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JP4813197B2 - ポリエチレン樹脂組成物及びそれを用いた積層体 - Google Patents
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Description

本発明は、ポリエチレン樹脂組成物に関する。詳しくは、ダイロール方式等の自動充填機での液体や粘体用の包装材料の中間層として用いたときに、低温から高温まで幅広いシール温度範囲で高速充填を可能とするポリエチレン樹脂組成物及びそれを用いた積層体に関する。
従来より、液体及び粘体、並びに不溶物質として繊維、粉体等の固形状のものを含んだ液体、粘体等の包装には、基材上に必要に応じて種々の中間層を積層させ、さらにその上にシーラント層を積層させて得られる積層フィルムが使用されている。このような積層フィルムには、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、紙、アルミニウム箔等からなる表面基材層上に、シーラント層を設け、このシーラント層のヒートシール性を利用する包装用フィルムが知られている。
このシーラント層に使用される樹脂として、例えば、特定の物性を有するエチレン・C4-10α−オレフィンのランダム共重合体と高圧法低密度ポリエチレン(以下、HPLDと略称することがある)とのブレンド組成物が提案されている(参考文献1参照)。上記ランダム共重合体として、具体的には、Mg−Ti触媒で製造されたエチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体が提案されているが、横シール部の発泡開始温度が低い欠点がある。
また、特定の温度上昇溶離分別(以下、TREFと略称することがある)特性を示すエチレン・C3-18α−オレフィン共重合体とHPLDとのブレンド組成物が提案されている(参考文献2参照)。上記共重合体として具体的には、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(エチレン・1−ヘキセン共重合体など)が提案されているが、内容物の充填時にシール部に該内容物が夾雑物としてシールされると、ヒートシーラー部から受ける圧力と熱によって、シール部分で基材と中間層の剥離に基づく樹脂だまり(シーラント層および中間層部分がコブ状に盛り上った状態)生成によるシール不良が発生し、一方シーラーの圧力と温度を下げると、シール強度の低下、耐圧強度の低下等シール不良を招き、異物介在による液漏れ等が発生し易く、その結果、シール時間を長くする必要が生じ、充填速度を高くすることができなかった。
また、特定の物性を有するエチレン・C4-10α−オレフィンのランダム共重合体とHPLDとのブレンド組成物が提案されている(参考文献3参照)。上記ランダム共重合体として具体的には、メタロセン触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体など)が提案されているが、上記参考文献2の場合と同様に、低温ヒートシール性およびホットタック性不足によるシール不良が発生しやすい欠点がある。
かかる問題点に鑑み、基材層に内層・中間層・外層からなる特定の3層構造フィルムを共押出した貼合用共押出多層フィルムが提案されている(参考文献4参照)。しかしこの積層フィルムは耐衝撃性に優れるとの利点を持つが、液体充填機で充填した場合、低い横シール温度で耐圧強度が出たとしてもシール部発泡が低温度で起きることから結果として幅広い温度範囲で高速充填ができないといった問題がある。
また、基材層に、線状低密度ポリエチレンとHPLDのブレンドからなる特定物性の中間層を設け、その外側に通常のシーラント層を設けた3層構造フィルムが提案されている(参考文献5参照)。しかしながら、この方法による積層フィルムは製袋品で高い破袋強度を有する利点を持つが、液体充填機で充填した場合、高い横シール温度でないと耐圧強度が出ず結果として幅広い温度範囲で高速充填ができないといった問題がある。
また、特定の熱的物性を有するエチレン・C3-10α−オレフィンのランダム共重合体を中間層及びシーラント層とし、かつ厚みを特定した3層構造の包装用積層体が提案されている(参考文献6参照)。このシーラント層として、該ランダム共重合体にHPLDを0〜70重量%配合してよい旨記載されているが、具体的な事例は示されていない。この積層フィルムは一定の条件下での高速液体充填適性が得られるという利点を持つが、適正なシール温度幅が狭いといった問題がある。
したがって、種々の内容物、基材の違いなどに対応させるために、シール温度等の充填装置の設定条件を調整する必要があるが、従来のものでは個々の包材での許容範囲が狭く、都度適正な充填条件を探索する必要がある等の煩雑さが生じる問題は解決できていない。
特公平 2− 4425号公報 特開平 7− 26079号公報 特開平 8−269270号公報 特開平10−323948号公報 特開平11− 10809号公報 特開平11−254614号公報
