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JP4856913B2 - 高強度ポリ乳酸繊維とその製造方法 - Google Patents
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本発明は強度に優れたポリ乳酸繊維およびその製造方法に関する。また、本発明は該繊維からなる繊維製品に関する。
近年、地球環境保護の目的から、自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、世界中で研究されている。生分解性ポリマーとして、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸等が知られ、これらは溶融成型が可能であり、汎用性ポリマーとしても期待されている。これらの中でポリ乳酸は、その原料である乳酸あるいはラクチドが、天然物から製造することが可能であり汎用性ポリマーとして利用も検討されつつある。ポリ乳酸は、透明性が高く、強靭であるが、水の存在下では容易に、加水分解でき、さらに廃棄後には環境を汚染することなく分解するので、環境への負荷が少ない。
ポリ乳酸の融点は150℃から170℃の範囲にあり、ポリエステルやポリブチレンテレフタレートのごときエンジニアリングプラスチックの代替として用いるには不十分であると考えられている。また、ポリ乳酸はクロロホルムなどの有機溶媒に簡単に溶解するため、オイルなど有機溶剤などと接触する用途に用いることは不可能である。
一方で、L乳酸単位のみからなるポリL乳酸(以下、PLLAと略すことがある)とD乳酸単位のみからなるポリD乳酸(以下、PDLAと略すことがある)を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ステレオコンプレックスが形成されることが知られている(特許文献1および非特許文献1)。このステレオコンプレックスポリ乳酸はPLLAやPDLAに比べて、高融点、高結晶性を示し、興味深い現象が発見され、繊維などに利用することが検討されている。
例えばポリL乳酸とポリD乳酸を等モル量含む組成物を溶融紡糸した0.5cN/dTex程度の繊維が提案されている(特許文献1)。
またポリL乳酸とポリD乳酸の混合物を溶融紡糸した未延伸糸を熱処理た繊維が提案されている。しかしこの繊維は、熱処理時に繊維内部の分子配向が緩和して繊維の強度は2.3cN/dTexである(非特許文献2)。
また、ステレオコンプレックスポリ乳酸を高速紡糸で巻き取ったあと、多段延伸を行なった8.0cN/dTexの高強度の繊維が提案されている(特許文献2)。しかし、該繊維のステレオコンプレックス化率は65%以下と低く、高強度かつ高ステレオ化率の繊維を作るには至っていないのが現状である。
特開昭63−241024号公報 特開2003−293220号公報 Macromolecules,24,5651(1991) Seni Gakkai Preprints 1989、山根ら、
本発明の目的は、強度および耐熱性に優れたポリ乳酸繊維を提供することにある。また本発明は、該繊維からなる繊維製品を提供することにある。
本発明者は、ポリL乳酸とポリD乳酸との混合物を溶融紡糸してポリ乳酸繊維を製造する際に、所定の水分率の混合物を用い溶融紡糸し、かつ、所定の温度で予熱した後、所定の延伸倍率で延伸することにより、ステレオコンプレックス結晶に由来する単一の融解ピークを有し、耐熱性、強度に優れた繊維が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、ポリL乳酸とポリD乳酸とからなる繊維であり、強度が4.5cN/dTex以上であり、示差走査熱量計(DSC)測定において、ステレオコンプレックス結晶に由来する単一の融解ピークを有し、融点が210℃以上であることを特徴とするポリ乳酸繊維である。
ポリL乳酸の重量平均分子量が10万〜50万であり、ポリD乳酸の重量平均分子量が10万〜50万であることが好ましい。ポリL乳酸中のスズイオンの含有量が5ppm以下であり、ポリD乳酸中のスズイオンの含有量が5ppm以下であることが好ましい。ポリL乳酸が100モル%のL乳酸単位から構成され、ポリD乳酸が100モル%のD乳酸単位から構成され、これらの重量平均分子量が10万〜50万であることが好ましい。ポリL乳酸およびポリD乳酸が、それぞれ260℃における溶融状態での重量平均分子量の低下率が20%以下であることが好ましい。
また本発明は、(1)ポリL乳酸とポリD乳酸との混合物であって、水分率が100ppm以下の混合物を溶融紡糸し未延伸糸を得る工程、
(2)未延伸糸を70〜100℃に予熱した後、3.5〜5.5倍に延伸することからなるポリ乳酸繊維の製造方法である。
ポリL乳酸およびポリD乳酸中のラクチド含有量がそれぞれ400ppm以下であることが好ましい。
さらに本発明は、上記ポリ乳酸繊維を含有してなる繊維製品を包含する。
本発明のポリ乳酸繊維は強度および耐熱性に優れている。
以下に本発明について詳細に説明をする。
<ポリ乳酸繊維>
ポリL乳酸は、L乳酸を主たるモノマー成分とするポリエステルおよびポリエステルセグメントである。このL乳酸を主たるモノマー成分とするポリエステルは、実質的にL乳酸単位だけで構成されるポリL乳酸、他のポリエステルとの共重合体、その他のポリマーとの共重合体などが上げられるが、特に実質的にL乳酸単位だけで構成されるポリL乳酸であることが好ましい。このポリL乳酸中のL乳酸単位は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。またD乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分は、好ましくは0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
