JP4809544B2 - 発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む膜(以下、「有機化合物層」と記す)を設けた素子に電界を加えることで、蛍光又は燐光が得られる発光素子を用いた発光装置及びその作製方法に関する。尚、本発明における発光装置とは、発光素子を用いた画像表示デバイスもしくは発光デバイスを指す。また、発光素子にコネクター、例えば異方導電性フィルム(FPC: Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
薄型軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの特徴を有する有機化合物を発光体として用いた発光素子は、次世代のフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。特に、発光素子をマトリクス状に配置した表示装置(発光装置)は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。
【0003】
発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0004】
このような発光装置には、パッシブマトリクス駆動(単純マトリクス型)とアクティブマトリクス駆動(アクティブマトリクス型)といった駆動方法を用いることが可能である。しかし、画素密度が増えた場合には、画素(又は1ドット)毎にスイッチが設けられているアクティブマトリクス型の方が低電圧駆動できるので有利であると考えられている。
【0005】
アクティブマトリクス型の発光装置としては、絶縁表面上に薄膜トランジスタ(以下、TFTとよぶ)を形成した後、TFT上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜を介してTFTと電気的に接続された発光素子の第一の電極が形成される。
【0006】
さらに第一の電極上には、有機化合物層が形成され、有機化合物層には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、ブロッキング層、電子輸送層及び電子注入層等が含まれる。なお、有機化合物層は単層で形成しても良いが、上述した複数の層を組み合わせて形成することもできる。
【0007】
さらに、有機化合物層を形成した後で、第二の電極を形成することにより、発光素子が形成される。
【0008】
なお、これらの電極が陽極となる場合には、電極材料として仕事関数の大きい金属が用いられ、陰極となる場合には、仕事関数の小さい金属やこれらを含む合金がそれぞれ用いられる。なお、仕事関数の小さい金属としては、代表的には元素周期律の1族もしくは2族に属する金属である。
【0009】
また、これまでアクティブマトリクス型の発光装置としては、基板上のTFTと電気的に接続された電極が陽極として形成され、陽極上に有機化合物層が形成され、有機化合物層上に陰極が形成される発光素子を有し、有機化合物層において生じた光を透明電極である陽極からTFTの方へ取り出すという構造が主流である。
【0010】
しかし、この構造においては、解像度を向上させようとすると画素部におけるTFT及び配線等の配置により開口率が制限されるという問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明においては、基板上のTFTと電気的に接続された電極を陰極とし、陰極上に有機化合物層を形成し、有機化合物層上に透明性の陽極を形成して開口率が向上する構造を形成する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
基板上のTFTと電気的に接続された電極として、陰極を形成する場合には、通常TFTとの接続配線と陰極を同一の材料で形成することにより接続配線及び陰極を同時に形成することができる。
【0013】
しかし、陰極材料には、仕事関数の小さい元素周期律の1族もしくは2族に属する元素が用いられる。これは、仕事関数に小さい材料を用いることにより陰極から注入されるキャリアの注入障壁を緩和することができるためである。しかし、これらの元素周期律の1族もしくは2族に属する元素は、アルカリイオンを生じやすく、またアルカリイオンは、酸化膜中を電界に応じて簡単に移動する。つまり、これらの陰極材料を配線に用いた場合、TFTの電気的特性やその信頼性はこれらアルカリ金属イオンによる汚染で著しく損なわれる。
【0014】
そこで、本発明では、陰極と配線をパターニング等により別々に作製するといったような作製行程を複雑にすることなくこれまで通りに導電性の材料を用いて陰極を形成し、TFTの特性及び信頼性に影響を与えることなく発光素子の素子特性を向上させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明における発光装置の構成は、絶縁表面上に形成された第一の電極と、第一の電極の端部を覆う第一の絶縁層と、第一の電極及び第一の絶縁層上に形成され、DLC膜またはフッ化窒化珪素からなる第二の絶縁層と、第二の絶縁層上に形成された元素周期律の1族または2族に属する金属からなる緩衝層と、緩衝層上に形成された有機化合物層と有機化合物層上に形成された第二の電極とを有している。
【0016】
また、上記構成の他に、ソース領域及びドレイン領域を有する薄膜トランジスタと、ソース領域及びドレイン領域上の層間絶縁膜と、層間絶縁膜に形成された開口部及び層間絶縁膜上に形成され、かつドレイン領域に接続される第一の電極と、第一の電極上において開口部を形成し、かつ、第一の電極の端部を覆いテーパー状の縁を有する第一の絶縁層と、第一の電極及び前記第一の絶縁層上に形成され、DLC膜またはフッ化窒化珪素から成る第二の絶縁層と、第二の絶縁層上に形成され、元素周期律の1族または2族に属する金属からなる緩衝層と、前記緩衝層上に形成された有機化合物層と、有機化合物層上に形成された第二の電極とを有している。なお、第一の絶縁層は、バンクとも呼ばれる。
【0017】
絶縁表面又は層間絶縁膜はポリイミド又はアクリル、或いは窒化珪素又は酸化窒化珪素で形成する。
【0018】
また、第一の電極は、陰極として機能し、基板上に形成されたTFTと接続して形成されることから、アルミニウム、チタンおよびタングステンなどの低抵抗な金属材料を用いて形成される。
【0019】
なお、第二の絶縁層は、緩衝層から生じたアルカリイオンが電界を加えた際に第一の電極中を移動して、TFTの特性及び信頼性に影響を与えるのを防ぐために設けられている。
【0020】
なお、第二の絶縁層を形成する材料としては、DLC(Diamond Like Carbon)、またはフッ化窒化珪素等があるが、特にDLC膜が好ましい。DLC膜は、ダイヤモンド結合(sp3結合)とグラファイト結合(SP2結合)が混在した非晶質膜である。DLC膜の性質は、1550(cm-1)あたりに非対称のピークを有し、1300(cm-1)あたりに肩を持つラマンスペクトル分布を有し、微小硬度計における測定で15〜25(GPa)の硬度を示す。DLC膜は、硬度が大きく、科学的に不活性で、可視光から赤外光に対して透明であり、さらに電気抵抗が高いなど、ダイヤモンドに類似した性質を多くもつため、このように称される。以上に示した性質と緻密な構造からアルカリイオンの侵入を防ぐための保護膜として適している。
【0021】
一方、フッ化窒化珪素は、フッ素を含む窒化珪素膜であり、また、フッ素は反応性の高い物質であることから、緩衝層からフッ化珪素膜に移動したアルカリイオンと反応してフッ化物を形成することができる。特にフッ化リチウムなどのように形成されたフッ化物が非常に安定な物質である場合には、フッ化珪素膜中にアルカリイオンをトラップすることができるために適した膜であるといえる。
【0022】
以上により第二の絶縁層を形成することにより、アルカリイオンがTFTの特性に影響を与えるのを防ぐことができる。
【0023】
なお、第二の絶縁層の膜厚は、第一の電極から電界がかけられたときに電流が流れる程度の膜厚である必要がある。なお、ここでいう電流には、トンネル電流(tunnel current)も含まれる。具体的には0.1〜10nm、好ましくは0.5〜5nmの厚さで形成する。第一の電極及び第一の絶縁層にかけてこのような薄い膜厚で均一性良く被膜を形成するためには、プラズマCVD法又はスパッタ法で形成することが望ましい。
【0024】
