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JP4835393B2 - 路車間通信の判定システム及び方法とこれに用いる判定装置 - Google Patents
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本発明は、路側に設置した光ビーコンと車両に搭載された車載機との間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信の判定システム及び方法とこれに用いる判定装置に関するものである。
路車間通信システムを利用した交通情報サービスとして、光ビーコン、電波ビーコン又はFM多重放送を用いたいわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System)が既に展開されている。このうち、光ビーコンは近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方通信が可能となっている。
具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信され、逆に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報及び車線通知情報等を含むダウンリンク情報が光ビーコンから車載機に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
上記光ビーコンは、車載機との間で双方向通信を行う投受光器(ビーコンヘッド)を備えており、この投受光器は、ダウンリンク情報を送出する発光ダイオード(LED)と、車載機からのアップリンク情報を受信するフォトセンサとを備えている。
他方、上記車載機も、光ビーコンの投受光器との間で双方向通信を行うために、LEDとフォトセンサを有する投受光器(車載ヘッド)を備えている。
特開2005−268925号公報
上記光ビーコンを用いた路車間通信システムにおいて、光ビーコンが車載機からのアップリンク情報を受信できないために路車間通信が適切に行われず、車両が所定のサービスを享受できないことがある。
その原因としては、光ビーコンの投受光器のフォトセンサの経年劣化によりその受光感度が低下した場合、光ビーコンの投受光器の受光パネルが汚れて光の透過率が低下した場合、車載機側の投受光器の発光ダイオードの経年劣化によりその発光量が低下した場合、及び、車両のフロントガラスの汚れや周辺環境(降雨や霧等)によって車載機の投受光器の手前で信号が反射される場合等が考えられる。
この場合、従来の路車間通信システムでは、光ビーコンの投受光器の異常により所定のアップリンク情報が適切に受信されない場合でも、その通信異常を自動的に発見することが不可能であり、このような通信異常を発見するには、システムを構成する全ての光ビーコンを、作業員が現地まで赴いて人力で一斉に点検する必要があった。
また、光ビーコンがアップリンク情報を適切に受信しないと、光ビーコンはダウンリンクの切り替えを行って所定の情報を格納したダウンリンク情報を車載機に送信しなくなる。このような場合には、ドライバがそれに気付かないまま適切な交通情報サービスが得られているものとして、車両走行を継続する恐れがある。
一方、光ビーコンからのダウンリンク情報として信号情報や停止線までの距離情報を含めるようにし、この情報を利用して車両のブレーキ制御や減速指示等を行う安全運転支援システムが提案されている(例えば、特願2006−121692号、特願2006−121700号)。
前記安全運転支援システムでは、車載機から光ビーコンに対するアップリンク情報が未達となった場合、光ビーコンは前記信号情報等の支援動作用情報を車載機に送信できないため、車両側において、ドライバへの警告やブレーキ制御といった安全運転支援動作が実行できなくなる。
本発明は、このような実情に鑑み、複数の光ビーコンについてのアップリンク情報の受信内容から路車間通信の適否を自動的に把握できるようにして、システム管理者が光ビーコンのメンテナンスの要否を判断することができる路車間通信の判定システム及び方法とこれに用いる判定装置を提供することを目的とする。
本発明の路車間通信の判定システムは、道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器を有し、前記車載機との間で路車間通信を行う複数の光ビーコンと、前記路車間通信の通信状態を判定する判定装置とを備えた路車間通信の判定システムであって、前記判定装置は、前記車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を前記複数の光ビーコンから受信する通信部と、前記複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定する判定部とを有することを特徴とする。
