JP4809466B2 - シート状窓部材および窓構造体 - Google Patents
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Description
かかる問題の解決方法の1つとして、従来より芳香族ポリカーボネート樹脂に充填材を添加し、温度による寸法変化を小さくする試みがなされている。しかしながらかかる方法により十分に低い熱膨張係数を得るためには、芳香族ポリカーボネート樹脂に期待される各種の特性を犠牲にすることが多く汎用的な方法とは言い難い。特に透明性が求められる用途において適切な対応方法ではなかった。 近年では大型のシート状物に対する要求が高く、上記の熱膨張係数の差異に伴う応力集中の問題は、より深刻化する傾向にある。
このような問題点を解決する方法として、ゴム質の接着剤を緩衝層として用いて熱可塑性樹脂組成物より形成された成形体を広い範囲で他の部材に拘束する方法が既に周知である。
ガラス製の車輌用グレージングの分野においては、ダイレクトグレージング法が既に周知である。かかるダイレクトグレージング法は応力集中の問題も生じ難い。かかるダイレクトグレージングにおいて特定の二液性ウレタン接着剤を使用する方法が公知である(特許文献1参照)。その接着剤としてBETAMATE(商標、Dow Automotive社製)は市販され公知である。該BETAMATEは、一液および二液性のウレタンおよびエポキシ系の接着システムであり、その適用対象として、LEXAN(商標、GE社製の芳香族ポリカーボネート系樹脂)およびXENOY(商標、GE社製の芳香族ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのポリマーアロイ系樹脂)の接着等があることも公知である。ガラスやシリコーンハードコートされた樹脂ガラス等の非孔質な基体に対するウレタン系シーラントの接着性を高めるための特定のプライマー組成物は公知である(特許文献2および特許文献3参照)。
しかしながら前記ダイレクトグレージング法の芳香族ポリカーボネート樹脂シートへの単なる転用では、芳香族ポリカーボネート樹脂のシートが金属などの部材に良好に接着した部材を得られない場合があり、殊にその接着力の耐湿熱性をさらに改良すべき余地があった。
かかる目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討した結果、驚くべきことに芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂を特定割合からなる樹脂組成物より形成される部材が、ゴム質緩衝層との接着性において優れた耐湿熱性を有することを見出した。かかる知見は、かかる組成物自体より形成される部材の耐湿熱性が芳香族ポリカーボネート樹脂単独等と比較して同等またそれ以下であることを考慮すると全く予想外であった。さらに、本発明者らは鋭意検討を進めたところ、特にガラス繊維の如き繊維状充填材をさらに含有する樹脂組成物より形成された部材においては、その長期特性がより良好であることを見出した。これらの結果、上記目的を達成し得る本発明を完成したものである。
A:芳香族ポリカーボネート系樹脂よりなるシート状物(A)、
B:そのシート状物(A)の片面の周囲面に積層された枠部材(B)、および
C:その枠部材(B)の表面に形成された、硬化ゴム質ポリウレタン樹脂よりなるゴム質樹脂組成物より形成されたゴム質緩衝層(C)
よりなるシート状窓部材であって、該枠部材(B)と該ゴム質緩衝層(C)とはプライマー層を介して貼り付けられ、その枠部材(B)は、下記(i)〜(iii)よりなる樹脂組成物より形成されていることを特徴とするシート状窓部材によって達成される。
(i)芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)50〜90重量部、
(ii)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2)10〜50重量部、および
(iii)前記(B−1)および(B−2)の合計100重量部当り繊維状充填剤(B−3)0〜50重量部。
前述したように枠部材(B)を形成する樹脂組成物は、(i)芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)、(ii)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2)および(iii)必要により繊維状充填剤(B−3)の各成分よりなる。これら(B−1)、(B−2)および(B−3)の成分について以下説明し、次いで枠部材の構造について説明する。
B−1成分である芳香族ポリカーボート樹脂(以下単に“ポリカーボネート樹脂”と称する場合がある)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。かかるポリカーボネート樹脂はそれ自体公知であり、例えば特開2002−129027号公報に記載のポリカーボネート樹脂を使用できる。
本発明のポリカーボネート樹脂は二価フェノール(ハイドロキノンおよびレゾルシノールを含む)の単独重合体および二種以上の二価フェノールから構成される共重合体のいずれも選択できる。
B−1成分は各種ポリカーボネート樹脂の中でもビスフェノールAの如きビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの単独重合体、並びに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン(ビスフェノールAなど)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、およびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンから選択される2種以上の二価フェノールから構成される共重合体が好ましく使用され、特にビスフェノールAの単独重合体が好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体から各種重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明のポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。これらのポリカーボネート樹脂も公知である。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
各種反応形式の詳細についても、公知文献および特許公報などでよく知られている。
分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合する場合は、粘度平均分子量が50,000、好ましくは80,000を超えるポリカーボネート樹脂との混合物が好ましい。かかる混合物はエントロピー弾性が高く、ガスアシスト成形等を併用する場合に有利となるからである。その他高いエントロピー弾性に由来する特性(ドリップ防止特性、ドローダウン特性、およびジェッティング改良などの溶融特性を改良する特性)を発揮するものである。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
