JP4810087B2 - 配向熱電材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、地球環境の保全が世界的規模で議論されるようになり、エネルギーの未利用分の有効利用技術開発が精力的に進められている。
この中で、熱電変換を用いた発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であるため、現状の未利用の廃熱を回収できる技術であり、最近のエネルギー問題や環境問題の深刻化に伴い、熱電変換に対する期待度はますます大きくなっている。
この熱電変換とは、異なる2種類の金属やp型半導体及びn型半導体等の熱電変換材料に温度差を与えると、両端に熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギーを直接電力に変換する技術であり、モーターやタービン等の可動部がまったくなく、また、老廃物もないという優れた特徴を有している。
ここで、熱電特性の性能評価に用いられる性能指数Zは、下記の数式(1)で表される。
Z=α2/(κ・ρ) …(1)
α:ゼーベック係数
κ:熱伝導率
ρ:比抵抗
すなわち、ゼーベック係数が大きく、熱伝導率と比抵抗とが小さいことが必要である。
すなわち、結晶組織の配向性を向上させることにより、ある方向において、熱伝導率及び比抵抗を小さくすることが可能で、その方向における熱電特性を向上することができるわけである。
例えばAxB2Oy(A:Na,Li,K,Ca,Sr,Ba,Bi,Y,La、 B:Mn,Fe,Co,Ni,Cu、1≦x≦2、2≦y≦4)型構造を有する熱電素子材料、特にNaCo2O4系熱電素子材料は、水酸化コバルト又は酸化コバルトの板状粒子とナトリウム金属塩とを混合し、これを水酸化コバルト又は酸化コバルト粒子が一方向に配向するように成形し、この成形体を焼成して緻密化させることによりC軸方向が配向した焼結体が作製される、という内容の熱電素子材料及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献3により提案された方法によると、磁場中において焼結を行うことにより、電気的配向性を得ているのみであり、磁場強度が小さいため、結晶そのものを配向することができず、かえって電気抵抗や熱伝導率等の物理的特性の異方性を減少又は消失させてしまって、結晶組織の配向度を大きくしある方向における熱伝導率や比抵抗を小さくするための結晶組織制御方法という目的では用いることができないのが現状である。
そこで本発明の目的は、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する配向熱電材料及びその製造方法を提供することにある。
また、本実施形態の配向熱電材料は、微粒子の集合体より構成された熱電材料、微粒子を熱処理によって緻密化した熱電材料、あるいはその微粒子がそれぞれ磁化率の異方性に沿って配向した熱電材料で、微粒子が形状異方性を有している熱電材料であって、 微粒子が、多角形で厚みを有する微粒子であり、多角形の長径をX2、短径をY2、厚みをd2とした場合、X2/d2>1かつY2/d2>1であることを特徴とする。
また、本実施形態の配向熱電材料の製造方法は、微粒子の集合体より構成された熱電材料、微粒子を熱処理によって緻密化した熱電材料、あるいはその微粒子がそれぞれ磁化率の異方性に沿って配向した熱電材料で、微粒子が形状異方性を有している熱電材料の製造方法であって、微粒子が、6角形で厚みを有する微粒子であり、6角形の長径をX3、短径をY3、厚みをd3とした場合、X3/d3>1かつY3/d3>1であることを特徴とする。
本実施の形態の配向熱電材料の製造方法は、工程中に磁場を印加する工程を具備することにより配向熱電材料を製造する方法であって、熱電材料の微粒子を溶媒に分散する分散工程と、分散工程により得られた分散液を磁場中に挿入することにより配向成形体とする工程とを具備したことを特徴とする。
本実施形態の配向熱電材料の製造方法は、工程中に磁場を印加する工程を具備することにより配向熱電材料を製造する方法であって、上記熱電材料の微粒子を溶媒に分散する分散工程と、分散工程により得られた分散液を磁場中で乾燥することにより配向成形体とする工程とを具備したことを特徴とする。