また、緩衝層は、第一の電極を形成する電極材料よりも仕事関数の小さい材料からなり、第一の電極側の仕事関数を実質的に低減させている。なお、本明細書中において、緩衝層とは、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちアルカリ金属及びアルカリ土類金属または、これらを含む合金膜からなるもののことをいう。また、緩衝層を形成する材料には、導電性及び絶縁性を有するいずれの材料からなる場合も含まれるものとする。なお、緩衝層が導電性の材料からなる場合には、第一の電極のみと重なる位置に形成されるが、フッ化リチウムなどの絶縁性の材料からなる場合には、必ずしも第一の電極のみと重なる位置に形成する必要はなく、複数の第一の電極上に同一の材料で、かつ連続的に形成されていてもよい。また、緩衝層が導電性の膜で形成される導電層の場合には、1〜50nm、好ましくは10〜20nmの厚さで形成することができるが、絶縁性の膜で形成される絶縁層の場合には0.1〜5nm、好ましくは0.1〜3nmの厚さで形成することができる。
【0025】
なお、多くの有機材料は金属や無機半導体に比べて電子親和力が小さいために電子注入のためには仕事関数の小さな電極が必要となることから、仕事関数の小さな金属を含む材料からなる緩衝層を設けることで有機化合物からなる有機化合物層へのキャリアの注入性を向上させることができる。
【0026】
なお、仕事関数の小さい金属は大気中で不安定であり、酸化や剥離が問題となることから酸化に対する耐性及び成膜性を向上させる面から単体よりも異なる金属材料との合金を用いることが望ましい。
【0027】
具体的には、マグネシウムに銀を添加した合金や、アルミニウムにリチウムを添加した合金、アルミニウムにリチウム、カルシウム及びマグネシウムを含んだ合金などがある。なお、リチウムを添加したアルミニウム合金は、最もアルミニウムの仕事関数を小さくすることができることが知られている。
【0028】
また、有機化合物層とは陰極及び陽極から注入されたキャリアが再結合する場であり、発光層のみの単層で形成される場合もあるが、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層などの複数の層が積層されて形成される場合も本発明に含まれる。
【0029】
また、第二の電極は陽極としての機能を有するものであり、透明性の材料からなり、有機化合物層で生じた光を外部に放出する側の電極となる。
【0030】
また、上記問題点を解決するために、本発明の発光装置の作製方法は、絶縁表面上に第一の電極を形成し、第一の電極の端部を覆いテーパー状の縁を有する第一の絶縁層を形成し、第一の電極及び前記第一の絶縁層上に、フッ化窒化珪素、またはDLC膜から成る第二の絶縁層を形成し、第二の絶縁層上に元素周期律の1族または2族に属する金属からなる緩衝層を形成し、緩衝層上に有機化合物層を形成し、有機化合物層上に第二の電極を形成する方法である。
【0031】
また、他の方法は、ソース領域及びドレイン領域を有する薄膜トランジスタの前記ソース領域及びドレイン領域上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜に前記ドレイン領域に達する開口部を形成した後、前記開口部及び層間絶縁膜上に前記ドレイン領域と接続された第一の電極を形成し、第一の電極を覆う絶縁層を形成した後、第一の電極上において開口部を形成して第一の絶縁層を設け、第一の電極及び前記第一の絶縁層上にフッ化窒化珪素、およびDLC膜から成る第二の絶縁層を形成し、第二の絶縁層上に元素周期律の1族または2族に属する金属からなる緩衝層を形成し、緩衝層上に有機化合物層を形成し、有機化合物層上に第二の電極を形成する方法である。
【0032】
尚、本発明における発光素子は、一重項励起状態又は三重項励起状態のいずれか一方、またはその両者による発光を含むものとする。
【0033】
以上により、本発明の発光装置およびその作製方法を実施して陰極となる第一の電極を形成した後で、電流が流れる第二の絶縁膜を間に挟み仕事関数の小さい材料からなる緩衝層を設けることで、TFTの特性及び信頼性に影響を与えることなく発光素子の駆動電圧を低電圧化させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態として、発光装置の画素部の作製方法及びその構造について図1を用いて説明する。
【0035】
図1(A)において、基板100上にTFT101を形成する。ここで示したTFTは、発光素子に流れる電流を制御するためのTFTであり、本明細書中においては電流制御用TFT101と称する。このTFT101の半導体膜には、一導電型の不純物が添加されたソース領域102とドレイン領域103が形成されている。
【0036】
電流制御用TFT101上に、層間絶縁膜104を形成する。第1の層間絶縁膜104はポリイミド、アクリル、ポリイミドアミドなどの有機樹脂材料で形成する。これらの材料は、スピナーで塗布した後、加熱して焼成又は重合させて形成することで、表面を平坦化することができる。また、有機樹脂材料は、一般に誘電率が低いため、寄生容量を低減できる。
【0037】
次いで、第1の層間絶縁膜104からの脱ガスが発光素子に悪影響を及ぼさないように第1の層間絶縁膜104上に第2の層間絶縁膜105を形成する。第2の層間絶縁膜105は、無機絶縁膜、代表的には、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、またはこれらを組み合わせた積層膜で形成すればよく、プラズマCVD法で反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)で電力密度0.1〜1.0W/cm2で放電させて形成する。もしくは、層間絶縁膜表面にプラズマ処理をして、水素、窒素、ハロゲン化炭素、弗化水素または希ガスから選ばれた一種または複数種の気体元素を含む硬化膜を形成してもよい。
【0038】
その後、図1(B)に示すように所望のパターンのレジストマスクを形成し、電流制御用TFT101のドレイン領域に達するコンタクトホールを形成して、陰極となる第1の電極106を形成する。ここで用いる電極材料としては、導電性の金属膜としてAlやTiの他、これらの合金材料を用い、スパッタ法や真空蒸着法で成膜した後、所望の形状にパターニングすればよい。
【0039】
続いて、図1(C)に示すように全面にポリイミド、アクリル、ポリイミドアミドから成る有機樹脂膜を形成する。これらは、加熱して硬化する熱硬化性材料のもの或いは紫外線を照射して硬化させる感光性材料のものを採用することができる。熱硬化性材料を用いた場合は、その後、レジストのマスクを形成し、ドライエッチングにより第1の電極106上に開口部を有する第1の絶縁層107を形成する。感光性材料を用いた場合は、フォトマスクを用いて露光と現像処理を行うことにより第1の電極106上に開口部を有する第1の絶縁層107を形成する。いずれにしても第1の絶縁層107は、第1の電極106の端部を覆いテーパー状の縁を有するように形成する。縁をテーパー状に形成することで、その後形成する第2の絶縁層や有機化合物層などの被覆性を良くすることができる。
【0040】
さらに、200〜300℃、好ましくは250℃で加熱して、第1の絶縁層107に含まれる水分を放出させる。これにより、発光素子が完成した後における第1の絶縁層の体積変化や脱水を防止でき、発光装置の初期劣化及び長期的な安定性を確保することができる。
【0041】
次に、図1(D)に示すように第2の絶縁層108を形成する。第2の絶縁層108は、フッ化窒化珪素、またはDLC膜、又は炭素を主成分とする絶縁性材料で形成する。本実施の形態において、プラズマCVD法又はスパッタ法で作製されたDLC膜を用いる。
【0042】
この第2の絶縁層108は、第1の電極106と、後に形成される緩衝層109との間に形成されるため、電界がかけられたときに電流が流れる程度の厚さとする必要がある。そのために、厚さを0.1〜10nm、好ましくは0.5〜5nmとして形成する。
【0043】
次に第2の絶縁層108上には、仕事関数の小さい元素周期律の1族もしくは2族に属する元素または、これらを含む合金からなる緩衝層109が蒸着法により形成される。特に仕事関数が小さいという点では、LiやAl:Liといった材料を用いることが望ましい。なお、緩衝層109は、メタルマスクを用いた蒸着法(もしくは共蒸着法)により画素ごとに独立して形成し、その膜厚は、1〜50nm、好ましくは10〜20nmの膜厚とすればよい。
【0044】
以上のように緩衝層109を設けることで、キャリアが注入される際のエネルギー障壁を小さくすることができるためにキャリアの注入性を高めることができる。
【0045】
次に図1(E)に示すように有機化合物層110が形成される。有機化合物層110は、発光層の他に正孔注入層として、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層およびバッファー層といった複数の層を組み合わせて積層し形成される。なお、有機化合物層110は10〜150nm程度の厚さで形成される。
