JP4854834B2 - 炭酸ガスレーザーによる銅張板への孔形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅張板の銅箔表面に炭酸ガスレーザー孔あけ用補助材料を配置し、まず1ショット目でこの補助材料を加工後、2ショット目で表層の銅箔を貫通する出力の炭酸ガスレーザーを照射して銅箔を孔あけ加工した後貫通孔及び/又はブラインドビア孔を形成する方法に関する。更に好ましくは内外層に発生した孔周辺の銅箔バリを、薬液にて溶解除去すると同時に銅箔表面の一部を平面的にエッチングし、全体を銅メッキして作成される銅張板を用いて得られたプリント配線板は、小径の孔を有し、細密なパターンが形成された高密度の小型プリント配線板として、半導体プラスチックパッケージ用等に主に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体プラスチックパッケージ等に用いられる高密度のプリント配線板は、メカニカルドリルで貫通孔あけを行っていた。近年、ますますドリルの径は小径となり、孔径が0.15mmφ以下となってきており、このような小径の孔をあける場合、ドリル径が細いため、孔あけ時にドリルが曲がる、折れる、加工速度が遅い等の欠点があり、生産性、信頼性等に問題のあるものであった。
また、表裏の銅箔にあらかじめネガフィルムを使用して所定の方法で同じ大きさの孔をあけておき、更には内層の銅箔にも同様の孔を予めエッチングで形成したものを配置しておき、炭酸ガスレーザーで表裏を貫通するスルーホール用孔を形成しようとすると、内層銅箔の位置ズレ、上下の孔の位置のズレを生じ、接続不良、及び表裏のランドが形成できない等の欠点があった。
【0003】
ブラインドビア孔あけにおいては、予め表層の銅箔をエッチングしておき、この上から低エネルギーの炭酸ガスレーザーエネルギーを照射して孔あけしていた。これは表層にエッチングレジストを使用し、露光、現像、エッチング、レジスト剥離などの工程が必要であり、作業性に劣っていた。また、多層板においては、内層の寸法収縮におけるブラインドビア孔の底部の銅箔の位置ズレなどが問題となっていた。
【0004】
更に、80〜180μm程度の孔をあける場合、60mJを超えるような非常に高エネルギーの炭酸ガスレーザーを銅箔表面に照射して銅箔に孔を形成することは可能であるが、あまりにも高エネルギーである場合には、孔あけ時に銅が溶融して飛散し、Fθレンズを汚し、その後の孔あけにおいて不良発生の原因になっており、加えて孔あけ時に樹脂が大きく加工され、孔形状、孔品質、孔径などに問題が生じ、実用上使用できるレベルではなかった。5〜60mJ程度のエネルギーを使用した場合、炭酸ガスレーザービームは銅箔表面で反射され、孔が形成されないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、銅箔表面に補助材料を使用し、かつ孔あけに適した5〜60mJのエネルギーの炭酸ガスレーザーを選択的に照射して以上のような問題点を解決した、銅張板への孔形成方法、特に高密度プリント配線板用に適した小径の孔を形成する方法を提供する。
【0006】
【発明が解決するための手段】
本発明は、銅張板の表面に、融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉を3〜97容積%含む樹脂組成物からなる補助材料を配置し、この上から好適には5〜60mJ から選ばれる炭酸ガスレーザーエネルギーを照射して、1ショット目で補助材料を孔あけ加工し、2ショット目で1ショット目より高エネルギーで表層の銅箔を加工除去して銅箔に孔をあける方法である。その後、目的に応じてエネルギーを選択して貫通孔及び/又はブラインドビア孔をあけることにより、孔径、孔品質、孔形状の優れた小径の孔を高速で、効率的に形成できる。炭酸ガスレーザーの出力において、好ましくは5〜60mJから選ばれたエネルギーの炭酸ガスレーザーを直接補助材料の上から照射して貫通孔及び/又はブラインドビア孔を形成する。孔あけ加工後、孔部には銅箔のバリが発生する。機械的研磨でバリをとることもできるが、寸法変化等の点から、薬液によるエッチングが好適である。孔あけ後に薬液を吹き付けるか、吸引して表層の銅箔を厚さ方向に一部エッチング除去すると同時に内外層の銅箔バリをもエッチング除去する。
【0007】
