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JP4831428B2 - 圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法とその方法で成膜された圧縮機摺動部材及びその製造装置 - Google Patents
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JP4831428B2 - 圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法とその方法で成膜された圧縮機摺動部材及びその製造装置 - Google Patents

圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法とその方法で成膜された圧縮機摺動部材及びその製造装置 Download PDF

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本発明は、圧縮機摺動部材への大気圧での非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法とその方法で成膜された圧縮機摺動部材及びその製造装置に関するものである。
非晶質硬質炭素皮膜は、高硬度、低摩耗、低摩擦、表面平滑性に優れるという特徴を持ち、金型、工具、摺動部品などにコーティングされ利用されている。非晶質硬質炭素皮膜とはダイヤモンドと同じ結合状態の炭素原子を比較的多く含む非晶質な硬質炭素皮膜であり、一般的にダイヤモンドライクカーボン(DLC)皮膜と呼ばれている。このDLC皮膜は、使用する原料や成膜方法によって皮膜の性質が異なることが知られている。DLC皮膜の成膜方法としては一般にプラズマCVD法やスパッタ法が用いられている。しかしプラズマCVD法やスパッタ法を用いた成膜方法では、広範囲にわたって均質なプラズマが得られず、均質な膜が形成できる領域は限られ大面積化が困難であった。また低圧環境下で行うため成膜速度が遅く、又真空容器を使ったバッチ式であるため生産性に難点があるなどの問題があった。
DLC皮膜の成膜方法としての開示ではないが、プラズマCVD法やスパッタ法を用いた他の皮膜の成膜方法の難点を改良する方法として大気圧近傍での放電プラズマ処理による成膜方法が提案されている。しかし大気圧近傍での放電空間に導入される混合ガスの拡散は低圧環境下での混合ガスの拡散に比べて混合ガスの偏りが生じやすく、形成された皮膜が不均一になりやすい。
特許文献1に一対の上下電極間に大気圧下でプラズマ処理空間を形成し、下側電極の上に設置された被処理物にプラズマ処理を行うプラズマ処理装置が開示されている。
また特許文献2にはCVD法やPVD法を用いてDLC皮膜が形成された摺動部材を有する斜板式圧縮機が開示されている。特許文献2にはDLC皮膜の形成方法はCVD法やPVD法を用いていること以外何も開示されていない。
特開2005−5107号公報 特開2002−5013号公報
上記したように非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法は種々検討されている。しかし圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法として大気圧近傍での成膜方法が開示されているものはない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、圧縮機摺動部材の大気圧近傍での非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法及びその方法で成膜された圧縮機摺動部材及びその製造装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
そこで、本発明者等はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、摺動部材を保持する保持電極に摺動部材を摺動部材の摺動面と保持電極の電極面とが略同一面状になるように収容し、非晶質硬質炭素皮膜の成膜処理条件を最適化して成膜することによって大気圧近傍で生産性良く均一な非晶質硬質炭素皮膜を形成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
(圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法)
すなわち、本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法は、収容工程と成膜工程とからなる圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法であって、前記収容工程は、保持電極に圧縮機の摺動部材を該摺動部材の摺動面と該保持電極の電極面と略同一面状となるように収容して被成膜体とする工程であり、前記成膜工程は、前記被成膜体と、該被成膜体の表面に原料ガスを供給する原料ガス供給口と相対移動方向における該原料ガス供給口の少なくとも両側に配設された排気口と成膜時の前記被成膜体に対向して配設され保持電極側の表面が誘電体で被覆され放電ギャップ距離をおいて該被成膜体と相対して沿う形状の印加電極とからなるガス供給電極体と、を相対移動させながら、成膜気圧:大気圧近傍、原料ガスの混合比:不活性ガス/炭化水素系ガス=0/100〜99/1、該印加電極と該保持電極との間の放電ギャップ距離:0.5mm〜10mm、原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secの条件で、前記ガス供給電極体に交流電圧を印して前記印加電極と前記被成膜体の表面との間でグロー放電プラズマを発生させて、少なくとも前記摺動面に非晶質硬質炭素皮膜の成膜を行う工程であることを特徴とする。
