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JP4845319B2 - 優れた熱安定性を示すポリフェニルメタンをベースにした熱伝達流体 - Google Patents
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JP4845319B2 - 優れた熱安定性を示すポリフェニルメタンをベースにした熱伝達流体 - Google Patents

優れた熱安定性を示すポリフェニルメタンをベースにした熱伝達流体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の分野】
本発明はポリフェニルメタンをベースにした優れた熱安定性を有する熱伝導流体(fluides detransfert de chaleur)に関するものである。
本発明は特に、少なくとも1種のポリフェニルメタン組成物と、少なくとも1種のベンジル−1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの異性体異性体混合物および/または部分的に水素化されたポリフェニル組成物とを含む、高温で使用可能な熱伝導流体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱伝導流体は化学工業の処理工程における温度を厳密に制御するために広く用いられている。この熱伝導流体はいくつかの物理化学的特性を有していなければならない。
すなわち、熱伝導流体は非常に広い温度範囲、すなわち−30〜+400℃で使用できなければならず、熱伝導性に優れ、大気圧でも高沸点で、熱安定性に優れ、広い温度範囲、特に低温でも粘性が低く、使用中に機器の材料を腐食させず、耐酸化性が低いものでなければならない。さらに、熱伝導流体はリーク時に環境に対して危険性がほとんど無く、発火の危険がほとんど無いものでなければならない。
【0003】
これらの要求基準または判定基準の中で、熱安定性は特に重要な基準であり、熱伝導流体の製造メーカおよび生産者の最大の関心事である。
熱伝導流体が分解すると一般に熱伝導流体の引火点を下げる揮発性化合物と粘性を上げて熱伝達率を下げる重質化合物との両方が形成される。
上記の判定基準の全てを満たす化合物は多くの文献に記載されているが、室温から約350℃の温度範囲で大気圧下で用いることができる化合物は限られる。
市販の熱伝導流体のリストは下記文献に記載されている。
【0004】
【非特許文献1】
Commandeur et al 「Une nouvelle famille de fluids thermiques hautes performance (新規な高性能熱流体群)」(Inf. Chimie No. 376, 1996, 93-96)
【0005】
【非特許文献2】
Kirk-Othmer Encyclopaedia of Chemical technology 第4版、Vol. 12, 993〜1006頁
【0006】
この種の化合物の例としては特にジベンジルトルエンの異性体混合物、部分的に水素化したテルフェニル、ベンゼンアルキレートおよびビフェニルとジフェニルエーテルとの混合物が挙げられる。
【0007】
【特許文献1】
日本国特許第74,105,781号
1974年10月7日に公開された上記とでFurukawa Y. 達は主として下記式の化合物から成る熱伝導流体を記載している:
【0008】
【化11】
Figure 0004845319
(ここで、R1、R2、R3、R4、R5は水素原子および低級アルキル基、例えばCH3−等から選択され、nは1または2である)
【0009】
この化合物の熱安定性は最大340℃の温度で窒素圧下で評価されている。すなわち、例えば1−フェニル−1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)エタン(式(I)でR1=R2=R3=R4=H、R5=CH3、n=1)を14日間、15kg/cm2の窒素圧下で340℃で試験しても引火点、粘度および色に有意な変化は全く現れない。
【0010】
【特許文献2】
国際特許第WO98/50483号
