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JP4841546B2 - 新規抗ヘパラン硫酸抗体、ヘパラン硫酸の検出方法、及びヘパラン硫酸検出キット - Google Patents
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JP4841546B2 - 新規抗ヘパラン硫酸抗体、ヘパラン硫酸の検出方法、及びヘパラン硫酸検出キット - Google Patents

新規抗ヘパラン硫酸抗体、ヘパラン硫酸の検出方法、及びヘパラン硫酸検出キット Download PDF

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Description

本発明は、N−アセチルヘパロザン及びウシ腎臓由来のヘパラン硫酸に対して反応し、マウスのエンジェルブレス-ホーム-スワーン腫瘍組織由来のヘパラン硫酸に対して実質的に反応しない新規な抗ヘパラン硫酸抗体、及びそれを用いたヘパラン硫酸の検出方法、並びにヘパラン硫酸検出キットに関する。
本出願書類中で使用する略号は以下の通りである。
2DSH:2−O−脱硫酸化HEP
2SH:(6−O・N)−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
6DSH:6−O−脱硫酸化HEP
6SH:(2−O・N)−脱硫酸化・N−アセチル化HEP
Ac−2DSH:N−アセチル化2DSH
Ac−6DSH:N−アセチル化6DSH
Ac−NAH:N−アセチル化NAH
Ac−NSH:N−アセチル化NSH
CDSH:完全脱硫酸化・N−アセチル化HEP
Ch:コンドロイチン
CS−A(S):サメ由来コンドロイチン硫酸A
CS−A(W):クジラ由来コンドロイチン硫酸A
CS−A:コンドロイチン硫酸A
CS−B:コンドロイチン硫酸B
CS−C:コンドロイチン硫酸C
CS−D:コンドロイチン硫酸D
CS−E:コンドロイチン硫酸E
EHS−HS:エンジェルブレス-ホーム-スワーン腫瘍組織由来のヘパラン硫酸
GAG:グリコサミノグリカン
HA:ヒアルロン酸
HEP:ヘパリン
HS:ヘパラン硫酸
HSPG:プロテオグリカン・ヘパラン硫酸
IdoA:L−イズロン酸
KS:ケラタン硫酸
NAc−HEP:N−アセチル化HEP
NAH:N−アセチルヘパロザン
NDST:グルコサミニルN−デアセチラーゼ/N−スルフォトランスフェラーゼ
NH2−2SH:(6−O・N)−脱硫酸化HEP
NH2−6SH:(2−O・N)−脱硫酸化HEP
NH2−CDSH:完全脱硫酸化HEP
NH2−HEP:N−脱硫酸化HEP
NSH:(2−O・6−O)−脱硫酸化HEP
また、本明細書において、D−グルコサミン残基はGlcNH2、ヘキスロン酸残基はHexA、N−硫酸化−D−グルコサミン残基はGlcNS、D−グルクロン酸残基はGlcA、N−アセチル−D−グルコサミン残基はGlcNAcと表記されることがある。さらに、部分的に脱アセチル化したNAHは、PDNAc-NAHと表記されることがある。
GAGの一種であるHS及びHEPはD−グルコサミン残基とヘキスロン酸(GlcA又はIdoA)残基からなる二糖の繰り返し構造を基本糖鎖構造として有する酸性多糖である。また、それらは様々な程度にO−硫酸化、N−硫酸化、N−アセチル化によって修飾されている。HSはほとんど全ての動物種の細胞表面にHSPGとして存在しており(非特許文献1)、細胞外マトリックスの主要構成成分である。
一方、HEPは粘膜及び肥満細胞の顆粒に局在している。HEPは多くの生理活性タンパク質(以下、「HEP結合性タンパク質」又は「HBP」という)と結合することがin vitroで明らかにされているが、それらHBPの機能はHEPが結合することによって制御されることがin vitroで明らかにされている。例えば、繊維芽細胞増殖因子や肝細胞増殖因子などのHBPの安定化、コファクター又はコレセプターとして作用し、細胞の増殖を制御していると言われている。また、同様の結果がHSを用いた実験においても確認されている。さらに、個々の生理活性HBPに結合するHEPの構造は一様ではなく、その硫酸化度や部位特異的な硫酸化が重要であることが明らかになりつつある。
HBPの生体内における主要リガンドはHEPではなく、寧ろ、HSであると考えられている。つまり、HSが上述した様々な生物学的な反応を制御していると考えられている。したがって、動物体内に幅広く存在し、多様な機能を備えたHSは、動物及びヒトにとって重要な成分であり、その定性的ないし定量的な、特異性の高い検出は、生物学及び医学上非常に重要な意義を有する。このような意味でHSのモノクローナル抗体は、またとない検出試薬となりうるものである。
上述した理由から、近年、HS又はHEPを抗原とする抗体作製に関する報告が多数なされるようになった。HSのN−硫酸化グルコサミンユニット(-[HexA−GlcNS] -)を認識するモノクローナル抗体であるmAb HepSS-1とmAb F58-10E4は、市販され広く利用されている。
HSの構造解析を非特許文献2に記載の「2・8グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組み合わせた構造解析」などを用いて行うと、HSの主要構成二糖が非硫酸化二糖のGlcA−GlcNAcであることが容易にわかる。その存在比はHSが分離された臓器にも依存するが、50−60%に及ぶ。つまり、HSの主要構造はN−アセチルグルコサミンユニット(-[GlcA−GlcNAc] -)である。
また、糖尿病などある種の疾患では、HS及びHEPの硫酸化反応の第一ステップを触媒するNDST活性が低下するので、その結果として、N−アセチルグルコサミンユニットの割合は増加する(非特許文献3)。さらに、腎由来のHSにはグルコサミンユニット(-[GlcA−GlcNH2]-)も存在することが知られている(非特許文献4)。したがって他の臓器由来のHSと腎臓由来のHSを見分けるためには腎臓由来のHSに特異的に存在する構造、すなわち、グルコサミンユニットを認識する抗体を用いることがより望ましい。このように、HSの非硫酸化ドメインを形成するN−アセチルグルコサミンユニットやグルコサミンユニットを検出・定量することは硫酸化ドメイン検出・定量することと同様に重要である。
しかしながら、HSの非硫酸化ドメインを形成するグルコサミンユニットやN−アセチルグルコサミンユニットを認識するモノクローナル抗体はそれぞれ、mAb JM403とmAb 865の一種類ずつに過ぎない(非特許文献4〜7)。
HSのグルコサミンユニットを認識するmAb JM-403はvan den Born, J.らがラットの糸球体から精製したHSPGで免疫したマウスから調製したものである。van den Born, J.らはHSにはグルコサミンユニットが平均2から3箇所存在し、当該抗体はHSをアセチル化すると反応性が消失することを報告している。また、当該抗体はNAHと反応しないが、脱N−アセチル化されたNAHに対してHSよりも強い反応性を示すことも報告している。さらに、HS中に存在するN−硫酸化グルコサミンユニットは当該抗体の反応性に影響しないが、O−硫酸化構造やIdoA構造が当該抗体の反応性を阻害することを報告している(非特許文献8)。
一方、HSのN−アセチルグルコサミンユニットを認識するmAb 865は元々、Peters, H.らによって抗腸内細菌抗原(anti-ECA)に対する抗体として獲得されたものであるが、大腸菌K5株のキョウ膜多糖(以下、「NAH」という)とも交差反応する抗体である。当該抗体はNAHの硫酸化したものやN−脱アセチル化したものとは反応せず、エピトープが18糖以上のN−アセチルグルコサミンユニットであることがvan den Born, J.らによって報告されている。また、HSに対する当該抗体の反応性はNAHに対するそれの1/3000以下であるが(非特許文献7)、正常HSに比べて硫酸化度が高い、マウスのEHS−HSとも反応することも報告されている。
マウスのEHS-HSは硫酸化度が高いHSである。したがって、マウスのEHS-HSに反応する抗体は、硫酸化度が高いHSに反応し得る点で、抗原に対する特異性が比較的低い抗体であるといえる。以上に述べたように、HSのN−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニット等からなる非硫酸化部位を認識するが、マウスのEHS−HSに対して反応しない抗体は知られていなかったため、このような抗体が望まれていた。
Biochemistry,10, 20 1445(1971 ) 新生化学実験講座3、糖質II(東京化学同人刊、1991年)p49-62 Diabetes, 40, 1449 (1991) Kidney Int., 41, 115(1992) J. Biol. Chem., 270, 31303 (1995) Infect. Immun., 50, 459 (1985) J. Biol. Chem., 271, 22802(1996) J. Biol. Chem., 270, 31303 (1995)
本発明は試料中のHS又はNAHの検出に好適に用いることができる抗体を提供することを課題とする。特に、N−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニットからなる非硫酸化部位を特異的に認識する抗体を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題の解決を目指し、タンパク質とNAHとを結合させてなる物質を抗原として新規な抗GAG抗体の作製を試みた。
本発明者らが抗原作製のために用いたNAHは、主にN−アセチルグルコサミンユニットからなる酸性多糖である(Eur. J. Biochem.,116, 359-364 (1981))。特開2004-018840に記載の「N−アセチルヘパロサン画分及びその製造法」にしたがって調製したNAHの構造を、先に示した「グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組み合わせた構造解析」で解析したところ、99.5%以上がN−アセチルグルコサミンユニットからなっているが、一部にグルコサミンユニット(([GlcA−GlcNH2]))も含まれていた。故に、本発明者らは、調製されたNAHは、NAHに対する抗体並びに、HS中のN−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニットに対する抗体を得る抗原物質として優れた特性を有すると考えた。本発明者らは鋭意検討の結果、NAHに反応する抗体、さらにHSのN−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニットを認識する抗体を作製することに成功した。さらに、この抗体がマウスのEHS−HSに対して実質的に反応しないことを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応し、マウスのEHS-HSに対して実質的に反応しない抗体。