本発明の目的は、前述の問題点に鑑み、液体、粘体の包装材料の中間層に用いた場合に低温から高温まで幅広いシール温度で高速充填を可能とする樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく、従来検討対象にされていなかったポリエチレン組成物の結晶性分布に着目して鋭意検討した結果、結晶性及び結晶性分布によって適正なシール温度が変動することを確認し、結晶性分布の尺度として温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線で規定される特定の組成及び物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物は押出ラミネート加工等により液体、粘体包装材料のシール層として用いた時に、上記の課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨とするところは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体と、高圧法低密度ポリエチレンとからなるポリエチレン樹脂組成物であって、該組成物が下記(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物に存する。
(1)密度が0.90〜0.93g/cm3
(2)MFRが0.1〜1000g/10分
(3)オルトジクロロベンゼンを溶媒とする温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(i)〜(iv)を満たす。
(i)ピークの数が3以上
(ii)ピーク温度の最大値(Th)が85〜100℃
(iii)ピーク温度の最小値(Tl)が30〜65℃
(iv)溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物量(Sl)と溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物量(Sh)との合計量が全溶出物量(St)の15〜40重量%
また、本発明の他の要旨は、上記のポリエチレン樹脂組成物からなる層を含む積層体に存する。
また、本発明の他の要旨は、少なくとも基材層、上記のポリエチレン樹脂組成物からなる中間層及びシーラント層がこの順序に積層されてなる積層体に存する。
液体、粘体の包装用積層材料の中間層に用いた場合に低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填を可能とする樹脂組成物が提供される。従って、押出ラミネート加工によって有用な包装用フィルムを製造でき、それを用いた包装材料はシール強度や耐圧強度に優れる。
本発明の樹脂組成物を構成する各原料について説明する。
<エチレン・α−オレフィン共重合体>
エチレン・α−オレフィン共重合体は本発明のポリエチレン樹脂組成物の主要成分として使用される。該共重合体は、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であり、コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数4〜8の1−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が特に好ましい。
コモノマーとして用いられる上記α−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましい。具体例としては、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン3元共重合体等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするものが好ましく、エチレン含有量が50〜99重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%の範囲から選択される。従って、α−オレフィン含有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲から選択される。なお、エチレン含有量は、下記に示す13C−NMRスペクトル分析によって決定されるものである。
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:300mg/2mL
標準物質:ヘキサメチルジシロキサン
測定温度:120℃
周波数:100MHz
スペクトル幅:20000Hz
パルス繰り返し時間:10秒
フリップ角:40度
<高圧法低密度ポリエチレン>
高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)としては、高圧ラジカル重合法で製造される長鎖分岐構造を有する低密度ポリエチレンが制限なく使用できる。例えば、密度0.900〜0.930g/cm3、好ましくは0.915〜0.925g/cm3、MFR0.2〜80g/10分、好ましくは0.5〜50g/10分のHPLDが使用できる。市販品としては、日本ポリエチレン社製LC600A(密度0.919g/cm3、MFR7g/10分)、日本ポリエチレン社製LC520(密度0.924g/cm3、MFR3.5g/10分)、住友化学工業社製L705(密度0.919g/cm3、MFR7g/10分)等が上市されている。HPLDは、溶融弾性が高く、押出ラミネート加工性を改良する作用がある。HPLDが余りに多いと、包装体とした時のヒ−トシール強度および耐圧強度が弱くなり、また少ないと押出ラミネート加工でのネックインが大きくなって均一な溶融薄膜が得られにくくなるので、後記のように、エチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、HPLDの含有量は10〜40重量%の範囲から選択されることが好ましい。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体と、HPLDとからなるポリエチレン樹脂組成物である。その配合割合は、通常、エチレン・α−オレフィン共重合体が90〜60重量%、HPLDが10〜40重量%である。好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体が85〜65重量%、HPLDが15〜35重量%であり、その他配合剤を0〜5重量%含有するものである。用いるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体及びHPLDは、それぞれ一種類に限るものではなく、それぞれ二種以上を組み合わせてもよい。以下、該ポリエチレン樹脂組成物が具備すべき物性について説明する。
