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JP4854750B2 - ブラシの製造方法 - Google Patents
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本発明は、ブラシの製造方法に関わり、特に、歯ブラシの製造に好適なブラシの製造方法に関する。
ブラシの製造方法として、従来より、所定の長さに切断された用毛の集合からスリーブを用いて用毛束を取り出し、スリーブ内に納められた用毛束を金型等に設けられた孔に挿入し、樹脂等で用毛束を固定する方法は知られていた。
しかし、用毛のねじれ等の原因により、用毛束の先端部が広がってしまったり、製造工程の中で用毛が折れてしまったり、用毛束の先端が揃わずに所望の性能や外観が得られなかったりする課題があった。
このため、リール等に巻き取られた長尺の用毛を必要本数巻き出して束ね、それを金型等の挿入口に束に揃えたまま挿入し、必要な長さに切断するという方法が一般的に採用されているのが現状である。
しかし、この方法では必要な用毛束の本数を賄うために多数のリールを製造ラインに設ける必要があり、非常に大掛かりな設備を必要とするほか、トラブルなどが生じた場合に復旧するための時間と材料ロスが多く、生産性の低下とコストアップの原因となる。また、使用する用毛の種類や植毛パターン等の変更に多くの人手、時間、費用を必要とするため、一つの設備で多品種の製品を生産したり、モデルチェンジを短期間で行う製品の生産には向かない。
所定長さに切断された用毛の集合にスリーブを差し込んで該スリーブ内に導入した後に、該スリーブ内に導入された該用毛を送出して植毛する工程を具備するブラシの製造方法に関する従来技術としては、例えば、下記特許文献1に記載の技術が知られている。
この技術は、用毛の集合からスリーブを用いて用毛束を取り出し、スリーブ内に納められた用毛束を金型に設けられた孔に挿入するものである。
ところで、この技術では、スリーブに導入された用毛束をその状態のまま金型内に挿入し、用毛束の一方の端部を加熱溶融して連続したベースを形成し、次いで成形材料を充填して用毛束を固定しているため、スリーブに用毛を導入する工程、加熱溶融でベースを形成する工程、成形材料を充填する工程の各工程において、用毛束の配向状態と整列状態に大きな乱れが生じてしまう課題を有していた。
また、この技術では、金型の孔に挿入される用毛束の密度を高くすることができないので、成形金型のキャビティー内に樹脂を充填したときに、金型に設けられた孔から樹脂が漏れ出してしまう問題があった。
一方、下記特許文献2には、用毛の供給体にスリーブを差し込んで用毛束を取り出し、スリーブ内の用毛をバイスに移動させ、次いでバイスからブラシ本体のヘッド(ベース部材)に形成された複数の孔に用毛束を挿入するブラシの製造方法が開示されている。
特表平9−510642号公報 特許第3226276号公報
しかしながら、この技術では、スリーブ内の用毛束の配向状態と整列状態が不十分になるほか、用毛束の一部しかバイスで把持していないために、下記1〜4のような問題があった。
1.スリーブからバイスへの移し替えを行うときに、用毛束が乱れる。
2.用毛束の一部だけしか把持していないため、把持部を除く用毛束の両端が開いてしまう。
3.ダイにより用毛束の両端を整形する工程で用毛束が乱れる。
4.ベース部材に設けられた孔に用毛束を挿入する際に、用毛が折れたり、用毛束のねじれが生じて挿入自体が困難であり、挿入できたとしても用毛束の乱れが著しくなる。
このため、得られるブラシにおいて、植毛された用毛束の配向状態と整列状態は十分な品質を満たすものにはならない。またこの技術では、用毛束の先端形状を形成することも困難である。
従って、本発明の目的は、用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列したブラシを製造することができるブラシの製造方法を提供することにある。
