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JP4831484B2 - 電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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JP4831484B2 - 電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

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Description

本発明は、先端に探針を有するカンチレバーを備え、試料を観察する走査型プローブ顕微鏡、及び、試料の表面とカンチレバーの探針との間に生ずる電位差を検出する電位差検出方法に関するものである。
従来から、金属、半導体、セラミック、樹脂、高分子、生体材料、絶縁物等の試料を微小領域にて測定し、試料の表面形状、粘弾性などの物性情報の観察等を行う装置として、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)が知られている。走査型プローブ顕微鏡としては、AFMモード(Atomic Force Mode)やDFMモード(Dynamic Force Mode)などがある。AFMモードは、搭載されたプローブの片持ち梁状に支持されたカンチレバーの先端部に形成された探針を試料の表面上に走査し、試料の表面形状によって変位する探針の変位量を計測して、試料の表面形状を測定するものである。また、DFMモードでは、上述のカンチレバーを共振させて、その振幅変化、位相変化あるいは周波数変化により試料の表面形状を測定するものである(例えば、特許文献1参照)。
また、上記のような走査型プローブ顕微鏡以外にも、特殊なものとして、ケルビンプローブフォース顕微鏡(例えば、特許文献2参照)や走査型マクスウェル応力顕微鏡(例えば、特許文献3参照)などがある。これらは、所定周波数成分を同期検出可能なロックインアンプと、加算器や積分器などを有する電位測定用制御回路とを備え、前者においては探針と試料との間の静電気力を最少とするような振幅出力を求めることで、後者においては所定周波数成分の振幅をゼロとするような直流電圧を求めることで、それぞれ試料の表面電位像を解析することが可能である。
特開2003−42931号公報 特開2004−226237号公報 特開2002−55040号公報
しかしながら、特許文献1のような走査型プローブ顕微鏡において、試料が帯電しているなどの場合には、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差が生じてしまい、カンチレバーにはこの電場による静電気力が作用してしまうことなる。このため、このよう場合、電位差が試料観察時におけるカンチレバーの変位に影響を与えてしまい、測定できなくなる、あるいは、正確な観察像を得ることができなくなってしまう問題があった。このような場合、電位差を解消させる等の処置を行う必要があるが、観察像が正確ものか、あるいは、電位差の影響を受けたものであるか、得られた観察像から判断するのは困難な場合があった。
一方、特許文献2のケルビンプローブフォース顕微鏡や特許文献3の走査型マクスウェル顕微鏡においては、ロックインアンプや電位測定用制御回路を備えていることで、上記のような電位差を検出することが可能であり、上記問題を解消することが可能である。しかしながら、このような構成は、AFMモードやDFMモードなどで測定を行う特許文献1のような走査型プローブ顕微鏡には搭載されていない。このため、特許文献2または特許文献3のような手法によって電位差を検出するには、ロックインアンプや電位測定用制御回路を搭載する必要があるが、装置コストが増大してしまい、また、仮に搭載したとしても複雑な測定手法を行う必要があり、時間がかかってしまう問題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、容易かつ正確に試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差を検出可能な電位差検出方法、及び、簡易な構成で容易かつ正確に試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差を検出して、試料を正確に観察可能な走査型プローブ顕微鏡を提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、先端に探針を有し、基端の本体部で載置台に片持ち状に支持されたカンチレバーと、該カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台とを備えた走査型プローブ顕微鏡で、前記試料の表面と前記カンチレバーの前記探針との間に生じる電位差を検出する電位差検出方法であって、前記試料と前記カンチレバーとの間に、前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の交流電圧を印加する電圧印加工程と、該電圧印加工程に伴って前記カンチレバーの振動特性を検出する検出工程と、該カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断する解析工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、先端に探針を有するカンチレバーと、該カンチレバーの基端の本体部で、該カンチレバーを片持ち状に支持する載置台と、前記カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台と、前記試料と前記カンチレバーとを相対的に移動させる移動手段と、前記カンチレバーの変位及び振動特性を検出可能な測定手段と、該測定手段による検出結果に基づいて前記試料の表面の観測データを採取する制御手段と、前記試料と前記カンチレバーとの間に、交流電圧を印加可能な電圧印加手段とを備え、前記制御手段は、前記試料の表面の前記観測データの採取に先立って、前記電圧印加手段によって前記カンチレバーの共振周波数の1/2の周波数で前記交流電圧を印加させるとともに、前記測定手段によって検出した前記カンチレバーの前記振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断し、該電位差が無いと判断した場合に前記観測データの採取を開始することを特徴としている。
この発明に係る電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡によれば、試料の表面の観察に先立ち、制御手段は、まず、電圧印加工程として、電圧印加手段によって試料とカンチレバーとの間にカンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の交流電圧を印加する。これにより、試料の表面とカンチレバーの探針との間には、印加された交流電圧によって周期的な静電引力が作用する。この際、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差が生じていない場合には、静電引力は、交流電圧のみによって発生し、交流電圧が正の時及び負の時のそれぞれで交流電圧の絶対値が最大となるときに、最大値を示すように作用することとなる。すなわち、電圧印加手段による交流電圧の2倍の周波数で静電引力が作用することとなるので、カンチレバーは共振することとなる。一方、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差が生じている場合には、静電引力は、交流電圧と初期電位差との和の電位差によって発生し、交流電圧が正の時と負の時とで異なる値を示す。すなわち、カンチレバーは、交流電圧の周波数と同じ周波数、共振周波数の1/2で振動するので共振しない。このため、検出工程において、測定手段によってカンチレバーの振動特性を検出し、解析工程において、カンチレバーの振動特性に基づいてカンチレバーが共振しているかどうかを判断することで、容易かつ正確に電位差が生じているかどうか判断することができる。また、電位差が生じているか判断できることで、その後の試料の観察を正確に行うことが可能となる。
また、上記の電位差検出方法において、前記検出工程は、前記カンチレバーの振動特性として振幅の大きさを検出するとともに、前記解析工程は、検出された前記カンチレバーの振動振幅が所定の大きさよりも大きく、該カンチレバーが共振している場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が無いと判断することがより好ましいとされている。
また、上記の電位差検出方法において、前記検出工程は、前記カンチレバーの振動特性として振幅の大きさを検出するとともに、前記解析工程は、検出された前記カンチレバーの振動振幅が所定の大きさよりも小さく、該カンチレバーが共振していない場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断するものとしても良い。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記測定手段は、前記カンチレバーの振動特性として振幅の大きさを検出可能であり、前記制御手段は、前記カンチレバーの振動振幅が所定の大きさ以上であり、前記カンチレバーが共振している場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が無いと判断して、前記観測データの採取を開始することがより好ましいとされている。
この発明に係る電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡によれば、カンチレバーが共振する場合には、カンチレバーの振動振幅は顕著に大きくなる。すなわち、検出工程において、カンチレバーの振動特性として振幅の大きさを検出し、解析工程において、所定の大きさ以上となるかどうか比較することで、カンチレバーが共振しているかどうか明確に判断することができ、これにより試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差の有無を、容易かつ正確に判断することが可能である。なお、電位差の検出に際しては、カンチレバーが共振している事実に基づいて電位差が無いと判断する方法と、カンチレバーが共振していない事実に基づいて電位差が有ると判断する方法とが有るが、静電引力が小さくて共振していても振幅が小さくなってしまう場合でも電位差が無いと誤った判断をしてしまわない点で、前者の方がより好適である。