【0046】
また、有機化合物層110を成膜した後に第2の電極111を蒸着法により形成する。第2の電極111を形成する電極材料としては、酸化インジウム・スズ(ITO)または酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いて形成する。なお、第2の電極111の膜厚は80〜200nm程度が好ましい。
【0047】
以上のように、第1の電極106上に電流を流し得る程度の厚さで第2の絶縁層108を設けることにより、緩衝層から生じたアルカリイオンによる影響をTFTに与えることなく第一の電極側の仕事関数を小さくすることができるので、発光素子における駆動電圧を低減し、素子特性を向上させることができる。
【0048】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例では、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製し、さらに、画素部にはTFTと電気的に接続された発光素子を形成して、素子基板を作製する方法について図2〜図5を用いて説明する。
【0049】
まず、本実施例ではコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板600を用いる。なお、基板600としては、透光性を有する基板であれば限定されず、石英基板を用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0050】
次いで、基板600上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜601を形成する。本実施例では下地膜601として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地膜601の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜601aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。
【0051】
本実施例では、膜厚50nmの酸化窒化珪素膜601a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を形成した。次いで、下地膜601のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜301bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜301b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成する。
【0052】
次いで、下地膜上に半導体層602〜605を形成する。半導体層602〜605は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜した後、公知の結晶化処理(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法等)を行って得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして形成する。この半導体層602〜605の厚さは25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくは珪素(シリコン)またはシリコンゲルマニウム(SiXGe1-X(X=0.0001〜0.02))合金などで形成すると良い。
【0053】
本実施例では、プラズマCVD法を用い、55nmの非晶質珪素膜を成膜した後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させる。この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行い、さらに結晶化を改善するためのレーザーアニ―ル処理を行って結晶質珪素膜を形成する。そして、この結晶質珪素膜をフォトリソグラフィ−法によるパターニング処理によって、半導体層602〜605を形成する。
【0054】
また、半導体層602〜605を形成する前、もしくは、形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0055】
また、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザーやYAGレーザー、YVO4レーザーを用いることができる。これらのレーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とする。また、YAGレーザーを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数30〜300Hzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜90%として行えばよい。
【0056】
次いで、半導体層602〜605を覆うゲート絶縁膜607を形成する。ゲート絶縁膜607はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0057】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho silicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0058】
次いで、図2(A)に示すように、ゲート絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜609とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜608と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜609を積層形成する。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成する。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。
【0059】
いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0060】
なお、本実施例では、第1の導電膜608をTaN、第2の導電膜609をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、Ag、Pd、Cuからなる合金を用いてもよい。
【0061】
また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせ、第1の導電膜をW、Mo、もしくはWとMoからなる膜で形成し、第2の導電膜をAlとSi、AlとTi、AlとSc、もしくはAlとNdとからなる膜で形成し、第3の導電膜をTi、TiN、もしくはTiとTiNからなる膜で形成する組み合わせとしてもよい。
【0062】
次に、図2(B)に示すようにフォトリソグラフィ−法を用いてレジストからなるマスク610〜613を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。ここでは、松下電器産業(株)製のICPを用いたドライエッチング装置(Model E645−□ICP)を用いる。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。
【0063】
この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、約26°となる。
【0064】
この後、図2(B)に示すようにレジストからなるマスク610〜613を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。
【0065】