ここで、用毛束の配向性に優れるとは、用毛束を構成する個々の用毛が、ねじれたり折れ曲がったりせずに、その長さ方向に伸び、束としてきれいにまとまっている状態をいい、用毛がきれいに整列している状態とは、前記用毛束の配向性と合わせて、用毛束の先端部が所望の形状となるように個々の用毛の先端が所定の整列形態にきれいに整列していることをいう。
本発明者らは、スリーブの軸方向に直交する断面積Asと該植毛孔又は該挿入部の軸方向に直交する断面積Aiとの比(As/Ai)を特定範囲とし、且つスリーブ内に導入する用毛の密度と、植毛基部の植毛孔又は金型の挿入部に挿入する用毛の密度を所定の範囲とすることにより、用毛がきれいに整列し、且つ用毛束の配向性にも優れるブラシを安定的に製造し得ることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたものであり、所定長さに切断された用毛をスリーブ内に導入した後に、導入された前記用毛を前記スリーブ内から送出して植毛基部の植毛孔又は金型の挿入部内に挿入する工程を具備するブラシの製造方法であって、前記スリーブの軸方向に直交する断面積Asと前記植毛孔又は前記挿入部の軸方向に直交する断面積Aiとの比(As/Ai)が1.02〜1.3であり、且つ該スリーブ内に47〜75%の用毛密度で該用毛を導入した後に、導入された該用毛を該スリーブ内から送出して前記植毛孔又は前記挿入部内に60〜80%の用毛密度で挿入するブラシの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列したブラシを製造することができる。
本発明のブラシの製造方法に用いられるスリーブの一形態を模式的に示す図であり、(a)は半断面図、(b)は(a)のAの部分の要部拡大断面図である。 本発明のブラシの製造方法に用いられる押圧ピンの一形態を模式的に示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。 スリーブ内に導入された用毛を押出ピンで押し出して植毛孔に挿入している状態を模式的に示す要部断面図である。 図3の要部を拡大した図である。 本発明のブラシの製造方法に用いられる装置の一形態を模式的に示す図である。 用毛の集合にスリーブを挿入して用毛を導入している状態を模式的に示す図であり、(a)はスリーブを用毛に差し込む前の状態を示す図、(b)はスリーブのノズル部を用毛に差し込んだ状態を示す図、(c)はスリーブを用毛から引き抜いた状態を示す図である。
以下、本発明を、その好ましい実施形態として、歯ブラシの製造に適用した実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
先ず、所定長さに切断された多数の用毛が縦に揃えられた集合に、スリーブを差し込んで該スリーブ内に所定の用毛密度(以下、スリーブ内用毛密度ともいう。)で該用毛を導入する。
前記用毛の集積密度は、用毛の太さ、用毛の材質、用毛の長さに応じて適宜設定することができるが、用毛を分離し易くする観点から50〜75%であることが好ましく、55〜70%であることがより好ましい。ここで用毛の集積密度とは、単位面積当たりの集積した用毛の総断面積の割合(百分率)である。
用毛の集積密度を上記の範囲にすることで、スリーブ内に用毛を挿入する際に、スリーブ内での用毛の密度を適切な範囲に制御しやすくなり、毛束の配向状態と整列状態をより良くすることができる。集積密度が低すぎると、スリーブ内に挿入される用毛本数が取り出す毎に不安定になるため、本数が少なくスリーブ内の用毛密度が低下した場合に、スリーブ内の用毛束の一部にがねじれが生じるなどの問題が生じやすくなる。集積密度が高すぎると、スリーブを差し込んだ際に、用毛集合の用毛の一部を押し込んでしまうなどして集合内の用毛の整列状態を乱してしまい、スリーブ内に挿入される用毛束の整列状態を悪くすることになりやすい。また、スリーブ内の用毛密度が高くなりすぎるおそれがあり、その場合にはスリーブ内で用毛束を再整列しようとしても不可能となる。用毛の集積密度を変更するためには、用毛の径方向から用毛の集合に加える力を加減したり、用毛の集合を収容する容器等の体積を増減させるなどの手段を用いることができる。