成膜工程の条件として、原料ガスの混合比を不活性ガス/炭化水素系ガス=0/100〜99/1とすることにより、プラズマを安定させることが出来、また高速処理することが出来る。
また印加電極と保持電極との間の放電ギャップ距離を0.5mm〜10mmとすることによって安定なガス流を作り、不要な放電が発生するのを抑制出来る。
原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secとすることにより、処理に必要な原料を定常的に供給出来、安定な成膜が出来る。
これらの成膜条件を組み合わせることによって、大気圧近傍で圧縮機摺動部材の摺動面に効率的に均一な非晶質硬質炭素皮膜を成膜することが出来る。
またガス供給電極体内に原料ガス供給口と原料ガス供給口の少なくとも両側に排気口とが設けられることによって、低圧下よりも原料ガスの対流が起こりにくい大気圧下においても比較的容易に原料ガスの対流を作ることができ、原料ガスが均等に拡散され、摺動部材に非晶質硬質炭素皮膜を均一に形成することが出来る。
また摺動部材は保持電極に摺動部材の摺動面と保持電極の電極面とが略同一面状になるように収容されている。略同一面状とは、保持電極の電極面の平面や曲面に沿うような形状に摺動部材が収容されていることを指す。このような保持電極に摺動部材が収容されたものを被成膜体と称す。この場合成膜時の被成膜体と相対する印加電極面とが放電ギャップ距離をおいて相対して沿う形状となっている。被成膜体の表面が平面であれば、印加電極の電極面も平面形状となり、被成膜体の表面が曲面であれば、印加電極の電極面も被成膜体に沿った曲面となる。
摺動部材の摺動面と保持電極の電極面とが略同一面状になるように収容されていることによって放電空間内が安定なガス流を作り、不要な放電を発生するのを抑制出来る。
被成膜体とガス供給電極体との相対移動は、一方向に平行移動させるものであってもよいし、回転移動するものであってもよい。非晶質硬質炭素皮膜を成膜する摺動部材の形状にあうように被成膜体とガス供給電極体とを相対移動させることによって、効率的に均一な皮膜を形成出来る。
このような非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法を用いることによって安定的にプラズマ放電され、圧縮機摺動部材に効率よく均一な非晶質硬質炭素皮膜を成膜することが出来る。
また被成膜体の摺動面以外は第2誘電体で覆われていることが好ましい。被成膜体の摺動面以外を第2誘電体で覆うことによって、より放電が安定し、摺動面以外をマスキングできる。
摺動部材は斜板式圧縮機の斜板或いはシューであることが出来る。
またさらに前記摺動部材は中央に凸部を有する円盤状の斜板であり、前記摺動面は前記凸部を囲繞する環状摺動平面であり、前記成膜工程の前記相対移動は、前記環状摺動平面に対向する前記ガス供給電極体が前記凸部の周囲を相対回転するものとすることが出来る。このようにすることによって斜板の中央の凸部が妨げになって均一な皮膜を形成できなかった斜板に均一な非晶質硬質炭素皮膜を形成することが出来る。
また摺動部材が斜板式圧縮機のシューである場合は、収容工程は保持電極に複数のシューを収容する複数収容工程とすることができる。複数のシューを収容できることによって効率よく均一な非晶質硬質炭素皮膜を形成することが出来る。
また摺動面は第1摺動面と第2摺動面とを有し、保持電極は第1摺動面と第2摺動面とをそれぞれ開放状態で両面側に収容し、ガス供給電極体は保持電極の両側に配設された第1ガス供給電極体と第2ガス供給電極体とからなり、成膜工程は成膜時に第1摺動面が第1ガス供給電極体に対向すると共に第2摺動面が第2ガス供給電極体に対向して、第1摺動面上及び第2摺動面上に非晶質硬質炭素皮膜が略同時期に成膜される両面成膜工程であることが出来る。両面側から略同時期に成膜することによって効率よく成膜できる。なお第1摺動面と第2摺動面とは同一の摺動部材の摺動面でも良いし異なる摺動部材の摺動面でも良い。
また炭化水素系ガスはアセチレンであり、不活性ガスは窒素であることが好ましい。その場合印加電極と保持電極との間の放電ギャップ距離は0.5mm以上5mm未満とする。炭化水素ガスをアセチレンとすることでプラズマ化しやすく放電しやすい成膜方法となり、又不活性ガスを窒素とすることにより低コストで成膜出来る。
(圧縮機摺動部材)
また本発明の圧縮機摺動部材は、圧縮機摺動部材を形成する基材と、前記基材の摺動面に被覆された非晶質硬質炭素皮膜と、を有する圧縮機摺動部材であって、非晶質硬質炭素皮膜は上記のいずれかの成膜方法で成膜されたことを特徴とする。
上記の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法で成膜された圧縮機摺動部材とすることで、均一な非晶質硬質炭素皮膜を形成された圧縮機摺動部材とすることが出来る。
(圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置)
