以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔傾斜回転型露光装置の構成例〕
まず、本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられる傾斜回転型露光装置の構成例について概説する。
図1は露光装置の一例を示す構成図である。この露光装置10は、主として、光源12、照射光学系14、液浸容器16、透過補正板18及びステージ20から構成され、光源12から出た光を照射光学系14によって図の下方に平行光として導き、傾斜回転しているステージ20上の露光マスク22に照射して、マスク裏面のレジスト(感光性材料)24を感光させる構成となっている。
ステージ20は、液浸容器16の中に配設されており、液浸容器16に液体(例えば、純水)を導入して液体中で露光を行う液浸露光と、気体中で露光を行う通常(ドライ)露光とを切り替えることが可能である。
また、ステージ20は、テーブル面26の面内回転が可能な回転機構と、テーブル面26の傾斜角(水平面に対する傾斜角、つまり、照射光の入射角)の調節が可能な傾斜(揺動)機構とを備えた傾斜回転ステージとなっている。
すなわち、ステージ20は、テーブル面26に垂直な回転軸28に取り付けられており、該回転軸(第1回転軸)28を中心に回転可能である。また、ステージ20の回転軸28は、テーブル面26に直交する鉛直面内で揺動し得る機構となっており、回転軸28の揺動位置によってテーブル面26の傾斜角を可変できる。さらに、この傾斜可能な回転軸28及びステージ20並びに液浸容器16の全体は、鉛直線と平行な回転軸30を中心に水平面内で回転可能となっている。なお、ステージ20を傾斜回転させる機構の具体的構造については後述する。
図2は、露光部の拡大図である。図示のように、露光マスク22は、透明基板(「透過基板」に相当)32の裏面側に波長選択膜(「波長選択層」に相当)34と、不透明膜(「光遮断層」に相当)36とが積層された構造を有しており、この露光マスク22の裏面にレジスト24が付与されている。
波長選択膜34は、高屈折率材料と低屈折率材料とを交互に積層形成した誘電体多層膜からなるものであり、レジスト24に対して所望の露光を実現するための開口領域(「第1の光通過領域」に相当)38などを有する所定のパターンで形成される。なお、積層される高屈折率材料と低屈折率材料の膜厚を調整することにより、所定の波長に対して所望の透過率を得ることができる。
不透明膜36は、例えば、クロム(Cr)または酸化クロムからなるものであり、スパッタリングや真空蒸着等の方法により形成される。不透明膜36もレジスト24に対して所望の露光を実現するための開口領域(「第2の光通過領域」に相当)40,42などを有する所定のパターンで形成される。
レジスト24は、作製目標とするノズルプレートの厚さに対応して適宜の厚さで露光マスク22の裏面側(波長選択膜34と不透明膜36を積層形成した側)に付着される。レジスト24を付着させる方法としては、スピンコーター等による塗布やドライフィルム(DRF)を用いる態様がある。
このレジスト付きの露光マスク22をステージ20上に固定した状態でレジスト24の層の裏面側に空隙部43が形成されるように、ステージ20のテーブル面26には凹部44が形成されている。ドライ露光時には、この空隙部43が気体で満たされて気体層(図13の符号123)が形成される。一方、液浸露光時にはこの空隙部43が液体で満たされて液体層(図13の符号124)が形成される。
空隙部43を挟んでレジスト24の下面と対向するステージ20の面(凹部44の床面)には反射防止膜(AR膜)46が形成されているため、ステージ面からの反射光の戻りは防止される。
また、図2に示したとおり、このステージ20には、レジスト24を透過する光を受光可能な受光センサ48が埋設されており、該受光センサ48によって透過光をモニタしながら露光量(すなわち、光の照射時間、または照射強度、もしくはこれらの組み合わせ)が制御される。
図3は、受光センサ48の配置例を示す平面図である。図3では、透明基板32上に4つのノズルプレート形成部50が設けられた例が示されており、各ノズルプレート形成部50には、それぞれ作製しようとするノズルプレートのノズル配列に対応した多数の開口領域38、40(図2参照)を含むマスクパターンが形成されている。
また、図3に示すように、透明基板32上には、上記のいずれのノズルプレート形成部50とも重ならない領域に、受光モニタ用のダミーマスクパターンが形成された受光モニタ部52が形成されており、この受光モニタ部52の真下の対応位置に受光センサ48が配置される。すなわち、受光センサ48はステージ20上でいずれのノズルプレート形成部50とも重ならない領域(ノズルプレート形成部以外の領域)に配置される。
なお、透明基板32上におけるノズルプレート形成部50や受光モニタ部52の形状、配置数、配置位置については、多様な形態が可能であり、図3の例に限定されない。
図4は、図1に示した露光装置10に用いられる光源12及び照射光学系14の構成図である。図4に示すように、本例の露光装置10に用いられる照明ユニット60は、超高圧水銀ランプ61を光源とするものである。超高圧水銀ランプ61より発せられた光は、楕円集光ミラー62により集光され、平面反射ミラー63によって水平方向に光路を曲げられた後、インテグレーターレンズ64に入射する。
インテグレーターレンズ64によって照度分布が均一化された光は、必要に応じて光路中に挿脱される光源フィルタ65によって透過波長域が選択された後、平面反射ミラー66によって鉛直方向に光路が曲げられ、コリメーターレンズ67に入射する。コリメーターレンズ67により平行光とされた光は、照度分布が均一な平行照射光として照射面68に向けて照射される。
図5の(a)は超高圧水銀ランプの光源スペクトルを示し、(b)は露光マスク22に用いる波長選択膜34の透過率特性(波長依存性)と、照射光学系14に用いられる光源フィルタ65の透過率特性(波長依存性)を示す。図5の(a)に示すように、露光光源として、複数の輝線(j線:313nm、334nm、i線:365nmなど)を有するものが使用される。
一般にレジスト材料は、短波長ほど吸収率が高く到達距離が短いので、短波側(334nmなど)を基材近傍の形成に用い、長波側(365nmなど)を基材から離れた部位の形成に用いることで、効率的で安定した形状形成が可能となる。
本例では、図5(a)に示す超高圧水銀ランプ61の光源スペクトルのうち、主としてi線(波長=365nm)及びこれよりも長波長側を透過させる光源フィルタ65(j線など短波長側の光をカットするフィルタ)が用いられる(図5(b)参照)。
一方、波長選択膜34は、光源フィルタ65と逆の透過率特性を有し、i線(波長=365nm)及びこれよりも長波長側の光を遮断(カット)する特性、j線など短波長側の光を透過させる特性を有する。つまり、光源フィルタ65を用いた場合の照射光は波長選択膜34を透過せず、光源フィルタ65を用いない場合の照射光は、光源スペクトルのうち短波長側の波長域が波長選択膜34を透過することになる。
詳細な露光プロセスは後述するが、光源フィルタ65を切り替えながら垂直入射による回転露光と傾斜回転露光を行うことでストレート部を有する逆テーパレジストを一括形成することができる。
また、光源フィルタ65を切り替えながら、空気中(気体中)の狭角傾斜回転露光と、液体中の広角傾斜回転露光を行うことで、くびれ部を有する逆テーパレジストを一括形成することができる。
なお、使用する光源の種類や波長は、上記の例に限定されず、使用するフォトレジストの感光特性との関係で適切な光源(波長)が選択される。放電ランプを用いる場合は、高圧水銀ランプや超高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプなどが望ましい。また、本発明の実施に際し、照明用の光源として、固体レーザや半導体レーザ(例えば、波長:355nm、375nm、405nm)などを用いる態様も可能である。
次に、露光マスクに対する光の入射角度を可変する手段の構成について説明する。
図6は、本例の露光装置10におけるステージの傾斜回転機構及びその周辺の構成図である。ステージ20の回転軸28は、液浸容器16の底面を貫通する状態で取り付けられるが、この液浸容器16を貫く接続部分には、液浸容器16内の液体(例えば、純水70)がこの部分より漏れないように、防水加工が施されており、また、回転軸28の回転及び傾き角の調節(揺動)が可能なように、球面軸受72が設けられている。
すなわち、ステージ20の回転軸28は、液浸容器16の底面に取り付けられた球面軸受72を介して液浸容器16を貫いた状態で支持されており、回転軸28の下端は自由継手74を介してモータ76(「ステージ回転モータ」という。)の出力軸78と連結されている。このステージ回転モータ76は、直動ガイド80に沿って摺動するスライダ82に固定されており、モータ(「傾斜揺動モータ」という。)84の駆動によりスライダ82と共にステージ回転モータ76を直動ガイド80に沿って移動させることができる。
傾斜揺動モータ84の駆動によってスライダ82上のステージ回転モータ76を図6の左右方向に移動させることにより、ステージ20の回転軸28を球面軸受72における固定点86を中心に揺動させることが可能であり、その揺動位置によって回転軸28の傾斜角(すなわち、テーブル面の傾斜角)を調節できる。これにより、露光マスク22に対する光の入射角を変更できる。
また、ステージ回転モータ76の駆動によって出力軸78が回転することで、その回転力は自在継手74を介して回転軸28に伝達され、ステージ20が回転する。
ステージ20が収容される液浸容器16には、液体ポンプ88が設けられており、この液体ポンプ88により液浸用液体(ここでは純水70)の供給、排出が可能となっている。
液浸露光時には液体ポンプ88を介して液浸容器16内に純水70が導入され、液浸容器16内が純水70で満たされる。通常露光(ドライ露光時)には液浸容器16内から純水70が排出され、液浸容器16内が気体(例えば、空気)で置換される。
なお、液浸用の液体としては、純水70の他にも露光装置に用いることを意図して調合されてなる専用の液浸用液体があり、場合によっては、このような専用液を用いることも可能である。
液浸露光を行う場合、露光マスク22の周囲を覆う液体による露光光の吸収が生じる。液面に対して光を垂直に入射させ、かつ露光マスク22に対し略垂直に光を照射する場合(垂直露光又は狭角入射露光の場合)は、液体中を進む光について露光マスク22に到達するまでの距離(光路長)が露光マスク22の各位置において概ね一定であるため、液体による露光光の吸収は、露光マスク22上の各位置について光量が均一(実質的に均一と見做せる範囲の分布を有する略均一も含む)に減衰する等の問題が生じるのみである。
しかしながら、液面に対して光を垂直に入射させ、かつ露光マスク22に対して入射角が比較的大きい傾斜露光を行う場合では、露光光が液面に対し垂直に入射するため、液体中を進む光について露光マスク22に到達するまでの距離(光路長)が露光マスク22の各々の位置において場所によって異なる。この光路長の違いによる光吸収量の差によって露光マスク22上では光量分布が生じ、これによりレジスト24の露光が不均一となる。
