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JP4841495B2 - 音響再生システムおよびスピーカ装置 - Google Patents
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JP4841495B2 - 音響再生システムおよびスピーカ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、音響再生システムおよびスピーカ装置に関する。
ホームシアターシステムと呼ばれる映像音響再生システムが普及しつつある。この映像音響再生システムにおいては、例えばDVD(Digital Versatile Disc)からの映像再生は、比較的大画面のディスプレイに表示して行なうと共に、音響再生は、マルチチャンネルサラウンド音声方式、最近は、5.1チャンネル方式を採用して、迫力のある映像および音響再生ができるようにしている。
5.1チャンネル方式の音響再生システムでは、リスナの前方(以下フロントという)、リスナの正面(以下センターという)、リスナの後方(以下リアという)、低域専用と、4種類のスピーカが必要で、低域専用のスピーカであるサブウーハは、本来、100Hz以下の帯域をモノラルで受け持っている。その他のスピーカは、100Hzから20kHzの帯域を受け持つ。
従来、5.1チャンネル方式の音響再生システムにおけるスピーカ配置は、リスナの前方の、左側にフロント左チャンネル用スピーカが、右側にフロント右チャンネル用スピーカが、また、正面にセンターチャンネル用スピーカが、それぞれ配置される。また、リスナの後方の、左側にリア左チャンネル用スピーカが、右側にリア右チャンネル用スピーカが、それぞれ配置される。さらに、適宜の位置に、LFE(Low Frequency Effect)チャンネル用(低域専用)のサブウーハスピーカが配置される。
これらの6個のスピーカは、それぞれスピーカボックス(箱)に取り付けられて、それぞれの位置に配置される。通常、前後の6個のスピーカは、リスナとの距離が、例えば2メートル程度とされて配置されることが多い。
従来の音響再生システムでは、例えば15リットル程度のスピーカボックスが利用されていたフロント左右チャンネル用のスピーカは、1リットル前後の小さなボックスに変わり、サテライトスピーカとも呼ばれている。当然低域は出ないので、それを補助するためにサブウーハと呼ばれる低域専用のスピーカが1個追加されている。このように、サブウーハ以外のスピーカを小型のボックスとした場合には、サブウーハに供給する音声信号のクロスオーバ周波数は、150Hzと、前記の100Hzよりも若干高めになっていることも多いが、かなり低い周波数であることには変わりはない。
このような配置のスピーカシステムで、DVDからの5.1チャンネルの音声信号を再生すると、当然のことであるが充分な低音が再生される。しかも、低域専用に再生側も特別にチャンネルを設けているので、映画などのソースでは従来にないほどの重低音が部屋中に響きわたり、迫力のある臨場感を得ることができる。
しかしながら、家が小さな日本の家屋では、マルチチャンネルサラウンド音声を音響再生するための上述したような6個のスピーカを配置するスペースを確保することができないという問題と、外部への音漏れによる騒音の問題がある。
すなわち、通常の5.1チャンネルのスピーカ構成では、DVDの映像音響鑑賞において、迫力ある音を再生するためには、90dB程度以上の音量を必要とする。したがって、リスナがマルチチャンネルサラウンドの効果を良好に得ようとした場合には、外部への騒音の問題を考慮する必要が生じる。
この時、一般に、高域の音は遮音が容易で、壁とかドア1枚でかなりの音を減衰させることが可能である。しかしながら、例えば100Hz以下のような低域の音の場合には、遮音は簡単にできず、家が小さな日本の家屋では、この低域の音を遮るほど部屋の広さがとれないことが多い。特にサブウーハが受け持つ50Hz、40Hzといった低音は、響き、かなりの範囲に音が伝播されることになる。
このため、サブウーハから音が再生されたときに、隣の部屋はもちろん、上下の部屋まで音が届いて迷惑をかけるおそれがある。特に低い帯域の音ほど遮音が難しく、サブウーハは、日本の住宅事情では大きな問題であり、せっかくの5.1チャンネルの音響再生システムも、充分使いきることが出来ない現状がある。
また、自動車の中に音響再生システムを設置する場合においても、上記の低い帯域の音の漏れが問題になることが多々ある。
上述のような問題点を解決するため、特許文献1(特開平5−95591号公報)には、中高音は小型スピーカ(スピーカユニットがスピーカボックスに収納されるタイプ)で音響再生し、低音域は低音用ヘッドホンや骨伝導で、リスナの耳の近傍で音響再生するようにした音響再生システムが提案されている。
この特許文献1の技術によれば、低音はヘッドホンや骨伝導でリスナの耳の近傍で音響再生されるので、リスナには大音量に聴こえても、隣家には伝わらないようにすることができる。
上記の特許文献は、次の通りである。
特開平5−95591号公報
しかしながら、上記の特許文献1の発明では、低域の音を耳の近傍で再生するものであっても、スピーカではなく、ヘッドホンや骨伝導を利用した振動体とされている。スピーカ以外の振動体で、スピーカと同等の低域感を得ることは、個人差もあるが、一般的に受け入れられるほど素直な感覚ではないと思われる。また、リスナはヘッドホンや骨伝導用のヘッドセットを装着しなければならず、煩わしいという問題もある。
さらには、特許文献1の発明では、低域の音に関する騒音の問題は軽減されるが、多数個のスピーカを狭いスペースに配置しなければならないという問題は、特許文献1の発明では解決されていない。
また、例えば6個など、多数個のスピーカを配置した場合において、複数のリスナが同時に再生音声を楽しもうとした場合には、各リスナの多数個のスピーカの配置位置に対する聴取位置により、左右チャンネルなどが所期の音声として聴取できなくなる場合がある。
この発明は、以上の点にかんがみ、大音量で再生しても隣家や周囲環境への音の伝播を軽減することができると共に、リスナ各人が、良好な再生音場を得られるようにした音響再生システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明による音響再生システムは、
スピーカユニットが、その振動板の前後から出る音が混合可能なように、バッフル板に取り付けられることなく、第1の保持手段により保持されて、リスナの近傍であって当該リスナの頭部中央後方に配置される1個の低域用の第1のスピーカと、
前記リスナの近傍において、前記第1のスピーカの左右に、第2の保持手段により保持されて配置される中高域用の第2及び第3のスピーカと、
マルチチャンネルサラウンド音声である入力音声信号から取得された前方又は後方の少なくとも一方の左チャンネルの音声信号および低域音声信号を合成した左チャンネル合成音声信号と、前記入力音声信号から取得された前方又は後方の少なくとも一方の右チャンネルの音声信号および前記低域音声信号を合成した右チャンネル合成音声信号とを多重化した多重化音声情報を無線送信する送信手段と、
前記送信手段からの前記多重化音声情報を受信し、前記多重化音声情報に対してデ・マルチプレックス処理を行うことにより前記左チャンネル合成音声信号と前記右チャンネル合成音声信号とを取得すると、前記左チャンネル合成音声信号および前記右チャンネル合成音声信号の各々から低域成分および中高域成分を抽出し、前記低域成分を合成して前記第1のスピーカに供給すると共に、前記中高域成分を前記第2および第3のスピーカに供給する受信分配手段と
を備えることを特徴とする。
この発明においては、第1のスピーカは、リスナの近傍に保持されるので、この第1のスピーカを大音量で鳴らさなくても、リスナには大音量で聴取させるようにすることが容易である。
そして、第1のスピーカのスピーカユニットはバッフル板に取り付けられていないため、音響再生された音声は、スピーカユニットの振動板の前後から放音される。スピーカユニットの振動板の前と後から出てくる音は、互いに反対の位相(逆位相)となるので、外部に伝播する音は互いに打ち消し合って、減衰される。特に低域ほど、この減衰が大きいので、この発明によれば低域音声は著しく軽減される。
そして、この発明においては、第1のスピーカの左右に第2および第3のスピーカが配置されるが、これら第2および第3のスピーカは、中高域用であるので、小型のスピーカとすることができ、リスナ各人の近傍に第1のスピーカと共に配置することができる。したがって、リスナ各人が、それぞれ良好な再生音場を得ることができる。
この発明による音響再生システムによれば、周囲への騒音として問題となる低域の再生音声を低減することができると共に、リスナ各人が、それぞれ良好な再生音場を得ることができる。
