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JP4835751B2 - コモンモードチョークコイル - Google Patents
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JP4835751B2 - コモンモードチョークコイル - Google Patents

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Description

この発明は、伝送線路上のコモンモードノイズを除去するための巻線型のコモンモードチョークコイルに関するものである。
従来、この種のコモンモードチョークコイルとしては、例えば特許文献1や特許文献2に開示の技術がある。
このコモンモードチョークコイルは、2本の巻線を、両端に鍔部を有したコアの巻芯部に巻回し、巻線の両端を鍔部の電極に接続すると共に、フェライト板を、鍔部の上面側に渡した構成をなす。
かかる構成により、差動伝送路等に侵入したコモンモードノイズを除去することができるようになっている。
特開2003−168611号公報 特開2000−133522号公報
しかし、上述した従来のコモンモードチョークコイルでは次のような問題がある。
通常、製品を市販する前に、製品を想定し得る電磁妨害等に曝し、各種電磁妨害に耐えうるかどうかのイミュニティ試験が行われる。
コモンモードチョークコイルのコモンモードノイズに対するイミュニティ試験では、被試験品であるコモンモードチョークコイルを、差動伝送路を通じて送信IC(Integrated Circuit)に接続された受信ICの前段に配する。そして、差動信号を差動伝送路を通じて送信ICから受信ICに送信すると共に、コモンモードノイズを差動伝送路上に誘導させて、このコモンモードノイズを差動信号に載せる。かかる状態で、送信ICや受信ICが誤動作を起こすかどうかを確認する。このようなイミュニティ試験を、誘導イミュニティ試験という。
上記従来のコモンモードチョークコイルでは、かかる誘導イミュニティ試験時において、被試験品のコモンモードチョークコイルのインダクタンスと受信ICの入力容量とが共振回路を構成するため、この共振回路の共振周波数及びその近傍の周波数帯域においてコモンモードノイズを抑制する割合が低下する。かかる場合には、送信ICや受信ICが誤動作し、被試験品が誘導イミュニティ試験をパスしないという問題が生じる。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、コイルの構造を誘導イミュニティ試験時における送信ICや受信ICの誤動作を防止可能な構造にして、誘導イミュニティ特性の改善を図り、しかもESD耐性の低下や自己共振周波数の低下を抑制することができるコモンモードチョークコイルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、巻芯部及びこの巻芯部の両端部にそれぞれ設けられた第1及び第2の鍔部を有して成る磁性コアと、第1及び第2の鍔部にそれぞれ形成された外部電極と、第1の鍔部側から巻き初めて第2の鍔部側で巻き終わるように巻芯部に巻回され且つ各端部が外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、当該1対の巻線に対向する面が第1及び第2の鍔部の周端面に接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルであって、金属膜を、磁性板の少なくとも1対の巻線に対向する面に形成し、1対の巻線の巻き初め側に対応する部位と巻き終わり側に対応する部位との間で、金属膜を第1の金属膜部と第2の金属膜部とに二分してこれら第1及び第2の金属膜部の電気的接続を断つギャップを設けた構成とする。
かかる構成により、金属膜を、磁性板の少なくとも1対の巻線に対向する面に形成したので、1対の巻線内の電流による磁力線が、この金属膜を通り、金属膜に渦電流が発生する。したがって、誘導イミュニティ試験時におけるコモンモードチョークコイルのインダクタンスと受信ICの入力部のキャパシタンスとで構成される共振回路の共振周波数及びその近傍の周波数帯域内のノイズに対する抵抗成分が増加し、コモンモードノイズが抑圧される。この結果、誘導イミュニティ試験における全ての周波数帯域のノイズに対して、良好なノイズ抑圧効果を発揮する。
