本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の認証装置の概略図である。本体100には、上面に、指102を置く場所を直感的に把握しやすい形で提示する溝状の造形があり、その溝の左右の一方に光源114が、他方に撮像センサ(カメラ)112が対向配置されている。この溝は、本認証装置がユーザから目視しづらい場所に設置された場合には、手探りで指を置くべき位置を確認できるようにするための立体的なガイド機構としての役目を果たすと同時に、指を置いたときの下半面分が隠れる程度の低い遮光側壁としての機能も持ち,低位置から差し込む外光については,それを物理的に遮ることができる。光源114は装置内部にあり、上面がカバーされ、光源開口部108を通して、溝上に置かれた指に向けて照射される。光源部上面のカバーは、所望の照射方向外に拡散した光が、認証指以外の指や掌に反射して、外乱光として撮像に影響を与えるのを抑える役割も果たす。溝に合わせて、指の腹側が溝の底面側を、背側が溝の開放された側を向くように指を置くと、指先にあたる部分には、指先の腹側の形状にフィットするような半円状の窪み104があり、指先の位置が試行ごとに大きくずれないように誘導する役目を果たす。ずれが大きくなると、撮像される静脈の範囲も連動してずれ、静脈のパターンの変化が大きくなり、同じ指でも同一と判定できにくくなるためである。一方、指の根元側に近い側には、半円状の指置き台106が設けられ、指を置いたときに、指が半円の最も低い位置で指が定まりやすいことを利用して、104同様に指の位置や傾きが試行ごとに安定するよう誘導する機能を有する。また、窪み104には、ボタンスイッチ118を設けることもでき、押すことで、認証自体、もしくは認証と一緒に何らかの制御を行うためのタイミングを、ユーザが主体的に指示するために使用できる。また、指の先端から第1関節にかけての部位を中心とする部分に面するように撮影開口部110が位置し、その奥に位置するカメラ112から指が撮影できるようになっている。このカメラは、CCD等の撮像素子とレンズとが一体になった一般的なカメラでも良いし、薄い平面センサでも構わない。平面センサを利用する場合には、カメラ112を覆う上面カバーは、平面センサが収まるだけの薄さで良く、ちょうど撮影開口部110だけが、平面センサ分の厚みを持って壁のように立っているのに近い形態が実現できる。光源も同様にLED等の薄型のものを採用すれば、指置きガイドとしての溝は、ちょうど薄い壁に挟まれたように形成される。この場合、特に中指の指先を認証に利用する際には、人差し指・中指・薬指の指先を無理に開くことなく自然に3本揃えて置くことができ、指が長軸方向を軸として回転することを防ぎ、安定した認証を可能にする。ただし、上述のように指の第一関節までの先端部分のみを認証に利用する本発明においては、カメラや光源を覆うカバーが若干大きめでも、カバーを挟んで3本並べることは容易である。指の根元まで認証対象部位とする従来方式では、指がその根元を中心点にして可動する構造のために、隣り合う指どうしが根元に近いほど接近し、カバーが大きいと、その根元部分で障害になって、指を並べて置くことは非常に困難になる。
ここで、撮影開口部110は、本図では、指先置き用の治具104より根元側に近い箇所から開いているように記載しているが、その位置や幅については特に限定されるものではなく、逆に指の長軸方向については、できる限り広い範囲が撮れたほうが、静脈パターンが広範囲に得られるなど有利である。特に、指先まで確実に画像として取得できると、指の先端の位置からの相対位置情報を用いて、撮像対象部位を一意に決めやすく、認証精度の向上に資することができる。但し、この場合、指先側の指置き治具の窪みが撮影上問題になることがある。カメラ側から指先を撮影した場合、窪み104を取り囲む外周部分の陰になって、窪みに収まった指の一部が見えなくなるためである。そのため、カメラ側については、窪みの深さが浅めになって、指先を定位置に導く効果が低下する副作用はあるものの、外周部分を低くして、少しでも指先部分の撮影欠落面積を減らすような工夫をしてもよい。一方、カメラ112には、近赤外領域の波長だけを通すフィルタが装着され、可視光領域の光による撮像画像への影響を抑え、血管静脈パターンを鮮明に撮影する。