この判定システムによれば、判定装置の通信部が、車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を複数の光ビーコンから受信し、判定装置の判定部が、複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定するので、当該判定装置において、特定の光ビーコンが行う路車間通信の適否を自動的に把握することができる。
このため、上記判定部が判定した通信状態の適否をシステム管理者に報知する出力部を判定装置に設けることにより、システム管理者が光ビーコンメンテナンスの要否を容易に判断することができる。
本発明の判定システムにおいて、前記判定装置は、前記判定部の判定結果から通信異常と見なし得る前記光ビーコンに運用停止情報を送信する停止部を備えたものを採用することが好ましい。
この場合、判定装置の停止部が、通信異常が発生している或いはその可能性が高い光ビーコンに運用停止情報を送信するので、当該光ビーコンの運用の停止を迅速に行うことができる。なお、この場合の運用停止とは、光ビーコンが全く動作しないように制御することが含まれるのは勿論のこと、単に車載機との路車間通信を停止するだけの場合や、特定の情報(例えば、停止線までの距離情報や信号情報)を車載機に送信するのを停止するだけの場合も含まれる。
また、本発明の判定システムにおいて、前記判定装置に、前記判定部の判定結果から通信異常と見なし得る光ビーコンをシステム管理者に報知する出力部を設けるようにすれば、システム管理者が通信異常のある光ビーコンの存在を即座に認識することができる。
なお、上記出力部としては、通信状態の異常があり得る光ビーコンをシステム管理者に視覚で注意喚起するディスプレイや、その光ビーコンを音声で注意喚起するスピーカ装置等を採用することができる。
本発明の路車間通信の判定方法は、道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された複数の光ビーコンの投受光器との間で行われる路車間通信の判定方法であって、前記車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を前記複数の光ビーコンから受信し、前記複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定することを特徴とする。
また、本発明の路車間通信の判定装置は、道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された複数の光ビーコンの投受光器との間で行われる路車間通信の判定装置であって、前記車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を前記複数の光ビーコンから受信する通信部と、前記複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定する判定部とを有することを特徴とする。
これらの判定方法及び装置によれば、車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を複数の光ビーコンから受信し、複数の光ビーコンの中で地理的に中間にある光ビーコンが車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定するので、特定の光ビーコンが行う路車間通信の適否を自動的に把握することができる。
以上の通り、本発明によれば、複数の光ビーコンから受信したアップリンク情報に基づいて、路車間通信の適否を把握することができる。また、その路車間通信の状態をシステム管理者に報知することで、光ビーコンのメンテナンスの要否を容易に判断することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の路車間通信の判定システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この路車間通信の判定システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する各車両Cに搭載された車載機2とから構成されている。交通管制システム1は、管制室に設けられた判定装置としての機能を併有する中央装置3と、道路Rの各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4とから構成されており、光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で双方向通信を行う。なお、中央装置3は交通管制室に設けられている。
〔中央装置の構成〕
中央装置3は、電話回線等の通信回線5を介して各光ビーコン4と接続された通信インタフェースである通信部6と、この通信部6が接続された管理コンピュータ7と、管制室のシステム管理者に対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ8及びスピーカ装置9とを備えている。
上記管理コンピュータ7は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有する汎用大型コンピュータ(メインフレーム)よりなり、各種の交通情報の収集・処理・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行っている。
