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JP4820917B2 - グレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスの製造方法 - Google Patents
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グレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、グレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスの製造方法に関する。
近年、光ファイバ通信システムの発展、特にエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)と高密度波長多重通信システム(DWDM)の発明により、光ファイバ通信網で伝送される情報量が急速に増大している。さらなるデータ容量の増加に備え、多重する波長数の増加や周波数利用効率の高い変調方式などについて研究開発が進められている。DWDMシステムでは、例えば、従来用いられている分散補償光ファイバモジュールよりもさらに精密に各チャネルの波長分散及び分散スロープを補償する光分散補償器など、より高度な機能を有する光部品が必要とされる。また、光伝送路の分散特性の時間変化や経路変更に対応し得る可変光分散補償器や、偏波モード分散の補償を動的に行う偏波モード分散補償器などの研究開発も行われている。
一方、情報通信システムの規模及び設置数量の急速な拡大に伴って、コンピューターシステムやハイエンドルータなどの消費する膨大な電力が経済性のみならず環境影響の観点からも問題視されるようになりつつあり、省電力化し環境負荷を低減するグリーンICT(Information and Communication Technology)が必要とされている。ルータ等各種伝送装置を小型化することが出来れば、データセンターや通信キャリア局舎への装置収容効率が改善され、空間利用効率が良くなるばかりでなく、当該データセンターあるいは局舎のエアコン電力を大きく削減することが可能となり、省エネに貢献する。よって、各種光伝送装置に用いられる光部品についても、省電力化と小型化とが求められている。
小型かつ高機能の光部品を製造する技術として、CMOS製造工程を利用し光導波路デバイスを製造するシリコンフォトニクス技術が脚光を浴び、研究開発が進められつつある。シリコン(Si)あるいは窒化ケイ素(SiN)といった高屈折率材料を用いて光導波路を構成することにより、従来の各種シリカ(SiO )系ガラスをコア及びクラッドの主たる構成材料とする光導波路デバイスを小型化することが可能となる。また、Siに不純物元素をドープして半導体材料とすることで、外部から電圧を印加し屈折率を調整することが可能となり、光学特性可変デバイスを実現することが出来る。大規模な量産に向いた製造工程であることから、将来光部品の低価格化が期待出来る。
従来、ブラッググレーティングパターンを有する基板型光導波路デバイスとして、図46に示すように、光導波路200の側壁に設けた凸部201および凹部202のピッチ が一定な等ピッチ型グレーティング構造や、図47に示すように、光導波路300の側壁に設けた凸部301および凹部302のピッチが、 というように徐々に変化するチャープピッチ型グレーティング構造が知られている。
特許文献1には、光ファイバや基板型光導波路等の光導波路中に、ある一つの周期を有するブラッググレーティングが形成され、このブラッググレーティングと重なるように光導波路中にサンプリング構造が形成され、複数の波長チャネルで波長分散補償を行う波長分散補償素子が開示されている。前記サンプリング構造は、ブラッググレーティングの周期よりも長い、ある一つの周期で位相サンプリングしたパターンで構成される。位相サンプリングの各周期は、光導波路の光軸に沿った方向で複数の空間領域に分割され、隣接する空間領域が互いに接した境界ではブラッググレーティングの位相が不連続に変化する。特許文献1のFIG.1Aから1Dに示されているように、一つの空間領域内では、位相の不連続な変化は無い。
また、非特許文献1は、特許文献1の発明者らによる学術論文であり、特許文献1を補完する技術情報が開示されている。まず、中心波長において単一のチャネルのブラッググレーティングパターンを特許文献1の知見を用いて設計する。グレーティングパターンは、所望の反射及び波長分散のスペクトル特性から逆散乱法により導出される。ただし、光ファイバブラッググレーティングではグレーティングパターンを作製するために屈折率を変化させることが可能な範囲に限界があるため、その限界を超えないように上記スペクトル特性を逆フーリエ変換してアポダイズするという操作を加える。以上により、ブラッググレーティングのピッチは位置とともに連続的に変化するパターンが得られる。その後、複数チャネルのブラッググレーティングパターンを位相サンプリングにより設計する。光ファイバブラッググレーティングでは屈折率の変化範囲に制限があるため、位相サンプリングが有効としている。
特許文献2には、逆散乱問題を解いて基板型光導波路デバイスを設計し製作することにより、光分散補償器などの複雑な光学特性を有するデバイスを実現できることが開示されている。
CMOSデバイス製造技術の各テクノロジーノードにおけるフォトリソ工程の解像度は、露光装置の光源の波長の短波長化だけで決まるわけではなく、位相シフトマスクなどの解像度向上技術の導入によっても改善される。400nm以上のテクノロジーノードでは波長365nmのi線の光源が用いられていた。250nm、180nm、130nmの各テクノロジーノードでは波長248nmのKrFエキシマレーザが用いられた。現在では、波長193nmのArFエキシマレーザが導入され、さらに液浸露光技術が開発されるに至り、90nm、65nm、45nmの各テクノロジーノードが実用に供されている。
位相シフト法は、ステッパー露光装置を用いた縮小投影露光法における解像限界を向上させる方法として、従来から知られている。非特許文献2によると、位相シフト法の解像限界は通常の透過マスクによる露光法に比べて約2倍程度向上する。
従来、シリコンフォトニクス技術を利用した光ファイバ通信システム用光部品として、変調器や受発光素子の他、フォトニック結晶光導波路、シリコン細線光導波路、AWGなどの各種光受動部品が研究されている。トランシーバーモジュールの商品化の動きも見られるが、依然としてシリコンフォトニクス技術の研究はその黎明期にある。これまでの研究の多くは電子線(EB)装置による直接描画工程を利用して実施されており、フォトマスクを用いたフォトリソ工程については未だ十分に知見が蓄積された状態とはなっていない。初期の比屈折率差(通称Δ)が0.3%程度のシリカガラス系基板型光導波路の製造においては、光導波路のコア幅も7μm程度と十分に太く、等倍投影のフォトマスクが用いられていた。一方、シリコンフォトニクス技術で用いられるような高比屈折率差光導波路では、信号光が感受する実効屈折率が高くなることから、シングルモード光導波路のコア寸法はその数分の一から数十分の一となり、またフォトニック結晶光導波路やグレーティング光導波路の周期構造の間隔も大変に小さいものとなる。よって、より微細なプロセス技術が要求される。
一方で、DRAMやCPUなどの電子回路要素を集積化したLSIとは異なり、光導波路デバイスでは光導波路コアの厚さあるいはクラッドなどその周辺構造の形成に十分な厚さあるいは深さを必要とするため、必ずしも最先端の微細なプロセスが適用可能であるとは限らず、厚膜レジスト塗布が必要になるなど、旧世代のテクノロジーノードを用いる必要がある場合が少なくない。また、DRAMやCPUなどの確立された集積回路と比較して需要数量の桁違いに少ない光ファイバ通信システム用光部品では、量産向けの産業用12インチウエハ製造工程の利用が必ずしもコスト低減に直結するとは限らず、6インチウエハあるいは8インチウエハを用いて旧世代のプロセスで適量製造することがコストダウンとなる場合が多い。例えば、非特許文献3には、130nmテクノロジーノードを用いて製造された光ファイバ通信システム用シリコンフォトニクス光導波路デバイスが開示されている。130nmテクノロジーノードとは、例えば、波長248nmのステッパー露光装置を用い、位相シフトマスクを用いて解像度の向上をはかったプロセスである。
米国特許第6,707,967号明細書 日本国特開2004−077665号公報
H. Li, Y. Sheng, Y. Li, and J.E. Rothenberg, "Phased-Only Sampled Fiber Bragg Gratings for High-Channel-Count Chromatic Dispersion Compensation," Journal of Lightwave Technology, Vol. 21, No. 9, pp.2074-2083 (2003) Marc D. Levenson, N. S. Viswanathan, Robert A. Simpson, "Improving Resolution in Photolithography with a Phase-Shifting Mask," IEEE Transactions on Electron Devices, Vol.ED-29, No.12, pp. 1828-1836 (DECEMBER 1982) T. Pinguet, V. Sadagopan, A. Mekis, B. Analui, D. Kucharski, S. Gloeckner, "A 1550 nm, 10 Gbps optical modulator with integrated driver in 130 nm CMOS," 2007 4th IEEE International Conference on Group IV Photonics, (19-21 Sept. 2007)
従来公知の等ピッチ型グレーティング構造やチャープピッチ型グレーティング構造では、基板型光導波路デバイスの光学特性として複数チャネルの波長分散と分散スロープを同時に補償する光分散補償特性のような高度な機能性を付与することは出来ない。また、シリコンフォトニクス技術を用いて該デバイスを製作する場合、チャープピッチ型グレーティング構造のように徐々に寸法の変化する構造は、各寸法の加工精度を管理することが容易ではなく、より工程管理の容易な構造が要望される。
特許文献1や非特許文献1に記載の位相サンプリングパターンによるグレーティング構造は、ファイバブラッググレーティング(FBG)のような実効屈折率振幅の比較的小さい光導波路でも多チャネル型の光分散補償器を実現することが出来る。しかし、光導波路の光軸に沿って屈折率が高い部分を所定の規則に従って配列すると、機能性を高めるほど光導波路の長さが増大することになる。このため、高機能性デバイスの長さを短縮し小型化するという目的には適さない。
光分散補償器などの高度な機能を有する光導波路デバイスを実現するためには、特許文献2に記載されているように逆散乱法を用いて光導波路のコア幅の変化に基づくグレーティング光導波路を設計し、その設計に基づきシリコンフォトニクス技術を用いて基板型光導波路デバイスを実現することが好適である。しかし、特許文献2には、コアの幅の変化が極めて微細なものである場合には、X線リソグラフィを用いたLIGA(リーガ)プロセスなど特別な工程が必要となる可能性が示唆されている。