(1)密度
本発明における樹脂組成物の密度は0.90〜0.93g/cm3、好ましくは0.905〜0.925g/cm3、より好ましくは0.905〜0.92g/cm3である。密度が上記範囲より高いと低温ヒートシール性に劣る。密度が上記範囲より低いと高温でシールした際に発泡しやすいので好ましくない。尚、密度の測定はJIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して行った。
(2)MFR
本発明における樹脂組成物のMFRは、0.1〜1000g/10分、好ましくは0.5〜100g/10分、より好ましくは4〜20g/10分である。MFRが上記範囲より低いと樹脂を溶融押出する際の押出負荷が高くなり、また成形時フィルム表面の肌荒れが発生するので好ましくない。MFRが上記範囲を超えるとヒートシール時のホットタック性が低下したり、包装材料とした際の強度が下がるので好ましくない。尚、MFRの測定はJIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行った。
(3)TREF溶出曲線特性
本発明における樹脂組成物の最も大きな特徴は、TREF溶出曲線において、下記(i)〜(iv)を満たすことである。
(i)ピーク数が3以上
(ii)ピーク温度の最大値(Th)が85〜100℃
(iii)ピーク温度の最低値(Tl)が30〜65℃
(iv)溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物量(Sl)と、溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物量(Sh)との合計量が全溶出物量(St)の15〜40重量%。
更に好ましくは、下記の(v)〜(vii)を満たすことである。
(v) Sl/St≧7重量%、かつ、Sh/St≧5重量%
(vi)Th−Tl=30〜60℃
(vii) (Sl−Sh)/St=−14〜14重量%
温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)とは、一度高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分(ポリマー)を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。その溶出分率(全溶出量に対する割合)と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布(結晶性の分布)を測定することができるものである。
TREF測定によって求められる溶出曲線の一例を[図1]に示す。横軸は溶出温度(℃)、縦軸は相対微分質量を表す。図中、Tpは最大ピーク温度(℃)、Tlはピーク温度の最小値(℃)、Thはピーク温度の最大値(℃)、Sl(低温側ハッチング部分)は溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物量、Sh(高温側ハッチング部分)は溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物量を表す。[図1]は後記実施例1で得られた樹脂組成物のTREF溶出曲線を示し、全体としてピークの数は3であり、Tp=65℃、Tl=34℃、Th=89℃の例である。
したがって、本発明の樹脂組成物を得るには、結晶性およびその分布を制御することが肝要である。結晶性の制御は、α−オレフィンの共重合量で行い、結晶性分布の制御は、触媒の活性点の均一度で行うのが一般的である。しかしながら、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、単一の触媒で単段で重合して得ることは困難である。異なる結晶性(分布)を与える二種以上の触媒をブレンドして重合する方法、異なる結晶性(分布)を与える二以上の重合条件(共重合量、温度など)で多段重合する方法、各成分をブレンドする方法、およびこれらの組み合わせによる方法が好ましい。
以下、TREF溶出曲線特性(i)〜(vii)を順次説明する。
(i) 本発明のポリエチレン樹脂組成物はTREFの溶出曲線においてピークの数は3以上である。
即ち、見かけ上、結晶性の異なる3以上のポリエチレン系樹脂のブレンドであることが必要である。ここでピークとは断続するデータポイントをスムージングして結んで得られる微分溶出曲線において極大を示すものをいう。又、極大であるかどうかの判断は、断続するデータポイントにおいて、ある温度(Tn)とその温度の時の溶出量(Fn)に対し、下記式で得られるdF/dT値を結んだ曲線が正から負へゼロ値を通るときに極大値をとるものとする。この時dF/dT値は測定の精度を勘案して溶出温度20℃以上の部分について計算を行った。
dF/dT=(Fn+1−Fn)/(Tn+1−Tn
なお、スムージングは最小二乗法による。ピークの数が3のときは相対的に、低結晶物、中結晶物、高結晶物のブレンドの挙動をとり、ヒートシールの際には低結晶物は低温シール効能の作用をし、中結晶物は適性温度範囲の最適バランス効能の作用をし、高結晶物は発泡抑制の作用をすることで、広い温度範囲で安定したシール特性を発現する。ピークの数が2以下のときは、低/中/高のいずれかの成分が少ないことを意味し、シール可能な温度範囲が狭くなったり、特定のシール温度でシール強度が弱くなる問題が生じる。
