JP4814461B2 - 織物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリケトン繊維を用いた織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
レジャーやエアドームなどに使用されるテント、ヨットやウインドサーフィンなどに使用されるセールクロスなどの産業資材用織物は、引き裂き強力、寸法安定性が、高性能なレベルで要求される。本発明において、寸法安定性が良いとは、張力をかけたときに織物の変形率が小さいということであり、織物を構成する繊維の弾性率が高いほど寸法安定性が良くなる。寸法安定性が悪いと、例えばセールクロスに使用した場合、瞬時の風の変動に敏感に対応することが困難になる。
【0003】
テントやセールクロスなどに使用する基布としては、エステル繊維やナイロン繊維の織物が主に使用されているが、引き裂き強力や寸法安定性に関してさらなる高いレベルが要求されるようになり、アラミド繊維やゲル紡糸法により得られる高強度ポリエチレン繊維等の高強度・高弾性率繊維よりなる織物が使用されるようになった。
【0004】
しかしながら、テントやセールクロスなどは、通気度を低くするために、樹脂加工を施した織物やフィルムを接着積層した織物が用いられる場合が多く、アラミド繊維や高強度ポリエチレン繊維等は樹脂やフィルムとの接着性が悪いために、使用中に樹脂やフィルムが剥がれてしまうという欠点があった。
【0005】
このような欠点を解消するために、繊維の表面を改質して接着性を向上させる方法や、高強度・高弾性率の繊維を芯糸とし、接着性の良いポリエステル繊維やナイロン繊維などを鞘糸とした複合繊維を用いる方法(例えば、特開平8−109533号公報等)が提案されている。しかしながら、このような方法では、高強度・高弾性率繊維自体が高価である上にさらに製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
一方、一酸化炭素とエチレンが実質的に完全に交互共重合したポリケトンからなるポリケトン繊維は、高強度・高弾性率で、クリープ性に優れるため、ポリケトン繊維からなる織物はテントやセールクロスへの応用が期待される。特開2001−174195号公報、特開2001−146655号公報等には、アラミド繊維や高強度ポリエチレンの欠点を解消した織物として、ポリケトン繊維を用いた防弾チョッキ用の織物やエアバッグ用基布が開示されており、引き裂き強力が高いことやゴムなどの被覆材との接着性に優れていることが示されている。したがって、上記のアラミド繊維や高強度ポリエチレン繊維において、樹脂やフィルムが使用中に剥離しやすいという欠点は、ポリケトン繊維よりなる織物を用いることにより改善することが可能である。
【0007】
しかしながら、ポリケトン繊維からなる織物は、樹脂加工やフィルムの接着積層を行うとき等、50℃以上の加熱処理を行うと、織物にひずみやしわが発生して品位が低下するという問題があることが判明した。しかし、このような問題に対する解決法はこれまで全く知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、引き裂き強力や寸法安定性が高く、樹脂やフィルムとの接着性に優れ、樹脂加工やフィルムの接着積層を施したときに織物の変形やしわの発生を起こさない、ポリケトン繊維の織物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の通りである。
【0010】
1.繰り返し単位の90質量%以上が下記の式(1)で示されるポリケトンからなるポリケトン繊維を少なくとも30質量%用いた織物であって、かつ、ポリケトン繊維が以下の(a)〜(c)を満足する特性を備えていることを特徴とする織物。
【0011】
(a)強度が10cN/dtex以上
(b)弾性率が200cN/dtex以上
(c)50〜250℃の温度範囲における最大熱収縮応力が0.01〜0.6cN/dtex
【0012】
【化2】
【0013】
2.織物の片面または両面がフィルム及び/または樹脂で被覆されていることを特徴とする上記1記載の織物。
【0014】
3.フィルムおよび樹脂が、紫外線吸収剤及び/または紫外線遮蔽剤を含有することを特徴とする上記2記載の織物。
【0015】
以下、本発明につき詳述する。
【0016】
本発明において、ポリケトン繊維は、繰り返し単位の90質量%以上、好ましくは95質量%以上が前記化学式(1)で示されるポリケトンからなる。したがって、10質量%以下、好ましくは5質量%以下の範囲で、例えば、下記化学式(2)に示される繰り返し単位等を含有していてもよい。
