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JP4851066B2 - 半導体素子の安定化処理方法 - Google Patents
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本発明は、半導体素子の特性を安定化させるために行われる安定化処理方法に関するものである。
メトロ・アクセス系と呼ばれる中距離や、LANなどの短距離における高速光伝送の信号光源として、面発光レーザのニーズが高まっている。このような高速光伝送には、ギガヘルツオーダの変調帯域が要求される。また、特に中距離以上の伝送においては、光ファイバ中の波長分散による信号劣化を避けるために、シングルモードもしくはシングルモードに近い状態で発振する面発光レーザが必要である。
ところで、一般に半導体レーザ素子をはじめとする半導体素子の製造工程においては、素子の選別や、光出力などの素子特性の初期変動を吸収して安定化させることを目的として、高温において素子を一定時間動作させるバーンインと呼ばれる処理がよく行われている。
このバーンインは、米国Telcordia社の光半導体デバイス信頼性保証仕様の記載に基づいて行われることが多い。このTelcordia社の仕様では、非特許文献1中の4.2.3節に、半導体レーザ素子のスクリーニング(不良素子選別)を行う条件として、100℃において150mAの一定電流を流すことによる一定電流制御を96時間行ったのちに、70℃において最大定格光出力における一定光出力制御を96時間行うという条件が記されている。
また、面発光レーザに対してバーンインを行っている例として、非特許文献2に示されるように、100℃において15mAの電流を20時間流す等の条件が記されている。
Telcordia GR-468-CORE, "Generic reliability assurance requirements for optoelectronic devices used in telecommunications equipment", Issue 1, USA, Dec. 1998 Robert A.Hawthorne III, James K.Guenter, David N.Granville, Mary K.Hibbs-Brenner and Robert A.Morgan, ’’Reliability study of 850 nm VCSELs for data communications’’, Reliability Physics Symposium, 34th Annual Proceedings, IEEE International, 1996, p.203 -210
ところで、上述したように、高速光伝送の光源としての面発光レーザ素子においては、十分な変調帯域を得ることが必要であるが、変調帯域は素子容量と素子抵抗値の積で決まるために、特に、シングルモード素子や、マルチモード素子であっても電流注入領域がシングルモード径に近い素子(以下、擬シングルモード素子と呼ぶ)においては素子抵抗の大きいことがボトルネックとなっていた。
これに関し、本発明者らは、通常、素子選別や光出力安定化等を目的として行われているバーンインが、面発光レーザの素子抵抗値を低減させるための処理としても有効であることに着目した。
しかしながら、従来行われていたバーンイン条件は、面発光レーザに対しては十分と言えなかった。その理由の一つは、従来のバーンイン条件は、素子抵抗値の低減の観点から最適化されたものではないことである。また、他の理由として、特許文献1に示されているバーンイン条件は、ファブリ・ペロー型を初めとする一般の半導体レーザを想定したものであるという点が挙げられる。また、非特許文献2に示されたバーンイン条件は、面発光レーザの中でも電流が比較的広い面積に注入されるマルチモード型の面発光レーザを対象としたものであり、シングルモード型や擬シングルモード型の面発光レーザに最適な条件ではなかった。
このため、従来のバーンインで用いられている温度や電流値を採用した場合、面発光レーザの素子抵抗値を低減させるためには著しく時間がかかったり、著しく高い温度の設備が必要であるなどの問題があった。