(B−2)成分であるポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、単に“PET樹脂”と称する場合がある)とは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであって、そのジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分を85モル%以上、およびジオール成分としてエチレングリコールを85モル%以上含有してなるポリエステル樹脂である。PET樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分を90モル%以上含むことが好ましい。
PET樹脂における他のジカルボン酸成分の例としては、例えばイソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、およびエチレン−ビス−p−安息香酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
さらにPET樹脂には、上記の芳香族ジカルボン酸以外に、脂肪族ジカルボン酸成分を共重合することができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
B−2成分におけるPET樹脂は、それぞれ1種で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
B−2成分におけるPET樹脂は、B−2成分100重量%中85重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有される。B−2成分は、前記PET樹脂以外の芳香族ポリエステル樹脂を15重量%以下、より好ましくは5重量%以下含有することができる。特に好ましいB−2成分は、実質的にPET樹脂からなる芳香族ポリエステル樹脂である。
前記のPET樹脂並びにそれ以外の各種芳香族ポリエステル樹脂の分子量は、o−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定された極限粘度数が0.5〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、0.6〜1.2dl/gの範囲がより好ましい。またB−2成分の芳香族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は特に制限されない。
上記のエステル交換反応またはエステル化反応および重縮合反応時には、触媒および安定剤を使用することが好ましい。エステル交換触媒としてはMg化合物、Mn化合物、Ca化合物、Zn化合物などが使用され、例えばこれらの酢酸塩、モノカルボン酸塩、アルコラート、および酸化物などが挙げられる。またエステル化反応は触媒を添加せずに、ジカルボン酸およびジオールのみで実施することが可能であるが、後述の重縮合触媒の存在下に実施することもできる。
B−3成分である繊維状充填材は、芳香族ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A)をより強固に拘束し、このシート状物(A)の熱膨張に起因する変形を抑制する。一方で、ゴム質緩衝層(C)との接着における耐湿熱性は、繊維状充填材含有の枠部材において若干の低下が認められる。したがってこれらの特性のいずれを重視するかによって好ましい態様は異なるものの、総合的な特性のバランスにおいては、繊維状充填材を比較的少量含有することが好ましい。
B−3成分の繊維状充填材の具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、これらのミルドファイバー、並びにスラグ繊維、ロックウール、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、ボロンウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカーなどを挙げることができる。さらにかかる繊維は、金属コートガラス繊維や金属コート炭素繊維などのように異種材料が表面を被覆したものであってもよい。
これらの中でもガラス繊維、炭素繊維、およびこれらのミルドファイバーが強度の点で有利であり、特にガラス繊維およびそのミルドファイバーはB−1成分およびB−2成分からなる樹脂マトリックスとのより強固な密着性が達成される点で有利である。殊にガラス繊維が好ましい。
また、ガラス繊維の平均繊維径としては特に限定されるものではないが、通常1〜25μmのものが使用され、好ましくは3〜17μmである。この範囲の平均繊維径を持つガラス繊維は、熱膨張係数と剥離力に対する耐性の両立において良好である。繊維径が細くなると樹脂マトリックスとの界面の面積が増加するため熱膨張係数の抑制の効率はよいが、かかる界面による剥離力への好ましくない影響は増加する。界面の密着性が優先される場合に、より太い径のガラス繊維の使用は1つの処方となり得る。
ガラス繊維の好ましい繊維長としては、樹脂組成物ペレットまたは枠部材(成形品)中で数平均繊維長として50〜1,000μm、好ましくは100〜500μm、特に好ましくは120〜300μmのものである。なお、かかる数平均繊維長は、枠部材(成形品)を溶剤に溶解したり、樹脂を塩基性化合物で分解した後に採取されるガラス繊維の残渣から光学顕微鏡観察などから画像解析装置により算出される値である。またかかる値の算出に際しては繊維径以下の長さのものはカウントしないものである。なお、他の繊維状充填材においてもかかる数平均繊維長は1,000μm以下が適切である。
B−3成分の表面処理剤として各種のエポキシ基含有化合物が使用可能であるが、エポキシ基含有化合物は、好ましくはその分子量が500以上の高分子構造を有するものであり、さらに好ましくは、加えて1分子中に複数のエポキシ基を含有するものである。また耐熱性の観点から芳香環から主として構成される構造が好ましい。
風綿発生量が多いものの場合には、溶融混練機に供給した場合に風綿により安定した供給ができない問題が発生しやすい。さらには嵩密度が低いために溶融混練機にかみ込まず、さらにはバックフロー等の問題が発生しやすい。これらの問題は溶融混練機中において樹脂の不規則な滞留を招き、結果として樹脂を熱劣化させる。特に芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)と芳香族ポリエステル樹脂(B−2)のポリマーアロイにおけるエステル交換反応のように、溶融混練機中で反応する樹脂を使用する場合には熱劣化の抑制は重要である。
