JP4846858B2 - ボロン含有ステンレス鋼鋳造用パウダーおよびボロン含有ステンレス鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
( )は溶融パウダー中成分、下線は溶鋼中成分を示す。
(1)前記パウダーフィルムは、鋳型側に、このフィルムの厚さの3%超〜15%未満の部分が結晶相を有するものであること、
(2)パウダーフィルム中の前記結晶相はカスピダインであること、
(3)溶鋼過熱度が5〜50℃、連続鋳造速度が550〜900mm/分の条件下で連続鋳造すること、
が、より好ましい実施形態である。
パウダー粘度は、0.5poise未満だと、鋳型/凝固シェル間への流入が過多となり、深いオシレ−ションを引き起こし、デプレッションの起点になる。逆に、2poiseを超えて高粘度になると、流入不足となってスティッキングを引き起こしやすくなる。いずれの場合も、ブレ−クアウトを起こすことがある。このことから、1300℃における粘度は、0.5〜2poiseとする。好ましくは、0.6〜1.6poise、より好ましくは、0.7〜1.5poiseである。
パウダーの凝固温度は、900℃未満だと、鋳型/凝固シェル間への流入が過多となり深いオシレ−ションを引き起こし、デプレッションの起点になる。一方、1200℃を超えると、溶融速度が低下して流入不足となり、スティッキングを引き起こすことがある。いずれの場合も、最悪はブレークアウトを招く。このことから、凝固温度は900〜1200℃とする。好ましくは、950〜1180℃、より好ましくは、1000〜1150℃である。
一般的に、酸化物、弗化物の混合溶融体は、銅板上で冷却されると、ガラス化する性質がある。したがって、溶融したパウダーは、溶鋼の熱により、鋳型/凝固シェル間へ流入し、その直後はガラス化していると推定される。そして、流入してフィルムを形成するが、やがて溶鋼の熱を受けて、鋳型側に結晶相が形成されるものと考えられる。この点、結晶相が形成されると、フィルム/鋳型間の均一な接触が実現されて、健全な表面品質の鋳片が得られる。本発明では、比較的低温の溶鋼からの熱で充分な結晶相を得る必要があり、結晶化挙動は極めて重要である。なお、該結晶相の組成は、図2に示す写真に明らかなように、EDS分析により基本的にはカスピダイン(3CaO・2SiO2・CaF2)であることを確認している。場合によって、ネフェリン(Na2O・Al2O3・2SiO2)やCaF2が含まれていても構わない。
CaO:30〜35mass%、SiO2:20〜30mass%、Na2O:10〜16mass%、Al2O3:8〜11mass%、B2O3:3〜5(未満)mass%、F:4〜10mass%
これらは、いずれも、上記した物性値ならびに結晶化挙動を達成するために必要な成分組成である。即ち、本発明においては、CaO、SiO2、Na2O、Al2O3、B2O3、Fについて、パウダーの凝固温度、粘度、結晶化挙動を適正なものにするため、それぞれ、上記の範囲内にする。
塩基度は、この値が1.0未満だと、ガラス化しやすくなるとともに、凝固温度、粘度ともに高くなる傾向にあり、物性値の制御が困難になる。一方、1.3以上の場合にも、凝固温度、粘度ともに高くなる傾向にあり、物性値の制御が困難になる。したがって、塩基度の範囲は、1.0以上1.3未満とした。好ましくは、1.1以上1.25以下、より好ましくは、1.15以上1.24以下である。
Cは、パウダーの溶融速度を制御するために添加されるものであり、本発明では極めて重要な成分である。このC量が1mass%未満では溶融が速すぎて過剰流入を引き起こす。一方、3mass%を超えると、溶融速度が遅過ぎて流入が追いつかなくなる。いずれの場合も、デプレッションや縦割れ、ブリ−ディングを引き起こす危険があり、最悪の場合、ブレ−クアウトする。そのため、1〜3mass%とした。好ましくは、1mass%以上3mass%未満、より好ましくは1.4mass%超2.8mass%以下である。
本発明方法に適用するボロン含有ステンレス鋼とは、C≦0.2mass%、Si≦3mass%、Mn≦mass5%、Cr:15〜25mass%、Ni:3〜20mass%、B:0.8〜1.5mass%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼であり、この成分組成を有するボロン含有ステンレス鋼を上記のパウダーを用いて鋳造する。特に限定されるものではないが、上記のボロン含有ステンレス鋼は、Mo:5mass%以下、Co:1mass%以下のうち、いずれか一方または両方を含有する鋼であってもよい。
a.鋳造速度(引抜速度):550〜900mm/分
引抜速度は、550mm/分未満ではスラブ表面品質が悪化し、一方、900mm/分を超えて速くした場合、凝固シェルが充分に成長せず、ブレ−クアウトを引き起す。そのため、引抜速度は、550〜900mm/分とする。好ましくは、600〜880mm/分、より好ましくは、650〜800mm/分とする。
b.溶鋼過熱度:5〜50℃
溶鋼過熱度(溶鋼の液相線温度とタンディッシュ内溶鋼温度の差として定義する)は、5℃未満では、連続鋳造用パウダーの溶融速度が低下し、充分な溶融パウダーを得ることができないことに加え、浸漬ノズル内で地金が凝固してノズル閉塞を招くことがある。一方、この温度が50℃を超える場合、連続鋳造機内で凝固が完了せず、中心割れとなることがある。したがって、溶鋼の過熱度は、5〜50℃とする。好ましくは、10〜45℃、より好ましくは、15〜43℃とする。