また、上記の電位差検出方法において、前記検出工程は、前記カンチレバーの振動特性として周波数を検出するとともに、前記解析工程は、検出された前記カンチレバーの振動周波数が該カンチレバーの共振周波数で無く、該カンチレバーが共振していない場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断するものとしても良い。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記測定手段は、前記カンチレバーの振動特性として周波数を検出可能であり、前記制御手段は、前記カンチレバーの振動周波数が該カンチレバーの共振周波数であり、該カンチレバーが共振している場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が無いと判断して、前記観測データの採取を開始するものとしても良い。
この発明に係る電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡によれば、カンチレバーが共振する場合には、カンチレバーは共振周波数で振動する。すなわち、検出工程において、カンチレバーの振動特性として周波数を検出し、解析工程において、カンチレバーの振動周波数が共振周波数であるかどうか比較することで、カンチレバーが共振しているかどうか判断することができ、これにより試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差の有無を、容易かつ正確に判断することが可能である。
また、上記の電位差検出方法において、前記解析工程で前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断した場合には、前記電圧印加工程の前記交流電圧の振幅を漸増して、前記電圧印加工程、前記検出工程、及び前記解析工程を繰り返し行い、該解析工程は、前記検出工程で前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、最後の前記電圧印加工程で印加した前記交流電圧の振幅の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することがより好ましいとされている。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記制御手段は、前記カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合には、前記電圧印加手段によって印加される前記交流電圧の振幅を漸増させて、繰り返し前記測定手段によって前記カンチレバーの振動特性を検出させ、前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、前記電圧印加手段によって最後に印加した前記交流電圧の振幅の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することがより好ましいとされている。
この発明に係る電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡によれば、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差が生じていて、その電位差が電圧印加工程で電圧印加手段によって印加される交流電圧の振幅よりも小さい場合には、静電引力は、交流電圧が正の時と負の時とで、それぞれ異なる大きさの極大値を示す。このため、カンチレバーの振動波形は、振幅の異なる複数の波形の複合波となる。すなわち、電圧印加工程、検出工程、及び解析工程を繰り返し行い、振動波形として複合波が検出され始めた場合における最後の交流電圧の振幅の大きさを抽出することで、試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差を定量的に検出することができる。
また、上記の電位差検出方法において、前記解析工程は、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断した場合には、前記電圧印加工程の前記交流電圧とともに直流電圧を印加し該直流電圧を漸次変化させて前記電圧印加工程、前記検出工程、及び前記解析工程を繰り返し行い、該解析工程で、前記検出工程で前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、最後の前記電圧印加工程で印加した前記直流電圧の大きさと前記交流電圧の振幅の大きさの和を、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出するものとしても良い。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記電圧印加手段は、前記交流電圧に、直流電圧を重畳させて印加可能であり、前記制御手段は、前記カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合には、前記電圧印加手段によって前記交流電圧とともに前記直流電圧も印加し、該直流電圧を漸次変化させて、繰り返し前記測定手段によって前記カンチレバーの振動特性を検出させ、前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、前記電圧印加手段によって最後に印加した前記直流電圧の大きさと前記交流電圧の振幅の大きさの和を、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出するものとしても良い。
この発明に係る電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡によれば、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差が生じていて、その電位差が電圧印加工程で電圧印加手段によって印加される直流電圧の大きさと交流電圧の振幅の大きさの和よりも小さい場合には、静電引力は、交流電圧が正の時と負の時とで、それぞれ異なる大きさの極大値を示す。このため、カンチレバーの振動波形は、振幅の異なる複数の波形の複合波となる。すなわち、電圧印加工程、検出工程、及び解析工程を繰り返し行い、振動波形として複合波が検出され始めた場合における最後の直流電圧の大きさと交流電圧の振幅の大きさとの和を抽出することで、試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差を定量的に検出することができる。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記制御手段は、前記直流電圧の大きさと前記交流電圧の振幅の大きさの和を、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出した場合には、前記電圧印加手段によって該電位差と絶対値を等しくして正負異なる直流電圧を印加させた状態で、前記観測データの採取を開始することがより好ましいとされている。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、上記のように試料の表面とカンチレバーの電位差との間の電位差を定量的に検出できた場合に、この電位差と絶対値を等しくして正負異なる直流電圧を電圧印加手段によって印加することで、試料の表面とカンチレバーの電位差との間の電位差はキャンセルされた状態となる。この状態で観測データの採取を開始することで、電位差の影響を受けず正確に試料を観察することができる。
また、上記の電位差検出方法において、前記解析工程で前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断した場合には、前記電圧印加工程の前記交流電圧とともに直流電圧を印加し該直流電圧を漸次変化させて前記電圧印加工程、前記検出工程、及び前記解析工程を繰り返し行い、該解析工程は、前記検出工程で前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された後に、さらに前記電圧印加工程で前記直流電圧を変化させて前記検出工程で検出される前記カンチレバーの振動振幅が極大値を示した場合には、該極大値を示した際に電圧印加工程で印加した前記直流電圧の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することがより好ましいとされている。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記電圧印加手段は、前記交流電圧に、直流電圧を重畳させて印加可能であり、前記制御手段は、前記カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合には、前記電圧印加手段によって前記交流電圧とともに前記直流電圧も印加し、該直流電圧を漸次変化させて、繰り返し前記測定手段によって前記カンチレバーの振動特性を検出させ、前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された後に、さらに前記電圧印加手段で前記直流電圧を変化させて検出される前記カンチレバーの振動振幅が極大値を示した場合には、該極大値を示した際に前記電圧印加手段によって印加した前記直流電圧の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することがより好ましいとされている。