第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0066】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°とすればよい。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層615〜618(第1の導電層615a〜618aと第2の導電層615b〜618b)を形成する。620はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層615〜618で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0067】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を添加する(図2(B))。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を80keVとして行う。
【0068】
n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層615〜618がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に高濃度不純物領域621〜624が形成される。高濃度不純物領域621〜624には1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0069】
次いで、図2(C)に示すようにレジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では第3及び第4のエッチング条件で行う。ここでは、第3のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約60秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第3のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。
【0070】
第3のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0071】
この後、図2(C)に示すようにレジストからなるマスク610〜613を除去せずに第4のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を20/20/20(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して、約20秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。
【0072】
第4のエッチング処理でのTaNに対するエッチング速度は14.83nm/minである。従って、W膜が選択的にエッチングされる。この第4のエッチング処理により第2の導電層626〜629(第1の導電層626a〜629aと第2の導電層626b〜629b)を形成する。
【0073】
次いで、図3(A)に示すように第2のドーピング処理を行う。ドーピングは第2の導電層626b〜629bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層におけるテーパー部下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングする。本実施例では、不純物元素としてP(リン)を用い、ドーズ量1.5×1014、電流密度0.5μA、加速電圧90keVにてプラズマドーピングを行う。
【0074】
こうして、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域631a〜634a、第1の導電層と重ならない低濃度不純物領域631b〜634bを自己整合的に形成する。なお、この低濃度不純物領域631〜634へ添加されるリン(P)の濃度は、1×1017〜5×1018atoms/cm3である。また、高濃度不純物領域621〜624にも不純物元素が添加され、高濃度不純物領域635〜638を形成する。
【0075】
次いで、図3(B)に示すようにレジスト(639、640)からなるマスクを形成して第3のドーピング処理を行う。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型(n型)とは逆の導電型(p型)を付与する不純物元素が添加された不純物領域641、642を形成する。第1の導電層627a、および第2の導電層627bを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。
【0076】
本実施例では、不純物領域641、642はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。第1のドーピング処理及び第2のドーピング処理によって、不純物領域641、642にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度が2×1020〜2×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0077】
次いで、レジストからなるマスク639、640を除去して図3(C)に示すように第1の層間絶縁膜643を形成する。本実施例では、第1の層間絶縁膜643として、珪素を含む第1の絶縁膜643aと有機絶縁材料からなる第2の絶縁膜643bとの積層膜を形成する。
【0078】
まず、珪素を含む第1の絶縁膜643aとしては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化窒化珪素膜と膜厚100nmの窒化珪素膜の積層膜を形成する。勿論、第1の絶縁膜643aは上述した積層膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0079】
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜550℃で行えばよく、本実施例では550℃、4時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱アニール法の他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
【0080】
なお、本実施例では、上記活性化処理と同時に、結晶化の際に触媒として使用したニッケルが高濃度のリンを含む不純物領域(635、637、638)にゲッタリングされ、主にチャネル形成領域となる半導体層中のニッケル濃度が低減される。このようにして作製したチャネル形成領域を有するTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。
【0081】
また、第1の絶縁膜を形成する前に活性化処理を行っても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(シリコンを主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で活性化処理を行うことが好ましい。
【0082】
その他、活性化処理を行った後でドーピング処理を行い、第1の絶縁膜を形成させても良い。
【0083】
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。本実施例では水素を約3%の含む窒素雰囲気中で410℃、1時間の熱処理を行った。この工程は層間絶縁膜に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0084】
また、活性化処理としてレーザーアニール法を用いる場合には、上記水素化を行った後、エキシマレーザーやYAGレーザー等のレーザー光を照射することが望ましい。
【0085】
次いで、第1の絶縁膜643a上に有機絶縁材料から成る第2の絶縁膜643bを形成する。本実施例では膜厚1.0μmのアクリル樹脂膜を形成する。
【0086】
第2の絶縁膜643bとしては、有機絶縁材料としては、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)などの有機樹脂を用いることができる。
【0087】
以上により、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜からなる第1の層間絶縁膜を形成することができる。
【0088】
次いで、各不純物領域635、636、637、638に達するコンタクトホールを形成するためのパターニングを行う。
【0089】
本実施例では、第1の絶縁膜としてプラズマCVD法により珪素を含む絶縁膜を形成し、第2の絶縁膜としてアクリルからなる絶縁膜を形成していることから、コンタクトホールの形成には、ドライエッチングまたはウエットエッチングを用いることができるが、本実施例では、RIE装置を用いた、ドライエッチングを行う。
【0090】
