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JP4827117B2 - 非水電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、非水電池に関し、さらに詳しくは、特に携帯用電子機器、電気自動車、ロードレベリングなどの電源として使用するのに適した非水電池に関するものである。
非水電池の一種であるリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウムイオン電池の高容量化が更に進む傾向にあり、安全性の確保が重要となっている。
現行のリチウムイオン電池では、正極と負極の間に介在させるセパレータ(隔離材)として、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の多孔性フィルムが使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下で隔離材の構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
ところで、ポリオレフィン系多孔性フィルムのセパレータは単独で存在する膜であるため、電池製造の際に取り扱いが可能な程度に、強度が要求される。特に電極を巻回体とする場合には、その製造時(巻回時)に、セパレータにテンションがかかるため、引張強度が十分に高い必要がある。
こうしたセパレータとしては、例えば、多孔化と強度向上のために一軸延伸あるいは二軸延伸したフィルムが用いられているが、かかる延伸によってフィルムにはひずみが生じており、これが高温に曝されると、残留応力によって収縮が起こるという問題がある。収縮温度は、融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリオレフィン系の多孔性フィルムセパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達すると、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡による発火の危険性があるからである。
また、上記のような単層構成の単独膜ではなく複合膜をセパレータに用いて、電池が高温となった場合のセパレータの収縮による内部短絡の問題の解決を図ることもなされているが、こうした複合膜では薄膜化が困難なため、負荷特性改善への阻害要因となる他、製造工程が複雑になり製造コストの増大を引き起こすといった問題がある。
こうした事情を受けて、上記の如く単独で存在し得る膜をセパレータとして用いるのではなく、正極と負極を隔離するための隔離材を電極表面に直接形成することで、セパレータに要求される引張強度(電池製造時の取り扱い性を確保するための引張強度)やセパレータの熱収縮に関する上記の問題の解決を図る試みがなされている(特許文献1〜3)。特許文献1〜3に開示の電池では、種々の有機微粒子や無機微粒子とバインダー樹脂を用いて形成された隔離材を有している。
特開平1−167948号公報 国際公開第98/38688号パンフレット 特開2000−149906号公報
ところが、上記特許文献1〜3に開示の電池では、例えば電池内温度が高温になった場合に内部短絡が生じやすかったり、上記のシャットダウン効果が得られないなど、信頼性の面で満足できるものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高温での安全性を確保し得る非水電池を提供すると共に、特にセパレータの薄型化による負荷特性の向上も実現した非水電池と、これらの非水電池の製造方法を提供することを課題とする。
高温での安全性を確保し得た本発明の非水電池は、正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極と、前記正極と負極との間に多孔性の隔離材を有するものであって、前記隔離材は、正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成されており、かつ融点が80〜150℃の有機微粒子(A)と、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)含む少なくとも2種類の微粒子が、バインダー樹脂(C)により結着されて構成されており、前記隔離材を構成する全材料中、前記耐熱微粒子(B)の割合が4質量%以上で、前記バインダー樹脂(C)の割合が1.6質量%以上13.3質量%以下であり、当該電池を30℃から150℃まで1℃/分の速度で昇温させたときに、30℃、80℃および130℃での電池の内部抵抗を、それぞれR30、R80およびR130としたときに、R80/R30≦1、かつ、R130/R30≧5となることを特徴とする非水電池である。
更に本発明には、上記本発明の非水電池を製造するに当たり、正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に、融点が80〜150℃の有機微粒子(A)と、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)とバインダー樹脂(C)とを含む液状組成物を塗布、乾燥することにより、正極と負極の間に、多孔性の隔離材を形成することを特徴とする製造方法も包含される。
本発明では、正極と負極の間に介在させるための隔離材を、特定の温度範囲において内部抵抗が明確に変化してシャットダウンを生じる構成とすることにより、高温での電池の安全性を確保することができる。
特に、融点が80〜150℃の有機微粒子(A)と、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)の少なくとも2種類の微粒子で構成するか、または、耐熱微粒子(B)の表面に融点が80〜150℃の樹脂の被覆層が形成されてなるコアシェル構造の微粒子を含む少なくとも1種類の微粒子で構成することにより、従来の単独膜のセパレータのような強度(引張強度など)が要求されないため、その厚みを薄くして電池の負荷筑性を向上させることが可能となる。
