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JP4833015B2 - 液晶スイッチングセパレータを有するイオントフォレーシス用電極構造体およびそれを用いたイオントフォレーシス装置 - Google Patents
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JP4833015B2 - 液晶スイッチングセパレータを有するイオントフォレーシス用電極構造体およびそれを用いたイオントフォレーシス装置 - Google Patents

液晶スイッチングセパレータを有するイオントフォレーシス用電極構造体およびそれを用いたイオントフォレーシス装置 Download PDF

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本発明は、イオントフォレーシス(iontophoresis)によって各種イオン性薬物を経皮的に投与する技術(経皮ドラッグデリバリー)に関し、特に、イオントフォレーシスに用いる電極構造体およびそれを用いたイオントフォレーシス装置に関するものである。
生体の所定部位の皮膚ないし粘膜(以下、単に「皮膚」という)の表面上に配置されたイオン性薬物に対してこのイオン性薬物を駆動させる起電力を皮膚に与えて、薬物を皮膚を介して体内に導入(浸透)させる方法は、イオントフォレーシス(iontophoresis、イオントフォレーゼ、イオン導入法、イオン浸透療法)と呼ばれている(特許文献1等参照)。
たとえば、正電荷をもつイオンは、イオントフォレーシス装置の電気系統のアノード(陽極)側において皮膚内に駆動(輸送)される。一方、負電荷をもつイオンは、イオントフォレーシス装置の電気系統のカソード(陰極)側において皮膚内に駆動(輸送)される。
上記のようなイオントフォレーシス装置としては従来多くの提案がなされている。(たとえば、特許文献1〜7参照)。この中には、イオントフォレーシス用電極構造体として、電極、電解液保持部、イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜、イオン性薬物を含浸保持する薬液保持部、およびイオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜を積層した電極構造体を提案するものがある。
しかしながら、この電極構造体では、製造した後、使用までの間に、上記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜を介して、電解液中の成分や薬液中の成分(主にイオン性薬物と反対の極性のイオン成分)が移動することがあり、電解液中の成分や薬液中の成分によっては、悪影響(例えば、薬物成分の変質、薬物の安定性の低下、薬物放出可能量の低下や、異種イオンが混入することによる輸率の低下等)が生ずることがある。
従って、イオントフォレーシス用電極構造体の使用時までは、電解液と薬液との間の物質移動を防止し、使用時には一定の物質の移動を可能とすることは重要な課題である。
特開昭63−35266号 特開平4−297277号 特開2000−229128号 特開2000−229129号 特開2000−237327号 特開2000−237328号 国際公開WO03/037425A1 特開昭62−261951号 特開2003−149193号
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、イオントフォレーシス用電極構造体の使用時までは、電解液と薬液との間の物質移動を防止し、使用時には一定の物質の移動を可能とするセパレータを設けたイオントフォレーシス用電極構造体およびそれを用いたイオントフォレーシス装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明によるイオン性薬物を保持するイオントフォレーシス用電極構造体は、電極構造体中の前記イオン性薬物と同種の極性の電源装置に接続される電極と、該電極に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部と、該電解液保持部に隣接して配置された前記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜と、該イオン交換膜に隣接して配置された前記イオン性薬物を含浸保持する薬液保持部と、該薬液保持部に隣接して配置された、前記イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜、とから少なくともなり、前記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して、液晶の配向変化により物質の透過と物質の遮断を切り替えることのできる、液晶スイッチングセパレータが配置されてなることを特徴とするものである。