(ii) 本発明のポリエチレン樹脂組成物はピーク温度の最大値(Th)が85〜100℃である。
Thは好ましくは85〜95℃、より好ましくは88〜95℃である。Thが85℃未満では低温度から発泡が発生するし、一方、100℃以上では低温での充填適性が得られず良好な耐圧強度が得られない。ピーク温度はコモノマーの種類や量によって制御することができ、一般的にはコモノマーの含有量を3〜6重量%に調整したエチレン・α−オレフィン共重合体をブレンド又は重合ブレンドするとよい。
(iii) 本発明のポリエチレン樹脂組成物はピーク温度の最低値(Tl)が30〜65℃である。
Tlは好ましくは30〜50℃、より好ましくは30〜40℃である。Tlが30℃未満では低温度領域から発泡が発生し易く、65℃以上では低温度から充填出来ない。ピーク温度はコモノマーの種類や量によって制御することができ、一般的にはコモノマーの含有量を15〜25重量%に調整したポリエチレン系樹脂をブレンド又は重合ブレンドするとよい。
(iv) 溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物量(Sl)と、溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物量(Sh)との合計量が全溶出物量(St)の15〜40重量%。
即ち、溶出温度が0℃から(Tl+6)℃までの間の溶出物量(Sl:以下、低温側溶出物量ということがある)と、溶出温度が(Th−6)℃から120℃までの間の溶出物量(Sh:以下、高温側溶出物量ということがある)との合計量が、全溶出物量(St)に対して、15〜40重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。15重量%未満では充填適性の最適温度幅が狭く、40重量%を超えると良好な耐圧強度が得られない。かかる範囲にあることで、(Tl+6)〜(Th−6)の温度範囲で溶出する成分が過大にならず、適量存在することになり、シール温度幅を広く保つのに役立っている。
(v) 本発明のポリエチレン樹脂組成物はSl/St≧7重量%、かつ、Sh/St≧5重量%である。
低温側溶出物量(Sl)は、全溶出物量(St)の7重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上である。S1が7重量%未満であると、低温度側での充填適性に不具合が生じる場合がある。一方、高温側溶出物量(Sh)は全溶出物量の5重量%以上が好ましく、より好ましくは6重量%以上である。Shが5重量%未満であると、高温度側での充填適性、発泡が起き外観不良の不具合が生じる場合がある。
高温側溶出物であるShは主に、密度が0.925〜0.940g/cm3の高密度側成分で構成されるものであり、かかる成分(エチレン・α−オレフィン共重合体から選択される)の量の増減によりShを変化させることができる。
低温側溶出物であるSlは主に、密度が0.880〜0.890g/cm3の低密度側成分で構成されるものであり、かかる成分(エチレン・α−オレフィン共重合体から選択される)の量の増減によりSlを変化させることができる。
(vi)Th−Tl=30〜60℃
ピーク温度の最大値(Th)とピーク温度の最小値(Tl)との差が30〜55℃、好ましくは40〜55℃、より好ましくは45〜55℃である。30℃未満では充填適性の最適温度幅が狭く、55℃を超えると良好な耐圧強度が得られないおそれがある。
(vii) (Sl−Sh)/St=−14〜14重量%
溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物(Sl)と、溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物(Sh)との差は小さい方が良い。具体的には、全溶出物(St)に対する割合として、−14〜14重量%の狭い範囲になるように制御するのが良い。好ましくは−10〜10重量%、より好ましくは−7〜7重量%である。典型的には高温側溶出物(Sh)と低温側溶出物(Sl)はほぼ同量の態様が好ましい。−14重量%未満では充填適性の最適温度幅が狭く、14重量%を超えると良好な耐圧強度が得られないおそれがある。
<エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法>
エチレン・α−オレフィン共重合体は、HPLDと共に樹脂組成物を構成して、前記の物性値を達成するものであれば、その製法は限定されるものではないが、メタロセン触媒を用いて重合されることが好ましい。メタロセン触媒を使用する場合は、単一の反応で得られる重合体として結晶性分布が狭いものが得られるので、結晶性の異なる種々のエチレン・α−オレフィン共重合体のブレンドにより、上述した諸物性値を満足する組成物を得やすい利点がある。各成分に相当するエチレン・α−オレフィン共重合体は、数種類をブレンドしてもよく、多段重合で製造してもよい。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いる重合により容易に製造することができる。メタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。
(i)メタロセン化合物は、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭59−23011号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号公報等、EP公開420,436、米国特許5,055,438、国際公開WO91/04257、国際公開WO92/07123等に開示されている。