【0017】
【化3】
【0018】
ただし、化学式(2)中、Rはエチレン以外の炭素数1〜30の有機基であり、プロピレン、ブチレン、1−フェニルエチレン等が例示される。有機基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、またはエーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Rは2種以上であってもよく、例えば、プロピレンと1−フェニルエチレンが混在していてもよい。
【0019】
繊維として、高強度および高弾性率を達成可能で、高温での強度および弾性率の保持性が優れるという観点から、繰り返し単位の97モル%以上が化学式(1)で示されるポリケトンであることがより好ましく、さらに好ましくは100モル%である。
【0020】
本発明の織物に用いられるポリケトン繊維は、強度が10cN/dtex以上、弾性率が200cN/dtex以上である。繊維の強度は、高いほど同一質量当たりの織物の引き裂き強力が強くなるので、軽量化が可能になるという点で、13cN/dtex以上が好ましく、15cN/dtex以上がさらに好ましい。また、繊維の弾性率は、高いほど織物の寸法安定性が向上するので、250cN/dtex以上が好ましく、さらに好ましくは300cN/dtex以上である。尚、本発明における強度とは、引っ張り強度のことであり、弾性率とは引っ張り弾性率のことである。
【0021】
さらに、本発明においては、ポリケトン繊維は50〜250℃の温度範囲における最大熱収縮応力が0.01〜0.6cN/dtexの範囲であり、好ましくは0.02〜0.5cN/dtex、さらに好ましくは0.03〜0.3cN/dtexの範囲である。最大熱収縮応力がこの範囲であると、織物の染色、樹脂加工やフィルムの接着積層を行うとき等または使用時に、50℃以上の加温を受けたとき、織物が変形したり、しわの発生等織物の品位が低下する問題が起こらない。また、加工時に熱セットによる形態固定を行うことが可能で、織物に緩みが発生することが無い。
【0022】
本発明の織物に用いられるポリケトン繊維の単糸繊度は、特に制限はないが、接着性が向上するという点から小さい方が好ましく、10dtex以下が好ましい。しかし、あまり単糸繊度が小さすぎると、織物に加工するときなどに単糸切れが多く起こり、織物の品位を落とす結果となる。したがって、単糸繊度は0.1dtex以上が好ましく、さらに好ましい単糸繊度の範囲は0.5〜5dtexである。
【0023】
本発明の織物を構成する繊維は、前記のようなポリケトン繊維が少なくとも30質量%使用されている。ポリケトン繊維の割合がこの範囲であると、織物の強力や寸法安定性および樹脂やフィルムとの接着性を高める効果が十分に発揮される。織物を構成する繊維中のポリケトン繊維の割合は、高ければ高いほど、高い引き裂き強力や寸法安定性及び優れた接着性が得られることから、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0024】
前記のポリケトン繊維以外で、本発明の織物に使用可能な繊維としては、特に制限はなく、例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン4・6などのポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリベンザゾール繊維、アラミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、木綿、ビスコースレーヨン等のセルロース繊維、羊毛、炭素繊維、セラミックス繊維、金属繊維などの従来公知の繊維を使用することができ、なかでも、織物の引き裂き強力、寸法安定性の観点から、アラミド繊維や液晶ポリエステル繊維、炭素繊維、ゲル紡糸により得られる高強度ポリエチレン繊維等、強度及び弾性率の高い繊維が好ましい。
【0025】
また、必要に応じてこれらの繊維の中から複数種類の繊維を複合して用いることもできる。複数種の繊維を混用する場合、その方法についても特に制限はなく、経糸、緯糸に異なる種類の繊維を用いたり、必要に応じて複数種の繊維を仮撚りや撚りなどの加工を施して混繊糸としたり、同一種の繊維であっても熱的・機械的特性の異なる繊維、あるいは繊度やフィラメント数の異なる繊維、または長繊維のフィラメントと短繊維の紡績糸などを複合して用いてもよい。
【0026】
本発明の織物に適用される織組織は、平織、二重織、綾織等があるが、織密度を高くすることが容易であるという点で平織物が好ましい。
【0027】