この発明に係る電位差検出方法及び走査型プローブ顕微鏡によれば、電圧印加工程で印加する直流電圧を変化させれば、試料の表面とカンチレバーの探針との間に生じていた電位差と直流電圧がキャンセルされた状態にすることができる。この状態では、交流電圧によってのみ電位差が生じる状態となるので、カンチレバーは共振状態となり、その振幅は極大値を示す。すなわち、極大値を示した際の直流電圧を抽出することで、試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差を定量的に検出することができる。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記制御手段は、前記直流電圧の大きさを前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出した場合には、前記電圧印加手段によって該直流電圧を印加させた状態で、前記観測データの採取を開始することがより好ましいとされている。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、上記のように試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差を定量的に検出できた場合に、その際の直流電圧を電圧印加手段によって印加することで、試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差はキャンセルされた状態となる。この状態で観測データの採取を開始することで、電位差の影響を受けず正確に試料を観察することができる。
また、上記の電位差検出方法において、前記電圧印加工程を開始するに際して、前記カンチレバーの前記探針と前記試料の表面との離間距離を1mm以下に設定することがより好ましいとされている。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記制御手段は、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断するために前記電圧印加手段によって前記交流電圧を印加する場合には、前記移動手段によって前記カンチレバーの前記探針と前記試料の表面との離間距離を1mm以下に設定させることがより好ましいとされている。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、電圧印加工程を開始するに際して、カンチレバーの探針と試料の表面との離間距離を1mm以下に設定することで、カンチレバーの探針と試料の表面との間に形成される電場によって作用する静電引力を大きくすることができる。このため、交流電圧の印加によって振動するカンチレバーの振幅を大きくすることができ、精度良く電位差を検出することができる。
また、上記の電位差検出方法において、前記電圧印加工程を開始するに際して、前記カンチレバーの前記探針の位置を、前記試料の表面を測定することが可能な測定位置に設定した後に、該測定位置を基準として、予め設定された距離だけ前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させるものとしても良い。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記制御手段は、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断するために前記電圧印加手段によって前記交流電圧を印加する場合には、前記移動手段によって、前記カンチレバーの前記探針の位置を前記試料の表面の測定を可能な測定位置に設定した後に、該測定位置を基準として、予め設定された距離だけ前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させるものとしても良い。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、カンチレバーの探針の位置を測定位置を基準として予め設定した距離だけ離間させて電圧印加工程を開始することで、再現良く電位差を検出することができる。
また、上記の電位差検出方法において、前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させる場合には、前記試料と前記カンチレバーとを相対的に移動させる移動手段として予め設けられた圧電素子の変形を用いて行うことがより好ましいとされている。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記移動手段は、電圧を印加することで変形可能な圧電素子であり、該圧電素子の変形によって前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させることがより好ましいとされている。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、移動手段として圧電素子を使用することで、カンチレバーの探針の相対位置を精度良く調整して、電位差の検出を行うことができ、再現性をさらに向上させることができる。
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、交流電圧を印加することによって振動し、所定の周波数で前記カンチレバーを振動させる加振源と、交流電圧を印加可能な加振電源と、該加振電源を、前記加振源に交流電圧を印加可能な状態と、前記電圧印加手段として前記試料と前記カンチレバーとの間に交流電圧を印加可能な状態とに切り替え可能に接続するスイッチとを備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、加振電源によって加震源に交流電圧を印加することでカンチレバーを共振周波数で振動させることが可能であり、いわゆるDFMモードとして試料の観察を行うことが可能である。また、スイッチによって切り替えることで、加振電源を試料とカンチレバーとの間に交流電圧を印加する電圧印加手段として使用可能となる。このため、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差を検出するための交流信号発生器を別途設ける必要が無く、装置コストの削減を図ることができる
また、上記の走査型プローブ顕微鏡において、前記試料の帯電を除去する帯電除去手段を備え、前記制御手段は、前記試料の前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合は、前記帯電除去手段を駆動させるものとしても良い。
この発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、試料の帯電に起因して、試料の表面とカンチレバーの探針との間に電位差が生じている場合には、制御手段による電位差の有無の判断に基づいて帯電除去手段を駆動させて、帯電を除去することができる。このため、試料の観察を正確に行うことができる。
本発明の電位差検出方法によれば、電圧印加工程においてカンチレバーの共振周波数の1/2の周波数の交流電圧を印加し、検出工程においてカンチレバーの振動特性を検出するだけであり、検出に必要な手段としても簡易なもので良い。また、電位差が無い場合にはカンチレバーが共振することで振動特性が顕著となり、その判断を明確にすることが可能である。このため、試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差の有無を、容易かつ正確に検出することが可能である。
本発明の走査型プローブ顕微鏡によれば、電圧印加手段によってカンチレバーの共振周波数の1/2の周波数の交流電圧を印加し、測定手段によってカンチレバーの振動特性を検出するだけであり、検出に必要な構成を簡易なものとすることができる。また、電位差が無い場合にはカンチレバーが共振することで振動特性が顕著となり、制御手段によって明確に判断することが可能である。このため、簡易な構成で、試料の表面とカンチレバーの探針との間の電位差の有無を、容易かつ正確に検出することが可能であり、電位差の検出に基づいて試料の観察を行うことで、観察を正確に行うことができる。
(第1の実施形態)
図1及び図5は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1は、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡の概要図を示している。なお、本実施形態においては、試料側を3次元方向に移動させる試料スキャン方式を例にして説明する。図1に示すように、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡1は、カンチレバーホルダ2と、先端に探針3aを有すると共に基端側の本体部3bで片持ち状態に支持され、カンチレバーホルダ2に固定されるカンチレバー3と、探針3aに対向配置された試料Sを載置する試料台4と、探針3aと試料Sとを、試料表面S1に平行なXY方向に相対的に走査させると共に、試料表面S1に垂直なZ方向に相対的に移動させる移動手段5と、カンチレバー3の振動状態の変位を測定する測定手段6と、該測定手段6による測定結果に基づいて、走査時に探針3aと試料表面S1とを、カンチレバー3の振動状態が一定となるように移動手段5を制御すると共に、観測データを採取する制御手段8とを備えている。なお、本実施形態では制御手段8が、カンチレバー3の振動振幅が一定となるように移動手段5を制御する場合を例にして説明する。カンチレバーホルダ2は、カンチレバー3を試料Sに対して所定角度傾けた状態で本体部3bを載置面10aに載置して固定する斜面ブロック(載置台)10と、該斜面ブロック10に固定され、所定の波形信号に応じた周波数及び振幅で振動する加振源11と、該加振源11が固定されたホルダ本体12とを備えている。
ホルダ本体12は、互いに対向する第1の面12a及び第2の面12bを有する平板状に形成されており、第1の面12aを試料S側に向けて配されている。また、ホルダ本体12には、固定したカンチレバー3の図示しない反射面に対して、後述するレーザ光Lを入射させると共に、反射面で反射したレーザ光Lを出射させる開口部12cが形成されている。上記加振源11は、第1の面12aに固定されており、図1に示す加振電源7から入力された波形信号に基づいて、所定の周波数及び振幅で振動するようになっている。 また、斜面ブロック10は、載置面10aを試料S側に向けた状態で加振源11の下面に固定されている。そして、この載置面10aにカンチレバー3の本体部3bが載置され、図示しないワイヤ等を利用して固定されている。
このように構成されたカンチレバーホルダ2は、図1に示すように、図示しない架台により試料Sの上方に固定されている。また、試料台4は、XYスキャナ20上に載置されており、XYスキャナ20はZスキャナ21上に載置されている。また、このZスキャナ21は、図示しない防振台上に載置されている。これらXYスキャナ20及びZスキャナ21は、例えば、圧電素子であり、それぞれXY駆動部22及びZ駆動部23から電圧を印加されて、それぞれの方向に微小移動するようになっている。すなわち、これらXYスキャナ20、Zスキャナ21、XY駆動部22及びZ駆動部23は、上記移動手段5を構成している。