(2)連続鋳造用パウダー成分:C以外は、化学分析により定量分析した。表1中に示す各成分の合計が100mass%未満であるのは、これらの成分以外にも、MgO、Fe2O3等の不可避的不純物を含むためである。C含有量は添加した重量比から求めた。
(3)粘度:回転円筒法により測定した。即ち、鉄坩堝にパウダーを入れ、縦型抵抗炉内で溶解し、その後、鉄製のロ−タ−を挿入、回転することで粘度を測定した。
(4)凝固温度:上記粘度測定の際に、温度を降下していくと急激に粘度の値が立ち上がる点が求まる。この変曲点を凝固温度とした。
(5)パウダーフィルムの厚み:鋳込み後のパウダーフィルムをサンプリングし、厚みを測定した。
(6)結晶相の割合:鋳込み後のパウダーフィルムを埋め込み研磨し、SEM観察した。その観察から、結晶相の厚みを測定した。その一例を、図1および2に示す。
(7)スラブの表面あるいは内部欠陥:表面欠陥は外観観察により特定した。内部欠陥はスラブを切断して、断面のPT(浸透探傷)検査により割れの有無を確認した。
(8)研削および切断歩留まり:欠陥部の切断および研削を行った前後での重量を測定して、算出した。
a.比較例5:これらはパウダー中のCa0、SiO2、Na2O、Al2O3の含有量が本発明の範囲を外れており、それにともない塩基度C/Sの値も低く、さらに、B2O3を添加していないパウダーを用いた例である。そのため、粘度が6.2poiseと高く、凝固温度も1210℃と高かった。このため、パウダーが流入しすぎてフィルム厚みが、6.5mmと厚く、しかも完全にガラス質になってしまった。その結果、スラブはデプレッション、縦割れが発生した。
b.比較例6:パウダー中のB2O3添加量が少なかったため、フィルム厚みが3.6mmと厚くなり、さらに結晶相の割合も1%と低かった。そのため、デプレッションを引き起こした。
c.比較例7:パウダー中のB2O3含有量が8.3%と高いため、凝固温度が870℃と低すぎた。そのため、フィルム厚みが6.1mmと厚く、なおかつ、完全なガラス質となり、スラブはデプレッション、縦割れが発生した。
d.比較例8:パウダー中のCaO、SiO2、Na2O、Al2O3の含有量が本発明の範囲を外れており、それにともない塩基度C/Sの値も低い。粘度が0.35poiseと低く、かつ凝固温度も725℃と低かった。そのため、フィルム厚みが5.6mmと厚く、なおかつ、完全なガラス質となり、スラブはデプレッション、縦割れが発生した。
e.比較例9:パウダー中に骨材Cを多く添加した例である。パウダーの溶融が遅くなってしまい、フィルム厚みが0.3mmと薄くなってしまった。その結果スティッキングを引き起こしてしまった。
a.比較例10:引き抜き速度が1200mm/分と速かったため、凝固シェルが充分に成長せずにブレ−クアウトを引き起こし、完鋳できなかった。
b.比較例11:溶鋼過熱度が2℃と低かったため、パウダーの溶融が遅く、パウダーフィルムの厚みが0.2mmと薄くなってしまった。また、引き抜き速度も500mm/分と遅かったため、スティッキングを起こした。
c.比較例12:溶鋼過熱度が80℃と高かったために、連続鋳造機内で溶鋼が充分に固まらず、スラブの中心割れを引き起こした。研削歩留りは、それほど悪くなかったが、内部割れのため、圧延しても圧着せず、製品にならなかった。
Claims (5)
- 液相線温度が1320〜1380℃であるボロン含有ステンレス鋼の連続鋳造に際して用いるパウダーであって、Ca0:30〜35mass%、SiO2:20〜30mass%、Na2O:10〜16mass%、Al2O3:8〜11mass%、B2O3:3〜5(未満)mass%、F:4〜10mass%、骨材C:1〜3mass%を含有する成分組成を有し、かつ、塩基度が1.0≦C/S<1.3、1300℃における粘度が0.5〜2poise、凝固温度が900〜1200℃、かつ鋳型と凝固シェルとの間に流入した時に、0.5〜3mmの厚さのパウダーフィルムを形成する特性を具えることを特徴とするボロン含有ステンレス鋼用連続鋳造用パウダー。
- 前記パウダーフィルムは、鋳型側に、このフィルムの厚さの3%超〜15%未満の部分が結晶相を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のボロン含有ステンレス鋼鋳造用パウダー。
- パウダーフィルム中の前記結晶相はカスピダインであることを特徴とする請求項1または2に記載のボロン含有ステンレス鋼造用パウダー。
- C≦0.2mass%、Si≦3mass%、Mn≦5mass%、Cr:15〜25mass%、Ni:3〜20mass%、B:0.8〜1.5mass%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ液相線温度が1320〜1380℃であるボロン含有ステンレス鋼の溶鋼を、請求項1〜3のいずれか1に記載の連続鋳造パウダーを用いて連続鋳造することを特徴とするボロン含有ステンレス鋼の連続鋳造方法。
- 溶鋼過熱度が5〜50℃、連続鋳造速度が550〜900mm/分の条件下で連続鋳造することを特徴とする請求項4に記載のボロン含有ステンレス鋼の連続鋳造方法。
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