電池内温度が上昇した場合、上記有機微粒子(A)またはコアシェル構造の微粒子の表面被覆層が溶融して空孔を閉塞するため、シャットダウン機能が発現する一方、耐熱微粒子(B)の存在により上記隔離材は収縮しにくいため、電池の内部短絡を防止することができる。
また、正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に直接隔離材を形成することにより、一層の薄型化を実現することができる。
本発明の非水電池に係る隔離材は、融点が80〜150℃の有機微粒子(A)と、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)の少なくとも2種類の微粒子で構成されている。図1に本発明に係る隔離材の図面代用写真(走査型電池顕微鏡写真)を、図2に図1の隔離材の一部を拡大した写真を示す。図1および図2中、1が有機微粒子(A)、2が耐熱微粒子(B)、3がバインダー樹脂(C)、4が電極、5が隔離材である。図1および図2から分かるように、隔離材においては、有機微粒子(A)1および耐熱微粒子(B)2が、微粒子の形態で存在している。詳しくは後述するが、図1および図2に示す隔離材は、有機微粒子(A)と耐熱微粒子(B)を含む液状組成物(溶液または分散液)を用いて形成するのが望ましい。
有機微粒子(A)は、融点が80℃〜150℃の有機樹脂の微粒子である。この有機微粒子(A)は、電池内温度が上昇した際に溶融して、隔離材の空孔を閉塞し、電池の内部抵抗を増大させるといったシャットダウン効果を確保するための成分である。
詳しくは後述するが、隔離材は、有機微粒子(A)と耐熱微粒子(B)を含む液状組成物(溶液または分散液)を用いて形成する。よって、有機微粒子(A)としては、融点が上記範囲内にあり、且つ電気化学的に安定で、更に電解液や上記液状組成物に用いる溶媒(分散媒)に対して安定であれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系の微粒子が好適である。より具体的には、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が15モル%未満)、あるいはこれらの誘導体などの微粒子が好ましく、これらを1種単独で用いる他、2種以上を混合して使用してもよい。また、シャットダウン温度を、電池の実使用温度よりある程度高く設定するためには、有機微粒子(A)の融点は90℃以上であることがより好ましく、また、より安全な温度領域、例えば130℃以下の温度でシャットダウンを生じさせるためには、有機微粒子(A)の融点は125℃以下であることがより好ましい。このような材料として、上記材料が好適に用いられる。なお、ここでいう有機微粒子(A)の融点は、JIS−K7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味している。
有機微粒子(A)の大きさとしては、粒径が隔離材の厚みよりも小さいのが望ましいが、例えば隔離材の厚みの3/4〜1/100の平均粒径を有していることが好ましく、より具体的には、数平均粒子径で0.1〜20μmであることが望ましい。有機微粒子(A)が小さすぎると、微粒子同士の隙間が小さくなるために、イオン伝導度が低下して電池特性低下の原因となることがある。他方、有機微粒子(A)が大きすぎると、隔離材を薄くすることが困難となり、やはり電池特性低下(容量低下)の原因となることがある。
また、有機微粒子(A)は、その粒径が、できる限り揃っていることが好ましい。粒径が不揃いであると、大粒径の粒子同士の間に小粒径の粒子が入り込んでしまって空孔率が低下しやすいからである。具体的には、粒径が0.1〜20μmの範囲にあり、平均粒径が0.3〜15μmであることが好ましい。なお、本明細書で記載する有機微粒子(A)、並びに後記の耐熱微粒子(B)およびコアシェル構造の微粒子に係る数平均粒子径および粒度分布は、レーザー散乱粒度分布径(HORIBA社製「LA−920」)を用い、微粒子をトルエンに分散させて測定した値である。
耐熱微粒子(B)は、耐熱温度が160℃以上の微粒子であり、例えば、JIS−K7191法で測定した場合の熱変形温度が160℃以上もしくは熱変形温度が存在しない微粒子であり、主に、高温下での隔離材の形状を維持し、電池内温度が上昇した場合の内部短絡を防止する役割を担う成分である。耐熱微粒子(B)としては、160℃より低い温度で流動せず、非電気伝導性で、且つ電気化学的に安定で、更に電解液や上記液状組成物に用いる溶媒(分散媒)に対して安定であれば特に限定されない。例えば、非電気伝導性の無機微粒子(無機粉末)や、160℃以上の融点を有する有機微粒子(有機粉末)、架橋高分子微粒子などが挙げられる。なお、ここでいう「160℃以上の融点を有する有機微粒子」とは、JIS−K7121の規定に準じて、DSCを用いて測定される融解温度が160℃以上となる有機微粒子を意味している。
非電気伝導性(電気絶縁性)の無機微粒子としては、例えば、酸化鉄、SiO、Al、TiO、BaTiOなどの酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;モンモリロナイトなどの粘土微粒子;などが挙げられる。また、金属微粒子;SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物微粒子;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質微粒子;などの導電性微粒子の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、上記の非電気伝導性の無機微粒子を構成する材料や、後記の、160℃以上の融点を有する有機微粒子や架橋高分子微粒子を構成する材料など)で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた微粒子であってもよい。