ところで、イミュニティ試験には、誘導イミュニティ試験だけでなく、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)イミュニティ試験というものもあり、部品の入出力間に大きなESC電圧を印加して、部品が損傷を受けるか否かが試験される。
したがって、金属膜が、磁性板の少なくとも1対の巻線に対向する面に形成されているので、巻線の巻き初め側−磁性板の間に生じる容量結合成分と巻線の巻き終わり側−磁性板の間に生じる容量結合成分とが、この金属膜によって電気的に直接接続されるおそれがある。かかる状態で、大きなESD電圧を1対の巻線の巻き初め側又は巻き終わり側に加えると、大きな電流が当該容量を通じて金属膜側に流れ、損傷を受ける。すなわち、ESD耐性が低下し、ESDイミュニティ試験をパスしないおそれがある。また、通常の高周波信号使用時においても、電流が金属膜側を通じて1対の巻線の巻き終わり側又は巻き初め側に至るので、高周波領域でのインピーダンスが下がって、コモンモードチョークコイルの自己共振周波数が低下するおそれがある。
しかし、この発明では、ギャップを設け、1対の巻線の巻き初め側に対応する部位と巻き終わり側に対応する部位との間で、金属膜を第1の金属膜部と第2の金属膜部とに二分し、これら第1及び第2の金属膜部の電気的接続を断つ構成としているので、電流が巻線側から当該金属膜側にほとんど流れることはない。したがって、大きなESD電圧が印加されても損傷を受けることはなく、ESD耐性の低下や高周波領域でのインピーダンスの低下による自己共振周波数の低下を抑制することができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載のコモンモードチョークコイルにおいて、金属膜を、鉄,コバルト,ニッケル,クロム,マンガン及び銅の内の少なくともいずれかを含む強磁性体で形成した構成とする。
かかる構成により、良好な磁気特性を保持しつつ、ノイズに対する抵抗成分をさらに増加させることができる。
請求項3の発明は、請求項2に記載のコモンモードチョークコイルにおいて、金属膜を、ニッケルとクロムの合金又はニッケルと銅の合金を主成分とする強磁性体の合金で形成した構成とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、ギャップを、幅方向が1対の巻線の巻回軸方向を向き且つ長さ方向が1対の巻線の巻回軸方向に対して垂直な帯形状に形成した構成とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、ギャップを、1対の巻線の巻き初め側に対応する部位と巻き終わり側に対応する部位との中央位置に配設した構成とする。
かかる構成により、金属膜側への電流の流入をより効果的に防止することができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、磁性コアと磁性板とを、それぞれフェライトで形成した構成とする。
かかる構成により、コモンモードチョークコイルの磁気特性を向上させることができる。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、接着剤に、磁粉を混入した構成とする。
かかる構成により、コモンモードチョークコイルの磁気特性をさらに向上させることができる。
以上詳しく説明したように、この発明のコモンモードチョークコイルによれば、金属膜を磁性板の少なくとも1対の巻線に対向する面に形成したので、誘導イミュニティ特性の改善が図られ、この結果、誘導イミュニティ試験における全ての周波数帯域のノイズに対する良好なノイズ抑圧効果を実現することができるという効果がある。さらに、1対の巻線の巻き初め側に対応する部位と巻き終わり側に対応する部位との間で、金属膜を第1の金属膜部と第2の金属膜部とに二分してこれら第1及び第2の金属膜部の電気的接続を断つギャップを設けて、巻線側から当該金属膜側への電流の流れを阻止するようにしたので、ESD耐性の低下や自己共振周波数の低下を抑制することができるという効果がある。
また、請求項2の発明によれば、ノイズに対する抵抗成分をさらに増加させることができるので、ノイズ抑圧効果をさらに高めることができる。
