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JP4838538B2 - 不飽和カルボン酸エステルの製造方法およびそのための触媒の製造方法 - Google Patents
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不飽和カルボン酸エステルの製造方法およびそのための触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不飽和カルボン酸エステルの製造方法およびそのための触媒の製造方法に関する。
従来、メタクリル酸メチルやアクリル酸メチルのような不飽和カルボン酸エステルとブチルアルコールや2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコールとのエステル交換反応により、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどの炭素数の多い不飽和カルボン酸エステルを製造する場合、硫酸等の酸触媒やテトラアルコキシチタン、ジブチルスズオキサイド等の触媒が用いられてきた。しかしこれらの触媒は、反応液に溶解するため、回収して再使用することが困難であった。
この問題の解決手段として、チタンやスズなどの活性成分を不溶化した無機固体触媒を使用することが提案されている。例えば、特許文献1には遷移金属アルコキシドと水とを反応させることによってオリゴマーを予め形成させ、表面ヒドロキシル基を有する固体支持体と混合して製造した触媒を使用することが記載され、特許文献2にはアルコキシチタンと水をケイソウ土等の担体の存在下に反応させた後、脱アルコール処理した触媒を使用することが記載されている。特許文献3には平均細孔直径が5オングストロ−ム以上、150オングストローム以下のシリカにアルキルチタネートを担持させた触媒を使用することが記載され、特許文献4および非特許文献1にはシリカにアルコキシチタン誘導体を担持させた触媒を使用することが記載されている。
さらに特許文献4と特許文献5には、シランカップリング剤を使用して、スズ化合物を担持した触媒を使用することが記載されている。
しかし、前記文献に記載の方法では、触媒を、リサイクル使用した場合活性低下が大きく、リサイクル使用はできないものであった。
特開平 6− 9495号公報 特開昭62−140651号公報 特開平 8−337553号公報 特開平11−255782号公報 特表2001−506661号公報 Catal. Lett. 43,1/2,139−142(1997)
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みなされたものであり、触媒の活性を向上させ、または使用により低下した触媒活性を復活させることにより、触媒の再使用または連続使用を可能とし、連続して、または繰り返して長期間にわたり安定して不飽和カルボン酸エステルを製造できる製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、上記課題を解決した本発明は、チタン化合物を担体に担持した第1の触媒の存在下、反応開始時の反応液の水分量を100ppm〜180ppm、反応温度95℃以上の条件で、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で、第1のエステル交換反応を0.1〜50時間行って第2の触媒を調製し、前記第2の触媒の存在下、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で第2のエステル交換反応を行い不飽和カルボン酸エステルを製造する方法である。
また、本発明は、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応を行い不飽和カルボン酸エステルを製造するための触媒の製造方法であって、チタン化合物を担体に担持したものを、初期の水分量が100ppm〜180ppmである原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとを含む液中で、95℃以上、0.1〜50時間処理することを特徴とする方法である。
本発明の製造方法によれば、特定の条件で触媒を調製することで、触媒の活性を向上させ、または使用により低下した触媒活性を復活させることができる。そして、不飽和カルボン酸エステルを繰り返して、または連続して製造する場合においても触媒活性を維持することができ、長期間にわたり不飽和カルボン酸エステルを安定して製造することができる。すなわち、触媒のリサイクル使用または連続使用が可能となる。
本発明において、触媒に使用されるチタンまたはスズ化合物とは、アルキル基やアルコキシ基のような置換基を持つチタン化合物またはスズ化合物をいう。
本発明において使用される第1の触媒は、前記チタンまたはスズ化合物と担体と溶媒とを混合し、加熱して調製する。
本発明に使用することのできるチタンまたはスズ化合物としては、アルコキシチタンやアルキルスズ等の化合物が挙げられる。
