JP4820519B2 - 向上されたzsm−5触媒を用いる高粘度潤滑油基材油の製造 - Google Patents
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Description
発明の背景
本発明は、水素処理炭化水素潤滑油原料の転化に関する。特に、本発明は、高粘度指数および低流動点を有する潤滑油基油を製造するために、ワックス質パラフィンを含有する水素処理炭化水素潤滑油原料を接触転化することに関する。
【0002】
鉱油系潤滑剤は、脱歴および過酷な溶媒処理後に潤滑剤基油として使用してもよい留出留分(ニュートラル油)および残留留分を製造するために、大気圧下でのパラフィン原油の分留、その後の減圧下での分留を含む石油精油所内で行われる分離シーケンスによって従来から製造されている。この精製された残留留分は、通常はブライトストックと呼ばれる。ニュートラル油は、所望の流動点を達成するために、低粘度指数(VI)成分を除去するための溶媒抽出後に、溶媒脱ロウプロセスまたは接触脱ロウプロセスのいずれかによる脱ロウに従来法により供される。脱ロウ処理された潤滑剤基油は、安定性を向上するとともに着色物質を除去するために水素化精製してよい。粘度指数(VI)は、温度の上昇によって潤滑剤が受ける粘度低下の量の反映である。溶媒脱ロウの製品は、脱ロウ処理された潤滑油およびスラックワックスである。
【0003】
潤滑剤基材油の接触脱ロウは、ワックス質分子をクラッキングによって軽質製品に転化することにより、あるいは脱ロウ処理された潤滑剤中に残る化学種を形成するためにワックス質分子を異性化することにより達成される。従来の脱ロウ触媒は、一般にワックスを構成する近直鎖(直鎖に近い)分子に触媒活性部位へのより容易な接近を可能にしつつ、主として、脱ロウ処理された潤滑剤に一般に関連した環式化学種および高度に分岐した化学種のクラッキングを抑制する孔構造を有することにより高い収率を維持する。分子サイズに基づいて化学種の接近性を大幅に低下させる触媒は形状選択性と呼ばれる。脱ロウ触媒の形状選択性の増加は、脱ロウ処理された油の収率を高めることが多い。
【0004】
脱ロウ触媒の形状選択性は、若干分岐した構造を有するワックス質分子を転化するその能力によって特に限定される。これらの化学種タイプは、ブライトストックなどの、より重質の潤滑剤基材油に一般によりよく関連している。高度に形状選択性の脱ロウ触媒は、室温で曇った潤滑剤外観および流動点を基準として高い曇点につながる重質分岐ワックス化学種を転化できない場合がある。
【0005】
従来の潤滑剤精製技術は、所望の品質を有する潤滑剤留分を適切な量で製造する通常はパラフィニックな特性の粗原料の適切な選択および使用に依存している。しかし、許容可能な粗ソースの範囲は、より良好なパラフィニックな粗原料より高い芳香族含有率を通常は伴った限界品質または拙劣品質の粗原料を利用することができる潤滑剤水素化分解プロセスによって供与してよい。石油精製工業において定着している潤滑剤水素化分解プロセスは、一般に、原料中に存在する芳香族成分の部分飽和および開環を引き起こす二官能性触媒の存在下で、高温高圧下で行われる初期水素化分解工程を含む。その後、水素化分解製品は、水素化分解製品が比較的高い流動点を有する化学種を通常は含有するので、目標流動点に到達するために脱ロウに共される。多くの場合、脱ロウ工程からの液体製品は、所望のレベルに潤滑剤の芳香族含有率を減少させるために低温高圧水素処理工程に供される。
【0006】
自動車エンジンの設計における現在の傾向は、エンジンの効率が高まるにつれて、より高い運転温度に関連している。これらのより高い運転温度は、引き続いてより高い品質の潤滑剤を必要とする。要件の一つは、エンジン潤滑剤の粘度に及ぼすより高い運転温度の影響を減少させるためにより高い粘度指数(VI)に関するものである。高VI値は、VI向上剤、例えば、ポリアクリレートおよびポリスチレンの使用によって従来から達成されていた。VI向上剤は、エンジンにおいて観察される高温および高剪断速度によって劣化を受けがちである。高効率エンジンにおいて観察されるより高い応力条件は、相当量のVI向上剤を用いる油の遙かに速い劣化の原因になる。従って、高粘度指数の流体に基づくとともに近代エンジンで観察される高温、高剪断速度条件に耐性である自動車潤滑剤が必要とされ続けている。
【0007】
特定の触媒の存在下でオレフィンの重合によって製造される合成潤滑剤は、優れたVI値を有することが示されているが、それらは製造するのに比較的高価である。従って、石油精油所で現在採用されている技術に匹敵する技術によって製造できる鉱油基材油からの高VI潤滑剤の製造が必要とされている。
【0008】
米国特許第4,975,177号には、ワックス質原料から高VIの潤滑剤基材油を製造する二段脱ロウプロセスが開示されている。当該プロセスの第一段において、ワックス質原料は、ゼオライトベータ上での異性化によって接触脱ロウされる。異性化工程の製品は、それでもワックス質化学種を含有し、目標流動点を満たすために一層の脱ロウを必要とする。第二段脱ロウは、はねられたワックスを異性化段に再循環して収率を最大にできる溶媒脱ロウ、または接触脱ロウのいずれかを用いる。第二段で用いてよい触媒は、ZSM−5、ZSM−22、ZSM−23およびZSM−35である。収率およびVIを保存するために、第二段脱ロウ触媒は溶媒脱ロウと似た選択性をもつのがよい。米国特許第4,919,788号にも二段脱ロウプロセスが教示されており、そのプロセスにおいてワックス原料は、珪質Yまたはベータ触媒上での異性化によって部分的に脱ロウされ、その後製品は溶媒脱ロウまたは接触脱ロウのいずれかを用いて所望の流動点に脱ロウされる。ZMS−22およびZSM−23などの高い形状選択性を有する脱ロウ触媒は、好ましい触媒として開示されている。
【0009】
触媒として高形状選択性シーブを用いる脱ロウプロセスは、従来の接触脱ロウプロセスより高い選択性を有する。触媒活性を向上するとともに触媒老化を軽減するために、これらの高選択性触媒は、多くの場合貴金属である水素添加/脱水素成分を含有することが多い。こうした選択性の利点は、触媒の金属置換基および高形状選択性孔構造からの触媒の異性化能力から得られる。しかし、ZSM−23および潤滑剤脱ロウのために用いられる幾つかの他の高選択性触媒は一次元孔構造を有する。この種の孔構造は、孔内部のコーク形成によって、および孔口での極性化学種の吸着によって妨害を特に受けやすい。従って、こうした触媒は、水素分解生成物などの「クリーン」原料および過酷に水素処理された溶媒抽出ラフィネートを脱ロウするためにのみ商業的に用いられてきた。形状選択性脱ロウプロセスの開発において、取り組むべき重要問題は、老化の抑制、触媒サイクルの持続期間にわたる高選択性の保存および多様な原料の脱ロウのための頑丈さの維持である。