また本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置は、圧縮機の摺動部材を該摺動部材の摺動面と電極面とが略同一面状となるように保持する保持電極と、原料ガス供給口と該保持電極との相対移動方向における該原料ガス供給口の少なくとも両側に配設された排気口と成膜時の該保持電極に対向して配設され保持電極側の表面が誘電体で被覆され放電ギャップ距離をおいて該被成膜体と相対して沿う形状の印加電極とを有するガス供給電極体と、該印加電極に印加する電圧印加手段と、前記保持電極と前記ガス供給電極体とを相対移動させる移動手段と、成膜気圧:大気圧近傍、原料ガスの混合比:不活性ガス/炭化水素系ガス=0/100〜99/1、該印加電極と該保持電極との間の放電ギャップ距離:0.5mm〜10mm、原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secの成膜条件に該保持電極と該印加電極との間を制御し得る成膜制御手段と、を有することを特徴とする。
上記構成の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置とすることによって圧縮機摺動部材に均一な非晶質硬質炭素皮膜を成膜することができる。
(圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法)
本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法は、収容工程と、成膜工程とからなる。
このうち収容工程は、保持電極に圧縮機の摺動部材を該摺動部材の摺動面と該保持電極の電極面とを略同一面状に収容して被成膜体とする工程である。
圧縮機の摺動部材としては容積型の圧縮機で用いられる摺動部材であれば特に限定されない。例えば圧縮機として往復式圧縮機、回転式圧縮機(スクロール圧縮機、ロータリー圧縮機)が挙げられる。往復式圧縮機において摺動部材は重要な役割を持っている。往復式圧縮機の中では、斜板式圧縮機、クランク式圧縮機、ワップル式圧縮機が挙げられる。
例えば斜板式圧縮機は、回転軸に一定角度又は可変角度で固着された円盤状の斜板と、斜板に係留された一対のシューと、シューを介して斜板と連結されたピストンとを備えたものである。この斜板式圧縮機の場合、摺動部材として斜板、シュー、ピストン、軸受等が挙げられる。中でも斜板とシューは互いに摺動する摺動平面を有している。円盤状の斜板の摺動面は、シューとの摺動面にあたり、円盤の中心部からある一定距離を置いた環状平面である。斜板は一対のシューに挟時されるので、斜板の摺動面は斜板の両面に存在する。
またさらに斜板は中央に凸部を有する円盤状の斜板とすることも出来る。
なお本発明の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法は、圧縮機の摺動部材に用いられる方法であるが、この方法は圧縮機のみに限らず摺動面を有する車両用摺動部材に用いることが出来る。例えばエンジンやトランスミッション等の摺動部材にも用いることが出来る。
摺動部材の材質としては鋳鉄などの鉄系材料やアルミニウム系材料の金属を用いることが出来る。また摺動部材の摺動面は表面粗さが小さい方が好ましいが、非晶質硬質炭素皮膜の密着性の向上のため面粗さRa=1μm以下の凹凸を付けても良い。また摺動部材の摺動表面に直接、非晶質硬質炭素皮膜を形成しても良いし、摺動部材と非晶質硬質炭素皮膜との間に密着性向上のための中間層を形成してもよい。中間層は数nm〜数μmのTi、Cr等の金属膜としてもよい。
保持電極は圧縮機の摺動部材を保持出来る電極である。保持電極の材質は導電体で形成されていればよく、特に限定されない。例えば、材質としてアルミニウム、銅、真鍮等の金属材料、カーボン材料が挙げられる。保持電極に摺動部材を保持するのは凹部を形成して保持しても良いし、複数の分割された保持電極に摺動部材を挟持しても良いし、貫通孔を保持電極に形成して摺動部材を挟持してもよい。また複数の凹部を形成し、複数の摺動部材を保持しても良いし、両側から両面を開放状態で摺動部材を保持しても良い。保持電極の形状は、摺動部材の摺動面が曲面形状の場合は、それが略同一面状になるような曲面形状となってもよい。中でも印加電極と保持電極との間が平行平坦部を有する形状がより好ましく、両電極は略平面形状であるのが好ましい。保持電極は接地されていればよく、特に電源などで印加される必要はない。
また摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜箇所以外の摺動部材の表面及び保持電極の表面は、誘電体(第2誘電体)で被覆されていてもよい。誘電体(第2誘電体)はガス流を妨げない程度に薄いことが好ましい。誘電体で被覆されることで、電圧印加時の異常放電が軽減され、かつ成膜箇所以外がマスキングされることが出来る。
第2誘電体の材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどの金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物などが挙げられる。
誘電体(第2誘電体)の材質は後で説明する誘電体の材質と同様のものを用いることが出来る。誘電体と第2誘電体の材質が同一のものでもよいし、異なるものでもよい。
保持電極及び非晶質硬質炭素皮膜の成膜箇所以外の摺動部材の表面に誘電体(第2誘電体)が被覆されていることにより、より安定的にグロー放電プラズマを発生させることが出来る。
成膜工程は、前記被成膜体とガス供給電極体とを相対移動させながら、前記ガス供給電極体に交流電圧を印可して前記印加電極と前記被成膜体の表面との間でグロー放電プラズマを発生させて、少なくとも前記摺動面に非晶質硬質炭素皮膜の成膜を行う工程である。