前記用毛には、従来から歯ブラシの用毛に用いられている通常の材質、形態を特に制限なく用いることができる。
前記用毛の材質としては、ナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。
前記用毛の長さは、5〜15mmであることが好ましく、8〜13mmであることがより好ましい。用毛13の太さは、5〜10mil(127〜254μm)であることが好ましく、7〜9mil(178〜229μm)であることがより好ましい。
前記用毛は、略水平な整列面に当該用毛の長さ方向が垂直となるように整列させることが好ましい。
前記スリーブには、図1に示すように、前記用毛の集合内に差し込まれるノズル部21、及び上下に貫通し用毛が導入される用毛の導入孔22を有するものを用いることが好ましい。導入孔22の上方部は、後述する押出ピン61の挿入が行い易いように拡径されている。
スリーブ2における前記導入孔の軸方向に直交する断面積(As)は、用毛を挿入する植毛孔の断面積との比で後述する植毛孔の軸方向に直交する断面積(Ai:植毛孔の挿入口にテーパーを設けた場合はその部分を除いた直線部分の断面積)との比(As/Ai)が1.02〜1.3となるように設定する。特に、1.05〜1.2となるように設定することが好ましい。
前記比(As/Ai)が小さすぎると植毛孔または挿入部での用毛密度を最適な範囲に収めることが難しくなり、スリーブ内の用毛の配向状態と整列状態がより悪い状態で植毛孔または挿入部に用毛束が挿入される場合がある。また、植毛孔または挿入部における用毛密度を最適な範囲まで高くすることができなかった場合には、用毛束の一方の端部を加熱溶融工程や樹脂充填等により用毛を固定する工程において、さらに配向状態と整列状態を乱したり、植毛孔または挿入部からの樹脂漏れが生じる。
前記比(As/Ai)が大きすぎると植毛孔または挿入部の中での用毛密度が過剰に高くなりやすく、発生する応力が過剰となるため用毛束の先端が開いてしまうなどの整列状態が悪くなる。また、挿入時に各用毛が相対的にずれたりねじれたりすることで配向状態を乱したり、用毛が座屈して折れてしまうなどの挿入ミスが生じる。
ノズル部21は、用毛の集合に差し込んで導入孔22内に用毛を導入した後スリーブを引き上げて用毛を分離するときに、ノズル部21の周りの用毛がつられて引き上げられるのを抑えることができるように、全体として先細る形態とすることが好ましい。この角度θ1は、0.5〜5°であることが好ましい。また、ノズル部21の肉厚t1は、用毛の集合に挿入しやすくする点から0.1〜1mmであることが好ましい。ノズル部21の長さL1は、用毛の長さに応じて適宜設定することができるが、ノズル部の剛性、耐久性を確保すること、ノズル部の作成の難易度、コストを下げる点から用毛長さの100〜150%であることが好ましい。
ノズル部21は、先端部にさらに先細るテーパー部21aを有している。テーパー部21aの先端の肉厚t2は、用毛1本の直径よりも薄くすることが好ましい。このように、テーパー部21aの先端の肉厚を、用毛1本の直径よりも薄くすることで、テーパー部21aの先端部が3本の用毛に跨る(当該肉厚内に用毛1本が収まる)ことがなく、ノズル部21が用毛の間にスムーズに挿入される。このテーパー部21aの先端部の肉厚t2は、0.05〜0.3mmであることが好ましい。テーパー部21aの先端は、丸め加工を施しても良い。また、テーパー部21aの角度θ2は、ノズル部の剛性、耐久性を確保すること、ノズル部の製作の難易度、コストを下げる、用毛の集合に挿入し易くする点から5〜45度であることが好ましい。
スリーブ2は、前記導入孔22の直線部分(前記拡径部分を除く長さ方向に直交する断面が一定な部分)の長さL3が前記用毛の長さの110〜300%とすることが好ましい。該直線部分が短すぎると、押出ピン60がスリーブ2内で後退した時に、先端部60aの一部が導入孔22拡径部分にかかってしまい挿入を不安定にしたり、用毛の長さの変更に対応できなくなる場合があり、該直線部分が長すぎると、押出ピン60のL4が長くなると曲がりやすくなり、スリーブ2の導入孔22と接触する可能性がある。