また、カンチレバー2と、試料台4に載置された試料Sとの間には、所定の振幅で交流電圧を印加可能な電圧印加手段である交流信号発生器24が接続されている。交流信号発生器24は、カンチレバー3側で接地されていて、試料Sに周期的に交流電圧を印加することが可能である。さらに、試料台4に載置された試料Sの上方には、カンチレバー3と干渉しない位置において、静電ブロアー25が設けられている。静電ブロアー25は、試料台4に載置された試料表面S1に正負いずれかのイオン化したエアーを吹き付けることが可能であり、これにより試料表面S1を電気的に中和させることが可能である。
また、カンチレバーホルダ2の上方には、ミラー26を利用して、カンチレバー3の裏面に形成された図示しない反射面に向けてレーザ光Lを照射する光照射部27と、ミラー28を利用して、反射面で反射されたレーザ光Lを受光する光検出部29とが設けられている。なお、光照射部27から照射されたレーザ光Lは、ホルダ本体12の開口部12c内を通過しながら反射面に達し、反射面で反射された後、再度開口部12c内を通過して光検出部29に入射するようになっている。
また、光検出部29は、例えば、フォトディテクタであり、レーザ光Lの入射位置からカンチレバー3の振動状態(振幅)を検出する。そして、光検出部29は、検出したカンチレバー3の振動状態の変位をDIF信号としてプリアンプ30に出力している。即ち、これら光照射部26、ミラー25、27及び光検出部28は、上記測定手段6を構成している。
また、光検出部28から出力されたDIF信号は、プリアンプ30によって増幅された後、交流−直流変換回路31に送られて直流変換され、Z電圧フィードバック回路32に送られる。Z電圧フィードバック回路32は、直流変換されたDIF信号が常に一定となるように、Z駆動部23をフィードバック制御する。これにより、移動手段5により走査を行ったときに、探針3aと試料表面S1との距離を、カンチレバー3の振動状態が一定になるように、すなわち、振幅が一定となるように制御することができる。
また、このZ電圧フィードバック回路32には、制御部33が接続されており、該制御部33が、直流変換されたDIF信号に基づく試料Sの表面形状の測定、位相の変化に基づく各種の物性情報(例えば、磁気力や電位等)の測定など、試料表面の観測データを採取することができるようになっている。すなわち、これらZ電圧フィードバック回路32、制御部33は、上記制御手段8を構成している。なお、この制御手段8は、上記各構成品を総合的に制御する機能を有している。また、制御手段8の制御部33は、交流電圧発生器24によって所定に振幅の交流電圧を発生させるとともに、その際の測定手段6による検出結果に基づいて試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差を検出することが可能であり、さらに、その結果基づいて静電ブロアー25を駆動させることが可能である。以下に、制御手段8による電位差検出の手順、並びに、検出結果に基づく試料の観察手順の詳細について説明する。
まず、所望の試料Sを試料台4に配置するとともに、交流信号発生器24と接続する。そして、移動手段5のZ駆動部23を駆動させて、試料Sの観察を行う際の試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの距離を基準として、それよりも100nm程度下方に離隔した状態にする。次に、Qカーブ測定を行う。すなわち、加振源11による加振周波数を変化させて、カンチレバー3の共振周波数の測定を行う。制御部33は、この測定された共振周波数に基づいて後述交流電圧の周波数を決定する。そして、共振周波数の測定が完了したら、加振源11によるカンチレバー3の加振を停止し、振動が収まるのを待つ。
次に、電圧印加工程として、制御部33は、交流電源発生器24によって交流電圧を印加させる。印加する交流電圧の周波数を上記で確認した共振周波数よりも小さい周波数で印加させ、次第に周波数を大きくさせて共振周波数までスイープさせて行く。この交流電圧が印加されることによって、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間には電場が形成され、これによりカンチレバー3に静電引力が作用することとなる。この静電引力は、印加される交流電圧の絶対値の大きさに比例し、すなわち周期的に作用することとなり、これによってカンチレバー3は振動する。次に、検出工程として、交流電圧の周波数が共振周波数の1/2となる周波数におけるカンチレバー3の振動特性を検出する。すなわち、測定手段6の光検出部29において、カンチレバー3が振動することによって変化するレーザ光Lの入射位置から、カンチレバー3の振動波形を得て、振動特性として振幅を検出する。次に、制御部33は、解析工程として、検出された振幅の大きさと、予め設定された基準値Lとを比較して、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に電位差が生じていないかの判断を行う。
以下に、電圧印加工程で、共振周波数の1/2の周波数及び所定の振幅V1の条件で交流電圧を印加した場合に、測定手段6で検出されるカンチレバー3の振動状態の典型的な3つのパターンについて説明する。
<第1のパターン>
図2は、カンチレバー3と試料Sとの間に電位差が生じていない場合において、(a)測定手段6によって得られるカンチレバー3の振動波形、(b)その際に電圧信号発生器24によって交流電圧を印加することで、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じた電位差の波形を示している。
図2(b)に示すように、交流電圧が予め設定された周波数及び振幅V1で印加されていることで、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差は、+V1〜−V1の範囲で、カンチレバー3の共振周波数の1/2の周波数と対応する周期Tv1で、周期的に生じている。また、カンチレバー3に作用する静電引力は、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差の絶対値に比例するため、電位差の周期Tv1の1/2の周期Ta1、すなわちカンチレバー3の共振周波数で周期的に作用することになる。このため、図2(a)に示すように、カンチレバー3は、作用する静電引力によって共振状態となるため、共振周波数で、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差及び静電引力との位相差D1を約90度として、振幅A1を大きなものとして振動することとなる。
<第2のパターン>
図3は、カンチレバー3と試料Sとの間に初期状態で電位差P1が生じている場合において、(a)測定手段6によって得られるカンチレバー3の振動波形、(b)その際に電圧信号発生器24によって交流電圧を印加することで、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じた電位差の波形を示している。なお、図3は、電位差P1よりも振幅V1の方が小さかった場合について示している。
図3(b)に示すように、カンチレバー3と試料Sとの間には、電位差P1が生じた状態で、交流電圧が上記同様の周波数及び振幅V1で印加されている。このため、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差は、−V2a(=−P1+V1)〜−V2b(=−P1−V1)の範囲で、カンチレバー3の共振周波数の1/2の周波数と対応する周期Tv1で、周期的に生じている。本パターンでは、電位差P1よりも振幅V1の方が小さいため、常に負の電位差が周期的に生じた状態となっている。すなわち、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じる電位差によって周期的に作用する静電引力は、電位差−V2bの時のみ最大値を示すこととなり、印加される交流電圧の周期Tv1と等しい周期Ta2(=Tv1)、すなわちカンチレバー3の共振周波数の1/2の周波数で作用することになる。このため、図3(a)に示すように、カンチレバー3は、共振状態とならなく、共振周波数の1/2の周波数で、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差及び静電引力と、180度の位相差若しくは同じ位相で振動することとなる。そして、共振状態でないため、カンチレバー3の振幅A2は、図2に示す共振状態における振幅A1よりも極端に小さくなる。
<第3のパターン>
図4は、カンチレバー3と試料Sとの間に初期状態で電位差P2が生じている場合において、(a)測定手段6によって得られるカンチレバー3の振動波形、(b)その際に電圧信号発生器24によって交流電圧を印加することで試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じた電位差の波形を示している。なお、図4は、電位差P2よりも振幅V1の方が大きかった場合について示している。
図4(b)に示すように、カンチレバー3と試料Sとの間には、電位差P2が生じた状態で、交流電圧が上記同様の周波数及び振幅V1で印加されている。このため、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差は、+V3a(=−P1+V1)〜−V3b(=−P1−V1)の範囲で、カンチレバー3の共振周波数の1/2の周波数と対応する周期Tv1で、周期的に生じている。本パターンでは、電位差P2よりも振幅V1の方が大きいため、正負の電位差が周期的に生じるものの、正負いずれかに偏った範囲で周期的に生じた状態となっている。すなわち、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じる電位差によって周期的に作用する静電引力は、電位差+V3a、−V3bの時に極大値を示す一方、−V3bの時のみ最大値を示すこととなる。このため、印加される交流電圧の周期Tv1と等しい周期Ta2(=Tv1)、すなわちカンチレバー3の共振周波数の1/2の周波数で作用する一方、一周期において、電位差+V3a、−V3bと対応する位置で極大値を示すように作用することとなる。このため、図4(a)に示すように、カンチレバー3は、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差及び静電引力と、180度の位相差で若しくは同じ位相で振動するとともに、振動波形に振幅A3a、A3bと、異なる二つの波形の複合波が検出されることとなる。このような複合波は、二つの波形によって全体としては交流電圧の周波数の2倍の周波数、すなわち共振周波数で振動することになる。このため、カンチレバー3のQ値に対応した増幅を受け、カンチレバー3の振幅A3aは、図3に示す第2のパターンに比べて大きな振幅として検出される一方、完全な共振状態とはならないので図2に示す共振状態における振幅A1よりも極端に小さくなる。