【0010】
米国特許第4,222,543号(パーリン(Pelrine))および米国特許第4,814,543号(チェン(Chen)ら)は、潤滑剤脱ロウのための限定中間孔モレキュラーシーブの使用を開示し請求する最も早期の特許であった。米国特許第4,283,271号(ガーウッド(Garwood)ら)および米国特許第4,283,272号(ガーウッド(Garwood)ら)は、エネルギー効率的構成において水素化分解生成物を脱ロウするためのこれらの触媒の使用を後で請求した。米国特許第5,135,638号(ミラー(Miller))、米国特許第5,246,566号(ミラー(Miller))および米国特許第5,282,958号(サンチリ(Santilli))も限定中間孔モレキュラーシーブによる脱ロウに関連している。しかし、これらの特許のどれもが触媒耐久性に関連していない。パーリン(Pelrine)の実施例は、原料としてのフルフラールラフィネートを用いるサイクル開始性能に関連していた。パーリン(Pelrine)の実施例において用いられた触媒は、一般に、これらの原料にさらされた時に迅速に老化する。
【0011】
以前の発明は、ZSM−5などの中間孔ゼオライトが関わる脱ロウプロセスにおいて触媒老化およびサイクル長さの延長の問題に取り組んできた。例えば、米国特許第5,456,820号(フォーブス(Forbus)ら)には、脱カチオン形態を取った中間孔ゼオライトを含む触媒上で水素の存在下で潤滑剤沸点範囲原料を接触脱ロウするプロセスが開示されている。触媒サイクル長さは、種々の溶媒抽出原料のシーケンスを最適化することにより向上されることが見出された。
【0012】
米国特許第4,892,646号(ベンカト(Venkat)ら)には、中間孔ゼオライト(すなわちZSM−5)および好ましくはPtなどの貴金属を含む脱ロウ触媒の元来のサイクル長さ、後続のサイクル長さおよび有効寿命を増加させる方法が開示されている。触媒は、触媒上に2〜30重量%の間のコークを沈着させるのに十分な時間にわたり800°Fより高い温度で低分子量芳香族炭化水素で前処理される。前処理は水素ガスの存在下で行ってよい。
【0013】
チェン(Chen)ら(米国特許第4,749,467号)は、低空間速度と高酸性中間孔ゼオライトの組み合わせを用いることにより脱ロウ触媒サイクル長さを延長する方法を開示している。高酸活性および低空間速度はサイクル開始温度を低下させる。触媒失活反応が脱ロウ反応より温度感受性であるので、低運転温度は触媒老化速度を減少させる。同じ原理が一次元限定中間孔モレキュラーシーブに当てはまることが見出された。
【0014】
貴金属を含有する中間孔モレキュラーシーブを含む脱ロウ触媒は、1LHSV以上の空間速度で重質水素化分解生成物原料を脱ロウする時に比較的高い老化速度を有することが見出された。触媒は高温で最終的にラインアウト(lines out)し、非選択的クラッキングおよび大幅な収率損失を招く。比較的低い空間速度で運転することにより、経時的な老化速度および収率損失を多少減少させることが可能である。さらに、貴金属含有限定中間孔触媒は、水素化分解装置での低い過酷さで製造されたマイルドに水素処理された溶媒精製原料または水素化分解生成物などの適度の窒素および硫黄レベル有する原料にさらされた時にさえ非常に迅速に老化する。
【0015】
従って、高粘度指数および低流動点を有する潤滑油基油を提供するために広範囲のワックス質潤滑油範囲炭化水素ストリームを選択的に転化することができる触媒を用いるとともに上述した欠点をもたない方法が必要とされている。
【0016】
発明の概要
本発明によると、低流動点および高粘度指数を有する潤滑油基油は、制御された酸性度低下処理に付されていたゼオライトZSM−5および微細分散貴金属成分を含む触媒を用いることにより製造できることが今見出された。本方法は、溶媒脱ロウにより、およびZSM−23などの高形状選択性一次元孔ゼオライトを用いる脱ロウにより得られるものに匹敵する潤滑油収率および粘度指数を提供する。さらに、ZSM−5のより開放的な孔構造は、高形状選択性ゼオライト(すなわちZSM−23)より広い範囲の原料基材油の脱ロウを可能にし、失活孔閉塞をより受けにくい。
【0017】
より詳しくは、本発明は、ワックス質パラフィンを含有する水素処理炭化水素潤滑油原料から生じる脱ロウ処理された潤滑油基油の粘度指数を増加させる方法であって、制御された酸性度低下処理に付されていたZSM−5と、微細分散貴金属成分をさらに含む触媒に前記水素処理炭化水素潤滑油原料を転化条件下において水素の存在下で接触させることを含む方法である。
【0018】
発明の詳細な説明
本方法において、高度に分散した貴金属成分を含有する制御された酸性度低下処理に付されていた触媒であって、初期シリカ/アルミナ比が約12〜2000の間、好ましくは約40〜200の間の低酸性ゼオライトZSM−5触媒を用いる転化プロセスにおいて比較的高いワックス含有率を有する潤滑油原料を高VI潤滑剤に転化する。製品は、代表的には少なくとも90、普通には100〜150の範囲の高粘度指数、および代表的には少なくとも40°F以下、普通には−60°F〜20°Fの範囲の低流動点を含む良好な粘度特性によって特徴付けられる。
【0019】
原料
本方法は、良好な性能特性を有する一定範囲の潤滑剤製品を製造するために鉱油起源の広範な原料を用いて運転することが可能である。こうした特性には、低流動点、低曇点および高粘度指数が挙げられる。製品の品質および製品を得る収率は、原料の品質および本発明の触媒による処理に対する順応性に応じて決まる。最高VIの製品は、スラックワックス、脱油ワックス、ワックス質粗原料から得られる減圧留出物またはラフィネートなどの好ましいワックス原料を用いることにより得られる。合成ガスのフィッシャートロプシュ処理によって製造されたワックスも原料として用いてよい。より低いVI値の製品は、より低い初期品質のワックス質成分を含有する他の原料から得てもよい。使用してよい原料は、所望の潤滑剤の初期沸点以上である初期沸点を有するのがよい。原料の代表的な初期沸点は650°F(343℃)を超える。使用してよいこの種の原料には、減圧ガスオイル、大気残油の減圧蒸留からの留出物などの他の高沸点留分、こうした留出物留分の溶媒抽出からのラフィネート、ラフィネートまたは水素化分解生成物の溶媒脱ロウからの水素化分解減圧留出物およびワックスが挙げられる。さらに、減圧蒸留装置の塔底からの脱歴油もこのプロセスへの原料として用いてよい。上述した原料の混合物またはブレンドも使用することが可能である。