スリーブ2は、加工精度、耐久性、剛性、コスト等の点から炭素工具鋼、合金工具鋼、ハイス等の金属製とすることが好ましい。
また、ノズル部21の外表面は、当該ノズル部21を用毛の集合に差し込む際の抵抗を抑える点から、無電解メッキを施したり、テフロン(登録商標)樹脂等で表面加工を施す等することによって、表面を潤滑に仕上げることが好ましい。
前記スリーブ内用毛密度は、47〜75%であり、好ましくは55〜70%、さらに好ましくは60〜65%とする。該スリーブ内用毛密度が低すぎると用毛の集合から取り出した時の整列状態をスリーブ内で維持できない場合があり、高すぎると押出し抵抗が大きくなり、押出ピンと導入孔との間に用毛が噛み込んでしまったり、各用毛間のずれの抵抗が大きくなり、用毛の先端部を所定の整列形態に整列させる時に、当該整列形態に対応した形状とならない場合がある。ここで、スリーブ内用毛密度は、(挿入される用毛の長さ方向に直交する断面積の総和)/(スリーブの直線部分における軸方向に直交する断面積)をいう。スリーブ内用毛密度を変更するためには、用毛の集合内の集積密度を増減させる、スリーブの先端開口部の面積、形状を変更するなどの手段を用いることができる。
次に、前記スリーブ内用毛密度で前記スリーブ内に導入された前記用毛を、該スリーブ内から送出する。前記スリーブ内からの前記用毛の送出には、図2に示すような、前記スリーブ内に挿入可能な押出ピン60が用いられる。
押出ピン60は、前記スリーブ内に導入された前記用毛が前記導入孔の送出口から全て送出できるように、その先端部から所定長さ(L4)の部分が、前記導入孔における前記直線部分の長さ方向に直交する断面に対応する断面形態を有している。この所定長さの部分は、前記導入部の内面との間に用毛の太さより狭い所定のクリアランスに設けることが好ましい。このクリアランスは、0.02〜0.15mmであることが好ましい。このクリアランスが狭すぎると押出ピンが導入孔に接触する可能性があり、広すぎると押出ピンと導入孔との間に用毛が噛み込んでしまう場合がある。
押出ピン60の先端部60aは、用毛の先端部を所定の整列形態に整列させる場合には、当該整列形態に対応した形状とすることが好ましい。例えば、図3及び図4に示すように用毛保持治具8の挿入孔80の先端を曲面状の形態とし、用毛の先端をこれに対応させて曲面状に整列させた形態とする場合には、押出ピン60の先端60aを、図2に示すように、その曲率に応じて送出方向に直交する面で段を設けたり、当該形態に対応するように曲面状に設けておき、スリーブ2内の用毛10を予め最終的な曲面状の形態に対応した形態とすることが好ましい。押出ピンの先端を曲面状に設ける場合には、押出ピンの先端の外縁から内側に所定幅に、送出方向に直交する面を設けることが好ましい。
そして、前記植毛基部の植毛孔内に所定の用毛密度(植毛孔内用毛密度:以下、単に植毛密度ともいう。)で前記用毛を挿入する。
前記植毛密度は、60〜80%とすることが好ましく、より好ましくは65〜75、さらに好ましくは70〜75。ここで、植毛密度は、(挿入される用毛の長さ方向に直交する断面積の総和)/(植毛孔の軸方向に直交する断面積)をいう。植毛密度を上記の範囲とすることで、ブラシ用毛束の配向状態と整列状態を一層良好な状態にすることができる。植毛密度が高すぎる場合は、植毛孔内または挿入部内での用毛密度が過剰に高くなりやすく、発生する応力が過剰となるため用毛束の先端が開いてしまうなどの配向状態が悪くなる。また、挿入時に各用毛が相対的にずれたりねじれたりすることで整列状態を乱したり、用毛が座屈して折れてしまうなどの挿入ミスが生じやすい。植毛密度が低すぎる場合は、用毛束の一方の端部を加熱溶融工程や樹脂充填等により用毛を固定する工程において、さらに配向状態と整列状態を乱したり、植毛孔または挿入部からの樹脂漏れが生じたりしやすい。植毛密度を変更するためには、前記スリーブ内用毛密度を変更したり、面積比(As/Ai)を変更するなどの手段を用いることができる。