(2)NAH及びウシ腎臓由来のHSの非硫酸化部位を認識する(1)の抗体。
(3)非硫酸化部位が、N−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニットからなる、(2)の抗体。
(4)NAHに対する反応性と、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性との比が、10:2〜10:20である(1)〜(3)のいずれかの抗体。
(5)HAに対して実質的に反応しない、(1)〜(4)のいずれかの抗体。
(6)HEP又は脱硫酸化HEP類に対して実質的に反応しない、(1)〜(5)のいずれかの抗体。
(7)Ch、CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E又はKSに対して実質的に反応しない、(1)〜(6)のいずれかの抗体。
(8)モノクローナル抗体である、(1)〜(7)のいずれかの抗体。
(9)タンパク質とNAHとを結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物由来のリンパ球と哺乳動物由来のミエローマ細胞との細胞融合により形成されたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体である、(1)〜(7)のいずれかの抗体。
(10)リンパ球及びミエローマ細胞が、マウス由来である(9)の抗体。
(11)独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号が、FERM BP-10534、FERM BP-10535又はFERM BP-10536であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体。
(12)タンパク質とNAHとを化学的に結合させてなる物質であって、NAHに反応する抗体を産生させ得る抗原性を有する物質。
(13)タンパク質とNAHとを化学的に結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物由来のリンパ球と哺乳動物由来のミエローマ細胞との細胞融合により形成されたハイブリドーマ。
(14)哺乳動物がマウスである(13)のハイブリドーマ。
(15)独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおける受託番号が、FERM BP-10534、FERM BP-10535又はFERM BP-10536であるハイブリドーマ。
(16)試料中に存在するHS又はNAHの検出方法であって、(1)〜(11)のいずれかに記載の抗体を用いることを特徴とする検出方法。
(17)(1)〜(11)のいずれかの抗体を少なくとも含む、試料中に存在するHS又はNAHの検出キット。
(18)試料が、体液、細胞、組織及び細胞もしくは微生物の培養物からなる群から選択されるものに由来することを特徴とする、(16)の検出方法。
(19)試料が、体液、細胞、組織及び細胞もしくは微生物の培養物からなる群から選択されるものに由来することを特徴とする、(17)の検出キット。
各種修飾HEPの製造方法を示す図。 NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46抗体の各種GAGに対する反応性を示す図その1。 NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46抗体の各種GAGに対する反応性を示す図その2。 NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46抗体の各種GAGに対する反応性を示す図その3。 NAH33抗体(A)、NAH43抗体(B)、NAH46抗体(C)の特異的な反応性を示す図。 各種Bi−GAGの濃度を変化させた場合の、NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46の反応性を示す図その1。(a) 及び(b)はNAH33抗体、(c)及び(d)はNAH43抗体、(e) 及び(f)はNAH46抗体の反応性を示す。 各種Bi−GAGの濃度を変化させた場合の、NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46の反応性を示す図その2。(a)はNAH33抗体、(b)はNAH43抗体、(c)はNAH46抗体の反応性を示す。 NAH33抗体(A)、NAH43抗体(B)、NAH46抗体(C)を用いたラット腎臓凍結切片に対する免疫組織染色の結果を示す図(写真)。矢印は陽性の部位を示す。 ヘパチリナーゼ消化処理(B,D,F)、非処理(A,C,E)時の免疫組織染色の結果を示す図(写真)。A,BはNAH33抗体、C,DはNAH43抗体、E,FはNAH46抗体を用いた染色結果である。実線矢印は陽性の部位を示す。破線矢印は陽性反応が消失した部位を示す。 抗体固相化プレートを用いたウシ腎臓由来のHSの検出−その1(図中、(i)、(ii)、(iii)は、表4における固相化抗体及びHRP標識抗体の組み合わせを示す。) 抗体固相化プレートを用いたウシ腎臓由来のHSの検出−その2(図中、(i)、(iv)、(v)は、表4における固相化抗体及びHRP標識抗体の組み合わせを示す。) フローサイトメトリー法を用いた細胞表面のHSの検出結果を示す図。図中(+)はHS陰性細胞(ヘパリチナーゼI消化有り)を使用した旨、(−)はHS陽性細胞(ヘパリチナーゼI消化なし)を使用した旨を表す。(A)はHS陽性細胞に対する陰性対照抗体の反応性、(B)はHS陽性細胞に対するNAH46抗体の反応性、(C)はHS陰性細胞に対するNAH46抗体の反応性を示す。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応し、EHS-HSに対して実質的に反応しない抗体(以下「本発明抗体」ともいう。)を提供する。
NAHは大腸菌K5株のキョウ膜多糖であって、N−アセチルグルコサミンユニットを基本糖鎖構造として有する酸性多糖である(Eur. J. Biochem.,116, 359-364 (1981))。NAHは、例えば、後述する参考例1に記載の方法により調製することができる。
前記ウシ腎臓由来のHSは、後述する参考例3に記載の二糖組成の解析結果に示すように、D-グルコサミン残基のN位が約35%硫酸化したHSである。このようなウシ腎臓由来のHSは、例えばアセトン脱脂ウシ腎臓をアルカリ抽出、プロテアーゼ消化、除核酸、アルコール分画、コンドロイチナーゼABC処理した後、Schiller, S.らの方法にしたがったクロマトグラフィ法を行うことにより精製することができる(Lanber, A. et al., Biochim. Biophys. Acta., 29, 443 (1958),Schiller, S. et al., J. Biol. Chem., 236, 983 (1961),Iverius, P. H., Biochem. J. 124, 677(1971))。具体的なウシ腎臓由来のHSとしては、例えば、生化学工業株式会社の研究用試薬コード番号400700のHSが挙げられる。
マウスのEHS−HS(エンジェルブレス-ホーム-スワーン腫瘍組織由来のヘパラン硫酸)とは、マウスのEHS(エンジェルブレス-ホーム-スワーン)腫瘍組織から単離されるHSを意味する。マウスのEHS腫瘍組織からのHSの調製は、例えば、特公平7−53756号公報に記載の方法に従って行うことができる。このようなEHS−HSは、後述する参考例3に記載の二糖組成の解析結果に示すように、D-グルコサミン残基のN位が約65%硫酸化したHSである。
本発明において、特に断らない限り「反応」とは免疫学的反応又は抗原抗体反応を意味し、抗体と抗原との反応性は例えば、ELISA法、RIA法、プラーク法、凝集反応法、フローサイトメトリー法、組織染色法、ウェスタンブロッティング法などによって調べることができる。例えば、抗体を用いてELISA法を行ったときに、抗原の濃度の増加に比例して反応シグナルが増強される場合に、該抗体は該抗原に反応するということができる。
また、本発明明細書において、「実質的に反応しない」とは、抗体と抗原との反応性が、上記の反応性を調べる方法で反応シグナルを与えないか、極めて弱い反応シグナルしか与えない程度であることを意味するが、特に本発明抗体のEHS−HSとの反応性については、例えば上記に例示した反応性を調べる各方法における反応時間、検出方法、測定に用いる抗原溶液中の抗原濃度及び抗体溶液中の抗体濃度等の条件を、例えば検出結果として約2.0の吸光度差(吸光度差は、本発明抗体を含有する溶液を試験溶液として上記本発明抗体と抗原との反応性を測定した場合に得られる吸光度から、本発明抗体を含有しないブランク溶液を試験溶液として用いた場合に得られる吸光度を減算して得ることができる。具体例としては後述する実施例4を参照されたい)が得られる程度に本発明抗体のNAHに対する反応性を十分に検出することができる条件と同様に設定し、EHS−HSに対する反応性を調べた場合において、本発明抗体のEHS−HSに対する反応性が、NAHに対する反応性の、例えば10%以下、より好ましくは5%以下であれば、実質的に反応しないと解することができる。また、上記の検出において設定する条件のより具体的な例としては、例えば後述する実施例4におけるNAH33抗体、NAH43抗体、及びNAH46抗体の反応性の測定における条件のいずれかを採用することもできるので、参照されたい。
また後述する、本発明抗体の、NAHに対する反応性とウシ腎臓由来のHSに対する反応性との比、及びNAHに対する反応性と約40%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性との比に例示される、本発明抗体のNAHに対する反応性とその他GAG等に対する反応性との比に関する記載は、例えば上記に例示した反応性を調べる各方法における反応時間、検出方法、測定に用いる抗原溶液中の抗原濃度及び抗体溶液中の抗体濃度等の条件を、例えば検出結果として約2.0の吸光度差が得られる程度に本発明抗体のNAHに対する反応性を十分に検出することができる条件と同様に設定し、NAH及びその他GAG等の反応性を調べた場合における、両者の反応性の強度の比を表すものである。また、上記の検出において設定する条件のより具体的な例としては、例えば後述する実施例4におけるNAH33抗体、NAH43抗体、及びNAH46抗体の反応性の測定における条件のいずれかを採用することもできるので、参照されたい。
なお本発明抗体が、後述するNAH33抗体、NAH43抗体、又はNAH46抗体である場合における、上述した本発明抗体のEHS−HSとの反応性、及び本発明抗体のNAHに対する反応性とその他GAG等に対する反応性との比を調べる方法については、後述する実施例4に記載の方法を採用することができるので参照されたい。