これを銅メッキでメッキアップして得られる両面銅張板を用い、表裏に回路形成を行い、定法にてプリント配線板とする。表裏の回路を細密にするためには、表裏層の銅箔を2〜7μm、好適には3〜5μmとすることが好ましく、この場合には細密パターン形成時にもショートやパターン切れ等の不良の発生もなく、高密度のプリント配線板を作成することができる。更には、加工速度はドリルであける場合に比べて格段に速く、生産性も良好で、経済性にも優れているものが得られた。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、まず銅張板の銅箔表面に、補助材料を配置し、その補助材料を加工するに十分なエネルギーの炭酸ガスレーザーを、まず1ショット照射して補助材料を加工除去する。次の2ショット目は、1ショット目より高エネルギーの炭酸ガスレーザーを照射して表層の銅箔を加工除去する。その後、適正な炭酸ガスレーザーエネルギーを用いて、目的とする貫通孔及び/又はブラインドビア孔を形成していく。
【0009】
孔あけ後、表裏及び内層の銅箔のバリが発生するが、この場合、高圧でエッチング液を吹き付けるか、吸引して孔内を通し、内外層の銅箔のバリを溶解除去する。この際に、表層の銅箔が厚い場合には、同時に厚さ方向の一部をエッチング除去し、厚さ2〜7μm、好適には3〜5μmとする。その後、定法にて全体を銅メッキし、回路形成等を行ってプリント配線板を作成する。
【0010】
本発明で使用する銅張板を作成するのに必要な銅箔とは、一般に公知の電解銅箔が挙げられる。この銅箔は、外層用としては、好適には厚さ3〜12μmの電解銅箔、内層板には厚さ9〜35μmのものが好適に使用される。
【0011】
本発明で使用する銅張板は、少なくとも1層以上、好適には2層以上の銅の層が存在する銅張板、多層板であり、基材補強されたもの、フィルム基材のもの、補強基材の無い樹脂単独のもの等が使用可能である。しかしながら、寸法収縮等の点からガラス布基材銅張板が好ましい。又、高密度の回路を作成する場合、表層の銅箔は、最初から薄いものを使用できるが、好適には、9〜12μmの厚い銅箔を積層成形しておいて、孔あけ後に表層の銅箔をエッチング液で2〜7μm、好適には3〜5μmまで薄くしたものを使用する。
【0012】
銅張板の基材としては、一般に公知の、有機、無機の織布、不織布が使用できる。具体的には、無機の繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Mガラス等の繊維が挙げらる。又、有機繊維としては、全芳香族ポリアミド、液晶ポリエステル、ポリベンザゾールの繊維等が挙げられる。これらは、混抄でも良い。ポリイミドフィルム等のフィルム類も使用可能である。
【0013】
本発明で使用される銅張板の熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミドーシアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。出力の高い炭酸ガスレーザー照射による加工でのスルーホール形状の点からは、ガラス転移温度が150℃以上の熱硬化性樹脂組成物が好ましく、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂組成物が好適である。
【0014】
本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0015】
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149号公報等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いられ得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0016】
エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0017】
ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57-005406 に記載の末端三重結合のポリイミド類が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0018】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelAsticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン-イソプレンゴム、ポリエチレン-プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6-フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の有機、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0019】