アルコキシチタンとしては、高活性の触媒が得られることから、例えば、テトラブトキシチタン、テトライソプロピルオキシチタン、テトラオクチルオキシチタンが好ましい。
アルキルスズとしては、例えば、ジブチルスズオキサイド、モノブチルスズオキサイド、ジ−n−ブチルスズジラウレート、水素化トリブチルスズ、スズ(IV)t−ブトキシドおよびそれらの誘導体等を挙げることができる。
本発明では、これらチタンまたはスズ化合物を担持する担体としては、無機担体、有機担体のいずれも使用可能である。
無機担体としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、CaO、ZnO、シリカーアルミナ、ゼオライト、活性白土、ケイソウ土、粘土(例えばカオリン、モンモリロナイト、バーミキュレイト、クローライト)などが挙げられる。これらの無機担体のなかでは、チタンまたはスズ化合物との結合が強固でチタンやスズ化合物が溶出しないことから、シリカ、アルミナ、シリカーアルミナ、活性白土、ケイソウ土のようなシリカやアルミナで構成される無機担体が好ましく、触媒活性の向上効果が顕著であることからシリカ−アルミナがより好ましい。触媒活性が良好であることから、シリカ−アルミナのSi/Alの原子比が1〜8であることが好ましく、2〜7であることがより好ましく、4〜6であることがさらに好ましい。
チタンまたはスズ化合物は担体に形成される細孔内に担持され、さらに原料不飽和カルボン酸エステルや原料アルコールが細孔内に入る必要があることから、担体は、1nm以上の平均細孔径を有するものが好ましい。細孔内で原料不飽和カルボン酸エステルや原料アルコールがより自由に移動できることから、担体は、2nm以上の平均細孔径を有するものがより好ましい。また、細孔径が大きくなりすぎると担体の強度が低下する傾向が見られるところから平均細孔径は30nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。
第1の触媒を調製する際のチタンまたはスズ化合物の担持量は、担体に対し0.1〜30質量%とすることが好ましい。触媒の活性の点から、担持量は、担体に対し5質量%以上とすることがより好ましく、10質量%以上とすることがさらに好ましい。チタンまたはスズ化合物の担持効率や担体の細孔の閉塞を防止する点から、チタンまたはスズ化合物の担持量は、担体に対し25質量%以下とすることがより好ましく、20質量%以下とすることがさらに好ましい。
第1の触媒を調製する際に用いる有機溶媒としては特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、t−ブチルアルコ−ル、イソブチルアルコ−ル、n−アミルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、n−へキシルアルコ−ル、n−へプチルアルコ−ル、n−オクチルアルコ−ル、n−ノニルアルコ−ル、n−デシルアルコ−ル、ラウリルアルコ−ル、セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベンジルアルコ−ル、トリフェニルカルビノ−ル、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、クレゾール、フェノール、キシレノール等のアルコール系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒などがあげられる。以上の溶媒は二種以上を混合して用いてもよい。これらの溶媒には必要により水を添加しても良い。
なお、テトラブトキシチタン、テトライソプロピルオキシチタンなどのアルコキシチタンを担体表面へ担持させて触媒を調製する際、極性が高い有機溶媒を使用すると、溶媒の担体表面への吸着が強くなり、アルコキシチタンの吸着を阻害し担持がうまくいかない場合がある。この場合には、第1の触媒の調製時に前記炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等の極性の低い溶媒を使用することが好ましい。
第1の触媒を調製する際の溶媒量は、多すぎると担持反応の進行が遅くなる傾向にあり、少なすぎると反応制御が難しくなる傾向にあるので、チタンまたはスズ化合物の1〜100質量倍とすることが好ましく、より好ましくは2〜20質量倍とすることである。
第1の触媒を調製する際の系の温度は、低すぎると担持反応が完結しなくなる傾向にあり、高すぎると触媒活性が低下する傾向にあるので、20〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、50〜100℃が特に好ましい。
第1の触媒の調製時間は特に限定されないが、10分〜5時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