上記の風綿発生量の特性を満足するためには、その表面被覆剤としてエポキシ含有化合物とポリウレタン、ポリアクリレート、およびポリアミドなどの成分からなる表面被覆剤を併用することが好ましい。より好ましいのはポリウレタンとの併用である。したがって本発明において好適な表面被覆剤としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂および/または線状クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を主成分とし、さらにポリウレタンを含んでなるものである。ここでフェノールノボラック型エポキシ樹脂および/または線状クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は表面被覆剤100重量%中50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%含有するものが好ましい。特にフェノールノボラック型エポキシ樹脂をバインダー成分100重量%中50重量%以上、好ましくは60重量%以上含有するものが好ましい。
上記の如く風綿発生量が低減されることで強度、熱膨張係数、および耐湿熱性などの優れた効果が達成できる。
枠部材(B)を形成する樹脂組成物は、前記B−1成分、B−2成分および好適な成分たるB−3成分より実質的になる。
この樹脂組成物におけるB−1成分およびB−2成分の組成割合は、B−1成分およびB−2成分の合計100重量部当たり、B−1成分は50〜90重量部、好ましくは70〜88重量部、より好ましくは75〜85重量部であり、B−2成分は10〜50重量部、好ましくは12〜30重量部、より好ましくは15〜25重量部である。B−1成分およびB−2成分の合計100重量部当たり、B−2成分が10重量部未満であると接着の耐湿熱性において不十分となりやすく、B−2成分が50重量部を超えると接着の耐湿熱性や強度および成形品の寸法安定性の点で不十分となる。いずれも結果として良好な接着が得られない。
さらにB−3成分の組成割合は、B−1成分とB−2成分との合計100重量部当たり0〜50重量部であり、好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは1.5〜7重量部である。前記の如く比較的少量の繊維状充填材(B−3)を含有することにより耐湿熱性の向上と反り変形の抑制などとのより良好な両立が可能となる。
枠部材(B)を形成する樹脂組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルクロライド樹脂、ポリビニリデンクロライド樹脂、塩素化エチレン樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂、ポリフェニレンサルファイド等)、衝撃改質剤、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、トリフェニルホスフェート、ホスフェートオリゴマー、ホスホン酸アミド、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)、溶融弾性改良材(分子量200万以上のアクリル系樹脂、フッ素系樹脂等)、核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム、エチレン−アクリル酸ナトリウム等)、熱安定剤、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系化合物、イオウ系化合物等)、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、着色剤(染料、顔料、カーボンブラックなど)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、およびフォトクロミック剤などを配合することができる。殊に熱安定剤としてホスファイト化合物を含有することが好ましく、また耐候性や隠蔽効果などの観点からカーボンブラックを含有することが好ましい。前記の添加剤の詳細については後述する。
本発明の枠部材(B)は、前記樹脂組成物より形成される。枠部材(B)はシート状物(A)の片面の周囲面の一部に結合していればよいが、シート状物(A)の周囲部(周縁部)の全てにおいて結合していることがさらに好適である。すなわち、枠部材(B)のより好ましい態様は、シート状物(A)の周縁部で結合可能とした一体の枠状成形体である。シート状物(A)が強い拘束力を受けるほど、樹脂組成物の特徴は有効に発揮される。またシート状物(A)の面積の10〜90%の範囲において枠部材(B)とシート状物(A)が結合していることが好ましい。かかる範囲はより好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
シート状物(A)と枠部材(B)との厚み比(A/B)は、好ましくは0.1〜10の範囲、より好ましくは0.5〜5の範囲、さらに好ましくは0.8〜4の範囲である。また枠部材(B)の厚みの絶対値としては、好ましくは0.1〜10mmの範囲であり、より好ましくは0.5〜5mmの範囲であり、さらに好ましくは1〜3mmの範囲である。かかる比および厚みは、シート状物(A)の熱膨張による反り変形に対しても十分な拘束力を与え、結果として枠部材の樹脂組成物により良好な長期特性を与える。
枠部材(B)は、樹脂組成物を各種の方法により成形して製造することができる。かかる製造方法としては、具体的には、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形および回転成形などが例示されるが、特に射出成形が好ましい。またかかる成形体がさらに2次加工されたものであってもよい。
本発明のシート状物(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂のシート状の成形体であって、1〜10mm、好ましくは2〜7mmの厚さを有しているのが好適である。かかるシート状物(A)の芳香族ポリカーボネート樹脂とは、前記枠部材(B)のB−1成分として記載された芳香族ポリカーボネート樹脂、並びにかかる樹脂に各種の他樹脂、衝撃改質剤、強化剤、および添加剤などを配合した樹脂組成物を指す。より具体的には、シート状物(A)を構成する樹脂組成物の有機成分として芳香族ポリカーボネート樹脂が50重量%以上含有されるものである。さらに好ましくは、シート状物(A)は、有機成分として芳香族ポリカーボネート樹脂を95重量%以上含有してなるものである。かかるシート状物(A)の芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記B−1成分の樹脂と同一である必要はない。またその粘度平均分子量は、10,000〜50,000のものが好ましく、15,000〜40,000のものがより好ましく、さらに好ましくは20,000〜35,000である。