管理コンピュータ7は、通信部6を介して光ビーコン4との双方向通信を行う通信制御部としても機能しており、渋滞情報や規制情報を各光ビーコン4に対して常時送信し、車両Cの通行情報などを各光ビーコン4から受信している。また、管理コンピュータ7は、ディスプレイ8及びスピーカ装置9の駆動制御部としても機能している。
ディスプレイ8は、管理コンピュータ7が管理する全ての信号機や光ビーコン4等の道路地図上での位置が表示された表示画面を有しており、異常があった光ビーコン4に対応するランプを点滅させることにより、システム管理者に当該光ビーコン4の異常とその位置を報知するようになっている。また、スピーカ装置9は、光ビーコン4の異常発生を同時に音声でシステム管理者に報知する。
更に、管理コンピュータ7は、本発明に関連する所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムが実行する機能部として判定部10、識別部11及び停止部12を備えている。なお、これらの各機能部10,11,12の処理内容については後述する。
〔光ビーコンの構成〕
光ビーコン4は、電話回線等の通信回線5を介して中央装置3と接続された通信インタフェースである通信部14と、この通信部14が接続されたビーコン制御機15と、この制御機15のセンサ用インタフェースに接続された複数(図例では4つ)の投受光器(ビーコンヘッド)16とを備えている。
各投受光器16は、筐体17の内部に発光ダイオード(LED)18とフォトセンサ19を収納して構成されている(図3参照)。このうち、LED18は、近赤外線よりなるダウンリンク情報26,28を後述する通信領域Aに発光し、フォトセンサ19は、車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク情報27を受光する。
図2は、上記光ビーコン4の平面図である。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、各車線R1〜R4に対応して設けられた前記複数の投受光器8と、これらの投受光器8を一括制御する制御部である一台の前記ビーコン制御機15とを備えている。
上記ビーコン制御機15は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、通信部14による中央装置3との双方向通信と、各投受光器16による車載機2との路車間通信の制御を行う通信制御部として機能する。なお、このビーコン制御機15による路車間通信の内容については後述する。
ビーコン制御機15は、道路脇に立設した支柱20に設置されており、各投受光器16は、支柱20から道路R側に水平に架設した架設バー21に取り付けられ、道路Rの各車線R1〜R4の直上に配置されている。
各投受光器16のLED18は、各車線R1〜R4の直下よりも上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該投受光器16の上流側(図2の右側)に設定されている。
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、この通信領域Aは、後述する車載機2の投受光器29がダウンリンク情報を受信することができるダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、光ビーコン4の投受光器16がアップリンク情報を受信することができるアップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
光ビーコン(光学式車両感知器)4の「近赤外線式インタフェース規格」では、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)と重複しており、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端cは互いに一致している。
従って、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは通信領域A全体の同方向長さと一致する。
また、上記規格では、一般道向けの光ビーコン4の場合で、ダウンリンク領域DAの下流端aは、投受光器8の直下の1.0〜1.3m上流側に位置し、ダウンリンク領域DAの下流端aからアップリンク領域UAの下流端bまでの距離は2.1mと規定され、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。この場合、通信領域Aの車両進行方向の全長は3.7mとなる。
もっとも、各領域DA,UAの車両進行方向長さは上記各数値に限定されない。また、図3に仮想線で示すように、ダウンリンク領域DAの上流端c’をアップリンク領域の上流端cよりも更に上流側(図3の右側)に位置させる場合もある。
〔車載機の構成〕
車両Cに搭載された車載機2は、車載コンピュータ23(図4参照)と、このコンピュータに接続された投受光器(車載ヘッド:図3及び図4参照)24とを備えている。
