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JP4815824B2 - 水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法 - Google Patents
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JP4815824B2 - 水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法 - Google Patents

水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力流通設備の変圧設備に適用する水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値を管理する方法に関するものである。
中性点接地抵抗器は、電力流通設備に落雷などの異常負荷が生じた際、瞬時に接地として作動し当該系統内の設備を保護する機器で、電力設備の信頼性を確保する上で重要な機器である。水抵抗型中性点接地抵抗器(以下、水抵抗器と省略することがある。)は、亜鉛めっき容器内に保持した中性溶液(炭酸ナトリウム水溶液など)により所定の抵抗を保持する構造であり、可動部分が無いため耐久性があり、油やガスなどを使用しないため防爆設備の必要が無く、有害物質を使用していないため環境にやさしい設備として国内でも複数が稼動し注目を集めている。
水抵抗型中性点接地抵抗器は、抵抗値が小さすぎると正常な負荷変動にも接地が作動して系統が停止し、また、抵抗値が大きすぎると異常な負荷変動でも接地が作動せず設備の保護ができない。このため、水抵抗型中性点接地抵抗器は常にその抵抗値を一定範囲に管理する必要がある。
水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗要因は、その構造から以下の3点と考えられる。
1)電極および容器金属体内の電気抵抗
2)容器金属体および電極表面の生成物と溶液界面の反応抵抗を含む電気抵抗
3〉溶液の導電性に依存した電気抵抗
上記の中で、金属体内の電気抵抗は、全体の抵抗値に対して無視しうるほど小さい。また、設備供用期間中は殆んど変化しない。しかし、設備供用時には、電極や容器表面が溶液と接触することによる表面生成物の成長、ならびに皮膜生成に伴う溶液の組成変化による溶液の導電率の変化により、水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値が変化する。そのため、従来は、定期的に測定対象の水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値を計測し、管理範囲を逸脱している場合は、内部の中性溶液の導電率を調整して抵抗値が適正となるよう管理されている。
現状では抵抗値の測定は、測定対象の水抵抗型中性点接地抵抗器が保護する系統を切り離し、通電抵抗値を直接計測する方法で行われている。しかしながら、この方法は、1)送電系統の停止を伴うため、需要家での停電や電力系統への負荷増大などの影響がでること;2)需要期には実施できないなど計測時期や計測頻度が制約されること;3)計測時間がかかり、更に計測に専用の特殊な計器が必要とされ計測コストが高い;といった問題点を有している。このため、測定時期や頻度の制約に起因した水抵抗型中性点接地抵抗器の設備保全品質の向上と、設備保全コスト低減という課題があった。
特許文献1には、液体の抵抗率測定用センサの電極部材を19〜24質量%のクロムおよび1〜7質量%の鉄を含有するニッケル基合金で形成したものが開示されているが、該電極部材は耐蝕性と耐酸化性が良好であるため、半導体ウエハの洗浄工程において、安定した洗浄管理が可能となると共に、電極特性管理や電極の交換が長期間に亘って不要になるというものである。
特開2000−46773号公報