光源114の光がカメラ112に漏れ出すのを防止するため,遮光隔壁116を設けている。撮影開口部110は、光源開口部108とともに、光源の波長領域に対して透明なガラスやアクリル板で覆われ、光は通しつつ、認証装置内部に異物が入り込むのを防止する。上記ガラスやアクリル板の替わりに、近赤外領域の光のみ通す光学フィルタの板を用いることで、装置保護と可視光除去の二つの機能を一枚の板にまとめることもできる。これによって、可視光がカットされるので、光源などの内部の部品を見えにくくする美的配慮も達成される。さらには、筐体を光源開口部や撮影開口部も含め、光学フィルタ素材で一体的に作っても構わない。
図1を断面図として説明すると以下の通りである。撮影開口部110は、指の撮像対象面、あるいはそれを含む指全体を、できる限り広く撮影するために、光源開口部108に比べて、大きめに設定している。また、指の撮像面の下側には空間を設け、指の下部が装置筐体の一部に触れることで静脈が圧迫され、静脈パターンが変形したり、映りにくくなったりするのを防いでいる。一方で、指の撮像面とは反対側の面、すなわち光源側の面には、指の下部に近接する形で筐体の底面116が位置している。また、光源開口部108は、指の背面側寄りの高い位置に小さめ、特に、高さ方向に短めとなるように設けられ、指の背面側に近い部分によく光が照射され、逆に指の腹面側に光が進行しないように制御する遮光手段の役割も果たす。光源開口部108から出た光は、指の表面で一部は反射し、さらに筐体の壁面でさらに反射するなどして、腹面側に回り込む。この回り込んでくる光を底面116によって抑制する。108から116にかけての筐体構成部品には、吸光塗料や吸光材料・吸光加工等を施し、反射によって光が腹面側へと進行するのを妨げると、さらに効果的である。また、116を指の断面の曲面に合わせて、指置きの溝の中心から光源開口部に向けて上昇する形状にすると、回り込んだ光が直線的に進行して強い光のままカメラ側に届くのを抑制することができる。116に吸光効果を持たせることで、回り込んだ光が反射を多数回繰り返しながら進行するうちに、光が減衰することも期待できる。尚、このとき、指自体は、図1の指置き台104、106によって底面116からは浮いた状態に誘導され、指との筐体との接触面積を最小限に抑え、ユーザの衛生面等への不安にも対応可能である。また、116を含む、光源開口部108と撮影開口部110の間の底面部分には、液晶パネル等の表示デバイスを配置することも可能である。これによって、指の置き方や置き位置を伝えるメッセージやイラスト・画像などを表示できる。表示デバイスには、通常は、時刻などの認証とは関係のない情報を表示しておくこともでき、認証の際に表示内容が変化して、指を誘導するガイドになる。指の向きや方向をそのまま表すようなイラストや画像であれば、指をその通りに重ねるだけで正しい位置で認証できるので、操作性の面でも有利である。指が正しく置かれた後は、表示の必要がないので、液晶自体やそのバックライト等の表示用光源があれば消灯し、認証の妨げとならないよう配慮する。あるいは、バックライトに近赤外波長域の光を利用し、認証に使えるようにしてもよい。
図1に示した構成では、カメラ112を斜めに配置し、指の側面からやや腹側寄りにかけての範囲を撮像することで、装置を薄型にすることが可能になっている。カメラを単純に水平に配置して、指の側面のみを撮影する場合、カメラが指の横にそのまま並ぶため、指の横に高い突起した構成部品が、カメラのサイズと撮影のための光路長分だけの幅をもって存在することになる。小型のカメラや平面型センサを用いれば幅の問題は緩和されるが、高さ方向については変わらないので、この高い突起物は、ユーザには圧迫感をもたらし、設置の際には、高さが問題となって狭い空間に収めることは困難になる。図1のように、カメラ112を斜めに配置することによって、カメラを真横に配置する場合に比べて、指より下側にもカメラの設置スペースが必要になるものの、指の横側に突起するカメラの高さは大幅に抑えられる。指より下側の部分については、認証操作のためには、必ずしも表に出ている必要はないので、取り付け場所の内側に埋め込むことで、表出部分の設置スペース自体は抑えられる。また、斜め配置のため、埋め込まれる部分の厚みも、先述の特開2004−265269号公報記載の方法のように、カメラがまるごと指の下側に配置される場合に比べれば小さく抑えられる。このように、カメラの斜め配置は、表出する部分と、埋め込まれる部分とで、それぞれ設置スペースを少しずつ分担するため、どちらか一方のみに負担がかかることがなく、バランス良く限られた空間を利用することができる。この配置方法は、光源114についても同様に適用でき、装置全体としては、カメラと指と光源とを結ぶ線が「∧」の字を構成するように並べるのが良い。
