、選択すべき注入エネルギおよび注入量は異なる。
また、本実施形態では、イオン注入法として負イオン注入法を採用している。この負イオンを用いた注入法によれば、正イオンを用いた場合のように、注入を受ける材料(本実施形態ではシリコン酸化膜6101)の表面電位が正イオンの加速電圧近くまで上昇することが無くて、上記シリコン酸化膜6101の表面電位を、数ボルト程度の非常に低い値に留めることができる。より詳しくは、正イオン注入法を用いた場合、正の電荷のイオンが上記シリコン酸化膜6101表面に入射した際、負の電荷の二次電子が放出される。したがって、上記シリコン酸化膜6101の表面は、上記正イオンの注入を続けるに伴って正に帯電する一方であり、最終的に、表面電位が上記正イオンの加速電圧にまで上昇する。これに対して、負イオン注入法では、負の電荷のイオンが上記シリコン酸化膜6101表面に入射した際、負の電荷の二次電子が放出される。したがって、上記シリコン酸化膜6101の表面電位は、±数ボルト程度に収まる。その結果、正イオン注入に比べて、実効的な加速電圧の変動が少なくなるため、銀の注入深さのばらつきを抑制することが可能となる。また、注入を受けるシリコン酸化膜6101や、この下方の上記シリコン基板6300が殆ど帯電しないので、絶縁破壊等による欠陥の発生を抑制することが可能となる。本実施形態では、負イオン注入装置として日新電機株式会社製のものを用いた。
次に、上記シリコン酸化膜6101に熱処理を行って、このシリコン酸化膜6101に注入された銀を、凝集または拡散させる。これによって、図41Cに示すように、シリコン酸化膜6101中に、導電性微粒子としての銀微粒子6102を形成する。また、上記熱処理によって、上記イオン注入時にシリコン酸化膜6101に発生した欠陥が、修復される。
上記熱処理の温度は、低過ぎると効果がないが、高過ぎると注入元素(銀)が拡散、溶融するので、微粒子を形成できない。したがって、熱処理の温度は、200℃より高く、かつ、注入元素(銀)の融点未満に設定するのが好ましい。また、上記熱処理は、比較的低い温度であっても、長時間施すことによって上記温度での効果が増大するが、あまりに長時間であると、微粒子の粒径が過大になる場合や、注入元素が、微粒子を形成すべき領域の外の領域まで拡散する場合がある。このため、上記熱処理を施す時間は、24時間より短く設定するのが好ましい。
一般的に、熱処理は、アルゴン等の不活性雰囲気中で行なうが、本実施形態の熱処理は、上記銀微粒子6102の表面を覆う絶縁体を形成する雰囲気中で行なう。すなわち、酸素を含む気相中で熱処理を行なって、上記シリコン酸化膜6101中に銀微粒子6102を形成するとともに、上記シリコン酸化膜6101中に酸素を拡散させる。これによって、上記銀微粒子6102の表面部分に、絶縁性物質であって第2の材料としての酸化銀6104を形成する。つまり、上記第2の材料としての酸化銀は、上記第3の材料としての銀を用いて形成された絶縁物質である。
なお、上記熱処理の温度、時間、気相の流量等の条件は、用いる材料や、形成すべき微粒子の粒径、および、その表面に形成する絶縁体の厚みによって異なる。
本実施形態では、シリコン熱酸化条件よりやや低い温度で数時間程度、酸化雰囲気中で熱処理を行なって、図41Dに示すような酸化銀6104で覆われた銀微粒子6103を形成する。
上記銀微粒子6103の周りには、第2の材料として、酸化物からなる絶縁膜を形成する他に、窒化物からなる絶縁膜を形成してもよい。例えば、導電性微粒子をシリコンで形成する場合、導電体としてのシリコンを注入した後、例えばアンモニア雰囲気中で熱処理を実行する。これによって、シリコン微粒子を形成すると共に、このシリコン微粒子の周りに、絶縁体としてのシリコン窒化物を形成する。
また、初めにアルゴンや窒素等の不活性雰囲気中で熱処理を行って、導電性微粒子がある程度形成されてから、この導電性微粒子が絶縁化される雰囲気中での熱処理に切り替えてもよい。この方法によれば、導電性微粒子の大きさを所望の大きさに調整してから、この導電性微粒子の絶縁化を行うことができるので、上記導電性微粒子の粒径を、正確に所望の大きさに形成することができる。例えば、通常の熱処理炉であれば、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気中において、凡そ300℃〜900℃程度の処理温度が好ましい。例えば、アサヒ理化製作所製のセラミクス電気管状炉を用いて、アルゴン雰囲気中で約700℃の温度によって、約1時間熱処理を行う。この熱処理の条件は銀微粒子の場合であって、導電性微粒子を形成する材料に応じて、最適な熱処理条件は異なる。
さらに、導電性微粒子を形成するための熱処理を比較的低温で行なう場合、媒体としての絶縁膜に、注入によって発生した欠陥を修復するために、500℃〜1000℃程度の熱処理を行うことが好ましい。このとき、熱処理を長時間行うと、導電性微粒子が融解したり拡散したりする不都合が生じるので、RTA(Rapid Thermal Annealing)、すなわち、短時間の熱処理を行うのが好ましい。
なお、導電性微粒子の表面に絶縁体を形成する方法としては、上述のような酸化性雰囲気による熱酸化や窒化性雰囲気による熱窒化処理の他に、酸素あるいは窒素などをイオン注入した後、アニール処理により酸化あるいは窒化などを行う方法がある。この方法によれば、熱処理炉における表面からの熱拡散による方法に比べて、所望の深さに酸素あるいは窒素を供給できる。したがって、例えば、導電性微粒子を含む第1の材料からなる媒体の表面付近について、酸化あるいは窒化等を避けたい場合に、特に有効である。
本実施形態の製造方法によって作製した導電性微粒子および絶縁体の様子を、断TEM(透過型電子顕微鏡)観察によって調べた。その結果、図41Dに示すように、銀イオンの加速エネルギに応じた所定深さに、粒径がおよそ2nm〜3nm程度のナノメートルサイズの銀微粒子6103と、その周りを覆う酸化銀6104とが形成されていることが確認できた。図41Eは、図41Dの一部を拡大したものである。
このように、本実施形態によれば、上記シリコン酸化膜6101中に銀微粒子6102を形成する際、負イオン注入法を用いるので、上記シリコン酸化膜6101の帯電を抑制しつつ、このシリコン酸化膜6101中に、所望の深さに容易に銀を注入することができる。また、上記銀粒子6102を形成するためにイオン注入法を用いるので、従来におけるように導電性膜をエッチングするよりも工程が少なく、また、ナノスケールの微細加工技術を用いることがない。したがって、ナノメートルサイズの微粒子を、良好な生産性で形成できる。
上記シリコン酸化膜6101中に上記酸化銀6104で覆われた銀微粒子6103を形成した後、上記シリコン酸化膜6101上に、第1の電極6111を形成する。この第1の電極6111の材料は、金属または半導体のいずれでもよく、また、導電性を有する限り、有機物質であっても良い。上記第1の電極6111を形成する方法としては、CVD(化学気相成長法)や蒸着、MBE(分子線エピタキシ法)などを採用できる。本実施形態では、通常の真空蒸着法によってAl膜を成膜して第1の電極6111を形成し、これによって、抵抗変化機能体が完成する。
本実施形態の抵抗変化機能体は、上記シリコン酸化膜6101中に、イオン注入および熱処理によって、銀微粒子6102を少ない工程で短時間に高密度に形成できる。上記イオン注入によれば、上記銀微粒子6102を形成するために微細加工技術を要しないので、良好な生産性で抵抗変化機能体が製造できる。
なお、本実施形態では、導電性微粒子として銀微粒子6102を用いたが、銀以外の金、銅などの金属や、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体等の導伝体を用いて導電性微粒子を形成してもよい。ただし、金は酸化されにくいので、微粒子を形成した後に、その周りに絶縁体を形成し難い。これに対して、例えばアルミニウムなどのように、酸化によって表面に強固な酸化被膜を形成する材料を用いることが好ましく、アルミニウムの他に、タングステン、ニオブ、ジルコニウム、チタン、クロム、スズ、コバルト、ニッケル、鉄、アンチモン、鉛などを用いて導電性微粒子を形成してもよい。
また、上記導電性微粒子としての銀微粒子6102は、シリコン基板に熱酸化を施して形成したシリコン酸化膜6101中に形成したが、ガラス基板などの他の絶縁体や、半導体基板等の中に形成してもよい。
また、上記シリコン酸化膜は、熱酸化膜に限らず、CVD法などによって成膜したシリコン酸化膜であってもよく、ポリシリコンやアモルファスシリコンを酸化したものであってもよい。ただし、単結晶シリコンを熱酸化してなるシリコン酸化膜のほうが、膜質がよく、好ましい。さらに、窒化シリコンなどの他のシリコン系絶縁物はもちろん、他の絶縁体を用いることも可能である。
また、本実施形態では、絶縁性物質からなる媒体中に、導電性微粒子の材料を負イオン注入法によって注入しているので、注入時に上記絶縁性媒体やそれを支持する基板が帯電するのを効果的に抑制できる。したがって、上記導電性微粒子の材料の注入深さを正確に制御できて、分布のばらつきを抑制できる。すなわち、導電性微粒子の形成深さおよび領域を、正確に制御できる。また、上記注入時の帯電が抑制されるので、帯電によって絶縁性媒体が破壊して欠陥が生じるのを抑制できる。これらの結果、抵抗変化機能体の信頼性を、効果的に向上することができる。
図42は、上述の方法で作製した抵抗変化機能体6100の常温(25℃)における電流対電圧(I−V)特性を示した図である。
この電流体電圧特性は、第2の電極6112を接地すると共に、第1の電極6111に印加する電圧を変化させた際、この第1の電極6111に流れる電流の変化を示したものである。まず、第1の電極6111の印加電圧を−1V程度から連続的に上昇させると、矢印S1で示すように、電流の絶対値が減少する。これに続いて、0V程度から電圧を連続的に低下させると、矢印S2で示すように、電流値の絶対値が、矢印S1とは異なる経路を通って増加する。そして、印加電圧が−1Vに達したとき、上記矢印S2のように低下した電流の値は、印加電圧が−1Vから上昇を開始したときの当初の電流の値と比べて、絶対値が小さくなる。同一の印加電圧で電流の絶対値が小さくなったことは、抵抗が大きくなったことを意味する。このように、図42に示す電流対電圧(I−V)特性には、ヒステリシスが現れる。これは、上記微粒子6103が、この微粒子を覆う絶縁体6104によって、良好な障壁効果が与えられて互いに孤立していることにより、良好なクーロンブロッケイドの条件が実現されているからだと言える。