【0020】
上で論じた粗潤滑油原料は、最初に、芳香族化合物および多環式ナフテンなどの低VI成分を除去するために水素処理される。これらの材料の除去は、後で高VI低流動点のイソパラフィンに転化される、より多い量のワックス質パラフィンを含有する転化プロセスのための原料を生じさせる。水素処理は、芳香族化合物飽和のために効果的である特に高水素圧、例えば800psig(約5,600kPa)以上で有効な前処理工程である。軽度な水素化分解も前処理として使用してよく、本発明において好ましい。1000psigを超える圧力は、水素化分解処理に関して好ましい。水素化分解は、窒素含有化学種および硫黄含有化学種を除去するか減少させ、芳香族化合物含有率を減少させる。水素化分解は、一般に、原料の沸点範囲も若干変え、より低い範囲で原料を沸騰させる。弗化物ニッケル−タングステンまたは弗化アルミナ(NiW/F―Al2O3)などの市販されている触媒は、水素化分解前処理のために用いてよい。
【0021】
水素処理プロセス
粗潤滑油原料は、原料中の低品質芳香族成分の飽和および開環を促進して、比較的よりパラフィニックである水素化分解製品を製造するために非晶質二官能性触媒の存在下で水素化分解などの、ある程度の水素処理に供される。水素化分解は、芳香族化合物飽和に有利であるために高圧下で行われるが、沸点範囲転化は、原料の飽和成分および芳香族材料の飽和および開環から得られた生成物の飽和成分のクラッキングを最小にするために比較的低いレベルで維持される。これらのプロセス目的に一致して、水素化分解段における水素圧は、少なくとも800psig(約5500kPa)であり、普通には1,000〜3,000psig(約6900〜20700kPa)の範囲内である。通常は、少なくとも1500psig(約10500kPa)の水素分圧は、高レベルの芳香族飽和を得るために最善である。少なくとも約1000scf/bbl(約180n.l.l−1)、好ましくは2,000〜8,000scf/bbl(約900〜1800n.l.l−1)の水素循環速度は適する。
【0022】
水素化分解プロセスにおいて、潤滑剤沸点範囲より下で沸騰する製品への、代表的には650°F以下(約345℃以下)の製品への原料の転化率は、原料の50重量%以下に限定され、プロセスの特徴である所望の高単一パス収率を維持するために普通には原料の30重量%以下である。実際の転化率は、より低い品質の多環式成分を除去することが必要である石油より低い転化率を必要とするスラックワックス原料を有する原料の品質に応じて決まる。天然基材油の脱ロウから誘導されたスラックワックス原料に関して、650°F以下の製品への転化率は、すべての実用的目的で10〜20重量%より大きくなく、5〜15重量%が殆どのスラックワックスに関して一般的である。より高い転化率は、一般に石油原料がより低い品質の成分を含有するので石油原料で観察される場合がある。石油原料では、水素化分解転化率は、高VI製品を製造するために代表的には15〜25重量%の範囲内である。転化率は、通常は600°F〜800°F(約315℃〜430℃)、より普通には約650°F〜750°F(約345℃〜400℃)の範囲内である水素化分解段における温度の制御によって所望値に維持してよい。過酷さを制御するために空間速度の変動を用いてもよい。但し、これはシステムに関する機械的制約を考慮すると実用的にはあまり一般的ではない。空間速度(LHSV)は一般には0.25〜2hr−1の範囲内、普通には0.5〜1.5hr−1の範囲内である。
【0023】
水素化分解運転の特性的特徴は二官能性触媒の使用である。一般的条件において、これらの触媒は、所望の芳香族化合物飽和反応を促進するための金属成分を含み、普通には卑金属の組み合わせが用いられる。一方の金属は第VIII族であり、第VIB族の金属と組み合わされる。従って、ニッケルまたはコバルトなどの卑金属をモリブデンまたはタングステンと組み合わせて用いる。好ましい組み合わせは、所望の芳香族化合物水素化分解反応を促進するために非常に有効であることが判明しているのでニッケル/タングステンである。白金またはパラジウムなどの貴金属は、硫黄の存在しない状態で良好な水素添加活性を有するので用いてよいが、それらの貴金属は通常は好ましくない。触媒上に存在する金属の量は、この種の潤滑剤水素化分解触媒に関して従来通りであり、触媒の全重量を基準にして一般には第VIII族金属1〜10重量%、および第VIB金属10〜30重量%の範囲である。白金またはパラジウムなどの貴金属成分をニッケルまたはコバルトなどの卑金属の代わりに用いる場合、これらの貴金属のより高い水素添加活性を考慮すると、比較的より少ない量が妥当であり、代表的には約0.5〜5重量%が十分である。所望のサイズの粒子に向けて金属を形成した後に多孔質担体上に含浸することを含む適するいずれかの方法により、あるいは焼成前に担体材料のゲルに添加することにより、金属を組み込んでよい。比較的多い量の金属成分、例えば、第VIII族金属を10重量%より多く、そして第VIB族金属を20重量%より多く添加しようとする時、ゲルへの添加は好ましい技術である。これらの技術は、特性的には従来通りであり、潤滑剤水素化分解触媒の製造のために用いられる。
【0024】
触媒の金属成分は、一般に、多孔質非晶質金属酸化物担体上に担持され、アルミナはこの目的で好ましい。但し、シリカ−アルミナも使用してよい。他の金属酸化物成分も担体中に存在してよい。但し、それらの存在は、より好ましくない。担体は弗素化されていてよい。潤滑剤水素化分解触媒の要件と一致して、担体は、高沸点原料の比較的嵩張った成分が、所望の水素化分解反応が起きる触媒の内部孔構造に入ることを可能にするために適切である孔サイズと孔分布を有するのがよい。この範囲で、触媒は、通常は約50オングストロームの最小孔サイズを有する。すなわち、孔の約5%以上は50オングストローム以下の孔サイズを有し、孔の大多数は50〜400オングストロームの範囲内の孔サイズを有し(5%以下は約400オングストロームの孔サイズを有する)、好ましくは、約30%以下は200〜400オングストロームの範囲内の孔サイズを有する。第一段に関する好ましい水素化分解触媒は、50〜200オングストローム範囲内の孔を少なくとも60%有する。