但し、この場合、カメラと指と光源とが一直線に並ばないという問題がある。静脈パターンの撮像にあたっては、指を挟んでカメラと光源が正対する場合に最も鮮明な画質が得られる。これは撮像対象面に対し、ちょうど真裏から光が来ると、光源の強すぎる直接的な光を指自体によって最も良く隠しつつ、静脈パターンを映し出す透過光は十分に強くできるためである。光源位置がずれる場合、指の断面は楕円形に近いため、側面ほど指の厚みは薄くなり、そこから光源が透けて見える場合の光の強度は非常に強くなる。また光源の位置が端に寄るほど、寄った側への光の回り込みは大きくなる。そこで、光源の光をレンズ等で集光して、カメラと指との延長線上に最も光が強く当たるように調整するのがよい。また、上述したように底面116の形状を工夫することによって、光源の強い光が回り込まないように遮光できる構造にすることも特に重要である。
図2は、本発明を実現するシステム構成の概略ブロック図の一例である。認証が必要になると、システムの電源が入り、光源114とカメラ112との間に、指102が挿入されるのに合わせて、静脈パターンの画像信号を取得する。カメラ112の画像信号は、画像入力器200によってデジタルデータに変換され、コンピュータ202の入出力インタフェース204を介してメモリ208に格納される。スイッチ118も同様に入出力インタフェースを介して接続され、オン/オフの状態がCPU206に対して通知される。CPU206は、カメラからの画像を定期的に処理して指を検知し,検知後は指部分の画質が最適となるように,カメラ112の感度や最適な光源114の光量を決めて,光量制御部216を制御し,最適画質が得られた時点で,静脈パターンを抽出,予め同様にして抽出され、登録された静脈パターンとの照合を行う。そして、その照合結果に基づき、結果を表示器210に表示したり、制御対象214に適切な信号を送って扉を開閉したり、といった各種制御を行う。これらの他にも,撮像部により撮像された静脈の撮像パターンと登録パターンとの照合結果に応じて様々な処理をさせることも可能である。キーボード212は、例えば、暗証番号などの、認証に関する補助情報を入力するなどに用いることができる。必要に応じてICカード等の外部情報機器を接続して利用することも,もちろん可能である。
図3は、カメラ112で撮影される指の静脈画像の一例を示す模式図である。本発明においては、指の撮影対象部位は、指の先端から第一関節までを中心とする長さ2センチメートル乃至3センチメートル程度の範囲とするのが好適である。従来の指静脈認証においては、指のほぼ全体を利用することが多かったが、それでは装置サイズの小型化には限界がある。また、単に指の一部分のみに対象範囲に狭めるだけでは、個人ごとの静脈パターンの違いが不明瞭になり、精度を低下させることにもなり得る。セキュリティ技術としては、精度を低下させることなく、小型化を実現することが望ましい。ここで、指先は、血管や神経が密集した部位であり、それゆえに人間は指先を使った細かな作業が可能になっている。このため、指先に近いほど、密集した複数の静脈が織りなす紋様が複雑になりやすい。特に、指先の側面は、背側のように爪に覆われておらず、また腹側に比べて皮膚が薄いので、静脈がよく透けて見えるため、鮮明な静脈パターンが得られやすい。この指先に近い側面部分のみを、指全体を撮影する方式と同程度の画像サイズになるよう拡大して撮影した静脈のパターンは、従来方式同様、個人を判別するのに十分な特徴を持つと考えられる。但し、密集した指先の静脈の中には、非常に細い静脈も多く、そのような細い静脈は、寒暖の変化や体調によって変動することも多い。そのため、指を撮影する際には、そのような変動の恐れのない十分な太さを持った静脈のみが映る程度の精細度や鮮明度で撮影したり、どうしても細い静脈まで映る場合には、取得した画像に対して平滑化フィルタ等を実施して細い静脈を除去したりすることで、安定な静脈のみを選択的に利用する。