本実施形態の配向熱電材料の製造方法は、上記構成に加え、熱電材料の微粒子を溶媒に分散する分散工程と、分散工程により得られた分散液あるいは分散液を乾燥した微粒子を磁場中で加圧成形することにより配向成形体とする工程とを具備したことを特徴とする。
本実施形態の配向熱電材料の製造方法は、前記配向熱電材料の製造方法において、配向成形体を熱処理により緻密化する工程を磁場中で行うことを特徴とする。
以下、本実施形態の配向熱電材料の製造方法に関して説明する。
図1は、本発明の製造工程の一例を示したものである。
初めに、熱電材料微粒子を合成する。この微粒子は形状異方性を有している方が配向熱電材料を製造するには好ましい。特に円形あるいは楕円形で厚みを有する微粒子において、円形あるいは楕円形の長径をX1とし、短径をY1とし、厚みをd1とした場合、長径あるいは短径を厚みで割った値、すなわちX1/d1あるいはY1/d1が1より大きいことが配向熱電材料を製造するには好ましい。また、多角形で厚みを有する微粒子においても同様に、多角形の長径をX2とし、短径をY2とし、厚みをd2とした場合、長径あるいは短径を厚みで割った値、すなわちX2/d2あるいはY2/d2が1より大きいことが配向熱電材料を製造するには好ましい。この多角形が6角形の場合には、非常に配向がしやすくなり、また、配向の条件によっては、平面状に配向させることも可能になり、配向熱電材料を製造するには特に好ましい。
分散溶媒としては、水、有機溶媒、及び無機溶媒のいずれを用いても特に問題ない。いずれの場合にも、微粒子が凝集することなく溶媒中に分散していることが必要である。そのために、必要に応じて超音波分散を行ったり、あるいは、界面活性剤等を添加しても問題ない(ステップS2)。
H2≫2kT/Δχ
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
Δχ:磁化率の異方性
の関係を満たすような磁場強度の場合に、磁化率の大きい方向を磁場印加方向に配向させることが可能になる。
これに対して、本発明のように磁場中での熱処理(焼結も含む)を行うことにより緻密化を行う場合は、この工程においても配向度を維持することが可能になるため、極めて配向性の良い熱電材料のバルク体を形成することができるわけである。但し、この場合は、温度が高温になるため、磁化率が低下し、それによって磁化率の異方性が減少することが考えられ、その場合には、それに応じた磁場強度にすることが必要になる。
以上は、熱電材料を配向成形体にした後、熱処理により緻密化する場合を説明したが、熱電材料の前駆体を同様な方法で配向成形体とし、熱処理により熱電材料を合成することも可能である。
原料として、酸化コバルト(Co3O4)粉末と炭酸カルシウム(CaCO3)粉末とを、モル比でCa:Co=3:4になるように秤量した後、乳鉢に挿入して、均一になるまで十分に混合した。この混合物をアルミナボートに挿入し、電気炉を用いて、酸素雰囲気中で、800℃にて10時間仮焼成を行った。
この仮焼物を粉砕し、加圧成形した後アルミナボートに挿入し、さらに電気炉を用いて、酸素雰囲気中で、920℃にて20時間焼成を行い試料を作製した。
焼成後、この試料を粉砕することにより、Ca3Co4OX(8.5≦x≦10)微粒子を合成した。この微粒子を純水に添加し、超音波を用いて分散を行った。
この微粒子分散液を、磁場を印加せずに乾燥した場合は、微粒子はその結晶軸がランダムな方向を向いていた(試料1)。
この試料1に対し、超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら乾燥した場合は、1軸方向に配向した(試料2)。
実施例1と同様な方法を用いて、Ca3Co4OX(8.5≦x≦10)微粒子を合成し、同様に分散液を作製した。この微粒子分散液を金型内に挿入し、加圧成形を行った。加圧成形を行う際に、磁場を印加しなかった場合は、微粒子はその結晶軸がランダムな方向を向いていた(試料3)。
これに対し、超伝導マグネットを用いて10Tの磁場を印加しながら加圧成形を行った場合は、1軸方向に配向した(試料4)。また、試料4は、試料2と比較して成形体の強度が大きかった。
実施例1と同様の方法を用いて、Ca3Co4OX(8.5≦x≦10)微粒子を合成した。この微粒子を上方から観察したときの長径をX1、短径をY1とし、微粒子の厚さをdとした場合、X1/dあるいはY1/dが1付近である微粒子(微粒子A)と、X1/dあるいはY1/dが5〜10の微粒子(微粒子B)とを別々に採取した。