したがって、本発明は、高度な機能性を達成しつつ、長さを短縮し小型化することも可能であり、しかも製造工程における加工精度の管理を容易化できるグレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決して上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明の一態様は、光導波路のコアが、前記コアの幅が広い部分である凸部と、前記コアの幅が狭い部分である凹部とを、前記コアの長手方向に沿って交互に有するグレーティング構造を有し、前記凸部におけるコアの幅及び前記凹部におけるコアの幅が不均一である基板型光導波路デバイスの製造方法であって、高屈折率材料からなり前記凸部及び前記凹部を有する前記コアの少なくとも一部を構成する高屈折率材料層を形成する高屈折率材料層形成工程と、前記高屈折率材料層の上に、フォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、位相シフト型のフォトマスクである第1のフォトマスクを用いて、前記凹部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凹部におけるコアの幅に実質的に等しく、前記凸部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凸部におけるコアの幅よりも大きい遮光領域を前記フォトレジスト層上に形成し、前記遮光領域の外側において前記フォトレジスト層を露光する第1の露光工程と、バイナリ型のフォトマスクである第2のフォトマスクを用いて、前記凹部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凹部におけるコアの幅よりも大きく、前記凸部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凸部におけるコアの幅に実質的に等しい遮光領域を前記フォトレジスト層上に形成し、前記遮光領域の外側において前記フォトレジスト層を露光する第2の露光工程と、前記フォトレジスト層を現像する現像工程と、前記現像工程により得られたフォトレジストパターンを用いて前記高屈折率材料層をエッチングして前記凸部及び前記凹部を形成するエッチング工程とを、少なくとも有することを特徴とする。
前記コアの長手方向に沿って隣接する前記凸部の長手方向の長さと前記凹部の長手方向の長さとの合計値として定義されるピッチが、不等間隔ピッチかつ非チャープピッチであってもよい。
前記グレーティング構造の全体にわたり、各ピッチ が、( −P)/ΔP=Nを満たしていてもよい。ただし、ここで、Pは所定のピッチ基準値であり、Mは所定の1より大きい整数値であり、ΔPはPをMで除した値であり、Nは整数である。
前記グレーティング構造における主たるピッチにおいて、前記Nが、+1、−1または0のいずれかであってもよい。
前記凸部におけるコアの幅、前記凹部におけるコアの幅、及び前記コアの長手方向に沿って隣接する凸部の長手方向の長さと凹部の長手方向の長さとの合計値として定義されるピッチは、所望の光学特性を入力して用いる逆散乱問題を解くことによって設計してもよい。
Zakharov-Shabat方程式を用いて前記逆散乱問題を解いてもよい。
上記基板型光導波路デバイスの製造方法によれば、徐々にピッチが変化する従来のチャープ型グレーティングと比較して、高度な機能性を達成しつつ、長さを短縮し小型化することも可能であり、製造工程における加工精度の管理が容易になる。
Zakharov-Shabat方程式を用いて逆散乱問題を解くことによりグレーティング光導波路を設計したので、多数のDWDMチャネルを一括して光ファイバ伝送路の群遅延分散と分散スロープを同時に補償する光分散補償器のような複雑な機能の光学特性を有する基板型光導波路デバイスを短い導波路長で小型に構成することが可能になる。
CMOS製造工程を利用したシリコンフォトニクス技術によりこれを製造出来るようにしたので、大規模な量産が可能となり、将来の低価格化が期待出来ることとなった。また、高比屈折率差光導波路構造の採用により小型のデバイスとすることができる。
Zakharov-Shabat方程式を用いて逆散乱問題を解くことによりグレーティング光導波路を設計した結果、該グレーティング光導波路は光導波路のコア幅や溝状構造の横幅が不均一でありピッチがある複数の離散値となるようなものとなる。グレーティングピッチがある複数の離散値をとるということにより、チャープ型と異なり工程管理が容易になる。
凸部に対応する遮光領域の横幅が延長されて凸部の各コア幅の設計寸法よりも広くなるように、位相シフト型フォトマスクを用いてフォトレジスト層上に遮光領域を形成する第1の露光工程と、凸部に対応する露光領域の横幅が凸部の各コア幅の設計寸法に実質的に等しくなるように、バイナリ型フォトマスクを用いてフォトレジスト層上に遮光領域を形成する第2の露光工程とによりグレーティング構造を形成する。したがって、波長248nmの旧世代の露光機を用いても複雑な形状を有するグレーティング光導波路を設計通りの構造で製造することができる。
基板型光導波路デバイスの第1実施形態を示すコアの部分斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るコアの部分上面図である。 本発明の第1実施形態に係る基板型光導波路デバイスの断面図である。 基板型光導波路デバイスと光伝送路とを接続した形態の一例を示す説明図である。 第1実施形態におけるコアの幅wに対する実効屈折率 eff の変化の一例を示すグラフである。 反射率スペクトルの一例を示すグラフである。 図4の一部を拡大して示すグラフである。 群遅延スペクトルの一例を示すグラフである。 図6の一部を拡大して示すグラフである。 ポテンシャル分布の一例を示すグラフである。 図8の一部を拡大して示すグラフである。 第1実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 第1実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 第1実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 側壁グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの一部を示す平面図である。 側壁グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクの位相πシフトパターンの一部を示す平面図である。 側壁グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクの位相ゼロシフトパターンの一部を示す平面図である。 側壁グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクの構成の一部を示す平面図である。 側壁グレーティング構造用のバイナリ型フォトマスクのリバースパターンの一部を示す平面図である。 側壁グレーティング構造用のバイナリ型フォトマスクによる遮光領域とコアとの関係を説明する平面図である。 改変例1のバイナリ型フォトマスクによる遮光領域とコアとの関係を説明する平面図である。 改変例2のバイナリ型フォトマスクによる遮光領域とコアとの関係を説明する平面図である。 側壁グレーティング構造用のフォトレジストパターンの一部を示す平面図である。 第2又は第3比較例に係る側壁グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクのパターンの一部を示す平面図である。 は基板型光導波路デバイスの第2実施形態を示すコアの部分斜視図である。 は本発明の第2実施形態に係るコアの部分上面図である。 は本発明の第2実施形態に係る基板型光導波路デバイスの断面図である。 第2実施形態における in および out を説明するためのコアの部分上面図である。 第2実施形態における in に対する eff の変化の一例を示すグラフである。 第2実施形態における in の変化に伴う out の変化の一例を示すグラフである。 第2実施形態における eff に対する in および out の変化を示すグラフである。 第2実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 第2実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 第2実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 第2実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 第2実施形態の製造工程を示す部分斜視図である。 上部グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの一部を示す平面図である。 上部グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクの位相πシフトパターンの一部を示す平面図である。 上部グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクの位相ゼロシフトパターンの一部を示す平面図である。 上部グレーティング構造用の位相シフト型フォトマスクの構成の一部を示す平面図である。 上部グレーティング構造用のバイナリ型フォトマスクのリバースパターンの一部を示す平面図である。 上部グレーティング構造用のフォトレジストパターンの一部を示す平面図である。 基板型光導波路デバイスの第3実施形態を示す断面図である。 第3実施形態における in に対する eff の変化の一例を示すグラフである。 第3実施形態における in の変化に伴う out の変化の一例を示すグラフである。 第3実施形態における eff に対する in および out の変化の一例を示すグラフである。 第3実施形態の実効屈折率分布の一例を示すグラフである。 図38の一部を拡大して示すグラフである。 第3実施形態のグレーティングピッチの分布の一例を示すグラフである。 図40の一部を拡大して示すグラフである。 実施例3により形成した溝部充填体の一部を上方から撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 図42の一部を拡大して示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例3により形成した側壁グレーティング構造の一部を斜め上方から撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例3により形成した側壁グレーティング構造の一部を上方から撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 従来の単一ピッチ型グレーティング構造の一例を示す上面図である。 従来のチャープ型グレーティング構造の一例を示す上面図である。
以下、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明する。
<基板型光導波路デバイスの第1実施形態>
図1A〜1Cに、本発明の基板型光導波路デバイスの第1実施形態を模式的に示す。図1Aは光導波路のコア1の一部の斜視図、図1Bはコア1の同じ部分の上面図、図1Cは基板型光導波路デバイスの断面図である。また、基板型光導波路デバイスの斜視図を図12に示す。なお、図1Cにおいては、コア1の側壁に関して図1A及び図1Bの凹部2a及び凸部2bの区別なしに、符号2を用いている。
この基板型光導波路デバイスは、光導波路が基板5上に形成された基板型光導波路デバイスである。光導波路は、基板5上に形成された下部クラッド6と、下部クラッド6上に形成されたコア1と、コア1および下部クラッド6の上に形成された上部クラッド7を有する。また、グレーティング構造2は、コア1の幅wの周期的変化としてコア1の両側壁に形成された凹部2aと凸部2bとから構成されている。
ここで、コア幅wとは、光導波路の長手方向即ち信号光の導波する方向に対して垂直であり、かつ基板に平行である方向におけるコア1の幅を言う。凹部2aではコア幅が狭く、凸部2bではコア幅が広い。
コア1の上面3および底面4は平坦である。