上記文献では1,2,3,4−テトラヒドロ−5−(1,フェニルエチル)ナフタレンと1,2,3,4−テトラヒドロ−6−(1,フェニルエチル)ナフタレンとの混合物(Dow Chemical Company社からDowtherm RPの名称で市販されている)を他の熱伝導流体と組み合わせて流体の熱安定性を高めた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、ポリフェニルメタンをベースとする熱安定性に優れた熱伝導流体を発見した。
本発明の熱伝導流体は大気圧以上の圧力下で最高370℃、好ましくは320℃〜360℃の高温で使用でき、上記の判定基準を全て満たす。
【0012】
【課題を解決する手段】
本発明は最高370℃、好ましくは320℃〜360℃の温度で使用できる熱伝導流体を提供する。本発明の対象は、少なくとも一つの下記式の異性体混合物:
【0013】
【化12】
Figure 0004845319
および/または、部分的に水素化されたポリフェニルの混合物と、以下の(1)から(4)の中から選択される少なくとも一種のポリフェニルメタン組成物とからなることを特徴とする熱伝達流体にある:
(1)下記の式(A)の化合物と下記式(B)の化合物との混合物から成る組成物(I):
式(A)の化合物:
【0014】
【化13】
Figure 0004845319
(ここで、n1およびn2=0または1で、n1+n2=0の化合物(A)およびn1+n2=1の化合物(A)を含む)
式(B)の化合物:
【0015】
【化14】
Figure 0004845319
(2)下記の二つの化合物(C)と(D)の混合物から成る組成物(II):
化合物(C)は下記の式の異性体混合物:
【0016】
【化15】
Figure 0004845319
(ここで、P1およびP2 =0.1〜2で、P1+P2 ≦ 3である)
化合物(D)は下記式の異性体混合物:
【0017】
【化16】
Figure 0004845319
(ここで、p'1、p"1およびp4 = 0.1〜2で、p'2、p"2、p3およびp5 = 0または1で、p' 1p'' 1p' 2p'' 2+p3+p3+p4+p5≦2)
(3)下記二つの化合物(Al)および(A2)の混合物から成る組成物(III):
化合物(Al)は下記式の異性体の混合物:
【0018】
【化17】
Figure 0004845319
(ここで、m1およびm2=0、1または2で、ml+m2≦3)
化合物(A2)は下記式の異性体混合物:
【0019】
【化18】
Figure 0004845319
(ここで、q1およびq2 = 0、1または2で、q1+q2 ≦3)
ただし、(Al)および(A2)の化合物の少なくとも一つの化合物は3つのベンゼン核を有する異性体であり、
(4)(Al)および(A2)の2つの化合物と、以下の化合物(El)、(E2)または(E3)の中から選択される少なくとも一種の化合物とからなる組成物:
(El)は下記の式の異性体または異性体混合物:
【0020】
【化19】
Figure 0004845319
(ここで、r'1、r"1およびr4 =0、1または2、r'2、r"2、r3、r'3およびr5 =0または1、r' 1r" 1r' 2r" 2r" 3r' 3+r4+r5は2以下であり、R1およびR2は水素原子を表す)
【0021】
(E2)は (El)と同じ一般式の異性体または異性体混合物であるが、R1およびR2がメチルを表し、記号rがそれと同じ意味を有するsに代えられたもの
(E3)も(El)と同じ一般式の異性体または異性体混合物であるが、R1およびR2が相違し、水素原子またはメチル基を表し、記号rがそれと同じ意味を有するsに代えられたもの。
【0022】
本発明では、組成物(I)は2つの核を有する化合物(A)、(メチルベンジル)キシレン、ビス(メチルベンジル)キシレンとよばれる3つの核を有する化合物(A)を含むことができる。3つの核を有する化合物(A)はn1=1かつn2=0の化合物、n1=0かつn2=1のと化合物またはこれら2つの化合物の混合物にすることができる。このポリアリールアルカン組成物はn1=1かつn2=1の化合物を含んでいてもよい。
【0023】
本発明で使用可能な組成物(I)の例としてはエルフアトケム社からJARYTHERM AX 320の名称で市販の芳香核が2および3つの化合物を99重量%以上含むポリフェニルメタンが挙げられる。
