JP4824460B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
この従来技術では、拇指と示指との間を指間当接部(7)に当接させて、安定して筆記具を支えることができるとされている。
すなわち、人の手の形状は指先から指元にかけて次第に厚みを増し、更に手首にかけても厚みを増すような形状を呈しているため、その複雑な手の形状に対し、軸筒を良好にフィットさせるためには、より高度な工夫を凝らす必要があった。
また、特許文献1には記載されていないが、通常の筆記具では軸筒の後端側にクリップ部が設けられている。このクリップ部が手や指に干渉して、使用者に違和感を与えてしまう場合もある。
第一の発明によれば、当該筆記具が通常の筆記姿勢で把持されると、把持部が拇指、示指、中指の3本の指により把持され、指間当接部が、拇指と示指の間の部分により受けられる。なお、前記拇指と示指の間の部分とは、拇指の付け根側部分から示指の付け根側部分にわたる範囲のことであり、この部分は、把持する人の姿勢により、拇指寄り側であったり、示指寄り側であったり、あるいは拇指と示指との略中央近傍であったりする。
この筆記姿勢において、指間当接部は、使用者の拇指と示指の間の部分に対し、傾斜溝を嵌め合わせるとともに、該傾斜溝よりも後方側の傾斜環状突部を当接させる。
特に、後方へ向かって漸次深くなるとともに軸方向寸法が拡大する凹曲面状の傾斜溝が、後方へかけて次第に厚みを増す使用者の拇指と示指の間の部分に対し、前後へわたる比較的広い面積で接触することになる。
そのため、使用者に対し良好なフィット感を与えることができる上、使用者が握力を緩めた際には、当該筆記具が手からずれ落ちてしまうのを傾斜環状突部によって防ぐことができる。
しかも、使用者の手が比較的大きい場合や、使用者の把持箇所が後寄りである場合にも、傾斜溝が後方へ向かって漸次深くなるとともに軸方向寸法が拡大する凹曲面状であるため、この傾斜溝の後寄りの深く広い凹曲面状の部分を、使用者の拇指と示指の間の部分に、良好にフィットさせることができる。
よって、手の形状や握り方等の個人差に拘わらずに、使用者に対し良好なフィット感を与えることができ、ひいては疲労感の少ない筆記具を提供することができる。
すなわち、拇指と示指と中指との各々において、指先側当接面に接触する部分は、縦断面凸曲線状を呈する。この縦断面凸曲線状の各指と、縦断面凹曲線状の指先側当接面とが、比較的広い面積で接触し合うため、使用者に対し良好なフィット感を与えることができる。
すなわち、筆記具が拇指、示指、中指の3本の指により把持される際、その把持箇所は、使用者により、把持部の前端寄りである場合、把持部の中央付近である場合、把持部の後端寄りである場合等がある。
本発明によれば、使用者が把持部の前端寄りや後端寄りを把持した際にも、その使用者の指に対し補助指先側当接面を当接させることで、その使用者に対し良好な把持感触を与えることができる。
しかも、補助指先側当接面が指先側当接面に対し周方向へずれて配置されているため、補助指先側当接面を把持する使用者は、その把持位置を把握し易く、安定した把持位置で筆記を行うことができる。
すなわち、仮に傾斜環状突部を別部材により形成した場合には、傾斜環状突部と他の部分との間に段差が生じてしまう場合があり、この段差が使用者に違和感を与えてしまう。
しかしながら、本発明によれば、傾斜状環状突部を二重成形により形成しているため、該傾斜状環状突部と他の部分との段差を殆ど生じることがなく、使用者に違和感を与えることがない。
しかも、前記のような段差を生じないため、軸筒外周面における外観上の体裁も良好である。
本発明に係わる筆記具Aは、軸筒10の前側に把持部10aを設けるとともに該把持部10aよりも後側に指間当接部10bを備え、後端側のノック部a1のノック操作により、軸筒10前端に接続された先口a2の先端から筆記先端部a3を出没させるように構成してある。
この軸筒10の前側外周面には、グリップ15を環状に装着することで、把持部10aが構成されている。
また、この軸筒10の後側外周面には、後述する傾斜環状突部11及び傾斜溝12からなる指間当接部10bや、小径部13、クリップ14等を一体的に形成している。
なお、軸筒10は、図示例によれば前軸と後軸等の複数の筒体から構成しているが、当該筆記具Aの略全長にわたる一体筒状の部材としてもよい。