また、160℃以上の融点を有する有機微粒子としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステルなどの微粒子が挙げられ、架橋高分子微粒子としては、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの微粒子が例示できる。また、これらの有機微粒子、架橋高分子微粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、上記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(上記架橋高分子以外の材料について)であってもよい。
耐熱微粒子(B)としては、上記各例示の微粒子を1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもかまわない。
耐熱微粒子(B)の大きさは、有機微粒子(A)の大きさと同様に、粒径が隔離材の厚みよりも小さいのが望ましいが、例えば、数平均粒子径で0.001μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、15μm以下、より好ましくは1μm以下であることが望ましい。耐熱微粒子(B)が小さすぎると、微粒子同士の隙間が小さくなるために、イオン伝導度が低下して電池特性低下の原因となることがある。他方、耐熱微粒子(B)が大きすぎると、隔離材を薄くすることが困難となり、やはり電池特性低下(容量低下)の原因となることがある。
また、耐熱微粒子(B)の粒径も、有機微粒子(A)と同じ理由から、できる限り揃っていることが好ましい。具体的には、粒径が0.1〜20μmの範囲にあり、平均粒径が0.3〜15μmであることがより好ましい。
隔離材を構成する有機微粒子(A)、耐熱微粒子(B)の組成としては、隔離材の材料全量中、耐熱微粒子(B)を4質量%以上、より好ましくは10質量%以上であって、74質量%以下、より好ましくは50質量%以下とすることが望ましい。
耐熱微粒子(B)を4質量%以上含むことにより、電池内が高温となった際の内部短絡の発生を防ぐ効果が高まり、一方、耐熱微粒子(B)の割合を74質量%以下とすることにより、シャットダウン機能がより短時間で発現しやすくなるからである。
なお、本発明の隔離材では、有機微粒子(A)と耐熱微粒子(B)の結着を強固に行う目的で、第3成分のバインダー樹脂(C)を使用する。バインダー樹脂(C)としては、上記の微粒子を良好に接着でき、電気化学的に安定で、且つ電解液や上記液状組成物に用いる溶媒(分散媒)に対して安定であれば特に限定されないが、例えば、有機微粒子(A)としてポリオレフィン系の微粒子が好適であることから、接着性向上の観点からは、分子内に、ポリエチレン構造(メチレン鎖)を有する樹脂が好適である。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が15モル%以上で、より好ましくは30モル%以下)、エチレン−アクリレート共重合体(エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体など)などが挙げられる。また、フッ素系ゴムも用いることができる。バインダー樹脂(C)には、これらの樹脂を1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、バインダー樹脂(C)の量は、隔離材を構成する全材料中、2質量%以上、より好ましくは5質量%以上であって、30質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることが望ましい。バインダー樹脂(C)を2質量%以上含むことにより、隔離材を構成する微粒子の結着効果が高まり、一方、30質量%以下とすることにより、隔離材の空孔をふさいで電池特性が損なわれるという問題が生じるのを防ぐことができる。
非水電池に係る隔離材の別の形態として、前記有機微粒子(A)および耐熱微粒子(B)に代えて、または、前記有機微粒子(A)または耐熱微粒子(B)とともに、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)の表面に融点が80〜150℃の樹脂の被覆層が形成されてなるコアシェル構造の微粒子を用いることもできる。
上記被覆層を構成する材料としては、上記有機微粒子(A)と同じものを用いることができ、融点は90℃以上であることが好ましく、また、125℃以下であることが好ましい。
上記コアシェル構造の微粒子は、耐熱微粒子(B)と、融点が80〜130℃である樹脂を、当該樹脂を溶解できる溶媒中にて、樹脂の融点以上で混合し、冷却後、噴霧乾燥により前記溶媒を除去することにより得ることができる。
上記樹脂を溶解できる溶媒としては、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素系のアルカン系あるいはアルキン系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系;トルエン;キシレン;などが挙げられる。
上記コアシェル構造の微粒子の大きさとしては、粒径が隔離材の厚みよりも小さいことが望ましいが、例えば隔離材の厚みの3/4〜1/100の平均粒径を有していることが好ましく、より具体的には、数平均粒子径で0.1〜20μmであることが望ましい。コアシェル構造の微粒子が小さすぎると、微粒子同士の隙間が小さくなるために、イオン伝導度が低下して電池特性低下の原因となることがある。他方、コアシェル構造の微粒子が大きすぎると、隔離材を薄くすることが困難となり、やはり電池特性低下(容量低下)の原因となることがある。
