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JP4817358B2 - ビニル系樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents
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JP4817358B2 - ビニル系樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビニル系樹脂微粒子の製造方法に関する。詳しくは、平均粒子径が数μm〜数十μm程度で、かつ粒子径分布が狭い樹脂微粒子の製造方法に関する。
従来から平均粒子径が数十μm〜数百μmのビニル系樹脂微粒子を製造する方法として、懸濁重合法が知られている。近年、粒子径が更に小さい数μm〜数十μm程度であり粒子径分布が狭い樹脂微粒子は、光拡散剤、トナー、スペーサー等として使用されており、樹脂粒子径が小さくしかも粒子径分布が狭い樹脂微粒子が要望されている。
しかしながら、従来から行われている通常の懸濁重合法により、樹脂微粒子を得るには、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)を0.1程度として重合させることが必要であり、生産性に劣り、経済的に不利であるばかりではなく、平均粒子径が数μm〜数十μm程度で、かつ粒子径分布が狭い樹脂微粒子を製造することは難しいなどの欠点がある。
一方、平均粒子径が数μm〜数十μm程度であり、粒子径分布が狭い樹脂微粒子を懸濁重合法により製造するために高速回転撹拌装置により1次混合液を調製し、該1次混合液をさらに加圧下でノズルから噴出させ2次混合液を調製して重合する方法(特許文献1)や超音波粉砕機にかけた懸濁剤を用いて重合する方法(特許文献2)などの技術が報告されている。
しかしながら、特許文献1、2記載の製造方法では、比較的粒子径分布の狭い樹脂微粒子を得ることができるが、製造工程が煩雑であることや、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)を大きくした条件では、粒子径分布の狭い樹脂微粒子が得られにくいという問題がある。
特開平4−156555号公報 特開平7−188310号公報
本発明は、上記従来の問題を解消し、煩雑な製造工程を必要とせず、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい場合でも、粒子径分布幅の狭いビニル系樹脂微粒子を効率よく製造することができるビニル系樹脂微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、(1)ビニル系単量体を含む水性懸濁液を、高速回転する撹拌機と該撹拌機の外側に配置されたリットをもつスクリーンで構成される乳化装置を備えた円筒状容器に供給し、撹拌機の先端周速度を少なくとも5m/secで撹拌を行い、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させた混合液を製造し、次いで該混合液中のビニル系単量体の液滴を、重合反応槽の撹拌翼の先端周速度を0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合させることを特徴とするビニル系樹脂微粒子の製造方法に係り、好ましくは、(2)前記乳化装置を備えた円筒状容器内を液封状態にして、連続的にビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする上記(1)に記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法、(3)前記乳化装置を備えた円筒状容器内を少なくとも0.005MPaに保持し、連続的にビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法、(4)前記乳化装置を備えた円筒状容器内を5℃〜40℃に保持し、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法を要旨とする。
本発明の乳化装置を使用して乳化液の調製を行うことにより、乳化液はキャビテーション(局所的に圧力が低下した場合に、その溶存気体などが気泡化する現象)を起こすことがなく、ビニル系単量体の液滴の安定性が良好な混合液を調製することができ、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件でも、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができる。
本発明の方法において、「ビニル系樹脂を含む水性懸濁液」は、後述するように、水性媒体(通常脱イオン水)に、ビニル系単量体、懸濁剤、重合開始剤、界面活性剤等を混合した懸濁液で、以下これを「水性懸濁液」という。
本発明の方法は図1に示すように高速回転する撹拌機と該撹拌機の外側に配置された複数のスリットをもつスクリーンで構成される乳化装置を用い、撹拌機の先端速度を5m/sec以上で水性懸濁液を撹拌し、得られた混合液(乳化液)を重合反応器で反応槽の撹拌翼の先端周速度を0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合反応を行わせることによるビニル系樹脂粒子の製造方法である。尚、以降、筒状容器内に存在するまだ撹拌されていない水性懸濁液も、筒状容器内で撹拌が開始された状態の混合液と水性懸濁液の混合物も、撹拌が完了した混合液も便宜上「混合液」という。