具体的には、露光光が液体に入射した後、露光マスク22の表面に到達するまでの距離(光路長)が短い領域では、露光光の減衰は少ないため、露光マスク22の表面に到達する露光光の光量は比較的多く、露光マスク22裏面に塗布されたフォトレジストを充分感光することができるが、露光光が液体に入射した後、露光マスク22の表面に到達するまでの距離(光路長)が長い領域では、露光光の減衰は大きいため、露光マスク22の表面に到達する露光光の光量は光路長が短い場合に比べ少なく、同じ露光時間ではフォトレジストを充分感光することができない。一方、光路長の長い領域において、充分に露光が行われるような露光時間で露光を行うならば、光路長の短い領域において露光オーバーとなり、光路長の長い領域と同じ状態でフォトレジストが感光しないため、フォトレジストの感光が不均一となる。
このため、本実施形態では、液体中の傾斜露光時に露光マスク22上で均一な光量分布が得られるように、透過率分布を補正するための透過補正板18が用いられる。この透過補正板18は、液体に入射した光が露光マスク22に到達するまでの距離(光路長)に対応させた透過率分布を有する透過率傾斜基板であり、液体に入射した後、露光マスク22に到達するまでの距離(光路長)が長い領域では透過率が高く、液体に入射した後、露光マスク22に到達するまでの距離(光路長)が短い領域では透過率が低くなるように構成されている。
この透過補正板18は、液浸容器16の上部に開閉ヒンジ90を介して取り付けられており、当該透過補正板18は開閉ヒンジ90によって液浸容器16の天面を封止する位置及び天面から退避した露光領域外の位置に移動可能である。
本実施の形態では、垂直露光の際、又は入射角が比較的小さい傾斜露光(「狭角傾斜回転露光工程」という。)の際には、透過補正板18を露光領域外に移動させ、入射角が比較的大きい傾斜露光(「広角傾斜回転露光工程」という。)の際には透過補正板18を露光領域内である液浸容器16上の上部(天面を封止する位置)に移動させる。
厳密に言えば、垂直露光時又は狭角傾斜回転露光工程のときには、照度分布を生じることになるが、狭角テーパ状には、殆ど影響を与えず、実用上支障がない。なお、狭角傾斜露光工程のときも含めて、傾斜露光時の光の入射角度に対応して、それぞれ適切な透過補正板を複数種類用意しておき、傾斜露光時の光の入射角度に応じて、透過補正板を切り替えて使用する態様も可能である。
このような透過補正板18を用いることにより、照明ユニット60から入射した露光光が当該透過補正板18及び液浸用の液体である純水70を介し、露光マスク22に到達した際、露光マスク22上で露光光の光量が全面にわたり均一になる。こうして、傾斜回転中の光軸距離に応じた照度変化や、面内での照度分布も補正可能なため、比較的大きなサイズ(長尺)のノズルプレートを作製する場合でも、バラツキの少ない安定したノズル形成が可能となる。
また、液浸用液体である純水70の表面、即ち空気と接する境界の面と接するように透過補正板18を配置し、液体を充満した状態で露光を行うことにより、液体の波打ちや気泡の巻き込みなど液浸露光に特有の弊害を防止することができる。
液浸傾斜露光時に露光マスク22上での光量を均一化するための他の方法として、露光マスク22と液浸に用いられる液体の液面とを平行にする方法も考えられるが、液面と露光マスク22とを常に平行の状態に保つことは、そのための装置等が必要となりコストアップに繋がる。さらに、液面に対して大きな入射角度で光を入射させると(露光マスク22に対する露光光の入射角度が大きい場合)、露光光が液面で全反射してしまい、露光マスクに露光光が到達しないという問題もある。
具体的には、屈折率1.44の純水の場合、液面に対し45度前後の角度で光を入射させた場合、全反射してしまうため、これより大きな入射角度で光を入射させることはできない。よって、露光装置の構成上からも液面に対し垂直に露光光を入射させることが望ましく、液浸露光装置により傾斜露光により広角のテーパを形成する場合には、上記のような透過補正板を用いる態様が好ましい。
また、液浸容器16内には受光センサ92が設けられており、露光光が露光マスク22により反射された光の光量を測定することができる構成となっている。これにより、露光マスク22の取り付け位置やステージ20の傾斜角が所定の位置や角度に設置されているか否かを確認することができる。露光マスク22がステージ20に対して浮いている場合には、ステージ20の回転により反射光の照射の方向が変動するため、受光センサ92が検出する露光マスク22からの反射光量は、ステージ20の回転に伴い変化する。よって、この反射光量の変動により、露光マスク22がステージ20に確実に固定されているか否かを検出することができる。また、ステージ20の傾斜角度が所定の傾斜角度で設置されていない場合には、所定の傾斜角度となるように、受光センサ92における反射光量に基づき、ステージ20の傾斜角を調整することが可能である。
更に、本例では、上述のとおり、ステージ20の回転軸28、自在継手74、ステージ回転モータ76、直動ガイド80、スライダ82、及び傾斜揺動モータ84等によって傾斜機構部94が構成されているが、この傾斜機構部94とこれに支持されている液浸容器16及びステージ20を含む全体を露光光の光軸に平行な軸を中心として、水平面内で回転させることが可能な光軸回転モータ96が設けられている。光軸回転モータ96により、全体が光軸回りに回転する構成になっているため、光量分布の均一性をより一層高めることができる。
〔露光マスクの作製工程〕
次に、上記構成の露光装置10で使用する露光マスク22の作製方法について図7を用いて説明する。
図7(a)に示すように、まず、ガラス等からなる透明基板32の片側面(図の上面)の全面に波長選択膜102を形成する。この波長選択膜102は、高屈折率材料と低屈折率材料とを交互に積層形成した、いわゆる光学多層膜である。高屈折率材料としては、Al2O3(酸化アルミ二ウム)や、TiO2(酸化チタン)が用いられ、低屈折率材料としては、SiO2(酸化シリコン)やMgF2(フッ化マグネシウム)が用いられる。
波長選択膜102は、これらの材料をスパッタリングや真空蒸着といった手法により交互に成膜することにより形成される。本実施の形態では、図5(b)で説明した透過率特性を実現するような、材料及び膜厚を選定して構成されている。
次に、図7(b)に示すように、透明基板32上の波長選択膜102に重ねて、スピンコーター等によりレジスト103を全面に塗布し、プリベークを行う。その後、目的とする光遮断層(図2で説明した不透明膜36に相当)の開口領域40,42のパターンに対応したマスク(不図示)を用いて露光した後、現像を行うことにより、図7(c)に示すように光遮断層の開口領域40,42に対応する部分のみにレジスト層103b(マスク層)を形成する。
次に、図7(d)に示すように、透明基板32上のレジスト層103bの形成された面の全面に、不透明膜104を形成する。不透明膜104は、Cr(クロム)または、酸化クロムからなるものであり、スパッタリングや真空蒸着といった方法により形成する。
図7(d)のように、レジスト層103bの形成面の全面に不透明膜104の成膜を行った後、当該透明基板32の全体を有機溶剤に浸漬させる、いわゆるリフトオフにより、レジスト層103bの形成されている領域上の不透明膜104をレジスト層103bと共に除去する。
これにより、図7(e)に示すように、波長選択膜102上でレジスト層103bの形成されていなかった領域においてのみ不透明膜104が残存し、光遮断層としての不透明層104b(図2で説明した不透明膜36に相当)が形成される。
この後、図7(f)に示すように、波長選択膜102の開口領域38となる部分をレーザートリマー等で除去することにより、光選択層となる光干渉膜102b(図2で説明した波長選択膜34に相当)が形成される。こうして、本実施の形態において用いる露光マスク22が作製される。
〔ノズルプレートの製造工程の例1〕
次に、上記の如く構成された露光マスク22を用いてインクジェットヘッドのノズルプレートを製造する方法の例について説明する。
図8は本実施の形態におけるノズルプレートの製造工程を示すフローチャートである。
最初に、図7で説明した工程を経て作製された露光マスク22の片側面上にネガタイプのフォトレジストを塗布する(図8のステップS102)。具体的には、図9に示すように、露光マスク22の波長選択膜34(102b)及び不透明膜36(104b)の積層形成されている側の面に、スピンコーターやスキージ塗布等によりレジスト24を塗布する。塗布するレジスト24の膜厚は、作製されるノズルプレートの厚さに対応するため、本実施の形態では、厚膜レジストを用いている。例えば、20〜50μm程度の膜厚でネガレジストが塗布される(感光性材料付着工程)。
なお、塗布による付着に代えて、ドライフィルム(DFR)を用いて、露光マスク22に密着させる方法や、レジスト24が塗布された基板を用い、レジスト24面と露光マスク22を密着させる方法であってもよい。
図8のステップS102の後、当該露光マスク22にレジスト24を塗布したものについて、プリベークを行う(ステップS104)。
次いで、このプリベークしたネガレジスト付きの露光マスク22を図1及び図2で説明したように、透明基板32側を上(露光面側)にした状態で露光装置10のステージ20上に固定し、透明基板32側から露光を行う(図8のステップS106、S108)。
ステップS106で示す第1の露光プロセスでは、照射光学系14の光源フィルタ65(図4参照)を使用せずに、回転する露光マスク22に対して垂直に光を照射する垂直回転露光が行われる。具体的には、図10(a)に示すように、液体中で露光マスク22の透明基板32側から垂直に光を照射する液浸露光が行われる。
これにより、波長選択膜34の開口領域38は、照射された露光光が全く吸収されることがないため、最も強度の強い光がレジスト24に照射される。このため、図10(a)に示すように最も奥の領域まで感光し、照射された露光光は、レジスト24を貫通し、符号106aの領域が感光される。
また、波長選択膜34は、図5(b)で説明したとおり、短波長側の光を透過する特性を有するため、図10(a)の不透明膜36の開口領域40において、波長選択膜34が形成されている領域では、波長選択膜34により長波長域がカットされ、短波長域の光しか透過しない。このため、照射された露光光はレジスト24を貫通することはなく、レジスト110の途中の領域、すなわち、図に示す符号106bの領域まで感光する。
不透明膜36の開口領域42であって波長選択膜34が形成されている領域においても同様であり、図に示す符号106cの領域が感光される。なお、露光マスク22の不透明膜36により覆われた領域では、露光光は不透明膜36を透過することはないため、この領域に形成されたレジスト24が感光することはない。