また、ヒステリシスの発生原因は、複数の導電体微粒子のうちの極微小な微粒子が、電流の影響によって拡散または消滅したり、あるいは、凝集して大型化した結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。その他、ジュール熱による熱エネルギにより、導電体微粒子から電子が放出された結果、クーロンエネルギが変動したためとも考えられる。
また、上記ヒステリシスが生じる他の原因としては、以下のことが考えられる。すなわち、シリコン酸化膜6101中の複数の銀微粒子6103のうち、所定の銀微粒子6103に1個乃至数個の電荷が蓄積され、この蓄積された電荷によって、この銀微粒子6103の近傍で電流経路を形成する他の銀微粒子6103の電子に対して、クーロン相互作用が及ぶ。その結果、上記電流経路における電流の流れ易さ、つまり電気抵抗が変化すると考えられる。これらのいずれかの効果、あるいは、複数の効果が組み合わさって、上記ヒステリシスが現れると考えられる。
しかしながら、これら以外の要因によってヒステリシスが現れている可能性もある。いずれにせよ、要因の如何にかかわらず、本発明の抵抗機能体によれば、実用上十分に大きなヒステリシスが得られることは明らかである。
なお、上記抵抗変化機能体6100の第1、第2の電極6111,6112間に過剰な電圧を印加した場合、電流値が著しく増大した。これは、上記シリコン酸化膜6101中に含まれる銀微粒子6103が変化したためであると考えられる。あるいは、銀微粒子6103,6103間のシリコン酸化膜6101の部分、または、酸化銀6104のいずれか一方または両方が、絶縁破壊を起こしたためであると考えられる。ただし、上記銀微粒子6103,6103間のシリコン酸化膜6101の部分または酸化銀6104は、トンネル障壁であるので絶縁破壊を起こし難い。したがって、ジュール熱によって、上記銀微粒子6103が拡散または凝集したか、あるいは、上記酸化銀6104が変化したか、あるいは、電流によるマイグレーションによって銀微粒子6103の状態が変化したか、のいずれかであるとも考えられる。
この性質を利用すれば、適正な電圧で動作させる場合と、過剰な電圧を印加する場合とで、電流値の変化に大きな差が生じるため、1つの素子で2つ以上のモードで動作させることも可能である。
本実施形態の抵抗変化機能体6100は、上記ヒステリシスの効果を利用して、電流値の大小を読み出すことで2値データを判別し、メモリとして使用することが可能である。つまり、上記銀微粒子6103および酸化銀6104を含むシリコン酸化膜6101は、メモリ効果を有するメモリ機能体6113として機能する。本発明の抵抗変化機能体は、電子の捕獲をする能力を有していると考えられるため、電荷保持機能体と言うこともできる。
従来、絶縁膜等の絶縁破壊を利用するヒューズメモリでは、その絶縁膜等を絶縁破壊させるために高電圧が必要であった。これに対して、本実施形態の抵抗変化機能体6100は、ヒューズメモリとして用いた場合、実質的な絶縁膜厚に該当する上記銀微粒子6103,6103間のシリコン酸化膜6101および酸化銀6104の部分の厚みは比較的小さく、また、これらの絶縁膜はトンネル可能であるので、従来のヒューズメモリよりも低電圧で書き込み動作が可能になる。したがって、本抵抗変化機能体6100は、低電圧動作のヒューズメモリとして用いることも可能である。
本実施形態では、上記銀微粒子6103の粒径は、TEM観察の範囲において略3nm以下であった。なお、本実施形態と同様の製造方法によって、粒径が略6nm以下、および、略10nm以下の導電性微粒子を有する抵抗変化機能体を作製し、これらの抵抗変化機能体について、I−V特性を測定する実験を行なった。その結果、導電性微粒子の粒径が大きくなるにつれて、I−V特性のヒステリシスは小さくなり、室温よりも低温であっても、ヒステリシスが不明瞭になる傾向を有することが判明した。他の粒径の導電性微粒子についても実験を行なった結果、ヒステリシスを得るためには、導電性微粒子の粒径が11nm以下、好ましくは7nm以下、より好ましくは4nm以下とする必要があることが明らかになった。
なお、本明細書において、「粒径」とは、微粒子の大きさをいい、上記微粒子の形状が略球形である場合や、球形に近似できる場合には、その「直径」に相当する。本発明において、上記微粒子は球形に近いほうが好ましいが、歪んだ形状の粒子や、不完全な導電体を用いる場合には、その容量と同等の容量を有する球形の導体の直径や、その表面積と同等の表面積を有する球体の直径や、その体積と同等の体積を有する球体の直径、あるいは、微粒子において互いに最も離れた2つの点を結ぶ距離のいずれかを、粒径とみなすことが可能である。例えば、微粒子の形状が楕円球体に近似できる場合における「長半径」、あるいは、長半径×短半径×短半径の3平方根などを、粒径とみなすことが可能である。
なお、電荷の保持のためにクーロンブロッケイド効果を用いる場合、クーロンブロッケイド効果が顕著になるには、上記導電性微粒子の容量を考慮して、この導電性微粒子の電荷を離脱させるために必要なエネルギが、周囲温度による熱エネルギよりも十分大きい必要がある。そのためには、導電性微粒子完全導体球と仮定したときに上記導電性微粒子が有すべき半径は、0.5nm〜1nm程度になる。なお、導電性微粒子の粒径が小さくなるにつれてクーロンブロッケイド効果自体は顕著になるが、導電性微粒子の粒径が小さすぎると、第1、第2の電極間に高電圧が必要となるため、デバイス応用の観点からは、過小な粒径は好ましくない。
また、本実施形態の抵抗変化機能体6100は、シリコン酸化膜6101中に銀粒子6102を形成するために負イオン注入を行っているので、上記シリコン酸化膜6101は、注入前のシリコン酸化膜と同等の品質を維持しており、非常に信頼性が高いものとなった。また、CVDなどで導電性微粒子を形成する場合に比べて、微粒子の形成の処理時間が短くなるので、良好な生産性を有する。
また、上記負イオン注入によれば、上述のように帯電による導電性微粒子の分布のばらつきを抑えることができるので、シリコン酸化膜6101の厚さ方向に関して微粒子6102の分布がばらつくのを抑制できる。したがって、上記銀微粒子6103および酸化銀6104を含むシリコン酸化膜6101、すなわち、メモリ機能体6113を薄膜化することができ、微細化が可能になる。このようにメモリ機能体6113を薄膜化した場合、上記第1、第2の電極6111,6112間に印加する電圧が同じであっても、上記メモリ機能体6113に印加される実効電場は、メモリ機能体6113が厚い場合よりも強くなる。したがって、抵抗変化機能体6100でメモリを形成した場合、このメモリの動作電圧を低電圧化することが可能となり、生産性および低消費電力化を、いずれも向上することができる。
図43は、上記抵抗変化機能体と同様の構造を有すると共に、Al膜を蒸着しパターン化してなる第1の電極としての電極6411を備えたメモリ6150を示す図である。すなわち、上記シリコン酸化膜6101が第1の絶縁体であり、上記銀微粒子6103が導電体微粒子であり、上記酸化銀6104が第2の絶縁体である。上記電極6411には、図示しない電源および電流センサを接続する。
図44は、この電極6411を備えたメモリ6150の常温(25℃)における電流対電圧(I−V)特性を示す図である。このグラフを用いて、上記メモリ6150の記憶状態を判別する動作を説明する。
図44に示したメモリ6150の特性は、上記抵抗変化機能体に関する図42におけるのと同様に、シリコン基板6300を接地し、第1の電極6411に電圧を印加して、第1の電極6411に流れる電流を観測して得られたものである。まず、上記第1の電極6411の印加電圧をVwから連続的に上昇させると、矢印S1で示すように、第1の電極6411の電流値が当初のiiから増大する。これに続いて、上記印加電圧がVeに達した後、この第1の電極6411の印加電圧を連続的に低下させると、矢印S2で示すように、矢印S1とは異なる経路を経て電流値が減少する。そして、上記印加電圧がVwにまで低下したとき、この印加電圧を上昇したときの当初の電流値iiよりも絶対値が小さい電流値ijとなる。このように、同一電圧Vwで電流の大きさが小さくなったということは、抵抗が大きくなったと言える。このように、図44に示した電流対電圧(I−V)特性には、ヒステリシスが現れる。
ここで、例えば図44に示すように、書込電圧Vw、消去電圧Veを設定する。そして、メモリウィンドウ(ヒステリシスを生じる電圧値の幅)の中央の電圧値になるように、書込状態と消去状態とを判別するための読出電圧Vrを設定し、判別基準となる基準電流値Ijを設定する。上記読出電圧Vrを印加したときの電流の大きさを読み取り、その電流の読取値と基準電流値Ijとの大小関係によって、このメモリ6150の記憶状態を判別することができる。例えば、上記電流の読取値が基準電流値Ijよりも大きければ消去状態(論理0)であり、上記電流の読取値が基準電流値Ijよりも小さければ書込状態(論理1)であると判別する。
このように、上記抵抗変化機能体を用いたメモリ6150は、2値メモリとして用いることが可能である。
他の実施形態では、銀に換えてシリコンで導電性微粒子を形成することができる。すなわち、シリコン熱酸化膜中に、10keV〜15keVの注入エネルギの下で、1×1015/cm2〜1×1016/cm2のドーズ量でシリコンを注入した。そして、窒化雰囲気中で熱処理を行い、SiO2中に、シリコン微粒子表面がSiNで覆われたSiN/Si微粒子が離散的に存在してなるメモリ機能体を作製した。上記熱処理は、アンモニア雰囲気中でおよそ900℃で数時間施した。
本実施形態で作製したメモリ機能体は、従来のCVDおよびエッチングで形成した微粒子を有するメモリ機能体に比べて、ヒステリシスが大きく(すなわちメモリウィンドウが大きく)、また、良好な電荷保持特性を有する。これは、上記SiN/Si微粒子を含む絶縁膜が、シリコン熱酸化膜であるため、従来のCVD膜や多結晶シリコンの酸化膜よりも良質だからである。さらに、上記シリコン微粒子表面がSiNで覆われており、このSiNは、アニール処理によって厚みが略均一に形成された良質のものであることが影響している。