上記製造方法により、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件でも、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができる。
本発明の製造方法をさらに詳細に説明する。
本発明の特徴の一つは、図1に示すような構造からなる特定の乳化装置を使用して、ビニル系単量体の液滴を微細化することにある。
図1は本発明の方法に使用される乳化装置6の概念図を示す。本発明における乳化装置6は、図1に示すように、モーターMにより高速回転する撹拌機2と、撹拌機2の回転を阻害しないように少し間隔をおいて撹拌機2の外側を覆うように配置された複数のスリットをもつスクリーン3を有する。そして、乳化装置6の撹拌機2は円筒状容器1内に配置されている。図1において符号4は液(混合液)吸込み口を示し、符号5は液(混合液)吐出口(スリット)を示す。矢印7は液(混合液)の流れを示す。混合液は、液吸込み口4から導入され液吐出口5(スリット)から排出される。尚、図1においてスクリーン3は、撹拌機2と撹拌機2の回転軸が見えるように、一部切開した状態を示す。
図2に撹拌機2および該撹拌機2の回転による混合液の流れを説明する図を示す。図2(1)は撹拌機2の側面図を示す。符号21は撹拌機の翼を示す。また、図2(2)は、図2(1)に示す撹拌機2を回転させた時の混合液の流れの状態を説明する図で、aが軸方向流れ、bは遠心方向流れ、cは吐出方向流れを夫々示す。図2(3)は翼の形状が図2(1)のものとは異なる別の態様の撹拌機の側面図を示す。図3は、撹拌機の外側に配されるスクリーン3の側面外観図を示す。該スクリーン3は、小さな間隙(スリット幅:d3)を有するスリット5が複数設けられている。
図1において、h1は液面の高さ、d1は撹拌機の外径、d2は筒状容器の内径を示す。
上記の構造を有する乳化装置により、撹拌機2の先端速度を5m/sec以上でビニル系単量体を含む混合液の撹拌を行うと、混合液は吸込み口4から回転する撹拌機の翼21上に取り込まれ、混合液が図2(2)に示す如き吐出方向流れcを形成して、図3に示すスクリーン3のスリット5を通過する際に速度が増加された混合液の流れがジェット流となって、スリット5を通って槽内の混合液中に連続的に放出される。その際、その速度の不規則な変動のために生じる速度界面で混合液同士のせん断力で、ビニル系単量体の液滴が微細化された混合液が得られる。
従来、使用されている図5に示すような高速回転する撹拌機101とそれを取り囲むべく配置された固定環(ステータ)102とで構成される乳化装置においては、混合液は撹拌機101の回転に伴って液吸込口103から吸い込まれ、混合液と撹拌機101の周りに配置された固定環102の接触壁面とのせん断力で、吐出口104から排出され106の流路によってビニル系単量体が微細化された混合液が得られる。図5中符号100は筒状容器を示し、符号105は転流板を示す。
本発明の図1に示す構造の乳化装置では、図5に示す従来の装置に比べて、キャビテーション(局所的に圧力が低下した場合に、その溶存気体などが気泡化する現象)を起こすことがなく、ビニル系単量体の液滴の安定性が良好な混合液を調製することができ、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件であっても、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができる。
本発明における上記構造の乳化装置において、撹拌機2の先端周速度が5m/sec未満の場合には、ビニル系単量体の液滴を充分に微細化させることができず、重合反応で得られる重合体の平均粒子径が大きくなるだけでなく、粒子径分布が広くなる虞がある。また、撹拌機2の先端周速度の上限は特にないが、35 m/secを超える条件では、ビニル系単量体の液滴を微細化する効果がほとんど変わらなくなるので、製造コストの面から、5〜35m/secの範囲で撹拌することが好ましい。更に好ましくは7〜32m/secである。ここでいう撹拌機2の先端周速度とは、撹拌機2の回転軸から最も離れた撹拌機の翼の端部の回転速度を意味する。尚、高速回転する撹拌機2はそのリード角度による軸方向の流れ成分の大きさと遠心方向の流れ成分の大きさで定まる吐出方向の流れ(速度が増加された混合液の流れ;ジェット流)をスクリーンのスリットに向かうように設定し、スクリーンのスリット幅、スリット数でジェット流の絶対速度と断続回数を適宜決めることにより、目的とする微細化をコントロールし平均粒子径や粒度分布幅をコントロールすることができる。
上記スクリーンのスリット幅は、通常、0.5〜5mmであり、1〜3mmが好ましい。また、スリットの長さは、通常、5〜50mmであり、10〜30mmが好ましい。また、スリット数は、通常、5〜50個であり、10〜25個が好ましい。
また、ビニル系単量体の液滴を混合液中で微細に分散させる際に用いる筒状容器は、撹拌機の外径(d1)と容器の内径(d2)の比(d2/d1)が2〜10であることが好ましい。更には、d2/d1の値が3〜7であることが好ましい。この範囲であるとビニル系単量体の液滴を効率的に微細に分散させることができる。
また、撹拌機の外径(d1)と混合液の液面高さ(h1)の比(h1/d1)が2〜10になるように供給することが好ましい。更には、h1/d1の値が3〜5とすることが好ましい。
また、上記撹拌機としては、タービン形、オール形、ゲート形、プロペラ形等の種々の形の撹拌機が使用可能である。