以下、この発明による音響再生システムの幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
この第1の実施形態の音響再生システムは、DVDプレーヤで再生された映像信号および音声信号を用いて、また、テレビ受像機で受信したデジタル放送信号を用いて、映像監視および5.1チャンネルのサラウンド音声聴取を行う場合の例である。
図1は、この第1の実施の形態による音響再生システムの概要を示す図である。
図1に示すように、この第1の実施の形態の音響再生システムは、テレビチューナを内蔵すると共に2個のスピーカ11FLおよび11FRを具備する映像モニター装置としてのテレビ受像機1と、DVDプレーヤ2と、音声信号出力装置部3と、音声信号受信分配部4と、ユーザ5の近傍であって、その頭部後方に設けられた第1のスピーカ6、第2および第3のスピーカ7Lおよび7Rとを備えて構成されている。音声信号受信分配部4は、単独でも、この発明の音響再生システムの実施形態となるものである。
第1のスピーカ6は低域用スピーカであって、この実施形態では、リスナ5のほぼ頭部中央後方に配置される。また、第2および第3のスピーカ7Lおよび7Rは、中高域用スピーカであって、この例では、低域用スピーカ6の両側において、その放音方向がリスナ5の左右の耳の方向にそれぞれ向けられて配置される。
この第1の実施の形態では、5.1チャンネルサラウンド音声のうちのフロント左右2チャンネルの音声再生用として、テレビ受像機1の2個のスピーカ11FLおよび11FRを用いる。この2個のスピーカ11FLおよび11FRは、テレビ受像機1に内蔵されていてもよいし、また、テレビ受像機1とは分離独立して設けられていても良い。
そして、この第1の実施形態では、リスナ5の近傍の後方に配置された3個のスピーカ6、7L、7Rには、後述するように、低域音声信号LFEに加えて、5.1チャンネルサラウンド音声のうちのリア左右2チャンネル音声の音声信号が、音声信号出力装置部3において仮想音源処理されて供給される。
テレビ受像機1は、デジタル放送信号を受信することができるチューナを備え、受信したデジタル放送信号から、デジタル放送番組の映像信号および音声信号を再生し、テレビ受像機1の表示画面1Dに、デジタル放送番組の再生映像を表示すると共に、スピーカ11FLおよび11FRによりデジタル放送番組の再生音声を音響再生する。
この場合、デジタル放送番組の音声がマルチチャンネルサラウンド音声であるときには、スピーカ11FLおよび11FRから放音されるデジタル放送番組の再生音声は、フロント左右2チャンネルの音声に、センターチャンネル、リア左右2チャンネルなどの音声が含まれている。
そして、この実施の形態では、テレビ受像機1で受信されて再生された音声信号Au1は、音声信号出力装置部3に供給される。
DVDプレーヤ2は、DVDに記録されている映像信号および音声信号を再生して出力する。この例では、DVDプレーヤ2で再生された映像信号Viは、テレビ受像機1に供給されて、表示画面1Dに、前記再生映像信号Viによる再生映像が表示される。また、DVDプレーヤ2で再生された音声信号Au2は、この例では、音声信号出力装置部3に供給される。
音声信号出力装置部3は、この実施の形態では、5.1チャンネルのマルチチャンネルサラウンド音声方式に対応するデコード機能を備え、テレビ受像機1で受信したデジタル放送番組の音声を5.1チャンネルサラウンド音声で再生する際には、ユーザ5の両耳の近傍であって、リスナ5の頭部後方に設けられている第1〜第3のスピーカ6,7Lおよび7Rに供給する音声信号を生成する。そして、音声信号出力装置部3は、生成した第1〜第3のスピーカ6,7L,7Rに供給する音声信号を多重化(マルチプレックス)して、この例では電波を用いて音声信号受信分配部4に無線送信する。
音声信号受信分配部4は、音声信号出力装置部3から電波を受信し、その受信した電波から多重化されている音声信号を抽出し、デ・マルチプレックスおよび帯域分割により分離して、第1のスピーカ6に供給する音声信号と、第2および第3のスピーカ7Lおよび7Rに供給する音声信号とを分離し、それぞれ第1のスピーカ6と、第2および第3のスピーカ7Lおよび7Rに供給する。
なお、音声信号出力装置部3から音声信号受信分配部4への無線送信は、電波に限らず、超音波や光を用いるようにしても良い。
また、音声信号出力装置部3は、DVDプレーヤ2で再生した映像および音声の再生時には、ユーザ5の両耳の近傍であって、リスナ5の頭部後方に設けられる3個のスピーカ6,7L,7Rに供給する音声信号のみではなく、テレビ受像機1の左右2チャンネル用の2個のスピーカ11FLおよび11FRに供給する音声信号を生成し、それぞれ対応する各スピーカ11FLおよび11FRに供給するようにする。
この第1の実施の形態では、音声信号出力装置部3は、テレビ受像機1の左右2チャンネル用の2個のスピーカ11FLおよび11FRに対しては、フロント左チャンネルの音声信号Lとセンターチャンネルの音声信号Cとの和信号およびフロント右チャンネルの音声信号Rとセンターチャンネルの音声信号Cとの和信号を供給する。
また、音声信号出力装置部3は、リスナ5の近傍であって、頭部後方の3個のスピーカ6,7Lおよび7Rに対しては、後述するいわゆる仮想音源処理されたリア左および右チャンネルの音声信号RL*と低域音声信号LFEとの和信号の低域成分、仮想音源処理されたリア左チャンネルの音声信号RL*と低域音声信号LFEとの和信号の中高域成分および仮想音源処理されたリア右チャンネルの音声信号RR*と低域音声信号LFEとの和信号の中高域成分を、それぞれ供給する。
[第1の実施の形態のスピーカ配置例]
次に、図2に、以上説明したこの第1の実施の形態における音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明する。
図2に示すように、この実施形態においては、リスナ5の前方の、左側にフロント左チャンネル用スピーカ11FLが、右側にフロント右チャンネル用スピーカ11FRが、それぞれ配置される。
これらのスピーカ11FL,11FRは、この例では、テレビ受像機1に内蔵されているので、例えば小型のスピーカボックス12FL,12FRの前面側(例えばテレビ受像機の前面パネル)をバッフル板として、それぞれ用のスピーカユニット13FL,13FRが取り付けられたもので構成されている。これらのスピーカ11FL,11FRは、どのチャンネルかを区別する必要がないときには、以下、フロントスピーカと称する。
そして、この実施形態では、リスナ5の左右の耳の近傍であって、頭部後方において、3個のスピーカ6,7L,7Rが配置される。そして、そのうちのスピーカ6は、低域用であって、この実施形態では比較的口径の大きい楕円スピーカが用いられ、リスナ5の頭部中央後方(頭部の真後ろ)に配置される。そして、このスピーカ6は、そのスピーカユニットの振動板の前後から放射される音が混合可能となるように、当該スピーカユニットはスピーカボックスには収納されてはおらず、かつ、バッフル板に取り付けられない、いわゆる裸のスピーカの構成とされる。
また、スピーカ7L,7Rは、中高域用のスピーカであって、スピーカ6よりも小さい口径のスピーカとされ、スピーカ6の左右両脇において、リスナ5の頭部後方から、その振動板がそれぞれリスナ5の左右の耳に対向するように配置される。この場合、スピーカ6と同様に、バッフル板には取り付けない裸のスピーカの構成とされる。しかし、これら中高域再生用のスピーカ7L,7Rは、バッフル板に取り付けられると共に、スピーカボックスに収納されても良い。
そして、この実施の形態では、リスナ5の近傍の頭部後方中央に配置されるスピーカ6には、仮想音源処理されたリア左および右チャンネルの音声信号RL*と低域音声信号LFEとの和信号の低域成分が供給されて、このスピーカ6から低域音が放音されるようにされている。したがって、この実施の形態では、スピーカ6は、サブウーハと同等の働きをする。
このように構成される結果、LFEチャンネルの低域音は、リスナ5の頭部後方のスピーカ6により、リスナの耳の近傍で放音されるため、リスナ5には大音量で聴取される。しかし、リスナ5から離れた位置では、スピーカ6のスピーカユニットの振動板の前と後から出てくる音が、互いに180度位相が異なり、互いに打ち消し合うため、殆ど聴取されないようになる。これにより、従来のように低域の音が隣家などの周囲に伝播して、迷惑をかけてしまうという事態を防止することができる。
低域の音の減衰を確かめるために、無響室において、図3に示すように、サブウーハ用とされる例えば17センチメートルの口径のスピーカユニット11SWからの音を、スピーカユニット11SWから距離dだけ離れた位置のマイクロホン14で収音して、その音圧レベルの周波数特性を測定したところ、図4に示すようなものとなった。この場合、スピーカユニット11SWは、ボックスに収納したり、バッフル板に取り付けたりされてはいない。