また、コアシェル構造の微粒子は、その粒径が、できる限り揃っていることが好ましい。粒径が不揃いであると、大粒径の粒子同士の間に小粒径の粒子が入り込んでしまって空孔率が低下しやすいからである。具体的には、粒径が0.1〜20μmの範囲にあり、平均粒径が0.3〜15μmであることがより好ましい。
上記コアシェル構造の微粒子を用いる場合、上記コアシェル構造の微粒子のみで本発明における隔離材を構成することもできるが、前記有機微粒子(A)または耐熱微粒子(B)とともに用いてもよい。隔離材の全量中における上記コアシェル構造の微粒子の割合は、4質量%以上が好ましく、26質量%以上がより好ましく、90質量%以下とすることが望ましい。また、コアシェル構造の微粒子の結着を強固に行う目的で、前述と同様に第3成分のバインダー樹脂(C)を使用してもよい。
非水電池においては、その隔離材の一成分として用いられている有機微粒子(A)、あるいはコアシェル構造の微粒子の被覆層を構成する樹脂が、それぞれの融点において融解し、隔離材の空孔を閉塞することによって当該電池の内部抵抗が上昇するいわゆるシャットダウン効果を有する。
さらに、隔離材が電極上に直接形成されているため、異常時に電極で発生した熱が直接隔離材に伝導するため、上記融解が素早く起こり、シャットダウン機能が短時間で発現する。
本発明において、上記シャットダウン機能は、電池の温度変化に対応する内部抵抗の変化で評価することができる、例えば、20℃から150℃まで1℃/分の速度で昇温させたときに、30℃、80℃および130℃での電池の内部抵抗を、それぞれR30、R80およびR130としたとき、R80/R30≦1かつ、R130/R30≧5となる電池が、電池の実使用温度でシャットダウンによる内部抵抗の上昇がなく、かつ、より安全な130℃以下の温度領域でシャットダウンによる内部抵抗の上昇が生じることから、電池の安全性が充分に確保されるため、本発明においてより好ましいものとされる。また、R130/R30の値は大きいほどよく、10以上であることが望ましく、30以上であることがより望ましい。
また、上記条件で電池の内部抵抗の変化を測定したときに、内部抵抗が上昇しはじめる温度と、内部抵抗が急激に増加する領域での内部抵抗の温度に対する傾きから、シャットダウン機能を評価することもできる。すなわち、後述する実施例5の電池の内部抵抗変化を表す図3に示されるように、室温付近から内部抵抗が温度と共に漸減する「漸減領域」と、内部抵抗が上昇に転じた後、急に増加する「立ち上がり領域」の内部抵抗変化をそれぞれ直線で近似し、その交点を「内部抵抗が上昇しはじめる温度」としたときに、その温度が80℃〜130℃の範囲であり、上記立ち上がり領域での近似直線の温度に対する傾き(単位:Ω/℃)が1以上であることが望ましい。
上記内部抵抗が上昇しはじめる温度は、電池の実用温度範囲を広くするために、90℃以上であることがより望ましく、一方、シャットダウン温度をより安全な温度とするために、120℃以下であることがより望ましく、115℃以下であることがさらに望ましい。
更に、上記立ち上がり領域での近似直線の温度に対する傾きは、急であるほどシャットダウン効果が明確となるため、2以上であることがより望ましく、3以上であることがさらに望ましい。
また、有機微粒子(A)の融点、あるいはコアシェル構造の微粒子表面を被覆する樹脂の融点が110℃以下の場合、より安全な115℃以下の温度でシャットダウン機能が働くため電池の安全性が大幅に向上する。
さらに、昇温後に、上記電池を150℃で60分間保持したときの隔離材の収縮率は、5%以下に抑えられることが望ましい。これにより、シャットダウン機能が働いた後での電池の短絡が起こりにくくなるため、高温での電池の安全性が大幅に向上する。また、隔離材が収縮しないことにより、シャットダウン後の高温保持状態でも、電池の内部抵抗は高く保たれるので、誤って電池が外部短絡したような場合でも、充電状態の電池が徐々に放電し、より安全な状態へと移行させることができる。もちろん、意図的に放電させても安全に放電状態へと変化させることが可能である。ここで、150℃まで昇温したときの電池の内部抵抗をR150とすると、R150/R30が4以上となることが望ましく、8以上となることがより望ましく、25以上となることが最も望ましい。なお、上記収縮率は、セパレータの長さの変化であり、形状が帯状である場合は、長辺の長さの変化から求めればよく、円形である場合は、直径の変化から求めればよい。なお、このような収縮率も、隔離材が上記および後記の構成を有することで確保できる。
本発明においては、上記隔離材に加えて、イオン透過性かつ電子絶縁性の微多孔膜など従来公知のセパレータを併用してもよい。このようなセパレータとして、ポリプロピレン、ポリアラミド、ポリエステル、ポリイミドから選ばれる材料を主成分とする微多孔膜が好ましく用いられる。
また、上記隔離材には、150℃で実質的に変形せず、非水電解液中で実質的に化学変化しない電気絶縁性の繊維状物質を含ませることもできる。このような繊維状物質として、例えば、セルロース、セルロース変成体、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ガラス、アルミナ、シリカなどを例示することができ、これらより選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。ここでいう「繊維状である」とは、粒子のアスペクト比が4以上ある物質であるということを指す。繊維状物質の径は、セパレータの厚み以下であることが望ましいが、0.01〜5μmであることがより好ましい。0.01μm以上とすることにより、隔離材の空隙の大きさが適切となり、イオン透過性が良好となるからであり、また、5μm以下とすることにより、繊維同士が絡み合い、隔離材の強度を向上させる効果が大きくなるからである。