植毛孔の軸方向に直交する断面積Asは、スリーブの軸方向に直交する断面積Asに応じて適宜設定することができる。植毛孔の挿入口には外方に向けてテーパー状に漸次拡径する拡径部を設けることが好ましい。テーパーを設けることで用毛束の挿入が容易になると同時に、スリーブ内の用毛束の整列状態と配向状態を挿入後も維持しやすくなる。また、用毛の挿入方向に対して、植毛孔または挿入部の深さ方向が傾斜している場合であっても、整列状態と配向状態とを維持したまま挿入することができる。さらに、挿入口にテーパーを設けずに、複数の植毛孔に対応した孔を有し且つその一方にテーパーを設けた補助部材を植毛基部または金型とスリーブの間に配置し、補助部材を通して用毛束を挿入する方法も好ましく用いることができる。該拡径部の角度θ3(図4参照)は、20〜120°であることが好ましい。
植毛基部の好ましい寸法設定としては、用毛束の整列状態と配向状態を考慮し、図4に示す如く、植毛基部の肉厚a2を1mm〜3mm、植毛孔12aの有効孔部の長さ(直線部分)a1を0.5mm〜2.5mmに設定することが好ましい。また、植毛基部の植毛孔12aの孔径に対し、用毛束保持具8の挿入孔80の孔径については、同一径が基本であるが、用毛束の挿入性を考慮し、挿入孔80の孔径の方を植毛孔12aの孔径よりも0.05mm〜0.2mm程度大きく設定することが好ましい。
本実施形態の方法は、例えば、図5に示すような装置1で行うことができる。
装置1は、所定長さに切断された用毛の集合から所定本数の該用毛を分離して移送する装置であり、前記用毛の集合にスリーブ2を差し込むようにz軸方向に移動させる移動手段3と、前記用毛の集合にスリーブ2を支持する支持手段4と、押出ピン60を用毛の送出方向に移動させる用毛の送出手段6とを備えている。
前記用毛の送出手段6は、押出ピン60を上下動させる上下動機構61とを備えている。
次に、図6(a)に示すように、上述のようにして集積された用毛の集合の上方に、前記スリーブ2を移動させる。そして、図6(b)に示すように、前記移動手段3によってスリーブ2を降下させてノズル部21を用毛10内に差し込み、当該スリーブ2の導入孔22内に所定本数の用毛10を導入する。
次に、導入孔22内に用毛を導入した後、前記移動手段3によって、図6(c)に示すように、導入された前記用毛10を前記スリーブ2とともに引き上げる。
次に、図3に示すように、内部に用毛10が導入されたスリーブ2を用毛束保持治具8上に固定された歯ブラシ本体11の上方に移動させる。そして、用毛の送出手段6の前記上下動機構61によって押出ピン60を降下させて用毛10をその先端形状を用毛束保持具8の用毛束挿入孔80の先端形状に対応させて整列させながら、歯ブラシ本体11の植毛基部12の植毛孔12aを介して当該用毛束挿入孔80内に挿入する。そして、一つの用毛束の植毛工程が完了する。
全ての植毛孔についての植毛工程が終了した後、スリーブ2及び押出ピン60を退避させ、植毛孔12aから突出する用毛束の溶融端部を、レーザービーム等の所定の溶融手段(図示せず)で溶融させて溶融塊を形成する。そして、射出成形や、接着剤による被覆等の常法によって、植毛部12の背面部を形成して歯ブラシの製造を終了する。
以上説明したように、本実施形態よれば、用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列したブラシを製造することができる。
また、本実施形態によれば、用毛束保持具8に植毛基部を位置決め固定した上で射出成形を行うので、射出成形用の金型に用毛の挿入部を形成して直接射出成形を行う場合に比べて樹脂漏れが起こりにくい。
また、弾性変形が可能な樹脂製の植毛基部を用いることで、スリーブでの用毛の集合から取り出す用毛の本数の振れによる植毛孔内での用毛束の圧力の振れを小さくすることができ、用毛束の配向状態と整列状態の乱れを抑えることができる。
また、本数が多く振れた場合であっても挿入抵抗を小さくできるので、用毛の折れや整列状態の乱れを抑えることができる。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