また、請求項4及び請求項5の発明によれば、金属膜側への電流の流入をより効果的に防止することができるので、自己共振周波数低下の抑制効果を高めることができる。
また、請求項6及び請求項7の発明によれば、コモンモードチョークコイルの磁気特性をさらに向上させることができる。
この発明の一実施例に係るコモンモードチョークコイルを示す斜視図である。 実施例のコモンモードチョークコイルの正面図である。 コモンモードチョークコイルの底面を示す斜視図である。 ギャップの形状と形成位置とを示す天板の下面図である。 金属膜の機能を説明するための図1の矢視A−A断面図である。 金属膜に発生する渦電流を示す部分拡大断面図である。 ギャップの機能を説明するための部分拡大断面図である。 ESD電圧とギャップ幅との関係を示す線図である。 コモンモードチョークコイルの製造方法の第1工程を示す工程図である。 コモンモードチョークコイルの製造方法の第2工程を示す工程図である。 誘導イミュニティ試験におけるコモンモードチョークコイルの作用及び効果を説明するための概略ブロック図である。 実験で測定した周波数とインピーダンスとの相関図である。 実験に使用したコモンモードチョークコイルの寸法説明図である。 実施例の一変形例を示す部分拡大断面図である。 実施例の他の変形例を示す平面図である。
符号の説明
1…コモンモードチョークコイル、 2…コア、 3−1〜3−4…外部電極、 4−1,4−2…巻線、 4−1a,4−1b,4−2a,4−2b…端部、 5…天板、 5a,21c,22c…上面、 5b…下面、 5c…周側面、 6…金属膜、 6a,6b…金属膜部、 7…接着剤、 8…ギャップ、 20…巻芯部、 21,22…鍔部、 21a,21b,22a,22b…脚部、 100…送信IC、 101…受信IC、 102…キャパシタンス、 111,112…差動伝送路、 120…ノイズ発生器、 D…領域、 P1…巻初め点、 P2…巻終わり点。
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施例に係るコモンモードチョークコイルを示す斜視図であり、図2は、実施例のコモンモードチョークコイルの正面図であり、図3は、コモンモードチョークコイルの底面を示す斜視図である。
コモンモードチョークコイル1は、表面実装型の巻線コイルであり、図1及び図2に示すように、磁性コアとしてのコア2と、4つの外部電極3−1〜3−4と、1対の巻線4−1,4−2と、磁性板としての天板5とを備えている。
コア2は、Ni-Zn系フェライト等のフェライトで形成されており、中央の巻芯部20とその両端に設けられた第1の鍔部としての鍔部21及び第2の鍔部としての鍔部22とで構成されている。
外部電極3−1〜3−4は、鍔部21,22の下部に形成されている。
具体的には、図3に示すように、外部電極3−1,3−2が鍔部21の脚部21a,21bにそれぞれ形成され、外部電極3−3,3−4が鍔部22の脚部22a,22bにそれぞれ形成されている。
図2において、1対の巻線4−1,4−2は、それぞれ銅線を絶縁膜で被覆して成るラインであり、コア2の巻芯部20に巻回されている。具体的には、1対の巻線4−1,4−2は、鍔部21側の巻初め点P1から巻き初められ、鍔部22側の巻終わり点P2で巻き終わるように、巻芯部20に巻回されている。そして、図3にも示すように、巻線4−1,4−2の端部4−1a,4−2aが外部電極3−1,3−2側に引き出されて、外部電極3−1,3−2にそれぞれ接合されると共に、巻線4−1,4−2の端部4−1b,4−2bが外部電極3−3,3−4側に引き出されて、外部電極3−3,3−4にそれぞれ接合されている。
図1に示す天板5は、Mn-Zn系フェライト、Ni-Zn系フェライト等のフェライトで形成されている。そして、図2にも示すように、この実施例の特徴である金属膜6が、1対の巻線4−1,4−2に対向する面である下面5bと周側面5cとに形成されている。
この金属膜6は、鉄,コバルト,ニッケル,クロム,マンガン及び銅の内の少なくともいずれかを含む強磁性体によって形成されている。但し、ニッケルとクロムの合金又はニッケルと銅の合金を主成分とする強磁性体で形成することがより好ましい。