また、他の実施形態では、銀に換えてアルミニウムによって導電性微粒子を形成する。上記アルミニウムは、5keV〜15keVの注入エネルギの下で、1×1014/cm2〜1××1016/cm2のドーズ量で、シリコン熱酸化膜に注入する。して、600℃以下の温度で熱処理を行う。これによって、SiO2中に、アルミニウム微粒子の表面がアルミナで覆われたAl2O3/Al微粒子が離散存在してなるメモリ機能体を作製した。
本実施形態のメモリ機能体は、従来のメモリ機能体よりもヒステリシスが大きく(すなわちメモリウィンドウが大きく)、また、良好な電荷保持特性を有する。これは、導電性微粒子として、金属であるアルミニウムを用いたことで、優れた電荷蓄積能力が得られるからである。また、上記導電性微粒子を、良好な絶縁体であるアルミナで囲むことで、優れた電荷保持能力が得られるからである。上記アルミナは、いわゆる不動態であり、上記アルミニウム微粒子表面の酸化によって形成された後は、その後は酸化が殆ど進まない。したがって、上記アルミナは、厚みが略均一に形成される。これによって、メモリ動作が安定し、信頼性の高いメモリ機能体が実現できる。
他の実施形態では、メモリ機能体に含まれる微粒子を、他の方法で形成する。すなわち、第1の絶縁体中に、導電性微粒子を形成する材料を加える方法として、イオン注入法に換えて拡散法を用いる。例えば、上記実施形態と同様にシリコン熱酸化膜中にアルミニウム微粒子を形成する場合、上記実施形態と同様にシリコン熱酸化膜を形成した後、このシリコン熱酸化膜上に、真空蒸着装置によってアルミニウム膜を製膜する。蒸着法に換えてスパッタ法を用いても良く、アルミニウム膜が形成できればどのような方法を用いても良い。
その後、凡そ400℃〜600℃程度の温度で熱処理を行い、シリコン熱酸化膜中にアルミニウムを拡散させる。その後、拡散した温度より低温で熱処理を行った後、酸化を行って、第2の絶縁体としてのアルミナを形成する。
その後、上記実施形態と同様に、電極を形成してメモリ機能体を形成する。このメモリ機能体は、注入によってアルミニウム微粒子を形成した実施形態と同様に、優れたメモリ特性を有することが確認された。
本実施形態のメモリ機能体は、拡散法を用いるので、本発明のメモリ機能体をさらに簡単に作製できる。
なお、上記シリコン熱酸化膜上に形成したアルミニウム膜に換えて、Alを含有するシリコン膜を用いた方が、上記シリコン熱酸化膜の表面付近のアルミニウム濃度が高濃度になることを防ぐことができるので、より好ましい。さらに、アルミニウムに代表されるような、酸化物が不動態を形成するような材料を用いれば、酸化によって良質の絶縁体を導電性微粒子の周りに形成することができるので、より好ましい。
本実施形態では、特別な微細加工技術を用いることなく、既存の半導体装置を用いて作製できる。また、近年提案されている単電子トランジスタのように、電子ビーム等の微細加工技術を用いて微粒子を1つのみ作製することも、当然可能である。
また、上記導電性微粒子を形成する際、水素シンタ処理を行なうことは、不要な界面準位などを抑制することができ、安定動作の抵抗変化機能体およびメモリ機能体が得られるので、好ましい。
なお、上述の実施形態では、第1の絶縁体である上記絶縁体6101の材料として、シリコン酸化物を用いたが、シリコン窒化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等を用いることもできる。更には、本発明の一実施形態のように、微粒子表面を絶縁体で覆っている場合には、必ずしも絶縁性物質で形成する必要はない。
また、導電性微粒子を構成する材料として銀を用いたが、上記微粒子6103を構成する材料としては、銅、アルミニウム、錫、ニッケル、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、マンガン、タンタル、チタン、タングステン、インジウム、ガリウム、など他の金属を用いることもできる。また、シリコン、ゲルマニウム等の半導体や化合物半導体を用いることも可能であり、または合金やその他の化合物を用いることも可能である。また磁性体であっても用いることが可能である。ただし単体元素であるほうが、注入が容易であるので好ましい。また、上記微粒子表面を覆う絶縁体としては、上記微粒子を構成する物質の酸化物や窒化物などの化合物のうちで絶縁性の良いものなら何であってもかまわない。
図45A〜図45Eは、微粒子の形成方法を示す工程図である。この例では、絶縁体としてのシリコン酸化膜に、導電性微粒子としての銀微粒子を形成する。
まず、図45Aに示すように、半導体基板としてのシリコン基板7100の表面に、熱酸化工程によって、絶縁体としてのシリコン酸化膜7110を形成する。この例では、およそ50nmの膜厚に形成する。
次に、図45Bに示すように、上記シリコン酸化膜7110中に、導電性微粒子を形成するための物質としての銀を、イオン注入法により導入する。ここで、注入エネルギはあまり高エネルギであると、注入分布が広がり過ぎるので、比較的薄い上記シリコン酸化膜7110への注入に相応しくなく、また、上記シリコン酸化膜7110にダメージを与えて欠陥を生じてしまう。したがって、注入エネルギは、100keV未満が好ましく、特に、50keV未満が好ましい。この例では、上記シリコン酸化膜7110の厚み方向の中央付近に微粒子を形成すべく、約30keVで注入を行った。
また、注入ドーズ量があまりに多いと微粒子の粒径が大きくなりすぎ、また、シリコン膜7110へのダメージも多くなる一方、少な過ぎると、微粒子密度が小さくなり過ぎてしまう。したがって、注入ドーズ量は、1×1012/cm2より多く1×1020/cm2より少ないほうが良い。例えば、1×1013/cm2より多く1×1017/cm2より少ない注入ドーズ量が、より好ましい。この例では、およそ30keVのエネルギ、かつ、およそ1×1015/cm2の注入量で、銀を導入した。
いうまでもなく、イオン種によって、選択すべき注入エネルギ及び注入量は異なる。
また、上記銀を注入するイオン注入法としては、負イオン注入法であるのが好ましい。負イオンを用いて注入を行なった場合、注入を受ける絶縁体(この例ではシリコン酸化膜7110)の表面電位は、正イオンを用いた場合の正イオンの加速電圧近くまで上昇することが無く、数V程度の非常に低い値に抑えることができる。すなわち、正イオン注入法では、正の電荷のイオンが絶縁体の表面に入射した際、負の電荷の二次電子が放出されるので、上記絶縁体表面は正に帯電する一方であり、最終的に正イオンの加速電圧まで上昇する。一方、負イオン注入法の場合、負の電荷のイオンが入射して負の電荷の二次電子が放出し、表面電位は±数V程度に収まるのである。したがって、正イオン注入法と比べて、実効的な加速電圧の変動が少なくなるため、導電性微粒子を形成するための物質(銀)の注入深さのばらつきを抑制することが可能となる。また、上記絶縁体は、殆ど帯電しないので、絶縁破壊等による欠陥の発生を抑制することが可能となる。この例では、日新電機株式会社製の負イオン注入装置を用いた。
続いて、上記銀が注入されたシリコン酸化膜7110に、熱処理を加える。この熱処理によって、注入元素(銀)を凝集または拡散することにより、図45Cに示すように、所定の粒径の銀微粒子7120が形成される。また、イオン注入時に発生した上記シリコン酸化膜7110の欠陥を修復することも可能である。上記熱処理の温度は、あまりに低いと効果がなく、あまりに高温であると注入元素が拡散、溶融して微粒子が形成できない。したがって、上記熱処理の温度は、200℃より高く、注入元素(銀)の融点未満であることが好ましい。また、同一温度であっても、処理時間を長くすればその温度での効果は増大するが、あまりに長時間であると、微粒子の粒径が過度に大きくなる場合や、あるいは、微粒子を形成すべき領域外まで注入元素が拡散する場合があるので、24時間より短いほうが好ましい。
通常の熱処理は、アルゴン等の不活性雰囲気中で実行するが、本発明では、導電性微粒子の表面部分が絶縁化される雰囲気中で実施する。この例では、酸素を含む気相中で熱処理を実施し、銀微粒子を形成するとともに、シリコン酸化膜7110中に酸素を拡散させて銀微粒子の表面に酸素を供給することによって、上記銀微粒子の表面部分を酸化して絶縁化を行なう。
上記熱処理における温度、時間、気相の流量等の条件は、用いる材料や所望の微粒子径およびその表面に形成する絶縁層の厚さによって異なる。
この例では、シリコン熱酸化条件よりもやや低い温度で、数時間程度、酸化雰囲気中で熱処理を実施する。これによって、図45Dに示すように上記銀微粒子7120の表面部分を絶縁化して、酸化銀7140を形成する。
上記熱処理において、酸化による他に、窒化によって絶縁化を行なうこともできる。例えば導電性微粒子を形成する金属としてシリコンを注入した後、例えばアンモニア雰囲気中で熱処理を実行することにより、微粒子の表面に絶縁体としてのシリコン窒化物を形成できる。
また、当初はアルゴンや窒素等の不活性雰囲気中で熱処理を行って、ある程度微粒子が形成されてから、この形成された微粒子が絶縁化される雰囲気中での熱処理に切り替えることもできる。この方法では、上記微粒子の大きさを任意の大きさに調整してから絶縁化を行うことができるので、より多様な大きさの微粒子を正確に形成することができる。例えば、通常の熱処理炉であれば、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気中、おおよそ300℃〜900℃程度で当初の熱処理を行なうのが好ましく、アサヒ理化製作所製のセラミクス電気管状炉を用いて、アルゴン雰囲気中で約1時間熱処理を行うことができる。もちろん、これは銀微粒子の場合であって、微粒子を形成する元素によって、最適な熱処理条件は異なる。
さらに、微粒子形成のための熱処理が比較的低温である場合、注入によって絶縁体に発生した欠陥を修復するために、500℃〜1000℃程度の熱処理を行うことが好ましい。この時、長時間熱処理を行うと、微粒子が融解したり拡散したりするので、RTA(Rapid Thermal Annealing)、すなわち、短時間の熱処理を行うのが好ましい。