光導波路の長手方向(図1Bの左右方向)において凹部2aが継続する距離を、凹部の長手方向の長さと呼ぶ。また、光導波路の長手方向において凸部2bが継続する距離を、凸部の長手方向の長さと呼ぶ。隣接する凸部と凹部とを一組とし、その凸部の長手方向の長さと凹部の長手方向の長さとを加算したものが、その位置におけるグレーティングピッチである。
本実施形態の基板型光導波路デバイスは、詳しくは後述するが、グレーティングピッチが逆散乱問題を解いた結果として得られる離散化したピッチのいずれかの値をとる。すなわち、本実施形態の基板型光導波路デバイスは、従来公知の等ピッチグレーティング構造、チャープピッチグレーティング構造、サンプルドグレーティング構造のいずれとも異なる。
図1Bには、グレーティングピッチが、光導波路の長手方向の位置によってP、P+ΔP、P−ΔPのように異なる値をとることが示されている。また、コア幅wに関しては、図1Bには左から右に向かってコア幅wが増大する傾向をもつ部分を示している。後述するように、同じ光導波路が、他の部分(図示略)では左から右に向かってコア幅wが減少する傾向をもつ部分を含んでいる。
このように、グレーティングピッチとコア幅とが、逆散乱問題を解いた結果として得られる複雑な変化をしているので、所望の機能性を光導波路に付与することができる。
(デバイスの使用例)
図2に、基板型光導波路デバイス101と光伝送路103,105とを接続した形態100の一例を示す。このデバイス101はグレーティング構造を有する反射型デバイスであるため、開始端が光信号の入射端であると同時に出射端となる。図2に示すように、通常はサーキュレータ102を介して入出力光ファイバを接続し、使用する。サーキュレータ102には、入射信号光を伝搬する入射用光ファイバ103と、基板型光導波路デバイス101と光サーキュレータ102とを接続する結合用光ファイバ104と、出射信号光を伝搬する出射用光ファイバ105が接続されている。
また、基板型光導波路デバイス101と結合用光ファイバ104とが光接続される箇所には、通常モードフィールドコンバーターあるいはスポットサイズコンバーターと呼ばれる入出力変換部を追加すると、結合用光ファイバ104とデバイス101との接続損失を低減できるので、好ましい。
(デバイスの製造方法)
所望の光学特性が得られるグレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスを得るため、本発明では、該光導波路の光伝搬方向にわたるポテンシャル分布を求め、これを光導波路の等価屈折率分布に換算し、光導波路の寸法に変換する。ポテンシャル分布の算出は、光導波路の前方及び後方に伝搬する電力波振幅なる変数を導入した波動方程式より、例えば光導波路の等価屈折率の対数の微分から導かれるポテンシャルを有するZakharov-Shabat方程式などに帰着させ、グレーティング光導波路の反射率の強度および位相のスペクトルである複素反射スペクトルからポテンシャル関数を数値的に導く逆散乱問題として解き、所望の反射スペクトルを実現するためのポテンシャル分布を推測する設計法を用いて設計することが出来る。
これにより、従来公知の等ピッチグレーティング素子やチャープピッチグレーティング素子では実現出来ないような複雑な光学特性を有するブラッググレーティング素子を設計し製作することが可能となるため、例えばDWDM光ファイバ通信システムにおいて40チャネル一括で伝送線路光ファイバの波長分散と分散スロープとを同時に補償する光波長分散補償器といったような所望の光学特性を有するデバイスを実現することが出来る。
(ポテンシャル分布の設計方法)
所望の複素反射スペクトルから逆散乱問題を用いてポテンシャル分布を設計する手法は以下の通りである。
なお、後述する設計手順中の数式においては、グレーティング光導波路の長手方向、すなわち光伝搬方向をz軸として数式を示す。図1Bの左右方向がz軸方向である。該グレーティング光導波路デバイスのグレーティング領域開始端をz=0、終了端をz最大値座標とし、z最大値がすなわちグレーティング光導波路部の領域長である。
まず、光導波路を伝搬する電磁界を、Sipeの論文(J.E. Sipe, L. Poladian, and C. Martijn de Sterke, “Propagation through nonuniform grating structures,” Journal of the Optical Society of America A, Vol. 11, Issue 4, pp. 1307-1320 (1994))を参照して、次のように定式化する。
電磁界の時間変動をexp(−iωt)と仮定すると、該光導波路の光伝搬方向をz軸として、光導波路中の電界の複素振幅E(z)及び磁界の複素振幅H(z)は、マクスウェル方程式(Maxwell’s Equations)により、次式(1)、(2)となる。
ただし、E(z)は電界の複素振幅、H(z)は磁界の複素振幅、iは虚数単位、ωは角周波数、μ は真空の透磁率、ε は真空の誘電率、 eff は光導波路の実効屈折率を表す。
式(1)、(2)から結合モード方程式(coupled-mode equations)を構築するため、ここで、次式(3)、(4)のようにE(z)及びH(z)を進行波(前方に伝搬する電力波)振幅 (z)と後退波(後方に伝搬する電力波)振幅 (z)に変換する。該デバイスは反射スペクトルとして所望の光学特性を実現する反射型デバイスである。反射波は後退波振幅 (z)に対応する。
ただし、 av は光導波路の参照屈折率(平均実効屈折率)であり、この av は、 eff (z)の基準となる。これらの変数 (z)及び (z)は、 light を真空中の光速として、次式(5)、(6)を満たす。
ここで、波数k(z)を次式(7)で表す。ここで、 light は真空中の光速度である。
また、式(8)のq(z)は、結合モード方程式におけるポテンシャル分布である。
式(5)、式(6)のn(z)を式(7)、式(8)の eff (z)と同一視して代入すると、式(5)、式(6)は、式(9)、式(10)に示すZakharov-Shabat方程式に帰着される。
Zakharov-Shabat方程式で示された逆散乱問題を解くことは、後述するゲルファント−レヴィタン−マルチェンコ方程式 (Gel’fand-Levitan-Marchenko type integral equations) を解くことであり、その手順は例えば、Frangosの論文(P.V. Frangos and D.L. Jaggard, “A numerical solution to the Zakharov-Shabat inverse scattering problem,” IEEE Transactions on Antennas and Propagation, Vol. 39, Issue. 1, pp. 74-79 (1991))に開示されている。
また、Xiaoの論文(G. Xiao and K. Yashiro, “An Efficient Algorithm for Solving Zakharov-Shabat Inverse Scattering Problem,” IEEE Transaction on Antennas and Propagation, Vol. 50, Issue 6, pp. 807-811 (2002))には、Zakharov-Shabat方程式の効率的な解法が開示されている。
本願発明のグレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスの光学特性は、光導波路の開始端(出射光もここから出力される)における複素反射スペクトルr(k)として、次式(11)で定義される。
次式(12)に示すように、r(k)のフーリエ変換はこの系のインパルス応答R(z)である。
複素反射スペクトルr(k)として波長に対する所望の群遅延特性と反射率の分布を与えることにより、これを実現するためのポテンシャル分布関数q(z)を数値的に解くことができる。
本発明では、グレーティングの振幅が変化して位相は振幅に従属して変化するという振幅変調型のグレーティングを用いた設計を行なう。そのため、設計の入力データとして用いる複素反射スペクトルにおいては、グレーティングの振幅の包絡線とグレーティングの振動の位相との分離性を高めるため、周波数の原点(すなわち0Hz)から所定の群遅延時間特性が求められる周波数領域をすべて含める。
まず、式(3)及び式(4)の解を次式(13)、(14)のように表す。
(z)及び (z)はそれぞれ+z方向及び−z方向に伝搬する。式(13)及び式(14)中の積分項は反射の影響を表している。式(13)及び式(14)から、結合モード方程式が次のゲルファント−レヴィタン−マルチェンコ方程式(Gel’fand-Levitan-Marchenko type integral equations) 式(15)及び式(16)に変換される。
ここで、正規化時間yはy= light t (tは時間)であり、z>yである。R(z)は、波数を変数とした複素反射スペクトルr(k)の逆フーリエ変換であり、インパルス応答に相当する。R(z)を与えて式(15)及び式(16)を解くことにより、ポテンシャル分布q(z)が求められ、式(17)で与えられる。
得られたポテンシャル分布q(z)を次式(18)に適用することで、グレーティング光導波路の実効屈折率分布 eff (z)が得られる。
本発明では、式(8)及び式(17)のポテンシャル分布q(z)を実数とする。その結果、複素反射スペクトルr(k)からインパルス応答(時間応答)R(z)へと変換するための演算は実数型となり、振幅が変化して位相が振幅に従属して変化する。
このようにして得られた実効屈折率分布 eff (z)は、高屈折率値と低屈折率値とが短いピッチ(周期)で交互に現れるものであり、グレーティング光導波路構造を示すものとなっている。このグレーティング構造は、光導波路コアの側壁の凹部および凸部におけるコア幅wに対応する、隣接する高屈折率値と低屈折率値との屈折率差が一定ではなく漸次変化する不均一なものとなっており、また屈折率の変化するピッチはある限定された離散値をとるものとなっており、従来公知の等ピッチグレーティング光導波路、チャープピッチグレーティング光導波路、サンプルドグレーティング光導波路のいずれとも一致しない新規な構造を有する。
本発明のグレーティング光導波路は、ブラッググレーティングの振幅を変化させてグレーティングパターンを形成するものであり、グレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する振幅変調型である。サンプルドグレーティング光導波路では、符号が反転する二点間で振幅が連続的にゼロになる光導波路領域が介在するという特徴がある。これに対し、本願の振幅変調型グレーティング光導波路では、そのような構造は現れない。符号の反転は孤立した単一の座標点で生じるという階段的な急峻性あるいは不連続性を示す。つまり、あるz座標で包絡線の勾配の符号が反転するという意味である。包絡線の勾配の符号が反転する孤立した一座標点でのみ振幅がゼロとなるため、実質的には振幅が一定の区間ゼロのままとなるような領域は出現しない。これにより、サンプルドブラッググレーティングよりも導波路長を短縮することが可能となる。
包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点は導波路上で複数個存在する。おのおのの座標点では、付随的に位相の不連続変化を伴う。位相が不連続変化すると局所周期(ピッチ)が変化するため、ピッチが当該座標点で対象とするスペクトルにおける中心波長を光導波路の実効屈折率の平均値 av で除算した値の半分とは異なる値をとる。包絡線の勾配の符号が反転する座標点を特定する精度は、横軸にとっている導波路の座標zの離散化刻みによる。その刻みをΔPとすると、座標点を特定する精度は±ΔPの範囲にある。このように、本発明の振幅変調型グレーティング光導波路には、グレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転し、その結果、ピッチが離散的に変化する座標点が存在する。
