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JP4847066B2 - 印材の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、樹脂多孔体によって構成され、押圧により押印面上のインクで押印を行うための印材の製造方法に関するものである。
従来、この種の印材としては、表面に突出文字を設けた印面層と、この印面層の裏面側のインク吸収保持層とを有する多孔質のスタンプ用印材が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このスタンプ用印材には、印面層の表面にレーザー光によって複数のインク補給孔が穿設されている。さらに、印面層は表面層及びインク調節層からなり、それらが一体に成形され、インク吸収保持層と積層されている。
特開2000−211226号公報(第2頁及び第4頁)
ところが、特許文献1に記載のスタンプ用印材は、印面層とインク吸収保持層とが別体で成形されて積層されることから、両層を接合するための接着剤等が必要となる。その場合、インク吸収保持層に吸収されたインクが接着剤層で遮られ、印面層へのインクの浸透を円滑に行うことができないという問題があった。さらに、印面層には複数のインク補給孔が設けられており、インクはそのインク補給孔を通って印面(押印面)に達するため、インクの浸透が不均一になるおそれがある。
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、インクを十分に保持できるとともに、押印面へのインクの浸透を均一かつ円滑に行うことができる印材の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の印材の製造方法は、押印面を有する印面部と、インクを保持して印面部に供給するインク保持部とが樹脂多孔体により一体的に構成された印材の製造方法において、熱可塑性樹脂及び水溶性気泡形成材を含有する印面部用原料、並びに熱可塑性樹脂及び水溶性気泡形成材を含有するインク保持部用原料を加熱溶融し、加熱溶融した両原料を積層した状態で押出成形してシート状に一体化させた押出成形品を得る第1工程と、前記押出成形品に含有される前記水溶性気泡形成材を水により抽出除去する第2工程とを有し、前記印面部用原料に含有される前記水溶性気泡形成材の平均粒子径を5μm以上、50μm未満に設定するとともに、前記インク保持部用原料に含有される前記水溶性気泡形成材の平均粒子径を50μm以上、250μm以下に設定し、前記印面部用原料中における前記熱可塑性樹脂の割合を、前記インク保持部用原料中における前記熱可塑性樹脂の割合よりも多くなるように設定することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の印材の製造方法は、請求項1に係る発明において、前記第1工程においては、前記印面部用原料が供給される第1押出機と、前記インク保持部用原料が供給される第2押出機とが接続された押出成形装置を用い、前記第1押出機から押出される前記印面部用原料及び前記第2押出機から押出される前記インク保持部用原料の各押出量に基づく各層の厚さでシート状の押出成形品を押出成形することを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の印材の製造方法により製造される印材は、押印面を有する印面部と、インクを保持して印面部に供給するインク保持部とが樹脂多孔体により一体的に構成されている。このため、印面部とインク保持部との間に接着層等による接合を省略することができ、インク保持部から印面部へ、さらには押印面へのインクの浸透を均一かつ円滑に行うことができる
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、スタンプ部材10は、ほぼ有蓋筒状をなすホルダー11内に印材12が収容されるとともに、ホルダー11上端中央の突出部11aに設けられた雄ねじ部11bに球状をなす把持体13の雌ねじ部13aが螺合されて構成されている。図1及び図2に示す印材12は、下面が押印面14となった印面部15と、インクを保持して印面部15に供給するインク保持部16とによって構成され、それらが樹脂多孔体により一体的に構成されている。