本発明抗体は上記の様に、NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応し、EHS-HSに対して実質的に反応しない限りにおいて特に限定されない。従って、本発明抗体は、NAH及びウシ腎臓以外の由来のHSにも反応し得るものである。このような本発明抗体が反応するHSは、後述する実施例に記載の方法により得られる非硫酸化二糖の存在比が、約40%以上であることが好ましく、約50%以上であることがより好ましい。
本発明抗体は、NAHに対する反応性と、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性との比が、10:2〜10:20であるものが好ましく、100:20〜100:90であることがより好ましい。
上記のような抗体としては、下記(イ)又は(ロ)に記載の抗体が例示される。
(イ)NAHに対する反応性と、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性との比が、100:30〜100:50抗体。さらに上記の比が、100:35〜100:45である抗体。このような抗体としては、具体的には、受託番号がFERM BP-10534又はFERM BP-10536であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(それぞれ「NAH33抗体」および「NAH46抗体」ともいう。)が例示される。
(ロ)NAHに対する反応性と、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性との比が、100:60〜100:90である抗体。さらに上記の比が、100:70〜100:80である抗体。このような抗体としては、具体的には、受託番号がFERM BP-10535であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(「NAH43抗体」ともいう。)が例示される。
また、本発明の抗体は、HAに対して実質的に反応しない抗体であることが好ましい。
上記のHAとしては、後述する実施例に記載のHAが例示される。また、本発明の抗体は、HEP又は脱硫酸化修飾HEP類に対して実質的に反応しない抗体であることが好ましく、HEP及び脱硫酸化修飾HEP類に対して実質的に反応しない抗体であることがより好ましい。上記のHEPとしては、後述する実施例に記載のHEPが例示される。
また、上記の脱硫酸化修飾HEP類とは、後述する実施例に記載の、6DSH、NSH、NH2−HEP、NH2−2SH、NH2−6SH、NH2−CDSH、NAc−HEP、2SH、6SH、CDSH、Ac−6DSH及びAc−NSHからなる群より選択されるもを意味する。さらに上記の抗体は、2DSH及び/又はAc−2DSHに対して実質的に反応しない抗体であることがより好ましい。
さらに、本発明の抗体は、Ch、CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E及びKSからなる群から選択されるGAGに対して実質的に反応しない抗体であることが好ましく、Ch、CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E及びKSに対して実質的に反応しない抗体であることがより好ましい。上記のGAGとしては、それぞれ後述する実施例に記載のGAGが例示される。
また、本発明の抗体は、脱N−アセチル化したNAHに対して、特定の反応性を有することが好ましい。このような抗体としては、下記(ハ)〜(ホ)に記載の抗体が例示される。
(ハ)約40%脱N−アセチル化したNAHに対して実質的に反応しない抗体。さらに、上記の抗体は、上記反応性に加え、約20%脱N−アセチル化したNAHに対して実質的に反応しないことが好ましく、約10%脱N−アセチル化したNAHに対して実質的に反応しないことがより好ましい。このような抗体としては、具体的には、受託番号がFERM BP-10534であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(NAH33抗体)が例示される。
(ニ)NAHに対する反応性と、約40%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性との比が、100:60〜100:150である抗体。さらに、上記の比は、100:80〜100:130であることがより好ましく、約100:110であることが最も好ましい。さらに、上記の抗体は、NAHに対する反応性と、約20%脱N−アセチル化NAHに対する反応性との比が、100:60〜100:150であることが好ましく、NAHに対する反応性と、約10%脱N−アセチル化NAHに対する反応性との比が、100:60〜100:100であることが好ましい。このような抗体としては、具体的には、受託番号がFERM BP-10535であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(NAH43抗体)が例示される。
(ホ)約40%脱N−アセチル化したNAHに対して、実質的に反応しない抗体。さらに、NAHに対する反応性と、約20%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性との比は、100:10〜100:50であることが好ましい。さらに上記の抗体は、NAHに対する反応性と、約10%脱N−アセチル化NAHに対する反応性との比が、100:60〜100:100であることがより好ましい。このような抗体としては、具体的には、受託番号がFERM BP-10536であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(NAH46抗体)が例示される。
脱N−アセチル化したNAHは、例えば、後述する「[参考例1]2.PDNAc-NAHの調製」に記載の方法に従って調製することができる。本発明明細書において、脱N−アセチル化したNAHにおける脱N−アセチル化の割合(%)は、後述する「[参考例1]2.PDNAc-NAHの調製」に記載の方法により得られる脱N−アセチル化の割合(%)を意味する。
本発明の抗体は、NAH及びウシ腎臓由来のHSの非硫酸化部位を認識し得るものである。
上記の非硫酸化部位には、具体的にはN−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニットからなる部位が挙げられる。このような非硫酸化部位は、N−アセチルグルコサミンユニットとグルコサミンユニットのどちらか一方からなってもよく、両方からなってもよい。
本発明の抗体の種類は特に制限されず、モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体がより好ましい。モノクローナル抗体はそのフラグメントであってもよい。モノクローナル抗体のフラグメントとしては、例えば、F(ab’)2化抗体、Fab化抗体、短鎖抗体(scFv)、ダイアボディ(Diabodies)及びミニボディ(Minibodies)などが挙げられる。
モノクローナル抗体の免疫グロブリンクラスは特に制限されないが、IgMであることが好ましく、IgM, κ-chainであることがより好ましい。
上記モノクローナル抗体は、例えば、タンパク質とNAHとを化学的に結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物(好ましくはマウス)の抗体産生細胞(好ましくはリンパ球)と哺乳動物(好ましくはマウス)のミエローマ細胞との細胞融合によりハイブリドーマを作製し、得られたハイブリドーマから上記性質を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択し、該ハイブリドーマの培養上清からモノクローナル抗体を回収することにより得ることができる。
この抗体を産生させるために用いる抗原物質は、タンパク質とNAHとを化学的に結合させて得られる物質であって、NAHに反応する抗体を産生させ得る抗原性を有する物質である。この物質は例えば、特開2004-018840に記載の方法により調製したNAHをタンパク質に共有結合させることによって得ることができる。
以下に、本発明の抗体を得るための方法を詳細に示す。ただし、本発明の抗体を得る方法は、以下のものには限定されない。
本発明の抗体を得るための第一段階としては、抗体を産生する新規な単クローンハイブリドーマを確立することが挙げられる。このハイブリドーマを確立する方法の具体的詳細は実施例で示すが、簡単には次の3工程から成る。
1.免疫
2.細胞融合
3. ハイブリドーマの選択と単クローン化
1.免疫
本発明において、免疫の工程で用いる抗原は、NAHを用いることが好ましい。また、上記NAHは、タンパク質と化学的に結合させて用いることが好ましい。上記タンパク質は、ウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という。)又はヘモシアニン(以下、「KLH」という。)であることが好ましい。
本発明において、免疫に用いる抗原としてはGAG又はプロテオグリカンを用いることが好ましく、なかでもNAHを用いることがより好ましい。さらにこれらは、タンパク質と結合させて用いることがより好ましい。例えばGAG又はプロテオグリカンと、タンパク質との化学的な結合の様式は特に限定されないが、共有結合が好ましく、ジスルフィド結合(以下、「−SS−」という)がより好ましい。具体的には、例えば、GAGを還元アミノ化し、これと5mM N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(以下、「SPDP」という)を反応させて、2−ピリジルジチオプロピニル化GAGを得る。これをジチオスレイトール等の還元剤で還元し、チオール化GAGを得る。同様に、タンパク質とSPDPを反応させ、2−ピリジルジチオプロピニル化タンパク質を得る。次に、チオール化GAG溶液と2−ピリジルジチオプロピニル化タンパク質溶液を混合することによって、GAGとタンパク質間にSS結合を生成させ、GAG−SS−タンパク質を得る(以下、「GAG抗原」という)。
本発明で免疫される動物は豚、牛、マウス、ラット等の哺乳動物であることが好ましく、抗体産生細胞の相手となるミエローマ細胞がマウス由来のものであることが好ましいため、特にマウスが好ましい。例えば上記方法により調製したNAH抗原を哺乳動物に皮下注射することにより免疫を行うことができる。注射方法はこれに限らず、腹腔内注射、静脈注射でも良い。通常、免疫は数回に分けて行うが、免疫はアジュバントと共に投与することが好ましい。アジュバンとしては、ミョウバン、結核死菌、核酸、完全フロインドアジュバント、不完全フロイントアジュバント等、アジュバント効果が期待できるもので有ればよいが、特に、TiterMAX Gold(シグマ社製)良い。