上記の垂直回転露光工程(図8のステップS106)に続いて、図8のステップS108で示す傾斜回転露光(第2の露光プロセス)が実施される。ステップS108で示す第2の露光プロセスでは、光源フィルタ65(図4参照)を使用して、露光マスク22に対し斜めの角度より露光光を照射する(第2露光工程)。具体的には、図6で説明したとおり、露光装置10のステージ20を揺動機構により、露光光に対し垂直方向から傾けることにより、露光マスク22に対し露光光を斜めから照射する。傾斜角度(光の入射角度)は、作製しようとするノズルのテーパ角に応じて適宜設定される。
図10(b)に、露光マスク22を傾けて、回転させながら露光光を照射したときの様子を示す。露光マスク22に対し矢印に示すように斜めに露光光が照射されることにより、波長選択膜34の開口領域38を透過した光は、レジスト24を貫通し、これによりレジスト24にテーパ領域106dが形成されるように感光される。一方、波長選択膜34の設けられている領域は、図5で説明したとおり、光源フィルタ65を透過した長波長領域の光を殆ど透過させないため(透過率が略0)、露光光によりレジスト24が感光することはない。よって、当該ステップS108の傾斜回転露光によりレジスト24が感光するのは、波長選択膜34の開口領域38より入射する露光光にのみによるもの(符号106dで示す円錐台形の領域)である。
その後、図8のステップS110において、上記露光後のレジスト24について現像を行った後、ポストベークを行う。こうして、図11に示すように、露光マスク22上には感光領域部106a、106b、106cに対応するレジスト層が残ったレジストパターンが形成され、これがニッケル(Ni)電鋳の型として用いられる。
すなわち、図8のステップS110の後、当該現像処理及びポストベーク後の露光マスク22に対して、まず、ニッケル(Ni)共析メッキを行い(ステップS112)、撥液メッキ層を形成する。具体的には、図12(a)に示すように、露光マスク22の不透明膜36が形成されている面についてニッケル(Ni)共析メッキを行い、Ni共析メッキ層113を形成する。
Ni共析メッキは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含有するメッキ液を用い、1〜3〔μm〕の膜厚になるまで行う。Ni共析メッキは、金属部分にのみメッキが施されるため、本例の場合、Crよりなる不透明膜36の表面にのみNi共析メッキ層113が形成される。
その後、図8のステップS114において、Ni電鋳を行う。具体的には、図12(b)に示すようにNi共析メッキの施された領域、即ち、Ni共析メッキ層113上に、Ni電鋳により、Ni電鋳層114を堆積させる。このとき堆積させるNiの膜厚は、10〜50〔μm〕である。
Ni電鋳法で形成されるNi電鋳層は等方的に成長するため、符号106cで示したトラップ溝に対応する感光領域部のレジストパターン高さ(d1)を超えてNi電鋳層114が成長すると、当該感光領域部106cのレジストパターン上面に乗り上げて、やがて感光領域部106cの上面を覆うように成長していく。
その結果、図12(a)のように、目標とする所定の高さh1までNi電鋳層114を成長させたときに、トラップ溝に対応する感光領域部106cのレジストパターン上面部分が凹状に窪んだNi電鋳層114が形成される。この凹部115は接着剤の逃がし溝として機能することになる。
その後、メッキの成長表面(図12(a)の上面)を研磨してから、有機溶媒等によりレジストパターンの除去を行い(図8のステップS116)、更に、その後、当該Ni共析メッキ層113及びNi電鋳層114により形成されるノズルプレート116を露光マスク22から剥離する(図8のステップS118)。
こうして、図12(b)に示すように、テーパ部117とストレート部118を有するノズル119(ストレート付きテーパノズル)と、トラップ溝120、並びに吐出面と反対側に接着剤逃げ溝(凹部115)が形成されたノズルプレート116が完成する。
当該ノズルプレート116の吐出面側は、Ni共析メッキ層113により形成されるために撥液性を備える。また、トラップ溝120の少なくとも天面部分は、Ni電鋳層114により形成されるために吐出面側に対し相対的に親液性となる。さらに、接着剤逃げ溝として機能する凹部115の幅W1は、ノズル流入側開口径D1よりも狭く形成される。
なお、撥液メッキ(Ni共析メッキ)の前にCuやZnなどの犠牲層を付与しておき、Niメッキ後に当該犠牲層を除去してエッジ品質を向上する態様も好ましい。
上記作製されたノズルプレート116は、図12(c)に示すように、液体吐出ヘッドを構成する連通板122(ノズルに連通する流路を形成するための流路形成部材であり、例えば、ステンレス鋼(SUS)により構成される部材)と接合され、更に、連通板122に重ねて図示せぬ他の流路形成部材等が積層接合されることにより、液体吐出ヘッドが作製される。
ノズルプレート116と連通板122との間の接合には接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)が用いられるが、接合面における接着剤の余り(余剰接着剤)は、凹部115による接着剤逃げ溝に入り込むため、余剰接着剤がノズル流路等にはみ出すことがなく、高い歩留まりで綺麗に接合を行うことができる。また、ノズルプレート116や連通板122、それらを接合する接着剤の線膨張率の違いから生じる応力の緩和も可能となる。
本例の製造方法によれば、露光により感光させたレジストパターンがテーパ形状を有するので、レジスト密着性や電鋳安定性(電流遮蔽)が向上する。また、本例の製造方法で得られたノズルプレートのノズルはテーパ部とストレート部を有するため吐出安定性が向上する。さらに、本例で得られるノズルプレートは、金属材料なので剛性が高く、高粘度高速リフィルに必要な薄肉化も容易に実現可能である。なお、図示のような「ストレート部」と「テーパ部」を有するノズルを本明細書では「ストレート付きテーパノズル」と呼ぶことにする。
なお、本実施例では第1の露光プロセスを露光マスク22に対して垂直に光を照射したが、第2の露光プロセスより狭い角度に設定してテーパを2段にすることも可能である。この場合は滑らかなテーパ断面が形成できる。
〔ノズルプレートの製造工程の例2〕
次に、くびれ形状を有する広角テーパノズルのノズルプレートを製造する方法について説明する。基本的な製造手順は、図8〜図12で説明した例と同様であり、使用する露光マスクと露光プロセスに関して相違点があるため、その相違点を中心に説明する。
図13は、当該目的のノズルプレートの製造に適用される露光プロセスの説明図である。図13中図2,図10に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図13に示す製造工程では、図8のステップS106で説明した垂直回転露光の工程に代えて、図13(a)に示すように、気体中で露光マスク22に対して比較的小さい入射角θ1(例えば、θ1=5〜10度)で光を照射する狭角傾斜回転露光が行われる。図14には、本例で用いる光源フィルタ65の透過率特性と波長選択膜34の透過率特性を示す。図5で説明した例と比較して透過波長の帯域が僅かに変更されている。
図13(a)に示す第1の露光プロセスは、光源フィルタ65(図14参照)を使用して、気体雰囲気の中で露光マスク22の透明基板32側から入射角θ1の光を照射する。傾斜角度(光の入射角度)は、作製しようとするノズルのテーパ角に応じて適宜設定される。
光源フィルタ65を透過した光を露光マスク22の透明基板32側から入射角θ1で光を照射すると、図14に示した波長選択膜34の透過特性と光源フィルタ65の透過特性により、波長選択膜34の開口領域38以外の部分は光が殆ど透過せず、開口領域38のみを光が通過する。このように、当該第1の露光プロセス(狭角傾斜回転露光)によりレジスト24が感光するのは、波長選択膜34の開口領域38より入射する露光光にのみによるものである。なお、不透明膜36には、開口領域38を含んでこれよりも十分に大きな径の開口領域40が形成されているため、波長選択膜34の開口領域38を通過した光は、不透明膜36によって規制されることなく開口領域40を通ってレジスト24の層に進入する。
レジスト24を透過した光は当該レジスト24の層と気体層123との界面で一部が反射してレジスト24内に戻る。この界面反射光を含む光によってレジスト24は入射角θ1の約2倍(例えば、θ1=5度の場合で10度程度)の逆円錐台型(逆テーバ形状)に感光する。
一般的に、レジスト24の屈折率は約1.6、ドライ露光時の周囲気体(空気又は二酸化炭素)の屈折率は1、液浸露光時に導入する液体(例えば、純水)の屈折率は約1.4、液浸用の専用液の屈折率は約1.6、透明基板32としてのガラス(例えば、石英ガラス)の屈折率が1.47であることから、レジスト24の裏面反射は、気体中(気体層との界面)では大きく、液体中(液体層との界面)では小さい。
屈折率n1、n2の媒質界面での光の反射率は略垂直入射の場合に次式で表される。
{(n2−n1)/(n2+n1)}2
レジスト24から空気に向かうときの界面反射率は約5%、レジスト24から水に向かうときの界面反射率は0.5%以下となる。
本実施形態は、上記の原理に基づき、気体中でレジスト裏面反射を積極的に利用してレジスト感光を行う露光工程(狭角傾斜回転露光工程)と、液体中でレジスト裏面反射を抑制してレジスト感光を行う露光工程(後述の広角傾斜回転露光工程)とを組み合わせることで、ノズル形状に対応したくびれ部を有する逆テーパレジスト(鼓形レジスト)を一括形成するものである。
なお、図13(a)において、レジスト24を透過した光の一部は気体層123との界面を透過して気体層123へと進入するが、気体層123を挟んで対向するステージ面の反射防止膜46によって吸収され、更なる反射が防止される。
上記の狭角傾斜回転露光工程に続き、図8のステップS108で示す傾斜回転露光に代えて、図13(b)に示すように、液体中で入射角θ2(>θ1;例えば、θ2=20〜40度)の光を照射する広角傾斜回転露光が行われる。この第2の露光プロセスでは、光源フィルタ65(図14参照)を使用せず、図6で説明したとおり、液浸容器16内を液体で満たし、透過補正板18を介して露光マスク22に光を照射する。
光源フィルタ65を用いずに、図14(a)に示すスペクトルの光を露光マスク22の透明基板32側から入射角θ2で光を照射すると、図14に示した波長選択膜34の透過特性により、波長選択膜34は開口領域38以外の部分も光(特に短波長域)を透過することになるため、実質的には不透明膜36が遮光マスクとして機能する。すなわち、不透明膜36の開口領域40のみを光が通過し、当該開口領域40によって光の通過範囲が規制される。不透明膜36の開口領域40を通過した光によってレジスト24が感光する。
レジスト24を透過した光は、当該レジスト層の裏面側に形成される液体層124との界面での反射が抑制されるため(図13(b)参照)、界面からの反射光はレジスト24の感光に殆ど寄与せず、不透明膜36の開口領域40から入射する光のみによって、その入射角に対応した円錐台型にレジスト24が感光する。