はじめに、第2の絶縁膜のエッチングを行う。この時、エッチングガス用にCF4とO2とHeとを用い、それぞれのガス流量比を5/95/40(sccm)とし、66.5Paの圧力で電極に500WのRF電力を投入する。
【0091】
次に第1の絶縁膜のエッチングを行う。この時には、第1の絶縁膜の時と同様のエッチングガスを用い、それぞれのガスの流量比を60/40/35(sccm)に変えて、66.5Paの圧力で電極に400WのRF電力を投入することによりエッチングを行う。
【0092】
そして、各高濃度不純物領域635、636、637、638とそれぞれ電気的に接続する配線640〜646と陰極649を形成する。本実施例では、Alを用い、500nmの膜厚に成膜した後、これをパターニングして形成するが、TiやAl:Siの他、Al:Liなどの合金、またはこれらの積層膜を導電膜として用いても良い。
【0093】
なお、本実施例では、陰極649は配線形成と同時に形成され、高濃度不純物領域638との配線を兼ねて形成される。
【0094】
次に絶縁膜を1μmの厚さに成膜する。なお、本実施例においては、絶縁膜を形成する材料として酸化珪素からなる膜を用いているが、場合によっては、窒化珪素および酸化窒化珪素といった珪素を含む絶縁膜の他、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることもできる。
【0095】
この絶縁膜を第3のエッチング処理を行うことにより陰極649に対応する位置に開口部を形成して、第1の絶縁膜652を形成する(図4(B))。
【0096】
具体的には、はじめにフォトリソグラフィ−法を用いてレジストからなるマスクを形成し、第1の絶縁膜652を形成するための第3のエッチング処理を行う。なお、第3のエッチング処理においてもICPエッチング法を用い、第5のエッチング条件で行う。
【0097】
本実施例では第5のエッチング条件として、エッチング用ガスにCHF3とArとを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。これにより絶縁膜の一部がエッチングされ、図4(B)に示すように第1の絶縁膜652が形成される。
【0098】
次に、図5(A)で示すように陰極649および第1の絶縁膜652上に第2の絶縁層653が蒸着法により形成される。なお、本実施例では、プラズマCVD法又はスパッタ法で作製されたDLC膜を用いる。
【0099】
第2の絶縁層653は、第1の電極649と、後に形成される緩衝層との間に形成されるため、電流が流れる程度の厚さとする必要がある。そのために、厚さを0.1〜10nm、好ましくは0.5〜5nmとして形成する。
【0100】
次に、第2の絶縁層653上に緩衝層654を蒸着法により形成する。なお、本実施例では、緩衝層654を形成する材料として、元素周期律の第1族または第2族に属する金属材料もしくは、これらの金属材料を含む導電性の材料を用いる。
【0101】
本実施例では、緩衝層654が導電性の材料を用いて形成されることから、画素部にマトリクス状に形成される画素ごとに独立して緩衝層654を形成する必要がある。そこで、本実施例では、メタルマスクを用いた蒸着法により、画素ごとに独立して形成する。
【0102】
なお、緩衝層654の膜厚は、具体的には1〜50nm、好ましくは10〜20nmの厚さで形成する。
【0103】
次に、図5(B)に示すように緩衝層654上に有機化合物層655を蒸着法により形成する。ここでは、本実施例において赤、緑、青の3種類の発光を示す有機化合物により形成される有機化合物層のうちの一種類が形成される様子を示すが、3種類の有機化合物層を形成する有機化合物の組み合わせについて、以下に詳細に説明する。
【0104】
はじめに、赤色発光を示す有機化合物層を形成する。本実施例における赤色発光の有機化合物層は、電子輸送性の有機化合物、ブロッキング性の有機化合物、発光性の有機化合物、ホスト材料、正孔輸送性の有機化合物および正孔注入性の有機化合物から形成される。
【0105】
具体的には、電子輸送性の有機化合物である、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3と示す)を25nmの膜厚に成膜し、ブロッキング性の有機化合物である、バソキュプロイン(以下、BCPと示す)を8nmの膜厚に成膜し、発光性の有機化合物である、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H、23H−ポルフィリン−白金(以下、PtOEPと示す)をホストとなる有機化合物(以下、ホスト材料という)である4,4’−ジカルバゾール−ビフェニル(以下、CBPと示す)と共に共蒸着させて25〜40nmの膜厚に成膜し、正孔輸送性の有機化合物である、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、α−NPDと示す)を40nmの膜厚に成膜し、正孔注入性の有機化合物である、銅フタロシアニン(以下、Cu−Pcと示す)を15nmの膜厚に成膜することにより赤色発光の有機化合物層を形成することができる。
【0106】
なお、ここでは赤色発光の有機化合物層として、6種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはなく、赤色発光を示す有機化合物として公知の材料を用いることができる。
【0107】
次に、緑色発光を示す有機化合物層を形成する。本実施例における緑色発光の有機化合物層は、電子輸送性の有機化合物、ブロッキング性の有機化合物、発光性の有機化合物、ホスト材料、正孔輸送性の有機化合物および正孔注入性の有機化合物から形成される。
【0108】
具体的には、電子輸送性の有機化合物である、Alq3を40nmの膜厚で成膜し、ブロッキング性の有機化合物である、BCPを10nmの膜厚で成膜し、正孔輸送性のホスト材料としてCBPを用い、発光性の有機化合物であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)と共に共蒸着することにより5〜40nmの膜厚で成膜し、正孔輸送性の有機化合物である、α−NPDを10nmの膜厚で成膜し、正孔輸送性の有機化合物である、MTDATAを20nmの膜厚で成膜し、正孔注入性の有機化合物である、Cu−Pcを10nmの膜厚で成膜することにより緑色発光の有機化合物を形成することができる。
【0109】
なお、ここでは緑色発光の有機化合物層として、7種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはなく、緑色発光を示す有機化合物として公知の材料を用いることができる。
【0110】
次に、青色発光を示す有機化合物層を形成する。本実施例における青色発光の有機化合物層は、電子輸送性の有機化合物、ブロッキング性の有機化合物、発光性の有機化合物、および正孔注入性の有機化合物から形成される。
【0111】
具体的には、電子輸送性の有機化合物である、Alq3を40nmの膜厚で成膜し、ブロッキング性の有機化合物である、BCPを10nmの膜厚に成膜し、発光性の有機化合物である、α−NPDを40nmの膜厚で成膜し、正孔注入性の有機化合物である、Cu−Pcを20nmの膜厚に成膜することにより青色発光の有機化合物層を形成することができる。
【0112】
なお、ここでは青色発光の有機化合物層として、4種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはなく、青色発光を示す有機化合物として公知の材料を用いることができる。
【0113】
以上に示した有機化合物を陰極上に形成することにより画素部において、赤色発光、緑色発光及び青色発光を示す有機化合物層を形成することができる。
【0114】
次に、有機化合物層655及び第2の絶縁膜653を覆って、透明導電膜からなる第2の電極656を形成する。本実施例では、第2の電極は、陽極として機能し、酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を80〜120nmの膜厚に成膜して用いる。なお、本実施例では仕事関数の大きい透明性の導電膜であれば、第2の電極656に公知の他の材料を用いることができる。
【0115】
なお、ITO膜は、蒸着法を用いて形成することができる。本実施例では特にイオンプレーティング法を用いて形成する場合について説明する。
【0116】
イオンプレーティング法は、蒸着法に分類される気相表面処理技術の1つであり、何らかの方法で蒸発させた蒸着物質を、高周波プラズマあるいは真空放電でイオン化または励起させ、蒸着させる基板に負電位を与えることで該イオンを加速し、基板に付着させる方法である。
【0117】