ガス供給電極体は該被成膜体の表面に原料ガスを供給する原料ガス供給口と、相対移動方向における該原料ガス供給口の少なくとも両側に配設された排気口と、成膜時の前記被成膜体に対向して配設され表面が誘電体で覆われた印加電極と、からなる。
ガス供給電極体は原料ガス供給口、排気口及び印加電極とが保持出来れば形状に特に限定はない。原料ガス供給口及び排気口はスリット形状となっていてもよい。スリットの幅は放電ギャップ距離の2倍程度が望ましい。スリット長さは非晶質硬質炭素皮膜を成膜する摺動面を被覆出来る程度の長さがあればよい。
原料ガス供給口は原料ガスを供給するボンベ等につながっており、制御弁によって流速を制御されている。排気口は排気ポンプ等につながっており排気ポンプによって吸引され原料ガスを排気している。
印加電極は導電体で形成されていればよく、特に限定されない。例えば、材質としてアルミニウム、銅、真鍮等の金属材料が挙げられる。
また印加電極は誘電体によって被覆されている。誘電体は厚み0.5mm以上であって放電ギャップ距離より小さいことが好ましい。この範囲にあると高電圧を要しなくとも放電プラズマを発生させることが出来、電圧印加時に絶縁破壊を起こしてアーク放電を発生するのを抑制できる。誘電体の材質はポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどの金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物などが挙げられる。
印加電極の形状は成膜方法に応じた長さがあれば特に形状に限定されない。印加電極には電源が接続され印加される。電源は大気圧プラズマ放電で一般的に使用されている数kHz以上の周波数を持つ交流電源であれば良く、電源として交流パルス電源やRF電源を用いることが出来る。
ガス供給電極体は保持電極に相対して設置されるが、2つのガス供給電極体を保持電極の両側に設置してもよい。
また成膜工程は以下の条件下で行われる。
成膜は、大気圧近傍の圧力下で行う。大気圧近傍の圧力とは、成膜を大気圧開放環境下で行った時の圧力を指し、ガスの給排気による圧力変動の範囲を含む。具体的には圧力範囲が0.1気圧以上2気圧以下を指す。
原料ガスは、雰囲気ガスとしての不活性ガスと反応ガスとしての炭化水素系ガスの混合ガスを混合比率0/100〜99/1で用いる。つまり炭化水素系ガスのみでもよいし、炭化水素系ガスと不活性ガスの混合ガスでもよい。より好ましくは、混合ガスの混合比率を10/90〜90/10の範囲で用い、更に好ましくは25/75〜75/25の範囲で用いる。この範囲で用いると雰囲気ガスによる安定放電と反応ガスのプラズマ密度が高くなることによる成膜速度の向上が得られる。
また反応ガスとして炭化水素系ガス以外に他の成分ガスを添加しても良い。膜の高機能化を目的に、金属、Si成分を含有するガスを同時に添加することも出来る。
上記原料ガスの混合比率は、非晶質硬質炭素皮膜の成膜工程中、一定比率でも良いし、成膜工程中に混合比率を変化させても良い。不活性ガスはプラズマ生成時の活性種の励起用の役目があるので、プラズマが発生すれば不活性ガスの混合比率を低くしてもよい。
不活性ガスとしてはヘリウム、アルゴン、窒素を単体又はこれら2種以上の混合物を用いることが出来る。窒素ガスを用いるとより低コストになり好ましい。炭化水素系ガスとしてはメタン、エタン、プロパンなどの飽和炭化水素のほかエチレンやアセチレン等の不飽和炭化水素も含むことが出来る。中でも反応性が高いアセチレンを用いることが好ましい。
このような原料ガスを原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secで供給する。より好ましくは原料ガス流速:10mm/sec〜100mm/sec、排気を原料ガスと同流速以上の条件で行う。排気を原料ガス流速と同等以上の速さで行うことにより原料ガスが均一に対流し、原料ガスが均等に拡散される。
印加電極と保持電極との間の放電ギャップ距離は0.5mm〜10mmが好ましい。より好ましくは1mm〜3mmであり、この範囲で行うと安定なガス流の保持とギャップ空間内の均一な放電が得られ易い。不活性ガスとして窒素を用いるよりもヘリウムやアルゴンを用いる場合のほうが放電ギャップ距離を大きくすることができる。
例えば不活性ガスとして窒素、炭化水素系ガスとしてアセチレンを用いた場合は、放電ギャップ距離を5mm未満とすることが好ましい。
この放電ギャップ距離を上記範囲とし、印加電極に交流電源によってグロー放電が発生する周波数、電圧をかけることによって、印加電極と保持電極との間にグロー放電プラズマが発生する。このような条件でグロー放電プラズマを発生させながら原料ガスの供給、排気を行うことによって摺動面に非晶質硬質炭素皮膜が成膜される。
この時保持電極とガス供給電極体とを相対移動させる。相対移動は移動手段によって行われる。移動手段は一般的な一定方向に移動しうる移動手段が用いることが出来、特に限定されない。この移動速度は移動手段によって制御され、さらに全体を制御する制御手段によって制御されてもよい。
(成膜された圧縮機摺動部材)
本発明の圧縮機摺動部材は、基材と、基材の摺動面に上記のいずれかの成膜方法で成膜された非晶質硬質炭素皮膜と、を有する。
基材は圧縮機摺動部材を形成するものであり、上記成膜方法で説明した摺動部材の説明と同様のことが言える。基材の材質としては鋳鉄などの鉄系材料やアルミニウム系材料の金属が用いることが出来る。基材の摺動面表面は表面粗さが小さい方が好ましいが、非晶質硬質炭素皮膜の密着性の向上のため面粗さRa=1μm以下の凹凸を付けても良い。また基材の表面に直接、非晶質硬質炭素皮膜が形成されていてもよいし、基材と非晶質硬質炭素皮膜との間に密着性向上のための中間層が存在しても良い。中間層はTi、Cr等の金属膜としてもよい。