上述のとおり、気体中で狭角入射光とレジスト裏面反射を利用すれば、露光マスク22側から入射した光の透過範囲とレジスト裏面での反射光がレジスト24内に戻る光の通過範囲によって逆円錐台形(上面が大きく、下面が小さい円錐台形)の範囲のレジスト24を感光させることができ(「第1のテーパ形状を有する感光領域部」に相当)、液体中で広角入射光を用いた露光を行うと、レジスト24の裏面反射(空隙部43の液体層との界面での反射)が抑制されるため、当該裏面反射光によるレジスト感光はほとんどなく、露光マスク22側から入射した光によって、当該光の入射角に対応した円錐台形の範囲のレジスト24を感光させることができる(「第2のテーパ形状を有する感光領域部」に相当)。したがって、レジスト裏面反射を利用するドライ露光工程と、レジスト裏面反射を利用しない液浸露光工程とを行うことで、逆円錐台形と円錐台形とが組み合わされた鼓形の形状を作製することができる。
なお、気体中で露光を行う場合(ドライ露光時)には、露光マスク22の周辺は気体(屈折率がほぼ1の媒質)と接していることから全反射により入射角の上限が約38度であるのに対し、液体中で露光を行う場合(液浸露光時)は、露光マスク22の透明基板32の屈折率(石英ガラスの場合、約1.47)と周辺環境の屈折率(純水の場合、約1.44)とを近づけることができるため、全反射による入射角の上限がドライ露光時よりも大きくなる。このため、液体中での傾斜露光は、広角テーパを形成するために適している。
上述のように狭角傾斜回転露光工程と広角傾斜回転露光工程を経てレジスト24は、テーパ角度の異なる二つの円錐台が互いの上面(小面積の面)を接して上下に組み合わされた鼓形の立体形状範囲が感光する。
その後は、図8のステップS110で説明したとおり、上記露光後のレジスト24について現像を行った後、ポストベークを行う。こうして、図15(a)に示すように、露光マスク22上には鼓形の感光部に対応するレジスト24が残ったレジストパターンが形成され、これがニッケル(Ni)電鋳の型として用いられる。以後の工程は図8のステップS112〜ステップS118で説明したのと同様である。
すなわち、図15(a)に示すポストベーク後の露光マスク22に対して、図15(b)に示すように、露光マスク22の不透明膜36が形成されている面についてニッケル(Ni)共析メッキを行い、Ni共析メッキ層113を形成する。
その後、図15(b)に示すようにNi共析メッキの施された領域、即ち、Ni共析メッキ層113上に、Ni電鋳により、Ni電鋳層114を堆積させる。メッキによる成長表面を研磨した後、有機溶媒等によりレジスト24の除去を行い、当該Ni共析メッキ層113及びNi電鋳層114により形成されるノズルプレート126を露光マスク22から剥離する。
こうして、図15(c)に示すように、吐出方向(図の下方)に向かって流路断面積が次第に小さくなる順テーパ部127と、流路断面積が次第に大きくなる広角の逆テーパ部128とが組み合わされた「くびれ形状」を有するノズル129が形成されたノズルプレート126が得られる。なお、このような「くびれ形状」を有する広角テーパノズルを本明細書では「くびれ付き広角テーパノズル」と呼ぶことにする。
本例の製造方法によれば、露光により感光させたレジストパターンがくびれ部を有するので、レジスト密着性や電鋳安定性(電流遮蔽)が向上する。また、本例の製造方法で得られたノズルプレートのノズルはくびれ部を有するため、ノズル表面の影響も緩和され、吐出安定性も向上する。さらに、金属材料なので剛性が高く、高粘度高速リフィルに必要な薄肉化も容易に実現可能である。
なお、Ni共析メッキ層113の堆積前にCuやZnなどの犠牲層を形成し、露光マスク22から剥離後に除去することで、吐出面の一層の品質向上を図ることも可能である。
〔ノズルプレートの製造工程の例3〕
図13で説明した例では、ドライ露光と液浸露光とを切り替えてレジスト裏面の気体層123と液体層124の屈折率の差を利用することでレジスト裏面反射の活用と抑制を制御する例を述べたが、上記態様に代えて、レジストの裏面側に反射部材を設ける態様も可能である。以下、その実施形態について説明する。
図16は、反射部材を用いてレジストの裏面反射を制御する露光プロセスの例を示す説明図である。図16中図13に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、光源フィルタ65と波長選択膜34の透過特性については、図14と同様である。
図16に示す構成では、レジスト24の裏面と対向するステージ20の面に反射部材130が設けられ、この反射部材130がレジスト24の裏面に対して近づいた位置(図16(a))と、離れた位置(図16(b))とに移動可能に構成されている。
図16(a)のように、光源フィルタを用いた狭角傾斜回転露光の工程において、反射部材130をレジスト24の裏面に接近させた状態(好ましくは、密着させた状態)とすることにより、レジスト24を透過した光が反射部材130の表面で反射されてレジスト24内に戻るため、図13(a)と同様の露光作用が得られる。
また、この反射部材130は、図16(a)の場合に露光マスク22の開口領域38を通して入射する光がレジスト層の下面に到達するときの照射範囲と同等かそれよりも僅かに大きい程度の反射面積を有している。図16(b)に示すように、光源フィルタを使用しない広角傾斜回転露光の場合は、光が開口領域40から斜めに入射してくるため、図示のような比較的小さい反射面積の反射部材130をレジスト裏面から遠ざけると、反射部材170に光があたらなくなる。その結果、図16(b)の場合には、反射部材130からの反射光が得られず、図11(b)と同様の露光作用が得られる。
なお、図16(a),(b)の露光プロセスは、どちらも液浸用の液体(例えば、純水)を満たした状態で行われる。液中で露光することでレジスト裏面反射が軽減されるため、一層の高精度化が可能となる。
〔ノズルプレートの製造工程の例4〕
次に、図9〜図12で説明したストレート付きテーパノズルの吐出面側のノズル周囲にザグリ形状を付加し、さらに吐出面のノズル近傍にトラップ溝を付加した構成のノズルプレートを製造する方法について説明する。なお、基本的な製造手順は、図9〜図12で説明した例と同様であり、使用する露光マスクと露光プロセスに関して相違点があるため、その相違点を中心に説明する。
図17は、当該目的のノズルプレートの製造に適用される露光プロセスの説明図である。図17中図10に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
ストレート付きテーパノズルの吐出面側にザグリ形状を付加する場合、図10で説明した露光マスク22に代えて、図17に示すように、2種類の波長選択膜34-1、34-2 が積層された構成を有する露光マスク140が用いられる。透明基板32に近い側の波長選択膜34-1を「第1の波長選択膜」と呼び、これに重ねられた波長選択膜34-2 を「第2の波長選択膜」と呼ぶことにする。
図示の露光マスク140の場合、不透明膜36に形成した開口領域40がザグリ形状に対応する段差部の感光領域106eを形成するためのレジスト感光に寄与する。また、第1の波長選択膜34-1 に形成された開口領域38-1 はテーパ部に対応する円錐台形の感光領域106dを形成するためのレジスト感光に寄与し(図17(b)参照)、第2の波長選択34-2 に形成した開口領域38-2 はストレート部に対応する円柱形の感光領域106bを形成するためのレジスト感光に寄与する。ザグリ形成用の開口領域40は、第1の波長選択膜34-1 に形成された開口領域38-1及び第2の波長選択膜34-2 に形成された開口領域38-2 と同心円状に形成されている。一方、トラップ溝形成用の開口領域42は、ザグリ形成用の開口領域40から離れた適宜の位置(トラップ溝を形成すべき位置)に帯状に設けられている。
図18に、第1及び第2の波長選択膜34-1、34-2 の透過率特性と、光源フィルタの透過率特性を示す。同図に示すように、第1の波長選択膜34-1 は概ね315nmより長波長域をカットする特性を有し、第2の波長選択膜34-2 は概ね355nmより長波長域をカットする特性を有する。光源フィルタは、第2の波長選択膜34-2 と逆の特性(概ね355nmより短波長域をカットする特性)を有する。
このように、本発明を実施する上で、波長選択膜に光源フィルタを組み合わせる際、少なくとも1つの組合せでは、光源の光が波長選択膜(の開口部以外)を透過しないように、各々の透過率特性を設定する必要がある。
図17の(a)に示した垂直回転露光工程(図8のステップS106に相当)では、照射光学系14の光源フィルタ65(図18参照)を使用せずに、回転する露光マスク140に対して垂直に光を照射する垂直回転露光が行われる。具体的には、図17(a)に示すように、液体中で露光マスク140の透明基板32側から垂直に光を照射する露光が行われる。
図18で説明した第1及び第2の波長選択膜34-1、34-2 の特性により、図17(a)に示すとおり、不透明膜36の開口領域40,42を通過する光は、第1及び第2の波長選択膜34-1、34-2 を透過した約335nm付近の狭い波長域の光となり、この光によって、ザグリ形状の段差部に対応した感光領域106eと、トラップ溝に対応した感光領域106cが感光することなる。
上記の垂直回転露光工程(図8のステップS106に相当)に続いて、図17(b)に示す傾斜回転露光(図8のステップS108に相当)が実施される。この傾斜回転露光工程では、光源フィルタ65(図18参照)を使用して、液体中で露光マスク140に対し斜めの角度より露光光を照射する。
このとき、図18で説明した光源フィルタの特性により、露光光(光源フィルタを透過した光)は第1及び第2の波長選択膜34-1、34-2 を透過することができず、第1の波長選択膜34に形成された開口領域38を通過した光のみがレジスト24を感光させる。このため、図17(b)に示すように、開口領域38を通過した露光光によってレジスト24にテーパ形状の感光領域106dが形成される。
以後の処理は図8のステップS110〜S118で説明した例と同様のため、説明は省略する。
〔ノズルプレートの製造工程の例5〕
次に、図13〜図15で説明したくびれ付き広角テーパノズルの吐出面側のノズル周囲にザグリ形状を付加し、さらに吐出面のノズル近傍にトラップ溝を付加した構成のノズルプレートを製造する方法について説明する。なお、基本的な製造手順は、図8〜図18で説明した例と同様であり、使用する露光マスクと露光プロセスに関して相違点があるため、その相違点を中心に説明する。
図19は、当該目的のノズルプレートの製造に適用される露光プロセスの説明図である。図19中図13,図17に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
くびれ付き広角テーパノズルの吐出面側にザグリ形状を付加する場合、図17で説明した例と同様に、2種類の波長選択膜34-1、34-2 が積層された構成を有する露光マスク140が用いられる(図19参照)。そして、照射光学系14の光源フィルタ65として2種類の光源フィルタが用意され、光源フィルタを選択しつつ露光が行われる。これら2種類の光源フィルタを区別するため、一方を「光源フィルタA」、他方を「光源フィルタB」と表記することにする。