以上に鑑み、本発明の目的は、適切な条件でバーンインを行うことにより、面発光レーザ素子の素子抵抗値を低減し、変調帯域の広い面発光レーザ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、特に面発光レーザにおいて、素子抵抗値を効果的に低減させることのできるバーンイン条件として、電流密度を20KA/cm2以上、50KA/cm2以下とすることが有効であることを見出した。
本発明の第1の態様に係る面発光レーザの安定化処理方法は、一定の処理温度のもとで、電流狭窄構造を持つシングルモード型又はシングルモード型の面発光レーザの活性領域(電流注入領域)に所定の電流密度で所定の時間だけ電流を供給することにより、前記面発光レーザの素子抵抗値を低減し安定化処理を行う安定化処理方法であって、前記電流注入領域の面積は30μm 以下であり、前記面発光レーザは素子の平均熱抵抗が2000K/W以上であり、前記処理温度は70℃から100℃であり、前記所定の電流密度30kA/cm以上、50kA/cm以下であり前記面発光レーザの素子抵抗値を低減し安定化するために必要な時間である前記所定の時間が100時間以下10時間以上となるように、前記温度と前記所定の電流密度が決定されることを特徴とする。
このように、従来よりも高い電流密度でバーンインを行うことによって、100℃以下の比較的低い温度において、100時間以下の短時間で素子抵抗値を低減させることができる。
特に、面発光レーザは厚い多層膜反射鏡を有するため、ファブリ・ペロー型などの他の一般的なレーザに比べて熱抵抗が大きく、その値は2000K/W以上である。このように熱抵抗が大きいことにより、電流注入に伴って発生する熱量が大きいため、周囲温度が高くなくても、素子の温度上昇が大きくなり、バーンインの効果が十分に得られる。
上記のバーンイン条件は、特に、擬シングルモードとなる電流注入面積が50μm以下の素子において効果があり、中でも30μm以下の素子において顕著な効果を発揮する。
本発明によれば、面発光レーザ素子のバーンインを比較的低い温度で短時間で行うことができ、素子出荷前の検査におけるコストを大幅に下げることができる。また、バーンインによって面発光レーザの素子抵抗値を低減・安定化させることができるため、高速光伝送に適した変調帯域の広い面発光レーザ素子を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
用いる面発光レーザ素子は、酸化型の電流狭窄構造を持ち、電流注入面積が50μm以下と小さな擬シングルモード素子またはシングルモード素子とする。
バーンインに使用する装置は、通常用いられる装置でよい。すなわち、温度制御装置により雰囲気温度が一定に保たれる恒温槽および通電装置を使用し、恒温槽内に、バーンインを行う素子が素子形状等に応じた適切なホルダー等を用いて設置されるものとする。この恒温槽の温度をバーンイン温度と定義する。
素子抵抗値は、非オーム性にもとづき印加電圧により変化するため、面発光レーザ素子への印加電圧を変えて微分抵抗値が最小となったときの微分抵抗値として定義する。
バーンインにおける時間経過に伴って素子抵抗値は減少し、やがて安定化する。素子抵抗値が安定化した状態を以下のように定義する。図1は、バーンインに伴う素子抵抗値の変化を曲線Cとして表した模式図である。横軸は時間を表し、縦軸は素子抵抗値を表す。素子抵抗値は、バーンイン中に時間と共に初期値Rintから徐々に低下していき、十分な時間が経過すると、飽和値Rsatに達する。ここで、時間に関してΔtだけ離れた2点P、Qを曲線Cに沿ってとった場合に、点P、Qに対応する素子抵抗値の差が測定誤差以下、たとえばRintの1%以下などとなったとき、点Qにおいて素子抵抗が安定化したとみなし、点Qに対応する時間を素子抵抗安定化時間と定義する。
図2に、上記の面発光レーザ素子について、バーンインの電流密度と素子抵抗安定化時間を、恒温槽の温度をパラメータとして示す。この知見は、本発明者らが多数の実験を行った結果得られたものである。電流密度は、供給する電流値を面発光レーザ素子の電流注入面積で割った値である。電流注入面積については、後述する。
ここで、従来バーンイン条件として採用されていた電流値を、擬シングルモード型の面発光レーザ素子においての電流密度に換算すると、10〜20kA/cm程度となる。この程度の低電流密度領域では、バーンイン温度をたとえば100℃以上の高い温度とし、かつ100時間以上の長時間のバーンインを行わなければ、素子抵抗値の安定化は不可能であることが、図2より明らかである。