非晶質硬質炭素皮膜は上記成膜方法で説明したいずれかの成膜方法で成膜されたものであれば良い。上記成膜方法で成膜された非晶質硬質炭素皮膜はダイヤモンドやグラファイトと同じように炭素元素から構成されており、部分的に水素と結合している構造となっている。また炭素原子同士の結合状態がダイヤモンド構造とグラファイト構造から成り立っており長距離のオーダーでは規則的な結晶構造を持たず非晶質構造となっている。
また炭化水素系以外に膜の高機能化を目的に、金属、Si成分を含有する膜としてもよい。
(圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置)
また本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置は、保持電極と、ガス供給電極体と、電圧印加手段と、移動手段と、成膜条件に該保持電極と該印加電極との間を制御し得る成膜制御手段と、を有する。
保持電極、ガス供給電極体は上記成膜方法で説明したものと同様である。電圧印加手段は印加電極に印加する電源にあたる。
印加電極に接続される電源は大気圧プラズマ放電で一般的に使用されている数kHz以上の周波数を持つ交流電源であれば良く、電源として交流パルス電源やRF電源を用いることが出来る。保持電極は接地されているため、保持電極側に特に電源は不要である。
移動手段は保持電極とガス供給電極体とを相対移動させるものである。上記成膜方法で説明された相対移動が出来る移動手段であれば特に限定されない。例えば保持電極或いはガス供給電極体が移動手段を有していても良いし、保持電極或いはガス供給電極体が移動手段に設置されていても良い。移動方向は平行移動、回転移動など適宜選択できる。また移動手段は成膜制御手段によって制御されていてもよい。
次に好ましい実施例を挙げ、図1〜図8を用いて本発明をより詳しく説明する。各実施例は非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法を説明するものであるが、同時にその成膜方法で成膜された圧縮機摺動部材及び圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置の説明も兼ねる。
[第一実施例]
図1は、本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第一実施例を側断面で示す模式説明図である。また図2は、本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第一実施例を示す平面模式説明図である。
図1及び図2に記載の本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第一実施例は、円板状の斜板12を収容する凹部400が形成されている保持電極4とガス供給電極体10との間にグロー放電プラズマを発生させ、保持電極4を図1に示す矢印方向に移動させることにより斜板12の摺動面に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法である。
斜板12は、円板状であり、摺動面は斜板12の両面の環状平面となっている。
図1の第一実施例では、斜板12の片面の摺動面に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法を記載してある。保持電極4は平板形状であり、斜板12が一枚収容できる大きさの凹部400があり、斜板12は保持電極4の表面高さと略同一の高さとなるように凹部400に収容されている。
斜板12の非晶質硬質炭素皮膜の成膜箇所以外の斜板12の表面及び保持電極4の表面は、誘電体被膜13で被覆されている。誘電体被膜13は厚み0.01mm〜0.1mmである。
ガス供給電極体10は原料ガス供給口1と排気口2と誘電体5が被覆された印加電極3とから構成される。
原料ガス供給口1及び排気口2はスリット形状となっている。スリットの幅は2〜6mmである。スリット長さは非晶質硬質炭素皮膜を成膜する摺動面を被覆出来る程度の長さであればよい。図1及び図2においては、原料ガス供給口1及び排気口2は幅2mm長さ200mmのスリット形状となっている。
図示されていないが、原料ガス供給口1は原料ガスを供給するボンベ等につながっており、制御弁によって流速を制御されている。排気口2は図示されていない排気ポンプ等につながっており排気ポンプによって吸引され原料ガスを排気している。図1に原料ガスの流れを点線の矢印で示した。原料ガス供給口1から保持電極4側に吹き出された原料ガスは原料ガス供給口2の両側に配設された排気口2から吸い上げられ、印加電極3と保持電極4との間は常に新しい原料ガスが一定方向に流れるようになっている。
印加電極3は導電体で形成されている。例えば、材質としてアルミニウム、銅、真鍮等の金属材料、カーボン材料を用いることが出来る。印加電極3は誘電体5によって被覆されている。誘電体5は厚み0.5mm以上であって、放電ギャップ距離よりも小さいことが好ましい。誘電体5の材質は誘電体被膜13の材質と同様のものを用いることが出来る。誘電体5と誘電体被膜13の材質が同一のものでもよいし、異なるものでもよい。