更に具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物の混合物を使用することもできる。
メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)本発明において用いられる助触媒としては、メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる成分であり、具体的には、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。係るエチレン系重合体は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製「アフィニティー」、日本ポリエチレン社製「カーネル」「ハーモレックス」等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体と、高圧法低密度ポリエチレンとからなるポリエチレン樹脂組成物であるが、必要に応じて、種々の任意の添加剤を加えることができる。これらの添加剤としては、酸化防止剤、高級脂肪酸アマイド等のスリップ剤、ポリグリセリン脂肪酸等の帯電防止剤、防曇剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の中和剤、酸化珪素、硫酸カルシウム等のアンチブロッキング剤等の添加剤、充填剤等を必要に応じ添加することができる。この場合、極端に接着強度を低下させる物質、量または臭気を悪化させるような物質、量の添加は避けるべきである。これらの添加剤の配合は通常0〜5重量%である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物はそれ単独でもフィルム、成形品等に利用することもできる。本発明のポリエチレン樹脂組成物からなる層を含む積層体であってもよい。例えば、基材上にシール層としてポリエチレン樹脂組成物からなる層を積層した積層体があげられる。特に本発明のポリエチレン樹脂組成物からなる層を液体、粘体の包装材料の中間層に用いた場合に、低温から高温まで幅広い温度で高速充填が可能となるので好ましい。本発明のポリエチレン樹脂組成物を中間層とする場合、その両側に基材層とシーラント層が設けられ、少なくとも3層から成る積層体が構成される。
<積層体の基材>
基材としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂の無延伸または延伸フィルムであるが、剛性、強度等の面から二軸延伸したナイロンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム、その塩化ビニリデンコーティングフィルム、あるいは金属箔、金属蒸着フィルム、セラミック蒸着フィルム又はこれらの積層体が好ましい。
金属箔は、特に限定しないが、厚さ5〜40μmのアルミニウム箔、錫箔、鉛箔、亜鉛メッキした薄層鋼板、電気分解法によりイオン化金属を薄膜にしたもの、アイアンフォイル等が用いられる。また、金属蒸着フィルムについても、特に限定しないが、蒸着金属としてはアルミニウムや亜鉛が、また厚みは0.01〜0.2μmが、通常好ましく用いられる。蒸着の方法も特に限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等周知の方法が用いられる。さらに、セラミック蒸着フィルムにおいて、蒸着されるセラミックとしては、例えば、一般式SiOx(0.5≦x≦2)で表されるケイ素酸化物のほか、ガラス、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化錫等の金属酸化物、蛍石、フッ化セレン等の金属フッ化物が挙げられる。金属酸化物には、微量の金属や、他の金属酸化物、金属水酸化物が含まれていてもよい。蒸着は、フィルムの少なくとも片面に、上記の種々の蒸着方法を適用することによっても行うことができる。蒸着フィルムの厚さは、通常、12〜40μm程度である。また、被蒸着フィルムとしては、特に制限はなく、延伸ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム等の透明フィルムが挙げられる。
<シーラント層>
シーラント層は、従来よりシーラント層形成用に使用されているポリエチレン樹脂、たとえば高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、または高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物等で形成することができる。特にメタロセン系オレフィン重合触媒を用いて調製した直鎖状低密度ポリエチレン、およびこの直鎖状低密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとの混合物が、高いヒートシール強度を示すシーラント層を形成することができるので、好ましい。
<積層体の製造>
中間層およびシーラント層は、本発明のポリエチレン樹脂組成物を別々に、あるいは同時に溶融押出して成形されるが、その成形温度は150〜320℃であり、この範用を外れると基材と中間層、およぴ、中間層とシーラント層との接着性が悪くなり、また320℃を超えると加工性、臭気等の点からも好ましくない。また基材に中間層を溶融押出成形する際には、基材の押出成形される面にアンカーコート処理を行い、かつ上記成形温度範囲においてオゾン処理を行うことが接着性の点から好ましい。アンカーコート処理は、ポリウレタン、イソシアネート化合物、ウレタンポリマー、またはそれらの混合物および反応生成物、ポリエステルまたはポリオールとイソシアネート化合物との混合物および反応生成物、またはそれらの溶液等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を基材表面に塗布することによりなされる。