上記のチタンまたはスズ化合物は高温では不安定なため、これらの化合物を担体に担持して第1の触媒を調製した後に、高温で乾燥などの処理を行って触媒中の水分を除去することが難しい。例えば、アルコキシチタンまたはアルコキシスズやアルキルスズオキサイド等のチタンまたはスズ化合物を担体に担持した触媒は高温処理により、担持したチタンまたはスズ化合物が分解し、活性が著しく低下する。また、担体に担持したポリチタン酸等の水和水は、数百度で加熱しなければ完全に除去することができない。このような温度で処理すると酸化チタン等になり、活性が著しく低下する。そのため、水を添加しないことが好ましい。水を添加する場合には、その使用量は、チタンまたはスズ化合物に対し15倍モル未満とするのが好ましく、1倍モル未満とするのがより好ましく、0.1倍モル未満とするのがさらに好ましい。
チタンまたはスズ化合物を担体に担持した後に第1の触媒を取り出す方法は特に限定されず、ろ過、濃縮等の公知の方法で行うことができる。取り出した第1の触媒はそのまま使用しても良いし、加熱常圧または加熱減圧乾燥してから用いても良い。乾燥条件は特に限定されず、溶媒が蒸発する温度と圧力に設定できれば良い。乾燥温度が高すぎると活性が低下するおそれがあり、低すぎると溶媒が残存するおそれがあるので、0〜200℃が好ましく、より好ましくは30〜180℃、さらにより好ましくは50〜150℃である。
第1の触媒の存在下、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で第1のエステル交換反応を0.1〜50時間行って、第2の触媒を調製する。
その際、第1のエステル交換反応の少なくとも反応開始時の反応液(以下、単に「反応液」という)の水分量は、触媒の活性を向上させ、または使用により低下した触媒活性を復活させるため、180ppm以下とし、反応温度を95℃以上とすることが重要である。
さらに、触媒活性の変動を避け、安定して製造を行うために、反応液の水分量を100ppm以上とする。
第1のエステル交換反応を行う際の反応時間は、原料や触媒の活性等の条件により異なるが、0.1〜50時間が好ましく、操作上の観点から、0.5時間以上とするのがより好ましく、1時間以上とするのがさらに好ましい。処理に要する時間やエネルギーの消費を抑制する観点から、反応時間は30時間以下とするのがより好ましく、10時間以下とするのがさらに好ましい。
連続式の反応装置では、第1のエステル交換反応と第2のエステル交換反応の間に停止期間を置かずに継続して実施しても良い。
第2の触媒の活性の点からは、第1のエステル交換反応の温度は100℃以上とすることが好ましく、105℃以上とすることがより好ましい。また、第2の触媒の活性部位の安定性および副反応抑制の点からは、170℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがより好ましい。第1のエステル交換反応の初期または途中で一時的に95℃よりも低い温度となることがあってもよいが、活性が大きく低下するので好ましくない。
一般に販売されている溶媒は水分を含んでおり、容器を開封するとさらに水分量が多くなるため、溶媒を使用するときは、脱水処理をするのが好ましい。脱水処理の方法としては、モレキュラーシーブなどの水分吸収剤を使用する方法、ディーンスターク等を使用して水分を分離除去する方法、蒸留により水分を除去する方法などの公知の方法を挙げることができる。また、脱水した溶媒は、密栓をしていても水分量が増加することがあるので、デシケータや乾燥空気でパージした容器中で保管することが好ましい。
第1のエステル交換反応の初期または途中で、液中の水分量が180ppmより多くなってしまった場合であっても、例えば、ディーンスターク等の水分分離装置を用いて脱水処理を行い、反応液の水分量を180ppm以下に調整して改めて0.1〜50時間第1のエステル交換反応を行うことで、触媒の活性を向上させることができる。
第1および第2の触媒の使用形態は懸濁式や流動床式、固定床式など任意のものを選択することが出来る。
第1および第2の触媒の連続的な使用方法の例としては、例えば、固定床式または流動床式の触媒層に原料を連続して供給し、前記触媒層を通過した反応液を回収する方法がある。他にも、一度触媒層を通過した反応液から副生したアルコールを除き、再度触媒層に供給する循環方式も使用できる。
また、第1および第2の触媒を繰り返して使用する方法の例としては、例えば、バッチごとに新たな原料を供給して反応させた後、触媒を分離して反応液を回収する操作を繰り返す方法がある。
本発明においては、用いる原料アルコールの炭素数に制限はないが、原料不飽和カルボン酸エステルのアルコキシ基の炭素数よりも多い炭素数を有するアルコールが用いられることが好ましい。
原料アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等のアルキルアルコール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール等のアルコキシアルキルアルコール類、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のフェノキシアルキルアルコール類、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等のシクロアルキルアルコール類、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール等のハロアルキルアルコール類、エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン等のアミノアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、グリセロール等の多価アルコール類、ベンジルアルコール等が挙げられる。エステル交換反応性の点からこれらのアルコールの中で炭素数が2〜18のものが好ましい。
