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JP4819331B2 - 高分子型燃料電池の製造方法 - Google Patents
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本発明は高分子型燃料電池の製造方法に関し、特に燃料として水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルなどを用い、空気や酸素を酸化剤として用いる高分子型燃料電池の製造方法に関するものである。
高分子型燃料電池は、2つの電極即ち、燃料極(アノード)と空気極(カソード)とが高分子電解質膜を挟持する層構造を有する。この燃料極と空気極は触媒となる白金などの貴金属や有機金属錯体が導電性炭素に担持された電極触媒と電解質、バインダーなどとの混合物よりなる。
燃料極に供給された燃料は、電極中の細孔を通過して電極触媒に達し、電極触媒中の触媒により電子を放出して水素イオンとなる。水素イオンは両電極間にある電解質膜を通過して空気極に達し、空気極に供給された酸素と外部回路より流れ込む電子と反応して水が生成される。燃料より放出された電子は、電極触媒中の触媒や触媒が担持されている導電性炭素を通過して外部回路へ導き出され、外部回路より空気極へ流れ込む。この結果、外部回路では燃料極から空気極へ向かって電子が流れ電力が取り出される。
従来、この高分子電解質膜を挟持する電極の形成方法としては、貴金属や有機金属錯体が導電性炭素に担持された電極触媒とバインダー、電解質などを溶媒中に混合、分散し触媒ペーストとする。次にこの触媒ペーストを高分子電解質膜または多孔質導電体に塗工、乾燥した後、高分子電解質膜と多孔質導電体の触媒ペースト塗工面を張り合わせてホットプレスして接合し形成する方法が知られている。
また、触媒粒子を分散させたインクを高分子電解質膜上または多孔質導電体上にスプレー塗布して多孔体とし触媒層を形成している例が知られている。例えば、特許文献1参照)
特開2001−068119号公報
高分子電解質膜は、水素イオンの伝導体であり、発生した水素イオンを燃料極側から空気極側へ伝導する。また同時に発生した電子は、電極触媒中の触媒上または導電性炭素のスタックを通って電極に集まり外部回路へと流れていく。つまり電極触媒は、高分子電解質と電極の両方に接触している必要があり、接触していない電極触媒はその反応に寄与しないことになる。
従来の方法、例えば電極触媒が塗工された多孔質導電体と高分子電解質膜の接合にホットプレスを用いた場合、作成当初は良好な発電特性を示す。しかし、長時間の発電による高分子電解質膜の形状変化(膨潤、収縮)、燃料との接触、通過などによって電極触媒が高分子電解質膜や電極から脱落してしまい効率のよい発電ができなくなってしまうおそれがあった。
また、特許文献1の方法でも電極触媒と電解質膜が物理的に接触しているだけであるので同様に電解質膜や電極から脱落してしまい効率のよい発電ができなくなってしまうおそれがあった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、電極触媒中の触媒を担持している導電性炭素を修飾し、さらにその電極触媒を高分子電解質膜および/または電極と化学結合させるものである。電極触媒が高分子電解質膜および/または電極と化学結合しているため、電極触媒の脱落が極めて少なくなり、長時間にわたって効率のよい発電が可能となる高分子型燃料電池の製造方法を提供するものである。
本発明の高分子型燃料電池の製造方法は、高分子電解質膜と、一対の電極と、前記高分子電解質膜と電極の間に設けられた電極触媒を有する高分子型燃料電池の製造方法において、(i)導電性炭素に触媒を担持させて電極触媒を得る工程と、(ii)ビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤と前記電極触媒の導電性炭素とを反応させて、前記電極触媒の導電性炭素にビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤を結合させる工程と、(iii)ビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤と電極とを反応させて、前記電極にビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤を結合させる工程と、(iv)前記(ii)工程で前記電極触媒の導電性炭素に結合した前記シランカップリング剤中のビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基と、前記(iii)工程で前記電極に結合した前記シランカップリング剤中のビニル基、メタクリロ基又はアクリロキシ基とを付加重合させる工程と、を有することを特徴とする。
本発明の製造方法により得られた高分子型燃料電池は、電極触媒中の触媒を担持している導電性炭素を修飾しさらに、その電極触媒を高分子電解質膜および/または電極と化学結合させることにより、電極触媒の脱落が極めて少なくなり、長時間にわたって効率のよ
い発電が可能となる。