図20に、第1及び第2の波長選択膜34-1、34-2 の透過率特性と、2種類の光源フィルタA,Bの透過率特性を示す。同図に示すように、第1の波長選択膜34-1 は概ね395nmより長波長域をカットする特性を有し、第2の波長選択膜34-2 は概ね355nmより長波長域をカットする特性を有する。
光源フィルタAは概ね400nmより短波長域をカットする特性を有し、光源フィルタBは概ね350nmより短波長域をカットする特性を有する。
図19(a)に示した第1の露光プロセス(図8のステップS106に相当)では、照射光学系14の光源フィルタ65(図20参照)を使用せずに、回転する露光マスク140に対して垂直に光を照射する垂直回転露光が行われる。具体的には、図19(a)に示すように、気体中で露光マスク140の透明基板32側から垂直に光を照射する露光が行われる。
図17(a),図18でも説明したとおり、第1及び第2の波長選択膜34-1、34-2 の特性により、図19(a)に示すように、不透明膜36の開口領域40,42を通過する光によって、ザグリ形状の段差部に対応した感光領域106eと、トラップ溝に対応した感光領域106cが感光することなる。
上記の垂直回転露光工程(図19(a))に続いて、図19(b)に示す狭角傾斜回転露光が実施される。この狭角傾斜回転露光工程(第2の露光プロセス)では、光源フィルタA(図20参照)を使用して、気体中で露光マスク140に対し入射角θ1で露光光を照射する。
光源フィルタA(図20参照)を透過した光を露光マスク140の透明基板32側から入射角θ1で光を照射すると、図20に示した波長選択膜34-1 の透過特性と光源フィルタAの透過特性により、波長選択膜34-1 の開口領域38以外の部分は光が殆ど透過せず(透過率が略0)、開口領域38-1 のみを光が通過する。波長選択膜34の-1 の開口領域38-1 を通過してレジスト24の層に進入した光は、当該レジスト24の層と気体層123との界面で反射してレジスト24内に戻る。この界面反射光を含む光によってレジスト24は逆円錐台型(逆テーバ形状)に感光する。かかる露光作用は図13で説明したとおりである。なお、図19(b)においてレジスト24と気体層123の界面で反射した反射光は不透明膜36の開口領域40を通って第2の波長選択膜34-2 まで到達し得るが、当該反射光は第2の波長選択34-2 によって吸収されるため、更なる反射は抑制される。
上記の狭角傾斜回転露光工程(図19(b)に続いて、図19(c)に示す広角傾斜回転露光が行われる。この第3の露光プロセスでは、光源フィルタAに代えて、光源フィルタBが使用されるとともに、液体中で露光マスク140に対し入射角θ2(ただし、θ1<θ2)で露光光を照射する。
光源フィルタB(図20参照)を透過した光を露光マスク140の透明基板32側から入射角θ2で光を照射すると、図20に示した第1の波長選択膜34-1の透過特性により、第1の波長選択膜34-1 は開口領域38-1 以外の部分も光を透過する。ただし、第1の波長選択膜34を透過した光も第2の波長選択膜34-2 は透過できないため、実質的には、第2の波長選択膜34-2 の開口領域38-2 によって光の通過範囲が規制される。すなわち、図19(c)に示すとおり、第2の波長選択膜34-2 の開口領域38-2 を通過した光によってレジスト24が感光する。
レジスト24を透過した光は、当該レジスト層の裏面側に形成される液体層124との界面での反射が抑制されるため、界面からの反射光はレジスト24の感光に殆ど寄与せず、第2の波長選択膜34-2 の開口領域38-2 から入射する光のみによって、その入射角に対応した円錐台型にレジスト24が感光する。かかる露光作用は、図13(b)で説明したとおりである。
なお、レジスト層の裏面反射を利用してテーパ部を形成する手法については、図19で説明した界面の媒体(気体層123と液体層124)を切り替える態様に限らず、図16で説明したとおり、反射部材を利用する態様も可能であり、移動可能な反射部材を利用しても図19と同様の露光作用を実現することができる。
図19(a)〜(c)に示した第1〜第3の露光プロセス後に、現像、ポストベークを行い、得られたレジストパターンを用いてNi共析メッキとNi電鋳を施してノズルプレートを作製する点は、図12,図15等で説明した例と同様である。
すなわち、図21(a)に示すとおり、露光マスク140の不透明膜36が形成されている面についてニッケル(Ni)共析メッキを行い、撥液層としてのNi共析メッキ層113を形成する。なお、ザグリ部に対応する感光領域部155のレジストパターン上面は、導電膜が形成されていないが、不透明膜36の領域上へのメッキ層の堆積が進行するにつれて、ザグリ部の端面から感光領域部155のレジストパターン上面にメッキ層が乗り上げ、やがて、ザグリ部に対応する感光領域部155のレジストパターン上面もNi共析メッキ層113によって覆われる。
次いで、Ni共析メッキ層113上に、Ni電鋳により、Ni電鋳層114を堆積させる。目標とする所定の高さまでNi電鋳層114を成長させたときに、トラップ溝に対応する感光領域部156のレジストパターン上面部分が凹状に窪んだNi電鋳層114が形成される。
その後、メッキの成長表面(図21(a)の上面)を研磨してから、有機溶媒等によりレジストパターンの除去を行い、当該Ni共析メッキ層113及びNi電鋳層114により形成されるノズルプレート160を露光マスク140から剥離する。
こうして、図21(b)に示すように、吐出面のノズル周囲にザグリ部162を有するくびれ付き広角テーパノズル129と、トラップ溝120、並びに吐出面と反対側に接着剤逃げ溝(凹部115)が形成されたノズルプレート160が完成する。
上記作製されたノズルプレート160は、図21(c)に示すように、液体吐出ヘッドを構成する連通板122(ノズルに連通する流路を形成するための流路形成部材)と接合され、更に、連通板122に重ねて図示せぬ他の流路形成部材等が積層接合されることにより、液体吐出ヘッドが作製される。
本実施形態によるノズルプレート160によれば、ノズル部の絞り開口径はくびれ部で規定されるため、仮に、ザグリ部162の寸法精度がばらついても、比較的安定な吐出が可能である。また、ザグリ部162を付加したことにより、ジャミングやワイピングに対する信頼性が向上する。
さらに、本例の製造方法によれば、図19(b)で説明した狭角傾斜回転露光時にマスク裏面反射を生じても、ザグリ部162を形成するので、形状バラツキを生じ難い。また、本例の製造方法によれば、基材のマスクをザグリ高さだけ厚くしておく場合に比べて膜厚を薄くできるので、コーティングやドライフィルム(DFR)ラミネートなどのレジスト付与も安定して行えるという利点がある。
図22にノズルプレート160を吐出面側から見た平面図を示す。図示のように、ノズルプレート160には、液滴吐出口となる多数のくびれ付き広角テーパノズル129がマトリクス状に2次元配列された構造で形成され、各ノズル穴の周囲には同心円状にザグリ部162が形成されている。
図示のマトリクス配列について、図22の横方向を行方向(後述するフルライン型インクジェット記録装置における主走査方向)、図22の縦方向(後述するフルライン型インクジェット記録装置における副走査方向)を列方向とすると、くびれ付き広角テーパノズル129は、行方向及びこの行方向に対して直交しない一定の角度αを有する斜めの列方向に沿って直線上に並び、全体として斜めの格子状に2次元配列されている。
また、行方向に沿ったノズル列の列間(副走査方向に並んだ行間)に、一定幅の帯状のトラップ溝120が行方向に沿って形成されている。
図22において、行方向に沿った各行のノズル列内のノズル間隔NLmは一定であるとし(各行の主走査方向ノズル間隔は全て同じNLmとし)、行方向に沿った各行のノズル列の列間隔(副走査方向の行間隔)をLs(一定)とするとき、行方向に沿って並ぶように投影される実質的なノズルの間隔(主走査方向投影ノズルピッチ)PN はLs/tan αとなる。なお、行方向に沿ったノズル列の行数(列方向のノズル数)をnとすると、NLm=n×PN の関係を満たす(ただし、nは自然数)。図22でn=6の場合を例示したが、本発明の実施に際して、ノズルの配列形態は特に限定されず、多様な配列形態が可能である。
本例のノズルプレート160によれば、トラップ溝120によってワイピング時のトラップ性(液の捕獲性)が向上する。
〔ノズルプレートの製造工程の例6〕
上述したノズルプレートの製造工程の例4,5ではザグリ形状とトラップ溝の深さや濡れ性が概ね同等となるプロセスを示したが、ノズルの吐出面側のノズル周囲にザグリ形状を付加し、さらに吐出面のノズル近傍に親水性のトラップ溝を付加した構成のノズルプレートを製造することも可能である。基本的な製造手順は、図9〜12及び図13〜15で説明した例と同様であり、使用する露光マスクに関して相違点があるため、その相違点を中心に説明する。
図23は、当該目的のノズルプレートの製造に適用される露光プロセスの説明図である。図23中図13並びに図19に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
くびれ付き広角テーパノズルの吐出面側にザグリ形状を付加するとともに、ノズル近傍に、ザグリ形状に対し相対的に親水性を有するトラップ溝を付加する場合、図17,図19で説明した露光マスク140に代えて、図23(a)に示すように、不透明膜36の一部を格子パターンなどの半透明膜170、171で構成した露光マスク174が用いられる。
すなわち、露光マスク174は、不透明膜36の一部に、ザグリ形状の形成に寄与する半透明膜(第1の半透過領域)170と、トラップ溝の形成に寄与する半透明膜(第2の半透過領域)171とを備えている。ザグリ形成用の半透明膜170は、開口領域40の外側周囲に当該開口領域40と接して同心円状に形成されている。一方、トラップ溝形成用の半透明膜171は、ザグリ形成用の半透明膜170から離れた適宜の位置(トラップ溝を形成すべき位置)に帯状に設けられている。
半透明膜170,171のそれぞれの透過率は、目的とするザグリの深さやトラップ溝の深さに応じて適宜設計される。本例では、ザグリの深さよりもトラップ溝の深さを深くするため、トラップ溝形成用の半透明膜171の透過率はザグリ形成用の半透明膜170の透過率よりも高く設定されている。なお、半透明膜170,171を構成する格子パターンの疎密によってそれぞれ所望の透過率が実現される。
また、露光マスク174における波長選択膜34の透過率特性と露光に使用する光源フィルタ65(図4参照)の透過率特性の関係は図14に示した例と同様とする。
上記の露光マスク174を用い、図23(a)に示すように、まず、気体中で狭角傾斜回転露光工程を行う。このとき、図13(a)で説明したとおり、波長選択膜34が光を遮るため、開口領域38のみを光が通過し、当該開口領域38から入射した光とレジスト裏面反射によって、逆円錐台形の範囲が露光される。