指先の側面を認証の対象部位として利用する場合、撮像画像には、図3の模式図にも示した通り、爪150の湾曲した側面が映し出される。もしくは、爪の側面が映し出されるように敢えてカメラの画角を設定しても、認証に不具合は生じない。このとき、本発明のように、指の側面から光を透過させて撮影する方式では、爪の部分のほうが、指のそれ以外の部分の生体組織よりも光を通しやすいために、静脈パターンが見えるような強さで光を与えると、爪が特に明るく映し出され、爪の存在を容易に検出可能である。爪の位置と、静脈パターンの関係は、個人をさらに特徴づける情報となり得る。そのため、静脈パターンの一致だけでなく、静脈パターンと、爪の位置や形状、指の輪郭の形状等との相対的な位置関係まで一致することを条件にして照合を行うことで、より個人の特定精度が高まる。また、爪は生体組織の中では相対的に硬く、変形も少ないため、爪がどのように映し出されているかは、指の向きや回転を推し測る好適な判断材料となる。たとえば、爪が映っていなければ、爪が光源側を向くような指の置き方をしていると推測でき、逆に爪の映っている面積が大きければ、爪がカメラ側を向くような指の置き方をしていると予測できる。このとき、得られる静脈パターンは、2つの置き方で相互に大きく異なるため、同じ指であっても一致の判定ができないことになる。そこで、指の置き方を爪の映り方によって判定することで、指を正しく置き直すように指示するか、あるいは取得画像の変形・変換等によって補正できる場合には補正を行った上で照合する。これによって、認証の精度を高めることができる。
爪の判定の方法としては、たとえば、次のような手順で行う。まず指の輪郭を求める。輪郭の求め方は、エッジやそれらを追跡して線で結ぶ方法など、画像処理の様々な公知の方法が利用できる。求めた輪郭について、指の背側を辿る輪郭線に着目し、その指先側に、輝度が一定値以上で連続的に広がる明るい領域があるかどうかを調べる。あれば、その領域の面積を求め、それが所定閾値以上であれば、爪があると判定できる。
続いて、上記で求めた爪領域から、指の置き方状態を判定するには、たとえば次のようにする。まず一つの方法は、爪の面積、もしくは指の先端部分に占める爪の面積比率が、一定範囲内に収まっていれば正常、少なければ光源側に回転、多ければカメラ側に回転していると判定するものである。もう一つは、静脈パターンの登録時に、求めた爪の面積を静脈パターンと一緒に記録しておき、認証処理時には、同様に検出した爪の面積が、登録時の爪面積と所定範囲内の誤差であれば、正しく指が置かれていると判定するものである。後者については、面積に限らず、爪領域の輪郭の一部もしくは全体の特徴的な形状から導き出される特徴点、具体的には例えば、輪郭が急峻に曲がっていたり、突起になっていたりする部分を利用してもよい。この特徴点の位置が、登録時の静脈パターンとの相対位置と一致していれば、正しい指の置き方で得られた静脈パターンが正しく一致しているとわかる。逆に、大きく食い違うときには、間違った置き方で得られたパターンが偶然登録パターンと一致した可能性があり、認証ミスにつながるため一致したとはみなさない。尚、特徴点としては、爪領域とそれに隣接する領域との間の特徴的な界面形状から同様に導き出しても良い。
図4は、本発明の指静脈認証装置の別の実施形態を示す概略図である。図1に記載の認証装置との大きな違いは、指を支える治具が、指先用・指の根元側用の組が、相互に逆向きに2つ用意されている点である。具体的には、図5に示すような治具が間を置いて2つ対向して配置される。この治具2つを両端に橋をかけるように指を支え、より具体的には、このうち一方が指先用として使われるときには、指先が104の窪みによって、根元側がもう一方の治具のほうの106によって支えられる。これによって、図中上側が指先で下側が根元側になる置き方も、下側が指先で上側が根元側になる置き方も、いずれも安定した定位置に誘導される。指は、根元側の106が高い位置にあるので指先にかけて斜め下に落ち込む形態になる。このとき、指先の支えを窪み形状としていることで、106の高さを多少低めにしても、同じ治具の104が窪んでいて高さが抑えられているため、指の腹側が104の一部に接触し、徒に指が触れる場所を増やしてしまうことはない。一方で、爪の長い人が使う場合に、爪を治具106の上を通って逃がせるよう、治具106の高さは、高すぎないように設定する。