本発明の懸濁重合の代表的な実施態様は、例えば、懸濁剤を分散させた水性媒体中に界面活性剤を分散させた後、重合開始剤、ビニル系単量体を含む懸濁液を、上記乳化装置を備えた筒状容器に仕込み、上記の条件により、高速撹拌を行うことで、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させた混合液を調製する。その後、調製された該混合液を重合反応器へ導入し、反応系内の酸素を除去した後、所定の温度で所定時間、乳化液を撹拌しながら加熱して懸濁重合を行う方法である。なお、上記の懸濁液は直接乳化装置にて調製してもよく、予め別の混合槽で調製し、それを乳化装置に導入し循環しながらビニル単量体の液滴を微細化することもできる。
本発明の樹脂微粒子の製造方法において使用されるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等のビニル芳香族系化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸の炭素数が1〜10のアルキルエステル等;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸の炭素数が1〜10のアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物等が挙げられる。
また、本発明の樹脂微粒子の製造方法において使用される重合開始剤としては、たとえば、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物、クメンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイドなどの単量体に可溶な開始剤があげられる。重合開始剤の量は、通常、仕込み単量体の全重量100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましい。
本発明の樹脂微粒子の製造方法においては、必要に応じて、その重合反応系に分子量を調整するために、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を添加することができる。その連鎖移動剤の使用量は、重合させる全単量体の全重量100重量部に対して、通常、0.01〜3重量部程度である。
また、本発明の樹脂微粒子の製造方法におけるビニル系単量体の仕込み量は、水性媒体100重量部に対して、通常、5〜100重量部の範囲である。また、本発明の樹脂微粒子に耐溶剤を付与するために、ビニル基を分子内に2個以上有するビニルモノマーを架橋剤として用いることができる。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸系モノマーや、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物などが挙げられる。これらの架橋剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、その使用量は、仕込み単量体の全重量100重量部に対して0.5〜20重量部程度が好ましい。
また、本発明の樹脂微粒子の製造方法において使用される懸濁剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、ベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤やポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤が挙げられる。より好ましくは、リン酸三カルシウムやハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムである。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用される懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100重量部に対して、通常、固形分量として0.05〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部である。0.05重量部未満の場合は、ビニル系単量体を懸濁安定化することができずに樹脂の塊状物が発生することがあり、20重量部を超えると製造コストの面から好ましくないだけではなく、粒子径分布が広くなる虞がある。
また、本発明の樹脂微粒子の製造方法において使用される界面活性剤としては、たとえば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系界面活性剤;ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンセテートなどのアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム等のカチオン系界面活性剤;ラウリルベタインやステアリルベタインなどのアルキルベタインやラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等の両性界面活性剤が挙げられる。
好ましくは、アニオン系界面活性剤である。更に好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)である。これにより、優れた懸濁安定化の効果が得られる。