次いで、図23(b)に示すように、液体中で広角傾斜回転露光工程を行う。このとき、波長選択膜34は開口領域38以外の部分も光を透過する。不透明膜36の開口領域40を通過する光によってレジスト24が円錐台形に露光される点は図13(b)で説明したとおりである。図23(b)の構成では、さらに、開口領域40の周囲に形成されている半透明膜170を透過した少量の光によって逆円錐台形の感光部分の周囲が所定の深さd2で略円柱形に露光される。
この深さd2の略円柱形の感光領域部175がザグリに相当する部分となり、トラップ溝形成用の半透明膜171を透過した光によって、深さd3(>d2)のトラップ溝に対応する部分(符号176)が感光される。
その後、前述の図21で説明したニッケルメッキを行うことで、図24に示すとおり、撥液性を有する比較的浅いザグリ形状162と、それに対し相対的に親水性を有する比較的深いトラップ溝120が形成される。なお、図24中、図12及び図21で示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図24で説明した工程によって得られるノズルプレート160’によれば、相対的に親水性を有するトラップ溝120によってノズル面のインク汚れが軽減され、クリーニングの際のワイピング性が向上する。
〔ノズルプレートの製造工程の例7〕
上述したノズルプレートの製造工程の例1〜6では、ネガレジストを用いる方法を述べたが、ポジレジストを用いてノズルプレートを作製することも可能である。以下、他の実施形態としてポジレジストを用いる例を説明する。
図25は、ポジレジストを利用するノズルプレートの製造方法の手順を示すフローチャートである。図25に示す製造手順のうち、ステップS302〜S308については、図8で説明した製造手順と類似する工程となっている。
すなわち、図25に示すように、最初に、露光マスク上にポジタイプのレジストを塗布する(ステップS302)。具体的には、図9で説明した例と同様に、露光マスク22の波長選択膜34及び不透明膜36の形成されている側の面に、スピンコータやスキージ塗布により、ポジタイプのレジストを塗布する。レジストの膜厚は例えば、20〜50μm程度とする。
なお、塗布による付着に代えて、ドライフィルム(DFR)を用いて、露光マスクに密着させる方法や、ポジレジストが塗布された基板を用い、ポジレジストが塗布された面と露光マスクを密着させる方法であってもよい。
図25のステップS302の後、当該露光マスクにポジレジストを塗布したものについて、プリベークを行う(ステップS304)。
次いで、このプリベークしたポジレジスト付きの露光マスクを図1及び図2で説明したように、透明基板32側を上(露光面側)にした状態で露光装置10のステージ20上に固定し、透明基板32側から露光を行う(図25のステップS306、S308)。
これらの露光工程(ステップS306,S308)は、図8で説明したステップS106、S108と同様の工程である。
図25のステップS308の後、ステップS310において、露光マスクの裏面側(ポジレシストの付着面側)から、接着剤逃げ溝を形成するための別の露光マスクを用いて露光(裏面露光)を行う。
図26(a)では、図9〜図11で説明した露光マスク22と同様の露光マスクを用いてストレート付きテーパノズルとトラップ溝に対応する部分のレジスト感光を行ったものに対して、接着剤逃げ溝を形成するための裏面露光を行う様子が示されている。
図26中、図10で示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
すなわち、図26(a)に示すように、露光マスク22の裏面のポジレジスト180が塗布されている面について、別の露光マスク(「溝形成用露光マスク」に相当)184を用いて露光を行う。この露光マスク184には、所望の接着剤逃げ溝に対応する半透明領域186のパターンが形成されている。当該露光マスク184を用いる裏面露光の工程は、露光マスク184に対して垂直に光を照射することにより行われる。この裏面露光工程により、後に接着剤逃げ溝188となる領域180Aのポジレジスト180が感光する。
接着剤逃げ溝188の幅がノズル流入側開口径D2よりも狭くなるようにするために、半透明領域186の幅W2はノズル流入側開口径D2はよりも狭いものとする。
上述した裏面露光工程の後、図25のステップS312において、露光マスク22上のポジレジスト180について現像を行った後、ポストベークを行う。これにより、露光工程(ステップS306〜S310)で感光した部分が除去されたレジストパターンが形成される。当該残存したレジストパターンには、図26(b)に示すように、ストレート付きテーパノズル119、トラップ溝120、接着剤逃げ溝188が形成されており、このレジストパターンがノズルプレート190を構成するものになる。
次いで、図25のステップS314において、上記ポストベーク後のレジストパターンについて保護膜コートを行う。これは、ノズルプレートを構成する主材料がポジレジスト(樹脂)であるためインクに対する耐液性を高めるために形成するものである。少なくとも、ノズルの内面については保護膜でコーティングすることが好ましい。
その後、図26(c)に示すように、ノズルプレート190を構成するポジレジスト層に重ねて連通板122を接合する(図25のステップS316)。なお、この接合の際に余剰接着剤が接着剤逃げ溝188に入りこむことで、接合信頼性が向上する点は図12の例で説明したとおりである。
こうして、ノズルプレート190を構成するポジレジスト層と連通板122を接合した後(図26(c))、露光マスク22を剥離することにより(図25のステップS318)、図26(c)に示す積層体(ノズルプレート190と連通板122とが積層接合された構造体)が得られる。
この後、ノズルプレート190の吐出面190Aに撥液コートを行い(図25のステップS320)、吐出面に撥液層を形成する。その後、液体吐出ヘッドを構成する他の流路形成基板(図26において不図示)を連通板122に重ねて接合する(図25のステップS322)。以上の工程により、目的とする液体吐出ヘッドが製作される。
70を利用する露光プロセスを適用することができる。
〔補正露光の制御について〕
ここで、上述した例1〜例7の実施形態に適用される補正露光の詳細について説明する。
図27はレジスト付きの露光マスクを透過する光をモニタする受光モニタ部の構成図である。なお、同図は、図13で例示した露光プロセスの場合を示す。図3で説明したとおり、受光モニタ部52には、ノズルプレート形成部50と同様のダミーマスクパターンが形成されており、このダミーマスクパターンの真下に受光センサ48が配置される。
図27に示すように、くびれ形状を形成する露光プロセスを行う場合、受光センサ48の受光面側には、広角傾斜回転露光工程の際にダミーパターンにおける波長選択膜34の開口領域38Dを透過する光を遮蔽する手段としての不透過膜194が設けられている。図13等で説明したとおり、広角傾斜回転露光工程では、主として不透明膜36の開口領域40を透過する光によって逆テーパ形状の感光が行われる。したがって、この開口領域40(図27のダミーパターンにおいて開口領域40Dに相当)を透過する光の光量をより正確にモニタする観点から、図27のように、広角傾斜回転露光時に波長選択膜34の開口領域38Dから直接入射する光の受光を防止する不透過膜194を備える。かかる構成により、逆テーパ形状のレジスト感光時における正確な露光補正が可能となる。
その一方、図28に示すように、ストレート部を形成する露光プロセス(垂直露光)を行う場合は、受光センサ48の受光面側に不透過膜194(図27参照)のような遮蔽手段を設けずに、波長選択膜34の開口領域38Dを透過した光を受光センサ48にて受光する構成とする。
図29は補正露光を含むプロセスの例を示すフローチャートである。ここでは、くびれ付き広角テーパノズルを形成するプロセスを例示するが、ストレート付きテーパノズルを形成する場合についても、同様に適用される。
まず、レジスト付きの露光マスクを露光装置のステージ上にセットする(ステップS402)。次いで、狭角傾斜回転露光を行い、レジストに対して順テーパ形状の円錐台形範囲を感光させる露光を行う。
このとき、図27で説明した受光センサ48によってレジストの透過光量をモニタリングし、適正な露光量となるように、照明ユニット60からの照度、照射時間、もしくはこれらの組み合わせを補正しながら露光制御を行う(ステップS404)。
次いで、図13で説明したように、液浸用の液体の充填、或いは、図16で説明した反射部材170の退避を行い(図29のステップS406)、レジスト裏面での反射を抑制した状態で広角傾斜回転露光を行う(ステップS408)。図13等で説明したとおり、広角傾斜回転露光の工程により、レジストに対して逆テーパ形状の円錐台形(逆円錐台形)範囲を感光させることができる。このとき、図27で説明した受光センサ48によってレジストの透過光量をモニタリングし、適正な露光量となるように、照明ユニット60からの照度、照射時間(露光時間)、もしくはこれらの組み合わせを補正しながら露光制御を行う。
なお、ポジレジストを用いる場合には、更に、図29のステップS410に進み、接着剤逃がし溝に対応する部分の溝形成など、必要に応じて裏面露光を行う。このときの露光量は、ステップS404またはS408の測定結果から適宜補正される。
露光工程終了後は、図8で説明したとおり、現像並びにポストベーク等の処理を行い、露光マスクの基板を取り外す(図29のステップS412)。
〔透明基板上におけるノズルプレート形成部に対応するマスクパターンの配置例〕
図3では、透明基板32上に4つのノズルプレート形成部を並べて配置する例を説明したが、回転ステージの特性を考慮して、ノズルプレート形成部に対応するマスクパターンを透明基板上で対称的に配置する態様が好ましい。
図30にその例を示す。図30(a)では、基板の回転中心を中心に90度の回転対称の位置関係となるように、各ノズルプレート形成部Ai、Bi、Ci、Di、Ei(i=1〜4)が配置されている。すなわち、図30(a)において、Ai(i=1〜4)で示される4つのノズルプレート形成部は、回転中心に対して回転対称位置にある。同様に、Bi、Ci、Di、Ei(i=1〜4)についても、それぞれi番号の違う4つのノズルプレート形成部は、90度回転対称位置にある。つまり、添え字のi番号が同じA〜Eのノズルプレート形成部の群が1/4円の区画領域内に配置されており、この1/4円内の5つのノズルプレート形成部を1ブロックとして、90度回転対称の位置に合計4ブロック分が形成されている。
本例の傾斜回転露光では、基板の回転中心に対して回転対称の位置関係にある部分は、露光条件が同等であるため、図30(a)のように回転対称の位置関係にあるマスクパターンで形成されるノズルプレート間での品質のばらつきは極めて少ないものとなる。したがって、Ai、Bi、Ci、Di、Eiから得られる対称位置ごとに5つのグループに分類してノズルプレートを品質を管理できる。
対称位置のノズルプレートを同一の装置に使用すれば、特性を揃えやすく、補正値の共通化も可能となる。