本発明の製造方法により得られた高分子型燃料電池は、高分子電解質膜、および前記高分子電解質膜を挟む一対の電極を具備し、前記電極は電極触媒を具備し、前記電極触媒は触媒を担持した導電性炭素粒子を含み、前記導電性炭素粒子は、前記高分子電解質膜および/または前記電極と化学結合していることを特徴とする。
本発明の高分子型燃料電池の製造方法は、高分子電解質膜と、一対の電極と、前記高分子電解質膜と電極の間に設けられた電極触媒を有する高分子型燃料電池の製造方法において、(i)導電性炭素に触媒を担持させて電極触媒を得る工程と、(ii)ビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤と前記電極触媒の導電性炭素とを反応させて、前記電極触媒の導電性炭素にビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤を結合させる工程と、(iii)ビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤と電極とを反応させて、前記電極にビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤を結合させる工程と、(iv)前記(ii)工程で前記電極触媒の導電性炭素に結合した前記シランカップリング剤中のビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基と、前記(iii)工程で前記電極に結合した前記シランカップリング剤中のビニル基、メタクリロ基又はアクリロキシ基とを付加重合させる工程と、を有することを特徴とする。
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の高分子型燃料電池の一例を示す部分概略図である。
図1において、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2a、2bが設けられその外側に電極として拡散層3a、3bと集電体4a、4bが設けられる。
図2は本発明の電極触媒の構造の一例を示す概略図である。
本発明の高分子型燃料電池において、電極触媒10は触媒7を担持した導電性炭素8の粒子を含み、電極の拡散層9と高分子電解質膜5の間に設けられ、前記導電性炭素8は、電極の拡散層9と高分子電解質膜5と化学結合6により結合していることを特徴とする。
高分子電解質膜1は、水素イオン導電性を有する官能基、例えばスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基をもつ化合物より製造した高分子膜を広く用いることができる。またゾルゲル法で作成した無機電解質と高分子膜のハイブリッド電解質膜なども用いることができる。
電極触媒層2a、2bは、少なくとも白金などの貴金属触媒が担持された導電性炭素よりなる。
本発明において用いられる貴金属触媒は、導電性炭素の表面に担持されていることが好ましい。担持された触媒の粒子径は細かいことが好ましく、具体的には、平均粒子径が1nm〜10nmの範囲が好ましい。1nm未満の場合には、触媒粒子単体で活性が高すぎ、取り扱いが困難となる。また10nmを越えると、触媒の表面積が減少して反応部位が減少するために、活性が低下するおそれがある。
貴金属触媒としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、およびオスミウムなどの白金族金属を用いたり、白金とそれら金属の合金を用いたりしても構わない。特に燃料としてメタノールを用いる場合は、白金とルテニウムの合金を用いることが好ましい。
本発明に用いることのできる導電性炭素は、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンナノチューブなどから選ぶことができる。
また、導電性炭素の平均粒子径が5nm〜1000nmの範囲であることが好ましく、更には10nm〜100nmの範囲であることが好ましい。また前述した触媒を担持させるため、比表面積はある程度大きい方が良く、BET比表面積が50m2 /g〜3000m2 /g更には、100m2 /g〜2000m2 /gが好ましい。
導電性炭素表面への触媒の担持方法は、公知の方法を広く用いることができる。例えば白金および他の金属の溶液に導電性炭素を含浸した後これら貴金属イオンを還元し導電性炭素表面に担持させる方法などが知られており、特開平2−111440号公報、特開2000−003712号公報などに開示されている。また担持させたい貴金属をターゲットとし導電性炭素にスパッタなどの真空成膜方法により担持させても構わない。
本発明において用いる電極触媒は、さらに高分子電解質膜および/または電極と化学結合により密着している。
化学結合させる方法は、まず貴金属触媒の担持された導電性炭素にビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの熱または高エネルギー線に対し反応性を有する官能基を有する化合物を付加して電極触媒を用意しておく。特に、これらの官能基の中でも、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基が扱いやすく好ましい。さらに高分子電解質膜表面、電極表面にも、同様に導電性炭素の反応性基と反応する官能基を有する化合物をあらかじめ設けておく。