2.細胞融合
最終免疫後にリンパ節或は脾臓を摘出し、得られるリンパ球を細胞融合に供する。一方、細胞融合に使用される腫瘍細胞株としてはミエローマ細胞が好ましく、通常、マウスのBALB/c 由来のP3 -NS-1/1-Ag4-1、P3 -X63-Ag8-U1(P3 U1)、P3 -X63-Ag8-653、SP2/0-Ag14 等を用いることができる。
3.ハイブリドーマの選択と単クローン化
ハイブリドーマの選択と単クローン化は下記に例示される方法により、行うことができる。すなわち、ハイブリドーマの増殖の盛んな細胞培養上清を種々の分析法(例えばRIA法 、プラーク法、凝集反応法、ELISA法、フローサイトメトリー法、組織染色法、ウェスタンブロッティング法 等)でNAHに反応する目的の抗体を産生するハイブリドーマを選択し、次に、得られたハイブリドーマについてクローニングを行う。クローニングの方法としてはFACS(Fluorescent Activated Cell Sorter )もしくは、一般によく用いられる限界希釈法等が挙げられる。例えば、限界希釈法では96ウェルプレートの1ウェルあたり細胞が1個以下になるように行うことが好ましい。どの方法を用いてもクローニングは2回繰返し行うことが好ましく、単一クローンとすることが好ましい。
本発明の抗体を得るための第二段階としては、抗NAHモノクローナル抗体を産生することが挙げられる。
抗NAHモノクローナル抗体を産生する方法としては、得られた単一クローンを、大量にin vitro で培養する方法、in vivo で培養(腹水化)する方法が挙げられ、目的に応じて選択することができる。単一のハイブリドーマが作るモノクローナル抗体は、細胞培養液又は、ハイブリドーマを移植したマウスの腹水から分離精製することができる。これら粗抗体液からの抗体精製は、塩析、イオン交換、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動等、生化学的一般的手法を適宜組み合わせることによって達成することができる。
上記のようにして得られるモノクローナル抗体としては、NAH33と名づけられたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(以下、NAH33抗体という。)を挙げることができる。上記のハイブリドーマは、2005年3月11日に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託され、受託番号FERM P-20457が付与された。その後、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-10534が付与された。
NAH33抗体は、下記の反応性を示す。すなわち、NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応し、マウスのEHS−HS、HA、HEP、Ch、CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E、KS、PDNAc-NAH(約40%脱N−アセチル化したNAH、約20%脱N−アセチル化したNAH及び約10%脱N−アセチル化したNAH)に対して実質的に反応しない。また、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性は、NAHに対する反応性の約40%である。さらに、NAHに対する反応性と、Ac-NAHに対する反応性との比は、約1:1である。
上記のようにして得られる、別のモノクローナル抗体としては、NAH43と名づけられたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(以下、NAH43抗体という。)を挙げることができる。上記のハイブリドーマは、2005年3月11日に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託され、受託番号FERM P-20458が付与された。その後、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-10535が付与された。
NAH43抗体は、下記の反応性を示す。すなわち、NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応し、マウスのEHS−HS、HA、HEP、Ch、CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E及びKSに対して実質的に反応しない。また、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性は、NAHに対する反応性の約75%である。またこの抗体は、NAHに対する反応性と、約20%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性に実質的に差がない。すなわち、NAHに対する反応性と、約40%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性との比、並びにNAHに対する反応性と、約20%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性との比が、共に約100:110である。NAHに対する反応性と、約10%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性との比は、約100:80である。さらに、Ac−NAHに対する反応性は、NAHに対する反応性の約70%である。
上記のようにして得られる、さらに別のモノクローナル抗体としては、NAH46と名づけられたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(以下、NAH46抗体という。
)を挙げることができる。ハイブリドーマNAH46は、2005年3月11日に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託され、受託番号FERM P-20459が付与された。その後、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-10536が付与された。
NAH46抗体は、下記の反応性を示す。すなわち、NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応し、マウスのEHS−HS、HA、HEP、Ch、CS−A、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E及びKSに対して実質的に反応しない。また、ウシ腎臓由来のHSに対する反応性は、NAHに対する反応性の約40%である。またこの抗体は、約40%脱N−アセチル化したNAHに対して実質的に反応しない。また、約20%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性は、NAHに対する反応性の約40%であり、約10%脱N−アセチル化したNAHに対する反応性は、NAHに対する反応性の約80%である。さらに、NAHに対する反応性と、Ac−NAHに対する反応性との比は、約1:1である。
本発明抗体は、試料中に存在するHS又はNAHの検出に用いることができる。したがって本発明は、試料中に存在するHS又はNAHの検出方法であって、本発明の抗体を用いることを特徴とする検出方法を提供する。
上記の試料とは、HS又はNAHを含むか、それを含む可能性を有する試料であれば特に限定されない。ここで、「HS又はNAHを含む」とは、HSとNAHのどちらか一方を含んでいてもよく、HSとNAHを両方含んでいてもよいことを意味する。このような試料としては、HS又はNAHを含みうるものである限りにおいて特に限定されないが、試料の由来となるものとして、尿、血液、血漿、血清、関節液、髄等の体液、分泌物、細胞、組織、臓器、動・植物細胞又は微生物の培養上清、細胞自体、菌体自体等の培養物等が例示される。上記「由来」とは、上記に例示したものに由来する精製物、抽出物、標本等であってもよく、そのもの自体であってもよいことを意味する。
本発明の検出方法において、組織標本を試料に用いる場合は通常の免疫組織染色法などを用いることができ、体液を試料に用いる場合はELISA法、RIA法、サンドイッチ法、競合法、プラーク法、凝集反応法、フローサイトメトリー法、ウェスタンブロッティング法などを用いることができる。
上記のサンドイッチ法においては、後述する実施例7に示す様に、本発明抗体をプレート等に例示される固相に固着させて第一抗体として用いても良く、また、本発明抗体を標識して第二抗体として用いても良い。ここで本発明抗体としては、例えばNAH33抗体、NAH43抗体、NAH46抗体等が例示される。また、本発明抗体を第一抗体として用いる場合の第二抗体、及び本発明抗体を第二抗体として用いる場合の第一抗体は、検出の対象であるHS又はNAHに結合し得る物質である限りにおいて特に限定されないが、例えばmAb JM403(以下、「JM403」と記載する)、mAb F58-10E4(以下、「10E4」と記載する)等の抗体が例示される。また、第一抗体と第二抗体の両者に本発明抗体を用いても良い。この場合、第一抗体及び第二抗体には、本発明抗体を適宜組み合わせて使用することができるが、例えば、第一抗体としてNAH33抗体を用い、第二抗体としてNAH33抗体、NAH43抗体又はNAH46抗体のいずれかを用いる組み合わせ、第一抗体としてNAH43抗体を用い、第二抗体としてNAH33抗体、NAH43抗体又はNAH46抗体のいずれかを用いる組み合わせ、第一抗体としてNAH46抗体を用い、第二抗体としてNAH33抗体、NAH43抗体又はNAH46抗体のいずれかを用いる組み合わせ等が例示される。
本発明の検出方法によれば、本発明の抗体の反応の特異性を利用することにより、本発明の抗体により認識し得る試料中に存在するHS又はNAHを特異的に検出することができる。また、本発明の検出方法は、前述した本発明の抗体の反応性を利用することにより、例えば細胞、組織の癌化、炎症の有無又はその程度の判定、培養上清中に含まれるNAH又はHSの測定、各種疾患の有無又はその程度の判定等といった目的にも応用することが可能である。
また本発明は、本発明の抗体を少なくとも含む、試料中に存在するHS又はNAHの検出キットを提供する。本発明の検出キットによれば、本発明検出方法をより簡便に行うことができる。上記において、「本発明の抗体を少なくとも含む」キットとしては、例えば本発明抗体そのもの(溶液に溶解した本発明抗体等も含む)を構成成分として含むキット、本発明抗体を固着させた固相を構成成分として含むキット、酵素等により標識した本発明抗体を構成成分として含むキット等が例示される。また、上記の「試料」なる用語の意味は、上述した本発明の検出方法における説明をそのままあてはめることができる。また、上記検出キットは、上記抗体に加えて、2次抗体、反応バッファー、洗浄液、反応基質、HS標準液などを含むものであってもよい。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。