本形態の認証装置は、把手300にて開閉する扉に装着して利用する場合に特に好適であり、これによって、把手に対して上から手をかけても、下から手をかけても、それぞれの定位置に指を誘導することができる。このことはユーザがそのときの気分などで持ち方を変えても、柔軟に対応できることを意味する。特に、把手300と扉との空隙に、本形態の認証装置を装着する場合には、ユーザからは認証装置が見えにくいので、治具によって手探りで所定位置に指を導くことができるのは、安定した認証において重要である。尚、把手300の向きは、横置きに限定されるものではなく、縦に配置しても良い。この場合は、左手で手をかけても、右手でも、同様に定位置に指を誘導できることが、さらなる利点になる。
図4に示した概略図では、光源とカメラとを両側に配置した例を示している。指の側面の静脈パターンを利用する場合、カメラを一方の側のみに配置したのでは、指を上から置いた場合と下から置いた場合とでは、撮影される面が異なってしまう。そのため、カメラと光源とを対にして2組用意し、いずれの側面も撮影できるようにする。このとき、両方の光源を同時に点灯すると、一方の光源から照射され、指を透過してきた光を、別の一方の光源から照射され指で反射した光が打ち消してしまい、静脈パターンをうまく撮影できなくなる。そのため、指の一方の面を撮影するときには、その面側に配置されたカメラと、指の反対面側の光源とを組にして静脈パターンを取得する。認証時には、上記の光源・カメラの組2組を交互に切り替えて用い、一方の組の光源の点灯時は、他方の組の光源を消灯する。これを連続的に繰り返し、指が置かれると、その指の両方の面の静脈パターンを取得する。これら2面分の静脈パターンと、予め登録しておいた静脈パターンとの照合を行う。登録パターンの数は、指1本につき、1面分でも、2面分でもいずれでも良い。1面分の場合でも、認証時に取得する両面分の2つの静脈パターンのいずれかと合致すれば、登録された本人の指であると判定することができる。これによって、上から置いても下から置いても認証が可能である。登録本数が2面分の場合には、2つ分のパターンのうち、認証時に得られる2面分のパターンのうち、どれかが合致すれば良いとすれば、撮影条件の変化や、指の1面を怪我するなどの多少の変動があっても本人の指と正しく判定できる。一方、認証時の2面分のパターンの一方が、登録時の2面分のパターンのいずれかと一致し、認証時のもう一方のパターンが、登録時のパターンのうち、上記で一致したものとは異なる、もう片方のパターンと合致することが同時に成立することを条件とすれば、違う指で両面の静脈パターンとも一致する可能性が確率的に大幅に低くなることから、本人以外を間違って受け入れる確率を低下させることができる。尚、上述のように、2つのカメラのうち、どちらのカメラで撮影した静脈パターンであるかに関係なく、全く同様にパターンの照合をして構わないように、指置き治具によって誘導される定位置とカメラの撮像画角とを調整し、静脈の撮像対象部位を、両者の置き方で共通となるようにする。また、指が置かれたときの腹側下方に位置する底面116の形状は、図1記載のように一方のみに偏っていると、光源とカメラの組が相互に対称性を持たず、撮影される静脈パターンに互換性がなくなるため、図6のように中央のみ遮光のために壁のように立った、左右対称のものとする。また、撮像用の開口部110は大きく、光源用の開口部108は小さくすると静脈パターンの撮影品質が向上するため、図7のように、遮光板400にて区切った上で、なるべく指の背側方面のみを照射しやすいよう、光源用の開口部を上側に配置する。それと同時に、カメラで撮影する指の範囲も背面側までしっかりとれるように、カメラの中心に近い部分は、上側まで撮像用開口部110を広くとるようにする。これによって、カメラのある部分は光源が位置せず、それに対応する指の部位は暗く映される可能性がある。そこで、光源については、カメラのある位置側にも光が行き届くよう広角に広がるように、光源の広がり角、あるいは複数の光源で構成する場合には、個々の光源の向きを調整することで、斑なく指を照らせるように工夫する。