次に反応性基を有する電極触媒を、反応性基を有する高分子電解質膜などの上に塗工した後、加熱、高エネルギー線、例えば電子線、紫外線などを照射し反応させ、両者の間に化学結合を形成し固定化する。
貴金属触媒の担持された導電性炭素にビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの官能基を導入するのは、例えば上記の官能基を有するシランカップリング剤を導電性炭素と反応させ、上記官能基を導入すればよい。
このようなシランカップリング剤として、官能基にビニル基を有するものは、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、官能基にエポキシ基を有するものは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、官能基にイソシアネート基を有するものは、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アミノ基を有するものは、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシ基を有するものは、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシ基を有するものは、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどがある。
シランカップリング剤以外にも導電性炭素と反応する官能基を有しさらにビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの官能基を有するものであれば用いることができる。例えばグリシジルメタクリラートのグリシジル基を導電性炭素と反応させるとメタクリロキシ基を有する導電性炭素が得られる。またメタクリルオキシエチルアセトアセテートなどを用いることも可能である。
導電性炭素表面にこれらのシランカップリング剤を付加するためには、シランカップリング剤を溶解または分散した溶液に導電性炭素粒子を添加する。シランカップリング剤のアルコキシ基が導電性炭素表面の水酸基などの官能基と反応し結合を形成する。
導電性炭素へのビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、カルボキシル基などの官能基の導入量は、0.001ミリモル/g〜10ミリモル/gが好ましい。0.001ミリモル/g未満では化学結合の効果が発現されず、10ミリモル/gをこえると、導電性が阻害されるため好ましくない。
導電性炭素に官能基を結合させる工程および触媒を担持させる工程の順序は特に問わない。
このようにして作製した電極触媒は、単独でまたはバインダー、高分子電解質、撥水剤、導電性炭素、溶剤などと混合しペーストとし、高分子電解質膜または電極との結合に用いる。
次に、高分子電解質膜と化学結合させる方法の例について説明する。
高分子電解質膜をモノマーから成膜する場合、例えば電極触媒に付加されている官能基と反応する官能基を高分子電解質モノマー中に混合しておく。電解質モノマーを基材に塗工した後その表面に電極触媒のペーストを塗工する。その後熱または活性光線を照射することにより電解質モノマーと電極触媒間で結合が生成する。
次に、電極と化学結合させる方法の例について説明する。
まず電極にシランカップリング剤を塗工し反応させ、官能基例えばビニル基を表面に形成しておく。次に電極触媒のペーストを塗工、乾燥した後、熱または活性光線を照射することにより電極と電極触媒間で結合が生成する。
高分子電解質膜または電極が含有する官能基、すなわち電極触媒に付加されている官能基と反応する官能基には、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
本発明において、化学結合とは、例えば炭素原子と炭素原子間での共有結合、窒素原子と炭素原子間での共有結合等の結合が挙げられる。具体的には、ビニル基とビニル基の付加重合による結合、メタクリロキシ基とメタクリロキシ基の付加重合による結合が挙げられる。
電極とした拡散層3a、3bは、燃料である水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルおよび酸化剤である空気や酸素を効率よく、均一に電極触媒層に導入できかつ電極に接触し電子の受け渡しを行えるものである。一般的には、導電性の多孔質膜が好ましく、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンとポリテトラフルオロエチレンとの複合シートなどを用いる。
この拡散層の表面および内部をフッソ系塗料でコーティングし撥水化処理をして用いても構わない。
電極4a、4bは各拡散層に燃料、酸化剤を効率よく供給できかつ拡散層と電子の授受が行えるものであれば従来から用いられているものを特に限定することなく用いることができる。
本発明における燃料電池は、高分子電解質、電極触媒層、拡散層、電極を図1のように積層して作成するが、その形状は任意であり作製方法についても特に限定はなく従来の方法を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
電極触媒の製造例
製造例1