【0025】
所望の転化率を得ることが必要である場合、触媒の調製中に触媒に弗素を組み込む、あるいは原料に添加される弗素化合物の存在下で水素化分解を運転することのいずれかにより、触媒を弗素で促進してよい。弗素含有化合物は、弗化アンモニウム(NH4F)または弗化水素アンモニウム(NH4F・HF)などの適する弗素化合物を触媒の調製中に含浸することにより触媒に組み込んでよく、後者の方が好ましい。弗素を含有する触媒中で用いられる弗素の量は、触媒の全重量を基準にして好ましくは約1〜10重量%、普通には約2〜6重量%である。触媒の調製中に金属酸化物担体のゲルに弗素化合物を添加することにより、あるいはゲルの乾燥または焼成によって触媒の粒子が形成された後に含浸によって、弗素を組み込んでよい。触媒が上述したように比較的多い量の弗素および多い量の金属を含有する場合、ゲルを乾燥し焼成して最終触媒粒子を形成する前に、金属酸化物ゲルに金属および弗素化合物を組み込むことが好ましい。
【0026】
この運転段において触媒上に通るストリームに弗素化合物を添加するその場での(in situ)弗素化によって、触媒活性も所望のレベルで維持してよい。弗素化合物を原料に連続的にまたは間欠的に添加してよいか、あるいは別法として、実際の水素化分解の開始の前に、触媒の弗素含有率を増加させるために、例えば、水素のストリーム内で、原料の存在しない状態で触媒上に弗素化合物を通す初期活性化工程を行ってよい。このような触媒の現場弗素化は、好ましくは、運転の前に弗素約1〜10%の弗素含有率を生じさせるために行われ、その後、所望の活性を維持するのに十分な維持レベルに弗素を減少させることができる。現場弗素化のために適する化合物は、オルトフルオロトルエンおよびジフルオロエタンである。
【0027】
触媒上に存在する金属は、好ましくは硫化形態で用いられ、この目的に対して、触媒の前もっての硫化は水素化分解の開始前に行うのがよい。硫化は定着した技術であり、普通には水素の存在下で触媒を硫黄含有ガスと接触させることにより一般に行われる。水素と、硫化水素、二硫化炭素またはブトール(butol)メルカプタンなどのメルカプタンとの混合物は、この目的で従来通りである。前もっての硫化は、水素およびサワーケロシンまたはガスオイルなどの硫黄含有炭化水素油と触媒を接触させることによっても行ってよい。
【0028】
転化プロセス
元のワックス原料中に存在するパラフィニックな成分は、一般に、良好なVI特性を有するが、パラフィニックな性質の結果として比較的高い流動点を有する。従って、本発明の目的は、潤滑剤成分のより分岐した化学種特性の転化を最小にしつつワックス質化学種の選択的転化を引き起こすことである。ワックスの転化は異性化によって優先的に起きて、より低い流動点および曇点を有するより分岐した化学種を形成する。ある程度のクラッキングは異性化を伴い、クラッキングは、非常に低い流動点の潤滑油を製造するために必要とされる。
【0029】
転化触媒
本発明において用いられる触媒は、ワックス質、直鎖または近直鎖パラフィンを、より低いワックス質のイソパラフィン製品に異性化するための高い選択性を有する触媒である。この触媒は、特性的に二官能性であり、低酸性の中間孔サイズゼオライトZSM−5担体上に、高度に分散した金属成分を含む。ZSM−5ゼオライトは、約12〜約2000、好ましくは約40〜200の初期シリカ対アルミナ比、および約0.5マイクロメートル以下、好ましくは約0.1マイクロメートル以下の結晶サイズを有する。活性は、潤滑剤沸点範囲外で沸騰する製品への転化を減少させるために低いレベルで維持される。一般的な条件において、触媒は、金属添加の前に15以下のアルファ値、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のアルファ値を有するのがよい。
【0030】
アルファ値は、標準触媒と比べた触媒の接触クラッキング活性の近似的指標である。アルファ試験は、アルファとして1とされている標準触媒(速度定数=0.016秒−1)を基準として試験触媒の相対的速度定数(ノルマルヘキサン転化の速度/触媒の体積/単位時間)を与える。アルファ試験は、米国特許第3,354,078号およびJ.Catalysis,4,527(1965)、6,278(1966)および61,395(1980)に記載されている。試験の説明のためにそれらについて言及する。本明細書において言及されたアルファ値を決定するために用いられる試験の実験条件は、538℃の一定温度およびJ.Catalysis,61,395(1980)において詳しく記載されたような可変流速を含む。
【0031】
金属添加の前に、必要なアルファ値を達成するためにZSM−5担体を制御された酸性度低下に供する。この制御された酸性度低下は、合成ゲル中にアルミニウムを添加せずに、(i)スチーミング、(ii)化学脱アルミニウムおよび(iii)高度珪質ZSM−5の直接合成などの種々の方法を介して達成することが可能である。化学脱アルミニウムは、一般に、ゼオライトアルミニウム部位を除去するとともに酸性を低下させるために酸性溶液、ハロゲン化珪素またはキレート化剤を用いる。好ましくは、酸性は、過酷なスチーミングによって低下させる。
【0032】
他の低酸性ZSM−5触媒が、本発明により比較的高い潤滑油収率、高VIおよび低流動点を有する製品を製造できるけれども、触媒の最適性能は、ZSM−5ゼオライトの過酷なスチーミングを通してアルファ値を低下させることにより達成される。過酷なスチーミングが、広範囲の異なる潤滑油原料に関する失活に対する強化された耐性を与えつつ、酸性官能基と金属官能基との間の必要な化学的バランスを達成することが考えられる。低アルファ値は、約550℃〜約900℃の温度で、およそ大気圧〜約100psigの圧力で、少なくとも約12時間、好ましくは約12〜96時間の範囲内にわたり約55の代表的なシリカ対アルミナ比を有するZSM−5ゼオライトをスチーミングすることにより達成することが可能である、スチーミング時間、圧力および温度は、異なるレベルで酸性度低下の類似効果を発生させるために一括して調節することが可能である。時間、圧力および温度のいかなる組み合わせも、少なくとも15より低い適切なZSM−5ゼオライトアルファ値を達成するかぎり利用することが可能である。アルファ値は、好ましくは約10以下、最も好ましくは約5以下である。
【0033】