離散化したグレーティングピッチは、P±NΔPとして表すことが可能であり、Nは逆散乱問題を解く際の離散化パラメータに係る整数である。
ピッチの離散的変化は、チャープトブラッググレーティングには見られない特徴である。チャープトブラッググレーティングでは、ピッチは光導波方向に沿って連続的に変化する。チャープトブラッググレーティングでは、ブラッググレーティングの振幅も同時に変化するが、振幅の変化はアポダイズのような副次的特性の実現に利用されるにとどまり、フィルタの反射スペクトルのチャネル数・位相特性などの主要な特性はブラッググレーティングの周波数を光の導波方向に沿って変化させることによって達成される。ここに開示した手順では、チャープ型グレーティングを構成することはできない。チャープ型グレーティングを構成するには、複素反射スペクトルr(k)から時間応答(インパルス応答)R(z)への変換を複素数型へと切り替える必要がある。その結果、式(17)により得られるポテンシャル分布q(z)は複素数となる。q(z)が複素数であると、q(z)から実効屈折率分布 eff (z)を求めるにあたり、 eff (z)は実数であるため、q(z)の実部のみをとることが必要である。よって、本発明の振幅変調型グレーティング構造と従来公知のチャープ型グレーティング構造とは設計方法を異にし、互いに異なる範疇に分類される。振幅変調型に相対することから、チャープ型グレーティング構造は、いわば、周波数変調型に分類される。
本発明では、他の実施例すべてを含めて、当該の複素反射スペクトルからインパルス応答への変換に用いる演算は実数型とし、振幅変調型ブラッググレーティングを対象とする。振幅変調型ブラッググレーティングを選択するための条件をまとめると、以下の二点となる。
(I) 指定するスペクトル特性の周波数範囲を原点(周波数ゼロ)から該当するスペクトルチャネルの存在する領域まですべてを含める。
(II)上述の複素反射スペクトルからインパルス応答への変換において実数型を選択する。
実際の計算手順では、まず、グレーティング光導波路デバイスの全長を決めることにより、zの最大値を特定する。これは、例えば、光分散補償器の場合であれば、補償すべき群遅延分散値とチャネル帯域とからグレーティング光導波路で発生すべき群遅延時間の最大値が決まるので、これに真空中の光速度 light を乗じ、さらに実効屈折率の平均値 av で除することで、最低限必要となる素子長を決めることが出来る。素子の全長は、これに一定の余長を追加したものとする。続いて、離散化の刻みを決める。一例として、設計中心波長λを基準として素子全長を18,000λ、z位置の離散化刻みをλ/40に設定すると、 から 720000 までの720,000点について光分散補償器のポテンシャル分布q(z)を計算することとなる。
複素反射スペクトルr(k)として与えた波長に対する所望の光学特性の一例として、反射率の分布を図4及び図5に示すとおりとし、群遅延特性を図6及び図7とした時、計算により求められたポテンシャル分布q(z)を図8及び図9に示す。
予め求めた光導波路断面構造、具体的にはコア寸法と等価屈折率との関係を元に、逆散乱問題を解いて得られたポテンシャル分布q(z)を実効屈折率分布 eff (z)に換算し、続いて光導波路の光伝搬方向(長手方向)におけるコア寸法分布を算出する。
図1A〜1Cに示した第1実施形態の光導波路デバイスについて、実効屈折率 eff とコア幅wとの対応を図3に示す。この事例では、クラッド材料はシリカ(SiO )であり、コア材料は窒化ケイ素(SiN)である。コアの厚みtは1.4μmとした。mode 1及びmode 2は、それぞれ、いわゆるTEモード及びTMモードに対応する。この図3に示したような実効屈折率 eff とコア幅wとの対応関係を得るには、コア幅wの値を変化させて、それぞれの光導波路の断面構造から固有伝搬モードの電磁界分布をモードマッチング法、有限要素法、もしくはビーム伝搬法など各種方法を採用したモードソルバープログラムにより求め、その実効屈折率 eff を算出することで求められる。
この第1実施形態の事例では、光導波路の構造が偏波依存性を有するため、設計するデバイスをTEモード用とするかTMモード用とするかをあらかじめ選択する必要がある。例えばTEモード用デバイスを設計する場合、実効屈折率分布 eff (z)と図3のmode 1のグラフとから、各z座標におけるコア幅wを求めることが出来る。図3より、実効屈折率と光導波路の構造寸法との関係を検討した範囲のおよそ中央を基準にとることによって、参照屈折率(平均実効屈折率) av は例えば1.95とする。
(光導波路の製造工程)
次に、第1実施形態の光導波路デバイスの製造工程について説明する。
まず、図10に示すように、コア1の材料となる高屈折率材料層1aを形成する(高屈折率材料層形成工程)。ここでは、支持基板5の上に下部クラッド6を形成した後、下部クラッド6の上に高屈折率材料層1aを形成している。支持基板5は例えばシリコンウエハであり、下部クラッド6は、CVD装置等を用いて適切な厚さで堆積させたSiO 膜である。また、高屈折率材料層1aは、光導波路コアを形成するためのSiN膜を、CVD装置等を用いて所望の厚さで堆積させたものである。
次に、図10に二点鎖線で示すように、高屈折率材料層1aの上にフォトレジストパターン60を形成する。このフォトレジストパターン60は、設計された光導波路のグレーティング構造2に対応するものである。図13〜図16にフォトレジストパターン60の形成に用いる第1のフォトマスクのパターンを、図17Aにフォトレジストパターン60の形成に用いる第2のフォトマスクのパターンを示す。また、図18に得られるフォトレジストパターン60をより詳細に現す。なお、図13〜図16、図17A及び図18には光導波路の長手方向のごく一部のみが示されている。
図18に示すフォトレジストパターン60を製作するために、フォトマスクとして、レベンソン型位相シフト型フォトマスクである第1のフォトマスクと、バイナリ型フォトマスクである第2のフォトマスクとの二つを使用する。それぞれのフォトマスクは、CAD等を用いて作図し、製作することができる。また、以下の説明では、第1のフォトマスクのクロムパターンがフォトレジスト層の上に投影されて形成される遮光領域を「第1の遮光領域」と略称し、第2のフォトマスクのクロムパターンがフォトレジスト層の上に投影されて形成される遮光領域を「第2の遮光領域」と略称する場合がある。なお、ここでは、フォトマスクにおいて光を遮る部分(例えば遮光膜)を例示的に「クロムパターン」と称するが、本発明において、遮光膜の材質はクロム(Cr)に限定されず、MoSi等を用いることもできる。また、位相シフト型フォトマスクは、レベンソン型位相シフトマスクに限定されるものではなく、ハーフトーン型位相シフトマスク等を用いてもよい。フォトマスクの基板には、シリカガラス等のガラス基板が好適に用いられる。
第1のレベンソン型位相シフト型フォトマスクは、図16に示したような構造をしている。図13に黒色で示したパターンがクロム(Cr)からなるクロムパターンであり、図14にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量π(180°)に対応する透過パターン(「位相πシフトパターン」と略称する。)であり、図15にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量ゼロに対応する透過パターン(「位相ゼロシフトパターン」と略称する。)である。第1の位相シフト型フォトマスクは、凸部2bに対応する遮光領域が凸部2bのコア幅の設計寸法よりも十分広くなるように、クロムパターンを延長する。第1の位相シフト型フォトマスクによる露光領域は、第1の遮光領域の外側に存在する。
第2のバイナリ型フォトマスクは、凸部2bのコア幅を設計通りの寸法とするために用いられる。図17Aにリバースパターンとして黒色で示したパターンが第2のバイナリ型フォトマスクの透過パターンである。第2のバイナリ型フォトマスクによる露光領域は、第2の遮光領域の外側に存在する。
これら2枚1組のフォトマスクを適用して2段階の露光工程を行なうことによって、第1の遮光領域と第2の遮光領域とに共通して含まれる領域が未露光部となり、2回の露光領域が組み合わさって図18に白色で示す露光パターンが得られる。さらに、現像工程によって図18に黒色で示すフォトレジストパターンが得られる。
上述したように凹部2aおよび凸部2bからなるグレーティング構造の形成に用いるフォトレジストパターン60を得るためには、凹部2aに対応する位置60aおよび凸部2bに対応する位置60bのそれぞれにおいて、コア幅の範囲のみを未露光部(現像によって残留する部分)とし、その外側でフォトレジストを露光し、現像時の溶解性を増大させる必要がある。フォトレジストとしては、露光によって溶解性が増大する性質を有する(すなわちポジ型の)フォトレジストが使用される。
本実施形態のフォトレジストパターン60を得ようとするとき、凹部2aにおけるコア幅と凸部2bにおけるコア幅とが光導波路の長手方向に沿って交互に増大と減少を繰り返すのみならず、その増減のピッチが極めて小さいことが問題となる。
例えば、後述する比較例1,2に例示するように、バイナリ型フォトマスクまたは位相シフト型フォトマスクのいずれか一方のみを用いた単一の露光工程による方法が考えられる。
しかし、バイナリ型フォトマスクのみを用いる方法では、コア構造のピッチが露光に用いる波長に比べて十分に長くないと解像が難しい。
また、位相シフト型フォトマスクのみを用いる方法では、凸部2bに対応する位置の外側において位相シフト量ゼロの光と位相シフト量πの光とが重なり合って(つまり、打ち消し合って)位相の競合が生じ、結果として露光不足となり、現像後のフォトレジストパターン60の凸部2bに対応する位置60bの外側に、露光不足の箇所が残留した線状構造が生じる、という問題がある。
さらに、位相シフト型フォトマスクの使用に起因する線状構造を除去するため、位相シフト型フォトマスクとバイナリ型フォトマスクとを併用する方法が考えられる。このときの方法としては、後述する比較例3に説明したように、凹部2aにおけるコア幅及び凸部2bにおけるコア幅の両方に対応する領域を遮光するために位相シフト型フォトマスクを用いる方法や、位相の競合により形成された意図しない線状構造を除去するための追加的露光工程において位相シフト型フォトマスクを用いる方法が考えられる。しかし、この場合には、
(i)凹部2aの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
(ii)凸部2bの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、及び
(iii)凸部2bの位置におけるバイナリ型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
の3つを、設計どおりの高精度で作製する必要がある。また、凸部2bに対応する位置における現像後のレジスト横幅およびエッチング後のコア幅は、(ii)及び(iii)のクロムパターンによる2つの遮光領域が重なり合った部分の横幅に基づいて決定されるので、2回の露光工程で2つのフォトマスクによる露光位置がコア幅の方向に横にずれて露光された場合、凸部2bのコア幅が短くなる、という問題がある。
そこで本実施形態においては、詳しくは後述するように、
(i)凹部2aの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、及び
(ii)凸部2bの位置におけるバイナリ型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
の2つを、設計どおりの高い精度にするが、
(iii)凸部2bの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、及び