本発明で使用可能な組成物(II)の例としてはエルフアトケム社からJARYTHERM BT 06の名称で市販の少なくとも70重量%のベンジルトルエン異性体混合物(p1=p2=0の化合物(C))と、少なくとも20重量%のジベンジルトルエン異性体混合物(p1=1、p2=0またはp1=0かつp2=1の化合物(C))と、ジトリルフェニルメタン(p1+p1+p2+p2+p3+p3+p4+p5=0の化合物(D))とから成るポリアリールアルカン組成物や、エルフアトケム社からJARYTHERM DBTの名称で市販の主として95〜98重量%のジベンジルトルエン異性体(p1+p2=1の化合物(C))と、2〜5重量%のジトリルフェニルメタンとから成るポリフェニルメタン組成物が挙げられる。
【0024】
これらの組成物は下記文献に記載の方法から得られる。
【特許文献3】
欧州特許第136,230−B1号
【特許文献4】
欧州特許第299,867−B1号
【特許文献5】
欧州特許第384,318−B1号
【特許文献6】
欧州特許第500,435−B1号
これらに記載の方法ではトルエンまたはキシレンを塩素化し、トルエンまたはキシレン(異性体混合物)或いはトルエンとキシレンの混合物或いはベンゼン或いはベンゼンとトルエンの混合物のいずれかでフリーデル−クラフト縮合を行い、反応終了後に未変換反応物を蒸留で直接除去し、次に、下記文献に記載のように、粗生成物を脱塩素処理する。
【0025】
【特許文献7】
欧州特許第306,398−B1号
例えば組成物(II)は特許文献3に記載の方法で得られる。この方法では、第1段階で50℃〜110℃の温度でフリーラジカル開始剤の存在下でラジカル反応によって塩素をトルエンと反応させ、第2段階で、第1段階で得られた反応生成物を50℃〜100℃の温度でFeCl3の存在下でトルエンと縮合反応させる。
組成物(I)は下記文献に記載の方法で得ることができる。この方法ではFeCl3の存在下で(メチル)塩化ベンジルをキシレンを用いて縮合する。
【0026】
【特許文献8】
欧州特許第0,50,435−B1
本発明では、式(Y)の異性体の混合物を5−ベンジル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンと6−ベンジル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの混合物にするのが好ましい。この異性体混合物はFeCl3等のフリーデル−クラフト型触媒の存在下で塩化ベンジルを1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンと反応させて得ることができる。
本発明はさらに、上記の式(Y)の異性体混合物および/または部分的に水素化されたポリフェニルと、組成物(I)、(II)、(III)または(IV)の中から選択される少なくとも一種のポリフェニルメタン組成物との混合物をべースとし、(Y)が下記の化合物(Y1)と(Y2)の混合物であることを特徴とする熱伝達流体を提供する:
(Yl)は下記式の(Y)のモノベンジル化物の混合物:
【0027】
【化20】
Figure 0004845319
(Y2)は下記式の(Y1)のモノまたはポリベンジル化物の混合物:
【0028】
【化21】
Figure 0004845319
【0029】
(ここで、yおよびz=0、1または2、y'、y"、z'、z''=0または1、y+zは0にはならず、y’+y'’+z’+z'’≧1、y+z+y’+y'’+z’+z'’≧3)
本発明の(Y)+(Y1)+(Y2)混合物中の化合物(Y)、(Y1)および(Y2)は下記重量組成を有する:
式(Y)の化合物 60〜90%、
式(Y1)の化合物 9〜35%、
式(Y2)の化合物0.1〜10%
【0030】
式(Y)の異性体混合物および式(Y)と化合物(Yl)および(Y2)の異性体混合物は無機ハロゲン化物またはプロトン酸の存在下でモル過剰の1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(テトラリン)を塩化ベンジルと反応させる方法によって得ることができる。この反応は30〜150℃、好ましくは50〜100℃の温度で実施することができる。
無機ハロゲン化物としては塩化第二鉄、三塩化アンチモン、塩化チタンまたは塩化アルミニウムが使用でき、反応物に対して50ppm〜1重量%、好ましくは100ppm〜0.5重量%の量を使用することができる。塩化第二鉄を使用するのが好ましい。プロトン酸を使うこともでき、例えば70〜95重量%濃度の濃硫酸を使用することができる。また、ゼオライト、その他の無機酸化物を使用することもできる。
【0031】