一方、原料不飽和カルボン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばメタクリル酸メチルやアクリル酸メチル、メタクリル酸エチルやアクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルやアクリル酸ブチルなどが挙げられる。
第1の触媒の存在下、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で第1のエステル交換反応を行う際の、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールの仕込み比率は特に限定されないが、1モルの原料アルコールに対する原料不飽和カルボン酸エステル使用量は0.05〜20モルが好ましく、収率と生産性の兼ね合いから0.1〜10モルとするのがより好ましい
また、第1のエステル交換反応の際は、溶媒を添加してもよい。添加することのできる溶媒としては、水を含まないものであれば特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒などがあげられる。以上の溶媒は二種以上を混合しても用いてもよい。
これらの溶媒の使用量は特に限定されないが、少なすぎると脱水効果がなくなるおそれがあり、多すぎると生産性が低下するおそれがあるため、原料総容量に対して0〜100倍容量が好ましく、0〜20倍容量がさらに好ましい。
製造した第2の触媒は回収して第2のエステル交換反応に供してもよいし、回収せず第2のエステル交換反応に供してもよい。
本発明は、短時間の反応により目的の不飽和カルボン酸エステルが得られることから、不飽和カルボン酸エステルの中でも重合性の高いα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造に適している。特に工業的に安価かつ容易に入手可能なメタクリル酸メチルやアクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステルを原料としてエチルアルコール、ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコールとの間でエステル交換反応を行い、目的とするメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルを製造するのに適している。
本発明の不飽和カルボン酸エステルの製造方法は、懸濁式や流動床式などの回分式の反応装置を用いるバッチごとに原料を供給し反応し触媒を分離する回分操作による製造方法や、固定床式の連続式の反応装置等を用いる連続操作による製造方法等いずれの製造方法であってもよい。反応装置は系外からの水分の浸入を防止する措置をすることが好ましい。また、液相反応のほかに気相反応、気液混合系で反応を行うことも可能である。
第1のエステル交換反応において調製された第2の触媒の存在下、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で第2のエステル交換反応を行い不飽和カルボン酸エステルを製造する。その際の原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールの仕込み比率は特に限定されないが、1モルの原料アルコールに対する原料不飽和カルボン酸エステル使用量は0.05〜20モルが好ましく、収率と生産性の兼ね合いから0.1〜10モルとするのがより好ましい
第2の触媒の使用量は、触媒の活性、不飽和カルボン酸エステルの製造プロセス、生産量などから適宜決めることが出来るが、担体に担持されたチタンまたはスズのモル数が、原料アルコールのモル数に対して0.000001〜1倍モルとなる量が好ましく、コストと反応性の兼ね合いから0.00001〜0.5倍モルとなる量が好ましい。
原料不飽和カルボン酸エステルが重合反応を起こすおそれのある場合、例えばメタアクリル酸エステルやアクリル酸エステル等の場合には、反応系内に重合防止剤を存在させることが好ましい。重合防止剤は目的の機能を有するものならば、特に限定されないが、アルコキシチタンやジブチルスズオキサイドなどを使用したエステル交換反応に使用可能なものが良好な効果を示す。例として、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール等のフェノール系化合物、N,N’−ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系化合物などがあげられる。これらの重合防止剤は1種を用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2のエステル交換反応を行う際にも、第1のエステル交換反応と同様に溶媒を使用してもよい。