図4における4個の周波数特性曲線は、同図に示すように、前記スピーカユニット11SWとマイクロホン14との距離dが、それぞれd=10センチメートル、d=20センチメートル、d=40センチメートル、d=80センチメートルの時のものである。
この図4から、スピーカユニットをボックスに入れない裸のスピーカの構成にすると、1kHz以下の音はかなり減衰することが分かり、特に低域の音になるほどその減衰量が大きいことが確かめられた。
そして、この実施形態の場合、スピーカ6と、リスナ5の左耳、右耳との間のそれぞれの距離dswは、低域の音がリスナ5の耳にそれほど減衰されること無く伝達される距離、この例では、dsw=20センチメートル程度とされる。
例えば、スピーカ6とリスナ5の耳までの距離を2メートルとした一般的なものに対して、この実施形態では、スピーカ6とリスナ5の両耳のそれぞれとの距離は、20センチメートルとした場合、この実施形態の場合には、従来のものと比較して距離が1/10になる。
このために、この実施形態において、リスナ5が同じ音圧を感じるために必要なエネルギーは、上述の一般的なものの場合の1/100でよいことになる。つまり、上述の一般的な例で仮に100W(ワット)のアンプを必要としていた場合には、この実施形態の場合には、1Wのアンプでも同じ音圧を感じることになる。
この実施形態では、スピーカに供給する音声信号出力の違いによるだけでも音の拡散が小さい上に、低い音、例えば20Hz,30Hz,40Hz当たりになると、位相の点でキャンセルし、サブウーハの役割をするスピーカ6のスピーカユニットのごく近傍以外ではほとんど音は聴こえなくなる。その一方で、DVDソフトに含まれる迫力ある音響効果は、この低音の帯域に大きなエネルギーを収録することで得るようにしてあるため、防音の効果はより大きくなる。
以上の構成により、低域音のみに注目して、当該低域音のみを減衰させることを考えた場合には、十分に効果が得られる。
5.1チャンネルサラウンド音声の場合、さらにセンターチャンネルの音声およびリア左右2チャンネルの音声がある。従来は、センターチャンネルの音声用スピーカ11Cは、図2で、リスナ5の前方において点線で示すように、スピーカボックス12Cの前面側をバッフル板として、スピーカユニット13Cが取り付けられたものが、図示のように、リスナ5の前面側に配置される。
しかし、この実施の形態では、センターチャンネルの音声は、それ専用のスピーカ11Cを設けずに、テレビ受像機の2個のスピーカ11FL,11FRに、均等に分配して供給することにより、音響再生するようにする。すなわち、センターチャンネルの音声信号Cは、フロント左右2チャンネルの音声信号LおよびRにそれぞれ加算して、スピーカ11FL,11FRのそれぞれに供給して、これらスピーカ11FL,11FRにより音響再生するようにする
同様に、従来は、リア左右2チャンネルの音声用スピーカ11RLおよび11RRは、図2で、リスナ5の後方において点線で示すように、小型のスピーカボックス12RLおよびRRのそれぞれに、当該スピーカボックスの前面側をバッフル板として取り付けられたリア用のスピーカユニット13RLおよび13RRが配置されるものである。
しかし、この実施形態では、リア左右2チャンネルの音声は、リスナ5の両耳近傍の2個のスピーカ7Lおよび7Rにより、音響再生するようにする。すなわち、リア左チャンネルの音声信号RLは仮想音源処理した音声信号RL*とし、リスナ5の後方において左耳に対向するスピーカ7Lに供給して音響再生する。さらに、リア右チャンネルの音声信号RRは仮想音源処理した音声信号RR*とし、リスナ5の後方において右耳に対向するスピーカ7Rに供給して音響再生する。
スピーカ7Lおよび7Rは、スピーカ6と同様に、リスナ5の耳までの距離が小さいので、リア左右2チャンネル音声信号RLおよびRRについても、その音域での放射エネルギーを小さくして、防音に寄与させることができる。
そして、リスナ5の後方において耳元近くに配置したスピーカ7L,7Rにより、仮想音源処理したリア左右2チャンネルの音声を音響再生することは、元々、リア左右2チャンネル音声は、リスナ5の背面からの残響音等が主な音源であるため、それほど定位位置が重要でないことから、省スピーカ、低騒音を実現しながら、良好なサラウンド音声を得ることができるという効果がある。
以上のことを考慮した、スピーカ配置の例としては、例えばマッサージチェアのような構造の椅子に、それぞれスピーカを設置する方法が考えられる。
図5は、その場合の一例を説明するための図であり、前述したリスナ5の頭部後方中央に配置されるべきスピーカ6と、その両脇の2個のスピーカ7Lおよび7Rとが、椅子20の背もたれ部21の頂部21aに装着された構造とされたものを示す図である。
この例においては、例えば、椅子20は、飛行機のビジネスクラスのシートのような構造で、椅子20の背もたれ部21の頂部21aに、スピーカ保持具22が取り付けられ、このスピーカ保持具22に、3個のスピーカ6,7L,7Rが取り付けられて保持される。すなわち、この例では、第1のスピーカ6を保持する第1の保持手段と、第2および第3のスピーカを保持する第2の保持手段とは、一つのスピーカ保持具22により構成されている。
図6(A),(B)は、スピーカ保持具22の一例を示す図である。このスピーカ保持具22は、例えばアルミニュームなどの金属からなるパイプ221により構成されている。図6(B)に示すように、パイプ221は扁平のリング状に構成され、そのリングにより形成される空間に、スピーカ6と、スピーカ7L,7Rとが固定保持される構造となっている。
パイプ221は、扁平なリング状形状に構成されており、かつ、そのリング状部分が、図5に示すように、リスナ5の頭部の後方における設置状態において、リスナ5の右側方から見たとき、ほぼコ字状に構成されている。すなわち、この例の場合、パイプ221、左右の端部のスピーカ7L,7Rの取り付け部は、スピーカ7L,7Rの振動板がリスナ5の左右の耳に対向するように、リスナ5の頭部側に若干折り曲げられた構造となっている。
そして、このリング状パイプ221には、椅子20の背もたれ部21に取り付けるための取り付け脚部222a、222bが連結して設けられており、この取り付け脚部222a、222bにより、椅子20の背もたれ部21に、例えば取り外し可能に取り付けられることができるようにされている。すなわち、例えば椅子20の背もたれ部21の頂部21aには、取り付け脚部222a、222bが挿入嵌合する長孔(図示は省略)が設けられており、取り付け脚部222a、222bが、当該背もたれ部21の長孔に挿入嵌合されることにより、取り付け固定されるように構成されている。
そして、このリング状パイプ221の、リスナ5が椅子20に座ったときに、リスナ5の頭部中央後方となる位置に、スピーカ6がパイプ221に固定されて保持される。また、リング状パイプ221の、スピーカ6の左右両脇の位置に、スピーカ7L,7Rが、パイプ221に固定されて保持される。
この例の場合、リスナ5が椅子20に座ったとき、スピーカ6、7L、7Rと、リスナ5の頭部(特に耳)との距離は、この例では、20センチメートル程度となるように、構成されている。
そして、各スピーカ6、7L、7Rへの対応するチャンネルの音声信号は、この例では、音声信号受信分配部3から、それぞれ信号線(スピーカケーブル)を通じて供給されるように構成されている。
[第1の実施の形態における音声信号出力装置部3の構成例]
図7は、この第1の実施形態における音声信号出力装置部3の構成例を示すブロック図である。この第1の実施の形態における音声信号出力装置部3は、音声信号処理部300と、マイクロコンピュータからなる制御部100とを備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101に対して、システムバス102を通じて、ソフトウエアプログラムなどが格納されているROM(Read Only Memory)103、ワークエリア用のRAM(Random Access Memory)104、複数個の入出力ポート105〜108、ユーザ操作インターフェース部110、頭部リア伝達関数記憶部111などが接続されて構成されている。なお、ユーザ操作インターフェース部110は、音声信号出力装置部3に対して直接的に設けられるキー操作部などの他、リモートコマンダとリモコン受信部とで構成されるものを含むものである。
前述したように、この実施の形態では、音声信号出力装置部3は、テレビ受像機1からの音声信号Au1と、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2とを受信することが可能とされており、これら受信された音声信号Au1およびAu2は、入力選択用スイッチ回路301に供給される。