過剰なテトラリンを蒸留によって除去した後、無機ハロゲン化物またはプロトン酸を公知の方法で除去する。例えばプロトン酸を使用したときには水洗し、乾燥し、無機ハロゲン化物を使用したときには欧州特許EP 306398Blに記載のようにナトリウムメトキシドで処理する。
処理後の化合物は原料またはプロセス中に混入した痕跡量の不純物、さらには触媒残留物を除去するためにフラッシュ蒸発したり、分溜して化合物(Y)、(Y1)および/または(Y2)から成る留分を得る。これらの留分から所定組成の化合物(Y)、(Y1)および(Y2)の組成物を調製する。
化合物(Y)、(Y1)および(Y2)の特徴付け、各留分量はCPG解析と、基準としてテトラメチルシランを使用したCC14のプロトンNNR解析で行う。
テトラリンの代わりに、水素化されたナフタリン化合物の混合物を使用しても本発明の範囲から逸脱するものではない。この組成物は一般に80〜90重量%のテトラリンと、100重量%の残りはデカリンおよび未変成ナフタリンの混合物から成る。
【0032】
本発明で使用可能な部分的に水素化されたポリフェニルは部分的に水素化されたビフェニル、例えばフェニルシクロヘキサンまたは水素化したテルフェニル誘導体(オルト、メタ、パラ異性体)とクワトロフェニル(quaterphenyls)との80/20複合混合物である。これらは商業的に入手できる。
ポリフェニルメタン組成物としては式(I)または(II)の組成物を使用するのが好ましい。
本発明の熱伝達流体は上記の各化合物を単に混ぜることで得られる。また、この混合物はトルエン(またはベンジルトルエン)およびテトラリンに塩化ベンジルを反応させて得ることもできる。
本発明のその熱伝達流体はポリフェニルメタン組成物(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも一種を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%含むのが好ましい。
【0033】
100重量%の残りは式(Y)の異性体の混合物、または(Y), (Yl)および(Y2)の混合物、さらには部分的に水素化されたポリフェニル、式(Y)の異性体混合物または式(Y), (Yl)および(Y2)の化合物と部分的に水素化されたポリフェニルとの混合物にすることができる。
式(Y)の異性体混合物または式(Y), (Yl)および(Y2)の化合物の混合物および/または部分的に水素化されたポリフェニルとポリフェニルメタン組成物(I)、(II)、(III)または(IV)との混合物から成る本発明の熱伝達流体は、ポリフェニルメタン組成物を単独で使用した時に比べて熱的安定性がはるかに高くなるという利点がある。
以下、本発明の実施例を示す。
【0034】
【実施例】
使用した熱伝達流体
JARYTHERM DET(以下、DBTという)
ELF ATOCHEM社から市販。このDETは基本的に95〜98重量%のジベンジルトルエン異性体 [p1+p2=1の化合物(C)]と、2〜5重量%のジトリルフェニルメタンとから成り、大気圧下での沸点は390℃である。
JARYTHERM BTO6(以下、BTO6という)
ELF ATOCHEM社から市販。この構成は上記した。
JARYTHERM AX320(以下、AX320という)
ELF ATOCHEM社から市販。このAX320は2つおよび3つの核を有する芳香族化合物を99重量%以上含む。
【0035】
DOWTHERN RP(以下、RPという)
DOW CHEMICAL社から市販。このDOWTHERM RPは1,2,3,4-テトラヒドロ-5-(1- フェニルエチル)ナフタリンと、1,2,3、4-テトラヒドロ-6-(l-フェニルエチル)ナフタリンとの異性体混合物で、大気圧下での沸点は354℃である。
THERMINOL 66(以下、HTという)
MONSANTO社から市販。このTHERNINOL-66は部分的に水素化されたテルフェニル誘導体の混合物で、大気圧下での沸点は359℃である。
【0036】
2. 5- ベンジル− 1,2,3 4- テトラヒドロナフタレンと 6- ベンジル− 1,2,3,4 −テトラヒドロナフタレンの異性体混合物(以下、 BTHN という)および式( Y), (Yl) および (Y2) の化合物の混合物(以下、 PBTHN という)の製造方法