本発明の好ましい態様においては、前記セパレータが、電極構造体製造時及び保存時は物質移動を遮断するが、電圧印加または温度変化によって、液晶の配向が変化して物質の透過を許容するようになるものである。
本発明の他の好ましい態様においては、前記セパレータが、6V以上の電圧印加により液晶の配向が変化して物質の透過を許容するようになるものである。
本発明の別の他の好ましい態様においては、前記セパレータが、30℃以上の加温により液晶の配向が変化して物質の透過を許容するようになるものである。
そして、本発明によるイオントフォレーシス装置は、電源装置と、該電源装置に接続され、かつ上記イオン性薬物を保持する電極構造体を1以上含む2以上の電極構造体を含んでなる薬物投与手段と、前記電極構造体へ流れる電流を制御するための電流制御手段とを備え、前記電流制御手段から流れる電流に応じて、前記電極構造体から、イオン性薬物を放出して生体へ経皮的に投与するようにしたことを特徴とするものである。
別の本発明によるイオン性薬物を保持するイオントフォレーシス用電極構造体は、イオン性薬物を保持するイオントフォレーシス用電極構造体であって、電極構造体中の前記イオン性薬物と同種の極性の電源装置に接続される電極と、該電極に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部と、該電解液保持部に隣接して配置された前記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜と、該イオン交換膜に隣接して配置された前記イオン性薬物を含浸保持する薬液保持部と、該薬液保持部に隣接して配置された、前記イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜、とから少なくともなり、前記イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して、液晶の配向変化により物質の透過と物質の遮断を切り替えることのできる、液晶スイッチングセパレータが配置されてなることを特徴とするものである。
このように本発明によるイオントフォレーシス用電極構造体においては、イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して、液晶の配向変化により物質の透過と物質の遮断を切り替えることのできる、液晶スイッチングセパレータを配置したので、イオントフォレーシス用電極構造体の使用時までは、電解液と薬液との間の物質移動を防止し、使用時には一定の物質の移動が可能となる。
以下、本発明を図面に例示した好ましい具体例に基づいて説明する。
図1に示す態様は、皮膚S上に配置された、本発明の好適態様によるイオントフォレーシス用電極構造体A1の使用状態の模式図である。この電極構造体A1は、イオントフォレーシス装置においてイオン性薬物を経皮的に投与するための作用側電極構造体として用いられる。イオントフォレーシス用電極構造体A1は、イオン性薬物の電荷と同種の極性の電源装置に電線を介して接続される電極11と、電極11に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部12と、電解液保持部12に隣接して配置された液晶スイッチングセパレータF1と、セパレータF1に隣接して配置されたイオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜13と、イオン交換膜13に隣接して配置された、イオン性薬物を含浸保持する薬液保持部14と、薬液保持部14に隣接して配置された、イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜15とを備え、その全体はカバー16によって収容されている。
図2は、本発明の好適態様によるイオントフォレーシス用電極構造体(作用側電極構造体)A1と、電源装置Cと、イオントフォレーシス用電極構造体A1の対電極としての非作用側電極構造体B1とを備えたイオントフォレーシス装置X1が、皮膚S上に配置された状態を示す模式図である。
イオントフォレーシス用電極構造体A1は、電線を介し、電源装置Cにおけるイオン性薬物と同種の極性側に接続されている。また、非作用側電極構造体B1は、電線を介して電源装置Cにおけるイオン性薬物と反対の極性側に接続された電極21と、電極21に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部22と、電解液保持部22に隣接して配置されたイオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜23と、イオン交換膜23に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部24と、電解液保持部24に隣接して配置されたイオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜25とを備え、その全体はカバー16に収容されている。なお、上記非作用側電極構造体B1は、一つの好ましい態様として例示されるものであり、上記態様に限定されない。また、図2では、イオントフォレーシス用電極構造体A1が電源装置Cの+側、非作用側電極構造体B1が電源装置Cの−側に接続されているが、イオン性薬剤の極性に応じ、これが逆となることも当然あり得る。