第2のエステル交換反応を行う際の反応温度は、通常、95〜200℃とするのが好ましい。触媒の活性の点から反応温度は、100℃以上とすることがより好ましく、105℃以上とすることがさらに好ましい。また、触媒の活性部位の安定性および副反応抑制の点から反応温度は、170℃以下とすることが好ましく、150℃以下とすることがより好ましい。反応の初期または途中で95℃よりも低い温度となることがあってもよいが、95℃を下回ると活性が大きく低下するので、反応の間上記温度範囲に維持することが好ましい。
第2のエステル交換反応を行う際の反応時間は、原料や触媒の活性等の条件により異なるが、回分式の反応装置であれば0.1〜50時間とすることが好ましく、操作上の観点から、反応時間は0.5時間以上とするのがより好ましく、1時間以上とするのがさらに好ましい。生産性の観点から反応時間は30時間以下とするのがより好ましく、10時間以下とするのがさらに好ましい。流通式などの連続式の反応装置であれば、接触時間は0.000001〜0.1秒・g/mlとすることが好ましく、操作上の観点から、接触時間は0.00001秒・g/ml以上とするのがより好ましく、0.0001秒・g/ml以上とするのがさらに好ましい。生産性の観点から接触時間は0.01秒・g/ml以下とするのがより好ましく、0.005秒・g/ml以下とするのがさらに好ましい。
連続式の反応装置で行う反応時間は、活性を十分向上させるためには3時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、10時間以上が特に好ましい。
反応圧力はいずれの圧力でも処理可能であるが、液相で反応を行うときは原料や溶媒等の還流温度が上記温度範囲となるような圧力に調整することが好ましい。
反応時に、副生する原料カルボン酸エステル由来のアルコールを反応系から除去することが、逆反応を抑制し、反応時間を短縮することができることから好ましい。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
また、実施例において反応液の水分量は、カールフィッシャー水分計を使用して測定した。また、原料液および反応液組成は、ガスクロマトグラフィー(GCと表す)を使用して分析し、原料アルコールの転化率(%)は、反応液における原料アルコールのモル数(Nal)および生成不飽和カルボン酸エステルのモル数(Nes)の測定値から次式により算出した。
転化率(%)=100×Nes/[Nal+Nes
触媒の活性は第1のエステル交換反応開始90分後のn−ブタノールの転化率で評価した。
[実施例1]
第1の触媒の調製
テトラ−n−ブチルチタネート8.36g(12.3モル)をトルエン121gに溶解し、これに150℃で12時間真空乾燥した粒径1mmのシリカ−アルミナ(Si/Al原子比=5.5、平均細孔径4.4nm)42gを攪拌しながら少しずつ添加しスラリーを得た。このスラリーを60℃に加熱して、2時間攪拌した後、溶媒をバス温60℃のエバポレータで溜去し、130℃で12時間真空乾燥して第1の触媒を得た。
第2の触媒の調製(第1のエステル交換反応)
20段オールダーショウとディーンスターク、触媒を保持する100meshのSUS製の網でできた触媒容器を備え付けた2Lガラス製四つ口フラスコに、モレキュラーシーブで脱水処理したメタクリル酸メチル(MMA)902g(9.0モル)と、同様に脱水処理したn−ブタノール370g(5.0モル)、重合防止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトアミノピペリジン−N−オキシル0.15gを供給し、油浴で加熱して、MMAと水を共沸させ、ディーンスタークで水を除去することにより脱水を行った。
抜き出したMMAとブタノールを補充しながら脱水処理を行い、この液中の水分量を分析し、液中の水分量が30ppmになったところで、この脱水操作を終了した。上記で得られた第1の触媒10gを上記四つ口フラスコに備えた触媒容器に導入し、第1のエステル交換反応開始時の反応液の水分量を測定したところ、32ppmであった。それから油浴で反応液を加熱して、副生するメタノールを抜き出しながらフラスコ内温103〜135℃にて第1のエステル交換反応を行い、140分後にn−ブタノールの転化率が99%に達したので反応を終了した。反応液を冷却後、第2の触媒を触媒容器を取り出して回収し、デシケータ中で乾燥した。反応液の組成をガスクロマトグラフ(GC)で分析した。第1のエステル交換反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を表1に示した(繰り返し操作番号1)。
第2のエステル交換反応
次に、上記で調製された第2の触媒を用いて、上記の第1のエステル交換反応と同様の操作を繰り返して第2のエステル交換反応を行い(繰返し操作番号2)、触媒を回収した。回収した触媒を用いて同様の第2のエステル交換反応を繰り返し3回行った。各々の操作における第2のエステル交換反応開始時の反応液の水分量、反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を纏め表1に示した(繰り返し操作番号2〜5)。