導電性炭素としてバルカンXC72−R(キャボット社製)を用い、その表面に白金(30重量%)−ルテニウム(15重量%)を担持させ電極触媒を得た。この電極触媒30gにビニルトリエトキシシラン(信越化学(株)製、KBE1003)10mlを反応させた。遠心分離により溶液と電極触媒を分離し、洗浄、乾燥を経て表面にビニル基が結合された電極触媒を得た。
元素分析の結果、導電性炭素1gあたり0.08ミリモルのビニル基が結合していた。
得られた電極触媒5gに5%ナフィオン117溶液(和光純薬工業(株)製)25g添加、混合しペーストとした。
製造例2
電極触媒として、IEPC40(石福金属興業(株)製、白金40重量%)を用いた。この電極触媒30gに3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製 KBM−503)15mlを反応させた。遠心分離により溶液と電極触媒を分離し、洗浄、乾燥を経て表面にメタクリロキシ基が結合された電極触媒を得た。
元素分析の結果導電性炭素1gあたり0.1ミリモルのメタクリロキシ基が結合していた。
得られた電極触媒5gに5%ナフィオン117溶液(和光純薬工業(株)製)25g添加、混合しペーストとした
製造例3
電極触媒として、IEPC40A−II(石福金属興業(株)製、白金40重量% ルテニウム20重量%)を用いた。この電極触媒30gに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)30mlを反応させた。遠心分離により溶液と電極触媒を分離し、洗浄、乾燥を経て表面にアクリロキシ基が結合された電極触媒を得た。
元素分析の結果導電性炭素1gあたり3ミリモルのビニル基が結合していた。
得られた電極触媒5gに5%ナフィオン117溶液(和光純薬工業(株)製)25g添加、混合しペーストとした
高分子電解質膜用塗工液の製造例
製造例4
2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、ライトエステルP−1M)30gにグリセリンジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルG−101P)2gを添加しよく混合し塗工液を得た。
製造例5
2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、ライトエステルP−1M)30gにビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート(共栄社化学(株)製 ライトエステルBP−2EM)1.5gを添加しよく混合し塗工液を得た。
実施例1
製造例1で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ、電極触媒および電極とした。この時の白金−ルテニウム合金の塗布量は約10mg/cm2 であった。
また製造例2で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金の塗布量は約6mg/cm2 であった。
次に製造例4で得られた塗工液を上記2種類の拡散層の触媒を設けた側に塗工し、塗工液の厚みが80μmとなるようにした。その後200kVで150kGyの電子線を拡散層に照射し塗工液と電極触媒を反応させ密着させた。
実施例2
製造例3で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金−ルテニウム合金の塗布量は約10mg/cm2 であった。
また製造例2で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金の塗布量は約8mg/cm2 であった。
次に製造例5で得られた塗工液を上記2種類の拡散層の触媒を設けた側に塗工し、塗工液の厚みが80μmとなるようにした。その後200kVで150kGyの電子線を拡散層に照射し塗工液と電極触媒を反応させ密着させた。
実施例3
電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)を、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)で処理した。カーボンペーパー1cm2 あたり0.1gの3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが付加された。
次に上記3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理された拡散層に製造例3で得られたペーストを塗布し、室温で乾燥した後50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金−ルテニウム合金の塗布量は約10mg/cm2 であった。
また、製造例2で得られたペーストを、同様に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理された拡散層に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金の塗布量は約8mg/cm2 であった。
次に製造例5で得られた塗工液を上記2種類の拡散層の触媒を設けた側に塗工し、塗工液の厚みが80μmとなるようにした。その後200kVで150kGyの電子線を拡散層に照射し塗工液と電極触媒を反応させ密着させた。