このように金属膜6が形成された天板5は、鍔部21,22の周端面である上面21c,22cに架けられ、接着剤7でこれらの上面21c,22cに接合されている。なお、この接着剤7には、磁粉を混入することもできる。磁粉の混入により、コア2と天板5とを接合するだけでなく、これらの間の磁気特性をも向上させることができる。
また、上記天板5の金属膜6には、この実施例の特徴であるギャップ8が設けられている。
図4は、ギャップ8の形状と形成位置とを示す天板5の下面図である。
図4において、矢印Bが1対の巻線4−1,4−2の巻線方向であり、ギャップ8は、幅Wの方向が巻回軸方向Bを向き、且つ長さ方向が巻回軸方向B対して垂直な帯形状を成す。かかるギャップ8は、図2にも示すように、天板5の下面5bから周側面5cに渡って形成され、天板5上の金属膜6がこのギャップ8で二分されている。
具体的には、1対の巻線4−1,4−2の巻初め点P1に対応する部位から巻終わり点P2に対応する部位との領域Dのほぼ中央位置に、ギャップ8を形成した。これにより、金属膜6が第1の金属膜部としての金属膜部6aと第2の金属膜部としての金属膜部6bとに二分され、これらの金属膜部6a,6bが、ギャップ8によって電気的切断されている。
次に、金属膜6とギャップ8との機能について説明する。
図5は、金属膜6の機能を説明するための図1の矢視A−A断面図であり、図6は、金属膜6に発生する渦電流Iを示す部分拡大断面図である。
コモンモードチョークコイル1が上記構成を採ることにより、所定周波数の信号がコモンモードチョークコイル1に入力されると、図5の矢印で示すように、信号に対応した磁力線Hが、巻芯部20と鍔部21,22と天板5とに沿って発生する。
このとき、抵抗部6が、磁力線Hの通過部位に形成されているので、この抵抗部6がコモンモードチョークコイル1の抵抗成分として機能する。
具体的には、図6に示すように、鍔部21(22)から天板5に至る磁力線Hが、抵抗部6の金属膜6を通るため、この磁力線Hによって、渦電流Iが、金属膜6の表面に発生する。この結果、1対の巻線4−1,4−2(図5参照)を流れる信号のエネルギーが消耗され、金属膜6が1対の巻線4−1,4−2を流れる信号に対する抵抗として機能することとなる。
図7は、ギャップ8の機能を説明するための部分拡大断面図である。
この実施例のコモンモードチョークコイル1では、金属膜6が天板5の下面5bに形成され、1対の巻線4−1,4−2と対向しているので、図7の(a)に示すように、容量Cが金属膜6と1対の巻線4−1,4−2との間に発生し、例えば1対の巻線4−1,4−2に向かう電流Iがこの容量Cを通じて金属膜6側に流れようとする。このとき、同図のように、金属膜6が1対の巻線4−1,4−2の巻回軸方向に沿って連続してる場合には、電流Iが、巻初め点P1側から容量Cを通じて金属膜6内に入り込み、金属膜6内を流れて、巻終わり点P側から流出する。つまり、コモンモードチョークコイル1に入力された電流Iが、1対の巻線4−1,4−2内を流れずに、金属膜6を迂回して出力されるおそれがある。かかる状態で、大きなESD電圧を1対の巻線4−1,4−2の巻初め点P1側又は巻終わり点P2側に加えると、大きな電流Iが容量Cを通じて金属膜6に流れ、損傷を受ける。すなわち、金属膜6の存在によってESD耐性が低下するおそれがある。また、通常の使用時においても、電流Iが金属膜6側を通じて1対の巻線4−1,4−2の巻初め点P1側又は巻終わり点P2側に至るので、高周波領域でのインピーダンスが下がって、コモンモードチョークコイルの自己共振周波数が低下するおそれがある。
しかしながら、この実施例のコモンモードチョークコイル1では、図7の(b)に示すように、ギャップ8を金属膜6に設けて金属膜部6a,6bに二分し、金属膜部6a,6bをギャップ8で電気的切断した状態にしているので、電流Iは、金属膜6側に流れず、1対の巻線4−1,4−2内を正常に流れる。この結果、ESD耐性の低下がなく、また、高周波領域でのインピーダンスの低下による自己共振周波数の低下もほとんど生じない。
また、図7の(c)に示すように、ギャップ8を、巻初め点P1〜巻終わり点P2の領域Dから外れた部位に形成すると、1対の巻線4−1,4−2の巻初め点P1側と金属膜6の金属膜部6bとが近接して、電流Iが金属膜部6bに流れてしまう。したがって、ギャップ8は、領域Dの内側に形成する必要がある。このため、この実施例では、1対の巻線4−1,4−2の巻初め点P1及び巻終わり点P2から最も遠い、領域Dの中央位置に、ギャップ8を形成して、金属膜6側への電流Iの流入をより効果的に防止するようにしている。