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、送電系統からの切り離しが不要で電状態で抵抗値を管理することができ、計測時期の制約がなく、しかも現場でも容易に実施可能な水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した。水抵抗器の抵抗変動の原因を調査するため、電極や容器の亜鉛めっきの表面状態と通電抵抗の関係に着目して検討を行った。亜鉛めっき表面は、水抵抗器の炭酸ナトリウムを含む独特の水溶液中において、初期に亜鉛水酸化物あるいは亜鉛炭酸塩を生成し、めっき層の金属亜鉛が消費され鉄亜鉛合金が水溶液に接するようになると、表層に亜鉛の生成物とともに鉄酸化物や鉄水酸化物が生成されることが判明した。更に、地鉄が露出する状態になると、水素発生を伴う腐食が顕著に進行することが確認された。また、初期の亜鉛水酸化物あるいは亜鉛炭酸塩を生成する期間中は抵抗値の変動は非常に大きいが、亜鉛表面が厚い生成物で覆われると抵抗は安定となることが判明した。抵抗が安定化すると、水抵抗器の抵抗値変動の主要支配因子は内部溶液の導電率となる。
次に、内部溶液の導電率管理が適用可能な水抵抗器について検討した。その結果、初期稼動時に直接通電して測定したときの水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値をR(Ω)、ある時期に直接通電して測定したときの抵抗値をR(Ω)、その後一定期間Tヶ月後に計測したときの抵抗値をR(Ω)としたとき、R、RおよびRが、|R−R|÷(R×T)<0.05 の関係を満たす水抵抗器であることを見出した。亜鉛表面が生成物に覆われ亜鉛表面の抵抗値が安定化した後は、地鉄が腐食に至るまでの期間、水抵抗器の抵抗変動は溶液の導電率の変化に支配されることが推察された。そこで、亜鉛の腐食速度4g/mと亜鉛の平均付着量100g/mおよび、地鉄腐食への移行時の亜鉛めっき残存量を20%と仮定すると、溶液の導電率の変化に支配される期間は約20年間と長期であることがわかった。
水抵抗型中性点接地抵抗器内の溶液は、電したままで採取可能であることから、亜鉛表面の抵抗値が安定化した水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法として、溶液の導電率による抵抗値管理方法を検討した。
導電率計による導電率の計測は、従来も内部の溶液調整の際に行われていた。この導電率計を使用して、水抵抗型中性点接地抵抗器を管轄する複数部署で採取溶液による抵抗値管理を試みたところ、計測値のばらつきが大きく、計測期間内の再現性も悪いことが確認された。その原因は、電極材料の白金黒は常時純水中で保管管理する必要があるが、純水製造装置が完備していない水抵抗器の設置部署では、このような管理が難しく電極の劣化を生じていることがわかった。また、白金黒の電極を有する導電率計は高価であったことから、管理が簡易で比較的安価な導電率計の検討を実施した。
検討の結果、電極材料への必要要件として、大気保管中に劣化しないこと、および、水抵抗器内部の溶液環境で電極安定性の目安となる浸漬電位が短時間で安定化することの2点が重要であることが判明し、かかる要件を満たす電極材料として、FeあるいはNiを主成分とし、かつ質量%で示すCrおよびMoの含有量が、Crの質量%+Moの質量%/3≧25 を満たす合金と、チタンおよびカーボンを見出した。市販の導電率計でチタンおよびカーボンで電極が構成される計測器を購入し、複数部署で試験したところ、実計測時の再現性および機器の保管管理も良好であることが確認された。
更に、各部署や過去とのデータ比較は、同一温度の導電率で比較する必要がある。導電率計測時に溶液の温度を25℃に調整して計測を行う方法が確実であるが、短時間での計測には不向きである。そこで、計測計に組み込んである温度補正機能を使用して実溶液データの温度補正を実施したが、補正後のデータが実測値と異なることが判明した。その原因を調査した結果、市販の計測機器に組み込まれている温度補正機構は、JISに規格されている温度補正方法と同様の塩化物系の溶液に対応したものであり、水抵抗型中性点接地抵抗器に独特の炭酸系内部溶液では温度補正係数が全く異なるため、適用が難しいことがわかった。そこで、水抵抗型中性点接地抵抗器の内容溶液を使用し、適切な電極材質の導電率計を用いて温度補正曲線を作成し、実測データに温度補正を行ったところ、適切なデータ管理が可能であることが確認された。
上記の知見に基づき、本発明者等は、電力流通設備の変圧設備に適用する水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値の簡便で、安価で、設備停止が不要な精度の高い管理方法を確立した。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗性能を通電状態で管理する抵抗値管理方法であって、