この入力選択用スイッチ回路301は、ユーザ操作インターフェース部110を通じたユーザの選択操作に応じて、制御部100の入出力ポート105を通じた切り替え信号により切り替えられる。すなわち、ユーザにより、テレビ受像機1からの音声が選択された場合には、スイッチ回路301は、音声信号Au1を選択するように切り替えられ、また、DVDプレーヤ2からの音声が選択された場合には、スイッチ回路301は、音声信号Au2を選択するように切り替えられる。
そして、このスイッチ回路301で選択された音声信号は、5.1チャンネルデコード部302に供給される。5.1チャンネルデコード部302では、スイッチ回路301からの音声信号Au1またはAu2を受けて、チャンネルデコード処理をして、フロント左右チャンネルの音声信号L,Rと、センターチャンネルの音声信号Cと、リア左右チャンネルの音声信号RL,RRと、低域音声信号LFEを出力する。
5.1チャンネルデコード部302からのフロント左チャンネルの音声信号Lと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部303に供給されて合成され、その合成出力音声信号(L+C)が、アンプ305を通じて音声出力端子307に導出される。この出力端子307に得られる音声信号は、テレビ受像機1の一方のスピーカ11FLに供給される。
また、5.1チャンネルデコード部302からのフロント右チャンネルの音声信号Rと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部304に供給されて合成され、その合成出力音声信号(R+C)が、アンプ306を通じて音声出力端子308に導出される。この出力端子308に得られる音声信号は、テレビ受像機1の他方のスピーカ11FRに供給される。
アンプ305および306は、音声信号出力を遮断するミューティング機能を備えており、制御部100の入出力ポート107を通じたミューティング信号によりミューティング制御されるように構成されている。
そして、この実施の形態では、テレビ受像機1からの音声信号Au1を受信するときには、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRからは、テレビ受像機1で再生された音声信号が音響再生されるので、アンプ305および306は、ミューティング制御されて、音声信号出力装置部3からの音声信号が、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給されないように遮断される。
一方、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2を受信するときには、アンプ305および306は、ミューティング制御されず、音声信号出力装置部3からの音声信号が、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給される。
なお、アンプ305および306をミューティング制御する構成に代えて、5.1チャンネルデコード部302において、テレビ受像機1からの音声信号のデコード時には、フロント左右チャンネルの音声信号L、Rおよびセンターチャンネルの音声信号Cをデコード出力しないように構成しても良い。その場合には、そのための制御信号は、入出力ポート106を通じて供給するようにすれば良い。
次に、5.1チャンネルデコード部302でデコードされて得られたリア左右2チャンネルの音声信号RL,RRは、仮想音源処理部としてのリア伝達関数畳み込み回路310に供給される。
リア伝達関数畳み込み回路310は、例えばデジタルフィルタを用いて、予め、頭部リア伝達関数記憶部111に用意されている頭部リア伝達関数を、5.1チャンネルデコード部302からのリア左右2チャンネルの音声信号RLとRRに対して、畳み込むようにする。
このため、リア伝達関数畳み込み回路310では、その入力音声信号がデジタル信号ではないときにはデジタル信号に変換され、頭部リア伝達関数が畳み込まれた後、アナログ信号に戻されて出力される。
頭部リア伝達関数は、この例では、次のようにして測定されて求められ、頭部リア伝達関数記憶部111に格納される。図8は、頭部リア伝達関数の測定方法を説明するための図である。
すなわち、図8(A)に示すように、リスナ5の左右両耳の近傍に、左チャンネル測定用マイクロホンMLおよび右チャンネル測定用マイクロホンMRを設置する。次に、リスナ5の後方の、通常、リア左チャンネル用スピーカを配置するような場所に、当該リア左チャンネル用スピーカ11RLを配置する。そして、このリア左チャンネル用スピーカ11RLで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホンML,MRで収音し、その収音した音声信号から、リアスピーカ11RLからの左右の耳までの伝達関数(リア左チャンネルについての頭部リア伝達関数)を測定する。
同様にして、リア右チャンネル用スピーカ11RRで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホンML,MRで収音し、その収音した音声信号から、リアスピーカ11RRからの左右の耳までの伝達関数(リア右チャンネルについての頭部リア伝達関数)を測定する。
なお、頭部リア伝達関数は、リアスピーカ11RLおよび11RRを、例えば、リスナ5の後方中央から左右に30度で、2mの位置にスピーカを置いたときに、各スピーカから耳までの伝達関数を測定し、得た伝達関数とすると良い。
伝達関数について更に補足する。例えば図8(A)において、左後方から左耳に来る伝達関数を伝達関数Aとする。次に、図8(B)に示すように、耳の近傍にあるスピーカ7LからマイクロホンMLまでの伝達関数を測定し得た伝達関数を伝達関数Bとする。そして、伝達関数Bに、ある伝達関数Xを掛けると伝達関数Aになる様な伝達関数Xを求め、近傍のスピーカ7Lに送り込まれる信号音に、求めた伝達関数Xを畳み込めば、そのときにスピーカ7Lから放音される音は、あたかも左後方2mから来たように感じる訳である。右チャンネルについても同様にして、伝達関数を求めることができる。
なお、必ずしも伝達関数Xを求めればよい訳ではなく、場合により伝達関数Aだけでもよいこともある。なお、以上の説明は、伝達関数の1つを代表して記述したが、図8にも示されるように、伝達関数は、実際には複数あることは言うまでもない。
以上のようにして測定された頭部リア伝達関数が頭部リア伝達関数記憶部111に記憶され、リア伝達関数畳み込み回路310に、入出力ポート108を通じて供給されて、リア伝達関数畳み込み回路310において畳み込まれる。これにより、このリア伝達関数畳み込み回路310からの音声信号RL*およびRR*を、両耳近傍に配置したスピーカ7Lおよび7Rに供給して音響再生したときには、リスナ5は、あたかも、後方の左右のリアスピーカ11RLおよび11RRから音声が放音されたように、再生音声を聴取する。
このときの仮想音源処理されたリア左右チャンネルの音声信号RL*およびRR*のレベルは、スピーカ11RLおよび11RRに供給する場合の信号レベルよりも、低いレベルでよい。スピーカ7Lおよび7Rは、リスナ5の耳の近傍にあるからである。
この明細書では、上述の頭部伝達関数畳み込みにより、仮想的なスピーカ位置から音声が放音されるように聴取されることから、以上の処理を仮想音源処理と呼ぶものである。
以上のようにして、リア伝達関数畳み込み回路310からの仮想音源処理がなされた音声信号RL*およびRR*は、合成部311および312に供給される。合成部311および312には、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEが供給される。
そして、この合成部311および312の出力音声信号は、それぞれスピーカ7Lおよび7Rに供給すべき信号である。この合成部311および312の出力音声信号は、多重化部313に供給されて多重化(マルチプレックス)され、無線送信部314から、音声信号受信分配部4に無線送信される。
[音声信号受信分配部の構成例]
音声信号受信分配部4は、この実施形態では、図9に示すように構成されている。音声信号出力装置部3から無線送信されてくる信号は、無線受信部41で受信され、多重デコード部42に供給される。多重デコード部42では、当該受信した信号に多重化されている音声信号がデ・マルチプレックス処理されて、2チャンネルの信号RL*およびRR*がデコードされる。
この多重デコード部42からの2チャンネルの信号RL*およびRR*は、それぞれ帯域分割回路43Lおよび43Rに供給される。これら帯域分割回路43Lおよび43Rのそれぞれにおいては、入力された信号RL*およびRR*を、低域成分SLLおよびSLRと、中高域成分SHLおよびSHRとに分離する。例えば、200Hzよりも低い周波数成分を低域成分とし、200Hzよりも高い周波数成分を中高域成分とする。この分離周波数は、200Hzに限られるものではなく、例えば100Hzでも良い。