本発明に使用する銅張板は、熱硬化性樹脂組成物の中に、絶縁性無機充填剤を添加できる。特に炭酸ガスレーザー孔あけ用としては、孔の形状を均質にするために10〜80重量%、好ましくは、20〜70重量%添加する。絶縁性無機充填剤の種類は特に限定はない。具体的には、タルク、焼成タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン、アルミナ、ウオラストナイト、合成雲母等が挙げられ、1種或いは2種以上を配合して使用する。
【0020】
熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣る場合には、使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0021】
本発明で銅箔表面に施す補助材料の中の、融点900℃以上で、且つ、結合エネルギー300kJ/mol 以上の金属化合物としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、酸化物としては、酸化銅等の銅酸化物類;酸化チタン等のチタニア類;酸化マグネシウム等のマグネシア類;酸化ニッケル等のニッケル酸化物類;二酸化マンガン等のマンガン酸化物類;酸化亜鉛等の亜鉛酸化物類;酸化コバルト等のコバルト酸化物類;酸化錫等のスズ酸化物類;酸化タングステン等のタングステン酸化物類;二酸化珪素、酸化アルミニウム、希土類酸化物等が挙げられる。非酸化物としては、窒化硼素、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ、希土類酸硫化物等が挙げられる。その他、酸化金属粉の混合物である各種ガラス粉が挙げられる。カーボン粉も挙げられる。又、錫、銀、鉄、ニッケル等の一般に公知の金属粉が挙げられる。これらは、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。使用量は、3〜97容積%、好ましくは5〜95容積%であり、粒子径は、好適には1μm以下のものが使用される。
【0022】
炭酸ガスレーザーの照射で分子が解離するか、溶融して飛散するために、金属が孔壁に付着して、半導体チップ、孔壁密着性に影響の及ぼさないものが好ましい。Na、K、Clイオン等は、特に半導体の信頼性に悪影響を及ぼすため、これらの成分を含むものは好ましくない。
【0023】
補助材料の樹脂においては、特に制限はなく、一般に公知のものが使用できるが、孔あけ加工後に除去した場合、銅箔表面に付着することがあり、その後の溶解除去の点からは水溶性樹脂が好ましい。例えば、ポリエステル樹脂、ポレエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉等が使用される。この場合、上記の各種添加物を配合することが可能である。
【0024】
金属化合物等と樹脂からなる樹脂組成物を作成する方法、或いはシート状にする方法は特に限定しないが、ニーダー等で無溶剤にて高温で練り、熱可塑性フィルム上にシート状に押し出して付着する方法、酸性樹脂を溶剤に溶解させ、これに上記粉体を加え、均一に攪拌、混合して、これを用い、塗料として銅箔面に塗布、乾燥してと膜とするか、熱可塑性フィルム上に塗布、乾燥して膜を形成する方法等、一般に公知の方法が使用できる。厚みは特に限定はしないが、好適には、塗布する場合、塗膜の厚さは30〜100μm、フィルムに塗布して塗膜付きフィルムとした場合には、総厚み30〜200μmとする。
【0025】
銅箔面に加熱、加圧下にラミネートする場合、塗布樹脂層を銅箔面に向け、加熱ロールにて、温度は一般に40〜150℃、好ましくは60〜120℃で、線圧は一般に1〜20kgf、好ましくは2〜10kgfの圧力でラミネートし、樹脂を溶融させて銅箔面と密着させる。ラミネート温度の選択は、使用する樹脂の融点以上であり、又、線圧、ラミネート速度によっても異なるが、一般には樹脂の融点より5〜20℃高い温度でラミネートする。
【0026】