[参考例1] NAH及びPDNAc-NAHの調製
1.NAHの調製
NAHは大腸菌 K5を用いた発酵法によって調製した(特開2004-018840号公報参照)。得られたNAHの特徴を以下に示した。Shodex STANDARD P-82 kit ( P-800; 788 kDa, P-400; 404 kDa, P-200; 210 kDa, P-100; 112 kDa, P-50; 47.3 kDa, P-20; 22.8 kDa, P-10; 11.8 kDa, P-5; 5.9 kDa、昭和電工)を分子量標準マーカーとしたゲルろ過クロマトグラフィ法によって測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)はそれぞれ、128,646と106,144で、分子量分散度(Mw/Mn)は1.212であった。EtBr(エチジウムブロミド)比色定量法によって測定した核酸含量は0.09%であった。Lowry法(Lowry J.ら, J. Biol. Chem. 193, 265-275, (1951) )によって測定したタンパク含量は2.38%であった。2,4,6-TNBS法(Biochemica et Biophysica Acta. (1967)141, 358-365 )によって測定した遊離アミンのモル数は0.026μM/mgであった。
2.PDNAc-NAHの調製
上記方法で調製したNAHを原料として、Shaklee, P. N.らの方法に従ってPDNAc-NAHを調製した(Biochem. J., 217, 187 (1984))。脱アセチル化度(%)はアミノ酸定量用試薬のFluoraldehyde(TM) Reagent Solution(PIERCE社)を用いて測定した。具体的には,50ug/mlの試料溶液を80ulずつ試験管に分注し、800ulの上記試薬を添加し、当該混液の蛍光(λex=340nm、λem=455nm)を測定した。スタンダードとしてグルコサミン塩酸塩を用い,蛍光強度から試料溶液中のグルコサミン濃度(ug/ml)を算出した。NAHはグルクロン酸とN−アセチルグルコサミンからなる多糖なので、50ug/mlのNAH中のN−アセチルグルコサミン濃度は概算すると25ug/mlとなる。そこで、算出したグルコサミン濃度をN−アセチルグルコサミン濃度の概算値で除し、百分率であらわすことで脱アセチル化度とした。脱アセチル化反応の反応時間別の脱アセチル化度は以下表のとおりであった。
[参考例2] ビオチン標識GAG(以下、「Bi−GAG」という)の調製
1.天然型GAGのビオチン標識化
天然型GAG(NAH、HS、HA、HEP、Ch、CS−A(S)、CS−A(W)、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E、KS)を0.1M MES緩衝液(pH5.5)に溶解して、10mg/ml のGAG溶液を調製した。1mlの各GAG溶液に、ジメチルスルホキシド(和光純薬工業社製)で20mMに調製したビオチン-LC-ヒドラジド(PIERCE社製)を25μl 添加した。続いて、0.1M MES緩衝液(pH5.5)で100mg/mlに調製したEDC(PIERCE社製)溶液を12.5μl添加した。よく撹拌した後、常温(15℃〜25℃)で16−24時間撹拌反応を行った。反応終了後、この反応物を透析膜(cutoff分子量10,000以下)において、透析液としてリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2〜7.5、カルシウムイオン等の2価イオン不含:以下、「PBS(−)」という)等を用い、十分に遊離のビオチンを除去した。透析終了後、Bi−GAG濃度を5mg/ml に調製し、凍結保存した。
上記の方法により、ビオチン標識した天然型GAG(Bi−NAH、Bi−HS、Bi−HA、Bi−HEP、Bi−Ch、Bi−CS−A(S)、Bi−CS−A(W)、Bi−CS−B、Bi−CS−C、Bi−CS−D、Bi−CS−E、Bi−KS)を得た。
尚、NAHは参考例1の調製品、HEPはSPL社製(ブタ腸由来)、その他のGAGは生化学工業株式会社製の下記のものを用いた。HA(ブタ皮由来)、Ch(下記のCS−Cを原料として、酸性メタノール処理することにより得た)、CS−A(S)(チョウザメ脊索由来)、CS−A(W)(クジラ軟骨由来)、CS−B(ブタ皮由来)、CS−C(サメ軟骨由来)、CS−D(サメ軟骨由来)、CS−E(イカ軟骨由来)、KS(ウシ角膜由来)。HSは生化学工業株式会社製のウシ腎臓由来のHSを用いた。以下、本実施例ではこれを単にウシ腎臓由来のHSと呼ぶ。
2.PDNAc−NAH及び化学修飾GAGのビオチン標識化
参考例1に記載のPDNAc-NAH30 、PDNAc-NAH60、 PDNAc-NAH120を出発物質として、上記と同様の方法によりビオチン標識化した。
また、化学修飾GAGとして、HEPを出発物質とした部位特異的な脱硫酸化体12種とNAHのN-アセチル化体を調製し、上記と同様の方法でビオチン標識化した。化学修飾GAGの調製法を以下に述べる。
6DSH、2DSH及びNSHはKariya, Y.らの方法にしたがって調製した(Kariya, Y. et al., J. Biochem., 123, 240(1998))。
NH2-HEP、NH2-2SH、NH2-6SH及びNH2-CDSHはそれぞれの出発物質であるHEP、6DSH、2DSH及びNSHのピリジニウム塩を調製し、それをAyotte, L.らの方法(Ayotte, L. et al., Carbohydr. Res., 145, 267(1986))にしたがって脱N-硫酸化することによって調製した。
NAc-HEP、2SH、6SH、CDSH、Ac-6DSH、Ac-NSH及びAc-NAHはそれぞれの出発物質であるNH2-HEP、NH2-2SH、NH2-6SH、NH2-CDSH、6DSH、NSHおよびNAHをDanishefsky, I.らの方法(Danishefsky, I. et al., Methods Carbohydr. Res., 5, 407(1965))にしたがってN-アセチル化することによって調製した。上記の各種修飾HEPの製造方法の流れを、図1に示す。
[参考例3] マウスのEHS-HS及びウシ腎臓由来のHSの二糖組成の解析
マウスのEHS-HS及びウシ腎臓由来のHSの二糖組成の解析を行った。二糖組成は下記試験法1の酵素消化による二糖組成分析により得られる特定が可能な構造を持つ不飽和二糖の量(ΔDiHS-0S, ΔDiHS-NS, ΔDiHS-6S, ΔDiHS-US, ΔDiHS-di(6,N)S, ΔDiHS-di(U,N)S, ΔDiHS-di(U,6)S, ΔdiHS-tri(U,6,N)Sのモル%の合計)を100%として、上記特定の構造を持つ二糖の割合を示したものであり、当該数値は酵素消化前の硫酸化多糖の硫酸化を反映するものである。
なお、本願明細書中において、二糖組成の表記は、下記を意味する。
また、上記略号の示す構造は以下のとおり表記されることもある。
ΔdiHS-0S:ΔhexA1→4HexNAc, ΔdiHS-NS:ΔhexA1→4HexNS, ΔdiHS-6S:ΔhexA1→4HexNAc(6S), ΔdiHS-US:ΔhexA(2S)1→4HexNAc, ΔdiHS-di(6,N)S:ΔhexA1→4HexNS(6S), ΔdiHS-di(U,N)S:ΔhexA(2S)1→4HexNS, ΔdiHS-di(U,6)S:ΔhexA(2S)1→4HexNAc(6S), ΔdiHS-tri(U,N,6)S:ΔhexA(2S)1→4HexNS(6S)。
上記中、ΔhexAは不飽和ウロン酸、HexNAcはN-アセチルヘキソサミン、HexNSはN-硫酸化ヘキソサミン、カッコ内は硫酸基の結合位置を示す。
試験法1
[酵素消化による二糖分析]
硫酸化多糖における硫酸基の置換位置を分析する方法は、次のようにして行った。すなわち、それぞれの硫酸化多糖を酵素消化し、生成した不飽和二糖(前記構造式:化1)を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した(非特許文献2に記載の「2・8グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組み合わせた構造解析」参照)。各不飽和二糖のピーク面積を計算して、全面積に対するピーク面積をパーセントとして表した。
(1)酸化多糖及び低分子化硫酸化多糖の分解酵素による消化
新生化学実験講座3、糖質II(東京化学同人刊、1991年)p49−62に記載の方法により、2 mM酢酸カルシウムを含む20 mM酢酸ナトリウム(pH7.0)220 μlに硫酸化多糖又は低分子化硫酸化多糖1.0 mgを溶解して、20mUのヘパリナーゼ、20 mUのヘパリチナーゼI及びIIを加えて、37℃、2時間反応させた。
(2)HPLCによる分析
硫酸化多糖及び低分子化硫酸化多糖の分解酵素による消化を行った後の溶液50 μlを、HPLC(医理化、モデル852型)を用いて分析した。イオン交換カラム(ダイオネックス社、CarboPac PA-1カラム4.0mm × 250mm)を使用し、232 nmでの吸光度を測定した。4〜12糖スタンダードを基準とし(Yamada, et al., J.Biol.Chem., 270,8696-8706,(1995))、流速1 ml/分で、塩化リチウムを用いたグラジエント系(50 mM→2.5 M)を用いる方法に準拠した(Kariya, et al., Comp.Biochem.Physiol., 103B,473,(1992))。
今回、試験に使用したウシ腎臓由来のHSとマウスのEHS-HSの二糖組成分析の結果を表3に示す。
NS(total)は、ΔDiHS-NS, ΔDiHS-di(6,N)S, ΔDiHS-di(U,N)S,ΔDiHS-tri(U,6,N)Sの合計を表す。
上記表中において、N.Dは検出限界以下であったことを示す。
[参考例4] 固相化ストレプトアビジンプレートの作製
ストレプトアビジン(Vector社製)をPBS(−)で20μg/mlに希釈し、マキシソープ(登録商標) 96ウェルマイクロプレート(ヌンク社製)の各ウェルに50μlずつストレプトアビジン溶液を加え、4℃で14〜18時間保存することにより、均一にコーティングした。このプレートをPBS(−)で2回洗浄し、ウェルのストレプトアビジンでコーティングされていない部分をブロッキングするためのブロッキング物質として,ApplieDuo(最終希釈率5倍、生化学工業株式会社製)及び防腐剤として0.05%プロクリン(登録商標)300(SUPELCO社製)を含むリン酸緩衝液(上記PBS(−)のうち、塩化ナトリウム、塩化カリウム不含、pH7.2〜7.5:以下、「PB」という)を加え、常温で2時間静置した。静置後、ブロッキング溶液を十分に除去し、37℃で2時間乾燥させることにより、所望する固相化ストレプトアビジンプレートを得た。プレートは乾燥剤とともにアルミラミネート袋に封入し、冷蔵保存した。