印面部15の樹脂多孔体は平均セル径が5μm以上、50μm未満に設定されるとともに、インク保持部16の樹脂多孔体は平均セル径が50μm以上、250μm以下に設定されている。このように、樹脂多孔体の平均セル径をインク保持部16で大きく、印面部15で小さくなるように設定することで、インク保持部16ではインクの保持量を確保でき、印面部15ではインクの流れを抑えて適切なインク浸透量を得ることができる。ここで、平均セル径は、例えば後述する水溶性気泡形成材(粉体)の平均粒子径の値に相当する。
印面部15の平均セル径が5μm未満の場合には、印面部15におけるインクの流れが極端に抑えられ、印面部15の機能を果たすことができなくなる。一方、平均セル径が50μmを越える場合には、印面部15でのインクの浸透量が大きくなり過ぎて、押印面14からインク漏れを引き起こす。また、インク保持部16の平均セル径が50μm未満の場合には、インク保持部16から印面部15へのインクの供給量が足りず、印面部15でインク不足が生ずる。一方、250μmを越える場合には、インク保持部16でインクが十分に保持されず、インクが印面部15へ過剰に供給され、印面部15の押印面14からインク漏れが発生する。
さらに、印面部15は空隙率が62%以上、75%未満に設定されるとともに、インク保持部は空隙率が75%以上、85%以下に設定されている。このように、樹脂多孔体の空隙率をインク保持部16で大きく、印面部15で小さくなるように設定することにより、前記樹脂多孔体の平均セル径と相俟ってインク保持部16でインクの保持量を確保でき、印面部15で適切なインク浸透量を得ることができる。ここで、空隙率(%)は、例えば後述する印面部用原料又はインク保持部用原料中における水溶性気泡形成材、水溶性高分子化合物等の水溶性成分の割合に相当する。
印面部15の空隙率が62%未満の場合、印面部15におけるインクの流れが不足し、印面部15の機能を果たすことができなくなる。一方、空隙率が75%以上の場合、印面部15におけるインクの浸透量が過大となり、押印面14からインク漏れを引き起こす。また、インク保持部16の空隙率が75%未満の場合、インク保持部16から印面部15へのインクの供給量が少なく、印面部15でインク不足が生ずる。一方、空隙率が85%を越える場合には、インク保持部16で過剰量のインクが保持されず、印面部15へと流れ、印面部15の押印面14からインク漏れが発生する。
また、印材12の硬さは、インクの浸透性及び保持性、押印面14での押印の鮮明性、押印時の感触等の観点から、インク保持部16より印面部15が硬くなるように設定することが好ましい。具体的には、印面部15ではアスカーC硬度が40以上、60以下であることが好ましく、インク保持部16ではアスカーC硬度が5以上、40未満であることが好ましい。この硬さは基本的には、印面部15及びインク保持部16の骨格を形成する熱可塑性樹脂自体の物性値に大きく依存するため、目的とする印材12に応じて適切な熱可塑性樹脂が選択される。ここで、アスカーC硬度は、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定された硬度計(スプリング式硬度計であるデュロメータ硬度計の1種)によって測定された硬さを表す。
前記印面部15でのアスカーC硬度が40未満の場合には、印面部15が柔らかくなって押印時における変形量が大きく、インクの染み出しが過剰となって好ましくない。一方、アスカーC硬度が60を越える場合には、印面部15が硬くなってインクの染み出しが悪くなるとともに、押印面14での押印の鮮明性が低下する。また、インク保持部16でのアスカーC硬度が5未満の場合には、インク保持部16の強度が不足して好ましくない。一方、アスカーC硬度が40以上の場合には、インク保持部16が硬くなり過ぎてインクの浸透性が悪くなって好ましくない。
前記印面部15とインク保持部16との厚さの比は、印面部15におけるインクの保持量及び染み出し量とインク保持部16でのインクの保持量等のバランスから定められるが、1:2前後に設定されることが好ましい。
本実施形態の印材12は、次に示す押出成形工程及び抽出工程を組合せて製造する方法が好適である。すなわち、押出成形工程で印面部用原料を所定流量で押出すとともに、インク保持部用原料を所定流量で押出し、押出成形で一体化させた後、抽出工程で押出成形品を水に浸漬し、水溶性気泡形成材、水溶性高分子化合物等の水溶性成分を抽出除去し、乾燥することで得られる。印面部用原料及びインク保持部用原料としては、熱可塑性樹脂、水溶性気泡形成材、水溶性高分子化合物、必要に応じてさらに機能性物質等が用いられる。