そして、帯域分割回路43Lからの左チャンネル中高域成分SHLは、アンプ44Lを通じてスピーカ7Lに供給される。また、帯域分割回路43Rからの右チャンネル中高域成分SHRは、アンプ44Rを通じてスピーカ7Rに供給される。
さらに、帯域分割回路43Lおよび帯域分割回路43Rからの低域成分SLLおよびSLRは、合成器45に供給されて合成され、その合成出力信号SLが、アンプ46を通じてスピーカ6に供給される。
したがって、スピーカ6は、サブウーハとして、主として低域音声信号LFEを音響再生すると共に、スピーカ7Lおよび7Rは、仮想音源処理されたリア左右チャンネルの中高域の音声信号RL*およびRR*を音響再生する。
なお、音声信号受信分配部4を設けずに、音声信号出力装置部3からスピーカケーブルを通じて、第1〜第3のスピーカ6,7L,7Rに、対応する音声信号を供給するように構成してももちろん良い。
以上のようにして、図5に示した椅子20にマルチチャンネル用スピーカを取り付けた、第1の実施形態の音響再生システムによれば、椅子20に座ったリスナ5は、チャンネル数よりも少ない数のスピーカを用いて、大音量で、臨場感のあるマルチチャンネル音声を楽しむことができると共に、周囲への音の漏れを大幅に減少させることができる。
特に、この実施形態では、低音再生用のスピーカ6をボックスに収納せずにリスナ5の近傍、頭部後方において耳の近くに配置するようにしたことにより、重低音が隣接した部屋に漏れるのを大幅に減衰させることができる。また、前述したように、リア左右チャンネルの音声も、リスナ5の耳の近傍のスピーカ7L,7Rにより、仮想音源処理したものとして放音するようにしたので、その音声信号レベルを低くすることができる。したがって、低音のみでなく、周囲への音の漏れのレベルをさらに低くすることができる。このため、例えば深夜のDVD鑑賞でも、他者を気にせずに、十分な音量で楽しむことができる。
また、スピーカ6,7L,7Rは、リスナの耳の近傍に配置したので、音声信号出力パワーは極端な場合、従来の場合の1/100程度にすることができ、省エネルギー化ができ、また、ハードウエア(出力アンプ)のコストを大幅に引き下げることができる。さらに、音声出力パワーは、小さなパワーで済むことで、スピーカは大きなストロークを必要としない薄く、軽い、安価なスピーカを用いることができるという利点もある。また、音声出力パワーが小さくなることにより、発熱が減り、電源などの装置の小型化も出来るため、電池駆動も可能で、椅子等のデザインの中に埋め込むことが出来る。
したがって、トータルで音響再生システムの省エネルギー化が実現でき、かつ、鑑賞する人の満足度を落とさず、周りへの騒音も減らす音響再生システムを提供できるメリットがある。
通常の防音窓においても、5kHzで45dB減衰できる性能があっても、1kHzでは36dB、100Hzでは20dBまで落ちてくる。まして、50Hz以下では、さらに減衰量は少なくなるため、この実施形態によるサブウーハの防音効果は著しく、部屋の防音工事までして、映像音響再生を楽しむことを考えると、その節約できる費用効果は非常に大きなものがある。
なお、上述の第1の実施の形態の説明では、DVDプレーヤ2の再生時には、音声信号Au2は、音声信号出力装置部3を介してテレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給するようにしたが、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2をテレビ受像機1に供給するようにして、デジタル放送番組の受信時と同様に、スピーカ11FLおよび11FRからは、5.1チャンネルの音声が混合された音声が放音されるようにしても良い。その場合には、音声信号出力装置部3からテレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給される音声信号系路は、不要となる。
なお、音声信号受信分配部は、椅子20の座面の下などの所定の位置に設けるようにすることができる。
また、音声信号出力装置部3は、マルチチャンネル音声信号の供給源、テレビ受像機1やDVDプレーヤ2からの音声信号Au2を、信号ケーブルを通じて受け取るように構成することもできるが、それでは、テレビ受像機1やDVDプレーヤ2と椅子との間を信号ケーブルで接続しておく必要がある。
そこで、DVDプレーヤなどに、電波や光を用いて、無線でマルチチャンネルの音声信号を送出する手段を設けると共に、音声信号出力装置部3に、当該無線送信されてくるマルチチャンネルの音声信号を受信する受信部を設けることで、DVDプレーヤ2などとの間の信号ケーブルを不要とすることができる。
このように、DVDプレーヤなどのマルチチャンネル音声信号の供給源からの音声信号出力を、電波や光で伝送するようにした場合には、DVDプレーヤなどと音響再生システムとの間はコードレスとなり、例えば音響再生システムを装備した椅子20は、自由に移動ができるという利点がある。
なお、上述の説明では、フロントスピーカは、テレビ受像機のスピーカを用いるようにしたが、別個に専用のフロントスピーカを設けるようにしても勿論よい。その場合に、センターチャンネル用のスピーカも設けるようにしても良い。
なお、上述の実施形態では、左右フロントチャンネルおよびセンターチャンネルは、テレビ受像機のスピーカ11FLおよび11FRを用いて音響再生するようにしたが、これらの左右フロントチャンネルおよびセンターチャンネルの音声信号も、仮想音源処理をして、その中高域成分をスピーカ7L,7Rに供給するようにすることもできる。
その場合には、テレビ受像機1のスピーカ11FL,11F1Rへの音声信号は、ミューティングされる。すなわち、例えば、リモコンにより音声信号出力装置部3および音声信号受信分配部4に電源を投入すると、テレビ受像機1では、スピーカ11FL,11FRへの音声信号は、ミューティングされるように制御するとよい。
[第2の実施の形態]
上述の第1の実施形態は、室内において、椅子に座って、ディスプレイ画面を観ながら5.1チャンネルのサラウンド音声を楽しむように構成した場合である。これに対して、第2の実施形態は、自動車の車内で、音楽を音響再生して楽しむ場合の例である。
この第2の実施形態においても、5.1チャンネルのサラウンド音声の再生ができるようにするが、この第2の実施形態では、5.1チャンネルのサラウンド音声チャンネルのすべてを、リスナ5の近傍に設けた3個のスピーカ6,7L,7Rにより、放音するようにして、低騒音化および省エネルギー化の効果を最大に発揮することができるようにした場合である。
また、この第2の実施形態では、運転者であるリスナと、例えば助手席に乗車しているリスナとが、共に最適な環境で、5.1チャンネルサラウンド音声を享受することができるように構成する。
図10は、この第2の実施の形態の音響再生システムの概要を示す図である。この図10において、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態では、図10に示すように、運転席91と助手席92とに、それぞれ前述した3個のスピーカが配置される。すなわち、運転席91に座るリスナ51に対しては、この例では、運転席91の座席シートのヘッドレスト部分911に、リスナ51の頭部中央後方に低域用スピーカ61が、その左右両脇に中高域用のスピーカ71Lおよび72Rが配置される。
また、助手席92に座るリスナ52に対しては、この例では、助手席92の座席シートのヘッドレスト部分921に、リスナ52の頭部中央後方に低域用スピーカ62が、その左右両脇に中高域用のスピーカ72Lおよび72Rが配置される。
低域用スピーカ61および62は、第1の実施形態のスピーカ6と同様の構成の裸のスピーカとされる。また、中高域用のスピーカ71Lおよび71R、スピーカ71Lおよび72Rは、それぞれ第1の実施形態のスピーカ7Lおよび7Rと同様に構成され、この例では、裸のスピーカの構成とされる。中高域用のスピーカ71Lおよび71R、スピーカ71Lおよび72Rは、裸のスピーカの構成ではなく、バッフル板に取り付け、スピーカボックスに収納するようにしても良いことは、第1の実施形態と同様である。
そして、図10に示すように、この第2の実施の形態では、第1の実施形態における音声信号出力装置部3の代わりに音声信号出力装置部30が設けられる。この音声信号出力装置部30は、後述するように、第1の実施形態における音声信号出力装置部3とは、フロント左右チャンネルの音声信号をも仮想音源処理して、音声信号受信分配部4に送信する2チャンネルの信号を生成する点が異なる。