またポリL乳酸は、結晶性を有しておりその融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリエステルであれば、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、結晶化度をあげることが出来るからである。
ポリL乳酸は、その重量平均分子量が好ましくは10万〜50万、より好ましくは14万〜25万である。
共重合成分としては、特に指定するものではないが、例えば、D乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
ポリD乳酸は、D乳酸を主たるモノマー成分とするポリエステルおよびポリエステルセグメントである。このD乳酸を主たるモノマー成分とするポリエステルは、実質的にD乳酸単位だけで構成されるポリD乳酸、他のポリエステルとの共重合体、その他のポリマーとの共重合体などが上げられるが、特に実質的にD乳酸単位だけで構成されるポリD乳酸であることが好ましい。このポリD乳酸中のD乳酸単位は、90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。またD乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
ポリD乳酸は、結晶性を有しておりその融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリエステルであれば、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、結晶化度をあげることが出来るからである。
ポリD乳酸は、その重量平均分子量が好ましくは10万〜50万、より好ましくは14万〜25万である。
共重合成分としては、特に指定するものではないが、例えば、L乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリL乳酸およびポリD乳酸は、例えばそれぞれの乳酸を直接脱水縮合する方法で製造したり、それぞれの乳酸を一度脱水環化してラクチドとした後に開環重合する方法で製造することができる。これらの製造方法において用いる触媒は、ポリL乳酸やポリD乳酸が所定の特性を有するように重合させることが出来るものであれば、いずれも用いることができるが、オクチル酸スズ、塩化スズ、スズのアルコキシドなどの2価のスズ化合物、酸化スズ、酸化ブチルスズ、酸化エチルスズなど4価のスズ化合物、金属スズ、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、ランタニド化合物などを例示することが出来る。
ポリL乳酸およびポリD乳酸は、260℃における溶融状態における、3〜5分での重量平均分子量の低下率が20%以下であるものが好ましい。高温での分子量低下が激しいと、紡糸が困難になるばかりでなく、得られた糸の物性が低下し、好ましくない。
本発明のポリ乳酸繊維は溶融紡糸法により得られる。乾式あるいは湿式などの溶液紡糸では工業的な観点から見ると生産性が低く、またポリL乳酸とポリD乳酸をブレンドした溶液の安定性が低いために、安定した糸が得られにくい。
また、本発明のポリ乳酸繊維は強度が4.5cN/dTex以上であり、好ましくは4.8cN/dTex以上、さらに好ましくは5.0cN/dTex以上である。衣料用および産業用として使用するにあたり、4.5cN/dTex以上の強度を有している繊維は実用面での使用範囲が広く、好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ステレオコンプレックス結晶に由来する融解ピークを有する。本発明のポリ乳酸繊維のDSC測定において、融解ピークはこのステレオコンプレックス結晶に由来する融解ピークのみである。また融点のピーク温度は210℃以上である。ステレオコンプレックス結晶はポリL乳酸およびポリD乳酸から形成される。
ステレオコンプレックス結晶を有するポリ乳酸においては、成分、組成比および製造条件に応じて、通常は低温結晶融解相(A)と高温結晶融解相(B)の少なくとも2つの吸熱ピークを示すことが知られている。本発明のポリ乳酸繊維には、(A)は全く観察されず、(B)の単一融解ピークのみが見られる。また、高温結晶融解相(B)の融解開始温度は190℃以上であり、好ましくは200℃以上である。
結晶相全体が高温結晶融解相(B)のみからなるポリ乳酸繊維は、この繊維からなる繊維製品にアイロン掛けを行った際に、繊維の一部が軟化し、融解するという恐れが無いため、繊維製品の布質や風合いをアイロン掛けにより損ねることがなく、好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維では、溶融紡糸に供するポリL乳酸およびポリD乳酸中のスズイオンの含有量が共に5ppm以下であることを特徴とする。
<繊維の製造方法>
本発明の繊維は、(1)ポリL乳酸とポリD乳酸との混合物であって、水分率が100ppm以下の混合物を溶融紡糸し未延伸糸を得る工程、
(2)未延伸糸を70〜100℃に予熱した後、3.5〜5.5倍に延伸することにより製造することができる。