織密度としては、以下の式で定義されるカバーファクターKが500〜4000の範囲が好ましく、1000〜2500がさらに好ましい。
【0028】
K=Mt×Dt0.5+Mw×Dw0.5
式中、Mtは経糸目付(本/25.4mm)、Dtは経糸の繊度(dtex)、Mwは緯糸目付(本/25.4mm)、Dwは緯糸の繊度(dtex)である。
【0029】
Dt及びDwは特に限定されないが、製織性の点から50〜1000dtexが好ましく、100〜500dtexがさらに好ましい。Mt及びMwは特に限定されないが、製織性の点から40〜120本/25.4mmが好ましく、60〜100本/25.4mmがさらに好ましい。
【0030】
本発明の織物は、そのまま裁断、縫製してテントやセールクロスとして使用可能であるが、さらに、通気度を低くするために織物の片面または両面をフィルム及び/または樹脂で被覆することが好ましい。
【0031】
使用するフィルムには特に限定はなく、代表的なものとして、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ナイロンフィルム等が使用可能であるが、強力、耐候性、寸法安定性、コスト等の点からポリエステルフィルムが最も好ましい。フィルムの厚さは強力および柔軟性の兼ね合いから、10〜300μmであることが好ましく、30〜200μmがさらに好ましい。
【0032】
また、樹脂としては、織物の通気度を低くすることが可能なものであれば特に限定はなく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
【0033】
フィルム及び/または樹脂の被覆量は、特に制限はないが、通気度および柔軟性を考慮すると、フィルム及び/または樹脂で被覆された織物の総質量に対して1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。
【0034】
また、本発明の織物は、屋外で強い紫外線を受けることによる織物の引き裂き強力の低下を抑えることを目的として、被覆するフィルムや樹脂に紫外線吸収剤及び/または紫外線遮蔽剤が含まれていることが望ましい。
【0035】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の公知のものが適用可能であり、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2−4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル4’−ヒドロキシベンゾエート、2(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が具体例として挙げられる。紫外線吸収剤は、単独で用いても2種類以上を組み合わせて使用してもかまわない。
【0036】
織物に被覆するフィルムや樹脂に含有される紫外線吸収剤の量は、フィルムや樹脂の質量に対して0.001〜10質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。この範囲であると、フィルムや樹脂に紫外線吸収剤を均一に分散させることが出来、紫外線による織物の強力低下を抑制する効果が十分に得られる。
【0037】
紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム等の微粒子が使用され、その微粒子の平均粒径は0.01〜0.6μmが紫外線の遮蔽効果が高い点で好ましく、0.01〜0.3μmがさらに好ましい。フィルムや樹脂に含有される紫外線遮蔽剤の量は、織物に被覆するフィルムや樹脂の質量に対して0.01〜3質量%の範囲であることが好ましい。この範囲であると、フィルムや樹脂に紫外線遮蔽剤を均一に分散させることが出来、紫外線による織物の強力低下を抑制する効果が十分に得られる。
【0038】
なお、フィルムや樹脂に含有される紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤の種類及び含有量の測定法は、フィルムや樹脂、紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤の種類によって異なるが、1H−NMR法、高周波プラズマ発光分光分析法等で測定可能である。例えば、紫外線遮蔽剤の場合、高周波プラズマ発光分光分析法により金属種及び含有量を測定することで、紫外線遮蔽剤の種類及び含有量を知ることが可能である。
【0039】
次に、本発明の織物を製造する方法を例示するが、これらの方法によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0040】