イオンプレーティング法を用いて第2の電極656を形成する際の具体的な条件として、0.01〜1Paの不活性ガス雰囲気下において、基板温度を100〜300℃に保って蒸着させることが望ましい。そして70%以上の焼結密度を有する蒸発源としてのITOを用いることが望ましい。なお、イオンプレーティング法を用いる際の最適な条件は、実施者が適宜選択することができる。
【0118】
また、高周波プラズマを用いて蒸着物質をイオン化または励起することで、より蒸着物質のイオン化する率または励起する率を高めることができ、なおかつイオン化または励起された蒸着物質が高いエネルギー状態にあるので、速い蒸発速度を有したままで酸素との結合を十分に行うことができる。このため、高速度で良質な膜の形成が可能である。
【0119】
なお、本実施例の第2の電極656の形成方法は、上述したイオンプレーティング法に限定されない。ただし、イオンプレーティング法を用いて形成された膜は密着性が高く、また比較的低い温度でも結晶性の高いITO膜を成膜することができるので、ITOの抵抗を低くすることができ、さらに比較的広い面積における均一な成膜が可能であり、基板の大型化に適しているといえる。
【0120】
こうして図5(B)に示すように、電流制御用TFT704に電気的に接続された第1の電極649と、第1の電極649と隣の画素が有する第1の電極(図示せず)との隙間に形成された第1の絶縁膜652と、第1の絶縁膜652及び第1の電極649上に形成された第2の絶縁膜653と、第2の絶縁膜653上に形成された緩衝層654と、第2の絶縁膜653及び緩衝層654上に形成された有機化合物層655と、有機化合物層655と第1の絶縁膜652上に形成された第2の電極656からなる発光素子657を有する素子基板を形成することができる。
【0121】
なお、本実施例における発光装置の作製工程においては、回路の構成および工程の関係上、ゲート電極を形成している材料を用いてソース信号線を形成し、ソース、ドレイン電極を形成している配線材料を用いてゲート信号線を形成しているが、それぞれ異なる材料を用いることは可能である。
【0122】
また、nチャネル型TFT701及びpチャネル型TFT702を有する駆動回路705と、スイッチング用TFT703、電流制御用TFT704とを有する画素部706を同一基板上に形成することができる。
【0123】
駆動回路705のnチャネル型TFT701はチャネル形成領域501、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層626aと重なる低濃度不純物領域631(GOLD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域635を有している。pチャネル型TFT702にはチャネル形成領域502、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域641および642を有している。
【0124】
画素部706のスイッチング用TFT703にはチャネル形成領域503、ゲート電極を形成する第1の導電層628aと重なる低濃度不純物領域633a(LDD領域)、第1の導電層628aと重ならない低濃度不純物領域633b(LDD領域)及びソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域637を有している。
【0125】
画素部706の電流制御用TFT704にはチャネル形成領域504、ゲート電極を形成する第1の導電層629aと重なる低濃度不純物領域634a(LDD領域)、第1の導電層628aと重ならない低濃度不純物領域634b(LDD領域)及びソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域638を有している。
【0126】
なお、本実施例では、消去用TFTについて図示しないが、電流制御用TFTと同様に形成され、同様の構造を有している。
【0127】
なお、本実施例において、TFTの駆動電圧は、1.2〜10Vであり、好ましくは、2.5〜5.5Vである。
【0128】
また、画素部の表示が動作しているとき(動画表示の場合)には、発光素子が発光している画素により背景の表示を行い、発光素子が非発光となる画素により文字表示を行えばよいが、画素部の動画表示がある一定期間以上静止している場合(本明細書中では、スタンバイ時と呼ぶ)には、電力を節約するために表示方法が切り替わる(反転する)ようにしておくと良い。具体的には、発光素子が発光している画素により文字を表示し(文字表示ともいう)、発光素子が非発光となる画素により背景を表示(背景表示ともいう)するようにする。
【0129】
以上のようにして、基板(素子基板)上に発光素子が形成された素子基板の上面図を図6に示す。
【0130】
基板600に、画素部706、ゲート信号線駆動回路901、ソース信号線駆動回路902、端子903が形成された状態を示している。端子903と各駆動回路、画素部に形成されている電流供給線及び陽極は、引き回し配線904で接続されている。
【0131】
また、必要に応じてCPU、メモリーなどを形成したICチップがCOG(Chip on Glass)法などにより素子基板に実装されていても良い。
【0132】
なお、発光素子656は、第2の層間絶縁膜650及び導電膜651からなるバンク652の間に形成される。まず、陰極649が形成され、その上には有機化合物層654が形成される。そして、複数の有機化合物層654及びバンク652上を覆うように、画素部全体に陽極655が形成される。なお、この時、陽極655は、導電膜653と接するように形成される。
【0133】
引き回し配線904はゲート信号線(図示せず)と同じ層に形成されており、導電膜653とは直接接触していない。そして引き回し配線904と陽極655は、引き回し配線904上に陽極655が重ねて形成される部分においてコンタクトを取っている。
【0134】
〔実施例2〕
次に、図6に示した素子基板を発光装置として完成させる方法について図7を用いて説明する。
【0135】
図7(A)は、発光装置を示す上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’で切断した断面図である。点線で示された1001はソース信号線駆動回路、1002は画素部、1003はゲート信号線駆動回路である。また、1004はカバー材、1005はシール剤であり、シール剤1005で囲まれた内側は、空間になっている。
【0136】
なお、1008はソース信号線駆動回路1001及びゲート信号線駆動回路1003に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1009からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0137】
次に、断面構造について図7(B)を用いて説明する。基板1010の上方には画素部1002、ソース信号線駆動回路1001が形成されており、画素部1002は電流制御用TFT1011とそのドレインに電気的に接続された陰極1012を含む複数の画素により形成される。また、ソース信号線駆動回路1001はnチャネル型TFT1013とpチャネル型TFT1014とを組み合わせたCMOS回路(図5参照)を用いて形成される。
【0138】
陰極1012は発光素子の陰極として機能する。また、陰極1012の両端には第1の絶縁層1015が形成され、陰極1012上には第2の絶縁層1016が形成され、第2の絶縁層1016の上には、緩衝層1017が形成される。また、緩衝層1017の上には有機化合物層1018が形成され、第1の絶縁層1017と有機化合物層1018上には発光素子1019の陽極1020が形成される。
【0139】
陽極1020は全画素に共通の配線としても機能し、配線1008を経由してFPC1009に電気的に接続されている。
【0140】
また、シール剤1005によりカバー材1004が貼り合わされている。なお、カバー材1004と発光素子との間隔を確保するために樹脂膜からなるスペーサを設けても良い。そして、シール剤1005の内側の空間1007には窒素等の不活性気体が充填されている。なお、シール剤1005としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、シール剤1005はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。さらに、空間1007の内部に吸湿効果をもつ物質や酸化を防止する効果をもつ物質を含有させても良い。
【0141】
また、本実施例ではカバー材1004を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0142】