本発明の積層体において、基本(最低)構成は、基材層、中間層及びシーラント層の各層がそれぞれ1層、合計3層構成が不可欠である。ここにおいて、基材層、中間層及びシーラント層の各層は単層でもよいが、場合によっては前記各層を複数の層で構成することができる。例えば、ポリエステルフィルムとセラミック蒸着ポリエステルフィルムをドライラミした2層フィルムを基材層として使用することができる。2層フィルムから成る基材層に、中間層1層及びシーラント層1層を積層する場合は合計4層の積層体となる。又、例えば、ポリエステルフィルムとアルミ箔をドライラミし、更にアルミ箔面にポリエステルフィルムをドライラミをした合計3層フィルムを基材層として使用する場合は5層構成となる。中間層及びシーラント層は、通常単層(1層のみ)で使用される。
オゾン処理は、エアーギャップ内で、ノズルまたはスリット状の吹出口からオゾンを含有させた気体(空気等)を、中間層の基材接着面またはこれと積層される基材面に向けるか、両者の圧着部に向けて吹き付けることによって行われる。なお、100m/分以上の速度で押出ラミネートする場合は、上記両者の圧着部に向けて吹き付けることが好ましい。オゾンを含有させた気体中のオゾンの濃度は、1g/m3以上好ましく、さらに好ましくは3g/m3以上である。また、吹き付ける量は、接着層の幅に対して0.03リットル/分/cm以上が好ましく、さらに好ましくは0.1リットル/分/cm以上である。
ラミネート速度は、生産性の点から一般的には100〜150m/分である。また、公知の押出ラミネーターのエアーギヤップは、通常100〜150mmが一般的である。本発明の積層体は、成形後ただちにエージング処理をすることが接着性の点から好ましい。エージングは、積層体成形後12時間以内に、温度23〜45℃、好ましくは35〜45℃で、湿度0〜50%の雰囲気下に、12〜24時間静置することで行われる。
このようにして得られる積層体は、基材層の肉厚は10〜40μm、中間層の肉厚は10〜30μm、シーラント層の肉厚は5〜80μmであることが一般的である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における基礎物性及び加工評価は以下に示す方法によって実施した。
1.密度:JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して行った。
2.MFR:JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行った。
3.Q値:GPC測定で得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)として求めた。
4.TREF特性
(TREFの測定)
カラム温度の降下速度は、試料に含まれる結晶性成分の各温度における結晶化に必要な速度に、また、カラム温度の上昇速度は、各温度における溶出成分の溶解が完了し得る速度に調整する必要があり、このようなカラム温度の冷却速度及び昇温速度は、予備実験をして決定する。測定条件は次の通り。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製、CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製、AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
溶出温度:
0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140の各温度(℃)
(TREFのデータ解析)
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体の調製
(1−1)PE−1及びPE−3の触媒の調製:
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4)22g及びインデン75g及びメチルブチルシクロペンタジエン88gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間攪拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2/g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブロー及び減圧乾燥を行い、流動性の良い固体触媒を得た。
PE−2の触媒の調製:
特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(1−2)重合
PE−1: 1−ヘキセン/エチレンのモル比を0.027、水素/エチレンのモル比を7.5×10-4、窒素濃度を30mol%とし、全圧を0.8MPa、温度を75℃に準備された、気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.5kg)にトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.01mmol/ml)を25ml/hで供給し。ガス組成と温度を一定に保ちながら、1時間当たりの生産量が約300gとなるように固体触媒を間欠的に供給して重合を行った。活性は410g/(g触媒・MPa・h)であり、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量11重量%、MFR15g/10分、密度0.911g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は65℃、Q値2.2であった。