炭酸ガスレーザーの波長は、9.3〜10.6μmが使用される。エネルギーは、好適には5〜60mJで、所定パルス照射して孔あけする。孔あけにおいては、まず低エネルギーで表層の補助材料層を1ショットで孔あけ加工除去する。この場合、補助材料層単独、或いは補助材料層を孔あけ加工し、且つ、銅箔表面を厚さ方向に一部加工しても良い。しかしながら、銅箔を溶融させるようなエネルギーを照射して、銅箔を溶融させ、それをそのままにして、その次のショットを照射すると、溶融していた銅が飛び散り、その上にあるFθレンズ汚染し、その後に孔あけがうまくいかない問題点が生じる。従って、孔径、孔形状、孔品質を良くし、レンズの汚染が極めて少ない孔あけ方法として、本発明で見いだした方法が優れている。
銅箔の孔あけ加工後は、貫通孔及び/ブラインドビア孔を形成するにあたり、同一エネルギーを照射して孔あけする方法、エネルギーを途中で高くするか、低くして孔あけする方法、いずれの方法でも使用し得る。
【0027】
本発明の炭酸ガスレーザーでの孔あけにおいて、孔周囲に銅箔のバリが発生する。孔部に発生した銅のバリをエッチング除去する方法としては、特に限定しないが、例えば、特開平02-22887、同02-22896、同02-25089、同02-25090、同02-59337、同02-60189、同02-166789、同03-25995、同03-60183、同03-94491、同04-199592、同04-263488号公報で開示された、薬品で金属表面を溶解除去する方法(SUEP法と呼ぶ)による。エッチング速度は、一般には0.02〜1.0μm/秒 で行う。また、内層の銅箔バリをエッチング除去する場合、同時に銅箔の表面の一部をもエッチング除去し、厚さ2〜7μm,、好適には3〜5μmとすることにより、その後の銅メッキされた銅箔に細密なパターンを形成でき、高密度のプリント配線板とすることができる。
【0028】
銅張板の裏面には、孔が貫通した場合の炭酸ガスレーザーによるレーザーマシーンテーブルの損傷を防ぐために、単に金属板を配置することも可能であるが、好ましくは、金属板の表面の少なくとも一部を接着させた樹脂層を銅張多層板の裏面銅箔と接着させてバックアップシートとして配置し、貫通孔あけ後に樹脂層と金属板を剥離除去する。
【0029】
加工された孔内部の表層、内層銅箔の樹脂が接着していた面には1μm程度の樹脂層が銅箔表面に残存する場合が殆どである。この樹脂層は、エッチング前にデスミア処理等の一般に公知の処理で事前に除去が可能であるが、液が小径の孔内部に到達しない場合、内層の銅箔表面に残存する樹脂層の除去残が発生し、銅メッキとの接続不良になる場合がある。従って、より好適には、まず気相で孔内部を処理して樹脂の残存層を完全に除去し、次いで孔内部及び表裏の銅箔バリをエッチング除去する。
【0030】
気相処理としては一般に公知の処理が使用可能であるが、例えばプラズマ処理、低圧紫外線処理等が挙げられる。プラズマは、高周波電源により分子を部分的に励起し、電離させた低温プラズマを用いる。これは、イオンの衝撃を利用した高速の処理、ラジカル種による穏やかな処理が一般には使用され、処理ガスとして、反応性ガス、不活性ガスが使用される。反応性ガスとしては、主に酸素が使用され、科学的に両面処理をする。不活性ガスとしては、主にアルゴンガスを使用する。このアルゴンガス等を使用し、物理的な表面処理を行う。物理的な処理は、イオンの衝撃を利用して表面をクリーニングする。低紫外線は、波長が短い領域の紫外線であり、波長として、184.9nm、253.7nm がピークの短波長域の波長を照射し、樹脂層を分解除去する。
【0031】
孔内部は、通常の銅メッキを施すことも可能である。また銅メッキで孔内部を一部、好適には80容積%以上充填することもできる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
【0033】
実施例1
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン600部、1、4−シシアナトベンゼン300部、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル100部を150℃で溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製)800部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN-220F、住友化学工業<株>製)200部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルク、日本タルク<株>、平均粒子径4μm)2000部、及び黒色顔料8部を加え、均一撹拌混合してワニスAを得た。このワニスを厚さ100μmのガラス織布に含浸し150℃で乾燥して、ゲル化時間(at170℃)110秒、ガラス織布の含有量が50重量%のプリプレグ(プリプレグB)を作成した。