またシート状物(A)のポリカーボネート樹脂の態様として以下のものを挙げることができる。すなわち、粘度平均分子量70,000〜300,000の芳香族ポリカーボネート(PC−i)、および粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート(PC−ii)のプレンド物からなり、その粘度平均分子量が15,000〜40,000、好適には20,000〜30,000である芳香族ポリカーボネート(以下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート”と称することがある)も使用できる。
かかるシート状物(A)は、その表面に表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。例えば、加飾塗装、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート並びにメタライジング(メッキ、蒸着、スパッタリング等)等の各種の表面処理を施すことができる。中でもハードコートは本発明において特に好適である。
シート状物(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂を各種の方法により成形して製造することができる。かかる製造方法としては、具体的には、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形および回転成形などが例示されるが、特に射出成形が好ましい。またかかる成形体がさらに2次加工されたものであってもよい。即ち、シート状物(A)は、平面状だけでなく、湾曲したもの(例えば、枠部材のない側に凸状)の如き平面状シートから変形して得られる各種の形態を含むものである。さらにはかかるシート状物で構成される三次元形状物であってもよい。シート状物(A)の厚みは必ずしも均一である必要はないが、ほぼ同じ厚さであることが実用的であり好ましい。
これらハードコート剤のうち長期間の耐久性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤、または処理が比較的簡便でかつ良好なハードコート層が形成される紫外線硬化型のアクリル樹脂または多官能アクリル樹脂が好ましい。特に少なくとも製品(窓構造体)において太陽光を受ける側の面はシリコーン樹脂系ハードコートがなされていることが好ましい。シリコーン樹脂系ハードコート剤はプライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、並びに1層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形体の形状に応じて適宜選択することができる。シート状物(A)の表面にハードコートした後に枠部材(B)を結合する場合には、枠部材(B)との結合部分をハードコートされないようにすることが適切である。完全にハードコートされた場合に十分な結合力が得られずシート状物(A)を強固に結合することが困難となる。結合部分の一部にハードコートがされていてもよいが、十分な結合が可能となるように配慮する必要がある。枠部材(B)とシート状物(A)とが結合した部材を簡便に得るためには、両者の一体化を行なった後にハードコートを行なうことが好ましい。一体とされた後は、枠部材(B)のゴム質緩衝層(C)との接着面がハードコート剤が付着しないようにする必要があるが、そのためのマスキング処理やかかる部分を避けたハードコート処理は比較的簡便に行なうことができる。
本発明において使用されるゴム質緩衝層(C)は、その緩衝層たるゴム質接着剤架橋反応完了後(キュア完了後)においてそのヤング率が100MPa以下である樹脂組成物が好ましい。かかるヤング率は好ましくは0.5〜50MPa、さらに好ましくは1〜20MPaの範囲である。また本発明のゴム質緩衝層(C)は、その架橋反応完了後のゴム質接着剤において、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上の引張破断伸度を有する。かかる引張破断伸度の妥当な上限は800%以下であり、好ましくは500%以下である。さらに好適なゴム質緩衝層(C)は、その反応完了後のゴム質接着剤における破断強さが3〜70MPa、好適には5〜60MPaである。上記ヤング率はASTM D−797に基づいて算出できる。ゴム質接着剤の重ね合せせん断強度は好ましくは1〜7MPa、より好ましくは4〜6MPaである。かかる剪断強度は、ASTM D−1002に基づいて算出できる。さらに緩衝層たるゴム質接着剤のショア硬度は好ましくは45〜67、より好ましくは47〜65の範囲である。
好適なゴム質接着剤である二液性ウレタン接着剤についてさらに説明する。かかる二液性ウレタン接着剤は、イソシアネート成分とポリオール成分とから構成され、両者は使用時の適切な割合での混合により硬化反応を生じ、ゴム質ポリウレタンを形成するものである。
前記二液性ウレタン接着剤における水酸基およびアミノ基のモル数に対するイソシアネート基のモル数の比率は、好ましくは約0.9〜2.0の範囲であり、より好ましくは1.03〜1.4の範囲であり、さらに好ましくは1.1〜1.3の範囲である。
前記紫外線吸収剤以外にも本発明のゴム質緩衝層(C)は、他の任意成分として、分子鎖延長剤、架橋剤、顔料、着色剤、希釈剤、吸湿剤、チキソトロピー付与剤、熱安定剤、レベリング剤、消泡剤、および触媒(二液性ウレタン接着剤以外の場合においても)などを含むことができる。
好適な二液性ウレタン接着剤の具体例としては、例えばDOW AUTOMOTIVE社製、BETAMATE2810(商品名、A剤とB/S剤との組合せ)が例示される。
ゴム質緩衝層(C)の厚みは、シート状物(A)の大きさ、すなわち最大長さによってその好適範囲は左右される。シート状物の最大長さが1mを超える場合にはシート状物(A)の最大長さ1m当り、ゴム質緩衝層(C)の厚さは2〜8mm、特に3〜7mmが有利である。
本発明のシート状窓枠部材におけるゴム質緩衝層(C)上に、金属フレームを貼り付けることによって窓構造体が形成される。
窓構造体における金属フレームは、特に限定されるものではなく、各種鉄鋼材料および非鉄材料が使用でき、例えば鋼材(鋼板)、並びにアルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金などが例示される。中でも鋼材およびアルミニウム合金が好適である。金属フレームの表面は、そのゴム質緩衝層(C)との接着面においても、他の材料の被膜を有することができる。通常、鋼材(特に鋼板)は何らかの表面処理がなされていることが多い。したがって金属フレームとして、例えば、溶融メッキされた鋼材、電気メッキされた鋼材、および塗装された鋼材などを使用することができる。
本発明においては、前記ゴム質緩衝層(C)の性能が十分に発揮されるよう、枠部材(B)の表面に対して、プライマーが塗工される。