この微粒子形成方法によって形成した微粒子の様子を、断面TEM(透過型電子顕微鏡)観察によって調べた。その結果、図45Dに示すように、イオン注入された銀が凝集して、粒径(直径)がおよそ2nm〜3nm程度のいわゆるナノメートルサイズの銀微粒子7130が形成された。そして、この銀微粒子7130を覆うように、酸化銀7140が形成された。上記銀微粒子7130は、銀イオンの加速エネルギから予想される深さに、正確に分布して形成された。図45Eは、図45Dの一部を拡大したものである。
このように、負イオン注入法によれば、注入を受ける絶縁体の帯電効果を抑制できるので、上記絶縁体において、狙い通りの深さおよび濃度の注入を行ない易いという利点を有する。また、注入によって、微粒子を形成するための物質を絶縁体に導入するので、上記絶縁体中の適切位置に散在するナノメートルサイズの微粒子を、一度の工程で形成できる。したがって、従来におけるように、薄膜形成工程とこの薄膜の微細加工工程とを、何度も繰り返す必要が無い。また、ナノスケールの微細加工技術を用いる必要がないので、生産性が良い。
なお、この例では、微粒子として銀を用いたが、その他の金、銅などの金属や、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体等の導伝体を用いることができる。ただし、金は酸化され難いので、微粒子の表面部分の絶縁化が多少困難である。一方、例えばアルミニウムなどのような、酸化によってその表面に強固な酸化被膜を形成する物質は、微粒子を覆う絶縁体が安定して形成される点で好ましく、アルミニウムの他に、タングステン、ニオブ、ジルコニウム、チタン、クロム、スズ、コバルト、ニッケル、鉄、アンチモン、鉛などが好ましい。
また、微粒子を形成する絶縁体として、シリコン基板上の熱酸化膜の例をあげたが、ガラス基板など、その他の絶縁体、あるいは半導体の基板等をも用いることができる。
図46A〜図46Dは、微粒子の別の形成方法を示す工程図である。この微粒子の形成方法では、図45に示した微粒子の形成方法に加えて、微粒子形成工程と絶縁化工程との間に、エッチング工程を設け、上記微粒子が形成された絶縁体の表面から所定深さまでの領域を除去する。
この例では、図45の例と同様に、導電性微粒子として銀微粒子を形成する。
まず、図46Aに示すように、半導体基板としてのシリコン基板7200の表面に、熱酸化工程によって、絶縁体としてのシリコン酸化膜7210を形成する。この例では、およそ100nmの膜厚に形成する。
次に、図46Bのように、上記シリコン酸化膜7210中に、銀をイオン注入法によって導入する。ここで、注入エネルギは注入深さが50nm程度になるように設定する。
通常、上記イオン注入では注入分布が生じて、注入物質の濃度が、所定の深さを最大濃度として、深さ方向にガウス分布に類似した濃度分布となる。この例では、表面からおよそ50nmの深さにおいて、注入された銀が最大濃度となる。したがって、図45の例と同様に導電性微粒子を形成すると、この導電性微粒子は、上記イオン濃度に依存した粒径の分布を形成する。すなわち、注入濃度が最大の深さに、粒径が比較的大きい微粒子が形成され、この粒径が比較的大きい微粒子が形成される位置の上下位置に、粒径が比較的小さい微粒子が形成される。
ここで、この例では、エッチングによって、上記絶縁体(シリコン酸化膜7210)表面から所定の深さまで除去する。これによって、図46Cに示すように、粒径が比較的大きい微粒子が絶縁体表面付近に位置すると共に、上記絶縁体表面付近から基板側に向って、微粒子の粒径が小さくなるようにする。上記絶縁体を除去するエッチングは、ウエットエッチングとドライエッチングのいずれも用いることができる。この例では、上記絶縁体は酸化シリコンであるので、濃度が0.5%の沸酸溶液を用いてウエットエッチングを行なった。
上記エッチング工程で除去する絶縁体の厚みは、この絶縁体への微粒子を形成するための物質の注入深さと、同程度またはそれ以上とする。この例では、表面から約50nmの深さまでエッチングを行った。
その後、図45の例と同様に、例えば熱酸化によって、上記導電性微粒子の表面部分の絶縁化を行なう。これによって、図46Dに示すように、銀微粒子7230の表面に酸化銀を形成する。この絶縁化の工程では、国際電気株式会社製のロードロック式酸化炉を用いた。上記銀微粒子は、シリコン酸化膜7210の表面に近いものほど酸化される度合いが大きいが、上記銀微粒子は、表面に近いものほど粒径が大きい。したがって、絶縁化後の銀微粒子7230の粒径は、深さ方向において、絶縁化前の銀微粒子7220の粒径よりもばらつきが比較的少なくなる。
図47A〜図47Dは、微粒子のさらに別の形成方法を示す工程図である。この例では、イオン注入工程と熱処理工程との間にエッチング工程を備え、導電性微粒子を形成するための物質が注入された絶縁体について、表面から所定深さまでの領域を除去する。
この例では、絶縁体としてのシリコン酸化膜に、導電性微粒子としての銀微粒子を形成する。
まず、半導体基板としてのシリコン基板7300の表面に、熱酸化工程によって、絶縁体としてのシリコン酸化膜7310を形成する。この例では、およそ100nmの膜厚に形成する。
次に、図47Aに示すように、上記シリコン酸化膜7310中に、銀をイオン注入法によって導入する。ここで、注入エネルギは、注入深さが50nm程度になるように設定する。
ここで、上記銀の注入濃度は、上記シリコン酸化膜7310表面からおよそ50nmの深さの領域を最大濃度として、深さ方向に、ガウス分布に類似した濃度分布が形成される。
続いて、図47Bに示すように、上記銀の注入濃度が高い部分が表面付近になるように、上記シリコン酸化膜7310の表面部分をエッチングで除去する。すなわち、上記シリコン酸化膜7210を、上記注入深さと同程度かもしくはそれ以上の深さに亘って、エッチング除去する。この例では、表面から約50nmの深さまでエッチングを行った。エッチングの方法は、図46の例と同様、ウエットエッチングでもドライエッチングでもよい。この例では、濃度が0.5%の沸酸溶液を用いてウエットエッチングを行なった。
その後、図46の例と同様に、上記シリコン酸化膜7310の熱処理、および、銀微粒子の絶縁化を行なう。
まず、上記シリコン酸化膜7310の熱処理を行うことにより、図47Cに示すように、銀微粒子7320が、その粒径がシリコン酸化膜7310の表面付近から基板7300側向って小さくなるように分布して形成される。
そして、上記銀微粒子の表面部分について、熱酸化によって絶縁化を行った。この例では、国際電気株式会社製のロードロック式酸化炉を用いた。その結果、図47Dのように、銀微粒子7330の表面に銀酸化膜が形成されて、上記シリコン酸化膜7310の表面付近の微粒子は比較的厚い銀酸化膜が形成される一方、シリコン基板7300側、すなわち、シリコン酸化膜7310表面から遠い位置の銀微粒子7330は、比較的薄い銀酸化膜が形成された。これによって、絶縁化後の上記銀微粒子7330は、上記シリコン酸化膜7310の厚み方向において、粒径が略同じになった。その結果、形成当初の銀微粒子7320の中心部分であって、絶縁化されずに残った銀微粒子7330の粒径は、上記形成当初の銀微粒子7320に比べて、ばらつきが比較的少ない粒径分布となった。
なお、図45乃至図47の例では、注入工程、熱処理工程、絶縁化工程を別々に行ったが、イオン注入直後であっても、注入条件によっては、熱処理工程を施すことなく微粒子を形成することができる。また、上記絶縁化工程は、例えば熱酸化のように熱を伴う工程であるので、実質的に熱処理工程を兼ねることも可能である。
しかしながら、所望の微粒子を得るための条件が厳しくなったり、工程が不安定になったりするので、夫々別工程とするほうが、大量生産を行なう上では好ましい。
図48A〜図48Dは、微粒子のさらに別の形成方法を示す工程図である。この例では、半導体基板に、導電性微粒子を形成するための物質を注入し、その後に、上記半導体基板の酸化工程を行なう。この半導体基板の酸化工程は、上記物質の注入濃度が高い領域付近まで酸化するように行う。この半導体基板の酸化工程に続いて、例えば希弗酸によってエッチングを行い、上記酸化領域を除去する。この時点で、上記物質の注入濃度が高い部分が表面に現れる。そして、上記注入濃度が高い部分が表面に現れた半導体基板を熱処理して、上記注入した物質の金属を拡散または凝集させて、この時点で、所望の微粒子を形成する。続いて、再び酸化を行い、上記半導体基板の表面部分を酸化すると共に、導電性微粒子の表面部分を酸化して、絶縁化を行なう。
図48A乃至Dは、上述の例と同様に、シリコン酸化膜中に銀微粒子を形成する方法を説明する図である。
この例では、図45乃至図47の例と異なり、シリコン基板中に、シリコン酸化膜が無い状態で、あるいは、薄いパッド膜越しに、銀イオン注入を行う。すなわち、図48Aに示すように、シリコン基板7400中に銀をイオン注入法により導入する。ここで、注入エネルギは、上記銀イオンの注入深さが50nm程度になるように設定した。
ここにおいても、上述の例と同様に、上記銀イオンの注入濃度は、深さ方向において、シリコン基板7400の表面からおよそ50nmの深さの位置が最大濃度となるガウス分布に類似した濃度分布となる。
その後、酸化工程を実行する。すなわち、図48Bに示すように、上記シリコン基板7400を酸化してシリコン酸化膜7410を形成する。このシリコン酸化膜7410とシリコン基板7400との界面付近に、銀の注入濃度が高い部分が位置するように上記酸化を行なう。すなわち、上記シリコン基板7400の酸化深さは、およそ銀の注入深さと同程度またはそれ以上とする。この例では、酸化前のシリコン基板表面から約50nmの深さまで酸化を行った。この酸化を行った時の熱によって、銀微粒子7420が形成される。
次に、上記シリコン酸化膜7410を除去する。この例では、希弗酸によって上記シリコン酸化膜7410を除去する。その結果、図48Cのように、シリコン基板7400の表面付近の銀微粒子7420の粒径が最も大きく、このシリコン基板7400の表面から深さ方向に向って、粒径が小さくなるように分布する銀微粒子7420が形成される。