ポリL乳酸、ポリD乳酸は、繊維の項で説明したとおりである。混合物中のポリL乳酸とポリD乳酸との重量比は、前者/後者が、好ましくは60/40〜40/60、より好ましくは55/45〜45/55である。
混合物は、水分率が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下である。混合物中の水分は、減圧乾燥することで低減することができる。水分率が高いとポリL乳酸とポリD乳酸の加水分解が促進され、分子量が著しく低下し、紡糸が困難になるばかりでなく、得られた糸の物性が低下する。
ポリL乳酸およびポリD乳酸中のラクチド含有量がそれぞれ400ppm以下であることが好ましい。ラクチド含有量がそれぞれ400ppm以下であると、紡糸性および延伸性が向上し好ましい。ラクチド法によって得られるポリ乳酸中に含有するラクチドは溶融紡糸時に気化して糸斑の原因になることがあるため、ラクチド量を400ppm以下に抑えることが好ましい。ポリL乳酸およびポリD乳酸中のラクチドは、溶媒洗浄または真空高温乾燥することにより低減することができる。
混合物として、ポリL乳酸とポリD乳酸とのチップブレンドが挙げられる。この場合の溶融押出し機としては、プレッシャーメルター型や1軸あるいは2軸エクストルーダー型など通常の溶融押出し機を使用することができる。ただし、ステレオコンプレックス結晶の形成にあたっては、ポリL乳酸とポリD乳酸を十分に混合することが重要であり、その観点からすれば、1軸あるいは2軸エクストルーダー型が好ましい。混ざり具合をよくするために、ポリマー流路中に静止混練機を組み込むことが好ましい。
またポリL乳酸とポリD乳酸とのチップブレンド物を混練機にて溶融した後、チップ化した、予備混練されたチップが好ましい。
(溶融紡糸)
ポリL乳酸とポリD乳酸の混合物は、溶融された後、ギアポンプにより計量され、パック内で濾過された後、口金に設けられたノズルから吐出される。口金の形状、口金数は特に制限されるものではなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。吐出された糸は直ちに冷却・固化された後集束され、油剤を付加されて巻き取られる。巻き取り速度は、特に限定されるものではないが、ステレオコンプレックス結晶が形成されやすくなることから300m/分から5000m/分の間が好ましい。
(延伸)
巻き取られた未延伸糸は、延伸工程に供されるが、紡糸工程と延伸工程は必ずしも分離する必要はなく、紡糸後いったん巻き取ることなく引き続き延伸を行う直接紡糸延伸法を採用しても構わない。
延伸は、1段延伸でも、2段以上の多段延伸でも良く、高強度の繊維を製造する観点から、延伸倍率は3.5倍以上、好ましくは3.5〜5.5倍である。しかし、延伸倍率が高すぎると繊維が失透し白化するため、繊維の強度が低下し、好ましくない。
延伸の予熱は70〜100℃、好ましくは70〜90℃で行なう。予熱は、ロールの昇温、平板状あるいはピン状の接触式加熱ヒータ、非接触式熱板、熱媒浴などにより行うことができる。
延伸に引き続き、巻き取り前にはポリマーの融点より低い温度で、熱処理が行われることが好ましい。熱処理にはホットローラーのほか、接触式加熱ヒータ、非接触式熱板など任意の方法を採用することができる。
本発明によれば、本発明のポリ乳酸繊維を含有してなる繊維製品が提供される。繊維製品として、織物、編物などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何等限定を受けるものではない。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)還元粘度:
ポリマー0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール(容量比1/1)に溶解し、35℃における還元粘度(mL/g)を測定した。
(2)水分率
水分率は得られたチップをカールフィッシャー水分率計(三菱化学 CA−100 気化装置つき)を用いて測定した。
(3)ラクチド含有量
ポリ乳酸中のラクチド含有量は、重クロロホルム中、日本電子製核磁気共鳴装置JNM−EX270スペクトルメーターを使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98〜5.05ppm)として算出した。
(4)重量平均分子量および低下率
樹脂ならびに繊維の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって以下の条件によって測定した。また、測定した重量平均分子量より下記の式によって分子量低下率を算出した。
重量平均分子量(Mw)測定法:ショーデックス製GPC−11を使用し、ポリ乳酸50mgを5mlのクロロホルムに溶解させ、40℃のクロロホルムにて展開した。重量平均分子量(Mw)、はポリスチレン換算値として算出した。
分子量低下率(%)=紡糸前の樹脂の分子量/繊維の分子量×100
(5)スズイオン含有量
試料に捕捉剤を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解した。希硝酸に溶解して、島津製作所製ICPS8100を使用し、ICP発光分析法によりスズイオン成分の含有量を算出した。
(製造例1:ポリマーAの製造)
Lラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)100重量部を重合容器に加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.2重量部、触媒としてオクチル酸スズ0.05重量部を加え、190℃、2時間、重合を行い、ポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーAを得た。得られたポリマーAの還元粘度は2.92(mL/g)、重量平均分子量19万であった。融点(Tm)は168℃であった。結晶化点(Tc)は122℃であった。ラクチド含有量は150ppm、スズイオン含有量は4.5ppmであった。
(製造例2:ポリマーAの製造)
Dラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)100重量部を重合容器に加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.2重量部、触媒としてオクチル酸スズ0.05重量部を加え、190℃、2時間、重合を行い、ポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーAを得た。得られたポリマーAの還元粘度は2.65(mL/g)、重量平均分子量20万であった。融点(Tm)は176℃であった。結晶化点(Tc)は139℃であった。ラクチド含有量は150ppm、スズイオン含有量は1.9ppmであった。
(実施例1)
ポリマーAおよびポリマーAのチップを、ポリマーA/ポリマーA=50/50の割合でチップブレンドした後、80℃で16時間減圧乾燥した。水分率は85ppmであった。
このチップを1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い、240℃で溶融し、0.25Φの吐出孔を36ホールもつ口金から40g/分で吐出させた。吐出直後のパック下の温度は180℃、紡糸筒により冷却した後集束し、油剤を付加して、500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱セットを行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が224℃であった。また、繊維の強度は4.6cN/dtexであり、実用上十分な強度を保有していた。
(実施例2)
ポリマーA/ポリマーA=50/50の割合のチップブレンドを準備し、溶融温度を260℃として紡糸すること以外は実施例1と同様の方法で160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。260℃溶融後の分子量低下率は17%であった。得られた延伸糸は、DSC測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が215℃であった。また、繊維の強度は4.7cN/dtexであり、実用上十分な強度を保有していた。
(実施例3)
延伸工程における予熱温度を70℃に設定したこと以外は実施例1と同様の方法で158dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。得られた延伸糸は、DSC測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が223℃であった。また、繊維の強度は4.5cN/dtexであり、実用上十分な強度を保有していた。
(比較例1)
延伸工程における予熱温度を110℃に設定したこと以外は実施例1と同様の方法で160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
得られた延伸糸は、DSC測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示したが、繊維の強度は3.3cN/dtexと低かった。
(比較例2)
延伸工程における延伸倍率を2.9倍に設定したこと以外は実施例1と同様の方法で265dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。得られた延伸糸は、DSC測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示したが、繊維の強度は2.2cN/dtexと低かった。
実施例1〜3、比較例1〜2の製糸条件を表1に示す。
Figure 0004856913

Claims (6)

  1. ポリL乳酸とポリD乳酸とからなる繊維であり、強度が4.5cN/dTex以上であり、示差走査熱量計(DSC)測定において、ステレオコンプレックス結晶に由来する単一の融解ピークを有し、融点が210℃以上であることを特徴とするポリ乳酸繊維。
  2. ポリL乳酸の重量平均分子量が10万〜50万であり、ポリD乳酸の重量平均分子量が10万〜50万である請求項1記載のポリ乳酸繊維。
  3. ポリL乳酸中のスズイオンの含有量が5ppm以下であり、ポリD乳酸中のスズイオンの含有量が5ppm以下である請求項1記載のポリ乳酸繊維。
  4. ポリL乳酸が100モル%のL乳酸単位から構成され、ポリD乳酸が100モル%のD乳酸単位から構成され、これらの重量平均分子量が10万〜50万である請求項1記載のポリ乳酸繊維。
  5. ポリL乳酸およびポリD乳酸が、それぞれ260℃における溶融状態での重量平均分子量の低下率が20%以下である請求項1記載のポリ乳酸繊維。
  6. 請求項1記載のポリ乳酸繊維を含有してなる繊維製品。

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