シート状物(A)は、枠部材(B)とゴム質緩衝層(C)との間にプライマーを有することにより、金属フレームと強固に結合される。即ち、枠部材(B)とゴム質緩衝層(C)とはプライマー層を介して貼り付けられている。さらにかかるプライマーとしては、アクリル系プライマーが好適に例示される。かかるアクリル系プライマーは、(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含有する(メタ)アクリレートポリマーを主成分として構成されるものである。かかるポリマーに対して溶剤、および他の添加剤などがプライマー中に含有される。かかる(メタ)アクリレートモノマーは、一般的なアルキル(メタ)アクリレートモノマーの他、アリール(メタ)アクリレートモノマーや各種官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む。かかる官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)グリシジルアクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、および2−(2’−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが例示される。
前記(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1,000〜10,000,000の範囲、より好ましくは2,000〜200,000の範囲、さらに好ましくは5,000〜100,000の範囲である。かかる重量平均分子量は、標準ポリスチレンから作成された較正曲線を使用したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によりポリスチレン換算の値として算出される。
また前記メタクリレートコポリマーにおいて、メチルメタクリレートと炭素数2〜6のアルキル(メタ)アクリレートとの重量比(メチルメタクリレート:炭素数2〜6のアルキル(メタ)アクリレート)は、好ましくは90:10〜30:70の範囲であり、より好ましくは65:35〜40:60の範囲である。
前記プライマーにおける(メタ)アクリレートポリマーは、(メタ)アクリレートモノマー以外にも、これらと共重合可能なモノマー類やオリゴマー類を共重合することが可能である。かかるモノマーとしては、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル化合物、エチレンなどのオレフイン化合物、無水マレイン酸、イタコン酸などのα,β−エチレン性不飽和酸やそのエステルなどが例示される。
プライマーを構成する(メタ)アクリレートポリマーの重合方法は、塊状、溶液、および乳化などの各種ラジカル重合、リビングラジカル重合(グループトランスファー重合等)、およびアニオン重合等の方法の他、放射線重合や電子線重合など各種物理的刺激によって重合されたポリマーを使用することができる。またメタクリレートコポリマーにおいては、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、およびグラフトコポリマーのいずれの形態であってもよい。さらにプライマーは3官能以上の架橋剤を含有することもできる。
プライマーはウレタン系接着剤との接着性を強固にするため、ポリエステルポリウレタンおよび/もしくはイソシアネート化合物を含有することが好ましい。イソシアネート化合物としては、二液性ウレタン接着剤において前述した各種イソシアネート化合物が例示され、中でもMDI、特に4,4’−MDIが好ましい。
好適なアクリル系プライマーの具体例としては、例えばDOW AUTOMOTIVE社製、BETAPRIME5404(商品名)が例示される。
また枠部材(B)および金属フレームのいずれの表面においてもプライマー塗工前または緩衝層(C)形成のための接着剤塗工前に表面を洗浄することが好ましく、かかる洗浄にはイソプロパノール等が好適である。さらに適切な表面洗浄剤の具体例としては、例えばDOW AUTOMOTIVE社製、BETACLEAN3350(商品名)が例示される。
本発明においては、シート状物(A)、枠部材(B)、ゴム質緩衝層(C)および金属フレームがこの順序で構成された窓構造体が提供される。
かかる窓構造体は殊にその接着力の耐湿熱性に優れるものである。かかる接着力の耐湿熱性とは、より具体的には、「枠部材(B)とゴム質緩衝層(C)との剥離強度は、ゴム質緩衝層(C)が結合した枠部材(B)を70℃、相対湿度98%において200時間処理した後において、該緩衝層(C)の凝集破壊強度よりも大きい」ことを満足し得るものである。さらにかかる凝集破壊強度は、10MPa以上であることが好ましく、15MPa以上がより好ましい。上限は70MPa、好ましくは60MPaである。
本発明の窓構造体の製造方法について説明する。かかる製造においては、(a)シート状物(A)を準備する工程(a工程)、(b)枠部材(B)を準備する工程(b工程)、(c)枠部材(B)とシート状物(A)とを結合し一体化する工程(c工程)、(d)かくして一体化された部材の枠部材(B)の表面部分にゴム質緩衝層(C)を形成する工程(プライマーを塗工する工程を含む)(d工程)、並びに(e)形成されたゴム質緩衝層(C)と金属フレームとを結合して窓構造体を得る工程(e工程)の5つの工程が基本工程として存在し、その順序、他の任意の工程との組合せ、並びに任意の工程も含めた順序の相違によって各種の方法が存在する。例えば、下記の製造法−1〜製造法−3が例示される。
さらに上記a工程〜g工程以外にも、(h)シート状物(A)の表面にハードコート層を設ける工程(h工程)、および(i)シート状物(A)にハードコート層以外の各種機能層を設ける工程(i工程)が任意の工程として好適に例示される。かかるh工程およびi工程はa工程の後であればいずれの順序においても行うことができるが、d工程の後に行うことが好ましい。またh工程およびi工程をいずれも含む場合には、これらの順序は特に限定されない。またハードコート層および各種機能層が同一面の側に設けられる場合には、それらは積層されてもよく、もしくは積層部分のない両者が並列する状態にあってもよい。なお、かかる各種機能層としては、図柄層、導電層(発熱層、電磁波吸収層、帯電防止層)、撥水・撥油層、親水層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、割れ防止層、並びに金属層(メタライジング層)などが例示される。かかる機能層は印刷などの方法によって形成することもできる。
本発明の枠部材(B)を構成する樹脂組成物およびシート状物(A)を構成する芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、この項において単に“樹脂組成物”と称する場合がある)には、前記のとおり各種の任意の添加剤を配合することができる。かかる添加剤の詳細について以下に述べる。