界面活性剤の添加量は、ビニル系単量体100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲が好ましい。
また、必要に応じ電解質、例えば塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類等を加えることができる。
本発明の方法によるビニル系樹脂微粒子の製造において、ビニル系単量体の液滴の微細化はバッチ式、又は連続式いずれの方法でも実施することができる。工業的には連続式に行い、次いで重合反応に供する連続的に製造することが経済的に又効率的に望ましい。
連続式に行う際には、例えば図4に示すように、ビニル系単量体を含む水性懸濁液を調製する混合槽11と乳化装置10とを、混合液循環ポンプPを備えた導管13で接続し混合液を、循環ポンプPを介して連続的に乳化装置10導入し、該乳化装置で懸濁液中のビニル系単量体の液滴を微細化し、矢印で示される液の流れで循環させながら、所定のビニル系単量体の微細な液滴が分散された混合液を、液出口バルブVを開くことにより、重合反応槽(図示しない)に導入し、重合反応を行い、目的とする樹脂微粒子を得る。図4中、符号Gは、後述する容器内の圧力を測定するための圧力計である。
このように連続式にビニル系単量体の微細化を行う際、筒状容器12内を混合液で液封状態(容器内の充填率が100%)にして微細化を行うことにより、微細化の際に空気の巻き込みを防止することができ、短時間でビニル系単量体の液滴を微細化することができるので好ましい。
また、上記した方法によりビニル系単量体の液滴を微細化する際、筒状容器12内を0.005MPa以上の僅かに加圧した状態に保持して、ビニル系単量体の液滴を微細化することが好ましい。容器内を0.005MPa以上の加圧状態に保持することにより、空気の巻き込みを更に防止することができ、効率よく短時間でビニル系単量体の液滴を微細化することができるので好ましい。容器内が0.005MPa未満の場合には、容器内でビニル系単量体の液滴を微細化する際、空気を巻込み易く、ビニル系単量体の液滴を所定の粒径まで微細化する時間が長くなる虞があるので、好ましくは、0.01MPa以上、更には0.02MPa以上が好ましく、0.05MPa以上がより好ましい。しかし余りに高い加圧とすることは筒状容器の耐圧強度を高める必要があり、装置のコストアップにつながる虞があるため、その上限は0.5MPa程度とすることが好ましい。尚、ここでいう圧力はゲージ圧を意味し、上記圧力計Gにより混合液の水圧を測定することにより得られる値である。また、混合液の水圧を高めるには、単に、円筒状容器の混合液圧が高まるように混合液を循環させればよい。
本発明の方法によりビニル系単量体の液滴を微細化する際、容器内(混合液)の温度は5〜40℃が好ましい。容器内温度が5℃未満の場合には、ビニル系単量体の液滴を所定の粒子径まで微細化した後、次いで実施される重合反応に際して重合温度までに昇温する加熱時間が長くなってしまうため、製造コストの面から好ましくない。また、40℃を超える場合には、ビニル系単量体の液滴を所定の粒子径まで微細化することが困難になる。好ましくは、10〜30℃である。
尚、ビニル系単量体の液滴を微細化させる容器にジャケットをつけ、冷却水や温水を循環させることで、容器内の温度をコントロールすることができる。
上記の方法により調製した混合液は次いで懸濁重合反応に供される。この懸濁重合反応は従来の懸濁重合と同様に実施される。重合反応させる際に、重合反応槽内を0.2MPa以上の加圧状態に保持して重合させることが好ましい。反応槽内を0.2MPa以上に保持して重合させることにより、泡の発生を抑制することができるため、重合中に発生した泡が滞留して、凝結ビーズの生成を抑制できるので好ましい。加圧状態が0.2MPa未満では、重合中に発生する泡を充分に抑制することができず、凝結ビーズが発生する虞が高い。好ましくは、0.3MPa以上であり、更には0.5MPa以上であることが好ましい。尚、加圧は窒素を導入することにより行うことが望ましい。しかし余りに高い加圧とすることは反応槽の耐圧強度を高める必要があり、装置のコストアップにつながる虞があるため、その上限は5MPa程度とすることが好ましい。尚、ここでいう圧力はゲージ圧を意味し、反応槽上部の気相部を圧力計で測定することにより得られる値である。
本発明で得られる樹脂微粒子の平均粒子径(d50)は1〜100μm程度で、分散度(d90/d10)は10未満の範囲にあり、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させる際の撹拌機の回転速度や懸濁剤の量を変えることにより樹脂微粒子の平均粒子径をコントロールすることができる。
ここで、平均粒子径(d50)は、樹脂微粒子を水中に分散させ、レーザー回折法(SYMPATEC社製 HELOS version4.4.1)により粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒子径を50%粒子径(d50)として求めた値で、分散度(d90/d10)は、全粒子の体積に対する累積体積が10%、90%になる時の粒子径をそれぞれ10%粒子径(d10)、90%粒子径(d90)とし、90%粒子径を10%粒子径で除した値である。樹脂微粒子の形状は、球状のものに限らず、断面が楕円形状を示す粒子、表面に多少の凹凸があるような異形粒子でもよい。