稼動後のある時期と一定期間を決定するステップと、
前記水抵抗型中性点接地抵抗器が、初期稼動時に直接通電して測定したときの抵抗値R(Ω)、前記ある時期に直接通電して測定したときの抵抗値R(Ω)、前記ある時期の後前記一定期間Tヵ月後に直接通電して測定したときの抵抗値R(Ω)が、下記(1)式を満たすことを確認するステップと
|R−R|÷(R×T)<0.05 ・・・(1)
前記Tヶ月後に、水抵抗型中性点接地抵抗器から採取した溶液の導電率を計測し、該溶液の導電率を計測する際に該溶液温度を同時に計測し、適用する導電率計であらかじめ求めた2〜50mg/Lの炭酸ナトリウム水溶液の温度と導電率との関係から温度補正を行うステップと
温度補正後の導電率の値を基準となる管理値と比較するステップと、
を含むことを特徴とする水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法、
(2)前記溶液の導電率を計測する際、採取した溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測し、かつ、その電極材料にチタンあるいはチタン合金を使用することを特徴とする前記(1)記載の抵抗値管理方法、
(3)前記溶液の導電率を計測する際、採取した溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測し、かつ、その電極材料がFeを主成分とし、かつ質量%で示すCrおよびMoの含有量が Cr+Mo/3≧25 を満たす合金を使用することを特徴とする前記(1)記載の抵抗値管理方法、
(4)前記溶液の導電率を計測する際、採取した溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測し、かつ、その電極材料に比表面積(見掛けの電極面積に対する電極表面積の割合)が200%以下の炭素電極を使用することを特徴とする前記(1)記載の抵抗値管理方法。
本発明によれば、送電系統からの切り離しが不要で電状態で抵抗値を管理することができ、計測時期や頻度の制約がなく、簡便、安価で、精度の高い水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法を提供することができる。
本発明による水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法は、水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗性能を電状態で管理する抵抗値管理方法であって、前記抵抗器から採取した溶液の導電率を計測することを特徴とするものである。
本発明において、水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液の採取は、中性接点下部のドレンより行う。溶液採取時は、水抵抗型中性点接地抵抗器を系統から切り離す必要はない。1回の採取溶液量は最大2リットル程度とする。この程度の採取量であれば、年数回の管理頻度で抵抗器に影響なく管理を継続することが可能である。導電率の計測は、溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測する方法が、簡便であり、好ましい。導電率の計測は、大気中の炭酸ガスや溶存酸素の吸収による測定対象溶液のpH変動などの変質の影響を避けるため、2時間以内に終えることが望ましい。また、測定温度は計測機器の安定性の観点から5〜50℃の間の任意の温度から選択される一定の温度とすることが望ましく、通常は各種規格などで表記される溶液の導電率の基準温度25℃である。
本発明に係る導電率による抵抗値管理方法は、稼動後ある程度経時して、亜鉛表面が安定化した水抵抗型中性点接地抵抗器に適用される。抵抗値は、内部溶液と接する水抵抗型中性点接地抵抗器の内部躯体や電極の亜鉛めっき表面の皮膜に影響を受ける。このため、皮膜の生成が顕著な稼動初期は抵抗値が安定せず、内部溶液の導電率による抵抗管理は難しい。経時の目安としては、水抵抗型中性点接地抵抗器の初期稼動時に直接通電して測定したときの抵抗値をR(Ω)、ある時期に直接通電して測定したときの抵抗値をR(Ω)、その後一定期間Tヶ月後に直接通電して測定したときの抵抗値をR(Ω)としたとき、RとRの差の絶対値をRに経時を乗じた値で除した値、すなわち、|R−R|/(R×T) を指標とすることができる。この値が下記(1)式を満足する水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗は、内部溶液に依存することになる。