樹脂組成物には、衝撃改質剤を含むことができる。かかる衝撃改質剤はゴム弾性体からなる。ゴム弾性体は、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分と、該ゴム成分と共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体をいう。ゴム成分としては、各種ジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、オレフインゴム、シリコーンゴムおよびこれらの成分が共重合またはIPN化した各種のゴムが例示される。ゴム成分に共重合される単量体成分としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物などが好適に挙げられる。その他エポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド系単量体、α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物等を共重合成分として含有できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、高温の条件下で使用される製品に対して特に好適なものであるため、各種の熱安定剤や酸化防止剤などを含んでいることが好ましい。かかる熱安定剤または酸化防止剤としては、リン化合物からなる安定剤を挙げることができ、例えば各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物などを好ましく挙げることができる。
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、およびメチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系化合物を挙げることができる。
さらに紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
さらに紫外線吸収剤としては例えば、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−p,p’−ジフェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などの環状イミノエステル系化合物を挙げることができる。
また紫外線吸収剤としては例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどのシアノアクリレート系化合物を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤およびラクトン系安定剤の含有量はそれぞれ樹脂組成物100重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
また紫外線吸収剤、光安定剤の組成割合は、それぞれ樹脂組成物100重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
下記a成分、b成分を120℃で5時間循環型熱風乾燥機により乾燥し、表1に記載の各成分を表記載の配合割合で、c成分以外を櫛歯付きのタンブラーで均一に混合した。なお、ST−1およびST−2は両者の合計が10重量%となるようa成分とスーパーミキサーで均一に混合したマスター剤としてタンブラーに混合された。タンブラーによる混合物は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XSST)を使用しスクリュー根元の第1投入口から計量器((株)クボタ製CWF)上に設けられた攪拌羽根式の供給機から供給した。一方c成分は同じく計量器上に設けられた振動式の供給機を用いて所定の割合となるようサイドフィーダーに供給され、かかるフィーダーを通して押出機へ供給された。シリンダおよびダイス共に温度280℃にて押出を行い、スクリュー回転数180rpm、吐出量18kg/時、ベント吸引度10,000Paでストランドを製造し、次いでペレタイザーでペレット化して下記の実験を行い、本発明の効果を確認した。
得られたペレットを120℃で6時間循環型熱風乾燥機で乾燥した後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]により成形温度280℃、金型温度110℃で150×150×3mmtの角板を成形し、23℃、相対湿度50%で24時間状態調節をした。洗浄剤としてBETACLEAN3350(DOW AUTOMOTIVE社製、商品名)を使用し、成形品表面を洗浄した。次いでプライマーとしてBETAPRIME5404(DOW AUTOMOTIVE社製、商品名)を塗工し、5分後、マスコバイトを約25重量%含有し(A剤およびB剤共)、重ね合せせん断強度(ASTM D−1002に準拠)が約5MPa、およびヤング率(ASTM D−797に準拠)が約10MPaの二液性ウレタン接着剤であるBETAMATE2810A剤およびBETAMATE2810B/S剤(共にDOW AUTOMOTIVE社製、商品名)をBETAGUNタイプ995.164(DOW AUTOMOTIVE社製、商品名)に装着し、前記プライマーの上に塗工した。プライマーおよび接着剤の塗工幅はいずれも約10mm、長さは約130mmとし、また接着剤の反応完了後の厚みは約5mmとした。かかる接着剤の塗工された成形品を23℃、相対湿度50%で200時間保管し、接着剤の反応を完了させた。その後かかる成形品を70℃、相対湿度98%で200時間処理し、該処理後さらに23℃、相対湿度50%にて24時間状態調節を行い、接着剤剥離試験を実施した。かかる剥離試験は、接着剤の長さ方向の端部をニッパーで成形品より剥離させた後(約5〜10mmほど)、角板を動かないよう完全に固定した状態で該剥離部をペンチで垂直に持ち上げ、その破壊の状態を目視観察する方法であった。破壊が接着剤との界面でなく接着剤の凝集破壊である場合には、再度同様の手法でペンチで接着剤部を垂直に持ち上げる操作を接着剤が角板から無くなるまで繰り返した。かかる剥離試験は10枚の試験片で実施し、接着剤の塗布面積に対して、接着剤が試験片に残留した部分の面積の割合(%)を算出して評価した。すなわち、本評価では、“全ての剥離試験において、接着剤が凝集破壊した”場合には100%の評価となり、全ての界面において剥離が生じ接着剤が試験片に残留していない場合には0%の評価となる。