本発明において、ポリケトンを紡糸する場合には、ポリマーの溶融安定性が悪いことから湿式紡糸法を採用することが好ましい。湿式紡糸法としては、従来公知の方法をそのままあるいは修正して用いることができる。例えば、特開平2−112413号公報、特開平4−228613号公報、特表平4−505344号公報、特表平7−508317号公報、特表平8−507328号公報、国際公開99/18143号パンフレット、国際公開00/09611号パンフレット、特開2001−293928号公報等に開示されている方法を採用することができる。
【0041】
以下、湿式紡糸法によるポリケトン繊維の製造法の一例を具体的に説明する。
【0042】
ポリケトンを溶解する溶剤としては、ヘキサフルオロイソプロパノール、m−クレゾール、レゾルシン/水等の有機溶剤を用いて行うこともできるが、ハロゲン化亜鉛とハロゲン化アルカリ金属及び/またはハロゲン化アルカリ土類金属の混合塩の水溶液を使用することが、低毒性、低価格、溶解安定性の点で優れており、好ましい。このポリケトン溶液を紡糸口金より吐出し、必要に応じてエアーギャップ部を経て、凝固浴中を通して糸状物とする。このようにして得た糸状物を洗浄、乾燥を行い、次いで延伸を行う。
【0043】
延伸法としては、糸をガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好適に用いられ、一段あるいは二段以上の多段にて延伸する。熱延伸法としては、加熱したロール上やプレート上、あるいは加熱気体中を走行させる方法や、走行糸にレーザーやマイクロ波、遠赤外線を照射する方法等、従来公知の装置、方法をそのままあるいは改良して採用することができる。好ましい延伸温度範囲としては100〜280℃で、延伸の状況に応じて適宜選択することができる。延伸倍率はトータルで10倍以上が好ましく、15倍以上がより好ましい。
【0044】
しかし、このように高い倍率まで引き伸ばされたポリケトン延伸糸は非常に高い残留応力を有しており、織物の加工時や使用時に熱を受けた際に、繊維に強い収縮応力が発生する。この高い熱収縮応力を抑制するために、延伸糸を加熱処理する。加熱する温度としては100〜280℃の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは120〜270℃、特に好ましくは150〜250℃である。この温度範囲であると、ポリケトン繊維の内部歪みを十分に緩和することが出来、糸の融着や強度低下が起こらず、高品質の延伸糸を円滑に得ることができる。
【0045】
また、延伸糸を加熱する際には、加熱時の張力が0.001〜1cN/dtexになるようにして処理することが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.5cN/dtex、特に好ましくは0.01〜0.3cN/dtexである。熱処理時の張力がこの範囲であると、処理時に糸のたるみが発生したり、糸の品質がばらつくという問題等が生じることがなく、また、熱処理時に新たな残留応力が繊維内部に発生することがないので、熱収縮応力が十分に抑制される。
【0046】
延伸糸を加熱する方法としては特に限定はされず、ロールやプレート等の加熱固体やシリコーンやエチレングリコール等の加熱液体、加熱空気や窒素等の加熱気体、遠赤外線や炭酸ガスレーザー等の従来公知の加熱方法をそのまま、あるいは組み合わせて用いることが出来る。加熱処理は、一旦延伸糸を巻き取ってパッケージにした後に加熱処理するバッチ処理方式で行っても、また、延伸終了後引き続き連続して加熱処理を行う連続処理方式で行ってもよく、生産性や多量巻きのパッケージが採取できるという点で、連続処理方式が好適に用いられる。
【0047】
以上のようにして得られたポリケトン繊維を、織機を用いて上述の織物を作成する。織機は特に限定されるものではなく、エアージェットルーム、ウォータージェットルーム、レピアルーム、グリッパールーム等が適宜使用できる。
【0048】
また、本発明の織物をフィルムで被覆する方法は、従来公知の方法を適用することができ、例えば、ナイフコーティング法あるいはロールコーティング法等で織物に接着剤を塗布した後、加熱処理によりフィルムを張り合わせる方法が挙げられる。フィルムと本発明の織物を接着するための接着剤は、フィルムの種類によって適宜選ばれるが、アクリル系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、尿素樹脂系、ポリイソシアネート系等の接着剤が使用可能である。また、樹脂による被覆も従来公知の方法を適用することができ、例えば、ナイフコーティング法あるいはロールコーティング法等で、織物にラテックスまたは溶液状の樹脂を塗布し、加熱処理する方法が挙げられる。
