JP4817358B2 - ビニル系樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来から行われている通常の懸濁重合法により、樹脂微粒子を得るには、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)を0.1程度として重合させることが必要であり、生産性に劣り、経済的に不利であるばかりではなく、平均粒子径が数μm〜数十μm程度で、かつ粒子径分布が狭い樹脂微粒子を製造することは難しいなどの欠点がある。
しかしながら、特許文献1、2記載の製造方法では、比較的粒子径分布の狭い樹脂微粒子を得ることができるが、製造工程が煩雑であることや、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)を大きくした条件では、粒子径分布の狭い樹脂微粒子が得られにくいという問題がある。
本発明の方法は図1に示すように高速回転する撹拌機と該撹拌機の外側に配置された複数のスリットをもつスクリーンで構成される乳化装置を用い、撹拌機の先端周速度を5m/sec以上で水性懸濁液を撹拌し、得られた混合液(乳化液)を重合反応器で反応槽の撹拌翼の先端周速度を0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合反応を行わせることによるビニル系樹脂微粒子の製造方法である。尚、以降、筒状容器内に存在するまだ撹拌されていない水性懸濁液も、筒状容器内で撹拌が開始された状態の混合液と水性懸濁液の混合物も、撹拌が完了した混合液も便宜上「混合液」という。
上記製造方法により、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件でも、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができる。
本発明の特徴の一つは、図1に示すような構造からなる特定の乳化装置を使用して、ビニル系単量体の液滴を微細化することにある。
図1は本発明の方法に使用される乳化装置6の概念図を示す。本発明における乳化装置6は、図1に示すように、モーターMにより高速回転する撹拌機2と、撹拌機2の回転を阻害しないように少し間隔をおいて撹拌機2の外側を覆うように配置された複数のスリットをもつスクリーン3を有する。そして、乳化装置6の撹拌機2は円筒状容器1内に配置されている。図1において符号4は液(混合液)吸込み口を示し、符号5は液(混合液)吐出口(スリット)を示す。矢印7は液(混合液)の流れを示す。混合液は、液吸込み口4から導入され液吐出口5(スリット)から排出される。尚、図1においてスクリーン3は、撹拌機2と撹拌機2の回転軸が見えるように、一部切開した状態を示す。
図2に撹拌機2および該撹拌機2の回転による混合液の流れを説明する図を示す。図2(1)は撹拌機2の側面図を示す。符号21は撹拌機の翼を示す。また、図2(2)は、図2(1)に示す撹拌機2を回転させた時の混合液の流れの状態を説明する図で、aが軸方向流れ、bは遠心方向流れ、cは吐出方向流れを夫々示す。図2(3)は翼の形状が図2(1)のものとは異なる別の態様の撹拌機の側面図を示す。図3は、撹拌機の外側に配されるスクリーン3の側面外観図を示す。該スクリーン3は、小さな間隙(スリット幅:d3)を有するスリット5が複数設けられている。
図1において、h1は液面の高さ、d1は撹拌機の外径、d2は筒状容器の内径を示す。
本発明の図1に示す構造の乳化装置では、図5に示す従来の装置に比べて、キャビテーション(局所的に圧力が低下した場合に、その溶存気体などが気泡化する現象)を起こすことがなく、ビニル系単量体の液滴の安定性が良好な混合液を調製することができ、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件であっても、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができる。
上記スクリーンのスリット幅は、通常、0.5〜5mmであり、1〜3mmが好ましい。また、スリットの長さは、通常、5〜50mmであり、10〜30mmが好ましい。また、スリット数は、通常、5〜50個であり、10〜25個が好ましい。
好ましくは、アニオン系界面活性剤である。更に好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)である。これにより、優れた懸濁安定化の効果が得られる。
界面活性剤の添加量は、ビニル系単量体100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲が好ましい。
連続式に行う際には、例えば図4に示すように、ビニル系単量体を含む水性懸濁液を調製する混合槽11と乳化装置10とを、混合液循環ポンプPを備えた導管13で接続し混合液を、循環ポンプPを介して連続的に乳化装置10に導入し、該乳化装置で懸濁液中のビニル系単量体の液滴を微細化し、矢印で示される液の流れで循環させながら、所定のビニル系単量体の微細な液滴が分散された混合液を、液出口バルブVを開くことにより、重合反応槽(図示しない)に導入し、重合反応を行い、目的とする樹脂微粒子を得る。図4中、符号Gは、後述する容器内の圧力を測定するための圧力計である。