印加電極3は板状形状であり、長さは斜板12の直径より長ければ好く、幅、高さは特に限定されない。印加電極3の表面には保持電極4側の面に誘電体5が1mm厚みで被覆されている。2つの印加電極3はスリット状の原料ガス供給口1と両側の2つの排出口2にはさまれた位置に配設されている。印加電極3には電源6が接続され印加される。電源6は大気圧プラズマ放電で一般的に使用されている数kHz以上の周波数を持つ交流電源である。例えば電源6を交流パルス電源やRF電源とすることが出来る。
印加電極と保持電極との間の放電ギャップ距離は0.5mm〜10mmに適宜設定できる。
次に成膜方法について説明する。原料ガス供給口1より原料ガスとして:不活性ガス/炭化水素系ガスを混合比=0/100〜99/1、原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secで供給する。同時に排気口2より排気を原料ガスと同流速以上の速さで行う。このようにすることによって原料ガスが均一に対流し、原料ガスが均等に拡散される。次いで電源6によって印加電極3が印加され、印加電極3と保持電極4との間にグロー放電プラズマが発生する。
このような条件でプラズマ放電を行いながら原料ガスの供給、排気を行うことによって摺動面に非晶質硬質炭素皮膜が成膜される。図1、図2の矢印で示したように、ガス供給電極体10を固定し、保持電極4を移動させる。また摺動部材を加熱することによって摺動面での成膜反応を促進させることが出来、それによって皮膜を高機能化することも出来る。
保持電極4を相対移動させることによって、摺動面が順次成膜される。
この第一実施例においては、上記説明した成膜方法で成膜された斜板12が本発明の圧縮機摺動部材にあたる。また本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置は、上記説明した保持電極4と、ガス供給電極体10と、電圧印可手段にあたる電源6と、保持電極4とガス供給電極体10とを相対移動させる図示されていない移動手段と、上記説明した成膜条件に制御する成膜制御手段とからなる。移動手段は、放電ギャップ距離を変えずに保持電極を水平移動させる手段であれば特に限定されない。成膜制御手段は、図示されていないが電圧、給気、排気等の上記説明した各条件を制御する手段にあたる。
[第二実施例]
図3に本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第二実施例を側断面で示す模式説明図である。また図4は、本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第二実施例を示す平面模式説明図である。
図3及び図4に記載の本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第二実施例は、凸部122を有する円盤状の斜板121を収容する凹部410が形成されている保持電極41とガス供給電極体10との間にグロー放電プラズマを発生させ、保持電極41を図4に示す矢印の回転方向に移動させることにより斜板121の摺動面に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法である。
以下に第一実施例と異なる部分のみ説明する。ガス供給電極体10は、凸部122の回りに形成された環状の摺動面に対向しており、凸部122の周囲を相対回転する。図4ではガス供給電極体10は固定され、保持電極41が矢印の向きに回転している。凸部122は高さ2mmの筒形状の凸部である。斜板121は凸部122の中は穴となっている。斜板121及び保持電極41は図4に示すように摺動面及び凸部122及び前記穴以外は誘電体被膜13で被覆されている。
保持電極41とガス供給電極体10とを相対移動させることによって均一な膜を形成できる。その他の説明は第一実施例と同様である。
この第二実施例においては、上記説明した成膜方法で成膜された斜板121が本発明の圧縮機摺動部材にあたる。また第二実施例において移動手段は保持電極41の放電ギャップ距離を変えずに水平に回転移動する手段となる。
[第三実施例]
図6に本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第三実施例を側断面で示す模式説明図である。また図7は、本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第三実施例を示す平面模式説明図である。また図5に圧縮機摺動部材の一例であるシューの概略図を示す。
図6及び図7に記載の本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第三実施例は、図5に示すシュー7の摺動面123に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法であり、複数のシュー7を収容する複数の凹部420が形成されている保持電極42とガス供給電極体10との間にグロー放電プラズマを発生させ、保持電極42を図6に示す矢印方向に移動させることによりシュー7の摺動面123に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法である。
保持電極42には複数個の凹部420が形成されており、複数個のシュー7の摺動面123が保持電極42の電極面と略同一面状に保持されている以外は第一実施例と同様である。
この第三実施例においては、上記説明した成膜方法で成膜されたシュー7が本発明の圧縮機摺動部材にあたる。またこの第三実施例の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜成膜装置は、保持電極42以外は第一実施例と同様のものである。