イオントフォレーシス装置X1にあっては、電源装置Cによってイオン性薬物を保持する電極構造体A1に通電した場合、イオン性薬物は、電場(電界)により電極の反対側へ電気泳動により移動し、イオン交換膜15を介して経皮的に生体へ投与される。この際、電極側に配置されたイオン交換膜13は、イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するため、イオン性薬物の電極側への移動を防ぎ、一方、皮膚上に配置されたイオン交換膜15は、イオン性薬物と同極性のイオンを選択するため、イオン性薬物を効率的に放出し、皮膚Sに高い輸送効率にてイオン性薬物を投与することが可能となる。さらに、本発明における電極構造体は、上述のような構成を有することにより、電気化学反応に基づく皮膚のダメージを防止し、イオン性薬物の安全な投与を可能とする。また、イオントフォレーシス装置における好ましい通電条件としては、例えば、以下の条件が採用される。定電流条件、具体的には0.1〜0.5mA/cm、好ましくは0.1〜0.3mA/cm。上記定電流を実現させかつ安全な電圧条件、具体的には50V以下、好ましくは30V以下。
本発明においては、作用側電極構造体、非作用側電極構造体のいずれについても複数の電極構造体を含んで構成することができる。その場合、複数種類のイオン性薬物を1つの作用側電極構造体に保持させてもよい。さらに、極性の異なる複数のイオン性薬物を投与する場合には、アノード側に作用側電極構造体と非作用側電極構造体を設け、カソード側にも作用側電極構造体と非作用側電極構造体を設けることもできる。
また、複数の電極構造体を薬物投与手段として構成し、一つのパッケージに集合させて取り扱いの便宜等を図ってもよい。この場合のパッケージに用いられる材料は、イオン性薬物の投与に影響を与えない限り特に限定されず、例えば、医療機器用ポリオレフィン等が挙げられる。さらに、薬物を所定時間に所定量確実に投与するために電流制御手段を設けてもよく、この薬物投与手段、電流制御手段および電源装置を、例えば、電源装置をボタン電池とし、電流制御手段を集積回路として構成して小型化することにより、薬物投与手段と、電流制御手段と、電源装置とを一体に構成するようにしてもよい。
電極構造体に使用されるセパレータは、液晶の配向変化により物質の透過と物質の遮断を切り替えることのできる、液晶スイッチングセパレータであり、イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して設けられる。図1ではイオン交換膜13の電解液保持部12側に隣接して、セパレータF1が設けられているが、薬液保持部14側あるいは両側に設けてもよい。
別の本発明の態様にあっては、液晶スイッチングセパレータをイオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して設けることもできる。このようにすることで、薬物の投与自体をセパレータによって制御でき、必要なときのみ薬物通過を許容し、効率的な薬物投与をより確実に実現できる。
このセパレータは、好ましくは液晶性物質と樹脂マトリックスから形成されており、電極構造体製造時及び保存時は物質移動を遮断するが、一定の刺激によって、液晶の配向が変化し、物質の透過を許容するものである。この透過が許容される物質としては、少なくとも、イオン交換膜を通過することが予定されたイオンが含まれればよく、その他の物質を通過させてもよい。このようなセパレータを設けることで、イオントフォレーシス用電極構造体の使用時までは、電解液と薬液との間の物質移動を防止し、使用時には物質の移動を可能とすることができるので、製造後使用までの間に、イオン交換膜を介して電解液中の成分や薬液中の成分(主にイオン性薬物と反対の極性のイオン成分)が移動することによる悪影響を防ぐことができる。
上述の液晶の配向を変化させる一定の刺激としては、電気刺激や熱(温度)が挙げられる。例えば、電圧が加えられない状態では物質透過を遮断するが、6V以上の電圧印加により配向変化により物質透過を許容する樹脂を用いると、電極構造体を保管している間は物質透過を遮断するが、イオントフォレーシスにより薬物投与を開始すべく電圧を印加した場合には、物質透過させるセパレータとすることができる。また、例えば、30℃未満では物質透過を遮断するが、30℃以上の加温により液晶配向の変化により物質透過の許容する樹脂を用いると、電極構造体を冷所に保管している間は物質透過を遮断するが、電極構造体を生体に装着した場合には、体温による加温で物質透過させるセパレータとすることができる。