【0049】
織物を被覆するフィルムや樹脂に紫外線吸収剤及び/または紫外線遮蔽剤を含有させる方法としては、フィルムの場合には、紫外線吸収剤及び/または紫外線遮蔽剤が含有されたフィルムを使用することで達成可能である。また、フィルムとの接着剤に紫外線吸収剤及び/または紫外線遮蔽剤を混合することでも達成可能である。樹脂の場合には、ラテックスまたは溶液状の樹脂中に紫外線吸収剤及び/または紫外線遮蔽剤を混合した後に織物に塗布することで達成可能である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、実施例などにより本発明を更に具体的に説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0051】
なお、各測定値の測定方法は次の通りである。
【0052】
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、下記の定義式に基づいて求めた。
【0053】
【数1】
【0054】
定義式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間である。また、Cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質質量値である。
【0055】
(2)繊維の強度、伸度、弾性率
JIS−L−1013に準じ、サンプル長20cm、引張り速度20cm/分で測定し、10回の測定値の平均値で表した。
【0056】
(3)織物の引き裂き強力
JIS−L−1096、引裂強さ(C法)に従って、経、緯についてそれぞれ5回づつ測定し、計10回の測定値の平均値を織物の引き裂き強力とした。
【0057】
(4)最大熱収縮応力
CORD−TESTER(Goodrich Type;東洋精機製作所(株)社製)を用いて、下記の条件で、一定変位下における繊維およびコードの熱収縮力特性を測定する。
【0058】
Temperature Program :EXPモード
ΘM :250℃
T1 :3分
初荷重:1/80(g/dtex)
初期試料長:250mm
50〜250℃の間で計測された温度−収縮力のカーブから最大の収縮力Fmax(cN)を読みとり、Fmaxを試料の繊度(dtex)で除して最大熱収縮応力σmax(cN/dtex)を求める。
【0059】
(5)樹脂付着率
縦15cm、横10cmの樹脂加工織物を、105℃で5時間加熱して絶乾質量W1(g)を計量する。次いで、1リットルの樹脂の溶剤中に浸漬し、攪拌をおこない表面の樹脂を溶解除去する。目視観察で樹脂の付着がないことを確認後、これを105℃で5時間加熱して、絶乾質量W2(g)を精秤し、下記の式から樹脂付着率を求めた。
【0060】
樹脂付着率(%)=[(W1−W2)/W2]×100
(6)紫外線照射後の引き裂き強力保持率
紫外線オートフェードメーター(スガ試験器(株)社製)を用いて、縦20cm、横10cmの樹脂加工織物を、温度63℃で500時間紫外線を照射した後の引き裂き強力を測定し、引き裂き強力の保持率を下記の式で計算した。
【0061】
紫外線照射後の引き裂き強力保持率(%)=(紫外線照射後の引き裂き強力/紫外線照射前の引き裂き強力)×100
〔実施例1〕
62質量%の塩化カルシウムと塩化亜鉛の混合塩(塩化カルシウム/塩化亜鉛の質量比は64.5/35.5)水溶液に、極限粘度が5.7で、実質的に繰り返し単位の100モル%が前記式(1)で表されるポリケトンを6.5質量%となるように30℃で混合し、1.33kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後、減圧のまま密閉し、これを90℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。
【0062】
得られたポリケトン溶液を20μmのフィルターを通過させた後、プランジャー型押出機を用いて、直径0.15mmの孔を50個有する紡糸口金から、80℃、5m/分の速度で押し出し、10mm長のエアギャップを通過させ、そのまま2℃の水である凝固浴中を通した後、ネルソンロールを用いて5m/分の速度で引き上げた。次いで、そのネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、さらに、1質量%の塩酸浴を通してネルソンロールで引き上げた後、ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄した。次いで、220℃ホットプレート上を通して乾燥して巻き取り、未延伸糸を得た。