[第四実施例]
図8は本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第四実施例を側断面で示す模式説明図である。図8に記載の本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第四実施例は、ガス供給電極体10と第2ガス供給電極体11とを用い両面から略同時期に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法である。
両面に複数のシュー7を収容する複数の凹部430が形成されている保持電極43とガス供給電極体10及び第2ガス供給電極体11との間にグロー放電プラズマを発生させ、保持電極43を図8に示す矢印方向に移動させることにより保持電極43の両面に保持されたシュー7の摺動面123に両面から略同時期に非晶質硬質炭素皮膜を形成する方法である。
ガス供給電極体10と第2ガス供給電極体11は同様のものであり、それ以外は第三実施例と同様である。
この第四実施例においては、上記説明した成膜方法で成膜されたシュー7が本発明の圧縮機摺動部材にあたる。また第四実施例の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜成膜装置は、ガス供給電極体をガス供給電極体10及び第2ガス供給電極体11とする以外は第三実施例と同様のものである。
[試験例]
図1に示す方法を用いて、非晶質硬質炭素皮膜を成膜した。
材質が鋳鉄である直径100mm厚み6mmの斜板を用い、誘電体はアルミナとし、誘電体被膜はフッ素樹脂テープを用いた。
保持電極は長さ200mm厚み8mmの銅製の平板である。
ガス供給電極体10は縦100mm、横250mm、厚み2mmの板形状であり内部に印加電極3、原料ガス供給口1と両側の2つの排出口2を保持している。
印加電極3は長さ200mm幅10mmの棒状形状である。印加電極3の表面には保持電極側の面にアルミナ誘電体5が1mm厚みで被覆されている。2つの印加電極3はスリット状の原料ガス供給口1と両側の2つの排出口2にはさまれた位置に配設されている。
原料ガス供給口1及び排出口2は共に幅2mm、長さ200mmのスリット形状となっている。原料ガス供給口1は原料ガスを供給するガスボンベと接続されている。また2つの排出口2は排気ポンプに接続されている。
印加電極3には電源6が接続され印加される。電源6はパルス交流電源である。保持電極4は接地されている。
保持電極4の下部に一軸方向可動ステージを配置し、放電ギャップ距離を変えずに一軸方向可動ステージを動かすことによって保持電極4を図1の矢印方向に移動した。
放電ギャップ距離1mm、印加交流電源電圧20kV、印加交流電源周波数10kHz、原料混合ガス比、窒素ガス:アセチレンガス=25:75一定、ガス流速50mm/sec、保持電極移動速度40mm/minの条件で行った。移動速度を制御することによって非晶質硬質炭素皮膜の膜厚の制御が出来た。これらの一連の製膜方法は大気圧開放環境下で行われ、ほぼ1気圧の環境下で成膜を行った。
この結果、摺動面に3μmの表面が平滑な非晶質硬質炭素皮膜が均一に成膜出来た。
図9に上記条件で非晶質硬質炭素皮膜を成膜した斜板のSEM観察写真を示す。図9において500は鋳鉄基材断面、600は非晶質硬質炭素皮膜の断面、610は非晶質硬質炭素皮膜の表面を表す。基材の表面に3μmの表面が平滑な非晶質硬質炭素皮膜が成膜されたことが確認できた。
また上記条件と放電ギャップ距離を5mmにした以外は同様の条件で成膜を行った。この時は大気圧グロー放電を発生させることが出来ず成膜は出来なかった。これは不活性ガスとして窒素ガスを用いたためと考えられる。不活性ガスとしてヘリウムやアルゴンを用いた場合ギャップ距離を5mm以上にしても安定グロー放電が出来る。例えば不活性ガスとしてヘリウムを用いた場合、ギャップ距離を10mmにしてもよい。
本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第一実施例を側断面で示す模式説明図である。 本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第一実施例を示す平面模式説明図である。 本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第二実施例を側断面で示す模式説明図である。 本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第二実施例を示す平面模式説明図である。 圧縮機摺動部材の一例であるシューの概略図である。 本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第三実施例を側断面で示す模式説明図である。 本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第三実施例を示す平面模式説明図である。 本発明の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法の第四実施例を側断面で示す模式説明図である。 試験例で成膜された摺動面のSEM観察写真を示す。
符号の説明
1、原料ガス供給口、2、排気口、3、印加電極、4、保持電極、41、保持電極、
42、保持電極、43、保持電極、5、誘電体、6、電源、7、シュー、