PE−2:内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように、また、重合温度が127℃を維持するように触媒供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−2)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量24重量%、MFR3.5g/10分、密度0.880g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は32℃、Q値2.0であった。
PE−3:1−ヘキセン/エチレンのモル比を0.009、水素/エチレンのモル比を3.5×10-4、窒素濃度を30mol%とし、全圧を0.8MPa、温度を80℃に準備された、気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.5kg)にトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.01mmol/ml)を25ml/hで供給し。ガス組成と温度を一定に保ちながら、1時間当たりの生産量が約300gとなるように固体触媒を間欠的に供給して重合を行った。活性は270g/(g触媒・MPa・h)であり、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−3)の物性を測定したところ、1−ヘキセン含有量2重量%、MFR4g/10分、密度0.935g/cm3、TREF溶出曲線の最高ピークの温度(Tp)は90℃、Q値2.0であった。
以上、本発明の実施例及び比較例で使用したエチレン・α−オレフィン共重合体の物性を表1(TREF特性以外)及び表2(TREF特性)にまとめた。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体と混合して使用したHPLDは、日本ポリエチレン社製、ノバテックLD LC604である。このHPLDの物性を、同様に表1及び表2に併記した。
(2)積層体フィルムの調製
積層体フィルムは押出ラミネート加工法により作成した。即ち、口径90mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が300℃になるように設定した押出しラミネート装置を用い、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅600mm、ダイリップ開度0.7mmで引き取り加工速度が100m/分の場合に被覆厚みが25μmになるように押出量を調整して溶融押し出しした。これを、幅500mm、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ製エンブレムONY #15)上に、イソシアネート系アンカーコート剤(日本曹達社製チタボンドT120溶液)をボウズロールにて塗工しながら、またラミネート部にてオゾン吹きつけを行いながら中間層材料として本発明によるポリエチレン樹脂組成物を引き取り速度100m/分、被覆厚み25μmで押出しラミネート加工を行った。さらにこの上に同じ押出ラミネート装置を用い、日本ポリエチレン社製、カーネル KC570S(MFR11g/10分、密度0.906g/cm3)を押出樹脂温度280℃、引き取り速度100m/分、被覆厚み25μmで押出ラミネート加工を行い、積層を行った。加工後の積層フィルムを45℃のオーブン内にて24時間のエージングを行い、その後幅130mmにスリットすることで評価用の包装フィルムを得た。
(3)液体充填適性の評価
粘性体自動充填包装機(小松製作所製、ス−パーコマック SKL−1000)を用いて、次の条件で液体を充填し、液体充填小袋を得た。
[充填条件]
シール温度:(縦)190℃、(横)150〜185℃の範囲で5℃刻み
包装形態:三方シール
袋寸法:幅65mm×縦80mmピッチ
充填物:26℃の水
充填量:約15cc
充填速度:20m/分
得られた液体充填小袋の横シール部の外観観察および耐圧試験を行い、以下の基準で評価 した。
[シール部の外観:高温充填適性(発泡開始温度)評価]
横シール部が発泡し始める最低温度で評価した。発泡開始温度は高い方が望ましい。
○ :発泡の発生なし
△ :小さな発泡多い
× :大きな発泡多い
[耐圧テスト:低温充填適性(最低耐圧温度)の判定基準]
耐圧テスター(小松製作所製)にて充填後の袋に100kgの荷重を3分間掛け、耐圧試験を行い、破袋、又は水洩れの発生しない最低温度で評価した。最低耐圧温度は低い方が望ましい。
○ :耐圧100kg、3分間問題なし
○−:半折部より涙漏れあり
△ :涙漏れが多い。横シールの後退が少し発生
× :横シールの後退大
<実施例1>
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、表1に記載の、PE−1 50重量%、PE−2 10重量%、PE−3 10重量%、HPLD30重量%を用い、ブレンダーにて良くブレンドし、溶融押出してペレットとし、樹脂組成物を得た。次に押出ラミネート加工とこれに続く後処理により、評価用の包装用フィルムを得た。得られた樹脂組成物のTREF溶出曲線を[図1]に、TREFから導かれる各種物性を表3示す。更に液体包装充填装置による充填評価を行い、最低耐圧可能温度と発泡開始温度を評価した結果を表4に示す。
<比較例1>