回転攪拌器、上昇コンデンサ、窒素吹込み器、温度計、滴下漏斗および加熱手段を備えた10リットルの反応器へ、5404g(40.94モルに対応)の純度98.5%の1,2,3,4-テトラヒドロ−ナフタリンを入れる。この化合物を窒素ブランケット下に、撹拌しながら120℃まで加熱する。コンデンサの出口は水中バブリング器へ接続する。
【0037】
6.7gの無水FeCl3を反応器に加えた後、3時間30分かけて1295.4g(10.24モルに対応)の99%純度の塩化ベンジルを反応器へ導入する(窒素ブランケット下、攪拌下)。1,2,3,4- テトラヒドロ−ナフタリン/塩化ベンジルのモル比は4にする。
塩化ベンジル導入後に放出され、バブリング器で回収されたHC1の量は9.14モルであった。反応混合物中に存在する塩化ベンジルの量は0.74重量%である。
反応を撹拌下および窒素ブランケット下で120℃で1時間、それから130℃で1時間継続した。放出され、バブリング器で回収されたHC1の総量は10.2モルであった。
【0038】
反応混合物中の塩化ベンジルの最終的な量は役0.2重量%である。窒素ブランケット下で室温まで冷却した後、反応器の内容物(6325g)を10リットルの丸底蒸留フラスコに入れる。この蒸留フラスコには高さ50cmの断熱カラムを取り付け、カラムには螺旋ガラスの充填材を入れ(カラムの理論効率段は約3)、単蒸留ヘッドとコンデンサを取り付けた。
未変化の1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンは40mm水銀柱圧力下の蒸留で回収した。この蒸留の大部分は130〜239℃の塔底温度と、115〜118℃の塔頂温度で4時間行い、蒸留の最後に142℃に上げる。
l,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの含有量が98.5%以上である4200gの無色液体を回収する。これは次ぎのリサイクルで再利用できる。
【0039】
蒸留残渣(2105g)は0.l4重量%以下の1,2,3,4-テトラヒドロ−ナフタリンを含む。この蒸留残渣から少量の残留有機塩素を除去する。この操作では反応器中で窒素ブランケット下に撹拌下に300℃で3時間、約21g(被処理化合物の1重量%)の粉末状CH3Onaで蒸留残渣を処理する。
処理後の化合物は上記で使用した蒸留装置で分留する。18mm水銀柱の圧力下で回収される218/220℃の沸点を有する1400gの留分の化合物は98.8重量%以上の6-ベンジル-1234- テトラヒドロナフタレン(65重量%)と、5-ベンジル-1,2,3、4-テトラヒドロナフタレン(35重量%)との混合物(以下、BTHNという)から成る。
これは大気圧下で353℃の沸点を示す無色の液体である。20℃での粘度は21mm2/sで、塩素含有量は1ppmである。
カラムから充填材を除き、圧力を水銀柱12mmまで下げて蒸留を継続すると、[表1]に示す各含有量(重量%)のモノ-、ジ-およびトリ-ベンジル-l,234- テトラヒドロナフタレンの留分が回収される。
【0040】
【表1】
Figure 0004845319
【0041】
この[表1]で、
BTHNは6-ベンジル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(65重量%)と5-ベンジル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(35重量%)との混合物であるモノベンジル-l,2,3,4-テトラヒドロ−ナフタリン(式Y)を表す。
DBTHNは式(Yl)の化合物を表す。
TBTHNは式(Y2)の化合物を表す(y+z+y‘+y’‘+z’+z‘’=3)
83重量部のBTHNと21重量部の留分2とを混合して得られる混合物は、約80重量%のBTHNと、19重量%の式(Yl)の化合物と、1重量%の式(Y2)の化合物(y+z+y‘+y’‘+z’+z‘’=3)とからなる混合物PBTHNが得られる。
この混合物(PBTHN)は大気圧下で359℃の沸点を有し、20℃での粘度は38mm2/sである。
【0042】
3. 熱伝達流体混合物の製造
熱伝達流体混合物は撹拌下のガラス反応器中で外界温度で上記熱伝達流体を単に混合することで作ることができる。
均一混合物が得られるまで混合物を撹拌する。得られた各混合物の20℃での粘度をチューブ粘度計を使用して求めた。下記の混合物を作った。
【0043】
【表2】
Figure 0004845319
【0044】
4.熱伝達流体の熱的安定度の評価器械と評価方法
操作方法