前記押出成形工程で用いられる押出成形用の装置について説明すると、図3に示すように、溶融した印面材用原料を押出すための第1押出機17が押出成形装置18に接続されるとともに、溶融したインク保持材用原料を押出すための第2押出機19が押出成形装置18に接続されている。押出成形装置18では、第1押出機17から押出される印面材用原料と第2押出機19から押出されるインク保持材用原料との押出量に基づく各層の厚さでシート状の押出成形品20が押出成形されるようになっている。押出成形装置18では、例えば130〜150℃の温度条件で押出成形が行われるようになっている。
樹脂多孔体の骨格となる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性エラストマー(TPE)、オレフィン系樹脂等が用いられる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエーテルエステル系ポリウレタン、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー(T−CM)等が挙げられる。オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
水溶性気泡形成材は、水に可溶性であって、かつ前記熱可塑性樹脂が熱溶融する際にも熱的に安定な物質であれば何れも使用することができる。この水溶性気泡形成材を使用することで、押出成形品20を水に浸漬したとき、水溶性気泡形成材が水に溶解して溶け出しセルが形成される。そのため、水溶性気泡形成材の平均粒子径が実質上セルの平均セル径に相当する。従って、水溶性気泡形成材の平均粒子径は、印面部15を形成する場合には5μm以上、50μm未満、インク保持部16を形成する場合には50μm以上、250μm以下であることが好ましい。このような水溶性気泡形成材は、その除去跡がそのまま気泡(セル)となるものであり、該水溶性気泡形成材の粒径を所望の値とすることで前記印面部15及びインク保持部16における平均セル径(平均気泡径)を容易に制御することができる。
水溶性気泡形成材として例えば無機物しては、硝酸ナトリウム(NaNO)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化アンモニウム(NHCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)等が挙げられる。有機物としては、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、しょ糖、可溶性でんぷん、ソルビトール、グリシン又は各有機酸(リンゴ酸、クエン酸、グルタミン酸又はコハク酸)のナトリウム塩等が挙げられる。
次に、水溶性高分子化合物は水に溶解し、前記熱可塑性樹脂に対して粘度を低下させるための成分である。この水溶性高分子化合物としては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジアセテート等のポリエチレングリコール誘導体等が挙げられる。その他、水に溶解し、前記熱可塑性樹脂に対して粘度を低下させる働きをする化合物であれば如何なるものであっても使用可能である。
前記機能性物質としては、着色物質、蛍光物質、賦形用物質、抗菌性物質、消臭性物質等が挙げられ、発現させる機能に応じて適宜選択される。またその形状としては、前記熱可塑性樹脂中に混合できるものであれば何れの形状でも可能であるが、押出成形法によりシート状に一体化させるため、粉体状又は繊維状であることが好適である。
前記抽出工程では、押出成形品20内に分散されている前記水溶性気泡形成材を、溶媒である水に所定時間接触させることで抽出及び除去する工程である。この場合、押出成形品20全体を水に浸漬させる方法が最も効率が良い。水への浸漬時間は、押出成形品20の形状、厚さ等にもよるが、例えば24〜48時間に設定される。また、水の温度については特に限定されず、室温程度であってもよいが、前記水溶性気泡形成材の効率的な除去のために、30〜60℃の温水を利用してもよい。