液晶配向の一定の刺激による変化は、可逆的でも不可逆的であってもよい。不可逆的な配向変化をする液晶材料を用いた場合は、薬物などの電極構造体の構成物質がその一定の刺激に耐えられる限り、生体装着時に適用できない強度な刺激を一度与えることにより、セパレータの物質透過を許容できるようになる。例えば、使用直前に一度100Vの電圧を印加してセパレータの物質透過を許容させたり、使用直前に一度40℃に加温してセパレータの物質透過を許容させたりした後、生体に装着してイオントフォレーシスにより薬物投与を開始することができる。可逆的な配向変化をする液晶材料を用いた場合は、断続的な薬物投与を行う場合に、投与時のみセパレータの物質透過を許容するようにすることができる。
本発明におけるセパレータに用いることのできる液晶としては、所定の条件で一定の物質が透過するように配向が変化する液晶物質であれば特に限定されないが、例えば、液晶を用いたセパレータの材料としては、特開昭62−261951号公報に記載のような高分子複合膜すなわち、ポリカーボネート(PC)と、N−(4−エトキシベンジリデン)−4−ブチルアニリン(EBBA)および、クラウン(チオ)エーテル(例えば4‘−(N−ブチリル)−4’−(N−1”H,1”H,2”H,2”H,3”H,3”H−パーフルオロウンデシル)−アミノベンゾ−15−クラウン−5等)の複合体が挙げられる。
セパレータの形状としては、例えば厚み1μm〜1mm、のものが挙げられる。
電極構造体に使用される電極としては、たとえば、炭素、白金のような導電性材料からなる不活性電極が好ましく用いられ得る。
電極構造体に使用される電解液保持部としては、電解液を含浸保持する特性を有する薄膜体で構成することができる。なお、この薄膜体は、後述するイオン性薬物を含浸保持するための薬液保持部に使用される材料と同種のものが使用可能である。電解液としては、適用する薬物等の条件に応じて適宜所望のものが使用できるが、電極反応により生体の皮膚に障害を与えるものは回避すべきである。本発明において好適な電解液としては、生体の代謝回路において存在する有機酸やその塩は無害性という観点から好ましい。たとえば、乳酸、フマル酸等が好ましく、具体的には、1Mの乳酸と1Mのフマル酸ナトリウムの1:1比率の水溶液が好ましい。このような電解液は、水に対する溶解度が高く、電流をよく通すものであり、定電流で電流を流した場合、電気抵抗が低く電源装置におけるpHの変化も比較的小さいため好ましい。
一般には、電解液は、薬物と相互作用を生じないものが好ましい。しかしながら、本発明では、電解液が、例えば薬物成分の変質、薬物の安定性の低下、薬物放出可能量の低下や、異種イオンが薬液に混入することによる輸率の低下等の薬物との相互作用を生じるものであっても好適に用いることができる点で優れている。
薬液保持部は、イオン性薬物を含浸保持する薄膜体により構成される。このような薄膜体としては、イオン性薬物を含浸し保持する能力が充分であり、所定の電場条件のもとで含浸保持したイオン性薬物を皮膚側へ移行させる能力(イオン伝達性、イオン導電性)が充分であることが重要である。良好な含浸保持特性と良好なイオン伝達性の双方を具備する材料としては、アクリル系樹脂のヒドロゲル体(アクリルヒドロゲル膜)、セグメント化ポリウレタン系ゲル膜、あるいはゲル状固体電解質形成用のイオン導電性多孔質シート等を挙げることができる(例えば特開昭11−273452に開示された、アクリロニトリルが50モル%以上、好ましくは70〜98モル%以上であり、空隙率が20〜80%であるアクリルニトリル共重合体をベースにした多孔質重合体)等を挙げることができる。また、上記のような薬液保持部を含浸させる場合、その含浸率(乾燥時の重量をD、含浸後の重量をWとして場合の100×(W−D)/D[%])は、好ましくは30〜40%である。
電極構造体に使用されるイオン交換膜としては、カチオン交換膜とアニオン交換膜を併用することが好ましい。カチオン交換膜としては、好ましくは、(株)トクヤマ製ネオセプタ(NEOSEPTA,CM―1、CM―2、CMX、CMS、CMB、CLE04−2)等が挙げられる。また、アニオン交換膜としては、好ましくは、(株)トクヤマ製ネオセプタ(NEOSEPTA,AM―1、AM―3、AMX、AHA、ACH、ACS、ALE04−2、AIP−21)等が挙げられる。また、他の好ましい例としては、多孔質フィルムの空隙部の一部または全部に、陽イオン交換機能を有するイオン交換樹脂が充填されたイオン交換膜、または陰イオン交換機能を有するイオン交換樹脂が充填されたイオン交換膜が挙げられる。