最終触媒を形成するために、ゼオライトZSM−5担体をマトリックス材料と組み合わせることができ、この目的で、アルミナ、シリカ−アルミナおよびシリカなどの従来の非常に低酸性のマトリックス材料は適する。但し、マトリックス化触媒に実質的にいかなる程度の酸活性も与えない限り、アルファベーマイト(アルファアルミナ一水和物)などのアルミナも使用してよい。ゼオライトは、通常、重量で80:20〜20:80、代表的には80:20〜50:50のゼオライト:マトリックスの量でマトリックスと複合化される。複合化は、単純な物理的混合、ボールミリングまたは材料を合わせて湿式混和し、その後所望の最終触媒粒子に乾燥プレスするか押し出すことを含む従来の手段によって行ってよい。結合剤としてシリカを用いてゼオライトを押し出す方法は、米国特許第4,582,815号において開示されている。最終触媒粒子は、約1000°Fの温度で約0.5時間〜約10時間または必要に応じてそれより長い間、担体構造を安定化するために予備焼成することができる。マトリックス(または結合剤)材料を用いる場合、所望の低酸性を達成するために結合剤と合わせて配合された後に触媒をスチーミングする。スチーミングした触媒用の好ましい結合剤はアルミナである。
【0034】
不飽和遷移化学種を通して進行して水素添加−脱水素成分による介在を必要とする所望の転化反応を促進するために、触媒は金属成分を含むことも可能である。触媒の異性化活性を最大にするために、強い水素添加機能を有する金属は好ましく、この理由で、白金と、レニウム、金およびパラジウムなどの他の貴金属は優先される。最も好ましい貴金属は、白金、パラジウムまたは白金とパラジウムの混合物である。貴金属(例えば白金)成分の量は、全触媒の代表的には0.1〜5重量%の範囲内、普通には0.1〜2重量%の範囲内である。白金テトラアムミンなどの錯体白金カチオンとの、例えば、白金テトラアムミン塩化物などの白金テトラアムミン塩とのイオン交換によるなどによって高度に分散されるように、白金を触媒に組み込まなければならない。H対貴金属(H/貴金属)の比として化学吸着によって測定される貴金属分散度は、少なくとも約0.6、好ましくは少なくとも約0.8であり、O対貴金属(O/貴金属)の比は、少なくとも約0.4、好ましくは少なくとも約0.6である。貴金属をその還元形態に転化するとともに必要な機械的強度を触媒に与えるために、触媒を従来の条件下で最終焼成に供してよい。使用する前に、水素化分解前処理触媒に関して前述したように、触媒は前もって硫化させてよい。
【0035】
転化条件
転化プロセスのための条件は、ワックス質原料中のワックス質、直鎖または近直鎖のパラフィニックな成分を、より低いワックス質であるが比較的より低い流動点の高VIイソパラフィン材料に異性化する目的を達成するために調節される。この目的は、非潤滑油沸点範囲製品(通常は650°F以下(345℃以下)の材料)への転化を最小にしつつ達成される。転化のために用いられる触媒が低酸性および高度に分散した金属成分を有するので、より低い沸点の製品への転化は、通常は比較的低いレベルにあり、そして過酷さの適切な選択によってプロセスの運転をクラッキングにわたって異性化のために最適化してよい。15以下、好ましくは10以下、最も好ましくは5以下のアルファ値を有するPt/ZSM−5触媒を用いる約1の従来の空間速度において、転化プロセスのための温度は、代表的には約600°F〜約750°F(約315℃〜400℃)の範囲内であり、650°Fまでの転化率は、特定のワックス質原料に応じて代表的には約5〜50重量%、より普通には10〜25重量%である。原料中のワックスの約40〜90%は本発明により転化される。しかし、この範囲外、例えば、約392°F(200℃)程度に低い温度および約800°F(約425℃)以下の温度を用いてよい。但し、より高い温度は通常は好ましくない。より高い温度が、より低い異性化選択性と、漸進的により高い運転温度で熱力学的により好ましくない水素添加反応の結果としてのより安定でない潤滑油製品の製造と関連するからである。空間速度(LHSV)は、代表的には0.2〜2.0hr−1の範囲内である。転化プロセスからのエフルエントの流動点は、−60〜40°Fの範囲内、好ましくは−20°F〜+20°Fの範囲内である。
【0036】
転化プロセスは、少なくとも約300psig(約2069KPa)、普通には300〜3500psig(2069〜24,249kPa)、殆どの場合500〜2500psig(3448〜17242kPa)の水素分圧(反応器入口)で運転される。水素循環速度は、通常は約500〜5000scf/bbl(約90〜900n.l.l.−1)の範囲内である。元の原料中に存在する芳香族成分の多少の飽和が触媒上の貴金属水素添加成分の存在下で起き、多少の水素は、所望の異性化反応がたとえ水素バランス内であるとしても転化プロセスにおいて消費され、この理由で、水素循環速度は、原料の芳香族含有率に応じておよび転化プロセスにおいて用いられる温度に応じても調節される必要がある場合がある。より高い温度が、より高いレベルのクラッキングおよびその結果として、製品安定性が飽和によって保証されることが必要であるように一部が潤滑油沸点範囲内であるより高いレベルのオレフィン産出と関連しているからである。少なくとも1000scf/bl(約180n.l.l.−1)の水素循環速度は、通常、予想水素消費を補償するとともに低い触媒老化速度を確実にするのに十分な水素を提供する。層間の冷却は、一般に、プロセスにおける温度を維持するために望ましい。冷H2は、一般に、クエンチとして用いられるが、通常は再循環製品である液体クエンチも使用してよい。
【0037】
潤滑油の流動点が選択的転化によって所望の値に低下した後、得られた潤滑油基油は、色相体を除去するとともに所望の特性の潤滑油製品を製造するために別の水素処理などの別の処理に供してよい。揮発性仕様を満たすために分留を用いてよい。
【0038】
高潤滑油収率、高VI、低流動点および他の製品特性に関して本方法を用いて達成される非常に有利な結果が金属活性、ゼオライトZSM−5酸性、酸部位と金属部位の近接性およびゼオライトZSM−5結晶サイズの特定の組み合わせから生じる高異性化選択性に帰することができることは明らかである。理論によって拘束されないが、過剰のクラッキングを減少させるとともに異性化能力を強化するために注意深い酸性度低下と微細分散貴金属の添加の組み合わせによって調製された触媒の使用によって向上された選択性を本発明が達成することが考えられる。過酷なスチーミングによる酸性度低下は、異性化選択性を向上するために小ゼオライトZSM−5結晶の使用を可能にする。向上されたZSM−5触媒は、ZSM−23などのより限定された中間孔ゼオライトより大きな原料融通性も有するとともに良好な老化特性を示す。