ところで、図7の(b)示したように、ギャップ8を金属膜6に設けて二分した状態にした場合においても、ギャップ8の幅Wが電流Iを流す電圧に対して狭いと、金属膜部6a,6b間で放電し、電流Iが、金属膜部6a,6b間を流れる可能性がある。
そこで、発明者等は、放電するESD電圧とギャップ8の幅Wとの関係を実験によって調べた。
図8は、ESD電圧とギャップ幅との関係を示す線図である。
この実験では、金属膜6が設けられた天板5の長さ(図4の左右方向の長さ)と幅(図4の上下方向の長さ)とを、約4.5mm及び約3.2mmに設定し、ギャップ8の幅Wを0.0mm〜2.0mm迄変化させ、各幅Wにおいて、電流Iが金属膜6に流れたときのESD電圧を測定してプロットした。
すると、図8に示すように、ギャップ8の各幅WにおけるESD電圧が直線Vに沿うようにプロットされた。そこで、6KV〜30KVのESD電圧に耐えうることができるように、この実施例では、ギャップ8の幅Wを0.5mm〜2.0mmに設定した。
次いで、このようなコモンモードチョークコイル1の製造方法について説明する。
図9は、コモンモードチョークコイル1の製造方法の第1工程を示す工程図であり、図10は、コモンモードチョークコイル1の製造方法の第2工程を示す工程図である。
第1工程は、図9に示すように、コモンモードチョークコイル本体を製造する工程である。具体的には、図9(a)に示すように、コア2を形成した後、図9(b)に示すように、外部電極3−1〜3−4をコア2の鍔部21,22下部に塗布する。そして、図9(c)に示すように、巻線4−1,4−2をコア2の巻芯部20に巻回して、端部4−1a,4−2aと端部4−1b,4−2bとを、外部電極3−1,3−2と外部電極3−3,3−4とにそれぞれ接合する。しかる後、図9(d)に示すように、接着剤7を鍔部21,22の上面に塗布する。
一方、第2工程は、図10に示すように、天板5の部分を製造する工程であり、第1工程と平行して実行される。
具体的には、図10(a)に示すように、天板5を形成する。そして、図10(b)に示すように、メッキ等の手段により、金属膜6とギャップ8とをこの天板5の下面5bと周側面5cとに形成する。
上記第1及び第2工程を実行した後、図2に示すように、第1工程で作成された金属膜6付きの天板5を、第1工程で作成されたコア2の鍔部21,22上面に接着剤7で接着させることにより、コモンモードチョークコイル1を製造することができる。
次に、この実施例のコモンモードチョークコイルが示す作用及び効果について説明する。
図11は、誘導イミュニティ試験におけるコモンモードチョークコイル1の作用及び効果を説明するための概略ブロック図である。
図11において、符号100,101は、送信IC,受信ICであり、これら送信IC100と受信IC101とが差動伝送路111,112で接続されている。そして、コモンモードノイズNを発生させるためのノイズ発生器120が送信IC100側の差動伝送路111,112部位に配置されている。
コモンモードチョークコイル1は、このような差動伝送路111,112上であって、受信IC101側に近い部位に接続した。具体的には、外部電極3−2,3−4を差動伝送路111に接続すると共に、外部電極3−1,3−3を差動伝送路112に接続した。
かかる状態で、差動信号S1,S1′を送信IC100から差動伝送路111,112に出力すると共に、ノイズ発生器120を用いて、所定周波数範囲のコモンモードノイズNを差動伝送路111,112上に誘導させる。
すると、コモンモードノイズNが載った差動信号S2,S2′がコモンモードチョークコイル1側に向かって伝送され、外部電極3−1,3−2を通じてコモンモードチョークコイル1内に入力される。そして、この差動信号S2,S2′が巻線4−1,4−2と抵抗R,Rを通り、外部電極3−3,3−4を通じて、差動信号S3,S3′として差動伝送路111,112に出力される。