また、隔離材の厚みは、電極の表面粗さに鑑みて決定することが望ましく、好ましくは電極の表面粗さ(凹部と凸部の差)の2倍以上の厚みとすることが推奨される。具体的には、例えば、全厚み(隔離材が正極と負極の両表面に形成されている場合には、その合計厚み)が、3μm以上、より好ましくは5μm以上であって、50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下とすることが望ましい。隔離材が薄すぎると、電極の凸部を十分に覆うことが困難となり、短絡の原因となることがある。他方、隔離材が厚すぎると、電池の高エネルギー密度化が困難となることがある。なお、隔離材の厚みは、隔離材を形成した電極ごと、隔離材の厚み方向に切片を切り出し、Auなどを蒸着して得られた試料について、走査型電子顕微鏡で、倍率5000〜10000倍で、観察して測定される厚みである。
次に、本発明の非水電池を構成する他の要素について説明する。なお、本発明の非水電池には、一次電池と二次電池が含まれるが、以下には、特に主要な用途である二次電池の構成を例示する。正極としては、従来公知の非水電池に用いられている正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMOで(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mnなど)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物;LiMnなどのリチウムマンガン酸化物;LiMnのMnの一部を他元素で置換したLiMn(1−x);オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe);LiMn0.5Ni0.5;Li(1+a)MnNiCo(1−x−y)(−0.1<a<0.1、0<x<0.5、0<y<0.5);などを適用することが可能であり、これらの正極活物質に公知の導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤などを適宜添加した正極合剤を、集電体を芯材として成形体に仕上げたものなどを用いることができる。
中でも、構成元素としてMnを含むものが、活物質自身の安全性を高める上で好適であり、MnとNiをほぼ1:1で含む上記Li(1+a)MnNiCo(1−x−y)(ただし、−0.05≦x−y≦0.05)や、この化合物と、LiMnなどスピネル構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiCoNiOなど層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物との混合物を好適に用いることができるが、通常汎用されているLiCoOでも本発明により充分に良好な結果を得ることができる。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部は、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けても良い。
負極としては、従来公知の非水電池に用いられている負極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる他、上記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、若しくは集電体上に形成したものを用いても良い。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部も、正極側のリード部と同様に、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、この負極側のリード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けても良い。
電解液としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイト、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの1種のみからなる有機溶媒、あるいは2種以上の混合溶媒に、例えば、LiClO、LiPF 、LiBF 、LiAsF 、LiSbF 、LiCFSO 、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などのリチウム塩から選ばれる少なくとも1種を溶解させることによって調製したものが使用される。このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
本発明の非水電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装材として使用した角形電池や円筒形電池が挙げられ、また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装材として使用したソフトパッケージ電池とすることもできる。
次に、本発明の非水電池の製造方法を説明する。上記の正極および負極の少なくとも一方の電極の表面(電池内において互いに対向する面の少なくとも一方)に、上記隔離材を形成する。隔離材は、有機微粒子(A)、耐熱微粒子(B)およびバインダー樹脂(C)を含む液状組成物を調製し、これを正極および負極の少なくとも一方の表面にキャストあるいはスプレーして塗布し、液状組成物中の溶媒(分散媒)を乾燥除去することにより形成される。
隔離材を形成するための液状組成物は、有機微粒子(A)や耐熱微粒子(B)を微粒子のまま含むため、分散体(スラリー)である。この液状組成物に用いる溶媒(分散媒)としては、バインダー樹脂(C)を均一に溶解または分散し得るものが好ましく、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが好適である。
隔離材を形成後、該隔離材を介して正極と負極を重ねて積層電極体とするか、重ねた正極と負極を更に巻回して巻回電極体とする(以下、積層電極体と巻回電極体を纏めて「電極体」という)。そして、電極体を外装材に装填し、電解液を注入した後に外装材を封止して非水電池とする。