【0039】
製品
本方法からの製品は、優れた収率で得られる高VI低流動点潤滑油基油である。製品は、優れた粘度特性を有することに加えて、酸化および熱の両方に対して、および紫外線に対して非常に安定でもある。少なくとも約90、より代表的には約100〜150の範囲内のVI値が、転化される特定のワックス質潤滑油原料に応じて得られる。本方法に対して好ましいワックス質潤滑油原料は、少なくとも130、代表的には130〜140のVI値を有する製品をもたらす。これらの値は、元のワックス質潤滑油原料を基準にして少なくとも30重量%、普通には少なくとも50重量%の製品収率、および40°F以下、代表的には約−60〜20°Fの間、好ましくは−20〜+20°Fの間の流動点を有する製品によって容易に達成可能である。
【0040】
実施例
以下の非限定的な実施例は本発明を説明する。実施例は、本発明による触媒および比較例として用いるための触媒の調製、ならびに種々の炭化水素原料ストリームを接触転化する種々の触媒の使用を含んでいる。
【0041】
実施例1
触媒を次の通り調製した。
触媒A:低酸性高分散度Pt/ZSM−5/AL2O3触媒。触媒Aを次の通り調製した。
シリカ対アルミナ比55の80部のZSM−5と20部の擬性ベーマイトアルミナの物理的混合物を混練して均一混合物を生じさせた。すべての成分を100%固体基準で重量部に基づいてブレンドした。押出を向上するために約2重量%のHNO3結合剤を混合物に添加した。押出可能ペーストを形成させるために脱イオン(DI)水の十分な量も添加した。混合物を1/16’’円筒形状押出物にオーガー(auger)式で押出し、250°Fで乾燥した。その後、押出物を900°Fで3時間にわたり窒素焼成し、その後、1000°Fで6時間にわたり空気焼成し、1450°Fで12時間にわたりスチーミングした。スチーミングした触媒は、1のアルファ活性をもっていた。その後、0.0064Mの白金テトラアムミン(II)塩化物溶液(5cc/g)を用いて、スチーミングした押出物を白金と交換した。交換中に、濃NH4OH溶液を用いてpHを〜5に調節した。押出物をDI水で洗浄し、250°Fでオーブン内で乾燥し、680°Fで3時間にわたり空気焼成した。最終の白金ZSM−5/AL2O3触媒は、0.44重量%のPtをもっていた。水素化学吸着を用いて触媒中のPt粒子の分散度を測定した。吸着されたH対Ptのモル比(H/Pt)は0.92であると決定された。この比較的高いH/Pt比は、Pt粒子が数Pt原子からなるクラスターとして押出物全体にわたって分散していることを示している。最終触媒Aの特性を以下の表1に記載している。
【0042】
触媒B:第2の低酸性高分散度Pt/ZSM−5/AL2O3触媒。触媒Bを次の通り調製した。
シリカ対アルミナ比55の65部のZSM−5と35部の擬性ベーマイトアルミナの物理的混合物を混練して均一混合物を生じさせた。すべての成分を100%固体基準で重量部に基づいてブレンドした。押出を向上するために約2重量%のHNO3結合剤を混合物に添加した。押出可能ペーストを形成させるためにDI水の十分な量を添加した。混合物を1/16’’円筒形状押出物にオーガー(auger)式で押出し、250°Fで乾燥した。その後、押出物を900°Fで3時間にわたり窒素焼成し、その後、1000°Fで6時間にわたり空気焼成し、1025°Fで72時間にわたりスチーミングした。スチーミングした触媒は、8のアルファ活性をもっていた。その後、0.0127Mの白金テトラアムミン(II)塩化物溶液(5cc/g)を用いて、スチーミングした押出物を白金と交換した。交換中に、濃NH4OH溶液を用いてpHを8に調節した。押出物をDI水で洗浄し、250°Fでオーブン内で乾燥し、660°Fで3時間にわたり空気焼成した。最終の白金ZSM−5/AL2O3触媒は、1.1重量%のPtをもっていた。水素化学吸着によって、吸着されたH対Ptのモル比(H/Pt)は1.1であると決定された。最終触媒Bの特性を以下の表1に記載している。
【0043】
触媒C:H形態Pt/ZSM−5触媒。触媒Cを次の通り調製した。
シリカ対アルミナ比55の98部のZSM−5と2部の50%NaOH苛性溶液の物理的混合物を混練して均一混合物を生じさせた。押出可能ペーストを形成させるためにDI水の十分な量を添加した。混合物を1/16’’円筒形状押出物にオーガー(auger)式で押出し、250°Fでオーブン内で一晩乾燥した。その後、押出物を900°Fで3時間にわたり窒素焼成し、その後、1MのNH4NO3溶液(5cc溶液/触媒g)で二回アンモニウム交換し、1000°Fで6時間にわたり空気焼成し、825°Fで3時間にわたりスチーミングして、H形態触媒を生じさせた。H形態触媒は、280のアルファ活性をもっていた。その後、0.0024Mの白金テトラアムミン(II)塩化物溶液(7.7cc/g)を用いて、押出物を白金と交換した。交換中に、濃NH4OH溶液を用いてpHを〜5に調節した。押出物をDI水で洗浄し、250°Fでオーブン内で乾燥し、715°Fで3時間にわたり空気焼成した。最終の白金ZSM−5触媒は、0.47重量%のPtをもっていた。化学吸着による白金分散度測定によると、1.4のH/Pt比が示された。最終触媒Cの特性を表1に記載している。
【0044】
触媒D:低酸性Pt/ZSM−5/SiO2触媒。触媒Dを次の通り調製した。
シリカ対アルミナ比55の65部のZSM−5と17.5部の非晶質シリカと17.5部のコロイドシリカの物理的混合物を混練して均一混合物を生じさせた。すべての成分を100%固体基準で重量部に基づいてブレンドした。押出を向上するために約3重量%のNaOH結合剤を混合物に添加した。押出可能ペーストを形成させるためにDI水の十分な量を添加した。混合物を1/16’’円筒形状押出物にオーガー(auger)式で押出し、ベルトフィルターで乾燥した。その後、押出物を1MのNH4NO3溶液でアンモニウム交換し、その後、900°Fで3時間にわたり窒素焼成し、1000°Fで6時間にわたり空気焼成し、1025°Fで48時間にわたりスチーミングした。スチーミングした触媒は、7のアルファ活性をもっていた。その後、白金テトラアムミン(II)塩化物溶液を用いて、スチーミングした押出物に白金を含浸した。その後、押出物を660°Fで3時間にわたり空気焼成した。最終の白金ZSM−5/SiO2触媒は、1.0重量%のPtをもっていた。水素化学吸着によるPtの分散度によると、0.17のH/Pt比が示された。最終触媒Dの特性を以下の表1に記載している。