|R−R|÷(R×T)<0.05 ・・・(1)
本発明において、導電率の計測に用いる導電率計の電極材料としては、大気中および水抵抗独特の内部溶液中での表面状態が安定なものが望ましい。電極を大気中に放置した後の内部溶液中での浸漬電位の安定性に優れている点から、チタン、チタン合金、合金中に含まれる含有Cr量とMo量が、質量%で Cr+Mo/3≧25 である鉄基あるいはニッケル基合金等の金属、および炭素が好ましい。ただし、炭素はその製法に依存して表面が多孔質のものが多いため、比表面積(見掛けの電極面積に対する電極表面積の割合)でみた多孔質の程度が200%以下の炭素電極が望ましい。前記の比表面積が200%を超えて高くなると、保管時あるいは供用時に孔内部にゴミや気泡が入り込み、電極としての特性が変動するため望ましくない傾向がある。
チタンや炭素を電極材料とした導電率計は、一般に市販されているものを使用することができ、価格も白金黒電極の導電率計に比較して安価である。
これらの電極の管理は、導電率を計測した後、純水で軽く表面を洗い流して乾燥しておくだけでよい。純水は市販の純水ボトルなどで調達でき、必要量も1リットル以下であるため、水抵抗型中性点接地抵抗器の設置場所でも容易に対応ができる。
導電率の計測データは、各水抵抗型中性点接地抵抗器ごとに取得すればよいが、過去のデータや複数の設備のデータと比較するためには、同一温度に補正した導電率データを求める必要がある。温度補正に用いる導電率計は、測定精度を高めるため、実際に適用する導電率計を用いることが望ましく、すなわち、水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液の導電率測定にチタン電極を使用した場合は、温度補正用溶液の導電率測定もチタン電極を使用するのがよい。また、補正用溶液としては、対象となる水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液、あるいは模擬溶液として2〜50mg/リットルの炭酸ナトリウム水溶液などを用いることができる。前記の炭酸ナトリウム水溶液の濃度が2mg/リットル未満の場合は溶液調整が難しく、また、実溶液との乖離が著しくなる。一方、炭酸ナトリウム水溶液の濃度が50mg/リットルを超えると、実溶液との乖離が著しくなると同時に導電率が高すぎるため計測誤差が大きくなる。
導電率計の測定精度を定期的に検証する際にも、模擬溶液による温度補正曲線は必要である。計測値に対する温度補正方法には複数あるが、例えば、[計測した導電率値×補正曲線上の導電率値(補正温度)/補正曲線上の導電率値(測定温度)]、により補正後の導電率を簡便に求めることができる。
市販の導電率計による自動温度補正は、塩化物系溶液に対応した補正方法であるため、補正後も温度依存性を示し適用することができない。
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
水抵抗型中性点接地抵抗器を系統から開放し、抵抗器の抵抗測定値と、その際の内部溶液の導電率測定値から、導電率管理の適用可否を判断した結果を図1に示す。
図1において、横軸は |R−R|÷(R×T) であり、経時に対する抵抗変動を示している。縦軸は、抵抗器の内部溶液の導電率計測による抵抗値管理の適用可否を示したものである。すなわち、|R−R|÷(R×T)<0.05 で示される抵抗器の内部亜鉛めっき表面が安定した状態における抵抗値と溶液の導電率の近似線から、抵抗値として15%以上乖離している場合を適用不可:×、15%未満の場合を適用可:○とした。
図1に示す |R−R|÷(R×T)≧0.05 の状態では、基準となる内部溶液の導電率を設定することができなかった。この時、水抵抗型中性点接地抵抗器の溶液と接する亜鉛めっき表面は、金属光沢から、白色の生成物に覆われる過程にあることが確認された。一方、本発明例となる |R−R|÷(R×T)<0.05 にある水抵抗型中性点接地抵抗器で実施した測定結果は、いずれも抵抗値の基準抵抗からの変動は15%以内となった。この要因としては、亜鉛めっき表面の生成物が安定化したものと考えられ、水抵抗型中性点接地抵抗器の基準抵抗に対応した内部溶液の導電率を設定可能であった。以上の結果より、本発明の適用は、|R−R|÷(R×T)<0.05 にある水抵抗型中性点接地抵抗器で実施することが好ましい。