この車載機2の投受光器24も、光ビーコン4の投受光器(ビーコンヘッド)8と同様に、発光ダイオード(LED)とフォトセンサを備えている(図示せず)。このうち、LEDは、近赤外線よりなるアップリンク情報27を発光し、フォトセンサは、通信領域Aに発光された近赤外線よりなるダウンリンク情報26,28を受光する。また、車載機2の車載コンピュータ23は、投受光器24による光ビーコン4との路車間通信の制御処理を行う。
〔管理コンピュータの処理内容〕
〔路車間通信の判定処理〕
中央装置3の管理コンピュータ7は、自己が管理するすべての光ビーコン4が受信した車載機2からのアップリンク情報27に含まれる車両ID情報を、各光ビーコン4から常時収集かつ監視しており、管理コンピュータ7の判定部10は、その車両ID情報に基づいて特定の光ビーコン4での路車間通信の適否を判定する。以下、この判定部10による判定処理について説明する。
図5(a)は、光ビーコン4の実際の設置位置の一例を示し、図5(b)は、その光ビーコン4の設置位置に対応して作成された位置テーブルを示している。図5(a)に示すように、ある一つの幹線道路Rの上流側から下流側に向かって、それぞれ光ビーコンB1〜B4がその順に設置されているものとする。
図5(b)に示す位置テーブルを構成するマトリックスにおいて、左列(ビーコン名)には、上記各光ビーコンB1〜B4が上から順に並んでおり、中央列(上流側ビーコン)には、各光ビーコンB1〜B4から見て上流側に位置する光ビーコンが上から順に並んでおり、右列(下流側ビーコン)には、各光ビーコンB1〜B4から見て下流側に位置する光ビーコンが上から順に並んでいる。
例えば、光ビーコンB1の上流側には他の光ビーコンが存在せず、同ビーコンB1の下流側には光ビーコンB2が存在するので、位置テーブルの「B1」の行では、上流側ビーコンの欄が「×(不存在)」でかつ下流側ビーコンの欄が「B2」となっている。
また、光ビーコンB2の上流側には光ビーコンB1が存在し、同ビーコンB2の下流側には光ビーコンB3が存在するので、位置テーブルの「B2」の行では、上流側ビーコンの欄が「B1」でかつ下流側ビーコンの欄が「B3」となっている。
以下、順に、位置テーブルの「B3」の行では、上流側ビーコンの欄が「B2」でかつ下流側ビーコンの欄が「B4」となっており、位置テーブルの「B4」の行では、上流側ビーコンの欄が「B3」でかつ下流側ビーコンの欄が「×(不存在)」となっている。
管理コンピュータ7は、自己が管轄する道路Rに設置された全ての光ビーコン4に関しての前記位置テーブルを予め記憶装置に記憶している。
そこで、管理コンピュータ7の判定部10は、そのコンピュータ7の通信部6が、同じ車両IDを任意の2つ光ビーコン(例えば、図5のB1とB3)から所定時間内に受信すると、この2つの光ビーコンB1,B3間に、他の光ビーコン4が存在するかどうかを前記位置テーブルに基づいて判断する。
この判断により、該当する光ビーコン4(例えば、図5のB2)が存在する場合には、判定部10は、この光ビーコンB2から、所定時間内に同じ車両IDが送信されてくるか否かを監視する。
管理コンピュータ7の判定部10は、所定時間内に上記光ビーコンB2から車両IDを受信しなかった場合には、当該光ビーコンB2における車両IDの「抜け回数」を1つインクリメントする。また、判定部10は、車両IDを正常に受信した場合には、当該光ビーコンB2における「受信回数」を1つインクリメントする。
そして、管理コンピュータ7の判定部10は、車両IDの「抜け回数」が所定時間内において予め設定した閾値を超えている場合や、車両IDの「受信回数」に対する「抜け回数」が所定の割合以上である場合に、光ビーコンB2の路車間通信が不良(異常)であると判定し、逆にそうでない場合は、光ビーコンB2の路車間通信は良好(正常)であると判定する。
なお、光ビーコンの設置地点の地理的な関係を示すものであれば、前記位置テーブルを用いなくても良い。また、隣接する光ビーコンを上流側ビーコンまたは下流側ビーコンとしなくてもよく、例えば、「B2」の光ビーコンの下流側ビーコンとして「B4」を用いても良いし、「B3」の上流側ビーコンとして「B1」を用いても良い。
ここで、例えば、光ビーコンB2の路車間通信状態の適否を判定することを考える。上流側光ビーコンB1において、ある車両IDを格納したアップリンクが受信されたが、下流側光ビーコンB3において当該車両IDを格納したアップリンクが受信されない場合、当該車両IDを有する車両は、B1の地点を通過後に道路R以外の道路に走行経路を変更したと考えられる。その場合、当該車両が光ビーコンB2の手前で走行経路を変更したのか、光ビーコンB2を通過後に走行経路を変更したのかを特定することができない。
このように、上流側又は下流側の光ビーコンの一方のみにおいて受信されるアップリンクを用いるのではなく、双方の光ビーコンを用いることで、その中間に位置する光ビーコンの路車間通信状態を判定することができる。
なお、車両が光ビーコンB1を通過後に一旦道路R以外の道路に走行経路を変更した後、再び道路Rに戻ってきて光ビーコンB3を通過することも想定されるが、このような場合には、アップリンクを受信した時刻を監視し、B1〜B3間の所要時間を算出する計時手段を別途具備するようにすれば良い。