前記各実施例および比較例のペレット以外に、透明部材(構成体C)を成形するために下記に示すPCC−1を用意した。実施例および比較例のペレットおよびPCC−1のいずれのペレットも120℃で6時間循環型熱風乾燥機で乾燥した後、二色成形可能な成形機(日精樹脂工業(株)製FN8000−36ATN)にて図1に示すような透明部材とその枠材からなる二色成形品を得た(透明部材の面積の56%が枠材と結合)。その後該二色成形体に対し、枠材のない側の透明部材表面には下記に示す要領でフローコート法によるシリコーン系ハードコートを塗工し、一方枠材を有する側には、接着剤部分にハードコート剤が触れないようはけ塗りで同様のハードコート剤を塗工し、その結果透明部材の両面にハードコートがされた成形品を得た。かかる成形品に対して、枠材の接着面部分を前記と同様に洗浄し、その後プライマー塗工し、さらに緩衝層たる接着剤の塗工を行った。接着剤の塗工後すばやく枠材と同形状の塗装鋼板より作成されたフレームに接着した。かかる接着後23℃、相対湿度50%で200時間保管し接着剤の反応を完了させてポリカーボネート系樹脂の窓構造体を作成した。緩衝層たる接着剤の反応後の厚みは約5mmとした。その後該部材を、冷熱サイクル試験機に保管して、0℃:1時間および70℃:1時間の冷熱サイクル試験を100サイクル行う環境下に曝した。かかる試験後の部材の状態を目視観察し、下記基準により評価した。なお、比較例2および3の試験片については、実験1での評価結果が極めて悪かったため、評価しなかった。
◎:成形体に反り等は発生しない(剥離の発生なし)
○:成形体に若干そりが発生した(剥離の発生なし)
×:成形体に大きめのそりが発生した(剥離の発生なし)
前記実験2において、塗装鋼板より作成されたフレームに替えて、6061番のアルミニウム合金で作成されたフレームを用いて、同様の実験を行った。かかる実験3は実施例2、実施例4、および実施例5の枠材からなる窓構造体について実施した。結果は実験2と同様に実施例2は○の評価、実施例4および5は◎の評価であった。
前記実験3において、緩衝層たる接着剤の厚みを約5mmから、約0.5mmおよび15mmに変化させて同様の実験を行った。かかる実験4は、実施例2の枠材からなる窓構造体について実施した。厚み約0.5mmの緩衝層は、塗工直後の接着剤をスクレーパーにより塗り広げることで得た。厚み約15mmの緩衝層は、接着剤の塗工を繰り返すことにより得た。厚み約0.5mmの緩衝層を有する窓構造体は、上記の冷熱サイクル試験において剥離部分が認められた。一方、厚み約15mmの緩衝層を有する窓構造体は、窓部材が傾き、枠材と平行に固定することが困難であったと共に、接着剤のはみ出しがあり外観を損ねるものであった。
実施例および比較例の組成物に用いられた原材料、PCC−1の内容、およびハードコート剤の内容は次のとおりである。
PC:芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX、粘度平均分子量19,700)
(b成分)
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製:TR−8580)
(b成分以外のポリエステル)
PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂(ウインテックポリマー(株)製:500FP)
(c成分)
GF−1:エポキシ樹脂を主成分とし、ポリウレタンを含有する集束剤により集束処理されたガラスチョップドストランド(日東紡績(株)製:CS 3PE 944、繊維径13μm)
GF−2:ポリウレタンからなる集束剤により集束処理されたガラスチョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)製:CS03MA409C、繊維径13μm)
(その他)
ST−1:ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(旭電化工業(株)製:アデカスタブPEP−8)
ST−2:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製:TMP)
CBM:ジヒドロキシ成分がビスフェノールAであるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量15,000)および三菱化学(株)製 カーボンブラック970#を重量比で60:40にて溶融混合したマスターペレット
粘度平均分子量22,500のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)L−1225WP)100重量部に対し、ペンタエリスリトールテトラステアレート系離型剤(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400)0.2重量部、ホスホナイト系熱安定剤(Sandoz社製:サンドスタブP−EPQ)0.02重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:Irganox1076):0.08重量部、紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:Tinuvin1577):0.2重量部、ブルーイング剤(バイエル社製:マクロレックスバイオレットB):0.0002重量部、および前記CBM:0.0005重量部を配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練しペレットを得た。ポリカーボネート樹脂パウダーに添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予め該パウダーとの予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。なお、上記の樹脂組成物の製造はHEPAフィルターを通した清浄な空気が循環する雰囲気において実施し、また作業時に異物の混入がないよう十分に注意して行った。
(なお、以下“部”は特に断りのない限り“重量部”を示す)
(1)アクリル共重合体の製造(EMA−HEMAの製造)
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと略称する)97部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)19.5部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.18部および1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、EMA/HEMAの組成比85/15(モル比)のコポリマー100部を得た。該コポリマーの水酸基価は72.1mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)から標準ポリスチレン換算で80,000であった。
以下、かかるアクリルコポリマーを“EMA−HEMA(I)”と称する。
前記EMA−HEMA5.8部および2−(4,6ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール2.5部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記EMA−HEMAのヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.2当量となるようにタケネートXB−72−H6(三井武田ケミカル製ポリイソシアネート化合物前駆体)4.0部、APZ−6633(日本ユニカー製シランカップリング剤)0.1部を添加し、25℃で5分間攪拌して第1層用塗料組成物“HC1”を調製した。