その後、再び、上記シリコン基板7400について、酸化を行なう。この酸化は、熱酸化法によって行ない、これによって、上記シリコン基板7400の表面に、膜厚が約50nm程度のシリコン酸化膜7440を形成した。その結果、図48Dに示すように、銀微粒子7420の表面部分もまた酸化されて、表面が酸化銀で覆われた銀微粒子7430が形成された。この表面に酸化銀で覆われた銀微粒子7430の粒径について、図47の例と同様に、酸化銀が形成される前の銀微粒子7420の粒径よりも、ばらつきが比較的少ない分布となった。
図49A〜図49Dは、微粒子のさらに別の形成方法を示す工程図である。概して言うと、この例では、導電性微粒子を形成するための物質の注入の前に、この物質の注入を行なう半導体基板上に、パッド酸化膜を形成しておく。
次に、上記パッド酸化膜越しに、上記物質を注入する。この時、上記パッド酸化膜と半導体基板との界面が、上記物質の注入濃度が高い部分になるように、予め上記パッド酸化膜の厚さと注入条件とを設定しておく。
上記物質の注入後、熱処理を施して、導電性微粒子を形成する。その後、例えば希弗酸によって、上記パッド酸化膜のエッチングを行う。
次に、再び酸化を行い、上記半導体基板の表面部分を酸化すると共に、上記導電体粒子の表面部分をも酸化して、絶縁化行なう。上記導電性微粒子は、上記半導体基板の表面付近にあるもの程酸化の程度が大きいが、上記半導体基板の表面付近の微粒子は径が比較的大きいので、絶縁化後の導電性微粒子の径は、上記半導体基板の深さ方向において、ばらつきが比較的少なくなる。
その微粒子形成方法の具体例を、図49A乃至図49Dを用いて説明する。
まず、半導体基板としてのシリコン基板7500の表面に、熱酸化工程によって、パッド酸化膜としてシリコン酸化膜7510を形成する。このシリコン酸化膜7510は、約25nmの厚みに形成する。
次に、図49Aに示すように、上記シリコン酸化膜7510およびシリコン基板7500中に、銀をイオン注入法によって導入する。ここで、注入エネルギは、上記銀の注入深さが、シリコン酸化膜7510とシリコン基板7500との界面付近になるように設定する。この例では、注入深さが約50nm程度になるように注入を行なった。
この例においても、上記銀の注入濃度は、シリコン酸化膜7510の表面から約50nmの深さを最大濃度として、深さ方向にガウス分布に類似した濃度分布となる。
次に、熱処理工程を行って、銀微粒子7520を形成する。上記シリコン酸化膜7510とシリコン基板7500では、母材の違いから、上記銀微粒子7520の形成状態は異なるが、図49Bのように、それぞれの母材中ではイオン濃度に依存した粒径分布をなす。
ここで、酸化膜エッチングによって、パッド酸化膜としてのシリコン酸化膜7510を除去する。このシリコン酸化膜7510を除去した結果、図49Cに示すように、シリコン基板7500表面付近から深さ方向に向って粒径が小さくなるように分布する銀微粒子7520が得られる。上記エッチングは、ウエットエッチングとドライエッチングのいずれも用いることができる。この例では、濃度が0.5%の沸酸溶液によるウエットエッチングを行なった。
その後、図48の例と同様に、熱酸化工程によって、シリコン基板7500の酸化、および、微粒子の絶縁化を行なう。この工程では、国際電気株式会社製のロードロック式酸化炉を用いた。この熱酸化工程によって、絶縁体7540の表面に近い銀微粒子7530ほど酸化銀が厚く形成されたが、上記絶縁体7540表面に近い微粒子は、絶縁化前の粒径が上記表面に近いほど大きいので、上記絶縁化後において、銀微粒子7530の粒径は、絶縁化前よりも粒径のばらつきが少なくなった。
また、上記熱酸化工程によって、上記シリコン基板7500の表面に、約30nmの厚みの酸化膜7540が形成された。
図50A〜図50Dは、微粒子のさらに別の形成方法を示す工程図である。概して言うと、この例では、図49の例に対して、パッド酸化膜をエッチングする工程と熱処理工程との順序が違う。
すなわち、この例では、パッド酸化膜を介して、微粒子を形成するための物質の注入を行ったのち、上記パッド酸化膜を除去し、その後、熱処理を実施して導電性微粒子を形成する。この後、酸化工程を実施して、半導体基板を酸化すると共に、導電性微粒子の表面部分を酸化して絶縁化を行なう。
図50A乃至図50Dは、上記導電性微粒子として銀微粒子を形成する方法を具体的に示している。
まず、半導体基板としてのシリコン基板7600の表面に、熱酸化によってパッド酸化膜としてのシリコン酸化膜7610を形成する。この例では、約25nmの厚みに形成した。
次に、図50Aに示すように、上記シリコン酸化膜7610およびシリコン基板7600中に、イオン注入法によって銀を導入する。ここで、注入エネルギは、最大の注入深さがシリコン酸化膜7610とシリコン基板7600との界面付近になるように設定する。この例では、約50nm程度の注入深さになるように設定した。
この例では、上記銀の注入濃度は、シリコン酸化膜7610表面から約50nmの深さが最大濃度となるガウス分布に類似した分布となる。
次に、図50Bに示すように、酸化膜エッチングによって、シリコン酸化膜7610を除去し、上記銀の注入濃度が高い部分が表面付近になるように加工する。上記エッチングは、ウエットエッチングとドライエッチングのいずれも用いることができる。この例では、除去すべきパッド膜が酸化シリコンであるので、濃度が0.5%の沸酸溶液を用いたウエットエッチングを行なった。
なお、条件に応じて、銀イオンを注入した時点で銀微粒子が形成される場合がある。
その後、熱処理および酸化工程を行なう。
まず、熱処理を行って、図50Cに示すように、シリコン基板7600の表面付近から深さ方向に向って粒径が小さくなるように分布した微粒子7620を形成する。
そして、熱酸化によって、絶縁化工程を行う。この例では、国際電気株式会社製のロードロック式酸化炉を用いた。その結果、図50Dに示すように、シリコン基板7600上に、厚みが約30nmのシリコン酸化膜7640が形成される。また、このシリコン酸化膜7640の表面近傍の銀微粒子7630は、比較的厚い酸化銀が表面に形成され、上記シリコン酸化膜7640の深さ方向に向うにつれて、銀微粒子7630の表面に形成される酸化銀は厚みが薄く形成された。その結果、上記絶縁化後の銀微粒子7630は、絶縁前の銀微粒子7620と比べて、上記シリコン酸化膜7640の深さ方向において、粒径のばらつきが比較的少なく形成された。
図45乃至図50の例では、導電性微粒子の材料として銀を用いたが、銀以外の例えば金、銅、アルミニウム、錫、ニッケル、白金、亜鉛、ハフニウム、マンガン、タンタル、チタン、タングステン、インジウムなど他の金属を用いることもできる。
特に、アルミニウムなどのように表面に緻密な酸化被膜を形成する物質は、微粒子を欠陥の少ない絶縁体で囲むことができるため、このアルミニウム微粒子に電荷が保持された場合、効果的に電荷のリーク現象を抑制することができる。したがって、電荷の保持特性の優れたメモリ機能体が形成できる。
また、上記導電性微粒子には、シリコン、ゲルマニウム等の半導体を用いることも可能であり、半導体以外の合金や化合物を用いることも可能である。
特に、上記導電性微粒子としてシリコンを用い、このシリコン微粒子を、酸化または窒化によって絶縁化して、上記シリコン微粒子の表面にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を形成した場合、上記シリコン微粒子に保持された電荷に対して、有効な障壁として機能することができる。すなわち、電荷のリークが殆ど無くて、良好な保持特性を有するメモリ機能体を形成することができる。
上述の例において、導電性微粒子の材料をイオン注入によって絶縁体中に導入する工程において、上記注入を、上記絶縁体の表面に対して鋭角をなす方向から行なっても良い。
具体的には、シリコン基板上に形成したシリコン酸化膜に、このシリコン酸化膜表面の法線に対して約70°程度の入射角をなして、銀負イオンを注入する。上記シリコン酸化膜厚は、約100nmである。上記銀負イオンの注入条件は、図50の例におけるのと略同様の条件である。
この後、図50の例と同様に、熱処理工程を行なって銀微粒子を形成した結果、この銀微粒子は、上記シリコン酸化膜の深さ方向において、図50の例よりも狭い幅に分布して形成された。この例では、図50の例に対して約半分程度の厚みの領域に銀微粒子を形成することができた。
ここで、正イオンを用いた注入法では、注入を受けるシリコン酸化膜などの絶縁体が帯電してしまい、鋭角をなして銀イオンの注入を行っても、銀イオンの注入分布が広がる場合や、所望の注入深さが得られない場合が多い。これに対して、この例では、負イオン注入法を用いるので、上記シリコン酸化膜が高電圧に帯電することがなく、注入した銀イオンを設定通りに分布させることができ、その結果、所望の深さに比較的狭い分布幅をなして微粒子を形成することができる。したがって、例えば、シリコン基板上に形成されて銀イオンの注入を受けるシリコン酸化膜を薄膜化しても、上記シリコン基板まで銀イオンを注入してしまうといった不都合を避けることが可能となる。
同様の条件で、シリコン酸化膜厚を約50nmに薄膜化した試料に銀微粒子を形成した結果、厚みが100nmの上記シリコン酸化膜と同様に、所定の深さの領域に渡って正確に銀微粒子を形成することができた。また、注入エネルギを低エネルギ化することや、上記シリコン酸化膜表面に対する注入角度を高角にすることによって、さらに、上記シリコン酸化膜を薄膜化することが可能となる。
図51Aは、導電性微粒子の材料を絶縁体に注入するための装置を示す概略図である。この装置を用いて、導電性微粒子を形成する母体に、上記導電性微粒子の材料の注入を行いながら、表面をエッチングする。例えば、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜に銀イオンを注入しながら、上記シリコン酸化膜に対して異方性エッチングを行う。
図51Aに示すように、この装置は、ドライエッチング装置の反応室7710に、イオン注入装置のビーム輸送部7720の出口を設け、イオン注入装置の注入室を兼ねる構造を有する。このドライエッチング装置は、コイル7740、マイクロ波導波管7750、エッチングガス導入管7760、真空排気口7770を有する。また本装置では、ビーム輸送部7720の周りに磁気シールド7780を設けて、コイル7740などからの外部磁場によってイオンビームが影響を受けるのを防いでいる。