すなわち、道路Rにおける車両の走行速度と光ビーコンB1〜B3間の距離から、B1〜B3間の所要時間を推定できるから、前記推定値と前記計時手段によって得られる所要時間が所定以上乖離している場合に、当該アップリンクを光ビーコンB2の路車間通信状態の判定に用いないようにすることができる。
〔光ビーコンの運用停止処理〕
上記の通り、管理コンピュータ7の判定部10により、特定の光ビーコン4の路車間通信の適否が判定されるが、複数の車載機2から得た複数の車両ID情報について上記判定を行うことにより、路車間通信状態を一層正確に判定することが可能となる。
すなわち、本実施形態では、管理コンピュータ7の識別部11は、複数の車載機2の車両IDについて、ある光ビーコン4に関するトータルの通信異常の割合が、所定期間内で所定の閾値以上であれば、当該光ビーコン4を通信異常のある光ビーコン4として特定する。
この場合、光ビーコン4による路車間通信は近赤外線による光通信であるため、昼間の太陽光の影響を受けて、昼間だけエラーの頻度が高くなり、正常に送受信されるフレーム数が減少するケースもある。従って、時間帯ごとに判定部10による通信の適否判定を行い、その時間帯ごとの判定履歴を記憶装置に蓄積しておくことが好ましい。
また、気象庁の天候情報配信サーバ(図示せず)や路上に設置した天候を検知するセンサ(図示せず)から天候に関する情報を受信しておき、当該情報を一緒に蓄積しておくこともできる。例えば、雨天時にドライバがワイパーを動作させていると、当該ワイパーによって路車間通信における光信号が一時的に遮断される場合があるため、晴天時に比べて車載機2からのアップリンク光が、光ビーコン4に到達しない確率が高くなると考えられる。
更に、例えば濃霧等が発生した場合にも、車載機2の発する光信号が光ビーコン4に到達せず、光ビーコン4が車載機2からのアップリンクを受信できない確率が高くなると考えられる。このように、天候に関する情報を同時に記憶しておくことで、実測情報36の変化の根拠を詳細に分析することが可能となり、有用である。
管理コンピュータ7は、上記識別部11で特定された通信異常のある光ビーコン4の位置を、中央装置3のディスプレイ8に表示させたり、スピーカ装置9から音声出力させたりして、当該通信異常と見なされた光ビーコン4の存在とその位置をシステム管理者に報知する。
また、管理コンピュータ7の停止部12は、上記識別部11で特定された通信異常のある光ビーコン4に対して、通信部6を介して運用停止情報33(図1参照)を送信する。この運用停止情報33を受信した光ビーコン4のビーコン制御機15は、投受光器16の発光及び受光を終了させ、当該光ビーコン4の運用を即座に停止させる。
もっとも、運用停止情報33を受けた場合に、上記のように光ビーコン4が全く動作しないように制御すること以外に、単に車載機2との路車間通信を停止するだけにしたり、特定の情報(例えば、停止線までの距離情報や信号情報)を車載機2に送信するのを停止するだけにしたりすることもできる。
〔路車間通信〕
図4は、通信領域Aにおいて光ビーコン4の投受光器16と車載機2の投受光器24との間で行われる双方向での路車間通信の手順を示している。以下、図4を参照しつつ、この路車間通信の内容を説明する。
まず、光ビーコン4のビーコン制御機15は、各車線R1〜R4に対応する各投受光器16から、ダウンリンクの切り替え前の第一情報として、車線通知情報を含む第一のダウンリンク情報26を、各車線R1〜R4のダウンリンク領域DAに所定の送信周期で常に送信し続けている(図5のF1)。なお、この段階では、車線通知情報には未だ車両IDは格納されていない。
車載機2を搭載した車両Cがダウンリンク領域DAの上流側部分に進入すると、車載機2の投受光器29が車線通知情報(車両ID無し)を含む第一のダウンリンク情報26を受信する。
このさい、車載機2の車載コンピュータ23は、当該車両Cが通信領域A内に存在していることを認識する。その後、車載コンピュータ23はアップリンク情報27の送信を開始し(図5のF2)、このアップリンク情報27を光ビーコン4の投受光器16に対して所定の送信周期で送信する(図5のF3)。
車載コンピュータ23は、アップリンク情報27の送信をアップリンク領域UA(図3参照)において行い、そのアップリンク情報27に当該車両Cに特定の車両IDを格納して当該アップリンク情報27を送信する。
なお、車載コンピュータ23は、ビーコン間の旅行時間情報を有している場合には、この情報もアップリンク情報27に含ませる。また、車載コンピュータ23は、光ビーコン4のビーコン制御機15がダウンリンクの切り替えを行ったことを認識するまで、当該アップリンク情報27を送信し続ける。
一方、光ビーコン4の投受光器15がアップリンク情報27を受信すると(図5のF4)、ビーコン制御機15は、ダウンリンクの切り替え後の第二情報として、上記車両ID情報を有する車載機2のための車線通知情報を含む、第二のダウンリンク情報28の送信を開始し(図5のF5)、このダウンリンク情報28の送信を所定時間内において可能な限り繰り返す(図5のF6)。