このようにして得られる非水電池では、内部温度が上昇して熱暴走温度に達する前に、有機微粒子(A)または上記コアシェル構造の微粒子の被覆層が溶融して隔離材の空孔を閉塞し、さらに耐熱微粒子(B)が存在することも相俟って、極めて良好なシャットダウン効果が得られる。
本発明では、上述したように、隔離材は正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に直接形成されるのが望ましい。電極とセパレータが分離している場合、電極とセパレータの間に電解液による液層が存在するため、短絡などの異常発生時に電極で生じた熱は、該液層を介して間接的にセパレータに達することとなるが、電極上に直接隔離材が形成されていれば、電極で生じた熱が直接隔離材に伝わるため、シャットダウンの応答性に優れた電池を構成できるからである。
しかも、本発明における隔離材は、従来の単独膜で構成されるセパレータのように延伸されていないため、高温下での収縮が生じにくく、本発明の非水電池を150℃の温度下で30分以上保持しても、隔離材が電極表面を覆ったままの状態を維持できる。このため、内部短絡を充分に防止することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:80質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダーであるPVDF:5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、活物質塗布長が表面281mm、裏面212mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、長さ281mm、幅43mmの正極を作製した。さらにこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブ付けを行った。
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛:90質量部と、バインダーであるPVDF:5質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、活物質塗布長が表面287mm、裏面228mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して、長さ287mm、幅45mmの負極を作製した。さらにこの負極の銅箔の露出部にタブ付けを行った。
<隔離材の形成>
バインダー樹脂(C)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が34モル%、日本ユニカー社製):100g、およびトルエン:6kgを容器に入れ、均一に溶解するまで室温にて撹拌した。さらに有機微粒子(A)として、ポリエチレン粉末[住友精化社製「フロービーズLE1080(商品名)」]:3kgを4回に分けて加え、ディスパーで、2800rpmの条件で1時間攪拌して分散させた。さらに耐熱微粒子(B)として、アルミナ(Al)微粒子[住友化学社製「スミコランダムAA04(商品名)」]:300gを加え、ディスパーで、2800rpmの条件で3時間攪拌して分散させて均一なスラリーとし、隔離材形成用の液状組成物を得た。このスラリーを、ギャップ:50μmで負極上に摺り切り塗布した後、トルエンを除去して、負極表面に厚み:15μmの隔離材を形成した。
上記のようにして得られた正極および隔離材を形成した負極を、隔離材を間にして重ね合わせ、大日本印刷製ラミネートフィルム外装材内部に装填し、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液)を注入し、真空封止を行って非水電池を作製した。
実施例2
添加するアルミナ微粒子の量を3kgに変更した他は、実施例1と同様にして調製した隔離材形成用の液状組成物を用い、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
実施例3
添加するポリエチレン粉末の量を1kgに変更し、バインダー樹脂(C)のトルエン溶液への添加を1度で行った他は、実施例2と同様にして調製した隔離材形成用の液状組成物を用い、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
実施例4
耐熱微粒子(B)を架橋ポリメチルメタクリレート粉末[積水化成品工業製「MBX−5(商品名)」:1kgに変更した他は、実施例3と同様にして調製した隔離材形成用の液状組成物を用い、負極表面に形成する隔離材の厚みを20μmに変更した他は、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
実施例5
耐熱微粒子(B)を架橋ポリスチレン微粒子[積水化成品工業製「SBX−6(商品名)」]:1kgに変更した他は、実施例3と同様にして調製した隔離材形成用の液状組成物を用い、負極表面に形成する隔離材の厚みを20μmに変更した他は、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
実施例6
バインダー樹脂(C)として、エチレン−エチルアクリレート共重合体[日本ユニカー社製「NUC6570(商品名)」:200g、およびトルエン:6kgを容器に入れ、均一に溶解するまで室温にて撹拌した。さらに有機微粒子(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末[住友精化社製「フローバックD5020(商品名)」]:1kgを加え、ディスパーで、2800rpmの条件で1時間攪拌して分散させた。更に微粒子(B)として、アルミナ微粒子[住友化学社製「スミコランダムAA04(商品名)」]:300gを加え、ディスパーで、2800rpmの条件で3時間攪拌して分散させて均一なスラリーとし、隔離材形成用の液状組成物を得た。この液状組成物を用いて、負極表面に形成する隔離材の厚みを20μmに変更した他は、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