このように連続式にビニル系単量体の微細化を行う際、筒状容器12内を混合液で液封状態(容器内の充填率が100%)にして微細化を行うことにより、微細化の際に空気の巻き込みを防止することができ、短時間でビニル系単量体の液滴を微細化することができるので好ましい。
尚、ビニル系単量体の液滴を微細化させる容器にジャケットをつけ、冷却水や温水を循環させることで、容器内の温度をコントロールすることができる。
撹拌翼の先端周速度が0.5m/sec未満の場合には、粒子同士が合着しやすくなり、重合で得られる重合体の粒径が大きくなるという問題が、また2m/secを超える場合、反応器内に泡が発生し、滞留した泡に浮いた樹脂微粒子が凝結ビーズになる虞がある。
図2(1)に示す高速回転する撹拌機(エム・テクニック株式会社製のローター「R2」を使用。幅30.5mm)と微細な間隙のスリットをもつスクリーン(エム・テクニック株式会社製のスクリーン「S1.5−24」を使用。スリット幅1.5mm、スリット長さ12mmのスリット21個と、スリット幅1.5mm、スリット長さ24mmのスリット3個からなり、長さ24mmのスリット間に12mm長さのスリットが7個均等に配置されたもの。)で構成されている図1に示すような乳化装置を備えた円筒状容器1(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水1350gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム22gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物40gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
平均粒子径(d50)及び分散度(d90/d10)は、先に記載した方法により測定した。尚、得られた樹脂粒子は球状であったため、測定に際しての測定装置の粒子の形状ファクターは1(球形)とした。
樹脂微粒子の10%粒子径に対する90%粒子径の比(d90/d10)(分散度)が、5未満を「◎」、5以上〜10未満を「○」、10以上を「×」と評価した。以下同様に評価した。
実施例1で使用したと同様の乳化装置を備えた円筒状容器(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水900gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム 14.7gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物 26.7gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
本実施例は、図4に示す連続微細化工程によりビニルモノマー含有水性懸濁液を微細化して重合に供する方法を示す。先ず、円筒状の混合槽11(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水900gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム14.7gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物26.7gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
図2(1)に示す高速回転する撹拌機(エム・テクニック株式会社製のローター「R2」を使用。幅30.5mm)と微小な間隙のスリットをもつスクリーン(エム・テクニック株式会社製のスクリーン「S1.5−24」を使用。スリット幅1.5mm、スリット長さ12mmのスリット21個と、スリット幅1.5mm、スリット長さ24mmのスリット3個からなり、長さ24mmのスリット間に12mm長さのスリットが7個均等に配置されたもの。)で構成されている図4に示す乳化装置10を備えた350cc円筒状容器12(幅72mm、高さ100mm)に、循環ポンプPで連続的に供給し、冷却水を循環させ容器内の温度を20℃に保持しながら撹拌機の先端周速度16m/sec(回転数10000rpm)で20分間、高速撹拌し、混合液を製造した。
実施例3と同様連続法により微細化した。実施例3と同様にして懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、調製したピロリン酸マグネシウム含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液4.5gと、予めメタクリル酸メチル240g、スチレンモノマー360gに、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.8g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6gを溶解させた溶液を加え混合液を調製した。
該混合液を実施例3と同様の乳化装置に循環ポンプで1L/minの速度で連続的に供給し、液出口バルブ開き度を調整して容器内の圧力を0.03MPaとし、冷却水を循環させながら容器内温度を10℃に保持し、ローターの先端周速度24m/sec(回転数15000rpm)で10分間高速攪拌して混合液を製造した。