上記車線通知情報には、車線R1〜R4ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与することができる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する各車両Cの車載コンピュータ23は、その格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを判断することにより、自車両がどの車線R1〜R4を走行しているかを認識できる。
第二のダウンリンク情報28には、車両IDを含む車線通知情報の他に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報、ドライバに対する安全運転支援のための支援情報、及び、当該光ビーコン4を特定する識別番号等が含まれている。
上記支援情報には、光ビーコン4の下流側の信号が変わるタイミング情報である前記信号情報や、ダウンリンク領域DAから光ビーコン4の下流側の所定位置(例えば、停止線)までの長さ情報である距離情報等が含まれる。
図4に示すように、第二のダウンリンク情報28は、単一又は複数の最小フレーム29で構成されている。前記「近赤外線式インタフェース規格」によれば、この最小フレーム29のデータ量は合計128バイトと規定され、ヘッダ部30に5バイト、実データ部31に123バイトが割り当てられている。
前記規格によれば、第二のダウンリンク情報28は、1〜80個の最小フレーム29で構成することができ、送信可能時間は250msに設定されている。また、このダウンリンク情報28は送信すべき情報量に対応した任意数の最小フレーム29で構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。
最小フレーム29の送信周期は約1msである。従って、例えば、三つの最小フレーム29で一つのダウンリンク情報28を構成する場合には、ダウンリンク情報28の送信周期は約3msになるので、当該ダウンリンク情報28は所定の送信可能時間(250m)の間に約80回繰り返して送信されることになる。
車載機2の車載コンピュータ23は、第二のダウンリンク情報28を受信した時点(図5のF7)で光ビーコン4でのダウンリンクの切り替えを認識し、この時点でアップリンク情報27の送信を停止する。
上記の通り、本実施形態の判定システムによれば、中央装置3の通信部6が、車載機2が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報27を複数の光ビーコン4から受信し、中央装置3の判定部10が、複数の光ビーコンB1〜B3の中で地理的に中間にある光ビーコンB2が車両IDを含むアップリンク情報27を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンB2の通信状態の適否を判定するので、当該中央装置3において、特定の光ビーコン4が行う路車間通信の適否を自動的に把握することができる。
また、本実施形態の判定システムによれば、中央装置3の判定部10が判定した通信状態の異常を、中央装置3のディスプレイ8やスピーカ装置9(出力部)によってシステム管理者に報知するようにしたので、システム管理者が光ビーコン4のメンテナンスの要否を容易に判断することができる。
更に、本実施形態の判定システムによれば、前記判定部10で判定された通信異常のある光ビーコン4をディスプレイ8やスピーカ装置9でシステム管理者に報知するようになっているので、システム管理者が通信異常のある光ビーコン4の存在を即座に認識することができる。
〔他の実施形態〕
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、路車間通信の適否を判定する判定装置として交通管制システム1の中央装置3を採用しているが、当該判定装置は、複数の光ビーコン4と通信可能なその他のインフラ側の制御装置(信号制御機等)を採用することもできる。
また、路車間通信が適切に行われているか否かを正確に把握し、メンテナンスを行うためには、所定の期間、光ビーコン4を設置した道路Rにおいて車線規制等を実施し、光ビーコン4からの到達光量や車載機2からの光信号の受光レベル等を測定する必要がある。しかし、車線規制等を行うことは交通渋滞の原因となる上に、多大なコストを要する。
そこで、中央装置(判定装置)3に路車間通信状態の適否を判定させることを主たる目的としたメンテナンス用の車両(メンテナンスカー)Cを提供し、車線規制等を行うことなく、当該メンテナンスカーが適否の判定対象となる路線の光ビーコン4の投受光器8の下を通過し、路車間通信の適否を判定することができれば大変有用である。
この場合、メンテナンスカーCの車両IDを、一般車両等とは異なるメンテナンスカー専用車両IDとして定義しておくことが好ましい。
さらに、判定装置3は、一般車両等から受信した大量のアップリンクデータの中から、メンテナンスカー専用の車両IDを格納したアップリンク情報を抽出したあと、当該抽出データを用いて路車間通信状態を判定するようにすれば、効率よく判定することが可能となり、大変有用である。