【0063】
この未延伸糸を長さ1mのホットプレートを用いて230℃、245℃、255℃、265℃の順でトータル17倍の4段延伸を行い、引き続き、該延伸糸を200℃のホットプレートにて張力0.03cN/dtexとなるように熱処理を行った。得られた繊維は、繊度310dtex、強度16.7cN/dtex、伸度5.3%、弾性率350cN/dtexと高い物性を有しており、最大熱収縮応力は0.42cN/dtexであった。
【0064】
このポリケトン繊維を用いて、織密度が経・緯ともに60本/25.4mmである平織物を製織した。この織物のカバーファクターは2113であった。
【0065】
次いで、溶剤系アクリル樹脂(クリスコートP1130:大日本インキ株式会社製)を用いて織物の両面にナイフコートし、100℃で加熱乾燥した。被覆樹脂量は10質量%で、織物に変形やしわの発生は見られず、品位は良好であった。また、樹脂加工織物の引き裂き強力は1006Nであり、この樹脂加工織物の紫外線照射後の引き裂き強力保持率は70%であった。
【0066】
〔実施例2〕
実施例1で作成した平織物に、溶剤系アクリル樹脂(クリスコートP1130:大日本インキ株式会社製)中に紫外線吸収剤(アデカスタブLA−32:旭電化工業株式会社製)を、アクリル樹脂固形分に対して5質量%添加したものを用いて織物の両面にナイフコートし、100℃で加熱乾燥した。
【0067】
被覆樹脂量は9質量%で、織物に変形やしわの発生は見られず、品位は良好であった。また、樹脂加工織物の引き裂き強力は1034Nであり、この樹脂加工織物の紫外線照射後の引き裂き強力保持率は96%であった。
【0068】
〔実施例3〕
実施例1で得たポリケトン繊維、及び、繊度235dtex、強度8.0cN/dtex、伸度20.7%、弾性率40cN/dtexのナイロン66繊維(レオナ66:旭化成株式会社の登録商標)を用いて、経・緯ともに1本交互で織密度が60本/25.4mmである平織物を製織した。この織物のカバーファクターは1976であった。
【0069】
次いで、溶剤系アクリル樹脂(クリスコートP1130:大日本インキ株式会社製)中に紫外線吸収剤(アデカスタブLA−32:旭電化工業株式会社製)を、アクリル樹脂固形分に対して5質量%添加したものを用いて織物の両面にナイフコートし、100℃で加熱乾燥した。
【0070】
被覆樹脂量は9質量%で、織物に変形やしわの発生は見られず、品位は良好であった。また、樹脂加工織物の引き裂き強力は700Nであり、この樹脂加工織物の紫外線照射後の引き裂き強力保持率は98%であった。
【0071】
〔比較例1〕
延伸後の熱処理を行わないこと以外は実施例1と同様に行い、ポリケトン繊維を得た。得られた繊維は、繊度310dtex、強度16.9cN/dtex、伸度5.1%、弾性率340cN/dtexと高い物性を有しており、最大熱収縮応力は0.82cN/dtexであった。
【0072】
このポリケトン繊維を用いて、織密度が経・緯ともに60本/25.4mmである平織物を製織した。この織物のカバーファクターは2113であった。
【0073】
次いで、実施例1と同様にして樹脂加工を行ったところ、樹脂量は10質量%で、織物にしわの発生が見られた。また、樹脂加工織物の引き裂き強力は994Nであり、この樹脂加工織物の紫外線照射後の引き裂き強力保持率は66%であった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の織物は、優れた強力と寸法安定性を有するとともに、樹脂加工やフィルムの接着積層を施したときに織物の変形やしわの発生を起こさず、フィルム及び/または樹脂などの被覆材との接着性に優れている。そのため産業資材用途、例えば、より高性能なセールクロスやテント等の基布として有用である。
Claims (3)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001292178A JP4814461B2 (ja) | 2001-09-25 | 2001-09-25 | 織物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001292178A JP4814461B2 (ja) | 2001-09-25 | 2001-09-25 | 織物 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
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