これに対し、電流密度を20kA/cm以上とすれば、より低いバーンイン温度またはより短いバーンイン時間で、素子抵抗を安定化させることができる。特に、電流密度を30kA/cm以上とすると、100℃以下、100時間以下のバーンインで素子抵抗の安定化が得られ、バーンインに要するコストを低減させる上で有利である。
また、電流密度をあまり大きくした条件でバーンインを行うと、面発光レーザ素子の劣化を招くため好ましくない。本発明者らは多数の実験による検討の結果、バーンイン温度によらず、電流密度は50KA/cm以下とすることが望ましいことを見出した。
このように、低い温度においてバーンインを行うことが可能であるのは、面発光レーザが多層膜反射鏡を有するために素子の熱抵抗が大きいことに起因するものと考えられる。すなわち、電流注入による発熱の寄与が大きいため、周囲温度が低くても効果が得られるのである。一般に、AlGaAsを多層膜反射鏡に用いた面発光レーザの熱抵抗は2000〜10000K/Wである。したがって、面発光レーザ以外の半導体レーザや半導体素子においても、同程度以上の熱抵抗を有するものであれば、本発明のバーンイン方法が適用可能である。
次に、上記の最良の実施形態について、具体例を実施例1〜3に示す。
[実施例1]
まず、バーンインを行う面発光レーザの構造として、電流注入領域付近の縦断面図を図3に示す。面発光レーザ素子は、p型GaAs基板1上にp型Al0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1Asからなる下部多層膜反射鏡2、GaAs/AlGaAs活性層を含む共振器3、n型のAl0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1Asからなる上部多層膜反射鏡4が積層されている。また、少なくとも上部多層膜反射鏡4を含むメサポスト5が形成されている。下部多層膜反射鏡2における共振器3に近い一部の層は、Al0.9Ga0.1Asに替えてAlAsで構成され、このAlAs層は、酸化処理によってメサポスト5の中心付近の領域を囲む円環状のAlO層6に酸化されている。すなわち、メサポスト5の中心の非酸化のAlAs領域の基板に平行な方向の断面形状は略円形状であり、該非酸化のAlAs領域をここでは酸化アパーチャと呼び、その基板に平行な方向の断面の直径をdoxとする。シングルモード発振を得るため、本実施形態においてはdox=5〜6μmとした。したがって、酸化アパーチャ面積は20〜30μmとなる。この酸化アパーチャ面積が電流注入面積となる。
メサポスト5の上部には、電流を注入するための上部電極7がリング状に設けられており、その内側が光出射部8を形成している。また、上部電極7に接続されたパッド電極9が、絶縁膜10を介して面発光レーザ素子上面に形成されている。p型GaAs基板1の裏面には下部電極11が形成されている。
上のような面発光レーザ構造をオンウエハで作製したのち、個々のチップに切出し、通常用いられるキャンパッケージにマウントし、バーンインを行う。バーンイン温度をここでは70℃とする。そして、40時間以内のバーンインで素子抵抗安定化の目的を達成するため、図2にもとづいて、電流密度は40kA/cmとする。面発光レーザ素子の酸化アパーチャ面積を、赤外線顕微鏡などの手段により求め、上記の電流密度が得られるように電流値を設定すればよい。
なお、本発明は、面発光レーザの構造によらず適用可能である。すなわち、電流注入面積が50μm以上の面発光レーザ素子であってもよく、また、非酸化のAlAs領域の基板に平行な方向の断面形状は略円形状に限らず、例えば菱形であってもよい。また、イオンインプラ型など、酸化型以外の電流狭窄構造を持つ面発光レーザ素子であってもよい。また、活性層を構成する材料や、半導体基板の導電型にもよらず適用できることは言うまでもない。
[実施例2] 実施例1では、70℃において面発光レーザ素子のバーンインを行った例を示したが、このような高温の設備がなくても、本発明によれば素子抵抗の安定化を実現することが可能である。たとえば25℃の室温において、50kA/cmの電流密度を与えるとすれば、100時間の通電で、素子抵抗の安定化が可能であることが図2より導かれる。
[実施例3] 実施例1では、キャンパッケージにマウントした状態で面発光レーザ素子のバーンインを行った例を示したが、本実施例3で説明するように、バー状のチップでバーンインを行ってもよい。