また、事前にメンテナンスカーCの走行予定経路や走行予定時刻を判定装置3の記憶部等に記憶させておき、メンテナンスカー専用の車両IDからのアップリンク情報が記憶した情報と合致するか否かによって、路車間通信の適否を判定することもできる。
メンテナンスカーCは、路車間通信状態を判定する目的で走行するから、例えば、特定の車線を順番に走行したり、所定の速度を維持して走行したりすることができ、判定装置3に路車間通信状態が正常であるか否かの判定をより正確に行わせるようにすることもできる。
交通量の多い幹線道路に、光ビーコン4が連続的に設置されている場合には、本発明の判定システムを導入することが大変有効と考えられる。交通量の多い幹線道路では、光ビーコン4の投受光器16の受発光パネルの汚れが大きく、短い周期でメンテナンスをする必要性があるためである。
また、交通量の多い幹線道路では、光ビーコン4による交通情報提供サービスに期待するドライバも多いと考えられるため、メンテナンスの要否を的確に判定することは大変有用である。
さらに、光ビーコン4からの安全運転支援情報を受信して、車両C側でブレーキ制御やドライバへの警告を行う安全運転支援システムが動作する道路においては、前記光ビーコン4のメンテナンスの要否を判定することは極めて重要である。車両C側における前記ブレーキ制御等の安全運転動作が、光ビーコン4から車両Cに対する情報提供の適否に依存するためである。
なお、上記各実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の範囲に含まれる。
本発明の路車間通信の判定システムの全体構成を示すブロック図である。 光ビーコンの平面図である。 上記光ビーコンの通信領域を示す側面図である。 通信領域で行われる路車間通信の手順とデータ内容を示す概念図である。 (a)は、光ビーコンの実際の設置位置の一例を示す模式図であり、(b)は、その光ビーコンの設置位置に対応して作成された位置テーブルを示す図である。
符号の説明
1 交通管制システム
2 車載機
3 中央装置(判定装置)
4 光ビーコン
6 中央装置の通信部
7 管理コンピュータ
8 ディスプレイ(出力部)
9 スピーカ装置(出力部)
10 判定部
11 識別部
12 停止部
16 投受光器(ビーコン側)
23 車載コンピュータ
29 投受光器(車載機側)
26 第一のダウンリンク情報
27 アップリンク情報
28 第二のダウンリンク情報
33 運用停止情報
A 通信領域
C 車両
R 道路
DA ダウンリンク領域
UA アップリンク領域

Claims (5)

  1. 道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器を有し、前記車載機との間で路車間通信を行う複数の光ビーコンと、前記路車間通信の通信状態を判定する判定装置とを備えた路車間通信の判定システムであって、
    前記判定装置は、前記車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を前記複数の光ビーコンから受信する通信部と、前記複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定する判定部とを有することを特徴とする路車間通信の判定システム。
  2. 前記判定装置は、前記判定部の判定結果から通信異常と見なし得る前記光ビーコンに運用停止情報を送信する停止部を備えている請求項1に記載の路車間通信の判定システム。
  3. 前記判定装置は、前記判定部の判定結果から通信異常と見なし得る前記光ビーコンをシステム管理者に報知する出力部を備えている請求項1又は2に記載の路車間通信の判定システム。
  4. 道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された複数の光ビーコンの投受光器との間で行われる路車間通信の判定方法であって、
    前記車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を前記複数の光ビーコンから受信し、前記複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定することを特徴とする路車間通信の判定方法。
  5. 道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された複数の光ビーコンの投受光器との間で行われる路車間通信の判定装置であって、
    前記車載機が送信した同一の車両IDを含むアップリンク情報を前記複数の光ビーコンから受信する通信部と、前記複数の光ビーコンの中で車両進行方向における上流側と下流側とに設置された光ビーコンが同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているときに、その車両進行方向の中間にある光ビーコンが当該同一の車両IDを含むアップリンク情報を受信しているか否かにより、当該中間にある光ビーコンの通信状態の適否を判定する判定部とを有することを特徴とする路車間通信の判定装置。
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