また、重合反応においては、撹拌翼の先端周速度(撹拌機の回転軸から最も離れた撹拌翼の端部の回転速度)が0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合する。撹拌翼の先端周速度が0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合することで、粒子同士が合着して重合体の粒子径が大きくなることを防ぐことができ、凝結ビーズの発生原因となる泡の発生を抑えることができるので好ましい。
撹拌翼の先端周速度が0.5m/sec未満の場合には、粒子同士が合着しやすくなり、重合で得られる重合体の粒径が大きくなるという問題が、また2m/secを超える場合、反応器内に泡が発生し、滞留した泡に浮いた樹脂微粒子が凝結ビーズになる虞がある。
以下に、本発明について実施例及び比較例を挙げて更に詳述する。
実施例1
図2(1)に示す高速回転する撹拌機(エム・テクニック株式会社製のローター「R2」を使用。幅30.5mm)と微細な間隙のスリットをもつスクリーン(エム・テクニック株式会社製のスクリーン「S1.5−24」を使用。スリット幅1.5mm、スリット長さ12mmのスリット21個と、スリット幅1.5mm、スリット長さ24mmのスリット3個からなり、長さ24mmのスリット間に12mm長さのスリットが7個均等に配置されたもの。)で構成されている図1に示すような乳化装置を備えた円筒状容器1(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水1350gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム22gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物40gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、上記調製されたピロリン酸マグネシウム含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液6.8gと、予めスチレンモノマー150gに、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.45g、及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.15gを溶解させた溶液とを、撹拌機の先端周速度8m/sec(回転数5000rpm)で15分間、高速撹拌し、スチレンモノマーの液滴が微細分散した混合液を製造した。尚、混合液の温度は、30℃であった。また、撹拌機のモーター動力は0.8KWであった。
次いで、該混合液を容積3000mlの重合反応槽に投入し、反応槽内を窒素ガスでパージした後、反応槽の撹拌翼の先端周速度0.63m/sec(回転数200rpm)で回転して撹拌しながら、1時間半を要して90℃まで昇温し、更に5時間を要して120℃まで昇温した。この間、90℃到達後から4時間経過後に窒素ガスを圧入し、反応槽内を0.5MPaまで加圧した。その後さらに、120℃で8時間保持した。続いて、4時間を要して30℃まで冷却し重合生成物を得た。
次いで、重合生成物をろ過して得られた重合物に硝酸(5%)100mlを加えて撹拌することにより付着物を溶解させ、ろ過、水洗、乾燥して球状のスチレン樹脂を得た。得られた樹脂粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定したところ、体積平均粒子径(d50)が4.4μmであり、分散度(d90/d10)は4.9であった。
平均粒子径(d50)及び分散度(d90/d10)は、先に記載した方法により測定した。尚、得られた樹脂粒子は球状であったため、測定に際しての測定装置の粒子の形状ファクターは1(球形)とした。
樹脂微粒子の10%粒子径に対する90%粒子径の比(d90/d10)(分散度)が、5未満を「◎」、5以上〜10未満を「○」、10以上を「×」と評価した。以下同様に評価した。
実施例2
実施例1で使用したと同様の乳化装置を備えた円筒状容器(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水900gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム 14.7gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物 26.7gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、調製したピロリン酸マグネシウム含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液4.5gと、予めスチレンモノマー600gに重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.8g、及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6gを溶解させた溶液とを撹拌機の先端周速度16m/sec(回転数1000rpm)で15分間、高速撹拌し、スチレンモノマーの液滴が微細分散した混合液を製造した。該混合液の重合は実施例1と同様行い、重合生物成物を得た。得られた重合生成物は実施例1と同様に処理して平均粒子径(d50)9.6μm及び分散度(d90/d10)4.8の樹脂微粒子を得た。
実施例3