また、この例では、絶縁体への導電体イオンの斜め注入を実施すべく、図51Bに示すように、イオンの入射方向が、基板保持台7730の法線に対して約70°の角度を有する構造になっている。また、ビーム輸送部7720の取り付け方向を変更することによって、あるいは、ビーム輸送部7720にビーム径路の変更機構を備えることによって、上記導電体イオンの注入方向を所望の方向に設定することも可能である。
あるいは、基板保持台7730に可動機構を備えることにより、基板保持台7730の傾きを変化することによって、基板上の絶縁体に対する注入方向を任意に設定することができる。図51Bは、図51Aの状態から基板保持台7730のみを約15°傾けた状態を模式的に示した図である。したがって、図51Bの状態では、導電体イオンの注入角度は約55°となる。
ここで、シリコン基板上の膜厚が約40nmのシリコン酸化膜に対して、図51Aの装置を用いて、銀負イオンを約30keVの注入エネルギで1×1015/cm2程度注入した。これと共に、ドライエッチングによって、上記シリコン酸化膜を一定レートで約10nmエッチング行った。この例では、ビームの平均電流密度は約1μA/cm2であり、エッチングレートはおよそ4nm/min程度であった。
その後、図45乃至図50の例と同様の方法で熱処理を行った。上述の例では、シリコン酸化膜表面から所定の深さにおいて、最も大きい粒径の微粒子が形成され、この所定深さの上下に、上記粒径よりも小さい粒径の微粒子が形成された。また、微粒子の密度が、シリコン酸化膜の膜厚方向において、不均一になる傾向があった。しかしながら、この図51の装置を用いた例では、上記シリコン酸化膜の表面付近から約10nm程度の深さまでの領域において、比較的均一な粒径の銀微粒子の分布が得られ、上記微粒子の大きさや密度のばらつきが少なくなった。
また、この例では、上記絶縁体の表面に対して鋭角をなす方向から微粒子材料を注入する斜め注入を行なっているので、微粒子の形成される領域は、絶縁体の膜厚方向において狭い範囲に設定することが可能である。また、上記微粒子材料の注入角度を調節すれば、上記絶縁体における微粒子の形成範囲を調整することが可能である。さらに、この例におけるように、負イオンを用いることによって、さらに微粒子形成範囲のばらつきを抑制することが可能になるので、微粒子の形成範囲を良好な精度で調整することができる。
さらに、上記微粒子の絶縁化工程を行なうことによって、他の実施形態と同様に、導電性微粒子の粒径を縮小することができ、また、上記導電性微粒子の電荷保持特性を向上することができる。特に、この例では、上記絶縁体の膜厚方向において、狭い範囲に導電性微粒子を形成することができるので、絶縁体の薄膜化を行なうことができる。また、上記導電性微粒子を、薄膜中の狭い厚み方向の範囲に形成できるので、短い時間で略全ての微粒子表面を絶縁化することができ、絶縁化工程の時間の短縮を行なうことができ、また、微粒子表面の絶縁化のばらつきを抑制できるので、信頼性と生産性を向上することができる。
図52Aは、一実施形態の抵抗変化機能体を示す模式図である。図52Bは、図52Aの一部を拡大した図である。この例では、導電性基板上の絶縁体中に、本発明による微粒子の形成方法により作製したナノメートルサイズの導電性微粒子を形成し、さらに、上記絶縁体の上に、通常用いられる方法で電極を形成して、抵抗変化機能体を構成した。
この抵抗変化機能体は、第1の導電体としての基板7800上にシリコン酸化膜7810を備え、このシリコン酸化膜7810中に、銀酸化膜7825で覆われた銀微粒子7820が形成されている。上記シリコン酸化膜7810上に、第2の導電体としてのアルミニウムで形成した電極7830を設けている。
上記抵抗変化機能体のシリコン基板7800とアルミニウム電極7830との間に電圧Vgを印加したときの上記シリコン酸化膜7810の容量Cを測定して実験を行なった結果、図53に示すような曲線が得られた。図53において、横軸が電圧Vg(V)であり、縦軸が容量C(pF)である。図53から分かるように、上記抵抗変化機能体は、ヒステリシス特性を示す。このように、この例のナノメートルサイズの銀微粒子7820を含むシリコン酸化膜7810は、ヒステリシス特性を有するので、上記シリコン基板7800とアルミニウム電極7830との間に同一電圧を印加したときの容量の大小を比較することによって、2値の判別を行うことができ、メモリ機能を奏することができる。
また、この抵抗変化機能体は、負イオン注入を用いて作製されているので、上記シリコン酸化膜7810は、単一熱酸化膜と同等の品質を有している。したがって、この抵抗変化機能体は、信頼性が非常に高く、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって絶縁膜および微粒子を形成する場合と較べて、製造にかかる時間が短いので、優れた生産性を有する。
また、負イオン注入によって銀イオンを注入するので、帯電による銀微粒子の形成位置のばらつきを抑えることができ、上記銀微粒子を含むシリコン酸化膜7810は、薄膜化と微細化が可能である。さらに、厚みが比較的厚い場合と比較して、電極間に同じ電圧を加えても、シリコン酸化膜7810にかかる実効電場が強くなるので、抵抗変化機能体の低電圧化が可能となり、生産性および低消費電力性を向上することができる。
また、上記銀イオンの注入の際に、シリコン酸化膜7810の表面に対して鋭角をなして注入を行うので、シリコン酸化膜7810の厚み方向における銀微粒子7820の分布の広がりを抑制することができる。したがって、上記シリコン酸化膜7810は薄膜化が可能となり、効果的に微細化を行なうことができる。
なお、上記シリコン酸化膜7810の厚みについて、図45中のシリコン酸化膜7110を用いて、シリコン酸化物のみを増やして70nmに厚みを増大した試料を形成し、この試料に電位差を与えて実験を行なった。その結果、上記試料の膜では、電位差を10V近くまで上昇させなければメモリ機能体として動作しなかった。また、10Vの電位差を与えると、絶縁破壊が生じてしまった。したがって、上記シリコン酸化膜7810の厚みは、70nm未満であることが好ましい。
また、この抵抗変化機能体を、従来のDRAMのキャパシタにもちいれば、リフレッシュが必要ないか、あるいは、少なくともリフレッシュ回数を大幅に削減できる低消費DRAMが実現可能となる。また、強誘電体メモリの強誘電体のような特殊な材料を用いる必要が無いので、簡単な工程で成作でき、優れた生産性を有するDRAMが得られる。
なお、上記銀微粒子7820の大きさは、大きすぎると微細化が困難になる一方、小さすぎるとメモリ機能が低下するので、ナノメートルサイズ、すなわち、1μm未満の大きさが好ましく、特に、粒径が、0.1nmより大きく4nmより小さい範囲に含まれる銀微粒子7820が多数となるのが好ましい。
電極は導電性の物質であれば、金属あるいはポリシリコン等の電導性を有する物質を用いることができる。
この例において、媒体としてのシリコン酸化膜7810中に、酸化銀7825で覆われた導電性微粒子としての銀微粒子7820を形成した場合を説明したが、上記導電性微粒子は、金、銅、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム、タングステン、ニオブ、ジルコニウム、チタン、クロム、スズ、コバルト、ニッケル、鉄、アンチモンおよび鉛などの他のもので形成してもよい。この導電性微粒子の材料に応じて、この導電性微粒子を酸化または窒化してなる絶縁体によって、上記導電性微粒子を覆うように形成すればよい。また、上記導電性微粒子および絶縁体が形成される媒体(絶縁体)は、上記シリコン酸化物に限らず、シリコン窒化物、ガラス基板および他の半導体などで形成してもよい。
また、図52の例とは異なる材料によって抵抗変化機能体を作製しても良い。例えば、シリコン熱酸化膜中に、銀に換えてシリコンを、10keV〜15keVの注入エネルギの下で、1×1015/cm2〜1×1016/cm2の注入量で注入する。そして、熱処理を窒化雰囲気で行って、シリコン微粒子の表面をSiNで覆ってなるSiN/Si微粒子を形成する。上記熱処理は、アンモニア雰囲気中で約900℃の温度の下で、数時間行なう。
この例で作製した抵抗変化機能体は、従来のCVDでシリコン微粒子を形成して作製した抵抗変化機能体に比べて、ヒステリシスが大きく(すなわちメモリウィンドウが大きく)、また、電荷の保持特性にも優れていることが分かった。これは、微粒子を含む媒体となる絶縁体が、シリコン熱酸化膜であるため、CVD膜や多結晶シリコンの酸化膜よりも良質であることによる。また、上記シリコン微粒子の表面に、CVDによるSiN膜ではなく、アニール処理によってSiN膜を形成するので、上記シリコン微粒子とSiN膜との間に形成される界面準位が少なくできて、保持電荷のリークが少ない優れた特性が得られることによる。
また、銀に換えてアルミニウムによって、導電性微粒子を形成しても良い。シリコン酸化膜に、アルミニウムを、5keV〜15keVの注入エネルギで、約1×1014/cm2〜1×1016/cm2の注入量で注入し、上の例と同様に熱処理を行なう。この熱処理温度は、600℃以下である。これによって、アルミニウム微粒子表面がアルミナで覆われてなるAl2O3/Al微粒子が、離散的に存在するシリコン酸化膜を有する抵抗変化機能体が作製できた。
この例の抵抗変化機能体は、従来の方法で作製した微粒子を有する抵抗変化機能体よりもヒステリシスが大きく(すなわちメモリウィンドウが大きく)、また、優れた電荷保持特性を有する。これは、導電性微粒子は、金属であるアルミニウムを用いたので電荷蓄積能力が優れていることと、この導電性微粒子を、良好な絶縁体であるアルミナで囲んでいるので電荷保持能力が優れていることによる。また、上記アルミナは、いわゆる不動態であり、上記アルミニウム微粒子の表面に酸化でアルミナが形成された後は、それ以上酸化が殆ど進まないため、電荷に関する特性が殆ど変化しない。その結果、安定的なメモリ動作と信頼性の高いメモリ機能体が実現できる。