【0045】
触媒E:Pt/ZSM−23/Al2O3触媒。触媒Eを次の通り調製した。
シリカ対アルミナ比130の65部のZSM−23と35部の擬性ベーマイトアルミナの物理的混合物を混練して均一混合物を生じさせた。すべての成分を100%固体基準で重量部に基づいてブレンドした。押出可能ペーストを形成させるためにDI水の十分な量を添加した。混合物を1/16’’円筒形状押出物にオーガー(auger)式で押出し、ベルトフィルターで乾燥した。その後、押出物を1000°Fで3時間にわたり窒素焼成し、その後、1MのNH4NO3溶液でアンモニウム交換し、1000°Fで6時間にわたり空気焼成し、900°Fで4時間にわたりスチーミングした。その後、0.0024Mの白金テトラアムミン(II)塩化物溶液(7.7cc/g)を用いて、スチーミングした押出物を白金と交換した。その後、押出物をDI水で洗浄し、250°Fでオーブン内で乾燥し、700°Fで3時間にわたり空気焼成した。最終の白金ZSM−23/Al2O3触媒は、0.25重量%のPtをもっていた。化学吸着による白金の分散度測定によると、0.9のH/Pt比が示された。最終触媒Eの特性を以下の表1に記載している。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2
ZSM−5の水素異性化活性および選択性に及ぼす低下した酸性および金属装填量(すなわち、金属分散度)の有効性を次のように評価するために、アルドリッチ(Aldrich)から購入された商用グレードノルマルヘキサデカンを用いた。触媒Aの5.7g(10cm3)サンプルを直径1/2インチの固定床ミクロユニット反応器に装填し、80/120メッシュの砂を添加して空隙空間を満たした。H2中の2%H2Sを用いて700°Fで2時間にわたり触媒を前もって硫化した。その後、反応器を535°Fに冷却し、n−ヘキサデカン原料を導入した。圧力を1000psigに維持し、LHSVは0.4hr−1であり、ヘキサデカン転化率を変えるために温度を調節した。極端に高活性であるゆえに触媒CのLHSVが3hr−1であったことを除いて、実験を触媒Bおよび触媒Cについて繰り返した。異性化性能結果を表1および図1にまとめている。
【0048】
【表2】
【0049】
表2および図1を精査すると、低酸性Pt/ZSM−5触媒(触媒AおよびB)が高酸性Pt/ZSM−5触媒(触媒C)より異性化に向けた大幅に高い選択性を有することが明らかである。高酸性触媒Cは非常に高い活性、すなわち、3hr−1のLHSVで446°Fでの95%n−C16転化率を有していたけれども、i−C16選択性は、C3〜C7パラフィンなどの軽質製品へのn−ヘキサデカンの接触クラッキングに起因して極端に劣っていた。
【0050】
さらに、触媒AおよびBを用いることにより得られた結果の比較は、ZSM−5酸性が強力なスチーミングによって低下するにつれて、i−C16への異性化に関する選択性は、一層向上されたことを示している。これらの結果は、ZSM−5酸性を低下させることにより、クラッキングの量を減少させることができるとともに、水素処理炭化水素を転化することによる高粘度潤滑油基油を製造する選択性を高めることができることを示している。
【0051】
実施例3
水素化分解重質中性スラックワックス原料を転化するために、実施例2の固定床反応器内で触媒BおよびDをそれぞれ用いた。原料特性を表3に記載している。
【0052】
【表3】
【0053】
触媒BおよびDの5.7g(10cm3)サンプルを固定床反応器にそれぞれ装填した。400psiでH2中の2%H2Sを用いて最大温度700°Fまで触媒を前もって硫化した。1hr−1の空間速度、2000psigのH2分圧および約4000scf/bblの水素循環速度で反応器を運転した。転化率の変化を引き起こすために反応温度を変えた。反応生成物を公称650°Fのカットポイントまで蒸留し、その後、溶媒脱ロウした。溶媒脱ロウした油の40℃および100℃における流動点と粘度を分析した。表3の原料も基準と同じ手順によって蒸留し、溶媒脱ロウして原料潤滑油収率を決定した。
【0054】
ワックス転化率の関数としてこれらの触媒の各々に関する収率およびVIの結果を図2にプロットしている。図2を精査すると、両方の触媒(触媒BおよびD)がワックス質潤滑剤原料を異性化する能力を実証したことが明らかである。約80%に至るまで触媒ワックス転化が増加するにつれて、異性化によるワックス転化のゆえに溶媒脱ロウ処理された油の収率が増加した。溶媒脱ロウ後の原料潤滑剤収率は37%(650°F以上に基づいて)であった。触媒AおよびBの両方は、50%を超えて潤滑油収率を大幅に増加させた。比較のために、商用NiW/F−Al2O3ワックス異性化触媒上で処理された同じ原料は、40〜45%の最大溶媒脱ロウ潤滑剤収率を与えた。
【0055】
白金交換された触媒Bは、白金含浸された触媒Dに比べて潤滑剤VIの利点を示した(図2、下方プロット)。VIはPt交換触媒(触媒B)にわたってワックス転化の増加につれて増加したが、含浸触媒(触媒D)にわたっては約4〜5数値だけ減少した。
【0056】
温度の関数としてワックス転化を測定することにより両触媒(触媒BおよびD)の活性も評価した。結果を図3においてプロットしている。図3を精査すると、触媒Bが触媒Dに比べて活性の利点を示したことは明らかである。理論に拘束されないが、活性の増加がより良好な分散度および酸性部位の平均近接に起因していたことが考えられる。化学吸着測定によると、触媒Dを基準とした触媒Bに関するより良好な分散度(1.1対0.17のH/Pt)が示されている。これらの結果は、酸性の低下と微細に分散したPtの添加との組み合わせによってのみ、Pt/ZSM−5触媒の選択性を向上できることを示唆している。酸性度低下の単独のみでは、すべての所望触媒性能をもたらすとは限らないであろう。
【0057】
実施例4
水素化分解重質留出物原料を転化するために触媒Bを実施例2の固定床反応器内で用いた。原料の特性を表4に記載している。
【0058】
【表4】
【0059】