また、第2の実施形態においては、この音声信号出力装置部30にはDVDプレーヤ2からの音声信号Au2と、CD(Compact Disc)プレーヤ8からの音声信号Au3とが供給される。DVDプレーヤ2からの音声信号Au2は、5.1チャンネルサラウンド音声の場合を含むが、CDプレーヤ8からの音声信号Au3は、左右2チャンネルの音声信号である。
そして、この第2の実施形態の音声信号出力装置部30では、DVDプレーヤ2やCDプレーヤからの左右2チャンネルの音声信号が入力されるときには、後述するように、フロント左右2チャンネルの音声信号についての仮想音源処理を行って、音声信号受信分配部4に送信する2チャンネルの音声信号を生成して、音声信号受信分配部4に送信する。
音声信号受信分配部4では、前述した第1の実施形態で説明したようにして、受信した信号から2チャンネルの音声信号デコードし、その2チャンネルの音声信号から、低域成分と、左右2チャンネルの中高域成分とを分離して、3個のスピーカ61,71L,71Rおよび62,72L,72Rのそれぞれに供給する信号を生成するようにする。
そして、音声信号受信分配部4からの、低域成分SLLおよびSLRを合成して生成した低域成分SLは、運転席91の低域用スピーカ61に供給されると共に、助手席92の低域用スピーカ62に供給される。
また、音声信号受信分配部4からの、左チャンネル中高域成分SHLは、運転席91の左チャネル用の中高域用スピーカ71Lに供給されると共に、助手席92の左チャンネル用の中高域用スピーカ72Lに供給され、また、右チャンネル中高域成分SHRは、右チャンネル用の運転席91の中高域用スピーカ71Rに供給されると共に、助手席92の右チャンネル用の中高域用スピーカ72Rに供給される。
なお、音声信号受信分配部4を、運転席91用と、助手席92用との2個を設けて、それぞれの音声信号受信分配部4で、音声信号出力装置部30からの信号を受信して、それぞれのスピーカ61,71L,71R、および、スピーカ62,72L,72Rに供給する音声信号を生成するようにしてもよい。
また、音声信号出力装置部30と、音声信号受信分配部4との間は、無線送受信ではなく、ワイヤーハーネスとして、有線(ケーブル)で接続するようにしても、もちろん良い。
[第2の実施形態のスピーカ配置例]
この第2の実施形態では、自動車の座席シートに対して、前述した3個のスピーカを取り付ける。その取り付け方法の幾つかの例を説明する。
図11は、スピーカの取り付け配置の第1の例である。なお、図11は、運転席91におけるスピーカの取り付け配置例を示すが、助手席においても同様とされる。
この例においては、自動車の座席シート91には、通常、ヘッドレスト911が付属するので、低域用スピーカ61は、そのヘッドレスト911内に、バッフル板に取り付けることなく取り付けるようにする。そして、この図11の例においては、ヘッドレスト911の左右端部に、左右2チャンネルの中高域用のスピーカ71L,71Rを、バッフル板に取り付けることなく取り付けるようにする。
しかし、この図11の例のようにした場合、助手席92では問題にはならないが、運転席91の場合には、自動車をバック(後方に移動)させるときに、運転者が首を回して後方を確認する際、左右2チャンネルの中高域用のスピーカ71L,71Rの位置が邪魔になることがある。
図12の例は、これを改善した例である。この図12の例は、中高域用のスピーカ71L,71Rは、ヘッドレスト911の中の空きスペースに収納するようにした場合である。中高域用のスピーカ71L,71Rは、比較的、小型のスピーカユニットを用いることができるので、この図12の構成は比較的容易に実現できる。
図13の例も、図11の例の問題点を改善した例である。この図13の例においては、低域用スピーカ61は、そのヘッドレスト911内に、バッフル板に取り付けることなく取り付けるようにするが、中高域用スピーカ71Lおよび71Rは、座席シートの背もたれ部分912の頂部の左右両肩部分に、バッフル板に取り付けることなく取り付けるようにする。この場合に、中高域用のスピーカ71Lおよび71Rは、図13(B)に示すように、リスナ51の耳の方向が音波の放射方向となるように取り付けられる。
[第2の実施の形態における音声信号出力装置部3の構成例]
図14は、この第2の実施の形態の音声信号出力装置部3の構成例を示すブロック図である。この第2の実施の形態における音声信号出力装置部3も、前述の実施の形態における音声信号出力装置部3と同様に、音声信号処理部300と、マイクロコンピュータからなる制御部100とを備える。
そして、この第2の実施の形態における制御部100は、第1の実施の形態における制御部100と比較すると、頭部リア伝達関数記憶部111に加えて、頭部フロント伝達関数記憶部112を備えると共に、入出力ポート109が追加される点が異なる。制御部100のその他の構成は、第1の実施の形態の場合とほぼ同様である。
また、この第2の実施の形態における音声信号処理部300においては、第1の実施の形態と同様に、入力選択用スイッチ回路301が設けられる。ただし、この第2の実施形態では、この入力選択用スイッチ回路301には、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2と、CDプレーヤ8からの音声信号Au3とが供給され、ユーザ操作インターフェース110を通じた使用者による選択操作に応じて、いずれかの音声信号がこのスイッチ回路301から得られる。
そして、この第2の実施の形態における音声信号処理部300においては、5.1チャンネルデコード部302が設けられると共に、第1の実施の形態の場合におけるリア伝達関数畳み込み回路310の他に、フロント伝達関数畳み込み回路320が設けられる。
そして、5.1チャンネルデコード部302では、スイッチ回路301で、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2が出力される場合であって、ユーザ操作インターフェース110において、5.1チャンネルが選択されているときには、チャンネルデコード処理をして、フロント左右チャンネルの音声信号L,Rと、センターチャンネルの音声信号Cと、リア左右チャンネルの音声信号RL,RRと、低域音声信号LFEを出力する。
5.1チャンネルデコード部302からのフロント左チャンネルの音声信号Lと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部303で合成され、その合成出力音声信号(L+C)が、仮想音源処理部を構成するフロント伝達関数畳み込み回路320に供給される。また、5.1チャンネルデコード部302からのフロント右チャンネルの音声信号Rと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部304で合成され、その合成出力音声信号(R+C)が、フロント伝達関数畳み込み回路320に供給される。
フロント伝達関数畳み込み回路320は、リア伝達関数畳み込み回路310と同様の構成を備えるもので、例えばデジタルフィルタを用いて、予め、頭部フロント伝達関数記憶部115に用意されている頭部フロント伝達関数を、合成部303および304からの音声信号に対して、畳み込むようにする。
このため、フロント伝達関数畳み込み回路320では、その入力音声信号がデジタル信号ではないときにはデジタル信号に変換され、頭部フロント伝達関数が畳み込まれた後、アナログ信号に戻されて出力される。
頭部フロント伝達関数は、この例では、次のようにして測定されて求められ、頭部フロント伝達関数記憶部112に格納される。図15は、頭部フロント伝達関数の測定方法を説明するための図である。
すなわち、図15に示すように、リスナ5の左右両耳の近傍に、左チャンネル測定用マイクロホンMLおよび右チャンネル測定用マイクロホンMRを設置する。次に、リスナ5の前方の、通常、フロント左チャンネル用スピーカを配置するような場所に、当該フロント左チャンネル用スピーカ110FLを配置する。そして、このフロント左チャンネル用スピーカ110FLで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホンML,MRで収音し、その収音した音声信号から、フロントスピーカ110FLからの左右の耳までの伝達関数(フロント左チャンネルについての頭部フロント伝達関数)を測定する。
同様にして、フロント右チャンネル用スピーカ110FRで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホンML,MRで収音し、その収音した音声信号から、フロントスピーカ110FRからの左右の耳までの伝達関数(フロント右チャンネルについての頭部フロント伝達関数)を測定する。