実施例7
添加するポリエチレン粉末の量を1kgに変更し、バインダー樹脂(C)のトルエン溶液への添加を1度で行った他は、実施例1と同様にして調製した隔離材形成用の液状組成物を用い、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
実施例8
実施例7で用いたものと同じ隔離材形成用の液状組成物を用い、正極および負極の表面に、それぞれ厚み15μmの隔離材を形成した他は、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
参考例9
トルエン1kgに、ポリエチレン粉末[住友精化社製「フローセンUF1.5(商品名)」]:100g、およびアルミナ微粒子[住友化学社製「スミコランダムAA04(商品名)」]:300gを加え、100℃に加熱してポリエチレン粉末を完全に溶解させた。この溶液を氷水にて一気に室温付近まで冷却させ、ポリエチレン樹脂をアルミナ微粒子表面に析出させ、コアシェル構造の微粒子を作製した。コアシェル構造の微粒子が分散したトルエン溶液に、バインダー樹脂(C)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が34モル%、日本ユニカー社製):100gを入れ、均一に溶解するまで室温にて撹拌して均一なスラリーとし、隔離材形成用の液状組成物を得た。このスラリーを、ギャップ:50μmで負極上に摺り切り塗布した後、トルエンを除去して、負極表面に厚み:15μmの隔離材を形成した。
比較例
隔離材に代えて、厚みが20μmのポリエチレン製セパレータを用いた以外は、実施例1と同様にして非水電池を作製した。
上記の各電池について、下記の各特性評価を行った。
<負荷特性>
上記の各電池について、0.2Cの定電流で4.2Vになるまで、引き続き4.2Vの定電圧で充電を行った。なお、定電流充電開始から、定電圧充電終了までの総時間を7.5時間とした。充電後の各電池について、4.2Vから3.0Vになるまでの放電を、0.2Cの場合と2Cの場合で行い、各放電容量を測定して、0.2Cでの放電容量に対する.2Cでの放電容量の比を求め、これを電池の負荷特性とした。
<シャットダウン特性>
上記の各電池を、オーブン中に置き、電池の内部抵抗を測定しながら、1℃/分の速度で、30℃から150℃になるまで昇温させ、電池の内部抵抗が上昇し始める温度と、30℃、80℃および130℃での電池の内部抵抗(以下、それぞれR30、R80およびR130とする)を測定し、R80/R30およびR130/R20を求めた。内部抵抗は、HIOKI社製接点抵抗計(3560 ACミリオームハイテスタ)を用いて測定し、1kHzの交流を印加したときの測定値をその電池の内部抵抗とした。なお、実施例5の電池では、150℃まで電池の内部抵抗は高い値を保ち、150℃のときの内部抵抗(R150)とR30との比、R150/R30は10であったが、比較例の電池では、シャットダウン後に、温度とともに急激に内部抵抗が減少し、前記比の値は3にまで減少した。
また、実施例5および比較例の電池の内部抵抗変化を、それぞれ図3および図4に示した。図3より、実施例の電池では、30℃から温度を上昇させた場合、80℃近傍までは内部抵抗が温度とともに漸減し(これを「漸減領域」として図中に表示)、その後内部抵抗が上昇に転じ、さらに温度を上げると、内部抵抗が直線的に急激に増加する(これを「立ち上がり領域」として図中に表示)様子を確認することができる。実施例5の電池では、上記漸減領域および立ち上がり領域の近似直線の交点から求まる「内部抵抗が上昇しはじめる温度」は、100℃であり、立ち上がり領域の近似直線の傾きは、4.8(Ω/℃)であったが、比較例の電池では、それぞれ、136℃、28(Ω/℃)であった。
<安全性評価>
上記シャットダウン特性評価に引き続いて、電池を150℃の温度で60分放置した後に取り出し、分解して隔離材の大きさの変化を調べた。すなわち、隔離材の長辺の長さについて、元の長さと上記貯蔵後の長さとの差を元の長さで割った値を、隔離材の収縮率(単位:%)として求め、安全性を評価した。隔離材の収縮率が5%以下の場合には、電池内部が150℃に達しても内部短絡が発生しにくく、安全性が確保されていることを意味している。
各非水電池の隔離材の構成を表1〜表4に、上記の各評価結果を表5に示す。
Figure 0004827117
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表1における「PE」はポリエチレンを、「EVA」はエチレン−酢酸ビニル共重合体を、「PMMA」は架橋ポリメチルメタクリレートを、「PS」は架橋ポリスチレンを、「EEA」はエチレン−エチルアクリレート共重合体を、それぞれ意味している。また、表2においても同様である。実施例1〜8および参考例9で用いた耐熱微粒子(B)については、いずれもJIS−K7191法で測定した場合の熱変形温度が160℃以上であるか、もしくは熱変形温度が存在しないことを確認している。
Figure 0004827117
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表5から分かるように、実施例1〜8および参考例9の非水電池では、内部抵抗が上昇しはじめる温度が低く、内部抵抗の上昇率も高く、非常に良好なシャットダウン特性を有しており、150℃で長時間放置しても隔離材の大きさ(電極表面上での被覆状態)にも変化が見られず、良好な安全性が確保できている。さらに、実施例1〜7の電池では、非常に良好な負荷特性も確保できている。