例えば、CMYKの4色カラー記録を行うインクジェット記録装置の印字ヘッドに適用する場合、A1〜A4をCヘット、B1〜B4をMヘッド、C1〜C3をYヘッド、に割り当て、カラー記録を実現する。こうすることで、装置内での吐出ヘッドのばらつき(ノズルプレートの製造精度に起因するバラツキ)を低減することができる。
或いはまた、A1〜A4を短尺ヘッドモジュールのつなぎに使用して長尺化を実現すること好ましい。1つの吐出ヘッドについて、対称位置のノズルプレートを利用して長尺化することで、ヘッド内での吐出特性のバラツキを低減できる。
なお、図30(b)に示すような配列例では、基板の回転中心を中心に180度の回転対称の位置関係となるように、各ノズルプレート形成部Ai、Bi、Ci、Di、Ei(i=1〜4)が配置されている。すなわち、図30(b)において、A1、A3で示される2つのノズルプレート形成部は、回転中心に対して180度の回転対称位置にあり、A2、A4で2つのノズルプレート形成部は、回転中心に対して180度の回転対称位置にある。同様に、Bi、Ci、Di、Ei(i=1〜4)についても、それぞれi=1,3の2つのノズルプレート形成部は、180度回転対称位置にあり、i=2,4の2つのノズルプレート形成部は、180度回転対称位置にある。
図30(b)におけるA1とA2は、概ね同等の位置関係ではあるが、回転対称の関係にない。したがって、図30(b)の配列態様は、図30(a)の配列態様に比べて、対称性が劣り、回転対称の位置ごとにノズルプレートを管理する場合に管理種別が増加する。つまり、図30(a)の配列態様の方が対称性が増すので、管理種別の低減の観点からは図30(b)よりも図30(a)の態様のほうが一層好ましい。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
次に、本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法によって製造されたノズルプレートを用いたインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置の例について説明する。
図31は、本発明の実施形態に係る画像形成装置であるインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。図31に示すように、このインクジェット記録装置210は、インクの色毎に設けられた複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」と称する場合あり)212K、212C、212M、212Yを有する印字部212と、各ヘッド212K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部214と、記録紙216を供給する給紙部218と、記録紙216のカールを除去するデカール処理部220と、ヘッド212K、212C、212M、212Yのノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙216(記録媒体)の平面性を保持しながら記録紙216を搬送する吸着ベルト搬送部222と、印字部212による印字結果を読み取る印字検出部224と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部226を備えている。
インク貯蔵/装填部214は、各ヘッド212K,212C,212M,212Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド212K,212C,212M,212Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部214は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図31では、給紙部218の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部218から送り出される記録紙216はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部220においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム230で記録紙216に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カッター228によって、所定のサイズにカットされた記録紙216は、吸着ベルト搬送部222へと送られる。吸着ベルト搬送部222は、ローラ231、232間に無端状のベルト233が巻き掛けられた構造を有し、少なくともヘッド212K、212C、212M、212Yのノズル面及び印字検出部224のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト233は、記録紙216の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図31に示したとおり、ローラ231、232間に掛け渡されたベルト233の内側において印字部212のノズル面及び印字検出部224のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー234が設けられており、この吸着チャンバー234をファン235で吸引して負圧にすることによってベルト233上の記録紙216が吸着保持される。
ベルト233が巻かれているローラ231、232の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト233は図31において、時計回り方向に駆動され、ベルト233上に保持された記録紙216は、図31の左から右へと搬送される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式の搬送機構を用いる態様も可能である。
縁無しプリント等を印字するとベルト233上にもインクが付着するので、ベルト233の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部236が設けられている。ベルト清掃部236の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
吸着ベルト搬送部222により形成される用紙搬送路上において印字部212の上流側には、加熱ファン240が設けられている。加熱ファン240は、印字前の記録紙216に加熱空気を吹きつけ、記録紙216を加熱する。印字直前に記録紙216を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部212の各ヘッド212K,212C,212M,212Yは、当該インクジェット記録装置210が対象とする記録紙216の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図32参照)。
ヘッド212K,212C,212M,212Yは、記録紙216の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド212K,212C,212M,212Yが記録紙216の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部222により記録紙216を搬送しつつ各ヘッド212K,212C,212M,212Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙216上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド212K,212C,212M,212Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙216と印字部212を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙216の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシリアルスキャン型(シャトル型)ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図31に示した印字検出部224は、印字部212の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像から、ノズルの目詰まりや着弾位置ずれなどの吐出不良をチェックする手段として機能する。各色のヘッド212K,212C,212M,212Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部224により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部224の後段には後乾燥部242が設けられている。後乾燥部242は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。
後乾燥部242の後段には、加熱・加圧部244が設けられている。加熱・加圧部244は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ245で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部226から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置210では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部226A、226Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)248によってテスト印字の部分を切り離す。また、図31には示さないが、本画像の排出部226Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド212K,212C,212M,212Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
図33(a)はヘッド250の構造例を示す平面透視図である。図33(a)に示すように、本例のヘッド250は、インク滴の吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなるインク室ユニット(1ノズルに対応した記録素子単位となる液滴吐出素子)253を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。なお、ノズル251は、図12等において符号119で説明した「ストレート付きテーパノズル」或いは、図15、図21、図24等で説明した「くびれ付き広角テーパノズル」である。