(実施例2)
各種電極材質を水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液に浸漬した場合の自然電位の経時変化を図2、3、5に示す。
基準となる参照電極には、飽和カロメロ電極を使用した。溶液温度は25℃で、実際の測定雰囲気と同じ大気開放環境で計測した。導電率の計測では電極間に微弱な電流を流し、インピーダンスから溶液の導電率を測定した。このため、電極表面が内部溶液中で速やかに安定化、あるいは変化しないことが必要となる。
本発明例である工業用純チタンおよびチタン合金(Ti−6Al−4V)電極は、大気中での乾燥状態から水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液中に浸漬した後も、10分程度の短時間に電位が安定化することが図2よりわかる。
本発明例である炭素電極(比表面積100%)は、大気中での乾燥状態から水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液中に浸漬した後も、10分程度の短時間に電位が安定化することが図3よりわかる。
比表面積の異なる各種炭素電極を水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液に浸漬して自然電位を計測した後、大気中で乾燥させ、1ヶ月経時後に再度使用した時の初回計測値からの自然電位の変化率を図4に示す。炭素電極の表面が多孔質となる場合は、使用後大気中で一度乾燥すると再度使用した時に再現性がなくなるため、適用する炭素電極の比表面積は200%以下とする必要があることが図4よりわかる。これは、表面の細孔部に空気やゴミが詰まり電極の表面状態が変化するためと考えられる。
本発明例であるSUS329J1(Fe−25%Cr−4%Ni−3%Mo)電極は、大気中での乾燥状態から水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液中に浸漬した後も、10分程度の短時間に電位が安定化することが図5よりわかる。一方、比較例であるSUS304(Fe−18%Cr−8%Ni)電極は、大気中での乾燥状態から水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液中に浸漬した後も、60分程度の時間では電位が安定化しないことが図5よりわかる。図5の結果より、電極材質にFeを主成分とし、かつ質量%で示すCrおよびMoの含有量が、Crの質量%+Moの質量%÷3≧25 を満たす合金を使用することが必要であることがわかる。なお、本知見は水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液および大気中の電極表面の安定性に起因したものであることから、Niを主成分とした合金においても同様の結果が期待できる。
(実施例3)
市販のTi電極を用いた導電率計に組込まれた温度補正を、水温の異なる水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液模擬液(10mg/Lの炭酸ナトリウム水溶液)に適用した比較例を図6に示す。Ti電極製の導電率計を使用した市販の導電率計に組み込まれている温度補正は、基本的に塩化物溶液に対応したものである。図6の結果から、塩化物溶液に対応した温度補正では、補正後の導電率が一定とならないことがわかる。
図7に、10mg/Lの炭酸ナトリウム水溶液を用いて求めた、本発明で使用する温度補正係数を示す。図7を用いることにより、補正後の導電率は、[補正後の導電率=測定した導電率×測定温度に対応した温度補正係数]、で求められる値となる。
本発明例である図7の温度補正係数を用いた測定結果を図8に示す。溶液は水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液模擬液(10mg/Lの炭酸ナトリウム水溶液)で、導電率計はSUS329J1(Fe−25%Cr−4%Ni−3%Mo)電極製を使用した。本発明例によれば、温度補正後の導電率が広い温度範囲で一定値を示すことがわかる。現場での測定において、溶液温度を一定温度に制御する場合は測定に時間がかかるため、図8に示した温度補正を行うことにより、短時間の測定や他の現場での測定データの比較が容易となる。