【0034】
このプリプレグBを8枚重ね、この両面に厚さ12μmの電解銅箔を配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、両面銅張積層板Cを得た。一方、金属化合物粉としてMgO(54重量%)、SiO2 (46重量%)からなる混合物粉(平均粒子径:0.9μm)を、水溶性ポリエステル樹脂を水とメタノール混合溶剤に溶解したワニスに加え、均一に攪拌混合してワニスDを得た。このワニスDを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗布し、110℃で乾燥して補助材料Eを得た。又、厚さ50μmのアルミニウム箔の片面に塗布、乾燥してバックアップシートFとした。これらの補助材料E及びバックアップシートFを銅張積層板Cの上及び下面に樹脂層が銅箔側を向くように置き(図1(1))、100℃のホットロールで、線圧5kgfでラミネートして貼り付けた後、100μmの孔があくように作成したマスクを通して、この上面から出力10mJで1ショット照射して表層の補助材料Dだけを孔あけした(図1(2))。このとき、表面の銅箔は加工されていなかった。2ショット目は出力25mJを照射し、銅箔を加工して孔径100μmの孔をあけた(図1(3))。その後、出力20mJで8ショット照射して、貫通孔をあけた(図2(4))。
【0035】
上側の補助材料、下側のバックアップシートを剥離除去し、プラズマ装置の中に入れて処理した後、SUEP液を高速で吹き付けて、表裏のバリを溶解除去すると同時に、表層の銅箔を4μmまで溶解した(図2(5))。デスミア処理後、銅メッキを15μm付着させ(図2(6))、既存の方法にて回路(ライン/スペース=50/50μm)、ハンダボール用パッド等を形成し、少なくとも半導体チップ搭載部、ボンディング用パッド部、ハンダボールパッド部を除いてメッキレジストで被覆し、ニッケル、金メッキを施し、プリント配線板を作成した。このプリント配線板の評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製> 300部、及びエポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)700部、ジシアンジアミド35部、2-エチル-4-メチルイミダゾール1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、均一に攪拌混合してワニスとした。これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間150秒、ガラス布の含有量48重量%のプリプレグG、厚さ50μmのガラス布に含浸、乾燥させてゲル化時間170秒、ガラス布の含有量31重量%のプリプレグHを作成した。
【0037】
このプリプレグGを1枚使用し、上下に35μmの電解銅箔を置き、190℃、20kgf/cm2、30mmHgで積層成形し、両面銅張積層板Iを得た。この板の表裏に回路を形成後、黒色酸化銅処理を施した後、上下に上記プリプレグHを各1枚置き、その両外側に厚さ12μmの電解銅箔を重ね、同様に積層成形して4層の多層板Iを作成した。その後、この4層板の表面に、実施例1で作成した補助材料Eを、樹脂側が銅箔面を向くように配置し、実施例1と同様にラミネートして接着させた。この上側から10mJで1ショット照射して銅箔を加工せずに補助材料を加工除去した。次に20mJで1ショット照射し、孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。更に、15mJで1ショット照射してブラインドビア孔底部の銅箔の表層一部を加工除去した。これにSUEP処理を行い、外層の銅箔バリを溶解除去するとともに、表層の銅箔の厚みを3μmとした後、過マンガン酸カリウム水溶液にてデスミア処理を行なって、同様に銅メッキを行い、同様にプリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例2の銅張板を用い、表面に何も付着せずに炭酸ガスレーザーで同様に孔あけを行なったが、孔はあかなかった。