なお、記録媒体216の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に、記録媒体216の全幅に対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図33(a)の構成に代えて、図33(b)に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドユニット250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化し、記録媒体216の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル251への流出口と供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。また、ノズル251や供給口254の配置も図33(a),(b)に示す配置に限定されず、例えば、圧力室252の略中央部にノズル251を配置してもよいし、圧力室252の側壁側に供給口254を配置してもよい。
図34は1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット253)の立体的構成を示す断面図である。同図では、図24で説明したノズルプレート160’と同様のノズルプレート160’を備えたヘッド250の例を示したが、図12で説明したノズルプレート116や図15で説明したノズルプレート126、図26で説明したノズルプレート190を採用する構成も可能である。
図34に示すように、ヘッド250は、ノズルプレート160’、連通板122、共通流路形成プレート260、絞り板262、圧力室形成プレート264、振動板266及び圧電素子268を積層接合した構造から成る。
連通板122は、圧力室252からノズル251へと繋がる連通路(ノズル流路)270の一部を形成するとともに、各圧力室252にインクを供給するための共通流路272の床面を形成する部材である。共通流路形成プレート260は、共通流路272の側壁部となる部分を形成するとともに、連通路270の一部を形成する流路形成部材である。
絞り板262は、共通流路272から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としてのインク供給口254を形成するとともに、連通路270の一部を形成する流路形成部材である。圧力室形成プレート264は、圧力室252の側壁部となる部分を形成する流路形成部材である。
振動板266は、圧力室252の一部の面(図34おいて天面)を構成する部材であるとともに、ステンレス鋼(SUS)などの導電性材料から成り、各圧力室252に対応して配置される複数の圧電素子268の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。
振動板266の圧力室252側と反対側(図34において上側)の表面には、各圧力室252に対応する位置に、圧電体274が設けられており、該圧電体274の上面(共通電極を兼ねる振動板266に接する面と反対側の面)に個別電極275が形成されている。この個別電極275と、これに対向する共通電極(ここでは振動板266が兼ねる)と、これら電極間に挟まれるように介在する圧電体274とで圧電素子(「アクチュエータ」に相当)268が構成される。圧電体274には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電材料が好適に用いられる。
図34の構成において、共通流路272はインク供給源たるインクタンク(図34中不図示、図31においてインク貯留/装填部214と等価なもの)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは図34の共通流路272を介して各圧力室252に供給される。
圧力室252にインクを充填した状態で、個別電極275と共通電極(振動板266で兼用)と間に駆動電圧を印加することによって圧電素子268が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、圧電素子268の変位が元に戻る際に、共通流路272からインク供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
〔吐出回復装置〕
図35は、インクジェット記録装置210におけるインク供給系及び吐出回復装置(メンテナンスユニット)の構成を示した概要図である。インクタンク290はヘッド250にインクを供給するための基タンクであり、図31で説明したインク貯蔵/装填部214に設置される。インクタンク290の形態には、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示省略)からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を替える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。
図35に示したように、インクタンク290とヘッド250を繋ぐ管路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ292が設けられている。フィルタ・メッシュサイズはヘッド250のノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図35には示さないが、ヘッド250の近傍又はヘッド250と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置210には、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ294と、ノズル面250Aの清掃手段としてのクリーニングブレード296とが設けられている。
これらキャップ294及びクリーニングブレード296を含むメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によってヘッド250に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド250下方のメンテナンス位置に移動されるようになっている。
キャップ294は、図示しない昇降機構によってヘッド250に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源OFF時や印刷待機時にキャップ294を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド250に密着させることにより、ノズル面250Aのノズル領域をキャップ294で覆うようになっている。また、このキャップ294は、ノズル吸引のための吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。
クリーニングブレード296は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構によりヘッド250のインク吐出面(ノズル面250A)に摺動可能である。ノズル面250Aにインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード296をノズル面250Aに摺動させることでノズル面250Aを拭き取り、ノズル面250Aを清浄化するようになっている。
印字中又は待機中において、特定のノズル251の使用頻度が低くなり、そのノズル251近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排出すべく、キャップ294に向かって予備吐出が行われる。
すなわち、ヘッド250は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ(圧電素子268)が動作してもノズル251からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子268の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子268を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面250Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード296等のワイパーによってノズル面250Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル251内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ヘッド250内のインク(圧力室252内のインク)に気泡が混入した場合、ヘッド250にキャップ294を当て、吸引ポンプ297で圧力室252内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク298へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。
具体的には、ノズル251や圧力室252内に気泡が混入したり、ノズル251内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、圧電素子268を動作させる予備吐出ではノズル251からインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド250のノズル面250Aに、キャップ294を当てて圧力室252内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ297で吸引する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室252内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。また、好ましくは、キャップ294の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
なお、本実施形態ではフルラインヘッドを例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、記録媒体の幅よりも短い長さのノズル列を有する短尺のヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら、記録媒体の幅方向の印字を行うシリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドにも適用可能である。
また、上述の実施形態においては、インクジェットヘッドのノズルプレートを製造する方法について説明したが、本発明に係るノズルプレートの製造方法により製造されるノズルプレートの適用範囲は上述したインクジェト記録装置に限らず、工業用の精密塗布装置、レジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、染色加工装置など、液体を吐出(噴射)する各種の液滴吐出装置に用いられる液滴吐出ヘッドに適用可能である。
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