また、シール剤1005を用いてカバー材1004を接着した後、さらに側面(露呈面)を覆うようにシール剤で封止することも可能である。
【0143】
以上のようにして発光素子を空間1007に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0144】
なお、本実施例の構成は、実施例1のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0145】
〔実施例3〕
ここで画素の詳細な上面構造を図8(A)に、回路図を図8(B)に示す。図8において、基板上に設けられたスイッチング用TFT1100は図5のスイッチング用(nチャネル型)TFT701を用いて形成される。従って、構造の説明はスイッチング用(nチャネル型)TFT701の説明を参照すれば良い。また、1102で示される配線は、スイッチング用TFT1100のゲート電極1101(1101a、1101b)を電気的に接続するゲート配線である。
【0146】
なお、本実施例ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0147】
また、スイッチング用TFT1100のソースはソース配線1103に接続され、ドレインはドレイン配線1104に接続される。また、ドレイン配線1104は電流制御用TFT1105のゲート電極1106に電気的に接続される。なお、電流制御用TFT1105は図5の電流制御用(nチャネル型)TFT704を用いて形成される。従って、構造の説明は電流制御用(nチャネル型)TFT704の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0148】
また、電流制御用TFT1105のソースは電流供給線1107に電気的に接続され、ドレインはドレイン配線1108に電気的に接続される。また、ドレイン配線1108は点線で示される陰極1109に電気的に接続される。
【0149】
また、1110で示される配線は、消去用TFT1111のゲート電極1112と電気的に接続するゲート配線である。なお、消去用TFT1111のソースは、電流供給線1107に電気的に接続され、ドレインはドレイン配線1104に電気的に接続される。
【0150】
なお、消去用TFT1111は図5の電流制御用(nチャネル型)TFT704と同様にして形成される。従って、構造の説明は電流制御用(nチャネル型)TFT704の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0151】
また、1113で示される領域には保持容量(コンデンサ)が形成される。コンデンサ1113は、電流供給線1107と電気的に接続された半導体膜1114、ゲート絶縁膜と同一層の絶縁膜(図示せず)及びゲート電極1106との間で形成される。また、ゲート電極1106、第1層間絶縁膜と同一の層(図示せず)及び電流供給線1107で形成される容量も保持容量として用いることが可能である。
【0152】
なお、図8(B)の回路図で示す発光素子1115は、陰極1109と、陰極1109上に形成される有機化合物層(図示せず)と有機化合物層上に形成される陽極(図示せず)からなる。本発明において、陰極1109は、電流制御用TFT1105のソース領域またはドレイン領域と接続している。
【0153】
発光素子1115の陽極には対向電位が与えられている。また電流供給線Vは電源電位が与えられている。そして対向電位と電源電位の電位差は、電源電位が陰極に与えられたときに発光素子が発光する程度の電位差に常に保たれている。電源電位と対向電位は、本発明の発光装置に、外付けのIC等により設けられた電源によって与えられる。なお対向電位を与える電源を、本明細書では特に対向電源1116と呼ぶ。
【0154】
なお、本実施例の構成は、実施例1及び実施例2のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0155】
〔実施例4〕
本実施例では、実施例1で示したのとは異なる構造の発光素子を作製する方法について図9を用いて説明する。なお、実施例1の図5(A)における第2の絶縁膜653の作製までは同様の工程なので省略する。
【0156】
図9(A)に示すように、第2の絶縁層653上に絶縁性の緩衝層901を形成する。
【0157】
なお、本実施例においては、緩衝層901として元素周期律の第1族及び第2族に属するアルカリ金属及びアルカリ土類金属を含み、かつ形成される化合物が安定な絶縁性の材料により形成される。なお、本実施例では、フッ素との化合物であるフッ化物を用いて緩衝層901を形成する。具体的には、フッ化リチウムを用いる。また、本実施例のように緩衝層901が絶縁性である場合には0.1〜5nm、好ましくは0.1〜3nmの厚さで形成する。
【0158】
また、本実施例では、緩衝層901が絶縁性であることから実施例1で示したように画素ごとにメタルマスク等を用いて独立して形成する必要はない。
【0159】
次に、第1の絶縁膜の開口部上に形成された第2の絶縁膜上に蒸着法を用いて、有機化合物層902を形成する。なお、本実施例では、赤、緑、青の3種類の発光を示す有機化合物により形成される有機化合物層を形成することからメタルマスクを用いて異なる有機化合物層毎に成膜を行う。なお、図9(B)には、3種類の有機化合物層のうち1種類が形成される様子を示すが、3種類の有機化合物層が形成されている。なお、本実施例において形成される有機化合物層は、実施例1で説明した有機化合物を用いることができる。
【0160】
次に、画素部の緩衝層901および有機化合物層902を覆うように蒸着法により第2の電極903が形成される。なお、その他の陽極の形成方法としては、イオンプレーティング法やスパッタリング法を用いることができる。本実施例における第2の電極903は、透明導電膜により形成され、その膜厚は80〜120nmとするのが望ましい。
【0161】
なお、本実施例では、第2の電極903として酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いる。なお、本実施例では発光素子904の第2の電極903として透明性の導電膜であれば、公知の他の材料を用いることができる。
【0162】
以上のようにして、発光素子904を有する素子基板を形成することができる。なお、本実施例に示した素子基板は、実施例2による封止構造により発光装置を完成させることができ、さらに、実施例3で示す回路構成で実施することが可能である。
【0163】
〔実施例5〕
本実施例では、本発明に用いることができるTFTについて、実施例1で示したTFTとは構造の異なるものについて説明する。
【0164】
図10(A)において絶縁表面を有する基板1210上に第1の電極1211が形成されている。第1の電極1211は導電性を有する物質で形成されていれば良い。代表的には、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)から選ばれた一種または複数種からなる合金又は化合物で形成することができる。また何層かの導電性の膜を積層したものを、第1の電極として用いても良い。第1の電極1211は、150〜400nmの厚さを有している。
【0165】
この第1の電極1211を覆って、第1の絶縁膜1212を形成する。なお本実施例では、2層の絶縁膜(第1の絶縁膜A 1212a、第1の絶縁膜B 1212b)を積層したものを、第1の絶縁膜1212として用いている。図10では、第1の絶縁膜A 1212aとして、酸化窒化シリコン膜又は窒化シリコン膜で10〜50nmの厚さで形成する。第1の絶縁膜B 1212bは酸化窒化シリコン膜又は酸化シリコン膜を用い、0.5〜1μmの厚さで形成する。酸化窒化シリコン膜を用いる場合にはプラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oの混合ガスから作製され、膜中に窒素が20〜40原子%含まれる膜を適用する。この酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜等の窒素含有の絶縁膜を用いることにより、基板1210側からアルカリ金属などの不純物の拡散を防止することができる。
【0166】
第1の絶縁膜1212の表面は、先に形成した第1の電極1211に起因する凹凸を有していることがある。この場合、凹凸は表面を研磨することにより平坦化させるのが望ましい。なお、平坦化処理を行うことにより作製されたTFTのオフ電流を低減させることができる。
【0167】