【0039】
比較例2
実施例1において、補助材料を使用せずに、炭酸ガスレーザーエネルギー80mJで10ショット照射し(図3)、10万個の貫通孔をあけた。銅箔に孔があいたが、溶融した銅が飛散し、Fθレンズに銅がかなり付着、汚染され、拭いても除去できなかった。パワーモニタで出力をチェックしたところ、出力が25%ダウンしていた。
【0040】
比較例3
エポキシ樹脂(商品名:エピコート5045)2,000部、ジシアンジアミド70部、2ーエチルイミダゾール2部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、更に実施例1の絶縁性無機充填剤を800部加え、攪拌混合して均一分散してワニスを得た。これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間140秒(at170℃),ガラス含有量52重量%のプリプレグJ、ゲル化時間180秒、厚さ50μmのガラス織布を使用しガラス含有量35重量%のプリプレグKを得た。このプリプレグJを2枚使用し、両面に12μmの電解銅箔を置き、180℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形して両面銅張積層板Lを得た。この積層板Lの両面に回路を形成し、黒色酸化銅処理後、その両面にプリプレグLを各1枚置き、その外側に12μm銅箔を配置し、同様に積層成形した。これを用い、メカニカルドリルにて孔径150μmの貫通孔をあけ、SUEP処理を行わず同様に銅メッキを施し、同様にプリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
【0041】
比較例4
実施例2において、プリプレグGを1枚用い、両面に18μmの電解銅箔を配置し、同様に積層成形して両面銅張積層板を作成した。この両面銅張積層板を用い、内層のスルーホールとなる箇所の銅箔を孔径100μmとなるように上下銅箔をエッチング除去し、回路を形成した後、銅箔表面を黒色酸化銅処理して、その外側にプリプレグHを置き、その外側に12μmの電解銅箔を配置し、同様に積層成形して4層板を作成した(図4(1))。この多層板を用い、貫通孔を形成する表面の位置に孔径100μmの孔を900個、銅箔をエッチングしてあけた。同様に裏面にも同じ位置に孔径100μmの孔を900個、銅箔をエッチングしてあけた。1パターン900個を70ブロック、合計63,000の孔を、表面から炭酸ガスレーザーで、出力15mJにて4ショットかけ、貫通孔をあけた(図4(2))。後は比較例3と同様にして、SUEP処理を行わずに、デスミア処理を1回施し、銅メッキを15μm施し(図4(3))、表裏に回路を形成し、同様にプリント配線板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例5
実施例2において、1ショット目を50mJで孔あけしたら、補助材料と銅箔を同時に加工できたが、孔径がマスク径より大きめとなった。
【0043】
比較例6
実施例1において、バックアップシートとして厚み10mmのアクリル板を使用し、35mJで10ショット照射して(図5)貫通孔を形成した。10万孔孔あけした後、Fθレンズの汚れをパワーモニタで測定した、12%出力がダウンしていた。
【0044】
【0045】
<測定方法>
1)表裏孔位置の隙間
孔径100又は150μm(メカニカルドリル)の孔を900孔/ブロック として70ブロック(孔計63,000孔)作成した。炭酸ガスレーザー及びメカニカルドリルで孔あけを行ない、1枚の銅張板に63,000孔をあけるに要した時間、及び表裏ランド用銅箔と孔との隙間、及び内層銅箔のズレの最大値を示した。
2)回路パターン切れ、及びショート
実施例、比較例で、孔のあいていない板を同様に作成し、ライン/スペース=50/50μmの櫛形パターンを作成した後、拡大鏡でエッチング後の200パターンを目視にて観察し、パターン切れ、及びショートしているパターンの合計を分子に示した。
3)ガラス転移温度
DMA法にて測定した。
4)スルーホール・ヒートサイクル試験
各スルーホール孔にランド径250μmを作成し、900孔を表裏交互につなぎ、1サイクルが、260℃・ハンダ・浸せき30秒→室温・5分 で、500サイクルまで実施し、抵抗値の変化率の最大値を示した。