触媒Bの40cm3グラムサンプルを固定床反応器に装填した。400psiでH2中の2%H2Sを用いて最大温度700°Fまで触媒を前もって硫化した。1hr−1のLHSV、2000psigのH2分圧および約4000scf/bblの水素循環速度で反応器を運転した。転化率の変化、結果としての潤滑油流動点の変化を引き起こすために反応温度を変えた。反応生成物を公称650°Fのカットポイントまで蒸留し、流動点および粘度を分析した。原料も蒸留し、溶媒脱ロウし、触媒Bを用いる接触転化プロセスに対する比較として流動点および粘度指数を分析した。
【0060】
溶媒脱ロウに対する触媒Bを用いる転化プロセスの比較は図4によって示されている。触媒Bは、代表的な商用流動点で、そして溶媒脱ロウに関するのとおよそ同じ収率において、溶媒脱ロウに比べて2VI数値の利点を有する基油を生じさせた。図4に示されていないけれども、類似原料に関する商用潤滑油脱ロウZSM−5触媒データは、溶媒脱ロウを基準として4〜5のVI数値の低下および4〜5%の収率の低下を示した。非常に低い流動点(−45°F)を低酸性高金属分散度の触媒Bを用いて高収率(78%)で達成した。
【0061】
実施例5
H2の存在下であるが、異なるH2分圧で軽質中性フルフラールラフィネート原料を用いて実施例4を繰り返した。原料の特性を表5に記載している。
【0062】
【表5】
【0063】
H2分圧を400psiと2000psiの両方で維持した。反応生成物を公称600°Fのカットポイントまで蒸留し、流動点と粘度指数を分析した。結果を図5にプロットしている。
【0064】
図5を精査すると、高圧で溶媒脱ロウのVIに接近する潤滑剤VIを溶媒脱ロウに対して約5%の収率の低下で得ることができることが明らかである。低圧運転は、VIが9数値だけ低下して溶媒脱ロウに対応する潤滑剤収率をもたらす。Pt/ZMS−5運転圧の最適化が、7〜10%収率の低下を与えるとともに運転圧に無関係にこの原料に関して溶媒脱ロウするよりも7〜10低いVI値を有する基油をもたらす非常に形状選択性の標準潤滑油脱ロウ触媒と比べて大幅に向上された性能につながることは明らかである。
【0065】
従って、本発明のPt/ZSM−5触媒は、ZSM−23などの非常に形状選択性の一次元孔脱ロウ触媒より多様な原料を許容することが可能である。ZSM−5の交差チャンネルは孔妨害をより受けにくく、そのより大きな孔開口は、ワックス化学種へのより容易な接近を可能にする。非常に形状選択性の脱ロウ触媒は、一般に、過酷に水素処理された原料のためにのみ使用することができる。
【0066】
実施例6
重質中性水素化分解生成物原料を転化するために、触媒Bおよび触媒Eをそれぞれ用いた。原料の特性を表6に記載している。
【0067】
【表6】
【0068】
400psiでH2中の2%H2Sを用いて最大温度700°Fまで触媒を前もって硫化した。1hr−1の空間速度、2000psigのH2分圧および約400scf/bblの水素循環速度で実験を行った。
【0069】
30日の期間にわたって各触媒上で10°Fの目標流動点に原料を転化した。目標流動点を維持するために反応温度を調節した。30日の期間の間に、触媒Eに関する温度は10°F流動点を維持するために75°Fだけ上げなければならなかった一方で、触媒Bは同じ期間にわたって10°F以下だけ老化した(aged)。従って、過酷に水素処理された原料に関してさえ、低酸性高金属分散度Pt/ZSM−5は、非常に形状選択性のPt/ZSM−23脱ロウ触媒と比べて老化速度の大幅な利点をもたらすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 それぞれ1.1重量%Pt/ZSM−5(アルファ=8)、0.47重量%Pt/ZSM−5(アルファ=280)および0.44重量%Pt/ZSM−5(アルファ=1)上でノルマルヘキサデカンを転化するための相対的な触媒異性化活性および選択性を示す。
【図2】 1重量%Pt含浸ZSM−5触媒および1重量%Pt交換ZSM−5触媒を用いる水素化分解スラックワックスに関するワックス転化率の関数としての潤滑油収率および粘度指数を示す。
【図3】 1重量%Pt含浸ZSM−5触媒と1重量%Pt交換ZSM−5触媒との間のワックス転化活性の差を示す。
【図4】 水素化分解重質中性原料に関する溶媒脱ロウを基準として本発明によるZSM−5触媒を用いる接触脱ロウの比較を示す。
【図5】 軽質中性フルフラールラフィネート原料に関する溶媒脱ロウを基準として本発明によるZSM−5触媒を用いる接触脱ロウの比較を示す。
Claims (7)
- ワックス質パラフィンを含有する水素処理炭化水素潤滑油原料から得られる脱ロウ処理された潤滑油基油の粘度指数を増加させる方法であって、
制御された酸性度低下処理に付されたZSM−5を含む触媒に、ワックス質パラフィンを含有する前記水素処理炭化水素潤滑油原料を転化条件下において水素の存在下で接触させること、
前記ZSM−5は貴金属成分の添加前に15未満のアルファ値を有していること、
前記触媒は、触媒基準で、0.1〜5重量%の微細分散貴金属成分をさらに含むこと、
前記貴金属は、化学吸着によって測定して、少なくとも0.6のH対貴金属(H/貴金属)の比および少なくとも0.4のO対貴金属(O/貴金属)の比を有すること、
前記転化条件は、300〜3500psigの範囲の水素分圧および200〜400℃の温度を含むこと
を特徴とする方法。 - 前記水素処理炭化水素潤滑油原料は、水素処理スラックワックス、大気残油の減圧蒸留等からの留出物、軽質ニュートラル留出物、重質ニュートラル留出物、フルフラールラフィネート、フィッシャートロプシュワックス、ブライトストック、脱歴油およびそれらの混合物またはブレンドから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記潤滑油基油は、−51.0〜−6.7℃(−60〜+20°F)の範囲である流動点、少なくとも90の粘度指数および少なくとも30%の潤滑油基油収率を有する請求項1に記載の方法。
- 前記制御された酸性度低下は、550℃〜900℃の温度、大気圧〜100psigの圧力、少なくとも12時間〜96時間の時間および50%〜100%水蒸気の雰囲気を含む条件での高温スチーミングを含む請求項1に記載の方法。
- 前記触媒は、貴金属成分の添加の前に5未満のアルファ値を有する請求項1に記載の方法。
- 前記貴金属成分の貴金属はPt、PdまたはPtとPdの混合物である請求項1に記載の方法。
- 前記微細分散貴金属成分は、イオン交換によって前記触媒に組み込まれる請求項1に記載の方法。
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