ここで、上記イオン交換樹脂としては、パーフルオロカーボン骨格にイオン交換基が導入されたフッ素系のもの、またはフッ素化されていない樹脂を骨格とする炭化水素系のものが使用できるが、製造工程の簡便さから炭化水素系のイオン交換樹脂が好ましく用いられる。また、イオン交換樹脂の上記多孔質フィルムへの充填率は、多孔質フィルムの空隙率によって異なるが、例えば、5〜95質量%とすることができ、好ましく10〜90質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。
また、上記イオン交換樹脂が有するイオン交換基としては、水溶液中で負または正の電荷を有する基を生じる官能基であれば、特に限定されない。このような官能基は、遊離酸または塩の形で存在していてもよい。陽イオン交換基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。また、陽イオン交換基の対カチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ陽イオンやアンモニウムイオン等が挙げられる。また、陰イオン交換基としては、例えば、1〜3級アミノ基、4級アミノ基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジウム基または4級イミダゾリウム基等が挙げられ、好ましくは4級アンモニウム基または4級ピリジウム基である。また、陰イオン交換基の対カチオンとしては、塩素イオン等のハロゲンイオンやヒドロキシイオン等が挙げられる。
また、上記多孔質フィルムとしては、表裏を連通する細孔を多数有するフィルムもしくはシート状のものが特に制限されることなく使用されるが、高い強度と柔軟性を両立させるために、熱可塑性樹脂からなるものであることが好ましい。この多孔質フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂等が挙げられるが、機械的強度、柔軟性、化学的安定性、耐薬品性等を勘案すれば、好ましくはポリオレフィン樹脂であり、より好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンであり、さらに好ましくはポリエチレンである。
さらに、上記熱可塑性樹脂からなる多孔質フィルムの平均孔径は、好ましくは0.005〜5.0μmであり、より好ましくは0.01〜2.0μmであり、さらに好ましくは0.02〜0.2μmである。なお、上記平均口径は、バルブポイント法(JISK3832−1990)に準拠して測定される平均流孔径を意味する。
また、多孔質フィルムの空隙率は、好ましくは20〜95%であり、より好ましくは30〜90%であり、さらに好ましくは30〜60%である。さらに、多孔質フィルムの厚みは、最終的に形成されるイオン交換膜の厚みを勘案すれば、好ましくは5〜140μmであり、より好ましくは10〜130μmであり、さらに好ましくは15〜55μmである。このような多孔質フィルムにより形成されるアニオン交換膜またはカチオン交換膜の厚さは、通常、多孔質フィルムの厚さ+0〜20μmである。
上述したように、本発明によるイオントフォレーシス用電極構造体においては、イオン性薬物を保持することを特徴とするものである。
薬物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
イオン性薬物としては、例えば、局所麻酔剤(塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等)、胃腸疾患治療薬(塩化カルニチン等)、骨格筋弛緩剤(臭化バンクロニウム等)、抗生物質(テトラサイクリン系製剤、カナマイシン系製剤、ゲンタマイシン系製剤)等が挙げられる。
また、負にイオン化しうるイオン性薬物としては、ビタミン(リン酸リボフラビン、ニコチン酸、アスコルビン酸、葉酸等)、副腎皮質ホルモン(ヒドロコルチゾン系水溶性製剤、リン酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸デキサメタゾンナトリウム等のデキサメサゾン系、プレドニソロン系水溶性製剤等)、抗菌薬(キノロン系製剤)等が挙げられる。
ワクチンとしては、例えば、BCGワクチン、A型肝炎ワクチン、黒色腫ワクチン、麻疹ワクチン、ポリオワクチン、インフルエンザワクチン等が挙げられる。
また、アジュバントとしては、例えば、MPL(Monophosphoryl lipid A)、DMPC(dimyristoylphosphatidylcholine)、QS-21、DDA(Dimethyldioctadecyl ammonium chloride)、RC-529等が挙げられる。
さらに、ワクチンとアジュバントとの好ましい組み合わせとしては、例えば、正にイオン化したワクチンとRC-529、負にイオン化したワクチンとDDA、BCGワクチンとMPL、A型肝炎ワクチンとDMPC、黒色腫ワクチンとQS-21等が挙げられる。