すなわち、解析工程として、制御部33は、振幅V1を印加してカンチレバーが共振した時の第1のパターンの振幅A1と対応する基準値Lと、測定手段6によって検出されたカンチレバー3の振幅との比較を行う。そして、カンチレバー3の振幅が基準値L以上で有る場合には、カンチレバー3は共振状態であり、すなわち試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間には電位差が無いと判断することができる。そして、電位差が無いと判断した場合は、制御部33は、交流信号発振器24を停止させるとともに、加振電源7によって加振源11を起振させ、試料表面S1と探針3aとの距離を測定状態となる距離まで戻して試料Sの観察を開始する。
一方、カンチレバー3の振幅が基準値Lより小さい場合には、カンチレバー3は共振状態でなく、すなわち試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間には電位差があると判断する。そして、このような場合には、制御部33は、静電ブロアー25を駆動させて、試料表面S1の除去を行うことで、電位差の影響を受けずに試料Sの観察を行うことができるようになる。
図5及び図6は実際の測定結果を示している。図5は、カンチレバー3を加振源11によって周波数を変化させて加振させた場合において、加振周波数と、カンチレバー3の振動振幅との関係Q1、並びに、加振周波数と、交流電圧とカンチレバー3の振動との位相差との関係R1を示している。また、図6は、試料Sとカンチレバー3との間に、交流信号発生器24によって交流電圧を印加させた場合において、交流電圧の周波数と、カンチレバー3の振動振幅との関係M1、並びに、交流電圧の周波数と、交流電圧とカンチレバー3の振動との位相差との関係N1を示している。なお、これらの実験は、予め試料Sの帯電を除去し、試料Sとカンチレバー3との間に電位差が生じていないようにした上で行っている。
図5に示すように、加振源11による加振周波数を次第に大きくさせても、振幅は0.1V未満で推移し、また位相差も漸減するものの大きな変化を示さない。一方、71.733kHzとなる位置まで加振周波数を大きくすると、振幅は1V以上と極端に大きくなるとともに、位相差も極端に変化することが確認できる。これにより、このカンチレバー3の共振周波数は、71.733kHzであることが検出できる。一方、図6に示すように、交流電圧を印加させてカンチレバー3を振動させた場合、図5に示すような振幅及び位相差の大きな変化は、共振周波数の1/2の約35kHzの周波数で確認できた。これは、上記で示したように、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に電位差が生じていない状態で、交流電圧を共振周波数の1/2の周波数で印加した場合、静電引力が共振周波数と同じ周波数で周期的に作用することに起因する。
図7及び図8は、上記と異なる共振周波数を有するカンチレバー3について同様の実験を行った結果である。図7に示すように、加振周波数と、カンチレバー3の振動振幅との関係Q2、並びに、加振周波数と、交流電圧とカンチレバー3の振動との位相差との関係R2から、このカンチレバー3の共振周波数が、222.670kHzであることが確認できる。一方、図8に示すように、交流電圧の周波数と、カンチレバー3の振動振幅との関係M2、並びに、交流電圧の周波数と、交流電圧とカンチレバー3の振動との位相差との関係N2から、上記同様に、振幅及び位相差の大きな変化は、交流電圧が共振周波数の1/2の約110kHzの周波数で発生することが確認できた。
以上のように、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡1では、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差の有無を判断するために、電圧印加工程として交流電圧を印加し、検出工程としてカンチレバー3の振動振幅を検出し、解析工程として基準値Lと振幅の大きさを比較するだけである。このため、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差の有無を容易に判断することができるとともに、電位差が無い場合には共振状態となることで明確に識別することができ、正確な判断を行うことができる。また、このような電位差検出を、試料Sの観察に先立って行うことで、その後の試料の観測データの採取を正確に行うことが可能である。また、電圧印加工程において必要な構成としては、単に所定の振幅で交流電圧を印加するだけであるので公知の交流信号発生器を使用可能であり、また、検出工程おいて振幅の検出に必要な構成としては、試料表面S1の観察データ採取に使用する既存の測定手段6を使用するだけである。このため、簡易な構成として、装置コストの増大を抑えることができる。
なお、本実施形態においては、交流信号発生器24は、カンチレバー3と試料Sとに接続されるものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、図9(a)に示すように、試料Sが、導電性が良好で薄片状のものであれば、試料台4とカンチレバー3に接続するものとしても良い。また、カンチレバー3側で接地されるものとしたがこれに限るものでは無く、図9(b)に示すように、試料S側で接地する構成としても良い。さらに、図9(c)に示すように、接地を行わず、カンチレバー3及び試料S側の両側に電位を有する構成としても良い。また、カンチレバー3は、交流電圧を印加可能に形成されている必要があるが、ケルビンプローブフォース顕微鏡や走査型マクスウェル応力顕微鏡のように、表面に導電性の金属コートをする必要は無い。例えば、シリコン製のものでも良いし、あるいは、シリコンナイトライド製など絶縁材料で形成されていたとしても、測定手段6のレーザLを反射させる金属コートなど、一部に導電性を有していれば同様に電位差を検出することが可能である。
また、試料Sとカンチレバー3との間に交流電圧を印加する電圧印加手段として交流信号発生器24を設けるものとしたが、これに限ることは無い。図10は、電圧印加手段に関する変形例を示したものである。図10に示すように、本変形例の走査型プローブ顕微鏡40は、加振源11と加振電源7との間にスイッチ41が設けられている。スイッチ41は、加振電源7を加振源11に接続して交流電圧を印加させることが可能である一方、試料台4と接続した状態に切り替えることが可能である。このため、スイッチ41によって切り替えることで、加振電源11を電圧印加手段として使用し、試料Sとカンチレバー3との間に所定の振幅及び周波数で交流電圧を印加することが可能である。この場合既存の構成を使用できることで、装置コストの削減をさらに図ることができる。また、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡1は、DFMモードで測定可能なものとして説明したがこれに限るものではない。例えば、AFMモードなどで測定するものであったとしても、電圧印加手段及びカンチレバー3の振動状態を測定可能な測定手段6を備えていることで、同様に電位差を検出することができる。
また、検出工程においては、カンチレバー3の振動特性として、振幅の大きさを検出し、解析工程において振幅の大きさに基づいて電位差の有無の判断を行ったがこれに限るものでは無い。例えば、検出工程において、カンチレバー3の振動特性として、周波数を検出するものとしても良い。そして、解析工程において、検出された周波数が、カンチレバー3の共振周波数と略等しいかどうか判断すれば良い。すなわち、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に電位差が無い場合は、カンチレバー3は共振状態となるので、検出された周波数がカンチレバー3の共振周波数と略等しいことに基づいて、明確に判断することができる。一方、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に電位差が有る場合は、カンチレバー3は交流電圧と同じ周波数で振動することになるので、この事実に基づいて明確に判断することができる。この場合においても、既存の測定手段6によって測定することができ、簡易な構成で、容易かつ正確に電位差を検出することが可能である。
また、電圧印加工程において、印加する交流電圧はV1で一定としたがこれに限るものでは無く、変化させるものとしても良い。図11は、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じた電位差を検出する電位差検出方法の第1の変形例で、検出工程においてカンチレバー3の振動波形として図4(a)に示すような複合波が検出された場合に交流電圧を変化させた例を示している。なお、上述のように図4(a)に示すように第3のパターンとして複合波が発生する場合、その振幅A3aは、第1のパターンの共振状態における振幅A1よりも極端に小さく、第2のパターンの共振状態における振幅A2よりも大きい値となる。このため、一般的な走査型プローブ顕微鏡で、波形自体や周波数を検出することができない構成であったとしても、振幅を検出する構成は標準装備されていることから、振幅の大小によって複合波を検出することは可能である。そして、カンチレバー3の振動波形として複合波が検出された場合、制御部33は交流電圧の振幅を漸減して、電圧印加工程、検出工程、及び解析工程を繰り返し行っていく。このようにして、最初の検出工程で交流電圧の振幅が、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間の電位差P4よりも大きく複合波が検出されたとしても、その後の振幅をV4と小さくすることで、図11に示すようにカンチレバー3の振動を単振動とすることができ、より明確な判断を行うことが可能となる。特に、振動特性として周波数を検出する場合については効果的な手法である。