(実施例4)
水抵抗型中性点接地抵抗器内部の実溶液を用いて各種電極材質の導電率計を比較した結果を図9に示す。本発明例であるTiおよび比表面積が200%以下の炭素電極を用いて、本発明による温度補正を行ったデータは、いずれも良い一致を示し補正後は温度に対して一定値を示すことがわかる。これらに対し、SUS304(Fe−18%Cr−8%Ni)電極を用いて温度補正を行ったデータは、温度変化に対して一定値を示すが、他の電極とは異なる導電率を示すことがわかる。
(実施例5)
本発明による管理手法を水抵抗型中性点接地抵抗器の管理に適用した例を図10に示す。縦軸は、本発明範囲のTi電極製導電率計および炭素電極製導電率計を用いて測定した各水抵抗器から採取した内部溶液の導電率を示している。横軸は、各水抵抗器に設定された基準抵抗値を100とした時の各水抵抗器の経時後の実測抵抗値を示したものである。測定対象とした水抵抗器はいずれも本発明の(1)式を満たすものである。本発明により得られた内部溶液の導電率と水抵抗器の抵抗値には直線的な相関性が確認され、本手法により水抵抗器の抵抗管理が可能であることがわかる。
水抵抗型中性点接地抵抗器の内部溶液の導電率計測による抵抗管理の適用範囲を示す図である。 TiおよびTi合金製電極の内部溶液中での浸漬電位の経時変化(本発明例)を示す図である。 炭素電極の内部溶液中での浸漬電位の経時変化(本発明例)を示す図である。 炭素電極導電率計の1ヶ月乾燥保管後の計測誤差を示す図である。 ステンレス製電極の内部溶液中での浸漬電位の経時変化を示す図である。 市販Ti電極製導電率計による温度補正(比較例)を示す図である。 炭酸ナトリウム水溶液に基づく各温度での温度補正係数(本発明例)を示す図である。 炭酸ナトリウム水溶液に基づく温度補正前後の導電率(本発明例)を示す図である。 導電率計の電極種による導電率値の比較(図7による温度補正前後)を示す図である。 本発明による水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理例を示す図である。

Claims (4)

  1. 水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗性能を通電状態で管理する抵抗値管理方法であって、
    稼動後のある時期と一定期間を決定するステップと、
    前記水抵抗型中性点接地抵抗器が、初期稼動時に直接通電して測定したときの抵抗値R(Ω)、前記ある時期に直接通電して測定したときの抵抗値R(Ω)、前記ある時期の後前記一定期間Tヵ月後に直接通電して測定したときの抵抗値R(Ω)が、下記(1)式を満たすことを確認するステップと
    |R−R|÷(R×T)<0.05 ・・・(1)
    前記Tヶ月後に、水抵抗型中性点接地抵抗器から採取した溶液の導電率を計測し、該溶液の導電率を計測する際に該溶液温度を同時に計測し、適用する導電率計であらかじめ求めた2〜50mg/Lの炭酸ナトリウム水溶液の温度と導電率との関係から温度補正を行うステップと
    温度補正後の導電率の値を基準となる管理値と比較するステップと、
    を含むことを特徴とする水抵抗型中性点接地抵抗器の抵抗値管理方法。
  2. 前記溶液の導電率を計測する際、採取した溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測し、かつ、その電極材料にチタンあるいはチタン合金を使用することを特徴とする請求項1記載の抵抗値管理方法。
  3. 前記溶液の導電率を計測する際、採取した溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測し、かつ、その電極材料がFeを主成分とし、かつ質量%で示すCrおよびMoの含有量が Cr+Mo/3≧25 を満たす合金を使用することを特徴とする請求項1記載の抵抗値管理方法。
  4. 前記溶液の導電率を計測する際、採取した溶液中に浸漬した一対の電極間に電圧あるいは電流を印加して導電率を計測し、かつ、その電極材料に比表面積(見掛けの電極面積に対する電極表面積の割合)が200%以下の炭素電極を使用することを特徴とする請求項1記載の抵抗値管理方法。
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