前記熱可塑性樹脂とその他の成分との配合比については、印面部用原料中の熱可塑性樹脂の含有量が25体積%以上、38体積%以下であることが好ましく、インク保持部用原料中の熱可塑性樹脂の含有量が15体積%以上、25体積%未満であることが好ましい。従って、その他の成分の含有量は、印面部用原料中には62体積%以上、75体積%以下、インク保持部用原料中には75体積%を越え、85体積%以下であることが好ましい。この場合、印面部15の骨格を形成する熱可塑性樹脂の割合をインク保持部16の骨格を形成する熱可塑性樹脂の割合より多くなるように設定することで、印面部15での空隙率をインク保持部16での空隙率より小さくすることができる。印面部用原料中の熱可塑性樹脂の含有量が25体積%未満の場合には、骨格となる熱可塑性樹脂の割合が少なくなり過ぎて必要な強度が得られなくなる。一方、38体積%を越える場合には、熱可塑性樹脂の割合が多く、セルの形成が不十分となってインクの浸透性が低下する。また、インク保持部用原料中の熱可塑性樹脂の含有量が15体積%未満の場合には、連通されるセルの割合が多くなってインクの浸透性が高くなり過ぎる傾向を示して好ましくない。一方、25体積%以上の場合には、骨格を形成する熱可塑性樹脂の割合が多く、セルの形成が妨げられるため好ましくない。
前記水溶性気泡形成材の含有量は、25〜80体積%であることが好ましく、50〜70体積%であることがより好ましい。この場合、印面部15及びインク保持部16における前記空隙率を満たすために、印面部15における水溶性気泡形成材の含有量がインク保持部16における水溶性気泡形成材の含有量以下になるように設定されることが好ましい。水溶性気泡形成材の含有量が25体積%未満の場合には、3次元的に連通した多孔体構造が得られ難くなるばかりか、水溶性気泡形成材が熱可塑性樹脂に被覆されて抽出除去され難くなる。一方、80体積%を越える場合には成形性が低下する傾向を示す。
さらに、前記水溶性高分子化合物の含有量は、10〜25体積%であることが好ましい。水溶性高分子化合物の含有量が10体積%未満の場合には熱可塑性樹脂の滑りが悪化し、結果として成形性が低下してしまい、25体積%を越える場合には水溶性高分子化合物が過剰になるため、加熱時に混合物の粘度が低下してやはり成形が困難となる傾向を示す。
前記印面部用原料とインク保持部用原料とを加熱下に押出成形して十分に一体化させるために、印面部用原料とインク保持部用原料とが相溶性を示すことが好ましい。具体的には、印面部用原料とインク保持部用原料の主原料である熱可塑性樹脂の溶解度パラメータの差が1.0以下であることが好ましい。該溶解度パラメータの差が1.0を越えると、積層による面接合が加熱溶融によるアンカー効果等の物理的現象だけでなされ、十分に接合されない状態、すなわち容易に剥離が生じてしまう状態となる傾向にある。
ここで溶解度パラメータ(δ値)は、化合物の置換基の分子引力定数により、化合物の分子構造と密度とから算出される値である(黄 慶雲著「接着の化学と実際」21〜26頁、1962年発行、高分子刊行会)。また、分子引力定数については、ピー.エス.スモール(P.S.Small)により応用化学ジャーナル(Journal Applied Chemistry、第3巻71〜80頁、1953年発行)に記載されている。
さて、本実施形態の作用について説明すると、印材12は押印面14を有する印面部15と、インク保持部16とが樹脂多孔体により一体的に構成されている。すなわち、樹脂多孔体は、印面部用原料とインク保持部用原料とが押出成形され、一体化されてそれらの境界部が消失している。このため、その境界面を越えてセルが形成され、3次元連続気泡構造が得られる。従って、従来のように印面部15とインク保持部16との間に接着層等による接合が不要であり、インクはインク保持部16から印面部15へ、さらには押印面14へ円滑に浸透する。加えて、印面部15の平均セル径及び空隙率がインク保持部16の平均セル径及び空隙率より小さくなるように設定されていることから、インク保持部16ではインクを十分に保持でき、印面部15ではインクの流れを抑制することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態における印材12においては、押印面14を有する印面部15と、インクを保持して印面部15に供給するインク保持部16とが樹脂多孔体により一体的に構成されている。このため、インク保持部16から印面部15へ、さらには押印面14へのインクの浸透を均一かつ円滑に行うことができる。さらに、印面部15は平均セル径が5μm以上、50μm未満に設定されるとともに、インク保持部16は平均セル径が50μm以上、250μm以下に設定されている。かつ、印面部15は空隙率が62%以上、75%未満に設定されるとともに、インク保持部16は空隙率が75%以上、85%以下に設定されている。従って、インク保持部16ではインクを十分に保持できるとともに、印面部15ではインクの流れを抑えて適切なインク浸透量を得ることができる。