ところで、受信IC101の終端の容量は終端で生じる多くの容量の総和として生じる。ここでは、理解を容易にするために、これらの容量をキャパシタンス102で表示した。このように、受信IC101の終端には、キャパシタンス102が存在するので、コモンモードチョークコイル1の巻線4−1,4−2のインダクタンスとこのキャパシタンス102とが共振回路を構成する。そして、この共振回路の共振周波数は、ノイズ発生器120で発生させるコモンモードノイズNの周波数範囲内に含まれるおそれがある。かかる状態では、この共振周波数及びその近傍の周波数帯域内のコモンモードノイズNが十分抑圧されず、コモンモードノイズNが載った差動信号S3,S3′が出力されるおそれがある。
しかしながら、この実施例のコモンモードチョークコイル1では、金属膜6を天板5の下面5bと周側面5cとに形成し、図5及び図6に示したように、磁力線Hがこの金属膜6を必ず通過するようにしたので、金属膜6上における渦電流Iの発生によって、上記共振周波数及びその近傍の周波数帯域内のコモンモードノイズNに対する抵抗成分Rが増加し、この抵抗成分RがコモンモードノイズNを抑圧する。この結果、誘導イミュニティ試験における全ての周波数帯域のコモンモードノイズNに対して、良好なノイズ抑圧効果を発揮する。
ところで、コモンモードチョークコイル1の金属膜6が1対の巻線4−1,4−2と対向しているので、図7に示したように、電流が金属膜6側に流れて、コモンモードチョークコイル1のESD耐性や高周波領域におけるインピーダンスを下げるおそれがある。しかし、上記したように、この実施例のコモンモードチョークコイル1では、金属膜6をギャップ8で電気的切断した状態にし、しかも、ギャップ8を1対の巻線4−1,4−2の巻初め点P1及び巻終わり点P2から最も遠い、領域Dの中央位置に形成したので、金属膜6側への電流の流入がより効果的に防止され、ESD耐性の低下や高周波領域でのインピーダンスの低下が抑制される。
高周波領域におけるインピーダンスの低下に対する抑制効果を確認すべく、発明者は次のような実験を行った。
図12は、実験で測定した周波数とインピーダンスとの相関図であり、図13は、実験に使用したコモンモードチョークコイルの寸法説明図である。
この実験では、まず、金属膜6を設けていないコモンモードチョークコイルについて、1MHz〜100MHz迄の信号を入力して、各周波数におけるインピーダンス(Ω)を測定した。
具体的には、図13の(a)及び(b)に示すように、誤差±0.2mmの範囲で、長さL1,幅L2及び高さHが4.5mm,3.2mm及び2.6mmで、各外部電極3−1(3−2〜3−4)の縦M1及び横M2が0.6mm及び0.8mmで、1対の巻線4−1,4−2と天板5との間の間隙Gが0.1mmで、1対の巻線4−1,4−2のターン数が15ターンであるコモンモードチョークコイルを作成して、上記周波数の信号を入力した。そして、図12の破線で示すインピーダンス曲線V1を得た。
かかるコモンモードチョークコイルでは、金属膜6がないので、入力された信号が全て1対の巻線4−1,4−2を流れ、インピーダンス曲線V1に示すように、20MHz〜100MHzの高周波領域において、このコモンモードチョークコイルは、8000Ω〜20000Ωという高インピーダンス状態となる。
次に、金属膜6を上記コモンモードチョークコイルの天板5の下面5bと周側面5cとに形成して、上記と同様の実験を行ったところ、図12の実線で示すインピーダンス曲線V2を得た。かかるコモンモードチョークコイルでは、ギャップ8が金属膜6に形成されていないので、入力された信号が金属膜6側に流れ、インピーダンス曲線V2に示すように、20MHz〜100MHzの高周波領域において、5000Ω〜約10000Ωという低インピーダンス状態となってしまう。
最後に、図13の(a)及び(b)に示すように、幅Wが2.0mmのギャップ8を金属膜6の中央部に形成して、上記と同様の実験を行ったところ、図12の太実線で示すインピーダンス曲線V3を得た。かかるコモンモードチョークコイルでは、ギャップ8が金属膜6に形成されているので、入力された信号の金属膜6側への流入が抑制され、インピーダンス曲線V3に示すように、20MHz〜100MHzの高周波領域において、インピーダンスが8000Ω〜13500Ωという値になった。このようにして、発明者等は、ギャップ8を金属膜6に設けることで、高周波領域におけるインピーダンスの低下を抑制することができることを確認することができた。