また、イオン注入法とは異なる方法で導電性微粒子を形成しても良い。すなわち、媒体としての絶縁体に導電性微粒子を形成する材料を加える方法として、イオン注入法に換えて拡散法を用いた。例えば、シリコン酸化膜にアルミニウム微粒子を形成した後、図45の例と同様に、シリコン酸化膜を形成する。このシリコン酸化膜上に、真空蒸着装置でアルミニウムを蒸着してアルミニウム膜を製膜する。蒸着法に換えてスパッタ法を用いても良く、アルミニウム膜が形成できればどのような方法を用いても良い。
その後、およそ400℃〜600℃程度で熱処理を行い、上記シリコン酸化膜中にアルミニウムを拡散させた。その後、上記拡散した温度より低温で熱処理を行い、その後、更に酸化を行った。
その後、上述の各例と同様に、電極を形成して抵抗変化機能体を形成した。この抵抗変化機能体は、上述の各例と同様に、優れたメモリ特性を有することが分かった。
この例によれば、拡散法を用いることによって、イオン注入によるよりも簡単に、優れた特性の抵抗変化機能体を作製できる。
なお、アルミニウム膜に換えてAlSi膜を用いた方が、媒体としての絶縁体の表面付近が非常に高濃度になることを防ぐことができるため、より好ましい。また、導電性微粒子として、アルミニウムに代表されるような、酸化物が不動態を形成する材質を用いれば、微粒子の周りを、酸化によって良質の絶縁膜で覆うことができるので、他の材質よりも有利である。
図54は、一実施形態のメモリ素子を示す模式図である。この例では、半導体基板上の絶縁体中に、上記微粒子形成方法によって作製したナノメートルサイズの導伝性微粒子を形成し、さらに、上記絶縁体の上に通常用いられる方法で電極を形成する。上記電極は導電性の物質であれば金属あるいはポリシリコン等の電導性を有する物質を用いることができる。そして、上記半導体基板に、フラッシュメモリ等通常のトランジスタで用いられる方法でソース・ドレイン領域を形成し、電界効果型トランジスタを構成して、本発明のメモリ素子を作製した。
具体的には図54に示すように、例えばシリコン基板上8000のシリコン酸化膜8010中に、銀酸化膜でくるまれた銀微粒子を形成する。このシリコン酸化膜8010上にアルミニウム膜を形成し、このアルミニウム膜から、フォトリソグラフィおよびエッチングによってゲート電極8020を作製する。そして、通常のイオン注入法によって、上記シリコン基板8000にソース/ドレイン領域8030を形成する。さらに、通常の方法によって配線工程を実施し、トランジスタを形成する。
この例で作製したメモリ素子は、図52の例で述べた容量の大小に対応して、閾値の大小が得られた。すなわち、書き込みおよび消去を行うには、フローティングゲート型メモリと同様に、ゲート電極8020に十分大きな正または負の電圧を印加する。読み出しを行なうには、ソース/ドレイン8030間に流れる電流を検出すればよい。このメモリ素子では、ゲート電極8020に+15Vを印加した直後と、−15Vを印加した直後とで、閾値におよそ2Vの差が生じた。したがって、このメモリ素子は、フラッシュメモリなどと同様のメモリ動作を行なうことができる。
また、このメモリ素子は、上記微粒子形成方法によって微粒子が形成されたシリコン酸化膜8010を備え、このシリコン酸化膜8010は薄膜化が可能であるので、微細化、低電圧化が可能である。さらに、フラッシュメモリのような複雑な工程を必要とせず、強誘電体メモリのように特殊な材料を用いていないので、優れた生産性を有する。
なお、この例では、ゲート絶縁膜(シリコン酸化膜8010)の厚さを約50nmとしたが、更に薄膜化が可能であるのはいうまでもなく、微粒子の大きさより薄くならない範囲で薄膜化を図ることができる。上記ゲート電極は5nm未満とすることが好ましく、これによって、メモリ素子の低電圧化が可能となって、10V未満で駆動可能となる。
また、ゲート絶縁膜として、シリコン熱酸化膜を約5nm〜10nm程度の厚みに薄膜化したものを用いても良い。すなわち、そのように約5nm〜10nm程度の厚みに薄膜化したゲート絶縁膜を用いて電界効果型トランジスタを構成し、メモリ素子を作製する。このメモリ素子は、上記ゲート絶縁膜以外は、図54の例と同様の構成を有する。
上記ゲート絶縁膜は、図52の例と同様の方法で作製したが、イオン注入工程では、シリコン熱酸化膜の表面の法線に対して約65°〜80°程度をなす入射角で、銀イオンの注入を行った。また、上記イオン注入時のシリコン熱酸化膜の厚みは約25nmであり、その後の工程で、上記シリコン熱酸化膜を約10nm〜20nm程度エッチングして、薄膜化した。
このメモリ素子について、図52の例と同様に測定を行った結果、ゲートに+3V印加した直後と−3V印加した直後とで、閾値にしておよそ2Vの差が生じた。
このように、このメモリ素子は、通常のフラッシュメモリでは動作が困難な低電圧でも、フラッシュメモリ等と同様のメモリ動作が可能であることがわかった。
これは、上記ゲート絶縁膜として働くシリコン酸化膜において、このシリコン酸化膜中の導電性微粒子が、酸化物で覆われているので、量子効果を顕著に発現させることが可能になったため、低電圧で電子を微粒子に注入可能になったからであると考えられる。さらに、クーロンブロッケイド効果等により、電子のリークを抑制されるためと考えられる。
上記微粒子形成方法によって形成された微粒子を有するゲート絶縁膜を備えたメモリ素子は、そのゲート絶縁膜の厚さを、このゲート絶縁膜に含まれる微粒子の大きさよりも薄くならない程度に薄くするのが好ましく、具体的には、5nm未満とすることが好ましい。これによって、メモリ素子の低電圧化が可能になり、10V未満で駆動可能となる。
また、上記微粒子形成方法を用いたメモリ素子は、製造が容易であり、従来のシリコンプロセスとの親和性を有するので、例えば携帯電話等のように集積回路を用いるあらゆる電子機器に組み込み可能である。これらの電子機器は、上記メモリ素子を備えることによって、効果的に小型化、低消費電力化を実現することができる。
以上の例では、分かり易く、無機材料を用いた例をあげてきたが、たとえば、有機材料を用いることは、有機材料の多様な機能および機能設計の自由度から好ましい。例えば、微粒子の表面に有機高分子を結合させることにより化学修飾を行い、その表面が有機物で覆われた微粒子を他の物質中に拡散させることが可能である。例えば、上記表面が有機物で覆われた微粒子を溶液に拡散させ、その溶液をある基板上に塗布していくことで、第1材料が上記溶液で、第3材料は上記微粒子を形成している材料で、第2材料は上記有機高分子で化学修飾された上記微粒子の材料である、本発明の抵抗変化機能体を構成することができる。
例えば、金微粒子にチオール基を有する例えばアルキル-チオール(CH3-(CH2)n-SH、nは整数)で修飾すると金微粒子は表面がアルキル-チオールという有機物で囲まれた構造になる。この金−チオール粒子を例えばSOG(スピンオングラス)に混ぜて絶縁体中に金−チオール粒子を備えた構造を作成することができる。
あるいは酸化シリコンが親水性であることと、鎖状の有機分子では鎖の一端を親水性にし他端を疎水性にすることができることを利用し、シリコン微粒子の表面を酸化した上にさらに上記のような有機物を表面に修飾して、表面がシリコン酸化物と有機物といった、異なる2層で覆われたような構造を作成することもできる。
次に、図示のモデルを用いて本発明の抵抗変化機能体の動作を考察する。
図55A,図55Dは、それぞれ絶縁体9150中に比較的小さな微粒子9161と比較的大きな微粒子9160とを1対含む抵抗変化機能体9100,9200を模式的に示している。比較的小さな微粒子9161は図において上側、比較的大きな微粒子9160は図において下側に配置されている。図55Aの抵抗変化機能体9100では、上記絶縁体9150に対して、図において左右方向からそれぞれ第1の電極9110、第2の電極9120が接すると共に、図において上方向から第3の電極9130が接している。図55Dの抵抗変化機能体9200では、上記絶縁体9150に対してさらに、図において下方向から第4の電極9140が接している。
図55Cに示すように、第1の電極9110と第2の電極9120との間に電圧を印加した場合、主に、比較的大きな微粒子9160を伝って電荷が移動、すなわち電流(図中に矢印で示す。)が流れると推察される。比較的小さな微粒子9161は、比較的大きな微粒子9160に比べ、電気容量も小さく、また断面積も小さいので抵抗が高いため、電荷が移動するにはより大きな電圧を必要とする。このため、比較的小さな微粒子9161を介して電荷は移動しがたい。特に微粒子の大きさがナノメートルサイズの微粒子であれば、サイズ効果によりクーロンブロッケイド効果が有効になることがある。この場合には更に大きな微粒子9160に比べ、小さな微粒子9161には電荷が移動しがたくなる。
一方、図55B中に示すように第3の電極9130から移動しようとする電荷、または、図55E,図55F中に示すように第3の電極9130と第4の電極9140との間を移動しようとする電荷は、比較的小さな微粒子9161を伝って移動する可能性が高い。
このように絶縁体9150に含まれる複数の微粒子として、比較的小さな微粒子9161と、比較的大きな微粒子9160の少なくとも2種類の微粒子が存在し、第1の電極9110と第2の電極9120との間を移動する電荷は比較的大きな微粒子9160を伝って移動できるが、第3の電極9130から(または、第3の電極9130と第4の電極9140との間を)移動しようとする電荷は比較的小さな微粒子9161を伝って移動する可能性の高い構造を有していることが好ましい。
なお、図中の矢印は分かり易く説明するためのもので、本発明を限定するものではない。例えば、2本の矢印は重ならぬように意図的にずらして見やすくしている。
図56Aは、絶縁体9150中に比較的小さな微粒子9161と比較的大きな微粒子9160との対が層方向(図において左右方向)に複数一定ピッチで並んで配置されている抵抗変化機能体9130を模式的に示している。先の例を同様に、比較的小さな微粒子9161は図において上側、比較的大きな微粒子9160は図において下側に配置されている。このような構造であれば、図56B中に拡大して示すように、隣接する比較的小さな微粒子9161同士の間隔d2は、隣接する比較的大きな微粒子9160同士の間隔d1に比べて広くなっている。
このモデルで、図56A中に示した第1の電極9110と第2の電極9120との間に電圧を印加した場合、電荷は小さな微粒子9161を伝達せずに大きな微粒子9160を伝達すると考えられる。