図12は、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じた電位差を検出する電位差検出方法の第2の変形例を示している。図12に示すように、最初の電圧印加工程で、振幅V5の交流電圧E5を印加し、カンチレバー3の振動波形F5から検出される振動特性から解析工程において電位差が有ると判断したとする。この場合、制御部33は、交流電圧の振幅を振幅V5から漸増させて、電圧印加工程、検出工程、及び解析工程を繰り返し行い、制御部33は、解析工程において、カンチレバー3の振動波形に、振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には電位差の検出を終了させる。図12に示すように、印加する交流電圧は、振幅をV6、V7と大きくすることで、振幅V6の交流電圧E6よりも振幅の大きい振幅V7の交流電圧E7においては複合波F7が検出されることになる。すなわち、解析工程において、制御部33が複合波を検出した場合、つまり図12において振幅V6より大きくした場合に電位差の検出を終了させ、最後の電位差検出工程で印加した交流電圧E6の振幅V6を抽出することで、振幅V6と試料表面S1とカンチレバー3の探針3の電位差P5は略等しくなり、電位差P5を定量的に検出することができる。
図13から図15は、電位差検出方法の第3の変形例を示していて、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの距離を変化させた場合について示している。図13に示すように、試料Sを初期位置B1として測定したとする。図14において、交流電圧E8、振動波形F8は、初期位置B1とした場合の検出結果を示している。そして、振動波形F8の振幅A8が小さく、検出工程において振幅を検出できなかったとする。このような場合、制御部33は、図13に示すようにZ駆動部23を駆動させて、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの距離を縮めさせて試料Sを位置B2に設定する。このようにして、再度電圧印加工程で、交流電圧E8を印加すれば、同じ振幅V8でも作用する静電引力は大きくなる。このため、得られる振動波形F9の振幅A9は、振動波形F8の振幅A8よりも大きなものとなり、検出工程において振幅を正確に検出し、解析工程において電位差の有無を正確に判断することが可能となる。図15は、初期状態の電位差よりも大きな振幅で交流電圧を印加した場合を示しているが、この場合においても同様に、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの距離を縮めることによって、カンチレバー3の振動波形F10から振動波形F11へと明確となり、電位差の有無を正確に判断することができる。特に、形状、材質によって剛性の高いカンチレバーは変形しにくく振幅が小さくなるが、このようなカンチレバーにおいても本変形例の手法により電位差を正確に検出することが可能となる。
ここで、図13において、カンチレバー3の探針3aと試料表面S1との離間距離Hは、1mm以下に設定することが好ましい。制御部33が、電圧印加工程を開始するに際して、移動手段5のZスキャナ21を駆動してカンチレバー3の探針3aと試料表面S1との離間距離Hを1mm以下に設定することで、上記のように精度良く電位差を検出することができる。また、制御部33は、電圧印加工程を開始するに際して、カンチレバー3の探針3aの位置を、試料表面S1を測定することが可能な測定位置に設定した後に、測定位置を基準として、予め設定された距離だけ試料表面S1に対してカンチレバー3の探針3aを離間させるものとしても良い。このようにすることで、再現良く電位差を検出することができる。なお、移動手段5として圧電素子を使用していることで、カンチレバー3の探針3aと試料表面S1との離間距離を精度良く設定し、良好な再現性を期待することができる。
(第2の実施形態)
図16から図19は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図16に示すように、この実施形態の走査型プローブ顕微鏡50は、電圧印加手段51として、試料Sとカンチレバー3との間に、交流信号発生器24ととともに直流電源52が接続されている。このため、電圧検出工程において、電圧印加手段51によって交流電圧とともに直流電圧を重畳させて印加させることが可能である。次に、走査型プローブ顕微鏡50における、電位差の検出方法並びに検出結果の基づく試料の観察方法について、説明する。
まず、図17に示すように、直流電圧を印加させずに交流電圧のみを印加させる。この時の交流電圧の振幅をV10とし、初期状態の電位差P10は振幅V10よりも大きかったとする。このため、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じる電位差は、−V11a(=−P10+V10)〜−V11b(=−P10−V10)の間で負電圧のみが周期的に生じる。このため、検出工程で得られた検出結果から、解析工程において制御部33は、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に電位差があると判断し、次に、交流電圧に直流電圧を重畳させて印加して、電圧印加工程、検出工程、及び解析工程を繰り返し行う。そして、制御部33は、直流電源52による直流電圧の大きさを漸次変化させて、カンチレバー3の振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には電位差の検出を終了させる。
図18及び図19に示すように、印加する直流電圧の大きさをW12、W13と大きくすることで、交流電圧の振幅と直流電圧との和が電位差P10よりも大きくなる図19の直流電圧W13においては、複合波F12が検出されることになる。すなわち、解析工程において、制御部33が複合波を検出した場合、つまり図18に示す直流電圧W12より大きくした場合には電位差の検出を終了させ、最後の電位差検出工程で印加した交流電圧の振幅V10と直流電圧W12との和を抽出することで、この和と試料表面S1とカンチレバー3の探針3の電位差P10は略等しくなり、電位差P10を定量的に検出することができる。
次に、制御部33は、電圧印加手段51の内、交流信号発生器23を停止させるとともに、直流電源52によって印加する直流電圧を、検出された電位差P10と絶対値を等しくして正負異なる大きさに設定する。これにより、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じていた電位差P10はキャンセルされた状態となる。このため、この状態で加振源11を加振させて試料Sの観測データの採取を開始すれば、電位差の影響を受けることなく観察することが可能であり、試料Sを正確に観察することができる。
図20は、本実施形態における試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じた電位差を検出する電位差検出方法の変形例である。図20に示すように、電位差P10と略等しい直流電圧W14が印加された場合には、電位差P10はキャンセルされて、カンチレバー3の探針3aと試料表面S1との間には、交流電圧のみによって電位差が生じる状態となる。このため、カンチレバー3は、共振状態となり、その振幅A14は、極大値を示す。すなわち、制御部33は、図19に示すような複合波F12が検出された場合には、直流電源52による直流電圧の大きさをさらに漸次変化させる。そして、測定手段6によって検出される振幅が極大値を示した場合、制御部33は、その時の直流電圧W14を抽出することで、電位差P10を定量的に検出することができる。
次に、制御部33は、電圧印加手段51の内、交流信号発生器23を停止させるとともに、直流電源52によって印加する直流電圧を、カンチレバー3の振幅A14が極大値を示した際に印加した直流電圧W14に設定する。これにより、試料表面S1とカンチレバー3の探針3aとの間に生じていた電位差P10はキャンセルされた状態となる。このため、この状態で加振源11を加振させて試料Sの観測データの採取を開始すれば、電位差の影響を受けることなく観察することが可能であり、試料Sを正確に観察することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
この発明の第1の実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成図である。 この発明の第1の実施形態の第1のパターンとして、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の第2のパターンとして、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の第3のパターンとして、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の第1の実験結果として、加振周波数と、カンチレバーの振動振幅、並びに、交流電圧とカンチレバーの振動の位相差との関係を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の第1の実験結果として、交流電流の周波数と、カンチレバーの振動振幅、並びに、交流電圧とカンチレバーの振動の位相差との関係を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の第2の実験結果として、加振周波数と、カンチレバーの振動振幅、並びに、交流電圧とカンチレバーの振動の位相差との関係を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の第2の実験結果として、交流電流の周波数と、カンチレバーの振動振幅、並びに、交流電圧とカンチレバーの振動の位相差との関係を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の電圧印加手段の接続方法の変形例を示す模式図である。 この発明の第1の実施形態の走査型プローブ顕微鏡の変形例の構成図である。 