本実施例は、図4に示す連続微細化工程によりビニルモノマー含有水性懸濁液を微細化して重合に供する方法を示す。先ず、円筒状の混合槽11(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水900gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム14.7gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物26.7gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、調製したピロリン酸マグネシウム含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液4.5gと、予めスチレンモノマー600gに重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.8g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6gを溶解させた溶液を加え混合液を調製した。
図2(1)に示す高速回転する撹拌機(エム・テクニック株式会社製のローター「R2」を使用。幅30.5mm)と微小な間隙のスリットをもつスクリーン(エム・テクニック株式会社製のスクリーン「S1.5−24」を使用。スリット幅1.5mm、スリット長さ12mmのスリット21個と、スリット幅1.5mm、スリット長さ24mmのスリット3個からなり、長さ24mmのスリット間に12mm長さのスリットが7個均等に配置されたもの。)で構成されている図4に示す乳化装置10を備えた350cc円筒状容器12(幅72mm、高さ100mm)に、循環ポンプPで連続的に供給し、冷却水を循環させ容器内の温度を20℃に保持しながら撹拌機の先端周速度16m/sec(回転数10000rpm)で20分間、高速撹拌し、混合液を製造した。
次いで、製造した混合液を液出口バルブVを開き、重合反応槽(図示しない)へ導き、撹拌翼の先端周速度1.26m/sec(回転数400rpm)で回転して撹拌しながら重合させた。重合反応終了後は、実施例1と同様に処理して樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は3.9μm、分散度(d90/d10)は3.9であった。
実施例4
実施例3と同様連続法により微細化した。実施例3と同様にして懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、調製したピロリン酸マグネシウム含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液4.5gと、予めメタクリル酸メチル240g、スチレンモノマー360gに、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.8g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6gを溶解させた溶液を加え混合液を調製した。
該混合液を実施例3と同様の乳化装置に循環ポンプで1L/minの速度で連続的に供給し、液出口バルブ開き度を調整して容器内の圧力を0.03MPaとし、冷却水を循環させながら容器内温度を10℃に保持し、ローターの先端周速度24m/sec(回転数15000rpm)で10分間高速攪拌して混合液を製造した。
次いで、製造した混合液を液出口バルブVを開き、重合反応槽へ導き、撹拌翼の先端周速度0.95m/sec(回転数300rpm)で回転して撹拌しながら重合させた。重合反応終了後は、実施例1と同様に処理して樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は3.5μm、分散度(d90/d10)は3.4であった。
実施例5
実施例3と同様連続法により微細化した。実施例3と同様にして懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、このピロリン酸マグネシウムスラリー含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液4.5gと、予めメタクリル酸メチル600gに重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.8g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6gを溶解させた溶液を、実施例3と同様の乳化装置に循環ポンプPで1L/minの速度で連続的に供給し、液出口のバルブ開き度を調整して容器内の圧力を0.06MPaに調整し、冷却水を循環させ容器内の温度を20℃に保持しながら、撹拌機の先端周速度32m/sec(回転数20000rpm)で5分間、高速撹拌し、モノマーが微細に分散した混合液を製造した。
次いで製造した混合液を、重合反応槽に導入し反応槽の撹拌翼の先端周速度0.63m/sec(回転数200rpm)で回転して撹拌しながら重合する以外は、実施例3と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は3.0μm、分散度(d90/d10)は2.9であった。
比較例4