[参考例5] Bi−GAG固相化プレートの作製
参考例2で調製したBi−GAGを添加剤としてApplieDuo(登録商標)(最終希釈率20倍、生化学工業株式会社製)と、防腐剤として0.05%プロクリン300とを含むPBS(−)(以下、「反応液A」という)に溶解し、1μg/ml溶液を調製した。参考例4で作製した固相化ストレプトアビジンプレートを0.05%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ICI社 商標 Tween20相当品、和光純薬工業社製)及び防腐剤として0.05%プロクリン(登録商標)300を含むPBS(−)(以下、「洗浄液」という)300μlで4回洗浄し、各ウェルにBi−GAG溶液を100μLずつ加え、常温で30分静置して、固相化ストレプトアビジンにBi−GAGを固定化した(以下、「Bi−GAG固相化プレート」という)。
[実施例1]
1. NAH抗原の調製その1
(1)還元アミノ化NAH(以下、「RA−NAH」という)の調製
参考例1で調製したNAHを50mg秤量し、2mlの2M塩化アンモニウム水溶液に溶解した。溶液に25mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、70℃で2日間、還元アミノ化反応を行った。反応液に13mgのシアノ水素ホウ素ナトリウムを添加し、さらに2日間同一条件で反応を行った。氷浴中で冷却後、400μlの酢酸を添加し反応を完全に停止させた。RA−NAHは2倍量のエタノールを用いた溶媒沈殿法で回収し、エタノール洗浄後、凍結乾燥した。39.5mgのRA−NAH凍結乾燥物を得た。
(2)2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化NAH(以下、「PDP−NAH」という)の調製
上記(1)で調製したRA−NAHを10.4mg秤量し、2mlの0.1M食塩−0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解した。溶液に80μlの5mMN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(以下、「SPDP」という、シグマ社)エタノール溶液を添加した後、室温で30分間、PDP化反応を行った。過剰のSPDPを除くために蒸留水を用いて透析を行った後、凍結乾燥した。9.5mgのPDP−NAH凍結乾燥品を得た。
(3)チオプロピオニルNAH(SH−NAH)の調製
上記(2)で調製したPDP−NAHを9.5mg秤量し、1mlの0.1M食塩−0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に溶解した。溶液に終濃度が25mMに成るようにジチオスレイトールを添加し、室温で60分間、還元反応を行った。SH−NAHは2倍量のエタノールを用いた溶媒沈殿法で回収した。得られた沈殿はエタノール洗浄後、凍結乾燥した。8.3mgのSH−NAH凍結乾燥物を得た。
(4)2−ピリジルジスルフィドプロピオニル化タンパク質(PDP−タンパク質)の調製
BSA(シグマ社製)100mg又はKLH(シグマ社製)60mgを終濃度2.5mg/mlに成るように0.1M食塩−0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)へ溶解した。溶液に終濃度が238μMになるように5mM SPDPエタノール溶液を添加した後、室温で30分間、PDP化反応を行った。過剰のSPDPを除くために反応液を蒸留水に対して一晩、透析した後、凍結乾燥した。凍結乾燥品としてPDP−BSA及びPDP−KLHをそれぞれ、104.2mgと59.4mgずつ得た。
(5)ジスルフィド結合を介したNAH−タンパク質コンジュゲート(NAH−SS−KLH)の調製
上記(3)で調製したSH−NAHと上記(4)で調製したPDP−BSAを用いて、GAG/タンパク質混合比の条件検討を行い、GAG/タンパク質混合比を2と決定した。そこで、SH−NAH(1.5mg)とPDP−KLH(0.75mg)を1mlの0.1M食塩−0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)へ溶解し、室温で2時間、コンジュゲーション反応を行った。反応中に生成されるピリジル−2−チオンを除くために反応液を蒸留水に対して一晩、透析した後、凍結乾燥した。凍結乾燥品としてNAH−SS−KLHを1.9mg得た。得られたNAH−SS−KLHをNAH抗原として用いた。
2. NAH抗原の調製その2−NAHのカルボキシル基を介したタンパク質コンジュゲートの調製
参考例1で調製したNAH及びBSA(バイエルセロロジカル社製)の10mg/ml溶液を0.1M 2-モルホリンエタンスルホン酸(以下、「MES」という)緩衝液(pH5.5)でそれぞれ調製した。N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(以下、「EDC」という、PIERCE社製)の100mg/ml溶液を0.1M MES緩衝液(pH5.5)で調製した。NAH溶液(300μl)とBSA溶液(150μl)を混合した。混合液に4μlのEDC溶液を添加した後、室温で20時間、コンジュゲーション反応を行った。反応液を蒸留水に対して一晩、透析した後、凍結乾燥した。NAH−BSA凍結乾燥物を3.5mg得た。
[実施例2] 抗NAHモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの取得
(1)免疫
実施例1の「NAH抗原の調製その1」で調製したNAH抗原の終濃度が0.5mg/mlに成るように、アジュバントとして用いたTiterMAX Gold(2ml、シグマ社製)に少量の精製水に溶解したNAH抗原を添加した(抗原液)。4匹のBALB/Cマウス(6週齢メス、日本チャルズリバー)の皮下等に抗原液を100μl/headずつ、2週間おきに2から3回投与した。さらに、抗原のみを投与する最終免疫を行った。最終免疫の3日後にリンパ節或は脾臓を摘出し免疫感作されたリンパ球を得た。
(2)ハイブリドーマの作製
上記(1)で得たリンパ球を、前もって培養中のマウスミエローマ細胞(P3U1、シマ研究所)と4.4:1から5:1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコール1500(ロシュ社製)にて融合させた。融合細胞の培養にはRPMI1640(コージンバイオ社製)に15%のウシ胎仔血清、HATを添加したものを用い、コロニーが増殖するまでおよそ8日間培養した。クローニング法として、一般によく用いられる限界希釈法を採用した。96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたり細胞が1個以下になるように細胞を上記培地で希釈し、培養を行った。マウス1匹あたり1〜2枚のマイクロプレートを用い、単一クローンとした。尚、クローニングは1〜2回繰返し行った。
(3)ELISA法による抗体の1次スクリーニング
細胞融合後8日目より、ELISA法による抗体の1次スクリーニングを実施した。実施例1の「2. NAH抗原の調製その2」で調製したNAH−BSA又は、実施例1の「1. NAH抗原の調製その1」で調製したNAH−SS−KLHを96ウェルマイクロプレートに1μg/mlを50μlずつ入れ固相化した。抗原液を捨て4倍に希釈したブロックエース(大日本製薬)で室温1時間又は4℃、一晩ブロッキングした。ブロッキング液を捨てた後、培養上清を50μl/ウェルずつ加え、37℃で1時間インキュベーションした。続いて10希釈のブロックエースで1000倍に希釈したアルカリ・ホスファターゼ−抗マウス IgG+M+A(ザイメット社製)を50μl/ウェルずつ加え、37℃で1時間インキュベーションした。精製水で4回洗浄した後、基質液(ALPローゼ、 シノテスト社製)を50μlずつ加え、さらに室温で20分間インキュベーションした。同じく呈色液を用いて発色させ、495nmの吸光度を対照660nmで、プレートリーダーを用いて測定した。反応の強い8クローンを選択し、24ウェルプレートの培養段階で活性を維持していた6クローンを2次スクリーニングで評価した。
(4)ELISA法による抗体の2次スクリーニング
上記(3)で選択した6クローンについて、2次スクリーニングとして、ビオチン標識NAH(以下、「Bi−NAH」という)を用いたELISA法を用いて評価した。
参考例5で作製したBi−NAH固相化プレートを洗浄液で4回洗浄した後、各ウェルに培養上清液を100μlずつ加え、これを常温(15〜25℃)で60分間静置して抗原抗体反応させた。ブランクは反応液のみのウェルとした。反応終了後、洗浄液で4回洗浄し、各ウェルにホースラディッシュペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社製)を反応液で2000倍希釈した二次抗体溶液を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置して抗原抗体反応させた。反応終了後、このプレートを洗浄液で4回洗浄し、ペルオキシダーゼの基質としてテトラメチルベンジジン溶液(以下、「TMB溶液」という、BIOFX社製)を100μlずつ 加え、常温で30分間反応させ、発色させた。プレートに反応停止液(BIOFX社製)を100μlずつ 加えて反応を停止させた後、TMB分解(実施例4参照)によって増加する波長450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダーSK−603(登録商標)(生化学工業株式会社販売)で測定した。抗体の反応性は、Bi−NAHに対する各クローン培養上清液の吸光度からブランクの吸光度を減算した吸光度差(以下、吸光度差と記載する)で評価した。
このように、当該NAH抗原を免疫し、ハイブリドーマ選択及びモノクローナル化を経て、NAHに対する抗体を産生する3クローン(クローン名:NAH33、NAH43、NAH46)を樹立した。
[実施例3] モノクローナル抗体の精製
(1)腹水採取
各クローンの腹水化はプリスタン処理を行った3匹のBALB/Cマウス(15週齢メス 日本チャルズリバー社製)を用いた。各マウスの腹腔へ5×106個の細胞を移植し、10日目から2数回にわたり20日目まで腹水を採取した。各3クローン(NAH33、NAH43、NAH46)の服水採取量はそれぞれ、20ml、26mlと40mlであった。セルロース・アセテート膜電気泳動分析(ニトロセルロース膜(SERECA-V),60mMバルビタールBuffer(pH8.6),1mV/cm(幅),ニグロシン染色)を用いて採取した腹水の抗体含量を評価した。