次に第1の絶縁膜1212上に半導体膜1213が形成される。半導体膜1213は、チャネル形成領域1218とチャネル形成領域1218を挟んでいる不純物領域1219とを有している。そして、半導体膜1213上には第2の絶縁膜1214が形成され、さらに第2の絶縁膜1214を間に挟んで、半導体膜1213上に第2の電極1215が形成されている。
【0168】
なお、第1の電極1211と第2の電極1215とは、チャネル形成領域1218を間に挟んで、互いに重なり合っている。その他、第3の絶縁膜1216、配線1217が形成される。なお、本発明の場合には、画素部の電流制御用TFTとして本実施例におけるTFTを用いた場合には、配線と同時に不純物領域1219と接続された陰極が形成される。
【0169】
また、第1の電極1211と第2の電極1215とは、電気的に接続されていても良いし、どちらか一方の電極にコモン電圧を印加していても良い。
【0170】
第1の電極と第2の電極を電気的に接続し、図10に示すように半導体膜の上下に2つの電極を重ねることにより、実質的に半導体膜の厚さを薄くしたのと同様、電圧の印加と共に早く空乏化し、電界効果移動度やサブスレッショルド係数を小さくし、オン電流を大きくすることができる。
【0171】
これに対して、どちらか一方の電極にコモン電圧を印加した場合には、電極が1つの場合に比べて閾値のばらつきを抑えることができ、なおかつオフ電流を抑えることができる。
【0172】
この様な構造を形成することによって、半導体膜の上下にチャネル(デュアルチャネル)を形成することができ、TFTの特性を向上させることができる。なお、本実施例において説明した構造を有するTFTは、実施例1〜実施例4において示した発光装置のTFTとして実施することができる。
【0173】
〔実施例6〕
発光素子を用いた発光装置は自発光型であるため、液晶表示装置に比べ、明るい場所での視認性に優れ、視野角が広い。従って、様々な電気器具の表示部に用いることができる。
【0174】
本発明により作製した発光装置を用いた電気器具として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。特に、斜め方向から画面を見る機会が多い携帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため、発光素子を有する発光装置を用いることが好ましい。それら電気器具の具体例を図11に示す。
【0175】
図11(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明により作製した発光装置は、表示部2003に用いることができる。発光素子を有する発光装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶表示装置よりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0176】
図11(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明により作製した発光装置は表示部2102に用いることができる。
【0177】
図11(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明により作製した発光装置は表示部2203に用いることができる。
【0178】
図11(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明により作製した発光装置は表示部2302に用いることができる。
【0179】
図11(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明により作製した発光装置はこれら表示部A、B2403、2404に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0180】
図11(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明により作製した発光装置は表示部2502に用いることができる。
【0181】
図11(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609等を含む。本発明により作製した発光装置は表示部2602に用いることができる。
【0182】
ここで図11(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明により作製した発光装置は、表示部2703に用いることができる。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0183】
なお、将来的に有機材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0184】
また、上記電気器具はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。有機材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
【0185】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが好ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが好ましい。
【0186】
以上の様に、本発明により作製された発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に用いることが可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜実施例5を実施することにより作製された発光装置をその表示部に用いることができる。
【0187】
【発明の効果】
本発明を実施することで、アクティブマトリクス型の上方出射型の発光装置において、第一の電極と有機化合物層との間に仕事関数の小さい材料からなる緩衝層を形成することにより、第一の電極から有機化合物層へのキャリアの注入性を向上させることができる。
【0188】
また、TFTに接続された第一の電極と緩衝層の間に第2の絶縁層を設けることにより緩衝層から生じるアルカリイオンが移動してTFTの特性に影響を与えるのを防ぐことができる。
【0189】
以上により、TFTの特性及び信頼性に影響を与えることなく発光素子の素子特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の発光装置について説明する図。
【図2】 本発明の発光装置の作製行程を説明する図。
【図3】 本発明の発光装置の作製行程を説明する図。
【図4】 本発明の発光装置の作製行程を説明する図。
【図5】 本発明の発光装置の作製行程を説明する図。
【図6】 本発明の発光装置の素子基板について説明する図。
【図7】 本発明の発光装置の封止構造について説明する図。
【図8】 本発明の発光装置における画素の上面図。
【図9】 本発明の発光装置の作製行程を説明する図。
【図10】 本発明に用いるTFTの構造について説明する図。
【図11】 本発明の発光装置を用いた電気器具の図。
Claims (3)
- ソース及びドレインを有する薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタ上に設けられた層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に設けられた第一の開口部を介して前記ドレインと直接接続され、且つ、前記層間絶縁膜上に設けられた第一の電極と、
前記層間絶縁膜及び前記第一の電極上に設けられ、前記第一の電極上に第二の開口部を有し、且つ、前記第一の電極の端部を覆うテーパー状の縁を有する第一の絶縁層と、
前記第一の電極及び前記第一の絶縁層上に設けられ、膜厚が0.5nm以上5nm以下である第二の絶縁層と、
前記第二の絶縁層上に設けられ、且つ、元素周期律の1族又は2族に属する元素を有する導電層と、
前記導電層上に設けられた有機化合物層と、
前記有機化合物層上に設けられた第二の電極と、を有し、
前記導電層は、前記第一の電極よりも仕事関数の小さい材料を有することを特徴とする発光装置。 - 請求項1において、
前記導電層は、リチウム、リチウムを含む合金、又はリチウムとアルミニウムを含む合金を有することを特徴とする発光装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記導電層は、前記第一の電極のみと重なる領域に設けられていることを特徴とする発光装置。
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