実施例3と同様に円筒状の混合槽11(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水1000gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム16.2gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物29.6gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、このピロリン酸マグネシウムスラリー含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液5.0gと、予めスチレンモノマー500gに重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.5gを溶解させた溶液を、実施例3に用いたと同様の乳化装置に、循環ポンプPで1L/minの速度で連続的に供給し、液出口のバルブ開き度を調整して容器内の圧力を0.01MPaに保持しながら、ローターの先端周速度32m/sec(回転数20000rpm)で15分間、高速撹拌し混合液を製造した。尚、混合液の温度は、50℃であった。
次いで、製造した混合液を、重合反応槽に導入し反応槽の撹拌翼の先端周速度2.2m/sec(回転数700rpm)で回転して撹拌しながら重合する他は、実施例3と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は16.2μm、分散度(d90/d10)は9.2であった。
比較例1
図5に示すような高速回転する撹拌機101(幅30.5mm)とそれを取り囲むべく配置された固定環(ステータ)102とで構成される従来の乳化装置を用い、撹拌機の先端周速度8m/sec(回転数5000rpm)で15分間、高速撹拌して製造した混合液を重合する他は実施例1と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は11.9μm、分散度(d90/d10)は14.0であった。
比較例2
比較例1と同様の乳化装置で撹拌機の先端周速度16m/sec(回転数10000rpm)で15分間、高速撹拌して製造した混合液を重合する他は実施例2と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は53.9μm、分散度(d90/d10)は12.5であった。
比較例3
実施例1に使用したと同じ乳化装置を用い、撹拌機の先端周速度4m/sec(回転数2500rpm)で15分間、高速撹拌して製造した混合液を重合する他は実施例1と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は34.5μm、分散度(d90/d10)は13.8であった。
以上の各実施例及び各比較例における、樹脂微粒子の50%粒子径(d50)、10%粒子径に対する90%粒子径の比(d90/d10)を表1、2に示した。尚、表1及び表2中のO/Wは、水に対する単量体の重量比を意味する。
表1、2より、本発明の樹脂微粒子は、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件でも、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができることが分かる。
Figure 0004817358
Figure 0004817358
本発明の乳化装置の一例を示す概要図。 本発明の乳化装置の撹拌機を示し、(1)は撹拌機の側面図を示し、(2)は同撹拌機による液の流れを示す。(3)は翼の形状が異なる別の態様の撹拌機の側面図を示す。 本発明の乳化装置のスクリーンの一例を示す。 本発明における連続微細化工程の一例を示す。 従来の撹拌機と固定環を備えた乳化装置を示す。
符号の説明
1 円筒状容器
2 撹拌機
21 翼
3 スクリーン
4 液吸込み口
5 スリット
6、10 乳化装置
7 液の流れ
11 混合槽
12 円筒状容器
13 導管
100 円筒状容器
101 撹拌機(タービン)
102 固定環(ステータ)
103 液吸込口
104 液吐出口
105 転流板
106 液の流れ
M モーター
d1 撹拌機幅
d2 容器幅
d3 スリット幅
h1 液面高さ
a 軸方向流
b 遠心方向流
c 吐出流路

Claims (4)

  1. ビニル系単量体を含む水性懸濁液を、高速回転する撹拌機と該撹拌機の外側に配置されたスリットをもつスクリーンで構成される乳化装置を備えた円筒状容器に供給し、撹拌機の先端周速度を少なくとも5m/secで撹拌を行い、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させた混合液を製造し、次いで該混合液中のビニル系単量体の液滴を、重合反応槽の撹拌翼の先端周速度を0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合させることを特徴とするビニル系樹脂微粒子の製造方法。
  2. 前記乳化装置を備えた円筒状容器内を液封状態にして、連続的にビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする請求項1に記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法。
  3. 前記乳化装置を備えた円筒状容器内を少なくとも0.005MPaに保持し、連続的にビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法。
  4. 前記乳化装置を備えた円筒状容器内を5℃〜40℃に保持し、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法。
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