本発明は、予め用毛束に対応した本数に分離された複数本の用毛を気流によりスリーブ内に導入した後に、導入された該用毛を該スリーブ内から送出して前記植毛孔又は前記挿入部に前記所定の用毛密度で挿入する場合にも適用することができる。この場合には、該スリーブ内に47〜75%、特に50〜60%で該用毛を導入することが好ましい。
前記実施形態では、植毛基部の植毛孔を介して用毛を用毛束保持具の挿入孔に挿入するようにしたが、用毛束の挿入対象はこれに制限されるものではない。例えば、歯ブラシの植毛部のキャビティを構成する金型に設けられた用毛束挿入孔、複数の用毛束を所定の方向に配向させるキャリッジ等の複数の挿入孔を有する治具の当該挿入孔等も用毛束の挿入対象とすることができる。
本発明は、前記実施形態におけるように、歯ブラシの製造に特に好適であるが、歯ブラシ以外のブラシの製造、例えば、ヘアブラシ、マッサージブラシ、洗浄ブラシその他の各種ブラシの製造にも適用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
下記実施例1〜8及び下記比較例1〜12のように用毛を植毛孔に挿入し、植毛孔から突出する端部を下記のようにして溶融して溶融塊を形成し、下記のように射出成形によって当該溶融塊を被覆して植毛し、所定の歯ブラシを得た。そして、その際の評価を下記のように行った。それらの結果を表1に示す。
〔実施例1〜8〕
下記用毛を用い、表1に示すように、前記スリーブの軸方向に直交する断面積Asと該植毛孔又は該挿入部の軸方向に直交する断面積Aiとの比(As/Ai)、スリーブ内用毛密度及び植毛孔内用毛密度を変化させて下記植毛孔に植毛した。
<用毛>
用毛:ナイロン製、長さ13mm、太さ0.203mm
用毛集積密度:60%
<スリーブ>
導入部:長さ(L3)29mm、断面形状0.9×2.32mm、トラック円 断面積1.914mm2
ノズル部:長さ(L1)16mm
<植毛孔>
植毛基部:ポリプロピレン
植毛孔:深さ(直線部分)1.0mm、断面形状0.8×2.2mmトラック円、断面積1.623平方ミリメートル
<送出条件>
押出ピンの断面形状:スリーブ断面形状に対して−20μmオフセットした。
送出速度:100mm/sec
<溶融塊形成条件>
炭酸ガスレーザー出力13w、スポット径0.15mm、スキャニング速度150mm。
<射出成形条件(植毛基部背面充填)>
樹脂温度:220℃、射出圧力(樹脂圧):300kg/cm2
〔植毛後の用毛束のねじれ〕
植毛後の用毛束のねじれを下記三段階で評価した。
○:植毛された用毛束先端の用毛軸方向に投影された用毛束形状が、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき、用毛の軸方向がほぼ揃っている。
△:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向へ傾いているが、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識できる。
×:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向に大きく傾き、用毛束が花びら状に広がり、植毛孔形状が認識できない。
〔植毛後の用毛束の整列性〕
植毛後の用毛束の整列性を下記三段階で評価した。
○:植毛された用毛束先端の用毛軸方向に投影された用毛束形状が、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき、用毛の軸方向がほぼ揃っている。
△:植毛された用毛束のうち数本が用毛束軸方向に対し傾き、隣接する用毛束に接触するまたは基部の幅を超えない範囲にある。
×:植毛された用毛束のうち数本または多数が用毛束軸方向に対し傾き、隣接する用毛束内に入り込むまたは基部の幅を超える。
〔集合内の毛折れ〕
用毛の集合内における毛折れを下記三段階で評価した。
○:スリーブで取り出された用毛束内に折れた用毛がほとんど混入しない。