尚、上記では、光源とカメラの組を2組用意する方式について説明したが、図1記載の認証装置と同様に、光源とカメラとを1組のみ用いることも可能である。この場合、登録時に、指を上からかざす場合と、下からかざす場合との2種類のパターンを取得し、それらを組にして登録しておく。そして、2種類の登録パターンのうちのいずれかと認証時の取得パターンが一致すれば、登録された本人の指であると判定する。あるいは、登録に用いる装置にだけ、光源とカメラの組が2組あるものを配備し、認証時には、1組だけしかないものを利用することも可能である。これによって、すべてに2組タイプを用意するのに比べて、登録と認証を含めたシステム全体としてのコストを低減しつつ、指を置き直して2面分登録するというユーザ負担は軽減することが可能である。
登録時の装置と認証時の装置とを異なる仕様にする考え方は、他の局面にも適用できる。たとえば、登録時の装置では、認証時に撮影する範囲よりも広い範囲の静脈パターンを撮影しておき、登録パターンとすることで、認証時に多少の位置ずれがあっても正しく認証可能にする。本発明のように、小型の認証装置を実現しようとする場合、撮影範囲はどうしても狭くなりがちであり、その場合、少しの指の位置ずれが静脈パターンの違いとなって顕著に表れる。このことは、指全体を対象範囲にした撮像画像と、指先のみを対象範囲にした撮像画像とを比べてみれば、同じだけ指が移動したときのずれの相対的な比率から明らかである。ユーザが指を置くときに生ずるずれは、撮影対象範囲の違いにはあまり関係がないので、撮影範囲を狭めるほど、位置ずれの問題は顕著になる。尚、広い範囲を撮影しようとする場合、装置も相対的に大きくなってしまうが、登録に用いる一つだけに限定することで、それのみを比較的空間に自由度のある場所に配置し、通常操作に使う装置は小型のものを利用するといった、総合的な空間の有効利用が可能になる。登録時の広範囲のパターンは、それを大きな一枚の登録パターンとして用いても良いし、部分ごとに複数のより小さな登録パターンに分割し組にして統一管理する方法でも構わない。後者の場合、認証用の小型装置で取得できるパターンと同一サイズにしておくと、小型装置でも登録可能にでき、同時に登録専用装置での登録パターンとの互換性もとることができる。これにより、小型装置でも簡易に登録でき、専用装置ではさらに精度の高い登録ができる、といった階層的な登録の運用が可能になる。
また、上述の指置き治具の形態は、従来の指静脈認証装置における光学配置に対しても適用可能である。従来方式では、指の腹面を撮影するために、その直下にカメラを配置している。この撮影形態の場合は、取得される静脈パターンは、指を上から置いた場合と、下から置いた場合とで、180度向きが異なるだけである。したがって、登録パターンは1種類だけ持てばよく、認証時には、取得したパターンと、登録パターンとを1回照合し、合致しなければ、パターンを回転させたものと再度照合を行う。そして、この2回の照合のうち、いずれかで合致すれば、本人確認できたとみなせる。
上述した、図1もしくは図4記載の認証装置、特に、カメラと光源とを斜め配置して指側面の静脈パターンを利用する方式の装置は、表出する部分と、埋め込まれる部分とで、それぞれ設置スペースを少しずつ分担し、空間をバランス良く利用できるとともに、認証に必要な部品が一体となっているため、何らかのより大きな装置やシステムに組み込む場合に好適である。例えば、ドアに認証装置を装着する場合、ドアハンドルに組み込むことで、ドアを開ける操作の中で自然に行われる、ハンドルを握る操作の中に認証を組み入れることができるので、操作が簡便になるという効果がある。しかしながら、ドアハンドルは人が握りやすいように、その太さも限られている。本発明の方式では、埋め込まれるべき部分が巨大になり過ぎないようになっているので、組み込みも容易である。そして、たとえば、小さな対象物に収めるべく、光源とカメラを分けて、ハンドルとドア側にそれぞれ配置するといった無理をしなくても、装置として一体で提供できるので、製造やメンテナンスなどの面で有利である。