この発明の第1の実施形態の電位差検出方法の第1の変形例の(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の電位差検出方法の第2の変形例の(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の電位差検出方法の第3の変形例の試料とカンチレバーとの位置関係を示す側面図である。 この発明の第1の実施形態の電位差検出方法の第3の変形例の(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第1の実施形態の電位差検出方法の第3の変形例の(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第2の実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成図である。 この発明の第2の実施形態の第1のパターンとして、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第2の実施形態の第2のパターンとして、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第2の実施形態の第3のパターンとして、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。 この発明の第2の実施形態の電位差検出方法の変形例として、(a)カンチレバーの振動波形、(b)試料表面とカンチレバーの探針との間の電位差の波形を示すグラフである。
符号の説明
1、 40、50 走査型プローブ顕微鏡
3 カンチレバー
3a 探針
3b 本体部
4 試料台
5 移動手段
6 測定手段
7 加振電源
8 制御手段
10 載置台
11 加振源
24 交流信号発生器(電圧印加手段)
25 静電ブロアー
41 スイッチ
51 電圧印加手段
52 直流電源
S 試料
S1 試料表面

Claims (21)

  1. 先端に探針を有し、基端の本体部で載置台に片持ち状に支持されたカンチレバーと、該カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台とを備えた走査型プローブ顕微鏡で、前記試料の表面の観測データを採取する前に、前記試料の表面と前記カンチレバーの前記探針との間に生じる電位差を検出する電位差検出方法であって、
    前記試料と前記カンチレバーとの間に、前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の交流電圧を印加する電圧印加工程と、
    該電圧印加工程に伴って前記カンチレバーの振動特性を検出する検出工程と、
    該カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断する解析工程と、を備え、
    前記検出工程は、前記カンチレバーの振動特性として、前記電圧印加工程において前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の前記交流電圧を印加したときの前記カンチレバーの振動振幅の大きさを検出するとともに、
    前記解析工程は、検出された前記カンチレバーの振動振幅が所定の大きさよりも大きく、該カンチレバーが共振している場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が無いと判断することを特徴とする電位差検出方法。
  2. 先端に探針を有し、基端の本体部で載置台に片持ち状に支持されたカンチレバーと、該カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台とを備えた走査型プローブ顕微鏡で、前記試料の表面の観測データを採取する前に、前記試料の表面と前記カンチレバーの前記探針との間に生じる電位差を検出する電位差検出方法であって、
    前記試料と前記カンチレバーとの間に、前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の交流電圧を印加する電圧印加工程と、
    該電圧印加工程に伴って前記カンチレバーの振動特性を検出する検出工程と、
    該カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断する解析工程と、を備え、
    前記検出工程は、前記カンチレバーの振動特性として、前記電圧印加工程において前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の前記交流電圧を印加したときの前記カンチレバーの振動振幅の大きさを検出するとともに、
    前記解析工程は、検出された前記カンチレバーの振動振幅が所定の大きさよりも小さく、該カンチレバーが共振していない場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断することを特徴とする電位差検出方法。
  3. 先端に探針を有し、基端の本体部で載置台に片持ち状に支持されたカンチレバーと、該カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台とを備えた走査型プローブ顕微鏡で、前記試料の表面の観測データを採取する前に、前記試料の表面と前記カンチレバーの前記探針との間に生じる電位差を検出する電位差検出方法であって、
    前記試料と前記カンチレバーとの間に、前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の交流電圧を印加する電圧印加工程と、
    該電圧印加工程に伴って前記カンチレバーの振動特性を検出する検出工程と、
    該カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断する解析工程と、を備え、
    前記検出工程は、前記カンチレバーの振動特性として、前記電圧印加工程において前記カンチレバーの共振周波数の1/2となる周波数の前記交流電圧を印加したときの前記カンチレバーの振動周波数を検出するとともに、
    前記解析工程は、検出された前記カンチレバーの振動周波数が該カンチレバーの共振周波数で無く、該カンチレバーが共振していない場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断することを特徴とする電位差検出方法。
  4. 請求項1から請求項のいずれ1項に記載の電位差検出方法において、
    前記解析工程で前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断した場合には、前記電圧印加工程の前記交流電圧の振幅を漸増して、前記電圧印加工程、前記検出工程、及び前記解析工程を繰り返し行い、
    該解析工程は、前記検出工程で前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、最後の前記電圧印加工程で印加した前記交流電圧の振幅の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することを特徴とする電位差検出方法。
  5. 請求項1から請求項のいずれ1項に記載の電位差検出方法において、
    前記解析工程で前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断した場合には、前記電圧印加工程の前記交流電圧とともに直流電圧を印加し該直流電圧を漸次変化させて前記電圧印加工程、前記検出工程、及び前記解析工程を繰り返し行い、
    該解析工程は、前記検出工程で前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、最後の前記電圧印加工程で印加した前記直流電圧の大きさと前記交流電圧の振幅の大きさの和を、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することを特徴とする電位差検出方法。
  6. 請求項1から請求項のいずれ1項に記載の電位差検出方法において、
    前記解析工程で前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差を有していると判断した場合には、前記電圧印加工程の前記交流電圧とともに直流電圧を印加し該直流電圧を漸次変化させて前記電圧印加工程、前記検出工程、及び前記解析工程を繰り返し行い、
    該解析工程は、前記検出工程で前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された後に、さらに前記電圧印加工程で前記直流電圧を変化させて前記検出工程で検出される前記カンチレバーの振動振幅が極大値を示した場合には、該極大値を示した際に電圧印加工程で印加した前記直流電圧の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することを特徴とする電位差検出方法。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電位差検出方法において、
    前記電圧印加工程を開始するに際して、前記カンチレバーの前記探針と前記試料の表面との離間距離を1mm以下に設定することを特徴とする電位差検出方法。
  8. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電位差検出方法において、
    前記電圧印加工程を開始するに際して、前記カンチレバーの前記探針の位置を、前記試料の表面の観測データを採取することが可能な観察位置に設定した後に、該観察位置を基準として、予め設定された距離だけ前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させることを特徴とする電位差検出方法。
  9. 請求項に記載の電位差検出方法において、
    前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させる場合には、前記試料と前記カンチレバーとを相対的に移動させる移動手段として予め設けられた圧電素子の変形を用いて行うことを特徴とする電位差検出方法。
  10. 先端に探針を有するカンチレバーと、