Figure 0004838538
反応を繰り返すにつれて反応開始90分後のn−ブタノールの転化率は向上した。
[比較例1]
触媒として実施例1で調製した第1の触媒を用い、原料の脱水処理を行わず、反応開始時の反応液の水分量が230ppmであり、反応時間を180分(n−ブタノールの転化率が99%に到達)とした以外は実施例1と同様にして第1のエステル交換反応を行い、第2の触媒を調製し、反応液を分析した。さらに、上記第1のエステル交換反応と同様にして、第2のエステル交換反応を4回繰り返した。
各々の操作における反応開始時の反応液の水分量、反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を纏め表2に示した。
[実施例2]
比較例1の繰返し操作番号5において回収した触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、第1の触媒の調整、第1のエステル交換反応を行った。さらに、実施例1と同様にして第2のエステル交換反応を4回繰返した。
各々の操作における反応開始時の反応液の水分量、反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を纏め表2に示した。
表2に示したように、本発明の方法では、反応液中の水分の影響で低下した活性を復活させるばかりでなく、触媒の活性を大きく向上させることができた。これに対し、比較例1の方法ではエステル交換反応を繰り返すにつれ、触媒の活性は低下した。
Figure 0004838538
[実施例3]
粒径1mmのシリカ−アルミナ(Si/Al原子比=2.2、平均細孔径5.6nm)を使用した以外は、実施例1と同様にして第1の触媒を調製した。また、この触媒を用い、反応開始時の反応液の水分量を35ppmとし、反応時間を150分(n−ブタノールの転化率が99%に到達)とした以外は実施例1と同様にして、脱水処理を行い、第1のエステル交換反応を行い、第2の触媒を調製した。得られた第2の触媒を用いて、実施例1と同様にして第2のエステル交換反応を4回繰返した。
各々の操作における反応開始時の反応液の水分量、反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を纏め表3に示した。
Figure 0004838538
[実施例4]
粒径1mmのシリカ(平均細孔直径10nm)を使用した以外は、実施例3と同様にして第1の触媒を調製した。またこの触媒を用い、実施例3と同様にして、第1のエステル交換反応を行い、第2の触媒を調製した。得られた第2の触媒を用いて実施例3と同様にして第2のエステル交換反応を4回繰返した。
各々の反応開始時の反応液の水分量、反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を纏め表4に示した。
Figure 0004838538
[実施例5]
触媒として実施例1にて調製した第1の触媒を用い、反応開始時の反応液の水分量を142ppmとし、反応時間を155分(n−ブタノールの転化率が99%に到達)とした以外は実施例1と同様にして、第1のエステル交換反応を行い、第2の触媒を調製した。得られた第2の触媒を用いて実施例1と同様にして第2のエステル交換反応を4回繰り返した。
各々の操作における反応開始時の反応液の水分量、反応開始90分後のn−ブタノールの転化率を纏め表5に示した。
Figure 0004838538
以上に示したように、本発明の製造方法によれば、触媒の活性を向上させまたは使用により低下した触媒活性を復活させること、および高い活性を維持することができる。これにより繰り返してまたは連続して長期間にわたり不飽和カルボン酸エステルを安定して製造することができる。

Claims (2)

  1. チタン化合物を担体に担持した第1の触媒の存在下、反応開始時の反応液の水分量を100ppm〜180ppm、反応温度95℃以上の条件で、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で、第1のエステル交換反応を0.1〜50時間行って第2の触媒を調製し、前記第2の触媒の存在下、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間で第2のエステル交換反応を行い不飽和カルボン酸エステルを製造する方法。
  2. 原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応を行い不飽和カルボン酸エステルを製造するための触媒の製造方法であって、チタン化合物を担体に担持したものを、初期の水分量が100ppm〜180ppmである原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとを含む液中で、95℃以上、0.1〜50時間処理することを特徴とする方法。
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