これらの2種類の微粒子を純水に添加し、超音波を用いて分散を行った。これらの微粒子分散液を型に挿入し、10Tの磁場を印加しながら加圧成形を行った。
両成形体共に1軸配向性を有していたが、微粒子Bの形状異方性を有した微粒子を用いた場合の方が、配向性は良好であった。
実施例3の微粒子Bを用いた場合と同様な方法を用いて、Ca3Co4OX(8.5≦x≦10)微粒子の集合体による配向成形体を形成した(印加磁場も10Tとした)。
この成形体を酸素雰囲気中で920℃にて20時間焼結を行った。焼結は、2種類の方法で実施し、一方は、電気炉を用いて磁場を印加せずに行い(試料5)、もう一方は、高温強磁場熱処理装置を用いて、15Tの磁場を印加しながら焼結を行った(試料6)。尚、磁場の印加方向は、配向成形体の磁化率の大きい方向と一致させた。
焼結後の両試料の微細組織を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、磁場を印加せずに焼結した試料(試料5)は、試料の一部の領域に、結晶粒の配向の乱れが観察されたが、磁場を印加しながら焼結を行った試料(試料6)は、配向性が非常に良好であった。
請求項1
形状異方性を有しているので、磁場による配向性が良好になり、それにより特定の方向において熱電特性が向上できた。
磁場による配向性が良好になり、それにより特定の方向において熱電特性が向上できた。
簡便な方法を用いて、熱電微粒子の配向成形体を製造することが可能になった。
簡便な方法を用いて非常に配向性の良好な熱電材料を製造することが可能になった。
2 点線の方向が磁化率の大きい方向
3 結晶粒の磁化率の異方性はランダム
4 熱電材料微粒子
5 熱電材料の結晶粒
Claims (8)
- 微粒子の集合体より構成された熱電材料、微粒子を熱処理によって緻密化した熱電材料、あるいはその微粒子がそれぞれ磁化率の異方性に沿って配向した熱電材料で、前記微粒子が形状異方性を有している熱電材料において、
前記微粒子が形状異方性および磁化率の異方性を有するとともに厚みを有する微粒子Ca3Co4Ox(8.5≦x≦10)であり、前記微粒子の長径をX1、短径をY1、厚みをd1とした場合、X1/d1あるいはY1/d1が5〜10であって、前記微粒子が磁化率の異方性に沿って一軸配向していることを特徴とする配向熱電材料。 - 前記微粒子の粒径が概ね均一であることを特徴とする請求項1記載の配向熱電材料。
- 前記微粒子の厚さ方向の磁化率が厚さ方向以外の方向の磁化率よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載の配向熱電材料。
- 工程中に磁場を印加する工程を具備することにより配向熱電材料を製造する方法において、
請求項1から3のいずれか1項記載の熱電材料の微粒子を溶媒に分散する分散工程と、
前記分散工程により得られた分散液を磁場中に挿入することにより配向成形体とする工程とを具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。 - 工程中に磁場を印加する工程を具備することにより配向熱電材料を製造する方法において、
請求項1から3のいずれか1項記載の熱電材料の微粒子を溶媒に分散する分散工程と、
前記分散工程により得られた分散液を磁場中で乾燥することにより配向成形体とする工程とを具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。 - 前記熱電材料の微粒子を溶媒に分散する分散工程と、
前記分散工程により得られた分散液あるいは分散液を乾燥した微粒子を磁場中で加圧成形することにより配向成形体とする工程とを具備したことを特徴とする請求項4または5記載の配向熱電材料の製造方法。 - 請求項4から6のいずれか1項記載の配向熱電材料の製造方法により得られた配向成形体を熱処理により緻密化する工程を具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
- 請求項7記載の配向熱電材料の製造方法において、配向成形体を熱処理により緻密化する工程を磁場中で行うことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
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