実施例3と同様連続法により微細化した。実施例3と同様にして懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、このピロリン酸マグネシウムスラリー含有水スラリーに、アルキルスルホン酸ナトリウム10%水溶液4.5gと、予めメタクリル酸メチル600gに重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.8g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6gを溶解させた溶液を、実施例3と同様の乳化装置に循環ポンプPで1L/minの速度で連続的に供給し、液出口のバルブ開き度を調整して容器内の圧力を0.06MPaに調整し、冷却水を循環させ容器内の温度を20℃に保持しながら、撹拌機の先端周速度32m/sec(回転数20000rpm)で5分間、高速撹拌し、モノマーが微細に分散した混合液を製造した。
実施例3と同様に円筒状の混合槽11(幅180mm、高さ210mm)に、脱イオン水1000gを入れ、さらにピロリン酸ナトリウム16.2gを加えて溶解させた後、粉末状の塩化マグネシウム・6水和物29.6gを加え、室温で30分間撹拌して懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを調製した。
次いで、製造した混合液を、重合反応槽に導入し反応槽の撹拌翼の先端周速度2.2m/sec(回転数700rpm)で回転して撹拌しながら重合する他は、実施例3と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は16.2μm、分散度(d90/d10)は9.2であった。
図5に示すような高速回転する撹拌機101(幅30.5mm)とそれを取り囲むべく配置された固定環(ステータ)102とで構成される従来の乳化装置を用い、撹拌機の先端周速度8m/sec(回転数5000rpm)で15分間、高速撹拌して製造した混合液を重合する他は実施例1と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は11.9μm、分散度(d90/d10)は14.0であった。
比較例1と同様の乳化装置で撹拌機の先端周速度16m/sec(回転数10000rpm)で15分間、高速撹拌して製造した混合液を重合する他は実施例2と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は53.9μm、分散度(d90/d10)は12.5であった。
実施例1に使用したと同じ乳化装置を用い、撹拌機の先端周速度4m/sec(回転数2500rpm)で15分間、高速撹拌して製造した混合液を重合する他は実施例1と同様にして樹脂微粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径(d50)は34.5μm、分散度(d90/d10)は13.8であった。
表1、2より、本発明の樹脂微粒子は、水性媒体に対するビニル系単量体の重量比(O/W)が大きい条件でも、粒子径分布の狭い樹脂微粒子を効率よく製造することができることが分かる。
2 撹拌機
21 翼
3 スクリーン
4 液吸込み口
5 スリット
6、10 乳化装置
7 液の流れ
11 混合槽
12 円筒状容器
13 導管
100 円筒状容器
101 撹拌機(タービン)
102 固定環(ステータ)
103 液吸込口
104 液吐出口
105 転流板
106 液の流れ
M モーター
d1 撹拌機幅
d2 容器幅
d3 スリット幅
h1 液面高さ
a 軸方向流
b 遠心方向流
c 吐出流路
Claims (4)
- ビニル系単量体を含む水性懸濁液を、高速回転する撹拌機と該撹拌機の外側に配置されたスリットをもつスクリーンで構成される乳化装置を備えた円筒状容器に供給し、撹拌機の先端周速度を少なくとも5m/secで撹拌を行い、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させた混合液を製造し、次いで該混合液中のビニル系単量体の液滴を、重合反応槽の撹拌翼の先端周速度を0.5〜2m/secの範囲で撹拌しながら重合させることを特徴とするビニル系樹脂微粒子の製造方法。
- 前記乳化装置を備えた円筒状容器内を液封状態にして、連続的にビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする請求項1に記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法。
- 前記乳化装置を備えた円筒状容器内を少なくとも0.005MPaに保持し、連続的にビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法。
- 前記乳化装置を備えた円筒状容器内を5℃〜40℃に保持し、ビニル系単量体の液滴を微細に分散させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビニル系樹脂微粒子の製造方法。
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