攪拌器、温度計および上昇コンデンサを備えたディーン-スターク(Dean-Starck)に接続された出口を備えた1.6リットルのステンレス反応器を用い、水容器に接続した。反応器には調節式の加熱マントルを付けた。
熱伝達流体または熱伝達流体混合物の熱的安定度の価値判断は、1kgの熱伝達流体または熱伝達流体混合物で実行した。すなわち、被評価化合物を反応器中に入れ、反応器を閉じ、少なくとも一種の希ガスのブランケットでカバーし、所定時間で試験温度まで上げた。
凝縮液を回収(Dean-Starckの底部)し、その量を時間の関数で求めた。ガスの容積は水容器から求めた。テストの最後に反応器の内容物の粘度を求めた。
【0045】
5.テスト
5.1. 熱安定性の比較評価
下記を360℃で500時間加熱した。
5a: DBTのみ(対照テスト)
5b:混合物1NC(DBT/RP-75/25)
5c:混合物2C(DBT/BTHN-75/25)
各テストでは1kgの化合物を用い、360℃で500時間、大気圧下で加熱した。結果は[図1]および[図2]に示してある。
[図1]は360℃で各化合物の凝縮液の量を時間(時)の関数で(kg/t)表したものである。凝縮液は主としてトルエン、キシレン、エチルベンゼンから成る。
[図2]は360℃で各化合物の放出気体の量を時間(時)の関数で(m3/t)表したものである。非凝縮ガス化合物は主としてCH4、H2および少量の軽質炭化水素から成る。[図1]および[図2]において各線は下記のものを表す:
【0046】
【化22】
Figure 0004845319
【0047】
[図3]は熱安定性評価テストを行った後の各化合物の20mm水銀柱圧力下での単蒸留曲線を表す。
[図3]において各線は下記のものを表す:
【0048】
【化23】
Figure 0004845319
【0049】
この結果から、2つの環および4つ以上の環を含む不均化化合物の含有量はBTHNで最小、RPで中間、DBTで最大であるということが分かる。
[表3]は初期粘度と、360℃、500時間後の粘度を示す。
【0050】
【表3】
Figure 0004845319
【0051】
[表4]は300℃の熱伝達流体中に入れたアントラセンを500時間後にGCで測定した重量(%)を示す。アントラセンはDBTの分解の「マーカー」である。
[表4]には300℃、500時間後の各化合物の色も記載してある。
【0052】
【表4】
Figure 0004845319
【0053】
5.2. 熱安定性の比較価値
360℃で5時間加熱後の下記化合物の熱安定性を比較した:
5a-DBTのみ(対照)
5d-混合物3C(DBT/HT、75/25)
テストは5.1に記載の価値基準で行った。
結果は[図4]および[図5]に示してある。
[図4]は360℃での凝縮液の量を時間(時)の関数で(kg/t)表したものである。
[図5]は360℃での放出気体の量を時間(時)の関数で(m3/t)表したものである。
[図4]および[図5]の各線は下記を表す:
【0054】
【化24】
Figure 0004845319
[表5]には、360℃、500時間後のアントラセンの重量(%)と、熱伝達流体の色と、20℃での粘度(mm2/s)とが示してある。
【0055】
【表5】
Figure 0004845319
【0056】
5.3. 熱安定性比較評価
360℃、493時間後の下記の熱安定性を比較した:
5a DBT単独
5f 混合物5C (DBT/PBTHN、75/25)
テストの評価は5.1と同じに行った。
結果は[図6]および[図7]に示してある。
[図6]は360℃での凝縮液の量を時間(時)の関数で表したもの(kg/t)。
[図7]は360℃での放出気体の量を時間(時)の関数で表したもの(m3/t)。
[図6]および[図7]で各曲線は下記を表す:
【0057】
【化25】
Figure 0004845319
【0058】
[図8]は熱評価テストを受けた各化合物の20mmHgの圧力下での単蒸留曲線を示す。
これらの曲線から軽質物および重質物の含有量はDBT単独およびDBT-RP(混合物1NC)で低くなることを示す。
[図8]の曲線は下記を表す:
【0059】
【化26】
Figure 0004845319
[表6]は360℃、493時間後のアントラセンの重量(%)と20℃での粘度(mm2/s)を表す。
【0060】
【表6】
Figure 0004845319
【0061】
6.熱安定度の比較評価