(2)抗体精製
抗体のアイソタイプを常法に従い試験した結果、3種類の抗体のアイソタイプは何れもIgM κ-chainであったことから、HiTrap IgY Purification HPカラム(5ml,アマシャム・バイオサイエンス社製)を用いたクロマトグラフィで抗体を精製した。具体的には、マウス腹水を結合緩衝液(20mMリン酸緩衝液、0.5MKSO4,pH7.5)にて透析し、0.45μmフィルターにてろ過した。ろ液を結合緩衝液で十分に置換した上記カラムに通液した。ODをモニタリングしながら値が0になるまで結合緩衝液でカラムを洗浄した後、溶出緩衝液(20mMリン酸緩衝液,pH7.5)を通液し、カラムに結合したタンパク質を溶出させた。溶出タンパク質部分を集め、50%飽和になるように硫酸アンモニウムを粉末で加え、タンパク質を沈殿させた。遠心処理にて沈殿を集めPBSにて十分に透析した。タンパク質濃度を測り純度検定を行った(A280,1%=13.0にて濃度換算、セルロース・アセテート膜電気泳動による純度検定)。その結果、精製抗体NAH33抗体、NAH43抗体及びNAH46抗体をそれぞれ、3.4mg、0.4mgと3.1mgずつ得た。
[実施例4] 精製モノクローナル抗体の特徴
方法
以後、NAH33抗体、NAH43抗体及びNAH46抗体について、各種抗原に対する反応性を、Bi−GAG固相化プレートを用いたELISA法で検討した。
参考例5で作製したBi−GAG固相化プレートを洗浄液で4回洗浄した後、各ウェルに、反応液Aで濃度を調製した試験抗体を含む溶液(以下、「試験抗体溶液」と記載する。)を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置して抗原抗体反応させた。ブランクは反応液Aのみのウェルとした。反応終了後、洗浄液で4回洗浄し、各ウェルにホースラディッシュペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社製)を反応液Aで2000倍希釈した二次抗体溶液を100μlずつ加え、これを常温で60分間静置して抗原抗体反応させた。反応終了後、このプレートを洗浄液で4回洗浄し、ペルオキシダーゼの基質としてテトラメチルベンジジン溶液(以下、「TMB溶液」という、BIOFX社製)を100μlずつ 加え、常温で30分間反応させ、発色させた。プレートに反応停止液(BIOFX社製)を100μlずつ 加えて反応を停止させた後、TMB分解によって増加する波長450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダーSK−603(登録商標)(生化学工業株式会社販売)で測定した。抗体の反応性は、Bi−GAGに対して試験抗体溶液を反応させた場合の吸光度から、試験抗体溶液の代わりにブランク(反応液A)を用いた場合の吸光度を減算した吸光度差(以下、吸光度差と記載する)を算出することにより評価した。なお、当該3種類の抗体の試験抗体溶液中の濃度については、各抗体のBi−NAHに対する反応性による至適濃度をあらかじめ検討し、特に断りのない場合、NAH33抗体は0.3μg/ml、NAH43抗体は0.8μg/ml、NAH46抗体は0.04μg/mlとした。ただし、図4中に記載の修飾GAGの試験においてはNAH33抗体は0.2μg/ml、NAH43抗体は0.5μg/ml、NAH46抗体は0.02μg/mlの濃度のものを使用した。
結果
1.各種ビオチン標識GAG(Bi−GAG)に対する反応性
上記の方法により、3種類の抗体の各種GAG(NAH、ウシ腎臓由来のHS、HA、HEP、Ch、CS−A(S)、CS−A(W)、CS−B、CS−C、CS−D、CS−E、KS)に対する反応性を測定し、特異性を検討した。各種GAGに対する各抗体の反応性の結果を図2に示した。各抗体の反応性は、吸光度差により評価した(図2)。
NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46抗体はいずれも、Bi−NAH及びBi−HSに反応性を示し、Bi−HA、Bi−HEP、Bi−Ch、Bi−CS−A(S)、Bi−CS−A(W)、Bi−CS−B、Bi−CS−C、Bi−CS−D、Bi−CS−E及びBi−KSとは全く反応性を示さなかった。
2.NAHの類縁体及び修飾体との反応性
上記3種類の抗体の認識部位をより詳細に検討するために、NAHの類縁体及び修飾体を用いて、その反応性を検討した(図3)。NAH類縁体として、特公平7−53756に記載された方法で調製したマウスのEHS−HSを用いた。マウスのEHS−HSはHSと同様の基本骨格を持ち、D-グルコサミン残基のN位が約65%が硫酸化された分子である。
また、NAH修飾体として、前記のPDNAc−NAH60を用いた。各抗体の反応性は、Bi−NAHに対する反応性(吸光度差)を100%として、参考例2に記載した方法に準じて調製したビオチン標識EHS−HS(Bi−EHS−HS)、Bi−PDNAc-NAH60 に対する反応性を相対値として評価した。測定は、上記「1.各種ビオチン標識GAG(Bi−GAG)に対する反応性」に記載の方法と同様の方法により行った。さらに同様の方法により、参考例2の「2.化学修飾GAGのビオチン標識化」に記載のHEPを出発物質とした部位特異的な脱硫酸化体とNAHのN-アセチル化体(Ac-NAH)に対する反応性の試験を行った(図4)。ただし、図4にはNAHの反応性から算出した相対値ではなく、吸光度差を示す。
NAH33抗体はNAH及びウシ腎臓由来のHSと反応したが、EHS−HS及びPDNAc-NAH60とは反応しなかった。この結果は、NAH33抗体のNAH又はHSに対する反応においては、グルコサミン残基のアミノ基がアセチル化されていることが重要で、グルコサミン又はN−硫酸化されたグルコサミンは逆に前記反応を妨害する方向に働く可能性を示唆している。以上のことから、NAH33抗体の、NAH又はHSに対する反応における抗原決定基には、GlcNAcが含まれており、この構造が反応に重要であることが示唆された。
NAH43抗体はNAH、ウシ腎臓由来のHS及びPDNAc−NAH60と反応したが、反応性の強度はPDNAc−NAH60≧NAH>ウシ腎臓由来のHSだった。一方、マウスのEHS−HSとの反応性はNAHとのそれの2%未満だった。この結果は、NAH43抗体のNAH又はHSに対する反応においては、グルコサミン残基のアミノ基がアセチル化されていることは必ずしも重要ではないが、N−硫酸化されたグルコサミンは逆に前記反応を妨害する方向に働く可能性を示唆している。以上のことから、NAH43抗体の、NAH又はHSに対する反応における抗原決定基には、GlcNAc及びGlcNHが含まれていることが示唆された。
NAH46抗体はNAH、ウシ腎臓由来のHS及びPDNAc−NAH60と反応したが、反応性の強度はNAH>ウシ腎臓由来のHS=PDNAc−NAH60だった。一方、マウスのEHS−HSとの反応性はNAHのそれの5%程度にすぎなかった。この結果は、NAH46抗体のNAH又はHSに対する反応においては、グルコサミン残基のアミノ基がアセチル化されていることが重要で、グルコサミン又はN−硫酸化されたグルコサミンは逆に前記反応を妨害する方向に働く可能性を示唆している。以上のことから、NAH46抗体の、NAH又はHSに対する反応における抗原決定基には、GlcNAcが含まれており、この構造が反応に重要であることが示唆された。
3.各抗体の特異性の確認
上記3種類の抗体の反応特異性を確認するために、Bi−NAH、Bi−HS、Bi−PDNAc-NAH60をヘパリチナーゼ(生化学工業株式会社製)を用いて分解し、各抗体の反応性が低下又は消失するか否か検討した。ヘパリチナーゼはApplieDuo(登録商標)(最終希釈率20倍、生化学工業株式会社製)、0.15M 塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)、5mM 塩化カルシウム(和光純薬社製)、防腐剤として0.05%プロクリン300を含む50mM Tris(Sigma社製)塩酸緩衝液(pH7.3−7.7)(以下、「ヘパリチナーゼ希釈液」という)で50mU/mL調製した。上記実施例のように作製したBi−GAG固相化プレート及びBi−PDNAc-NAH60固相化プレートを洗浄液で4回洗浄し、希釈したヘパリチナーゼ溶液を100μL/wellで添加後、37℃、2時間静置することにより、固相Bi−GAG又は固相Bi−PDNAc-NAH60を消化した。消化後、プレートを同様に洗浄し、3種類の抗体を上記実施例に記載の方法に準じて添加、その後の操作を行い、反応性を測定した。反応性の評価は吸光度差とした。結果を図5(A)〜(C)に示す。
上記3種類の抗体の反応性は、ヘパリチナーゼ消化により、いずれのBi−GAG及びBi−PDNAc-NAH60対してもほとんど消失した。このことから、3種類の抗体が各GAG及びGAG修飾体に特異的に反応することが確認できた。
[実施例5] Bi−GAG濃度を変化させた場合の反応性
各種Bi−GAGの濃度を0.0〜1.0μg/mLの範囲内で変化させたことの他、実施例4と同様の方法により、それぞれの抗体の反応性の分析を行った。ここでは上記Bi−PDNAc-NAHとして、参考例1に記載したPDNAc-NAH30、PDNAc-NAH60、PDNAc-NAH120を用いた。結果を図6(a)〜(f)に示す。さらに、「2.化学修飾GAGのビオチン標識化」に記載の各種GAGに対する結果を、図7(a)〜(c)に示す。
[実施例6]
(1)ラット腎臓凍結切片を用いて免疫組織染色で染色性を検討した。
SDラット(日本チャールスリバー社、8週齢、雄)をジエチルエーテル(和光純薬工業社製)で麻酔し、腹部大動脈より放血、屠殺後、腎臓を摘出した。摘出した腎臓はOCTコンパウンド(三共マイルス社製)に包埋し、アセトン・ドライアイスで凍結させ、クリオスタット(ライカ社販売)にて厚さ6μmの切片を作製した。
作製した切片は2時間常温にて風乾後、冷アセトン(4℃)で固定を行い、さらに常温で1時間風乾した。その後、PBS(−)で洗浄し、0.1%アジ化ナトリウム(和光純薬工業社製)−0.3%過酸化水素水(和光純薬工業社製)を含む蒸留水中に常温で10分間浸漬し、内因性のペルオキシダーゼ活性を除去した後PBS(−)で洗浄し、0.1%カゼイン(和光純薬工業社製)を含むPBS(−)(以下「PBS」という)でブロッキングを常温で60分間行った。
PBS(−)で洗浄後、アビジン−ビオチンブロッキングキット(VECTOR社製)にて内因性のビオチンのブロッキングを行った。
その後PBS(−)で洗浄し、NAH33抗体、NAH43抗体、NAH46抗体をPBSでそれぞれ0.5μg/mL、2μg/mL、0.5μg/mLに希釈し、4℃で一晩反応させた。PBS(−)で洗浄後、10%ラット血清を含むビオチン標識抗マウスIgG+IgM(JACKSON社製)をPBSで500倍に希釈し、常温で30分間反応させた。PBS(−)で洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(ニチレイ社製)を常温にて30分間反応させた。PBS(−)で洗浄後DAB発色キット(Zymed社製)にて茶色の発色反応を行った。