実施例4
製造例3で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金−ルテニウム合金の塗布量は約10mg/cm2 であった。
また製造例2で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金の塗布量は約8mg/cm2 であった。
次に製造例5で得られた塗工液を膜厚70μm、目開き20μm、線径30μmのナイロン製のメッシュ(メッシュ508、東京スクリーン(株)製)に塗工し、さらに上記2種類の拡散層の触媒を設けた側で挟んだ。その後200kVで150kGyの電子線を拡散層に照射し塗工液と電極触媒を反応させ密着させた。
比較製造例1
製造例1においてビニルトリエトキシシラン(信越化学(株)製 KBE1003)を用いての処理を行わないでペーストを作製した。
比較製造例2
製造例2において3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−503)を用いての処理を行わないでペーストを作製した。
比較例1
比較製造例1で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金−ルテニウム合金の塗布量は約10mg/cm2 であった。
また比較製造例2で得られたペーストを、電極とした拡散層(厚さ0.1mmのカーボンペーパー、東レ(株)製)に塗布し、室温で乾燥した後、50℃で乾燥させ電極触媒および電極とした。この時の白金の塗布量は約6mg/cm2 であった。
次に製造例4で得られた塗工液を上記2種類の拡散層の触媒を設けた側に塗工し、塗工液の厚みが80μmとなるようにした。その後200kVで150kGyの電子線を拡散層に照射し塗工液と電極触媒を反応させ密着させた。
上記実施例1〜4、比較例1で作製した高分子電解質膜と拡散層の接合体を燃料電池のセルに組み込みそれぞれセルを作製した。セル面積は25cm2 である。
それぞれのセルについて、燃料極側には、4wt%のメタノール水溶液を10ml/minで供給し、空気極側には常圧の空気を200ml/minで供給し、セル全体を65℃にて保温しながら発電をおこなった。
電流密度0.20A/cm2 で放電したときの初期端子電圧および上記条件で100時間連続運転後の端子電圧を表1に示す。
Figure 0004819331
表1の結果から、実施例と比較例を比較すると、端子間電圧値において実施例のほうが、比較例より優れている。
実施例においては、電極触媒中の触媒を高分子電解質膜および/または電極と化学結合させたものである。そのため電極触媒の脱落が極めて少なくなり、長時間にわたって効率のよい発電が可能となった高分子型燃料電池を提供することが可能となった。
本発明の高分子型燃料電池は、電極触媒中の触媒を担持している導電性炭素を修飾しさらに、その電極触媒を高分子電解質膜および/または電極と化学結合させることにより、電極触媒の脱落が極めて少なくなり、長時間にわたって効率のよい発電が可能であるので、携帯型から大型の燃料電池に利用することができる。
本発明の高分子型燃料電池の一例を示す部分概略図である。 本発明の電極触媒の構造の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 高分子電解質膜
2a 電極触媒層
2b 電極触媒層
3a 電極(拡散層)
3b 電極(拡散層)
4a 集電体(燃料極)
4b 集電体(空気極)
5 高分子電解質膜
6 化学結合
7 触媒
8 導電性炭素
9 拡散層
10 電極触媒

Claims (2)

  1. 高分子電解質膜と、一対の電極と、前記高分子電解質膜と電極の間に設けられた電極触媒を有する高分子型燃料電池の製造方法において、(i)導電性炭素に触媒を担持させて電極触媒を得る工程と、(ii)ビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤と前記電極触媒の導電性炭素とを反応させて、前記電極触媒の導電性炭素にビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤を結合させる工程と、(iii)ビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤と電極とを反応させて、前記電極にビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を有するシランカップリング剤を結合させる工程と、(iv)前記(ii)工程で前記電極触媒の導電性炭素に結合した前記シランカップリング剤中のビニル基、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基と、前記(iii)工程で前記電極に結合した前記シランカップリング剤中のビニル基、メタクリロ基又はアクリロキシ基とを付加重合させる工程と、を有することを特徴とする高分子型燃料電池の製造方法。
  2. 前記(iv)工程における付加重合は、電子線を照射して付加重合させることを特徴とする請求項1に記載の高分子型燃料電池の製造方法。
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