(iv)凹部2aの位置におけるバイナリ型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
の2つは敢えて設計寸法に合わせていない。つまり、本実施形態は、凹部2aにおけるコア幅は、位相シフト型フォトマスクを用いて設計寸法に合わせられ、凸部2bにおけるコア幅はバイナリ型フォトマスクを用いて設計寸法に合わせられているので、2回の露光工程で、2つのフォトマスクによる露光位置がコア幅の方向に横にずれて露光されても、現像後のレジスト横幅およびエッチング後のコア幅への影響は小さい。これにより、高精度なフォトレジストパターン60を作製することが可能になる。
さらに、凹部2aの位置で第2の遮光領域の横幅が凹部2aにおけるコア幅よりも小さいと、エッチング後に実際に形成される凹部2aにおけるコア幅が設計寸法よりも小さくなってしまう。そこで、凹部2aの位置では第2の遮光領域の横幅が凹部2aにおけるコア幅よりも広くなるようにする。
なお、本明細書において「遮光領域の横幅がコア幅に対応する」とは、遮光領域の横幅が、設計どおりのコア幅が得られるように調整されていることをいう。フォトマスクのクロムパターンを所定の比率で縮小してフォトレジスト層上に投影して形成される遮光領域の横幅がコア幅に等しいか、または許容される誤差の範囲内にある場合は、「遮光領域の幅がコア幅に対応する」場合に該当する。よって、クロムパターンの寸法は、縮小の比率を考慮して決定される。
フォトレジストパターン60の形成方法は、例えば以下のとおりである。
高屈折率材料層1aの上に、未露光のフォトレジスト層を形成する(フォトレジスト層形成工程)。フォトレジスト層形成工程は、例えば塗布によって行なうことができる。
次に、位相シフト型のフォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第1の露光工程)。この位相シフト型のフォトマスクのクロムパターンによる第1の遮光領域は、上述したように、コア1の凹部2aの位置では遮光領域の横幅が凹部2aにおけるコア幅に対応し、凸部2bの位置では遮光領域の横幅が凸部2bにおけるコア幅よりも大きい。露光領域は第1の遮光領域の外側に存在する。よって、第1の露光工程においては、凹部2aに対応する位置では設計通りのコア幅が遮光され、凸部2bに対応する位置では設計寸法よりも広い範囲が遮光される。
次に、バイナリ型フォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第2の露光工程)。このバイナリ型フォトマスクのクロムパターンによる第2の遮光領域は、上述したようにコア1の凹部2aの位置では遮光領域の横幅が凹部2aにおけるコア幅よりも大きく、凸部2bの位置では遮光領域の横幅が凸部2bにおけるコア幅に対応している。露光領域は第2の遮光領域の外側に存在する。よって、第2の露光工程においては、凹部2aに対応する位置では設計寸法よりも広い範囲が遮光され、凸部2bに対応する位置では設計通りのコア幅が遮光される。
また、バイナリ型のフォトマスクの特性を考慮すれば、光導波路の長手方向に沿った第2の遮光領域の横幅の変化を小さくすることが好ましい。
例えば図17Cのリバースパターン62を有するバイナリ型フォトマスク(改変例1)のように、凹部2aの位置での第2の遮光領域の横幅が凸部2bの位置での設計上のコア幅Wbより小さい場合や、図17Dのリバースパターン63を有するバイナリ型フォトマスク(改変例2)のように、凹部2aの位置での第2の遮光領域の横幅が凸部2bの位置での設計上のコア幅Wbより大きい場合も考えられる。
しかし、図17Cに示す場合は、バイナリ型フォトマスクによる露光位置が導波路長手方向(z方向)にずれた時に凸部2bのコア幅が一部だけ階段状に狭く(細く)なってしまうおそれがある。また、図17Dに示す場合は、バイナリ型フォトマスクによる露光位置が導波路長手方向(z方向)にずれた時に、凸部2bの延長部が一部だけ細長く残ってしまうおそれがある。
そこで、凹部2aの位置における第2の遮光領域の横幅が、隣接する2つの凸部2bの位置における第2の遮光領域の横幅の中間の値をとることが好ましい。つまり、ある凹部2aのz軸上でプラス方向に隣接する凸部2bの位置における第2の遮光領域の横幅を とし、z軸上でマイナス方向に隣接する凸部2bの位置における第2の遮光領域の横幅を とするとき、その凹部2aの位置における第2の遮光領域の横幅は、 以上 以下( の場合)、または、 以上 以下( の場合)とすることが好ましい。
特に、図17Bに示すように、隣接する2つの凸部2bの位置における第2の遮光領域の横幅が互いに異なる箇所では、第2の遮光領域の横幅を変化させる段差61aを、凹部2aの中間に設け、その段差61aの両側では、凹部2aにおける第2の遮光領域の横幅を、隣接する凸部2bにおける第2の遮光領域の横幅に等しくすることが好ましい。
これにより、光導波路の長手方向(z方向)にバイナリ型フォトマスクの位置ずれが起きても、凸部2bの位置でのコア幅Wbの精度が低下しにくくなる。また、光導波路の長手方向に沿った第2の遮光領域の横幅の変化が、一つのグレーティングピッチ につき一回のみとなるので、マスクの作製が容易になる。
露光は、ステッパー露光装置を用いて行なうことができる。露光に用いる光の波長は、フォトレジストの特性に応じて適宜設定することができ、例えば248nmが挙げられる。
2段階の露光工程後、フォトレジスト層を現像する現像工程、現像工程により得られたフォトレジストパターンを用いて高屈折率材料層1aをエッチングするエッチング工程、続いて残留したフォトレジストを除去する工程を行なう。
これにより、図11に示すように、側壁に凸部2b及び凹部2aからなるグレーティング構造2を有するコア1を形成することができる。
さらに、図12に示すように、CVD装置等を用いて適切な厚さで上部クラッド7(例えばSiO )を堆積させる。コア1上に堆積された上部クラッド7の厚さは、下部クラッド6の上に堆積された上部クラッド7の厚さと異なることがある。必要に応じて、基板5からの高さが揃うように化学機械研磨(CMP)等により平坦化工程を行なうこともできる。
以上の工程により、コア側壁にグレーティング構造を有する基板型光導波路を製作することが可能である。なお、通常、比屈折率差の大きい基板型光導波路デバイスの使用にあたっては、光ファイバとの光学的接続においてモードフィールド径の変換器が必要である。一般的には、上記工程に前後してモードフィールド変換部あるいはスポットサイズ変換部と呼ばれる領域を形成する工程を設け、同一基板上に当該光導波路と光学的に接続するように集積化して形成する。
第1の露光工程で用いる位相シフト型フォトマスクは、露光工程においてフォトレジストの露光に用いる光(例えば紫外光)が透過する透過パターンとして、位相πシフトパターン(180°シフトパターン)と位相ゼロシフトパターン(0°シフトパターン)とを交互に設ける構造を基本とするレベンソン型位相シフトマスクの一種である。
従来公知の技術によりこの位相シフト型フォトマスクを用いる場合、図19に示すように、所望のグレーティング形状に応じたクロムパターンを形成する。しかし、比較例2に後述するように、位相πシフトパターンと位相ゼロシフトパターンが隣接しているため、凸部先端やその延長上の精度に劣るという問題がある。
そこで本発明では、上述のように位相シフト型フォトマスクとバイナリ型フォトマスクとを新規な方法で組み合わせることにより、問題を解決している。
(実施例1)
図1A〜Cに示した構造の、窒化ケイ素(SiN)をコア、シリカガラス(SiO )をクラッドとする、光導波路コア側壁にグレーティング構造を有する基板型光導波路の光分散補償器を設計し製作した。
図1Cの構造に従って光導波路の断面構造を設計し、図3に示す導波路の実効屈折率 eff と導波路幅wの対応関係を求めた。TEモード用デバイスを設計することとし、mode 1の関係を選択した。
続いて、グレーティングパターンの設計を行った。設計中心周波数を188.4THzとした。すなわち、設計中心波長は1591.255nmである。L−Bandで100GHzチャネル間隔、チャネル帯域50GHzで45チャネルにわたってITU−T G.653に規定された分散シフトシングルモード光ファイバ(DSF)100kmの群遅延分散及び分散スロープを補償するものとし、補償対象光ファイバ線路の光学特性として、群遅延分散が−295ps/nm、分散スロープ(Relative Dispersion Slope,RDS)が0.018/nmを想定した。チャネル帯域内での振幅強度反射率を95%とした。これら設定値に基づいて用意した複素反射スペクトルr(λ)の反射率スペクトルを図4及び図5に、また群遅延スペクトルを図6及び図7に示す。素子全長18,000λ、z位置の離散化刻みをλ/40に設定して、上記用意したスペクトルが得られるように逆散乱問題を解き、ポテンシャル分布q(z)を求めた。結果を図8及び図9に示す。
続いて、図3で光導波路寸法を設計した実効屈折率範囲の中央付近から選択して、参照屈折率(平均実効屈折率) av を1.95とし、中心波長に対応する周波数を188.4THz(すなわち中心波長1591.255nm)として、ポテンシャル分布q(z)を実効屈折率分布 eff (z)に変換した。得られた実効屈折率分布 eff (z)と図3とから光導波路寸法を決定した。
設計された光導波路寸法に基づいて図16に示す第1の位相シフト型フォトマスクと、図17Aに示す第2のバイナリ型フォトマスクとを製作し、これらフォトマスクを用いて光導波路を製作した。ステッパー露光装置には、露光に用いる光の波長が波長248nmのものを用いた。
得られた光導波路を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、コア側壁に設計どおりのグレーティング構造が形成されていることを確認できた。
(比較例1)
通常のバイナリ型フォトマスクを用いて実施例1と同様のグレーティング構造の製作を試みた。この場合、フォトマスクのクロムパターンは、図18に示したレジストパターン(これは、設計したグレーティング構造と同じ。)を相似的に拡大したパターンとなる。
この場合、波長248nmのステッパー露光装置を用いて作製可能なラインアンドスペースパターンにおいて、ライン幅の最小値は190nm、スペース幅の最小値は200nmである。十分な製造トレランスを考慮すると、グレーティングピッチは450nm必要である。この時、ライン幅、スペース幅のいずれも220nmより広いことが求められる。
しかしながら、実施例1で設計したグレーティング構造は、主たるグレーティングピッチPが339nmとなっており、通常のバイナリ型フォトマスクでは正しく露光することが出来ない。なお、図1Aのグレーティング構造2の凸部2bの長手方向の長さがライン幅に、凹部2aの長手方向の長さがスペース幅に相当する。
よって、用いられるステッパー、この場合開口数が0.68に限定された波長248nmのDUV露光装置、の限界を検討した結果、更なる解像度向上を行うことなくリソグラフィーにおいて設計が十分に解像されるためには、グレーティングピッチが最低でも400nmである必要がある。
(比較例2)
従来公知のレベンソン型位相シフトマスクを用いて実施例1と同様のグレーティング構造の製作を試みた。この場合、フォトマスクの構造は図19に示したものであって、図19に黒色で示すクロムパターンは、設計したグレーティング構造を相似的に拡大したパターンとなる。
Crの無い透過パターンは、位相πシフトパターンと位相ゼロシフトパターンとが交互に繰り返されるよう厚みが2種類ある構造となっている。
この場合、波長248nmのステッパー露光装置を用いて作製可能なラインアンドスペースパターンにおいて、ライン幅の最小値は140nm、スペース幅の最小値は180nmであった。このとき、グレーティングピッチが323nm以上であれば解像可能である。