水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水12部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン134部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ナトリウム1部を加えイソプロパノール200部で希釈してオルガノシロキサン樹脂組成物“HC2”を調製した。
上記で製造された二色成形品を、120℃で2時間クリーンオーブン中でアニール処理を行った。その後上記で調整されたHC1を、枠材のない側の透明部材表面にはフローコート法によって、一方枠材のある側の透明部材表面にははけ塗りによって、厚み約4μmで両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱風循環オーブン中で熱硬化させた。次いで該成形品の被膜表面上にHC−2をHC−1と同様の方法で厚み約6μmで両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱風循環オーブン中で熱硬化させた。
2 シート状物(1.5mm厚みのファンゲートにより成形、厚み4mm)
3 枠部材(厚み2mm)
4 枠部材のピンゲート(4箇所、直径1.4mm)
5 枠部材の縦方向の幅(40mm)
6 枠部材の横方向の幅(40mm)
7 前記成形品の幅(200mm)
8 前記成形品の長さ(300mm)
Claims (20)
- A:芳香族ポリカーボネート系樹脂よりなるシート状物(A)、
B:該シート状物(A)の片面の周囲面に積層された枠部材(B)、および
C:該枠部材(B)の表面に形成された、硬化ゴム質ポリウレタン樹脂よりなるゴム質樹脂組成物より形成されたゴム質緩衝層(C)
よりなるシート状窓部材であって、該枠部材(B)と該ゴム質緩衝層(C)とはプライマー層を介して貼り付けられ、該枠部材(B)は、下記(i)〜(iii)よりなる樹脂組成物より形成されていることを特徴とするシート状窓部材。
(i)芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)50〜90重量部、
(ii)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2)10〜50重量部、および
(iii)前記(B−1)および(B−2)の合計100重量部当り繊維状充填剤(B−3)0〜50重量部。 - 該枠部材(B)は、下記組成の樹脂組成物より形成される請求項1記載のシート状窓部材。
(i)芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)70〜88重量部、
(ii)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2)12〜30重量部、および
(iii)前記(B−1)および(B−2)の合計100重量部当り繊維状充填剤0〜50重量部。 - 該繊維状充填剤(B−3)は、エポキシ樹脂により集束処理された繊維状充填剤である請求項1記載のシート状窓部材。
- 該繊維状充填剤(B−3)は、ガラス繊維である請求項1記載のシート状窓部材。
- 該ゴム質緩衝層(C)は、0.5〜50MPaのヤング率を有するゴム質樹脂組成物より形成されかつ2〜10mmの厚さを有する、請求項1記載のシート状窓部材。
- 該ゴム質緩衝層(C)は、無機充填剤を1〜50重量%含有するゴム質樹脂組成物より形成される請求項5記載のシート状窓部材。
- 該ゴム質緩衝層(C)は、1〜7MPaの重ね合わせせん断強さを有するゴム質樹脂組成物より形成される請求項1記載のシート状窓部材。
- 該ゴム質緩衝層(C)は、30%以上の引張破断伸度を有するゴム質樹脂組成物より形成される請求項1記載のシート状窓部材。
- 該シート状物(A)は、1〜10mmの厚さを有する請求項1記載のシート状窓部材。
- 該ゴム質緩衝層(C)は、シート状物(A)の最大長さ1m当り、2〜8mmの厚さを有する請求項1記載のシート状窓部材。
- 該シート状物(A)および該該枠部材(B)は、一体成形物である請求項1記載のシート状窓部材。
- 該シート状物(A)および該枠部材(B)は、二色成形物である請求項1記載のシート状窓部材。
- 請求項1記載のシート状窓部材のゴム質緩衝層(C)上に、金属フレームを貼り付けた窓構造体。
- 該金属フレームは、ゴム質緩衝層(C)とプライマー層を介して貼り付けられている請求項13記載の窓構造体。
- 該金属フレームは、アルミニウムフレームである請求項13記載の窓構造体。
- 請求項13記載の窓構造体の少なくとも1個をウィンドウとして搭載した乗り物。
- 請求項13記載の窓構造体の複数個からなるウィンドウを搭載した乗り物。
- A:芳香族ポリカーボネート系樹脂よりなるシート状物(A)、
B:該シート状物(A)の片面の周囲面に積層された枠部材(B)、および
C:該枠部材(B)の表面に形成された、硬化ゴム質ポリウレタン樹脂よりなるゴム質樹脂組成物より形成されたゴム質緩衝層(C)
よりなり、該枠部材(B)と該ゴム質緩衝層(C)とはプライマー層を介して貼り付けられたシート状窓部材における枠部材(B)のための樹脂組成物であって、下記(i)〜(iii)よりなる枠部材成形用の樹脂組成物。
(i)芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)50〜90重量部、
(ii)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2)10〜50重量部、
および
(iii)前記(B−1)および(B−2)の合計100重量部当り繊維状充填剤(B−3)0〜50重量部。 - 前記シート状窓部材は、該シート状窓部材のゴム質緩衝層(C)上に、金属フレームを貼り付けた窓構造体を構成するものである請求項18の樹脂組成物。
- 下記(i)〜(iii)よりなる樹脂組成物の下記A〜Cよりなるシート状窓部材としての使用。
ここで樹脂組成物は、
(i)芳香族ポリカーボネート樹脂(B−1)50〜90重量部、
(ii)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−2)10〜50重量部、
および
(iii)前記(B−1)および(B−2)の合計100重量部当り繊維状充填剤(B−3)0〜50重量部よりなり、
シート状窓部材は、
A:芳香族ポリカーボネート系樹脂よりなるシート状物(A)、
B:該シート状物(A)の片面の周囲面に積層された枠部材(B)、および
C:該枠部材(B)の表面に形成された、硬化ゴム質ポリウレタン樹脂よりなるゴム質樹脂組成物より形成されたゴム質緩衝層(C)
よりなり、該枠部材(B)と該ゴム質緩衝層(C)とはプライマー層を介して貼り付けられている。
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