図8は、本発明の認証装置を自動車に適用した例である。本図は、自動車のインスツルメントパネル周辺を表した概略図であり、ステアリングホイール500や、速度計などの計器類502、カーナビゲーション装置504などが配置されている。ここで、運転の際に必ず握ることになるステアリングホイール500への認証装置に組み込むことができれば、操作性を大幅に向上できる。具体的には、ステアリングを握るだけで、運転席に座った人間が誰であるのか自動判定して、エンジンの始動を許可するとともに、シートポジションやエアコンの調整温度、オーディオやカーナビなどの設定を、その人に合わせて最適に行うことができる。
図9と図10は、ステアリングホイール500を握り、認証を行っているときの手の状態を模式的に表した図である。図9が図8のインパネ側に向かって見た表面であり、図10は、そのときの状態をステアリングホイールの裏面から見た図である。認証装置は、ステアリングホイールの裏側のスポーク部分に配置されている。ここで、リング部分ではなく、スポーク部分に配置するのは、リング部分に突起があると、運転時に手指が引っかかり、思った通りの操作ができない危険性があるなど安全上の配慮である。突起の形状や大きさが、安全上問題ない範囲であれば、リング上に配置しても構わない。また、スポーク部分のほうが、最近はエアバッグが搭載されるなど構造的に太くなる傾向があるため、装置や配線類を収める空間を確保しやすいという利点もある。
図10に示すように、ユーザは、ステアリングホイールを握る際に、認証用に登録した指を一本だけ認証装置100にかざす。指は図のように人差し指でも良いし、他の指でも当然構わない。認証装置が登録された本人の指であることを確認すると、イモビライザが解除され、エンジンの始動が可能になる。あるいは、登録された本人が直前の乗車時に設定したシートポジションやエアコン設定などを記憶しておいて、別の人が乗車して設定が変わっていても、当人の設定に復帰させる。
これらの個人設定は、自動車のドアハンドルに本発明の認証装置を設置しておけば、自動車のドアを開く時点で、誰が開けたのかわかるので、同様の設定をすることは可能である。この場合、ドアのロック解除の段階から、鍵を全く持たなくても自動車に乗り込むことが可能であり、さらにはドアを開けている間に登録人物向けの設定変更がなされるといった、時間の節約も可能である。本発明の装置では指先部分のみを見ることで小型化が図られているので、ドアハンドルにも、ステアリングホイールにも全く同じ装置が装備可能である。これによって、登録パターンを共通にして、1回の登録でドアでもステアリングホイールでも同様の認証を行うことが可能である。また、認証を行う処理装置を共有させることも可能であり、その場合、システム全体としてのコスト低減に役立つ。自動車の場合、ドアロックは未成年や運転免許のない人でも解除できたほうが便利であるが、運転に関する操作は資格を持った人間以外できないようにしたほうが安全上好ましい。このように、2箇所に認証装置を設けることで、運転資格のない人間には自動車を開けるだけ開けてもらい、その後、ドアでは再度認証を行うことなく、運転席に乗り込んでステアリングホイールの認証装置にて認証を行い、エンジンの始動もしくは走行を可能な状態に遷移させるといったことが可能になる。この場合、シートポジションの移動などの個人設定は、ステアリングホイールで認証できてからのほうが良い場合もある。また、2箇所に認証装置を設けることで、たとえば、ドアを開けるのは認証の判定基準を緩和して、エンジン始動に関わるステアリングでの認証は条件を厳しくする、といった運用も可能である。ドアハンドルは、外部環境にあるため、様々な変動要因によって、認証がしにくくなる可能性もあるからである。あるいは、逆に、一度ドアハンドルで認証できた人が登録したパターンが、ステアリングで認証を求めてきたパターンと一致条件を満たさないまでも十分に近ければ、一度認証ができているので判定基準を緩めることで、ラフな置き方にも対応できるようにするといった運用も可能である。
また、ステアリングホイールへの装備は、運転中に本人認証を改めて行う必要がある場合に好適である。例えば、高速道路料金収受用のETCシステムは、防犯のため、通常は利用できないようにしておいたほうが良い場合も多いが、走行中に、料金所の直前にて本人認証を行い、ETCを有効にし、すぐに無効にすることも可能である。同様に、ドライブスルー等で買い物をする場合や、カーナビ等の車載情報機器から、音楽データやカーナビ用地図の更新データなど商品を通信で購入する際の決済用の正確な本人確認手段として用いることができる。