下記の熱安定度を比較評価した。
1)
6a ETO6単独
6b 混合物6C(BT06/BTHN、75/25)
2)
7a AX320単独
7b 混合物7C(AX320/BTHN、75/25)
【0062】
テストは温度計およびマノメータを備えた200mlのステンレス鋼のオートクレーブ中で370℃で160時間行った。テストされる熱伝達流体の50gを入れ、窒素ブランケットで被い、オートクレーブを閉じる。その後、オートクレーブを電気加熱された熱い砂浴中に入れ、制御することによって熱伝達流体の温度を370℃に一定に維持できる。
結果は[表7]に記載してある。
【0063】
【表7】
Figure 0004845319
【0064】
この表で1-環化合物とは軽質の芳香属化合物、例えばトルエン、キシレンおよびエチルベンゼンであり、>3化合物は3環以上の化合物である。
テスト6a/6bの外見、1-環式化合物、重質化合物およびアントラセンの生成およびテスト7a/7b外見、1-環式化合物、重質化合物および2,3-ジメチルアントラセンの生成、圧力から、BTHNのBTO6およびAX320に対する各熱的安定性の有意な効果が分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 360℃で凝縮液の量を時間(時)の関数で(kg/t)表したもの。
【図2】 360℃での放出気体の量を時間(時)の関数で(m3/t)表したもの。
【図3】 熱安定性評価テストを行った後の各化合物の20mm水銀柱圧力下での単蒸留曲線。
【図4】 360℃での凝縮液の量を時間(時)の関数で(kg/t)表したもの。
【図5】 360℃での放出気体の量を時間(時)の関数で(m3/t)表したもの。
【図6】 360℃での凝縮液の量を時間(時)の関数で表したもの(kg/t)。
【図7】 360℃での放出気体の量を時間(時)の関数で表したもの(m3/t)。
【図8】 熱評価テストを受けた各化合物の20mmHgの圧力下での単蒸留曲線。

Claims (13)

  1. 少なくとも一つの下記式の異性体混合物:
    Figure 0004845319
    および/または、部分的に水素化されたポリフェニルの混合物と、以下の(1)から(4)の中から選択される少なくとも一種のポリフェニルメタン組成物とからなることを特徴とする熱伝達流体:
    (1)下記の式(A)の化合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、n1およびn2=0または1で、n1+n2=0の化合物(A)およびn1+n2=1の化合物(A)を含む)
    と、下記式(B)の化合物:
    Figure 0004845319
    との混合物から成る組成物(I)、
    (2)下記の二つの化合物(C)と(D)の混合物から成る組成物(II):
    化合物(C)は下記の式の異性体混合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、P1およびP2 =0.1〜2で、P1+P2 ≦ 3である)
    化合物(D)は下記式の異性体混合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、p' 1p'' 1およびp4=0.1〜2で、p' 2、p'' 2、p3およびp5=0または1で、p' 1p'' 1p' 2p'' 2+p3+p3+p4+p5≦2)
    (3)下記二つの化合物(Al)および(A2)の混合物から成る組成物(III):
    化合物(Al)は下記式の異性体の混合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、m1およびm2=0、1または2で、ml+m2≦3)
    化合物(A2)は下記式の異性体混合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、q1およびq2 = 0、1または2で、q1+q2 ≦3)
    ただし、(Al)および(A2)の化合物の少なくとも一つの化合物は三つのベンゼン核を有する異性体であり、
    (4)(Al)および(A2)の2つの化合物と、以下の化合物(El)、(E2)または(E3)の中から選択される少なくとも一種の化合物とからなる組成物:
    (E1)は下記の式の異性体または異性体混合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、r'1、r"1およびr4 =0、1または2、r'2、r"2、r3、r'3およびr5 = 0または1、r'1+r"1+r'2+r"2+r"3+r'3+r4+r5は2以下であり、R1およびR2は水素原子を表す)
    (E2)は (El)と同じ一般式の異性体または異性体混合物であるが、R1およびR2がはメチルを表し、記号rがそれと同じ意味を有するsに代えられたもの(E3)も(El)と同じ一般式の異性体または異性体混合物であるが、R1およびR2が相違し、水素原子またはメチル基を表し、記号rがそれと同じ意味を有するsに代えられたもの。
  2. 式(I)のポリフェニルメタンの組成物の2および3つの芳香核を有する化合物(n1+n2=0およびn1+n2=1である式(A)の化合物)の含有量が99重量%以上である、請求項1に記載の熱伝達流体。
  3. ポリフェニルメタン組成物(II)が基本的に95〜98重量%のジベンジルトルエン異性体(p1+p2=1の式(C)の化合物)と、2〜5重量%のトリルフェニルメタンとから成る、請求項1に記載の熱伝達流体。
  4. ポリフェニルメタン組成物(II)が少なくとも70重量%のベンジルトルエンの異性体混合物(p1=p2=0の式(C)の化合物)と、少なくとも20重量%のジベンジルトルエン異性体(p1+p2=1の式(C)の化合物)と、ジトリルフェニルメタンとからなる、請求項1に記載の熱伝達流体。
  5. (Y)が下記化合物(Yl)と(Y2)との混合物のある請求項1に記載の熱伝達流体:
    (Yl)は下記式の(Y)のモノベンジル化物の混合物:
    Figure 0004845319
    (Y2)は下記式の(Y1)のモノまたはポリベンジル化物の混合物:
    Figure 0004845319
    (ここで、yおよびz=0、1または2、y'、y"、z'、z''=0または1、y+zは0にはならず、y’+y'’+z’+z'’≧1、y+z+y’+y'’+z’+z'’≧3)
  6. 式:(Y)、(Y1)および(Y2)の化合物の混合物で、各化合物が下記重量組成を有する請求項5に記載の熱伝達流体:
    式(Y)の化合物 60〜90%、
    式(Y1)の化合物 9〜35%、
    式(Y2)の化合物0.1〜10%
  7. 式:(Y)、(Y1)および(Y2)の化合物の混合物で、各化合物が下記重量組成を有する請求項6に記載の熱伝達流体:
    式(Y)の化合物 80重量%
    式(Y1)の化合物 19重量%
    式(Y2)の化合物 1重量%
    ただし、y+z+y’+y’’+z’+z’’=3
  8. ポリフェニルメタン(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも一つの組成物を少なくとも50重量%含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱伝達流体。
  9. ポリフェニルメタン(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも一つの組成物を少なくとも75重量%含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱伝達流体。
  10. 100重量%の残りの部分が式(Y)の異性体混合物か、化合物(Y)、(Y1)および(Y2)の混合物か、部分的に水素化されたポリフェニルである請求項8または9に記載の熱伝達流体。
  11. 無機ハロゲン化物の存在下で30〜150℃の温度で塩化ベンジルを過剰モルの1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンと反応させる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の化合物(Y)、(Y1)および(Y2)の混合物の製造方法。
  12. 過剰モルのl,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを除去した後に、過剰な無機ハロゲン化物を除去し、次いで、減圧下に分溜する請求項11に記載の方法。
  13. 無機ハロゲン化物がFeCl3である請求項11または12に記載の方法。
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