なお、頭部フロント伝達関数は、フロントスピーカ110FLおよび110FRを、例えば、リスナ5の前方中央から左右に30度で、2mの位置にスピーカを置いたときに、各スピーカから耳までの伝達関数を測定し、得た伝達関数とすると良い。
伝達関数について更に補足する。例えば図15の左前方から左耳に来る伝達関数を伝達関数Aとする。次に、耳の近傍にある、例えばスピーカ71L,71RからマイクロホンMLまでの伝達関数を測定し、得た伝達関数を伝達関数Bとする。さらに、伝達関数Bに、ある伝達関数Xを掛けると伝達関数Aになる様な伝達関数Xを求め、近傍のスピーカ71Lに送り込まれる信号音に、求めた伝達関数Xを畳み込めば、そのときにスピーカ71Lから放音される音は、あたかも左前方2mから来たように感じる訳である。
ただし、必ずしも伝達関数Xを求めればよい訳ではなく、場合により伝達関数Aだけでもよいこともある。なお、以上の説明は、伝達関数の1つを代表して記述したが、図15にも示されるように、伝達関数は、実際には複数あることは言うまでもない。
以上のようにして測定されて得られた頭部フロント伝達関数が頭部フロント伝達関数記憶部112に記憶され、フロント伝達関数畳み込み回路320に、入出力ポート109を通じて供給されて、フロント伝達関数畳み込み回路320において畳み込まれる。
このフロント伝達関数畳み込み回路320からは、仮想音源処理されたフロント左チャンネルの音声信号FL*にセンターチャンネルの音声信号Cが合成されたものと、仮想音源処理されたフロント右チャンネルの音声信号FR*にセンターチャンネルの音声信号Cが合成されたものとが得られる。
このフロント伝達関数畳み込み回路320からの音声信号(FL*+C)および(FR*+C)を、リスナ51あるいは52の両耳近傍に配置したスピーカ71,71Rあるいは72L,72Rに供給して音響再生したときには、リスナ5は、あたかも、前方の左右のフロントスピーカ11FLおよび11FRから音声が放音されたように、再生音声を聴取すると共に、センターチャンネル音声を中央に設置されたスピーカから放音されたように聴取する。
このときの音声信号(FL*+C)および(FR*+C)のレベルは、スピーカ110FLおよび110FRに供給する場合の信号レベルよりも、低いレベルでよい。スピーカ71L,71Rまたは72L,72Rは、リスナ5の耳の近傍にあるからである。
以上のようにして、仮想音源処理がなされたフロント伝達関数畳み込み回路320からの音声信号(FL*+C)および(FR*+C)は、合成部321および322に供給される。合成部321および322には、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEが供給される。そして、この合成部321および322の出力音声信号が、アンプ323および324を通じて、合成部331および合成部332に供給される。
また、5.1チャンネルデコード部302からのリア左右2チャンネルの音声信号RLおよびRRは、前述の第1の実施の形態と同様に、仮想音源処理部を構成するリア伝達関数畳み込み回路310に供給される。
そして、頭部リア伝達関数記憶部111には、第1の実施の形態で、図8を用いて説明したようにして測定された頭部リア伝達関数が記憶されている。この頭部リア伝達関数記憶部111からは頭部リア伝達関数が読み出されて、入出力ポート108を通じてリア伝達関数畳み込み回路310に供給され、このリア伝達関数畳み込み回路310で、5.1チャンネルデコード部302からのリア左右2チャンネルの音声信号に畳み込まれる。
そして、フロント伝達関数畳み込み回路320からの仮想音源処理された、センターチャンネルの音声信号が合成されているフロント左チャンネルの音声信号は、合成部321において、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEと合成された後、合成回路331に供給されて、リア伝達関数畳み込み回路310からの仮想音源処理されたリア左チャンネルの音声信号と合成される。
同様にして、フロント伝達関数畳み込み回路320からの仮想音源処理された、センターチャンネルの音声信号が合成されているフロント右チャンネルの音声信号は、合成部322において、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEと合成された後、合成回路332に供給されて、リア伝達関数畳み込み回路310からの仮想音源処理されたリア右チャンネルの音声信号と合成される。
そして、この合成回路331および332からの合成音声信号が、多重化部313に供給されて多重化(マルチプレックス)され、無線送信部314から、音声信号受信分配部4に無線送信される。
音声信号受信分配部4は、音声信号出力装置部3から電波を受信し、その受信した電波から多重化されている音声信号を抽出し、デ・マルチプレックスして、左右2チャンネル用の音声信号を分離する。そして、この左右2チャンネル用の音声信号から、低域用のスピーカ61および62に供給する信号SLと、中高域用のスピーカ71L,71Rおよび72L,72Rに供給する信号SHLおよびSHRとを生成し、それぞれに対応するスピーカに供給する。
したがって、スピーカ61および62は、主として低域音声信号LFEを音響再生すると共に、スピーカ71L,71Rおよび72L、72Rは、仮想音源処理されたフロント音声信号(FL*+C)および(FR*+C)、また、仮想音源処理されたリア音声信号RL*およびRR*を音響再生する。
また、CDプレーヤ8からの左右2チャンネルの音声信号が、スイッチ回路301から出力される場合や、DVDプレーヤ2からの音声信号が左右2チャンネルの音声信号であった場合には、5.1チャンネルデコード部302からは、左右2チャンネルの音声信号LおよびRのみが出力され、それがフロント伝達関数畳み込み回路320に供給され、フロント伝達関数が畳み込まれて、仮想音源処理がなされる。このときには、リア伝達関数畳み込み回路310には、電源が投入されず、この回路310は非動作とされる。
そして、このフロント伝達関数畳み込み回路320からの2チャンネルの信号が、合成回路321,322,331,332を通じて多重化部313、無線送信部314により、音声信号受信分配部4に供給される。
したがって、このときスピーカ61と、71Lおよび71Rあるいはスピーカ62と、72Lおよび72Rでは、左右フロントチャンネルの音声信号を仮想音源処理した音声信号が音響再生されて、あたかもリスナ51あるいは52の前側の左右に置かれたフロントスピーカから音声が放音されるように、音響再生がなされる。
以上のようにして、この第2の実施形態においては、リスナ51,52の両耳の近傍の、リスナ51,52の後方の3個のスピーカのみによって、大音量で、臨場感のあるマルチチャンネル音声を楽しむことができると共に、周囲への音の漏れを大幅に減少させることができ、また、音響再生システムの省エネルギー化が実現できる。
そして、リスナ51および52の各人に対しては、それぞれの再生音場が提供されるので、自動車のダッシュボード、ドアなどに固定的に設置されたスピーカにより提供される再生音場の場合のように、リスナの位置により、音像定位が変わるということが無く、常に各リスナに最適の再生音場を提供することができるという効果がある。
また、第1の実施形態でも説明したように、リスナの頭部後方の3個のスピーカにおける音響パワーは、従来の車載オーディオシステムの場合のドアなどにスピーカを配置する場合に比べて大幅に低減できるため、バッテリーの負荷が軽減できるというメリットもある。
なお、上述した第2の実施形態は、マルチサラウンド音声の全てのチャンネルの音声信号について仮想音源処理をして、リスナ5の近傍の、頭部後方の3個のスピーカに供給するようにしたが、この第2の実施形態においても、例えば、自動車のダッシュボードや、ドアに取り付けられたスピーカにより、左右フロントチャンネルの音声を再生し、頭部後方の3個のスピーカでは、リアチャンネルの音声信号を仮想音源処理したものを音響再生するようにしてもよい。
また、5.1チャンネルの全てのチャンネルの音声信号を仮想音源処理して、頭部後方の3個のスピーカで音響再生すると共に、定位が比較的困難であるセンターチャンネルは、自動車のダッシュボード、ドアなどに固定的に設置されたスピーカにより、補助的に提供するようにしてもよい。
[その他の実施の形態または変形例]
なお、低域用のスピーカおよび中高域用の2個のスピーカの配置位置は、上述した実施形態における配置位置に限定されるものではなく、例えば、図16に示すように、リスナ5の後方において、リスナ5の頭部を中心とした、例えば半径が(dsw+リスナ5の頭部の半径)の球面上の位置であれば、いずれの位置であっても良い。ただし、このスピーカの配置位置としては、図16に示すように、リスナ5の顔面よりも後方側の区間内であることが望ましい。