しかしながら、図19のフォトマスク構造では、コアの凸部先端に対応する位置において位相πシフトパターンと位相ゼロシフトパターンとが隣接しており、コアの凸部先端の露光形状、露光寸法は誤差が大きくなる。また、コアの凸部の延長上には位相の競合による意図せぬ残留線状構造が形成される。
つまり、従来公知のレベンソン型位相シフトマスクでは、本発明のグレーティング構造を適切に製造することは困難である。
(比較例3)
比較例2の線状構造をトリム露光で除去するため、図19に示すレベンソン型位相シフトマスクを用いる第1段階と、図17Aに示すバイナリ型フォトマスクを用いる第2段階の2段階露光により、実施例1と同様のグレーティング構造の製作を試みた。
ここで、光導波路の長手方向(すなわち信号伝搬方向)をz方向、これに垂直であり基板に平行な方向(すなわちコア幅の方向)をx方向とする。位相シフト型フォトマスクとバイナリ型フォトマスクとがx方向に位置ずれを起こすと、コアの中心軸を挟んで互いに対となる凸部の一方は第2段階の露光で誤って短く露光されてしまう。これにより凸部2bのコア幅Wbが短くなるという問題が生じ、もう一方では逆に除去すべき線状構造が一部残留したままとなる。
つまり、従来公知のレベンソン型位相シフトマスクにトリム露光を併用しても、本発明のグレーティング構造を適切に製造することは困難である。
これに対して、本発明に係るグレーティング構造は実施例1によって適切に製造することができる。実施例1の場合、レベンソン型位相シフトマスクを用いる第1段階とバイナリ型フォトマスクを用いる第2段階の2段階露光である点は、比較例3と同様であるが、凹部2aのコア幅は位相シフト型フォトマスクを用いて設計寸法に合わせられ、凸部2bのコア幅はバイナリ型フォトマスクを用いて設計寸法に合わせられている。よって、2回の露光工程で2種類のマスクがコア幅の方向(x方向)にずれて露光されても、コア幅への影響が小さい。
さらに、実施例1の場合は、図17Bに示すように、凹部2aの位置における第2の遮光領域の横幅が、隣接する2つの凸部2bの位置における第2の遮光領域の横幅に等しい。また、隣接する2つの凸部2bの位置における第2の遮光領域の横幅が互いに異なる箇所では、第2の遮光領域の横幅を変化させる段差61aの位置が、凹部2aの中間に設けられている。このため、マスクが光導波路の長手方向(z方向)にずれて露光されても、凹部2aの長手方向の長さの半分以内のずれであれば、光導波路の信号光伝搬方向に向かって左右に位置する凸部2bの先端が第2段階で露光される長さがずれることがない。その結果、線状構造の残留を防ぐことができる。
<基板型光導波路デバイスの第2実施形態>
図20A〜Cに、本発明の基板型光導波路デバイスの第2実施形態を模式的に示す。図20Aは光導波路のコア10の一部の斜視図、図20Bはコア10の同じ部分の上面図、図20Cは基板型光導波路デバイスの断面図である。また、基板型光導波路デバイスの斜視図を図28に示す。なお、図20Cにおいては、コア10の側壁及び溝状構造に関して、図20A及び図20Bの凹部12a,13a及び凸部12b,13bの区別なしに、符号12,13を用いている。
この基板型光導波路デバイスは、光導波路が基板15上に形成された基板型光導波路デバイスである。光導波路は、基板15上に形成された下部クラッド16と、下部クラッド16上に形成されたコア10と、コア10および下部クラッド16の上に形成された上部クラッド17を有する。
また、光学特性の偏波依存性の問題を解消するため、光導波路コア側壁にグレーティング構造12を有するとともにコア上部に溝状グレーティング構造13を有する。コア10の底面14は平坦である。
図21に示すように、側壁グレーティング構造12は、コアの幅 out の周期的変化としてコア10の両側壁に形成された凹部12aと凸部12bとから構成されている。コア幅 out とは、光導波路の長手方向即ち信号光の導波する方向に対して垂直であり、かつ基板に平行である方向におけるコア10の幅を言う。凹部12aではコア幅が狭く、凸部12bではコア幅が広い。
光導波路の長手方向(図20Bの左右方向)において凹部12aが継続する距離を、凹部の長手方向の長さと呼ぶ。また、光導波路の長手方向において凸部12bが継続する距離を、凸部の長手方向の長さと呼ぶ。隣接する凸部と凹部とを一組とし、その凸部の幅と凹部の幅とを加算したものが、その位置におけるグレーティングピッチ(図21の )である。
コア10の上面11には、溝状グレーティング構造13を有する。
溝状グレーティング構造13は、側壁グレーティング構造12の凸部12bに相当する位置に形成された凸部13bを有している。凸部13bはコア10の一部であり溝状グレーティング構造13の内側に向かって突出している。凸部13bが形成されている位置では、溝状構造13の横幅が狭くなっている。また、溝状グレーティング構造13は、側壁グレーティング構造12の凹部12aに相当する位置に形成された凹部13aを有している。凹部13aはコア10の一部であり、凸部13bに対して相対的に凹状を成している。凹部13aが形成されている位置では、溝状構造13の横幅が広くなっている。つまり、凸部13bにおいて溝状構造13の幅 in は狭く、一方、凹部13aにおいて溝状構造13の幅 in が広いという逆転した関係になっている。
(デバイスの製造方法)
第2実施形態の基板型光導波路デバイスの製造方法は、おおむね第1実施形態の製造方法と同様である。本実施形態では、光導波路が2組のグレーティング構造を有するが、グレーティングパターンの設計は、ポテンシャル分布q(z)を算出する設計工程までは、第1実施形態と同一である。
本実施形態では、図22AにTE型偏光(mode1)およびTM型偏光(mode2)に対する実効屈折率の in 依存性を示し、図22Bに in out との関係を示す。また図23には、光導波路の実効屈折率 eff に対する in out との対応関係を示す。
この事例では、クラッド材料はシリカ(SiO )であり、コア材料は窒化ケイ素(SiN)である。コア下部および上部に位置するクラッドの厚みは、ともに2μmである。 in は0.1μmであり、 out は1.4μmである。
図22Bに示すように in out との関係を与えると、図22Aに示すように導波路の実効屈折率の偏波依存性を低減できる。TE偏光での実効屈折率を光導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率と in および out との対応を計算しプロットすると、図23が得られる。つまり、この実施形態では、ある eff に対応する in out との組が得られ、設計されたデバイスは偏波無依存である。
実効屈折率分布 eff (z)と図23とから、各z座標における溝状構造の幅 in とコア幅 out を求めることが出来る。図23より、実効屈折率と光導波路の構造寸法との関係を検討した範囲のおよそ中央を基準にとることによって、参照屈折率(平均実効屈折率) av は例えば1.935とする。
(光導波路の製造工程)
次に、第2実施形態の光導波路デバイスの製造工程について説明する。
まず、図24に示すように、コアの材料となる高屈折率材料層10aを、溝状の領域(溝状構造13が形成される高さ範囲)より下の部分まで形成する(第1の高屈折率材料層形成工程)。
また、高屈折率材料層10aの上に、溝状グレーティング構造13を形成するための低屈折率材料層17aを所望の厚さで堆積させる(低屈折率材料層形成工程)。
第1の高屈折率材料層形成工程では、支持基板15の上に下部クラッド16を形成した後、下部クラッド16の上に第1の高屈折率材料層10aを形成している。支持基板15は例えばシリコンウエハであり、下部クラッド16は、CVD装置等を用いて適切な厚さで堆積させたSiO 膜である。また、第1の高屈折率材料層10aは、光導波路コア10を形成するためのSiN膜を、CVD装置等を用いて所望の厚さで堆積させたものである。ここで、第1の高屈折率材料層10aの所望の厚さとは、最終的なSiN膜の厚さ(図20Cの out )から溝状グレーティング構造13の溝の深さ(図20Cの in )の分だけ薄くしておいた値である。
低屈折率材料層形成工程では、SiN膜の上に、溝状グレーティング構造13を形成するための低屈折率材料層17aとして、SiO 膜を所望の厚さで堆積させる。ここで、低屈折率材料層17aの所望の厚さとは、溝状グレーティング構造13の溝の深さ(図20Cの in )以上の値である。低屈折率材料層17aの厚さは、必要に応じて、後述する第2の高屈折率材料層形成工程後の平坦化工程において溝部充填体18の厚さの減少を許容するためのマージンを、設計値 in に加えた値とすることが好ましい。
次に、図24に二点鎖線で示すように、低屈折率材料層17aの上にフォトレジストパターン50を形成する。このフォトレジストパターン50は、設計された溝状グレーティング構造13に対応する溝部充填体18(図25参照)を形成するためのものである。図29〜図32にフォトレジストパターン50の形成に用いる第1のフォトマスクのパターンを、図33にフォトレジストパターン50の形成に用いる第2のフォトマスクのパターンを示す。また、図34に得られるフォトレジストパターン50をより詳細に現す。なお、図29〜図34には光導波路の長手方向のごく一部のみが示されている。
溝部充填体18は、図28に示す光導波路デバイスにおいては、溝状構造13の内部を充填し、かつ上部クラッド17と一体化される。溝部充填体18は、溝幅の狭い部分である凹部18aと、溝幅の広い部分である凸部18bを有する。溝部充填体18は、溝状構造13の周囲のコア10と相補的な形状を有する。つまり、溝部充填体18の凹部18aは溝状構造13の凸部13bに対応し、溝部充填体18の凸部18bは溝状構造13の凹部13aに対応する。
図34に示すフォトレジストパターン50を製作するために、第1のレベンソン型位相シフト型フォトマスクと、第2のバイナリ型フォトマスクとを用いる。それぞれのフォトマスクは、CAD等を用いて作図し、製作することができる。
第1のレベンソン型位相シフト型フォトマスクは、図32に示したような構造をしている。図29に黒色で示したパターンがクロム(Cr)からなるクロムパターンであり、図30にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量π(180°)に対応する透過パターン(「位相πシフトパターン」と略称する。)であり、図31にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量ゼロに対応する透過パターン(「位相ゼロシフトパターン」と略称する。)である。第1の位相シフト型フォトマスクは、凹部13aに対応する遮光領域が凹部13a(凸部18b)における溝状構造13の横幅(すなわち凸部18bにおける溝部充填体18の横幅)の設計寸法よりも十分広くなるように、クロムパターンを延長する。第1の位相シフト型フォトマスクによる露光領域は、第1の遮光領域の外側に存在する。
第2のバイナリ型フォトマスクは、凸部13aにおいて溝状構造13の横幅を設計値 in とするために用いられる。図33にリバースパターンとして黒色で示したパターンが第2のバイナリ型フォトマスク透過パターンである。第2のバイナリ型フォトマスクによる露光領域は、第2の遮光領域の外側に存在する。
これら2枚1組のフォトマスクを適用して2段階の露光工程を行なうことによって、第1の遮光領域と第2の遮光領域とに共通して含まれる領域が未露光部となり、2回の露光領域が組み合わさって図34に白色で示す露光パターンが得られる。さらに、現像工程によって図34に黒色で示すフォトレジストパターンが得られる。
第2のバイナリ型フォトマスクは、特に、図33に示すように、凸部13bの位置における第2の遮光領域の横幅が、隣接する2つの凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅の中間の値をとることが好ましい。例えば、隣接する2つの凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅が互いに異なる箇所では、第2の遮光領域の横幅を変化させる段差の位置を、凸部13bの中間に設け、その段差の両側では、凸部13bにおける第2の遮光領域の横幅を、隣接する凹部13aにおける第2の遮光領域の横幅に等しくすることが好ましい。