△:定期的に用毛の集合内より折れた毛を除去しないと、スリーブで取り出された用毛束に折れた用毛が混入する。
×:スリーブで取り出された用毛束内に折れた用毛が混入し、連続して植毛できない。
〔植毛後の毛立ち〕
植毛後における用毛の毛立ちを下記三段階で評価した。
○:植毛された用毛束先端の用毛軸方向に投影された用毛束形状が、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき、用毛の軸方向がほぼ揃っている。
△:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向と略直交する方向へ傾いているが、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識できる。広がりが植毛孔寸法の1.2倍以下。
×:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向と略直交する方向へ大きく傾き、広がりが植毛孔寸法の1.2倍を超える、または植毛孔形状が認識できない。
〔樹脂漏れ〕
射出成形後における樹脂漏れを下記三段階で評価した。
○:後充填された樹脂が、植毛基部より植毛面側に突出していない。
△:後充填された樹脂が、植毛面側への突出が0.5mm以下であり、一部の用毛束にのみ確認される。
×:後充填された樹脂が、植毛面側への突出が0.5mmを超える、または用毛束全体にわったて突出が確認される。
〔植毛ミス〕
植毛ミスを下記三段階で評価した。
○:植毛装置で連続的に植毛できる。
△:植毛装置で連続的に植毛できるが、植毛基部への挿入量が不十分なものが発生する、または植毛基部周辺に用毛が脱落する。
×:用毛束を基部に挿入できない、または植毛基部周辺に用毛が脱落し、植毛装置で連続的に植毛できない。
〔用毛先端整列性〕
植毛後における用毛の先端の整列性を下記三段階で評価した。
○:所定の整列形態が形成されている。
△:所定の整列形態が形成されているが、修正を要する用毛の飛び出しが見うけられる。
×:整列形態に一部欠損がある。
〔比較例1〜12〕
前記面積比(As/Ai)、スリーブ内用毛密度及び植毛孔内用毛密度を本発明の範囲外となるようにした以外は、実施例と同様にして植毛を行った。
Figure 0004854750
表1に示すように、前記面積比(As/Ai)、スリーブ内用毛密度及び植毛密度が本発明の範囲内にある実施例の歯ブラシは、比較例の歯ブラシに比べ、用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列していることが確認された。
1 用毛の分離移送装置
2 スリーブ
3 移送手段
4 支持手段
6 用毛の送出手段
60 押出ピン

Claims (1)

  1. 所定長さに切断された用毛をスリーブの導入孔内に導入した後に、導入された前記用毛を、前記スリーブの前記導入孔内から送出して植毛基部の植毛孔を介して、用毛束保持具の用毛束挿入孔内に挿入する工程を具備するブラシの製造方法であって、
    前記用毛束保持具は、前記植毛基部を備えたブラシ本体を固定するものであり、
    前記スリーブ内からの前記用毛の送出には、前記スリーブ内に挿入可能な押出ピンが用いられ、
    前記押出ピンは、その先端部から所定長さの部分(L4)が、前記スリーブの導入孔における直線部分の長さ方向に直交する断面に対応する断面形態を有し、該押出ピンの前記先端部が、前記用毛束挿入孔の先端の形態に対応するように形成され、
    前記用毛束挿入孔の孔径は、前記ブラシ本体の前記植毛孔の孔径よりも大きく設定されており、
    前記スリーブにおける前記導入孔の軸方向に直交する断面積Asと前記植毛孔の軸方向に直交する断面積Aiとの比(As/Ai)が1.02〜1.3であり、且つ該スリーブ内に47〜75%の用毛密度で該用毛を導入した後に、導入された該用毛を該スリーブ内から送出して前記植毛孔内に60〜80%の用毛密度で挿入するブラシの製造方法。
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