    該カンチレバーの基端の本体部で、該カンチレバーを片持ち状に支持する載置台と、
    前記カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台と、
    前記試料と前記カンチレバーとを相対的に移動させる移動手段と、
    前記カンチレバーの変位及び振動特性を検出可能な測定手段と、
    該測定手段による検出結果に基づいて前記試料の表面の観測データを採取する制御手段と、
    前記試料と前記カンチレバーとの間に、交流電圧を印加可能な電圧印加手段とを備え、
    前記制御手段は、前記試料の表面の前記観測データの採取に先立って、前記電圧印加手段によって前記カンチレバーの共振周波数の1/2の周波数で前記交流電圧を印加させるとともに、前記測定手段によって検出した前記カンチレバーの前記振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断し、該電位差が無いと判断した場合に前記観測データの採取を開始するものであり、
    前記測定手段は、前記カンチレバーの振動特性として、前記電圧印加手段によって前記カンチレバーの共振周波数の1/2の周波数で前記交流電圧を印加させたときの前記カンチレバーの振動振幅の大きさを検出可能であり、
    前記制御手段は、前記カンチレバーの振動振幅が所定の大きさ以上であり、前記カンチレバーが共振している場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が無いと判断して、前記観測データの採取を開始することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  11. 先端に探針を有するカンチレバーと、
    該カンチレバーの基端の本体部で、該カンチレバーを片持ち状に支持する載置台と、
    前記カンチレバーの前記探針と対向するように試料を載置する試料台と、
    前記試料と前記カンチレバーとを相対的に移動させる移動手段と、
    前記カンチレバーの変位及び振動特性を検出可能な測定手段と、
    該測定手段による検出結果に基づいて前記試料の表面の観測データを採取する制御手段と、
    前記試料と前記カンチレバーとの間に、交流電圧を印加可能な電圧印加手段とを備え、
    前記制御手段は、前記試料の表面の前記観測データの採取に先立って、前記電圧印加手段によって前記カンチレバーの共振周波数の1/2の周波数で前記交流電圧を印加させるとともに、前記測定手段によって検出した前記カンチレバーの前記振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断し、該電位差が無いと判断した場合に前記観測データの採取を開始するものであり、
    前記測定手段は、前記カンチレバーの振動特性として、前記電圧印加手段によって前記カンチレバーの共振周波数の1/2の周波数で前記交流電圧を印加させたときの前記カンチレバーの振動周波数を検出可能であり、
    前記制御手段は、前記カンチレバーの振動周波数が該カンチレバーの共振周波数であり、該カンチレバーが共振している場合に、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が無いと判断して、前記観測データの採取を開始することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  12. 請求項10または請求項11に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記制御手段は、前記カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合には、前記電圧印加手段によって印加される前記交流電圧の振幅を漸増させて、繰り返し前記測定手段によって前記カンチレバーの振動特性を検出させ、前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、前記電圧印加手段によって最後に印加した前記交流電圧の振幅の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  13. 請求項10または請求項11に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記電圧印加手段は、前記交流電圧に、直流電圧を重畳させて印加可能であり、
    前記制御手段は、前記カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合には、前記電圧印加手段によって前記交流電圧とともに前記直流電圧も印加し、該直流電圧を漸次変化させて、繰り返し前記測定手段によって前記カンチレバーの振動特性を検出させ、前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された場合には、前記電圧印加手段によって最後に印加した前記直流電圧の大きさと前記交流電圧の振幅の大きさの和を、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  14. 請求項13に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記制御手段は、前記直流電圧の大きさと前記交流電圧の振幅の大きさの和を、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出した場合には、前記電圧印加手段によって該電位差と絶対値を等しくして正負異なる直流電圧を印加させた状態で、前記観測データの採取を開始することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  15. 請求項10または請求項11に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記電圧印加手段は、前記交流電圧に、直流電圧を重畳させて印加可能であり、
    前記制御手段は、前記カンチレバーの振動特性に基づいて、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合には、前記電圧印加手段によって前記交流電圧とともに前記直流電圧も印加し、該直流電圧を漸次変化させて、繰り返し前記測定手段によって前記カンチレバーの振動特性を検出させ、前記カンチレバーの振動波形に振幅の異なる複数の波形の複合波が検出された後に、さらに前記電圧印加手段で前記直流電圧を変化させて検出される前記カンチレバーの振動振幅が極大値を示した場合には、該極大値を示した際に前記電圧印加手段によって印加した前記直流電圧の大きさを、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  16. 請求項15に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記制御手段は、前記直流電圧の大きさを前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差として抽出した場合には、前記電圧印加手段によって該直流電圧を印加させた状態で、前記観測データの採取を開始することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  17. 請求項10から請求項16のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記制御手段は、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断するために前記電圧印加手段によって前記交流電圧を印加する場合には、前記移動手段によって前記カンチレバーの前記探針と前記試料の表面との離間距離を1mm以下に設定させることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  18. 請求項10から請求項17のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記制御手段は、前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間の電位差の有無を判断するために前記電圧印加手段によって前記交流電圧を印加する場合には、前記移動手段によって、前記カンチレバーの前記探針の位置を、前記試料の表面の観測データを採取することが可能な観察位置に設定した後に、該観察位置を基準として、予め設定された距離だけ前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  19. 請求項18に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記移動手段は、電圧を印加することで変形可能な圧電素子であり、
    該圧電素子の変形によって前記試料の表面に対して前記カンチレバーの前記探針を離間させることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  20. 請求項10から請求項19のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    交流電圧を印加することによって振動し、所定の周波数で前記カンチレバーを振動させる加振源と、
    交流電圧を印加可能な加振電源と、
    該加振電源を、前記加振源に交流電圧を印加可能な状態と、前記電圧印加手段として前記試料と前記カンチレバーとの間に交流電圧を印加可能な状態とに切り替え可能に接続するスイッチとを備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  21. 請求項10から請求項20のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記試料の帯電を除去する帯電除去手段を備え、
    前記制御手段は、前記試料の前記試料の前記表面と前記カンチレバーの前記探針との間に電位差が有ると判断した場合は、前記帯電除去手段を駆動させることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
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