本実施例3では、図3に示したような面発光レーザ素子をオンウエハで作製する際に、ウエハ上面に、各素子のパッド電極を相互につなぐ素子間接続電極を設けておくことが特徴である。パッド電極や素子間接続電極のパターンの例を図4〜6に示す。なお、これらの図はウエハの上面図であり、図1と同一構成要素には同一の符号を付してある。ウエハ上の各面発光レーザ素子は、リング状の上部電極7に囲まれた光出射部8を有し、上部電極7に接続されたパッド電極9と、これらのパッド電極9を素子間で相互につなぐ素子間接続電極12を有している。
素子間接続電極12を構成する材料は、十分な導電性を有する材料であれば種類を問わないが、面発光レーザ素子の信頼性、素子間接続電極自体の信頼性、作製上の利便性などを考えると、パッド電極9と同一の材料とすることが好ましい。また、素子間接続電極12の作製方法は、蒸着法やめっき等の通常用いられる方法でよい。
通電用の素子ホルダーとして、素子間接続電極12の配置に合わせた位置に通電用電極を備えたものを用意することによって、複数素子単位で通電を行うことができる。たとえば、図4のパターンでは、一つの素子間接続電極で4個の素子が接続されているので、素子4個単位で通電できる。これにより、キャンパッケージの場合に比べてバーンイン実施に伴う作業コストが低減される。
バーンインはウエハ単位で行うこともできるし、単一または複数のチップ状態で行うこともできる。たとえば、図4の点線dで囲まれたような矩形領域を切り出し、2×5個の素子からなるチップバーとしてバーンインを行ってもよい。チップバーに含まれる素子の個数は、適宜選択すればよい。このようにチップバー状態でバーンインを行うことにより、光を用いた並列インターコネクション技術などの分野で重要となりつつある面発光レーザを用いた一次元アレーや二次元アレーの製造を行う場合にも、アレー単位でのバーンインを行うことができ、また、不良アレー素子の選別工程を兼ねることもできるなどの点で有利である。
本実施例3において、バーンイン条件は、既に説明したように、1素子当り30kA/cm以上、50kA/cm以下の範囲において、図2にもとづいてバーンイン温度と時間を決定するものとする。
面発光レーザ素子のバーンイン中の素子抵抗値の変化を説明する模式図である。 本発明の実施形態に係るバーンイン条件を示したグラフである。 本発明の実施例1に係る面発光レーザ素子の構造を示す縦断面図である。 本発明の実施例3に係る面発光レーザ素子を示す上面図である。 本発明の実施例3に係る面発光レーザ素子を示す上面図である。 本発明の実施例3に係る面発光レーザ素子を示す上面図である。
符号の説明
1 p型GaAs基板
2 下部多層膜反射鏡
3 共振器
4 上部多層膜反射鏡
5 メサポスト
6 AlO
7 上部電極
8 光出射部
9 パッド電極
10 絶縁膜
11 下部電極
12 素子間接続電極

Claims (4)

  1. 一定の処理温度のもとで、電流狭窄構造を持つシングルモード型又はシングルモード型の面発光レーザの活性領域(電流注入領域)に所定の電流密度で所定の時間だけ電流を供給することにより、前記面発光レーザの素子抵抗値を低減し安定化処理を行う安定化処理方法であって、
    前記電流注入領域の面積は30μm 以下であり、
    前記面発光レーザは素子の平均熱抵抗が2000K/W以上であり、
    前記処理温度は70℃から100℃であり
    前記所定の電流密度30kA/cm以上、50kA/cm以下であり
    前記面発光レーザの素子抵抗値を低減し安定化するために必要な時間である前記所定の時間が100時間以下10時間以上となるように、前記温度と前記所定の電流密度が決定されることを特徴とする面発光レーザの安定化処理方法。
  2. 前記電流狭窄構造は、酸化部分と非酸化部分で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザの安定化処理方法。
  3. 前記安定化処理を、前記面発光レーザを一つ又は複数含んだチップ状態で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の面発光レーザの安定化処理方法。
  4. 前記安定化処理を、前記面発光レーザを一つ又は複数含んだウエハ状態で行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の面発光レーザの安定化処理方法。
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