・ 前記印面部15はアスカーC硬度が40以上、50以下に設定されるとともに、インク保持部16はアスカーC硬度が5以上、40未満に設定されている。従って、印面部15は押印に適切な硬さを有するとともに、インク保持部16はインク保持に適切な硬さを発揮することができる。
・ 本実施形態の印材12は、押出成形工程と抽出工程とを経て印面部15とインク保持部16とが一体的に製造されるため、従来のように接着剤を用いて接着する方法や接着剤を使用せず積層してホルダー等で機械的に固定する方法に比べて、組立工数が少なくて済み、製造効率を向上させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
前記図3に示した製造装置を用いて印材12の製造を行った。印面部15及びインク保持部16を形成する原料の熱可塑性樹脂としてポリエーテル系ポリウレタンを用いた。従って、印面部15及びインク保持部16を形成する熱可塑性樹脂の溶解度パラメータの差は0であった。水溶性気泡形成材としてNaCl、水溶性高分子化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用いた。そして、表1に示す配合量(質量部)で印面部15及びインク保持部16を形成する各原料を調製した。NaClの平均粒子径(μm)を表1に併せて示した。
Figure 0004847066
そして、印面部用原料を第1押出機17に供給し、インク保持部用原料を第2押出機19に供給し、押出成形装置18で140℃の温度にて常法に従って押出成形を行い、インク保持部16の厚さが4mm、印面部15の厚さが2mmのシート状をなす押出成形品20を得た。
得られた押出成形品20を水に24時間浸漬した。その結果、押出成形品20中の水溶性気泡形成材であるNaCl及びポリエチレングリコールジアクリレートが水に溶出し、多数のセルが形成された。これを乾燥することにより、目的とする樹脂多孔体からなる印材12を得た。得られた印材12の平均セル径、空隙率及び硬さを以下に示す方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
平均セル径(μm):水溶性気泡形成材の平均粒子径をもって印材の平均セル径とした。
空隙率(%):水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物からなる水溶性成分の配合率を空隙率とした。
硬さ(アスカーC硬度):SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定された硬度計によって測定された硬さを示す。
以上のようにして製造された印材12を図1に示すホルダー11内に収容し、インクを染み込ませた後、押印操作を繰り返したところ、押印面14で良好に押印を行うことができた。しかも、インク保持部16には十分なインクが保持され、そのインクが印面部15へ導かれ、繰り返しの押印操作にもインクが切れることなく、押印することができた。
(実施例4及び5)
熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用い、NaClの平均粒子径、空隙率及び各成分の配合量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして印材を製造した。従って、印面部15及びインク保持部16を形成する熱可塑性樹脂の溶解度パラメータの差は0であった。そして、得られた印材12の平均セル径、空隙率及び硬さを実施例1と同様の方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
Figure 0004847066
表2に示したように、実施例4及び5では印面部15の平均セル径が20〜40μm、空隙率が70〜75%であり、インク保持部16の平均セル径が100〜200μm、空隙率が75〜80%であることから、印材12の押印状態が良好で、押印操作を繰り返してもインクの補充が十分で良好な押印状態が維持された。
(比較例1及び2)