次に、第3の電極9130(と第4の電極9140との間)に電圧を印加した場合、電圧の印加方向を考慮すれば、ある一定電圧以上を加えれば、比較的小さな微粒子9161にも周りの絶縁体9150をトンネルして電荷が注入されることが容易に推察される。
一旦、これら小さな微粒子9161に電荷が注入されれば、第3の電極9130(と第4の電極9140との間)の電圧印加を停止しても、小さな微粒子9161の周囲は絶縁体9150で囲まれているので、小さな微粒子9161に電荷が保持された状態になると考えられる。
この状態で、再び第1の電極9110と第2の電極9120との間に電圧を印加した場合、主に電流が流れるであろう比較的大きな微粒子9160の近くの小さな微粒子9161には電荷が保持されているから、それらの電荷は第1の電極9110と第2の電極9120との間を大きな微粒子9160を伝達して移動しようとする電荷に対してクーロン相互作用を及ぼし、電荷の移動を阻害することが予想される。すなわち、第1の電極9110と第2の電極9120との間を流れる電流は抑制され、はじめの状態に比べて減少すると考えられる。つまり、第1の電極9110と第2の電極9120との間の電気抵抗が増大すると考えられる。
また、この動作は、図56Cに示すような、絶縁体9150中に比較的小さな微粒子9161と比較的大きな微粒子9160とがそれぞれ層方向に分布している抵抗変化機能体9400でも同様に生ずると考えられる。
これらの抵抗変化機能体9300,9400では、抵抗変化を利用して、電流の大小を読み出すことで2値データを判別し、メモリとして使用することが可能である。また、本発明の抵抗変化機能体は、部分的に電荷の捕獲をするため局所電荷保持機能体と言い換えることもできる。
図57A,図57Bは、これらの抵抗変化機能体9300,9400における大きさの異なる2つの微粒子9160,9161の間の位置関係を示している。図示のように、層方向に沿った面9031に対して、比較的大きな微粒子9160と比較的小さな微粒子9161を結ぶ直線9032が、交わる角度θが、45°以上であることが好ましい。なぜなら、上記角度θが45°未満であると、第1の電極9110と第2の電極9120との間に電圧を印加した場合に比較的小さな微粒子9161に電荷が注入される可能性があり、そのため、抵抗変化機能体の動作が不安定になる可能性があるからである。したがって、抵抗変化機能体における大きさの異なる2つの微粒子9160,9161の間の位置関係は、大きさの異なる2つの微粒子9160,9161が分布する層に略平行な面に対して、比較的大きな微粒子9160と比較的小さな微粒子9161を結ぶ直線が交わる角度θが、45°以上である、という条件を満たすことが好ましい。なお、図57Aではθが90°、図57Bではθが65°程度に表されている。
図58A〜図58Fは、このような条件を満たす抵抗変化機能体の製造方法の一例を示している。
まず、図58Aに示すように、シリコン基板9000(第3の電極9130となる)の表面を熱酸化してシリコン酸化膜9151を形成する。その上に温度610℃のシラン雰囲気中でLPCVD(減圧気相成長)法によりシリコンを成長させ、膜状のポリシリコンになる前に成膜を中止する。これにより、シリコン酸化膜9151上にシリコン微粒子9160を散点状に形成する。この例では、用いた装置の表示ではシラン供給時間は約7分間であった。
次に、図58Bに示すように、温度850℃で熱酸化を行って、シリコン微粒子9160の表面にシリコン酸化膜9152を形成する。このとき残ったシリコン微粒子9160の直径は約4nm〜8nmであった。
次に、図58Cに示すように、温度610℃のシラン雰囲気中でLPCVD法によりシリコンを成長させ、膜状のポリシリコンになる前に成膜を中止する。これにより、各シリコン微粒子9160に対応して、シリコン酸化膜9152上にシリコン微粒子9161を形成する。この例では、用いた装置の表示ではシラン供給時間は約4分間であった。
次に、図58Dに示すように、先程と同様に温度850℃で熱酸化を行って、シリコン微粒子9161の表面にシリコン酸化膜9153を形成する。シリコン微粒子表面を酸化した。このとき残ったシリコン微粒子9161の直径は約2nm以下であった。
次に、図58Eに示すように、シリコン微粒子9160,9161を埋めるように層間絶縁膜としてシリコン酸化膜(SiO2)9154を成膜する。これにより、図58Fに示すように、絶縁体としてのシリコン酸化膜9150(9151,9152.9153および9154を含む。)中に、導電性微粒子としてのシリコン微粒子9160,9161が上下に対をなして配置された状態となる。
この後、フォトリソグラフィとドライエッチングを用いて両側に電極用の溝9158,9159を形成し、その溝9158,9159内に第1の電極9110、第2の電極9120となるメタル配線を形成する。もちろん第1の電極、第2の電極の材料は、導電性を有するものであれば良く、例えばメタル以外のポリシリコンなどであっても良い。
図59A〜図59Eは、大きさの異なる2つの微粒子9160,9161の間の位置関係についての上述の条件を満たす抵抗変化機能体の製造方法の別の例を示している。
まず、図59Aに示すようにガラス基板9900を用意し、図59Bに示すように、ガラス基板9900の表面に対して、微粒子を構成すべき元素9800をイオン注入した。この例では金元素を負イオン注入して、図59Cに示すように、金微粒子が、基板表面から或る深さ位置Cを中心として、厚さ方向V1,V2に関して或る範囲内に分布するように形成した。金微粒子のサイズ、濃度および密度は、位置Cで最大であり、その位置Cから厚さ方向に離れると小さくなっている。9160は比較的大きな微粒子、9161は比較的な小さな微粒子を表している。
次に、図59Dに示すように、注入分布の中心、正確には微粒子のサイズが大きい位置C近傍までガラス基板9900の表面側をエッチングして除去する。そして、そのエッチングした面に、絶縁のためにシリコン酸化膜(SiO2)を成膜する。
この後、図59Eに示すように、フォトリソグラフィとドライエッチングを用いて両側に電極用の溝9991,9992を形成し、その溝9991,9992内に第1の電極9110、第2の電極9120となるメタル配線を形成する。また、第1の電極9110と第2の電極9120との間の基板表面に第3の電極9130を形成する。
このように作製した抵抗変化機能体では、微粒子の大きさが或る深さ位置C(図59D参照)から深くなるにつれて次第に小さくなっている。この例では、比較的大きな微粒子9160が多数存在する領域では、微粒子の直径はおおよそ3nm〜4nmのものが多くかつ密度が高くなっていた。比較的小さな微粒子9161が多数存在する領域では、微粒子の直径はおおよそ2nm未満のものが多くなっていた。比較的小さな微粒子9161が多数存在する領域での微粒子間の間隔は、比較的大きな微粒子9160が多数存在する領域での微粒子の間隔に比べ広かった。
これらの製造方法によって作製した抵抗変化機能体はそれぞれ絶対値には違いがあるものの、第3の電極9130に対する電圧印加後に第1の電極9110と第2の電極9120との間に流れる電流量が低下する減少が見られた。
図60Aは、図59の製造方法によって作製した抵抗変化機能体の絶縁体(符号9150で示す。)を拡大して示している。図60B,図60Cはそれぞれ図60Aにおいて厚さ方向に延びるA−A′線、層方向に延びるB−B′線に沿った微粒子(符号9160で代表して示す。)の粒径の分布を示している。なお、厚さ方向A−A′は基板表面に対して垂直な方向(または第3の電極9130が対向する方向)に相当し、層方向B−B′は第1の電極9110と第2の電極9120とを結ぶ方向に相当する。これらの図から分かるように、上記微粒子9160の粒径の分布は、層方向B−B′には一様であるが、厚さ方向A−A′には非対称性が強いという特徴をもつ。すなわち、或る微粒子とそれに対して層方向B−B′に隣接する微粒子とは大きさがほぼ同じであるが、或る微粒子とそれに対して厚さ方向A−A′に隣接する微粒子とは大きさが異なるという特徴がある。
更に、一般的に言って、微粒子の大きさが違えば微粒子の電気容量も異なるから、上記抵抗変化機能体は、厚さ方向A−A′、つまり第3の電極9130の対向する方向に電気的特性が非対称性を有しているともいえる。
電気的特性の非対称性は、少なくとも、他の条件を同一として第3の電極9130に印加する電圧の絶対値は同じとして正負を入れ替えた場合に、電流−電圧(I−V)特性あるいは容量−電圧(C−V)特性のグラフの形状が異なるものとして現れるから、確かめることができる。
また、既述のように、この抵抗変化機能体の動作原理の一つは、比較的小さな微粒子9161にはその電気容量が小さいことにより電荷が注入されにくいことにある。したがって、微粒子の大きさが同等程度であっても、材質によってより小さい電気容量の微粒子と、より大きい電気容量の微粒子を用いることで、電気的特性の非対称性が得られる。しかしながら、上述したように、微粒子の間隔によっても電荷の注入の難易は異なるので、2つの異なる微粒子の空間的大きさと電気容量の大きさの大小関係は一致しているほうが効果的である。
なお、サイズ効果の一種のクーロンブロッケイド効果を利用して小さな微粒子に効率的に電荷を保持させる場合、クーロンブロッケイド効果が顕著になるには、微粒子の容量を考えた場合、電荷を離脱させるために必要なエネルギが周囲温度による熱エネルギと比較して十分大きくなければならない。そのためには、微粒子を完全導体球と仮定したとき微粒子の半径は0.5nm〜1nm程度であろうと推定される。なお、微粒子の粒径が小さくなるにつれてクーロンブロッケイド効果自体は顕著になるが、微粒子の粒径が小さすぎると電荷の注入も難しくなり、高電圧や動作速度の低下が起こる。したがって、デバイス応用の観点から必要以上に小さな微粒子は用いない方が好ましい。
上述の微粒子含有体、あるいはそれを用いた抵抗変化機能体、メモリ機能体などを基板上に作製した場合の占有面積(3次元的に作製した場合は、基板に対する投影面積を指す。)は、単体としては概ね1平方ミリメートル以下、望ましくは1平方マイクロメートル以下であるほうが集積化に適している。