10、ガス供給電極体、11、第2ガス供給電極体、12、斜板、121、斜板、
122、凸部、13、誘電体被膜、123、摺動面、400、凹部、410、凹部、
420、凹部、430、凹部、500、鋳鉄基材の断面、600、非晶質硬質炭素皮膜の断面、610、非晶質硬質炭素皮膜の表面。

Claims (10)

  1. 収容工程と成膜工程とからなる圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法であって、
    前記収容工程は、保持電極に圧縮機の摺動部材を該摺動部材の摺動面と該保持電極の電極面と略同一面状となるように収容して被成膜体とする工程であり、
    前記成膜工程は、
    前記被成膜体と、該被成膜体の表面に原料ガスを供給する原料ガス供給口と相対移動方向における該原料ガス供給口の少なくとも両側に配設された排気口と成膜時の前記被成膜体に対向して配設され保持電極側の表面が誘電体で被覆され放電ギャップ距離をおいて該被成膜体と相対して沿う形状の印加電極とからなるガス供給電極体と、を相対移動させながら、
    成膜気圧:大気圧近傍、
    原料ガスの混合比:不活性ガス/炭化水素系ガス=0/100〜99/1、
    該印加電極と該保持電極との間の放電ギャップ距離:0.5mm〜10mm、
    原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secの条件で
    前記ガス供給電極体に交流電圧を印して前記印加電極と前記被成膜体の表面との間でグロー放電プラズマを発生させて、少なくとも前記摺動面に非晶質硬質炭素皮膜の成膜を行う工程であり、
    該成膜時の該被成膜体と相対する印加電極面とは、前記放電ギャップ距離をおいて相対して沿う形状となっていることを特徴とする圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  2. 前記被成膜体の前記摺動面以外は第2誘電体で覆われている請求項1に記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  3. 前記摺動部材は斜板式圧縮機の斜板である請求項1または2に記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  4. 前記摺動部材は斜板式圧縮機のシューである請求項1または2に記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  5. 前記摺動部材は中央に凸部を有する円盤状の斜板であり、
    前記摺動面は前記凸部を囲繞する環状摺動平面であり、
    前記成膜工程の前記相対移動は、前記環状摺動平面に対向する前記ガス供給電極体が前記凸部の周囲を相対回転するものである請求項3に記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  6. 前記収容工程は前記保持電極に複数の前記シューを収容する複数収容工程である請求項4に記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  7. 前記摺動面は第1摺動面と第2摺動面とを有し、
    前記保持電極は該第1摺動面と該第2摺動面とをそれぞれ開放状態で両面側に収容し、
    前記ガス供給電極体は該保持電極の両側に配設された第1ガス供給電極体と第2ガス供給電極体とからなり、
    前記成膜工程は成膜時に該第1摺動面が該第1ガス供給電極体に対向すると共に該第2摺動面が該第2ガス供給電極体に対向して、該第1摺動面上及び該第2摺動面上に該非晶質硬質炭素皮膜が略同時期に成膜される両面成膜工程である請求項1又は2に記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  8. 前記炭化水素系ガスはアセチレンであり、前記不活性ガスは窒素であり、前記印加電極と前記保持電極との間の放電ギャップ距離は0.5mm以上5mm未満である請求項1〜7の何れかに記載の圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜方法。
  9. 圧縮機摺動部材を形成する基材と、
    前記基材の摺動面に被覆された非晶質硬質炭素皮膜と、
    を有する圧縮機摺動部材であって、
    前記非晶質硬質炭素皮膜は請求項1〜8のいずれかに記載の成膜方法で成膜された圧縮機摺動部材。
  10. 圧縮機の摺動部材を該摺動部材の摺動面と電極面とが略同一面状となるように保持する保持電極と、
    原料ガス供給口と該保持電極との相対移動方向における該原料ガス供給口の少なくとも両側に配設された排気口と成膜時の該保持電極に対向して配設され保持電極側の表面が誘電体で被覆され放電ギャップ距離をおいて該被成膜体と相対して沿う形状の印加電極とを有するガス供給電極体と、
    該印加電極に印加する電圧印加手段と、
    前記保持電極と前記ガス供給電極体とを相対移動させる移動手段と、
    成膜気圧:大気圧近傍、原料ガスの混合比:不活性ガス/炭化水素系ガス=0/100〜99/1、該印加電極と該保持電極との間の放電ギャップ距離:0.5mm〜10mm、原料ガス流速:1mm/sec〜1000mm/secの成膜条件に該保持電極と該印加電極との間を制御し得る成膜制御手段と、
    を有することを特徴とする圧縮機摺動部材の非晶質硬質炭素皮膜の成膜装置。
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