グリップ15は、略筒状に成形され、その軸方向における中央側に指先側当接面15a,15a,15aを配設し、これら指先側当接面15a,15a,15aの前後に、補助指先側当接面15b,15cを配設している。
このグリップ15は、例えばエラストマー樹脂等の軟質合成樹脂材料や合成ゴム材料等であって、好ましくはゴム硬度が5〜40度、詳しくは15度程度の極軟質な材料から形成されることで、使用者に対する把持感触を良好にしている。
より詳細に説明すれば、各指先側当接面15aの表面は、図4(b)に示すように、軸方向の一方側から他方側へかけて凹曲線状となるように形成されている。
また、三つの指先側当接面15a,15a,15aの横断面形状は、図5(II)に示すように、各辺部分を遠心方向へ突曲させた略三角形状において、その各頂点部分を削った形状を呈する。図5(II)によれば、遠心方向へ突曲した各辺部が指先側当接面15aであり、周方向に隣り合う指先側当接面15a,15aの間の部分が、後述する補助指先側当接面15bに連続する部分である。
これら三つの補助指先側当接面15b,15b,15bの横断面形状は、上記指先側当接面15a,15a,15aと略同様に、図5(III)に示すように各辺部分を遠心方向へ突曲させた略三角形状において、その各頂点部分を削った形状を呈する。図5(III)によれば、遠心方向へ突曲した各辺部が補助指先側当接面15bであり、周方向に隣り合う補助指先側当接面15b,15bの間の部分が、上記指先側当接面15aに連続する部分である。
これら三つの補助指先側当接面15c,15c,15cの横断面形状は、上記指先側当接面15a,15a,15aと略同様に、各辺部分を遠心方向へ突曲させた略三角形状を呈する(図5(I)参照)。
換言すれば、この傾斜環状突部11は、筆記具Aの軸心に対し傾斜するとともに(図3(a)参照)、遠心方向へ環状に突出するように形成されている。
この傾斜溝12は、傾斜環状突部11に沿う斜め後方へ向かって、漸次深くなるとともに軸方向寸法wが漸次拡大する凹曲面状に形成されている。
図示例の傾斜溝12について、より詳細に説明すれば、この傾斜溝12の最前端部の表面は、図3(a)に示すように、リング部材16の外周面と略面一に形成されている。
そして、この傾斜溝12の前記最前端部以外の表面は、リング部材16の外周面よりも求心方向側に位置し、斜め後方へ向かって徐々に深くなるとともに軸方向寸法wを徐々に拡大している。
クリップ部14は、上記三つの指先側当接面15a,15a,15aの内の一つに対し周方向の位置を略一致させて配置され、更に図示した好ましい一例によれば、傾斜溝12の最浅部12b(図3(a)参照)の位置に対しても略一致するように配置されている。
前記のようなクリップ部14の配置は、使用者が当該筆記具Aを通常の筆記姿勢で把持した際に、クリップ部14が使用者の拇指示指間に触れ難い周方向位置となるように考慮された配置である(図7参照)。
また、このクリップ部14の先端側の裏面には、玉部14aが突設されている。この玉部14aは、小径部13外周面の補助玉部17と協働して、該クリップ部14内側に挟まれた際の被挟持物が容易に抜けないようにする。
図示例の軸筒10は、把持部10aの軸心側部分を構成する前軸(図示せず)と、指間当接部10bを有する後軸30(図6参照)とを、軸方向に螺合接続してなる。
後軸30は、有色の合成樹脂を成形する第一成形工程と、透明の合成樹脂材料を成形する第二成形工程とによる二重成形によって形成されている。なお、この後軸30の他例としては、第一成形工程で透明の合成樹脂材料を成形し、第二成形工程で有色の合成樹脂材料を成形したり、第一及び第二成形工程とも、有色または透明の合成樹脂材料を成形したり等することも可能である。
すなわち、図6に示す後軸30の一例によれば、先ず前記第一成形工程として、基部30−1が成形される。
次に、その基部30−1の外周に、前記第二成形工程として、傾斜環状突部構成部30−2、クリップ構成部30−3が成形される。
傾斜環状突部構成部30−2は、傾斜溝12の後半部と傾斜環状突部11と補助玉部17とを一体にした合成樹脂体である。
クリップ構成部30−3は、クリップ部14と尾端部18とを一体にした合成樹脂体である。
上記のようにして二重成形された後軸30によれば、基部30−1と傾斜環状突部構成部30−2との間、及び基部30−1とクリップ構成部30−3との間に、それぞれ段差を殆ど生じないため、軸筒10の把持感触を良好にすることができる。