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、表1に記載の、PE−1 70重量%、HPLD30重量%を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた樹脂組成物のTREF溶出曲線を[図3]、TREFから導かれる各種物性を表3、充填評価の結果を表4に示す。この比較例1では、(Sl+Sh)/Stが12.2重量%であり請求項1を満たさず、TREF溶出曲線において特に低温側溶出物量が少なく低温での充填適性に問題である。また、(Th−Tl)/St=27℃も請求項3の条件を満たさず、結果として充填適性の良好な温度範囲が狭いことが分かる。
<実施例2>
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、表1に記載の、PE−1 60重量%、PE−2 5重量%、PE−3 5重量%、HPLD30重量%を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた樹脂組成物のTREF溶出曲線を[図2]、TREFから導かれる各種物性を表3、充填評価の結果を表4に示す。
<比較例2>
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体として、表1に記載の、PE−1 10重量%、PE−2 30重量%、PE−3 30重量%、HPLD30重量%を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた樹脂組成物のTREF溶出曲線を[図4]、TREFから導かれる各種物性を表3、充填評価の結果を表4に示す。この比較例2では、(Sl+Sh)/Stが43.9重量%であり請求項1を満たさず、また、(Sl−Sh)/St=14.4重量%は請求項4の境界領域であり、結果として充填適性の良好な温度範囲が狭いことが分かる。
<比較例3>
実施例1において、HPLDを配合することなくPE−1を80重量%、PE−2を10重量%及びPE−3を10重量%配合したポリエチレン樹脂組成物を使用した以外は実施例1と同様にして押出ラミネート加工法により積層体を製造しようと試みた。しかし、大きな膜厚変動(流れ方向で5〜80μm)が発生して評価試料が作成できなかった。
TREF溶出曲線の一例(実施例1)を示す。 TREF溶出曲線の一例(実施例2)を示す。 TREF溶出曲線の一例(比較例1)を示す。 TREF溶出曲線の一例(比較例2)を示す。
符号の説明
Tp:最大ピーク温度(℃)
Tl:ピーク温度の最小値(℃)
Th:ピーク温度の最大値(℃)
Sl(低温側ハッチング部分):溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物量
Sh(高温側ハッチング部分):溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物量

Claims (5)

  1. ダイロール方式の自動充填機に用いる包装用フィルムであって、少なくとも基材層、中間層及びシーラント層がこの順に、押出ラミネート加工法により積層されてなる積層体からなり、該中間層を構成するポリエチレン樹脂組成物が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体90〜60重量%と、高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)10〜40重量%とからなるポリエチレン樹脂組成物であって、該エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体は複数の共重合体から構成され、かつ該組成物が下記(1)〜(3)を満足するポリエチレン樹脂組成物であることを特徴とする包装用フィルム。
    (1)密度が0.90〜0.93g/cm3
    (2)メルトフローレート(MFR)が0.1〜1000g/10分
    (3)オルトジクロロベンゼンを溶媒とする温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、下記(i)〜(iv)を満たす。
    (i)ピークの数が3以上
    (ii)ピーク温度の最大値(Th)が85〜100℃
    (iii)ピーク温度の最小値(Tl)が30〜65℃
    (iv)溶出温度が0〜(Tl+6)℃の溶出物量(Sl)と溶出温度が(Th−6)〜120℃の溶出物量(Sh)との合計量が全溶出物量(St)の15〜40重量%
  2. Sl/St≧7重量%、かつ、Sh/St≧5重量%であることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物を用いてなる請求項1に記載の包装用フィルム。
  3. Th−Tl=30〜60℃であることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物を用いてなる請求項1又は2に記載の包装用フィルム。
  4. (Sl−Sh)/St=−14〜14重量%であることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物を用いてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装用フィルム。
  5. 自動充填機の充填包装形態が3方シールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装用フィルム。
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