なお、低域用のスピーカのスピーカユニットを、その振動板の前後から出る音が混合可能なように取り付ける方法としては、上述の実施形態のようなパイプに取り付ける構造に限られるものではなく、例えば、比較的大きな多数の孔が穿かれた板に、低域用のスピーカユニットを取り付け、それらの多数の孔を通じて、前記振動板の前後から出る音が混合可能なようにされる構成であってもよい。
また、上述の実施の形態では、低域用スピーカおよび中高域用のスピーカは、椅子に対して固定して取り付けるようにしたが、これらのスピーカの保持形式としてはこれに限られるものではない。例えば、これらのスピーカのそれぞれを、1個ずつ、床置きのスタンド形式で保持するように構成しても良いし、天井から吊るすようにする構成しても良い。
また、仮想音源処理をする対象を、第1の実施の形態では、リア左右2チャンネルの音声信号とし、第2の実施の形態では、リア左右2チャンネルとフロント左右2チャンネルとセンターチャンネルの音声信号としたが、リア左右2チャンネルは、実スピーカで音響再生し、フロント左右2チャンネルおよびセンターチャンネルを仮想音源処理するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態の説明は、5.1チャンネルのマルチチャンネル音声信号を再生するシステムの場合について説明したが、この発明は、5.1チャンネルに限らず、2チャンネル以上の複数チャンネルの音声信号を再生するようにする音響再生システムの全てに適用可能である。
また、低域用スピーカおよび中高域用のスピーカに供給する音声信号は、上述のような仮想音源処理をしない音声信号を供給するようにしても、もちろん良い。すなわち、音声信号受信分配部に、左右2チャンネルのステレオ音声信号を入力させるようにしてもよい。
この発明による音響再生システムの第1の実施形態の概要の構成例を説明するための図である。 第1の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第1の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 この発明による音響再生システムの実施形態の動作説明に用いる図である。 第1の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第1の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第1の実施形態の音響再生システムにおける音声信号出力装置部の構成例を示すブロック図である。 仮想音源処理に用いる頭部リア伝達特性を説明するための図である。 図1の音声信号受信分配部の構成例を示す図である。 この発明による音響再生システムの第2の実施形態の概要の構成例を説明するための図である。 第2の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第2の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第2の実施形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第2の実施形態の音響再生システムにおける音声信号出力装置部の構成例を示すブロック図である。 仮想音源処理に用いる頭部フロント伝達特性を説明するための図である。 この発明による音響再生システムの一実施形態における他のスピーカ配置を説明するための図である。
符号の説明
3…音声信号出力装置部、4…音声信号受信分配部、5…リスナ、6…低域用スピーカ(第1のスピーカ)、7L,7R…中高域用スピーカ(第2および第3のスピーカ)

Claims (8)

  1. スピーカユニットが、その振動板の前後から出る音が混合可能なように、バッフル板に取り付けられることなく、第1の保持手段により保持されて、リスナの近傍であって当該リスナの頭部中央後方に配置される1個の低域用の第1のスピーカと、
    前記リスナの近傍において、前記第1のスピーカの左右に、第2の保持手段により保持されて配置される中高域用の第2及び第3のスピーカと、
    マルチチャンネルサラウンド音声である入力音声信号から取得された前方又は後方の少なくとも一方の左チャンネルの音声信号および低域音声信号を合成した左チャンネル合成音声信号と、前記入力音声信号から取得された前方又は後方の少なくとも一方の右チャンネルの音声信号および前記低域音声信号を合成した右チャンネル合成音声信号とを多重化した多重化音声情報を無線送信する送信手段と、
    前記送信手段からの前記多重化音声情報を受信し、前記多重化音声情報に対してデ・マルチプレックス処理を行うことにより前記左チャンネル合成音声信号と前記右チャンネル合成音声信号とを取得すると、前記左チャンネル合成音声信号および前記右チャンネル合成音声信号の各々から低域成分および中高域成分を抽出し、前記低域成分を合成して前記第1のスピーカに供給すると共に、前記中高域成分を前記第2および第3のスピーカに供給する受信分配手段と
    を備える音響再生システム。
  2. 前方又は後方の少なくとも一方の左右チャンネルの音声信号は、前記第2および第3のスピーカで音響再生されたときに、リスナが前記第2および第3のスピーカとは異なる位置の他のスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、頭部伝達関数を用いた仮想音源処理を施したものである
    請求項1に記載の音響再生システム。
  3. 前記前方の左右チャンネルの音声信号は、前記第2及び第3のスピーカで音響再生されたときに、リスナがその前方左右に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように仮想音源処理されたものである
    請求項1に記載の音響再生システム。
  4. 前記後方の左右チャンネルの音声信号は、前記第2および第3のスピーカで音響再生されたときに、リスナがその後方左右に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように仮想音源処理されたものである
    請求項1に記載の音響再生システム。
  5. 前記前方の左右チャンネルの音声信号は、前記第2および第3のスピーカで音響再生されたときに、リスナがその前方左右に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように仮想音源処理されたものであると共に、前記後方の左右チャンネルの音声信号は、前記第2および第3のスピーカで音響再生されたときに、リスナがその後方左右に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように仮想音源処理されたものである
    請求項1に記載の音響再生システム。
  6. 記第1のスピーカ、前記第2および第3のスピーカは、前記リスナが座る椅子の背も
    たれの上部に取り付けられる保持部により保持される
    請求項1に記載の音響再生システム。
  7. 記第1のスピーカは、前記リスナが座る椅子の背もたれの上部に取り付けられる保持
    部により保持され、
    前記第2および第3のスピーカは、前記リスナが座る椅子の背もたれの上部の左右に取
    り付けられる
    請求項1に記載の音響再生システム。
  8. その振動板の前後から出る音が混合可能なように、第1の保持手段により保持されて、バッフル板に取り付けられることなく、リスナの近傍であって当該リスナの頭部中央後方に配置される1個の低域用の第1のスピーカユニットと、
    前記リスナの近傍において、前記第1のスピーカの左右に、第2の保持手段により保持されて配置される中高域用の第2及び第3のスピーカユニットと、
    マルチチャンネルサラウンド音声である入力音声信号から取得された前方又は後方の少なくとも一方の左チャンネルの音声信号および低域音声信号を合成した左チャンネル合成音声信号と、前記入力音声信号から取得された前方又は後方の少なくとも一方の右チャンネルの音声信号および前記低域音声信号を合成した右チャンネル合成音声信号とが多重化されて無線送信されてくる多重化音声情報を受信する受信部と、
    前記受信部で受信された前記多重化音声情報に対してデ・マルチプレックス処理を行うことにより前記左チャンネル合成音声信号と前記右チャンネル合成音声信号とを取得すると、前記左チャンネル合成音声信号および前記右チャンネル合成音声信号の各々から低域成分および中高域成分を抽出し、前記低域成分を合成して前記第1のスピーカに供給すると共に、前記中高域成分を前記第2および第3のスピーカに供給する受信分配手段と
    を備えるスピーカ装置。
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