このような上部溝状グレーティング構造13用のフォトレジストパターン50の形成方法は、上述した側壁グレーティング構造12用のフォトレジストパターン60と同様に実施される。
つまり、低屈折率材料層17aの上に、未露光のフォトレジスト層を形成する(フォトレジスト層形成工程)。
次に、図32の位相シフト型のフォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第1の露光工程)。
次に、図33のバイナリ型フォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第2の露光工程)。
2段階の露光工程後、フォトレジスト層を現像する現像工程、現像工程により得られたフォトレジストパターンを用いて低屈折率材料層17aをエッチングするエッチング工程、続いて残留したフォトレジストを除去する工程を行なう(溝部充填体形成工程)。これにより、図25に示すように、側壁に凸部18b及び凹部18aからなる溝部充填体18を形成することができる。
溝部充填体18の形成後、コア10を構成する高屈折率材料(例えばSiN)を、CVD装置等を用いて所望の厚さで堆積させる(第2の高屈折率材料層形成工程)。
これにより得られる高屈折率材料層は、図25の高屈折率材料層10aの厚さと溝部充填体18の形成後に新たに堆積させる厚さとの合計が、最終的なコア10の厚さ(図20Cの out )以上となるようにする。溝部充填体18の上にも高屈折率材料が堆積するので、図26に示すように、化学機械研磨(CMP)等により表面を平坦化させ、溝部充填体18の上に高屈折率材料が残留しないようにする(平坦化工程)。研磨後の高屈折率材料層10bの厚さは、最終的なコア10の厚さに対応する。
上述する低屈折率材料層形成工程において低屈折率材料層17aの厚さを設計値 in より大きくした場合には、平坦化工程において溝部充填体18の厚さを所定量減少させることにより、溝部充填体18上の高屈折率材料の残留をより確実に防ぐことができるので好ましい。この場合は、研磨後の溝部充填体18の厚さが溝状グレーティング構造13の溝の深さ(図20Cの in )に対応する。
次に、図26に二点鎖線で示すように、高屈折率材料層10bの上にフォトレジストパターン60を形成する。このフォトレジストパターン60は、設計された側壁グレーティング構造12に対応するものである。側壁グレーティング構造12の形成は、本実施形態が側壁グレーティング構造12と溝状グレーティング構造13との位置合わせを要することを除いては、第1実施形態と同様に行なうことができる。
現像工程により得られたフォトレジストパターン60を用いて高屈折率材料層10bをエッチングするエッチング工程、続いて残留したフォトレジストを除去する工程を行なう。これにより、図27に示すように、側壁に凸部12b及び凹部12aからなるグレーティング構造12、上部に凸部13b及び凹部13aからなる溝状グレーティング構造13を有するコア10を形成することができる。
さらに、図28に示すように、CVD装置等を用いて適切な厚さで上部クラッド17(例えばSiO )を堆積させる。コア10上に堆積された上部クラッド17の厚さは、下部クラッド16の上に堆積された上部クラッド17の厚さと異なることがある。必要に応じて、基板15からの高さが揃うように化学機械研磨(CMP)等により平坦化工程を行なうこともできる。
(実施例2)
図20A〜Cに示した構造の、窒化ケイ素(SiN)をコア、シリカガラス(SiO )をクラッドとする、光導波路のコア側壁とコア上部にそれぞれグレーティング構造を有する偏波無依存型の基板型光導波路の光分散補償器を設計し製作した。
図20Cの構造に従って光導波路の断面構造を設計し、図23に示すように光導波路の実効屈折率に対する in out との対応関係を求めた。
続いて、グレーティングパターンの設計を行った。設計中心周波数を188.4THzとした。すなわち、設計中心波長は1591.255nmである。L−Bandで100GHzチャネル間隔、チャネル帯域50GHzで45チャネルにわたってITU−T G.653に規定された分散シフトシングルモード光ファイバ(DSF)100kmの群遅延分散及び分散スロープを補償するものとし、補償対象光ファイバ線路の光学特性として、群遅延分散−295ps/nm、分散スロープ(Relative Dispersion Slope,RDS)が0.018/nmを想定した。チャネル帯域内での振幅強度反射率を95%とした。これら設定値に基づいて用意した複素反射スペクトルr(λ)の反射率スペクトルを図4及び図5に、また群遅延スペクトルを図6及び図7に示す。これを、素子全長18,000λ、z位置の離散化刻みをλ/40に設定して、上記用意したスペクトルが得られるように逆散乱問題を解き、ポテンシャル分布q(z)を求めた。結果を図8及び図9に示す。
続いて、図23で光導波路寸法を設計した実効屈折率範囲の中央付近から選択して、参照屈折率(平均実効屈折率) av を1.935とし、中心波長に対応する周波数を188.4THz(すなわち中心波長1591.255nm)として、ポテンシャル分布q(z)を実効屈折率分布 eff (z)に変換した。
得られた実効屈折率分布 eff (z)と、図23に示された eff (z)及び out の関係とから光導波路のコア幅を決定した。また、得られた実効屈折率分布 eff (z)と、図23に示された eff (z)及び in の関係とから溝状構造の寸法を決定した。
設計された溝状構造の寸法に基づいて図32に示す第1の位相シフト型フォトマスクと、図33に示す第2のバイナリ型フォトマスクとを製作し、これらフォトマスクを用いて溝状構造を形成した。溝状構造の形成は、充填する上部クラッドの一部のみを溝部充填体18として先に作製し、その両側方に光導波路コア用高屈折率材料を後から堆積する方法を取ることにより実施した。
そのため、コア材料から見てグレーティング構造の凸部となる部分が、溝部充填体の凹部に相当し、またコア材料から見てグレーティング構造の凹部となる部分が、溝部充填体の凸部に相当する。つまり、ライン幅とスペース幅とが逆転した関係となっていることに注意が必要である。ステッパー露光装置には、波長248nmのものを用いた。
溝部充填体を形成した段階で、得られた溝部充填体を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、設計どおりの溝部充填体が形成されていることを確認できた。
また、設計された光導波路寸法(コア幅)に基づいて図16に示す第1の位相シフト型フォトマスクと、図17Aに示す第2のバイナリ型フォトマスクとを製作し、これらフォトマスクを用いて側壁グレーティング構造を有する光導波路を製作した。ステッパー露光装置には、露光に用いる光の波長が波長248nmのものを用いた。
得られた光導波路を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、コア側壁に設計どおりのグレーティング構造が形成されていることを確認できた。
<基板型光導波路デバイスの第3実施形態>
図35に基板型光導波路デバイスの第3実施形態の断面図を示す。この基板型光導波路デバイス20は、光学特性を可変とするための内側コア21,22と、光学特性の偏波依存性の問題を解消するための外側コア24とを備えた二重コア構造を採用している。
この二重コア構造は、基板25上に形成された下部クラッド26上に存在する。複合コアの上部および両側方は、上部クラッド27で覆われている。上部クラッド27および下部クラッド26は、二重コア構造の平均屈折率よりも低い材料から構成される。上部クラッド27の材料と下部クラッド26の材料は、同じでも異なっても構わない。
内側コア21,22は、中央ギャップ23を介して2つの部分に分けられ、それぞれがリブ21b,22bとスラブ21a,22aとを有する。
外側コア24は内側コア21,22の上に配置されている。外側コア24の屈折率は、内側コア21,22の平均屈折率よりも低い。図35には現されていないが、外側コア24の側壁24b及び上面24aの溝状構造24cには、それぞれ図20A〜Cのコア10と同様な側壁グレーティング構造及び上部溝状グレーティング構造が形成されている。具体的には、外側コア24のコア幅 out を周期的に変化させた側壁グレーティング構造と、外側コア24の上面24aに形成された溝状構造24cの横幅 in を周期的に変化させた上部溝状グレーティング構造を備えている。
本実施形態の光導波路デバイス20の製造方法は、下部クラッド26と外側コア24の間に内側コア21,22及び中央ギャップ23を形成する点を除き、第2実施形態の光導波路デバイスの製造方法と同様である。
まず、支持基板25となるシリコンウエハ上に、下部クラッド26となるSiO 膜と、内側コア21,22となる薄膜シリコン層を形成する。この工程は、シリコンウエハ上にBOX層と呼ばれる熱酸化膜等のSiO 膜と、その上に形成された薄膜シリコン層とを有する市販のSOI(Silicon on Insulator)ウエハを用意することで代替することが可能である。
SOI層のシリコンをフォトリソ工程及びエッチング工程で適切にパターン形成し、不純物元素(ドーパント)のインプラント処理によってP型半導体領域及びN型半導体領域を形成する。半導体からなる高屈折率コアに導電性を付与する不純物(ドーパント)は、母体媒質に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、母体媒質がシリコン等のIV族半導体材料である場合は、P型導電性を与える添加物としてホウ素(B)等のIII族元素が、また、N型導電性を与える添加物としてリン(P)や砒素(As)等のV族元素が用いられる。
また、一部にはSOI層のシリコンに微細な溝をパターン形成してSiO を堆積させ、リーク電流を低減するナノギャップ絶縁構造としても良い。内側コア21,22は、外部から電圧を印加してキャリアプラズマ効果により屈折率変化を生じさせ、光学特性可変機能を実現することができる。必要に応じてナノギャップ絶縁構造となる中央ギャップ23を形成し、続いてフォトリソ工程及びエッチング工程により内側コア21,22のシリコンリブ21b,22b及びシリコンスラブ21a,22aの形状を加工する。
内側コア21,22の形成後、外側コア24を形成する。上述した第2実施形態の場合、図24の第1の高屈折率材料層10aは下部クラッド16上に形成されるが、本実施形態の場合、外側コア24の材料となる高屈折率材料層が内側コア21,22の上に形成される。その後、図24〜図27に示す方法と同様の工程により、側壁グレーティング構造と上部溝状グレーティング構造を有する外側コア24を作製することができる。また、外側コア24の上部及び両側方に上部クラッド27となるSiO を堆積させる。また、必要に応じ内側コア21,22に電圧を印加するための金属接続や電極パッドを形成する。
本発明により製造される光導波路デバイスは、グレーティング構造の全体にわたり、各ピッチ が、( −P)/ΔP=Nを満たすという特徴を有する。ここで、Pは所定のピッチ基準値であり、ΔPはPをMで除した値であり、Mは所定の1より大きい整数値であり、Nは整数である。
その一具体例として、上述した図8及び図9に示すポテンシャル分布q(z)を、後述する実施例3の構造に基づき実効屈折率分布 eff (z)に変換した結果を図38及び図39に示す。図38は、光導波路デバイス全長約12.2mmに対応する全体図であり、図39は、そのうち3.308mm付近の拡大図である。
図38及び図39に示す実効屈折率分布 eff (z)を、一定振幅が続く凸部と一定振幅が続く凹部とが急峻な(段階的な)変化で交互に繰り返される単純化されたグレーティング構造となるよう積分した(平均化した)。このようにして得られたグレーティングピッチの分布を図40及び図41に示す。