5)スルーホール、ブラインドビア孔径
銅箔をエッチング除去し、表裏の孔径を各ブロック100個測定した。
6)出力down
備え付けのパワーモニタで測定した。
7)耐マイグレーション性(HAST)
孔形100μm又は150μm(メカニカルドリル)のスルーホールをそれぞれ表裏交互に1個ずつつないで、合計50個つなぎ、このつないだもの2組が孔壁間150μmで平行となるようにして、合計100セット作成し、130℃、85%RH、1.8VDC にて所定時間処理後に、取り出し、スルーホール間の絶縁抵抗値を測定した。
【0046】
【発明の効果】
銅張板の銅箔表面に補助材料を配置し、この上から炭酸ガスレーザーを照射する際に、まず1ショット目で表層の補助材料を孔あけ加工し、2ショット目で表面の銅箔を孔あけ加工して孔をあけることにより、孔形状、孔品質、孔径の優れた貫通孔及び/又はブラインドビア孔が形成された。又下面には樹脂層の付着した金属板を配置することにより、下面の銅箔を孔あけ加工除去した際の溶融した銅の上側への飛散を小さくでき、Fθレンズの汚染を極めて少なくできる。更にメカニカルドリリングに比べて格段に加工速度が速く、生産性について大幅に改善でき、又、その後、孔部に発生した銅箔バリを溶解除去すると同時に、銅箔の表面の一部を溶解し、厚さを2〜7μmとすることにより、その後の銅メッキによるメッキアップにおいても、細密パターンを形成することができ、高密度のプリント配線板を作成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の表面に補助材料を配置した両面銅張積層板(1)、炭酸ガスレーザーによる貫通孔あけの1ショット目(2)、2ショット目(3)の工程図である。
【図2】実施例1において、貫通孔形成(4)、SUEPによるバリ除去及び表層の銅箔のエッチング(5)、銅メッキ(6)の工程図である。
【図3】比較例2の孔あけの工程図である。
【図4】比較例4の両面銅張多層板の炭酸ガスレーザーによる孔あけ及び銅メッキの工程図である(SUEP無し)。
【図5】比較例6の貫通孔あけ図である。
【符号の説明】
a 補助材料
b 銅箔
c ガラス布基材積層板層
d バックアップシート樹脂層
e アルミニウム箔
f 1ショット目で加工除去した補助材料層
g 2ショット目で加工した表層銅箔部
h 発生した銅箔バリ
i 貫通してアルミニウム箔表面で加工停止した箇所
j SUEPで薄くエッチング除去された外層銅箔
k SUEP処理後の貫通孔部
l 銅メッキされた貫通孔部
m 炭酸ガスレーザービーム
n 加工された銅張積層板表面
o Fθレンズ
p 飛散した加工物(銅箔、ガラス等)
q Fθレンズに付着した銅等
r 貫通孔形成のためにエッチング除去した表層部分
s 貫通孔形成のためにエッチング除去した内層部分
t 孔あけした4層板の貫通孔部
u ズレを生じた内層銅箔部
v SUEP処理を実施しないで銅メッキした貫通孔部
w 飛散した加工物(下面銅箔、ガラス等)
x アクリル板
y 分解、飛散したアクリル樹脂
Claims (3)
- 銅張板の銅箔表面に、融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉の1種或いは2種以上を3〜97容積%配合した樹脂組成物からなる補助材料を配置し、この上から、銅箔を加工するに十分なエネルギーの炭酸ガスレーザーを、パルス発振にて直接照射して貫通孔及び/又はブラインドビア孔を形成する炭酸ガスレーザーによる孔形成方法において、1ショット目は表層の補助材料層を孔あけ加工し、且つその下の銅箔は貫通しない程度とし、1ショット目より高エネルギーである炭酸ガスレーザーエネルギーが20mJ〜60mJである2ショット目を照射して銅箔を貫通する事を特徴とする炭酸ガスレーザーによる銅張板への孔形成方法。
- 貫通孔を形成する際に、下面銅箔と接するように樹脂層を配置し、その下に樹脂と少なくとも一部接着した金属板を配置することを特徴とする請求項1記載の炭酸ガスレーザーによる銅張板への孔形成方法。
- 該炭酸ガスレーザー孔あけ後、孔周辺に発生した銅箔バリを薬液で除去するとともに、銅箔表面の一部を平面的にエッチングすることを特徴とする請求項1又は2記載の炭酸ガスレーザーによる銅張板への孔形成方法。
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