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、図7の(b)に示したように、ギャップ8を、巻初め点P1〜巻終わり点P2の領域Dの中央位置に形成したが、ギャップ8は、領域Dの内側に形成されていれば良い。したがって、図14の(a)及び(b)に示すように、ギャップ8を、領域D内で中央位置Mから左右にずらした構造のコモンモードチョークコイルも、この発明の範囲に含まれる。
また、上記実施例では、図4に示したように、ギャップ8を等幅の帯形状に形成したが、ギャップ8の形状は任意であり、図15に示すように、天板5の裏面側から見て、ギャップ8が台形を成すコモンモードチョークコイルも、この発明の範囲に含まれる。
また、上記実施例では、金属膜6を、天板5の上面5aを除いて、下面5b及び周側面5cに形成したが、金属膜6は、天板5の少なくとも下面5bに形成されていれば良い。したがって、金属膜6を天板5の下面5bにのみ設けたコモンモードチョークコイルや、金属膜6を天板5の上面5aをも含めた全面に設けたコモンモードチョークコイルも、この発明の範囲内に含まれる。
また、上記実施例では、コア2と天板5とを、それぞれフェライトで形成したが、これらの部材をフェライト以外の磁性体で形成したコモンモードチョークコイルを、この発明の範囲から除外する意ではない。
さらに、上記実施例では外部電極3−1〜3−4をコア2の鍔部21,22に直接塗布して形成したが、他の形態、例えば金属端子により鍔部2に外部電極を形成したコモンモードチョークコイルをこの発明の範囲から除外する意ではない。

Claims (7)

  1. 巻芯部及びこの巻芯部の両端部にそれぞれ設けられた第1及び第2の鍔部を有して成る磁性コアと、上記第1及び第2の鍔部にそれぞれ形成された外部電極と、上記第1の鍔部側から巻き初めて第2の鍔部側で巻き終わるように巻芯部に巻回され且つ各端部が上記外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、当該1対の巻線に対向する面が上記第1及び第2の鍔部の周端面に接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルであって、
    金属膜を、上記磁性板の少なくとも上記1対の巻線に対向する面に形成し、
    上記1対の巻線の上記巻き初め側に対応する部位と上記巻き終わり側に対応する部位との間で、上記金属膜を第1の金属膜部と第2の金属膜部とに二分してこれら第1及び第2の金属膜部の電気的接続を断つギャップを設けた、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  2. 請求項1に記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
    上記金属膜を、鉄,コバルト,ニッケル,クロム,マンガン及び銅の内の少なくともいずれかを含む強磁性体で形成した、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  3. 請求項2に記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
    上記金属膜を、ニッケルとクロムの合金又はニッケルと銅の合金を主成分とする強磁性体の合金で形成した、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
    上記ギャップを、幅方向が上記1対の巻線の巻回軸方向を向き且つ長さ方向が上記1対の巻線の巻回軸方向に対して垂直な帯形状に形成した、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
    上記ギャップを、上記1対の巻線の上記巻き初め側に対応する部位と上記巻き終わり側に対応する部位との中央位置に配設した、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
    上記磁性コアと上記磁性板とを、それぞれフェライトで形成した、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
    上記接着剤に、磁粉を混入した、
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
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