発色後、PBS(−)に浸漬し反応を停止させ、常水にて5分間洗浄した。その後対比染色を行うためヘマトキシリン(DAKO社製)にて核染色(青色)を行った。常水にて5分間洗浄後、常法に従い脱水、透徹操作を行い封入した。
染色像を図8に示した。
NAH33抗体及びNAH46抗体は腎糸球体基底膜、血管内皮及びボーマン嚢に茶色の強い陽性反応(矢印)が見られたのに対してNAH43は腎糸球体基底膜と血管内皮に陽性反応(矢頭)が観察された。
(2)ヘパリチナーゼ消化による特異性の確認
上記方法にて切片を作製し、同様に冷アセトン固定(4℃)を行い風乾した。PBS(−)で洗浄後、ヘパリチナーゼI(生化学工業株式会社製)を1μM酢酸カルシウム(和光純薬工業社製)を含む20mM酢酸(和光純薬工業社製)緩衝液(pH7.0)(以下「緩衝液」という)に250mU/mlとなるように希釈し、37℃で2時間反応させた。対照として緩衝液のみを同様に反応させた。PBS(−)で洗浄後上記方法と同様に抗体を反応させ、DAB発色キット(Zymed社製)を用い茶色の発色反応を行った。
発色後、PBS(−)に浸漬し反応を停止させ、常水にて5分間洗浄した。その後対比染色を行うためヘマトキシリン(DAKO社製)にて核染色(青色)を行った。常水にて5分間洗浄後、常法に従い脱水、透徹操作を行い封入した。
染色像を図9に示した。
対照と比較してヘパリチナーゼ消化したものは、陽性反応(茶色)の消失又は減衰が認められ、HSを特異的に認識していることが確認された。
[実施例7] 抗体固相化プレートを用いたウシ腎臓由来のHSの検出
本発明抗体のNAH46抗体を用い、抗体固相化プレートを用いたウシ腎臓由来のHSの検出を行った。
1.方法
(1)抗体固相化プレートの作製
NAH46抗体をPBS(−)で20μg/mlに希釈し、この抗体溶液をマキシソープ(登録商標) 96ウェルマイクロプレートの各ウェルに50μlずつ加え、4℃で14〜18時間保存することにより、均一にコーティングした。このプレートをPBS(−)で2回洗浄し、ブロッキング物質としてApplieDuo(最終希釈率5倍)を、また防腐剤として0.05%プロクリン(登録商標)300を含むリン酸緩衝液(上記PBS(−)のうち、塩化ナトリウム、塩化カリウム不含、pH7.2〜7.5)を加え、常温で2時間静置した。静置後、ブロッキング溶液を十分に除去し、37℃で2時間乾燥させることにより、所望するNAH46抗体固相化プレートを得た。NAH46抗体固相化プレートは乾燥剤とともにアルミラミネート袋に封入し、冷蔵保存した。
上記におけるNAH46抗体を、JM403及び10E4(ともに生化学工業株式会社製)に代えることの他、同様にしてJM403固相化プレート及び10E4固相化プレートを作製した。
(2)HRP標識抗体溶液の調製
NAH46抗体溶液(1mg/ml)を、市販のHRP標識キット(同仁化学社製)により、所定の方法に従ってHRP標識した。得られたHRP標識抗体はそれぞれ、ApplieDuo(最終希釈率20倍)、pH7.3〜7.7 Tris−HCl(50mM)、NaCl(8g/リットル)、Tween20(0.05%)、防腐剤としてプロクリン300(0.05%)を含む溶液(以下、「測定用反応液」という)を用いて800倍に希釈し、HRP標識抗体溶液を得た。
上記におけるNAH46抗体を、JM403及び10E4に代えることの他、同様にしてJM403及び10E4のHRP標識抗体溶液を調製した。
(3)ウシ腎臓由来のHSの検出
上記(1)記載の抗体固相化プレートの各ウェルに、測定用反応液を100μlずつ添加した。続いて、このウェルに、測定用反応液で約10.0、5.0、2.5、1.25、0.63、0.31、0.16μg/mlに調製したウシ腎臓由来のHS溶液を20μlずつ添加し、4℃で18時間静置し、「固相化抗体―ウシ腎臓由来のHS」の複合体を形成させた(第一反応)。なお、測定用反応液のみ(ウシ腎臓由来のHS;0μg/ml)を添加したウェルをブランクとした。上記の第一反応の後、各ウェルを300μlの洗浄液(pH7.3〜7.7 Tris−HCl(50mM)、NaCl(8g/リットル)、Tween20(0.05%)、プロクリン300(0.05%)を含む溶液)で4回洗浄した。洗浄後、上記(2)で調製したHRP標識抗体溶液を、下記の表4に示す組み合わせとなる様、各ウェルにそれぞれ100μlずつ添加し、4℃で3時間静置し、「固相化抗体−ウシ腎臓由来のHS−HRP標識抗体」の複合体を形成させた(第二反応)。
各ウェルを上記と同様の方法により洗浄し、上記複合体中のHRPを検出するため、ペルオキシダーゼの基質としてTMB溶液を100μlずつ加え、常温(15〜25℃)で30分間静置して発色させた。続いて反応停止液(BIOFX社製)を100μlずつ加えて反応を停止させた後、TMB分解によって生じる分解産物の吸光波長である450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダーSK−603で測定した。ウシ腎臓由来のHSの検出は、ブランクの吸光度を減算した吸光度差で評価した。
2.結果
図10及び11に示した通り、固相化抗体としてNAH46抗体を用い、HRP標識抗体としてNAH46抗体、JM403、10E4のいずれかを用いた場合、及び、HRP標識抗体としてNAH46抗体を用い、固相化抗体としてJM403又は10E4を用いた場合のいずれによっても、ウシ腎臓由来のHSを検出可能であり、濃度依存的な反応性を示すことが明らかとなった。
[実施例8] フローサイトメトリー法を用いた細胞表面のHSの検出
本発明抗体のNAH46抗体を用い、フローサイトメトリー法(以下、FCMという)により細胞表面のHSの検出を行った。
1.方法
(1)細胞の調製
colo201細胞(ヒト大腸ガン由来、大日本製薬社販売)を培地に懸濁し、COインキュベーター(池本理化社製、5%CO存在下、37℃)で3日間培養した。上記において培地としては、RPMI 1640 with L-glutamine(SIGMA社製)に、非働化ウシ胎児血清(ICN社製)を10%の濃度となるように、またペニシリン−ストレプトマイシン(大日本製薬社製)をペニシリンGナトリウム、硫酸ストレプトマイシンとしてそれぞれ60IU/mL、60μg/mLの濃度となるように加えたものを用いた。得られた培養細胞は106個/mLとなるようにPBS(−)に懸濁した。この懸濁液の一部を分取し、50mU/mlのヘパリチナーゼI(生化学工業株式会社製)を含むPBS(−)に懸濁し、37℃で20分間、遮光下で反応させ、細胞表面のHSを消化した細胞を、HS陰性細胞とした。ヘパリチナーゼIを含まないPBS(−)で同様に処理した培養細胞を、HS陽性細胞とした。
(2)FCM
(1)で得られたHS陽性細胞及びHS陰性細胞を、それぞれPBS(−)を用いて遠心(1500rpm、5分、4℃、以下同様。)洗浄を2回行い、10μg/mLのNAH46抗体溶液に懸濁し、4℃で30分間、遮光下で反応させた。これらについて遠心洗浄を2回行い、PBS(−)で50倍に希釈したFITC標識抗マウスIgG+IgM(JACKSON社製)と、4℃で30分間、遮光下で反応させた。これらについて、さらに遠心洗浄を2回行った後、1mLのPBS(−)に懸濁し、フィルター付チューブ(ベクトンディッキンソン社製)でろ過した。得られた細胞懸濁液を、フローサイトメーター EPICS XL−MCL(ベックマンコールター社製)を用いて解析した。
なお、上記のNAH46抗体をマウスIgM(SIGMA社製)に変え、同様の処理・解析を行った結果を陰性の対照とした。以下、マウスIgMを陰性対照抗体という。
2.結果
HS陽性細胞に対して、陰性対照抗体は反応しなかった一方(図12(A))、NAH46抗体は反応し(図12(B))、colo201細胞表面に存在するHSを検出した。
HS陰性細胞に対して、陰性対照抗体、NAH46抗体は反応しなかった(図12(C))。このことからNAH46抗体は、colo201細胞表面に存在するHSを、特異的に認識していることが確認された。
以上のことから、本発明抗体によって、細胞表面に存在するHSを特異的に検出することができることが明らかになった。
産業上の利用の可能性
本発明の抗体は、NAH及びウシ腎臓由来のHSに対して反応するため、試料中のHS又はNAHの検出に好適に用いることができる。また、マウスのESH−HSと実質的に反応しないため、硫酸化度が低いHS等を特異的に検出することができる。また本発明の抗体は、HSのN−アセチルグルコサミンユニット又はグルコサミンユニットからなる非硫酸化部位を特異的に認識し得ることから、上記構造の特異的な検出に応用することができる。

Claims (10)

  1. N−アセチルヘパロザン及びウシ腎臓由来のヘパラン硫酸に対して反応し、マウスのエンジェルブレス-ホーム-スワーン腫瘍組織由来のヘパラン硫酸に対する反応性がN−アセチルヘパロザンに対する反応性の5%以下であり、ヘパリン及び脱硫酸化ヘパリン類に対して反応しない抗体。
  2. モノクローナル抗体である、請求項に記載の抗体。
  3. タンパク質とN−アセチルヘパロザンとを結合させてなる物質を抗原として免疫した哺乳動物由来のリンパ球と哺乳動物由来のミエローマ細胞との細胞融合により形成されたハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体である、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. リンパ球及びミエローマ細胞が、マウス由来である請求項に記載の抗体。
  5. 受託番号が、FERM BP-10534、FERM BP-10535又はFERM BP-10536であるハイブリドーマ
    により産生されるモノクローナル抗体。
  6. 受託番号が、FERM BP-10534、FERM BP-10535又はFERM BP-10536であるハイブリドーマ
  7. 試料中に存在するヘパラン硫酸又はN−アセチルヘパロザンの検出方法であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体を用いることを特徴とする検出方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体を少なくとも含む、試料中に存在するヘパラン硫酸又はN−アセチルヘパロザンの検出キット。
  9. 試料が、体液、細胞、組織及び細胞もしくは微生物の培養物からなる群から選択されるものに由来することを特徴とする、請求項に記載の検出方法。
  10. 試料が、体液、細胞、組織及び細胞もしくは微生物の培養物からなる群から選択される
    ものに由来することを特徴とする、請求項に記載の検出キット。
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