さらには、本発明の認証装置は、単に個人認証に用いるのみならず、様々な機能を呼び出すためのボタンスイッチと同様に利用することができる。通常ハンドルの裏側にボタンスイッチを配置する場合、そのボタンがどのような機能を持っているのか目視で確認できないため、同じ場所には高々1つの単機能のボタンのみしか配置することができない。指静脈認証においては、同じ人間でも指ごとに全くパターンが異なるため、認証装置は登録された人ではなく、登録された指を検知する。認証装置は、先述の指置き治具によって、目視できなくても手探りで指を所定位置に置くことが可能であり、それはどの指においても同様である。そこで、認証した後、例えば、人差し指はイモビライザ解除、中指は決済承認、薬指は音楽再生、というように、個人の必要性に合わせて自由に呼び出す機能を設定できるようにすることで、指を変えるだけで、様々な機能を簡単に呼び出すことができる。これによって、複数のボタンを目視できない場所に並べる場合では、ボタンを押し間違いやすいため利用できなかったステアリング裏など、従来概念ではデッドスペースにされがちながら、手の届きやすい立地条件の良い場所を有効に利用した配置ができる。また、図8記載の計器類部分に、手の絵600と、そのどの指にどのような機能が割り当てられているかを簡便かつ象徴的に表すアイコン602とを表示することで、割り当てを忘れても瞬時に思い出すことが可能なようにできる。また、指を変えて認証するだけでなく、同じ指の認証を短時間のうちに複数回行うことで、パーソナルコンピュータのグラフィックインタフェースで利用されているようなダブルクリックに対応する操作も実現でき、その場合には、さらに別の機能を新しい割り振ることができる。あるいは、短期間の複数の指の連続認証でも、同様にまた別の機能を割り当てることも可能である。これによって、さらに多くの機能を指だけで呼び出すことが可能になる。
尚、ボタンスイッチとして利用する場合には、認証の精度は緩和してもよく、たとえば、登録しているパターンのうち、最も近いと判定されたパターンと合致したと判定して、そのパターンに対応する指に割り当てられた機能を呼び出すのでも良い。
尚、上記では、本発明の認証装置をステアリングホイールやシフトノブ等に装着することによる利便性について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば、ウインカーやワイパーを操作するためのレバーや、ドア内側のアームレストなど、どこに装着しても良いことは言うまでもない。
たとえば、図11に示すように、ステアリングの表側に認証装置100を装着しても構わない。この場合は、ステアリングホイールを握ったときに、親指がちょうど置きやすいよう、リングとの結合部分に近接するスポークの表側に、装置を斜めにして配置すると最も操作性が良い。このとき、認証装置は目視でも十分確認可能であり、その位置には通常のボタンを複数並べることは可能であり、実際にそのような例も存在するが、運転中の視線移動はなるべく少ないほうが良いため、手探りで操作できる多機能呼び出しボタンでの同機能の置き換えは、安全上の配慮として十分に効果がある。一方、図11では、認証に用いる指以外の同じ手の指は、ステアリングホイールのリング部分をしっかりと握るようにしている。これによって、認証の際の指の位置や回転角度などが一意に定まり、認証が安定する効果がある。そしてさらに、このリング部分に、指の並びに合うような窪みを連続的に設けて、指の位置を一層安定させることも可能である。このような指の握り方は、先述の図9や図10の例の場合にも同様に適用可能であり、認証装置を上記位置に設けることの利点でもある。
また、図12に示すように、変速機のシフトレバーの握り部分に装着しても良い。このときは、握ったときに自然に指先が到達する位置に認証装置を装着したほうが良いので、レバーグリップが大きめのときは、そのグリップのインスツルメントパネル側の面に、小さめのときは、助手席側から回した指がぐるりと回って運転席側に到達する位置に装着すると操作性が良い。
尚、上記の例では、右ハンドル車の場合を例にとって説明したが、左ハンドル車に対しても同様に適用可能である。この場合は、適宜対称になるような配置としても良い。