図40及び図41に示すように、本発明のグレーティング構造は、凸部及び凹部における光導波路寸法(コア幅、溝幅)が不均一であり、グレーティングピッチはある限定された離散値をとるという特徴を有する。
図40及び図41は、素子長約12.2mm、グレーティング周期約36,000の光分散補償素子のグレーティングピッチの分布の一例である。これは参照屈折率(平均実効屈折率) av を2.348とし、中心波長λcを約1591nmとしてL−Band用に設計して光導波路寸法を算出した事例であり、主たるグレーティングピッチPはP=λc/( av ×2)=339nmとなっている。
逆散乱問題を解きポテンシャル分布q(z)を求めた際のz位置の離散化刻みとしてλ/40に細分化したので、Mは20であり、ΔP=P/M=17nmである。図40には、P−10ΔP、P−6ΔP、P−5ΔP、P−4ΔP、P−3ΔP、P−2ΔP、P−ΔP、P、P+ΔP、P+2ΔP、P+3ΔP、P+4ΔP、P+5ΔP、P+6ΔP、P+7ΔP、P+8ΔPに対応するグレーティングピッチ169nm、237nm、254nm、271nm、288nm、305nm、322nm、339nm、356nm、373nm、390nm、407nm、424nm、441nm、457nm、474nmの存在が観測されている。P−11ΔP以下及びP+9ΔP以上のグレーティングピッチ及び、P−9ΔP、P−8ΔP、P−7ΔPに対応するグレーティングピッチ186nm、203nm、220nmは存在していない。
図41には、全長約12.2mm(図40)の中の3.308〜3.318mmの範囲を拡大して示す。この範囲は、上述した図13〜16、図17A、図29〜32及び図33に示した4つのフォトマスクのパターンの一部を表示した範囲に対応するものである。この領域では多くのピッチがPに対応する339nmとなっており、一部のピッチがP−ΔPに対応する322nmとなっている。
なお、一般的な設計事例ではPが一番多く、続いてP±ΔPが多い。この3種類が主たるピッチであって、以降P±NΔPの整数値Nが大きくなるに従って該当するグレーティングピッチの出現頻度が減少していく傾向を示す。本明細書には示していないが、例えば単チャネル光フィルタの設計事例ではほとんどすべてのグレーティングピッチがPであり、P±ΔPがわずか数個観測され、Nが2以上となるP±NΔPは出現しない、という事例もある。また、実施例3でもP−9ΔP、P−8ΔP、P−7ΔPのピッチが出現していなかった。また、他の光分散補償器の設計事例でPが全く観測されず、P±ΔPの2種類のピッチがほぼ同数で主たるピッチとなっている事例も観測された。
このように、ピッチが限られた数(少ない数)の離散値を取ることは、CMOS製造工程における加工精度を維持する上で有効である。CMOS製造工程においては、DICD(Development Inspection Critical Dimension)やFICD(Final Inspection Critical Dimension)など、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて寸法測定を実施するのが一般的な工程管理手法であり、チャープ型グレーティングのように徐々に変化するピッチを有する構造ではピッチ精度を管理することは困難であるが、本件発明のように少数の離散値からなるピッチを有する構造や、等ピッチ型のように唯一のピッチを有する構造では工程管理が容易である。
(実施例3)
図35に示した構造の、シリコン(Si)を内側コア、窒化ケイ素(SiN)を外側コア、シリカガラス(SiO )をクラッドとする、基板型光導波路の光分散補償器を設計し製作した。
図35の構造に従って光導波路の断面構造を設計し、図36Aに示すようにTE型偏光(mode1)およびTM型偏光(mode2)に対する実効屈折率の in 依存性を、図36Bに示すように in out との関係を、図37に示すように光導波路の実効屈折率に対する in out との対応関係を求めた。
光導波路構造の設計に当たり、採用した各部の材質及び寸法は、以下のとおりである。内側コア21,22をシリコン(Si)、中央ギャップ23をシリカガラス(SiO )、外側コア24を窒化ケイ素(SiN)、基板25をシリコン(Si)、下部クラッド26をシリカガラス(SiO )、上部クラッド27をシリカガラス(SiO )で構成した。また、各部寸法は、 =250nm、 =50nm、 =280nm、 =160nm、 out =600nm、 in =100nm、下部クラッド26の厚みを2000nm、上部クラッド27の最大厚み(スラブ21a,22a上の厚み)を2000nmとした。
グレーティングパターンの設計は、ポテンシャル分布q(z)を算出する設計工程までは、実施例1や実施例2と同一である。続いて、図37の横軸に示す実効屈折率範囲 eff の中央付近から選択して、参照屈折率(平均実効屈折率) av を2.348とした。また、L−Band用のデバイスとして、中心波長に対応する周波数を188.4THz(すなわち中心波長1591.255nm)に設定して、図8及び図9に示すポテンシャル分布q(z)を図38及び図39に示す実効屈折率分布 eff (z)に変換した。
得られた実効屈折率分布 eff (z)と、図37に示された eff (z)及び out の関係とから光導波路のコア幅を決定した。また、得られた実効屈折率分布 eff (z)と、図37に示された eff (z)及び in とから溝状構造の寸法を決定した。
設計された溝状構造の寸法に基づいて図32に示す第1の位相シフト型フォトマスクと、図33に示す第2のバイナリ型フォトマスクとを製作し、これらフォトマスクを用いて溝状構造を形成した。溝状構造の形成は、充填する上部クラッドの一部のみを溝部充填体として先に作製し、その両側方に光導波路コア用高屈折率材料を後から堆積する方法を取ることにより実施した。
溝部充填体形成工程により得られた溝部充填体を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図42及び図43に示すように、SiO からなる溝部充填体に設計どおりの溝状グレーティング構造の相補的な構造が形成されていることを確認できた。
また、設計された光導波路寸法(コア幅)に基づいて図16に示す第1の位相シフト型フォトマスクと、図17Aに示す第2のバイナリ型フォトマスクとを製作し、これらフォトマスクを用いて側壁グレーティング構造を有する光導波路を製作した。ステッパー露光装置には、露光に用いる光の波長が波長248nmのものを用いた。
得られた光導波路を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図44及び図45に示すように、SiNからなる外側コアに設計どおりの側壁グレーティング構造が形成されていることを確認できた。
1,10…コア、1a,10a,10b…高屈折率材料層、2,12…側壁グレーティング構造、2a,12a…凹部、2b,12b…凸部、13…溝状グレーティング構造(溝状構造)、13a…凹部、13b…凸部、3,11…上面、4,14…底面、5,15,25…基板(支持基板)、6,16,26…下部クラッド、7,17,27…上部クラッド、17a…低屈折率材料層、18…溝部充填体、18a…凹部、18b…凸部、20…基板型光導波路デバイス、21,22…内側コア、21a,22a…スラブ、21b,22b…リブ、23…中央ギャップ、24…外側コア、24a…上面、24b…側壁、24c…溝状構造、50…溝部充填体用のフォトレジストパターン、60…側壁用のフォトレジストパターン。

Claims (8)

  1. 光導波路のコアが、前記コアの幅が広い部分である凸部と、前記コアの幅が狭い部分である凹部とを、前記コアの長手方向に沿って交互に有するグレーティング構造を有し、前記凸部におけるコアの幅及び前記凹部におけるコアの幅が不均一である基板型光導波路デバイスの製造方法であって、
    高屈折率材料からなり前記凸部及び前記凹部を有する前記コアの少なくとも一部を構成する高屈折率材料層を形成する高屈折率材料層形成工程と、
    前記高屈折率材料層の上に、フォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
    位相シフト型のフォトマスクである第1のフォトマスクを用いて、前記凹部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凹部におけるコアの幅に実質的に等しく、前記凸部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凸部におけるコアの幅よりも大きい遮光領域を前記フォトレジスト層上に形成し、前記遮光領域の外側において前記フォトレジスト層を露光する第1の露光工程と、
    バイナリ型のフォトマスクである第2のフォトマスクを用いて、前記凹部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凹部におけるコアの幅よりも大きく、前記凸部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凸部におけるコアの幅に実質的に等しい遮光領域を前記フォトレジスト層上に形成し、前記遮光領域の外側において前記フォトレジスト層を露光する第2の露光工程と、
    前記フォトレジスト層を現像する現像工程と、
    前記現像工程により得られたフォトレジストパターンを用いて前記高屈折率材料層をエッチングして前記凸部及び前記凹部を形成するエッチング工程と、
    を有することを特徴とする基板型光導波路デバイスの製造方法。
  2. 前記コアの長手方向に沿って隣接する前記凸部の長手方向の長さと前記凹部の長手方向の長さとの合計値として定義されるピッチが、不等間隔ピッチかつ非チャープピッチであることを特徴とする請求項1に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
  3. 前記グレーティング構造の全体にわたり、各ピッチ が、( −P)/ΔP=Nを満たすことを特徴とする請求項2に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
    ただし、ここで、Pは所定のピッチ基準値であり、ΔPはPをMで除した値であり、Mは所定の1より大きい整数値であり、Nは整数である。
  4. 前記グレーティング構造における主たるピッチにおいて、前記Nが、+1、−1または0のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
  5. 前記凸部におけるコアの幅、前記凹部におけるコアの幅、及び前記ピッチは、所望の光学特性を入力して用いる逆散乱問題を解くことによって設計することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
  6. Zakharov-Shabat方程式を用いて前記逆散乱問題を解くことを特徴とする請求項5に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
  7. 前記凸部におけるコアの幅、前記凹部におけるコアの幅、及び前記コアの長手方向に沿って隣接する凸部の長手方向の長さと凹部の長手方向の長さとの合計値として定義されるピッチは、所望の光学特性を入力して用いる逆散乱問題を解くことによって設計することを特徴とする請求項1に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
  8. Zakharov-Shabat方程式を用いて前記逆散乱問題を解くことを特徴とする請求項7に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
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