しかも、有色合成樹脂材料である基部30−1の周囲に、透明合成樹脂材料である傾斜環状突部構成部30−2及びクリップ構成部30−3が一体に構成されるため、意匠上の体裁にも優れている。
この際、各指先側当接面15aの表面は、縦断面凹曲線状の曲面であるため、各指に対し良好にフィットする。
しかも、クリップ部14が周方向において使用者の拇指示指間に接触し難い位置に配置され、且つ該クリップ部14の遠心方向への突出寸法を小さくしているため、筆記姿勢においてクリップ部14が拇指示指間に接触することが少なく、ひいては、使用者に対し違和感を与えるようなことを防ぐことができる。
図8は、当該筆記具A、比較例1、比較例2の各々について、被験者10名に対し20行の文字を筆記させ、その筆記時における短拇指屈筋、背側骨間筋、深指屈筋の筋活動量を、筋電図測定器により測定し、その測定値を平均化して、図表にあらわしたものである。
比較例1は、傾斜環状突部11及び傾斜溝12の無い従来の筆記具である。
比較例2は、当該筆記具Aにおいて傾斜環状突部構成部30−2を省いた形状にするとともに、外周面が単純な円筒状のグリップを用いた筆記具である。
また、図8中上段の表に示す数値は、筋電図測定器による筋電位波形について、一定の時間範囲の筋電位信号を二乗し、範囲内の平均を求めた後、平方根をとった量(RMS値)を、被験者毎に標準化したものである。この標準化点が大きい程、筋活動量が大きく、筋負担度も大きいという評価になる。
また、図8中下段の表に示すグラフは、当該筆記具A、比較例1、比較例2の各々について、上段表中の合計値を、棒グラフ化したものである。
図8に示す表及びグラフによれば、当該筆記具Aにおける筋活動量が、比較例1及び2と比較し、顕著に低いことがわかる。このような効果は、傾斜環状突部11、傾斜溝12、及びグリップ15等の特徴的な構成により、当該筆記具Aと使用者の拇指示指間との接触面積が増えたことに起因するものと考えられる。
この図9における比較例1及び2は、図8の実験に用いたものに対応する。
この図9に示す表及びグラフによれば、当該筆記具Aの使用感が、比較例1及び2と比較し、顕著に良好であることがわかる。このような効果は、傾斜環状突部11、傾斜溝12、及びグリップ15等の特徴的な構成により、当該筆記具Aと使用者の拇指示指間との接触面積が増え、そのことに起因して、使用者がリラックスした状態で当該筆記具Aを把持したためと考えられる。
10a:把持部
10b:指間当接部
11:傾斜環状突部
12:傾斜溝
13:小径部
14:クリップ部
15:グリップ
15a:指先側当接面
15b,15c:補助指先側当接面
A:筆記具
w:軸方向寸法
Claims (7)
- 軸筒の前側に把持部を設けるとともに該把持部よりも後側に指間当接部を設けるようにした筆記具であって、
前記指間当接部は、非同一円周上において遠心方向へ環状に突出する傾斜環状突部と、該傾斜環状突部に沿うようにして該傾斜環状突部の前側に配設された傾斜溝とからなり、
前記傾斜溝は、前記傾斜環状突部に沿う斜め後方へ向かって、漸次深くなるとともに軸方向寸法が漸次拡大する凹曲面状に形成されていることを特徴とする筆記具。 - 上記把持部は、表面が縦断面凹曲線状の曲面である指先側当接面を、周方向において略等間隔に三つ配設してなることを特徴とする請求項1記載の筆記具。
- 上記把持部は、上記指先側当接面よりも前側の部位と後側の部位との内、その一方又は双方に補助指先側当接面を備え、
この補助指先側当接面は、周方向において略等間に三つ設けられるとともに、
上記指先側当接面に対し周方向へ角度をずらして配置されていることを特徴とする請求項2記載の筆記具。 - 上記傾斜環状突部よりも後方側に、上記傾斜環状突部の外径よりも小径の略円筒状の小径部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の筆記具。
- 上記小径部に、クリップ部を配設したことを特徴とする請求項4記載の筆記具。
- 上記クリップ部の周方向の位置を、上記三つの指先側当接面の内の一つの周方向位置に略一致させたことを特徴とする請求項5記載の筆記具。
- 上記傾斜環状突部が二重成形により設けられていることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の筆記具。
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