また、上記ワクチンとアジュバントとの組み合わせの他、好ましい薬物の組み合わせとしては、例えば、降圧剤と降圧利尿剤との組み合わせとして、リシノプリルとヒドロクロロチアジド、メチルドパとヒドロクロロチアジド、塩酸クロニジンとクロルタリドン、および塩酸ベナゼプリルとヒドロクロロチアジド等が挙げられ、糖尿病薬の組み合わせとしてインスリンと塩酸メトホルミンが挙げられ、その他の組み合わせとして、塩酸オザグレルとオザグレルナトリウム、塩酸コデインと塩酸プロメタジン等が挙げられる。
また、本発明におけるイオントフォレーシス用電極構造体に保持されるイオン性薬物は、疾患の種類、患者の状態等により適宜複数種類を組み合わせてもよい。これは、電極構造体ごとに異なるイオン性薬物を保持させることができるが、単一の電極構造体中で複数種類を組み合わせてもよい。
イオン性薬物の量は、患者に適用した際に予め設定された有効な血中濃度を有効な時間得られるように、個々のイオン性薬物毎に決定され、薬液保持部等の大きさや厚みおよび薬物放出面の面積、電極装置における電圧、投与時間等に応じ、当業者によって設定される。
上述したような各構成材料の詳細については、本出願人に係る前記特許文献7に記載されており、本発明はこの文献に記載された内容を含めるものとする。
本発明によるイオントフォレーシス用電極構造体の概要を示す図。 本発明によるイオントフォレーシス用電極構造体を備えたイオントフォレーシス装置の概要を示す図。
符号の説明
X1 イオントフォレーシス装置
A1 作用側電極構造体
B1 非作用側電極構造体
11、21 電極
12、22、24 電解液保持部
F1 セパレータ
13、15、23、25 イオン交換膜
14 薬液保持部
16、26 カバー
S 皮膚

Claims (6)

  1. イオン性薬物を保持するイオントフォレーシス用電極構造体であって、
    電極構造体中の前記イオン性薬物と同種の極性の電源装置に接続される電極と、
    該電極に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部と、
    該電解液保持部に隣接して配置された前記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜と、
    該イオン交換膜に隣接して配置された前記イオン性薬物を含浸保持する薬液保持部と、 該薬液保持部に隣接して配置された、前記イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜、とから少なくともなり、
    前記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して、液晶の配向変化により物質の透過と物質の遮断を切り替えることのできる、液晶スイッチングセパレータが配置されてなることを特徴とする、イオントフォレーシス用電極構造体。
  2. 前記セパレータが、電極構造体製造時及び保存時は物質移動を遮断するが、電圧印加または温度変化によって、液晶の配向が変化して物質の透過を許容するようになるものである、請求項1に記載のイオントフォレーシス用電極構造体。
  3. 前記セパレータが、6V以上の電圧印加により液晶の配向が変化して物質の透過を許容するようになるものである、請求項2に記載のイオントフォレーシス用電極構造体。
  4. 前記セパレータが、30℃以上の加温により液晶の配向が変化して物質の透過を許容するようになるものである、請求項2に記載のイオントフォレーシス用電極構造体。
  5. 電源装置と、該電源装置に接続され、かつ請求項1に記載の電極構造体を1以上含む2以上の電極構造体を含んでなる薬物投与手段と、前記電極構造体へ流れる電流を制御するための電流制御手段とを備え、
    前記電流制御手段から流れる電流に応じて、前記電極構造体から、イオン性薬物を放出して生体へ経皮的に投与するようにしてなる、イオントフォレーシス装置。
  6. イオン性薬物を保持するイオントフォレーシス用電極構造体であって、
    電極構造体中の前記イオン性薬物と同種の極性の電源装置に接続される電極と、
    該電極に隣接して配置された電解液を含浸保持する電解液保持部と、
    該電解液保持部に隣接して配置された前記イオン性薬物と反対の極性のイオンを選択するイオン交換膜と、
    該イオン交換膜に隣接して配置された前記イオン性薬物を含浸保持する薬液保持部と、 該薬液保持部に隣接して配置された、前記イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜、とから少なくともなり、
    前記イオン性薬物と同極性のイオンを選択するイオン交換膜の少なくとも片面に隣接して、液晶の配向変化により物質の透過と物質の遮断を切り替えることのできる、液晶スイッチングセパレータが配置されてなることを特徴とする、イオントフォレーシス用電極構造体。
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