これに対し、従来構成のセパレータを用いた比較例の電池では、内部抵抗が上昇する温度が高く、シャットダウンの応答性に劣っており、また、150℃で長時間放置した場合に、セパレータが元の大きさの11%にまで収縮する(収縮率:89%)など大きな収縮が見られ、高温下での短絡が発生しやすい状態となっていた。
本発明の実施例2の非水電池に係る隔離材の走査型電子顕微鏡写真である。 図1の隔離材の一部を拡大した写真である。 実施例5の非水電池のシャットダウン特性評価における内部抵抗変化を示すグラフである。 比較例の非水電池のシャットダウン特性評価における内部抵抗変化を示すグラフである。
符号の説明
1 有機微粒子(A)
2 耐熱微粒子(B)
3 バインダー樹脂(C)
4 電極
5 隔離材

Claims (17)

  1. 正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極と、前記正極と負極との間に多孔性の隔離材を有する非水電池であって、
    前記隔離材は、正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成されており、かつ融点が80〜150℃の有機微粒子(A)と、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)を含む少なくとも2種類の微粒子が、バインダー樹脂(C)により結着されて構成されており、
    前記隔離材を構成する全材料中、前記耐熱微粒子(B)の割合が4質量%以上で、前記バインダー樹脂(C)の割合が1.6質量%以上13.3質量%以下であり、
    当該電池を30℃から150℃まで1℃/分の速度で昇温させたときに、30℃、80℃および130℃での電池の内部抵抗を、それぞれR30、R80およびR130としたときに、R80/R30≦1かつ、R130/R30≧5となることを特徴とする非水電池。
  2. 30℃から150℃まで1℃/分の速度で昇温させたときに、内部抵抗が上昇しはじめる温度が80℃〜130℃の範囲にあり、内部抵抗が増加する温度領域において、内部抵抗の温度に対する傾きが1以上である請求項1に記載の非水電池。
  3. 上記有機微粒子(A)の融点が125℃以下である請求項1または2に記載の非水電池。
  4. 上記耐熱微粒子(B)の数平均粒子径が、0.1μm以上6μm以下である請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  5. 上記隔離材中の上記耐熱微粒子(B)の割合が74質量%以下である請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  6. 上記有機微粒子(A)は、ポリオレフィン系樹脂である請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  7. 上記有機微粒子(A)は、ポリエチレン、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体であって酢酸ビニル由来の構造単位が15モル%未満のもの、もしくはこれらの誘導体である請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  8. 上記耐熱微粒子(B)は、非電気伝導性の無機微粒子、160℃以上の融点を有する有機微粒子、または架橋高分子微粒子である請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  9. 上記耐熱微粒子(B)は、酸化鉄、SiO、Al、TiO、窒化アルミニウム、窒化珪素、シリコン、ダイヤモンド、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、モンモリロナイト、ポリイミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、架橋ポリメチルメタクリレート、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物から選ばれる少なくとも1種の粒子である請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  10. 上記耐熱微粒子(B)は、JIS−K7191法で測定した場合の熱変形温度が160℃以上であるか、または熱変形温度が存在しないものである請求項1〜のいずれかに記載の非水電池。
  11. 前記バインダー樹脂(C)は、メチレン鎖を有する樹脂である請求項1〜1のいずれかに記載の非水電池。
  12. 上記正極と負極の間に、上記隔離材に加えて、イオン透過性の絶縁性微多孔膜が介在している請求項1〜1のいずれかに記載の非水電池。
  13. 上記有機微粒子(A)の数平均粒子径が、0.1μm以上10μm以下である請求項1〜1のいずれかに記載の非水電池。
  14. 上記電池を150℃で60分間保持したときの隔離材の収縮率が5%以下である請求項1〜1のいずれかに記載の非水電池。
  15. 上記隔離材の厚みが、3〜30μmである請求項1〜1のいずれかに記載の非水電池。
  16. 正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極の少なくとも一方の電極の表面に、融点が80〜150℃の有機微粒子(A)と、160℃以上の耐熱温度を有する耐熱微粒子(B)と、バインダー樹脂(C)とを含む液状組成物を塗布し、乾燥させることにより請求項1に記載の多孔性の隔離材を形成することを特徴とする非水電池の製造方法。
  17. 上記正極または負極の少なくとも一方の電極の表面に、上記液状組成物を塗布した後、乾燥前または乾燥中に両電極を積層させ、さらに乾燥させることにより、正極、隔離材および負極を一体化させることを特徴とする請求項1に記載の非水電池の製造方法。
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