比較例1では、実施例1において、平均粒子径の異なるNaClを用い、印材の平均セル径及びアスカーC硬度を変えた以外は、実施例1と同様にして印材を製造した。また、比較例2では、実施例2において、平均粒子径の異なるNaClを用い、印材の平均セル径及びアスカーC硬度を変えた以外は、実施例1と同様にして印材を製造した。そして、得られた印材の平均セル径及び硬さを実施例1と同様の方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
Figure 0004847066
表3に示したように、比較例1では印面部及びインク保持部の平均セル径が小さいことから、インクの浸透量が少なく印材の押印状態が不良で、押印操作を繰り返してもインクの補充がなされなかった。さらに、比較例2では印面部及びインク保持部の平均セル径が大きいことから、インクの浸透量が多く印材の押印時にインク漏れが生じ、押印操作を繰り返してもインクの漏れが止まらなかった。
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ 印面部15又はインク保持部16を、平均セル径又は空隙率の異なる複数の層で形成することも可能である。この場合、印面部15又はインク保持部16を一層目的に適うものとすることができる。
・ 印面部用のシートとインク保持部用のシートとをそれぞれ成形し、加熱プレス成形法で積層一体化した後、水溶性気泡形成材等の水溶性成分を抽出除去して印材を製造する方法を採用することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記樹脂多孔体は、少なくとも熱可塑性樹脂及び水溶性気泡形成材を含有する印面部用原料、及び少なくとも熱可塑性樹脂及び水溶性気泡形成材を含有するインク保持部用原料を加熱溶融し、押出成形してシート状に一体化させた後、水により少なくとも水溶性気泡形成材を抽出除去して得られるものであることを特徴とする印材。このように構成した場合、印面部用原料とインク保持部用原料とを溶融し、押出成形した後抽出操作を行うという簡単な方法で樹脂多孔体を得ることができる。
(2) 前記水溶性気泡形成材の含有量は、印面部における水溶性気泡形成材の含有量がインク保持部における水溶性気泡形成材の含有量以下となるように設定されることを特徴とする印材。この場合、印面部における空隙率をインク保持部における空隙率より小さくすることができる。
(3) 前記印面部用原料とインク保持部用原料における熱可塑性樹脂の溶解度パラメータの差が1.0以下であることを特徴とする印材。この場合には、印面部とインク保持部との一体化をより十分に行うことができる。
実施形態におけるスタンプ部材を示す断面図。 印材を一部切り欠いて示す斜視図。 印材を製造するための押出成形装置を示す概略説明図。
符号の説明
12…印材、14…押印面、15…印面部、16…インク保持部。

Claims (2)

  1. 押印面を有する印面部と、インクを保持して印面部に供給するインク保持部とが樹脂多孔体により一体的に構成された印材の製造方法において、
    熱可塑性樹脂及び水溶性気泡形成材を含有する印面部用原料、並びに熱可塑性樹脂及び水溶性気泡形成材を含有するインク保持部用原料を加熱溶融し、加熱溶融した両原料を積層した状態で押出成形してシート状に一体化させた押出成形品を得る第1工程と、
    前記押出成形品に含有される前記水溶性気泡形成材を水により抽出除去する第2工程とを有し、
    前記印面部用原料に含有される前記水溶性気泡形成材の平均粒子径を5μm以上、50μm未満に設定するとともに、前記インク保持部用原料に含有される前記水溶性気泡形成材の平均粒子径を50μm以上、250μm以下に設定し、
    前記印面部用原料中における前記熱可塑性樹脂の割合を、前記インク保持部用原料中における前記熱可塑性樹脂の割合よりも多くなるように設定することを特徴とする印材の製造方法
  2. 前記第1工程においては、前記印面部用原料が供給される第1押出機と、前記インク保持部用原料が供給される第2押出機とが接続された押出成形装置を用い、
    前記第1押出機から押出される前記印面部用原料及び前記第2押出機から押出される前記インク保持部用原料の各押出量に基づく各層の厚さでシート状の押出成形品を押出成形することを特徴とする請求項1に記載の印材の製造方法
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