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JP4861682B2 - インストルメントパネル - Google Patents
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本発明は、基材層の表面を表面層により被覆して構成すると共に、基材層の裏面にエアバッグが膨張した際開裂するテアラインが形成された2層構造のインストルメントパネルに関する。
従来自動車が衝突した際の衝撃から乗員を保護するエアバッグ装置は、例えばステアリングホィールの中央部や、インストルメントパネルの内側等に設置されている。
インストルメントパネルの内側に設置されたエアバッグ装置は、自動車が衝突した際インフレータより噴出される高圧ガスにより膨張展開されるエアバッグを備えていて、エアバッグの膨張圧により開裂されるテアラインがインストルメントパネルの裏面に形成されている。
テアラインの多くは、V字溝によりインストルメントパネルの内面にほぼ「日」の字状に形成されていて、エアバッグが膨張すると、エアバッグの上面を覆っているカバーが上方へ押し上げられる。
これによってまずテアラインの中央水平線状溝部が開裂し、これに伴い中央水平線状溝部の両端に連設された左右垂直線状溝部が開裂されて、中央水平線状溝部を境にインストルメントパネルのエアバッグを覆う部分が上下に押し開けられることにより、エアバッグが乗員側へ展開されて、衝突時の衝撃から乗員を保護するように構成されている。
一方近年では、意匠的外観を向上させると同時に高級感を高めるため、インストルメントパネルの裏面に形成されたテアラインがインストルメントパネルの表面に表示しないようにしたシームレスインストルメントパネルが実用化されている。
シームレスインストルメントパネルは、硬質樹脂により成形された基材層の表面を、ポリウレタンのような軟質樹脂よりなる表面層で被覆した2層構造となっていて、基材層の裏面にテアラインを形成しても、基材層を被覆する表面層により、テアラインがインストルメントパネルの表面に表出しない構造となっている。
またこのような2層構造を採用したエアバッグカバーとしては、例えば特許文献1や2に記載されたものが公知である。
特許文献1に記載のエアバッグのカバーキャップは、テアラインの中央水平線状溝部構造であって、サポート層を覆うカバー層が溝によりテア−オフラインの領域で脆弱化されていて、サポート層がカバー層の溝の中へ延びた構造となっており、エアバッグにより押し上げられたカバーキャップが意図したラインに沿って確実に押し開くようになっている。
また特許文献2に記載のエアバッグのカバー体は、ステアリングホイールの中央部に設けられたエアバッグのカバー体であって、インストルメントパネルの内側に設けられたエアバッグとは異なるが、テアラインを形成する第1の曲面部と第2の曲面部はそれぞれ裏面側に中心を有して互に滑らかに連続し、かつ第2の曲面部の曲率より第の曲面部の曲率を大きくした構造となっている。
そして前記構成により、カバー体の表面が押圧されても、圧力が第2曲面に沿って分散されるため、一部に応力が集中することによる破断部の外観の悪化が抑止される効果を有している。
特表2000−512953号公報 特許第2527285号公報
しかし前記特許文献1に記載されたエアバッグのカバーキャップは、テアラインの中央水平線状溝部構造に関するもので、中央水平線状溝部の両端に連続する左右垂直線状溝部構造についての記載はない。
また前記特許文献1に記載のカバーキャップでは、中央水平部のテアラインが意図したラインに沿って開裂した場合でも、中央水平線状溝部の両端に連続する左右垂直線状溝部については、カバー層に作用する破断力の方向にバラツキが生じて破断ラインが蛇行することがあるため、意図したラインに沿って表面層を確実に破断できない問題がある。
一方特許文献2に記載のエアバッグのカバー体では、カバー体の外圧が作用した場合でもカバー体の外観が損なわれないようにしたもので、エアバッグが膨張した際の開裂を意図したものではない。
このため前記特許文献2に記載されたカバー体の構造をインストルメントパネルに適用しても、表面層に作用する破断力の方向にバラツキが生じて破断ラインが蛇行することがあるため、意図したラインに沿って表面層を確実に破断できない問題がある。
本発明はかかる問題を解消するためになされたもので、基材層の裏面に形成されたテアラインの意図したラインに沿って表面層を確実に破断することができる2層構造のインストルメントパネルを提供することを目的とするものである。
本発明のインストルメントパネルは、基材層と、前記基材層の表面を被覆する表面層とからなるインストルメントパネル本体の内側に、蓋体を固着した状態で上部ケース内に収容されたエアバッグを設置すると共に、前記基材層の裏面に、前記エアバッグが膨張した際開動する扉部を形成するようにテアラインを形成して構成したインストルメントパネルであって、前記テアラインにおける前記扉部の外郭線を区画形成する扉区画線状溝部のうち左右垂直線状溝部をV字溝に形成して、該左右垂直線状溝部における前記扉部側に面する側を前記エアバッグの膨出方向とほぼ平行する底面とすると共に、前記左右垂直線状溝部における前記扉部に対向する側に面する側を前記エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面となるように形成しており、且つ、前記エアバッグの膨出方向に対して横臥するように傾斜する前記底面の延長線と前記上部ケースの内面の延長線との交点の下方において、前記基材層の表面に突条を突設することにより、前記表面層における前記底面のうち前記エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面における前記延長線上に薄肉部を形成してなり、更に、前記突条の断面形状を、前記エアバッグの膨出方向に対して横臥するように傾斜する側底面の延長線側を曲率の小さい曲線により、また前記エアバッグの膨出方向とほぼ平行する底面側を曲率の大きいなだらかな曲線により形成したことを特徴とするものである。

前記構成により、扉区画線状溝部を形成するV字溝の底面のうち、エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面の延長線に沿ってせん断力が上方へ向かって集中的に発生し、このせん断力が表面層に直接作用するため、意図したラインに沿って表面層を確実に破断することができる。
またエアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面に沿って発生したせん断力により扉区画線状溝部が開裂する際、基材層には垂直方向に引張り力が発生するが、エアバッグの膨出方向とほぼ平行するように底面を形成したことにより、引張り力により基材層が伸長するのを抑制することができるため、せん断力をより有効にテアラインの扉区画線状溝部及び表面層へ加えることができ、これによって安定した状態でテアラインの扉区画線状溝部や表面層を破断することができる。
また、前記構成により、エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面の延長線に沿って集中的に発生したせん断力は、直接表面層の薄肉部へと作用して、方向がバラツクことがないため、表面層を薄肉部より蛇行することなく確実に破断することができる。
更にまた、前記構成により、曲率の小さい曲線により形成された薄肉部側がより破断しやすくなって、この薄肉部に沿って破断が進行するため、表面層の破断ラインが蛇行するのを確実に防止することができる。

本発明のインストルメントパネルによれば、扉区画線状溝部を形成するV字溝の底面のうち、エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面の延長線に沿ってせん断力が上方へ向かって集中的に発生し、このせん断力が表面層に直接作用するため、意図したラインに沿って表面層を確実に破断することができ、またエアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面に沿って発生したせん断力により扉区画線状溝部が開裂する際、基材層には垂直方向に引張り力が発生するが、エアバッグの膨出方向とほぼ平行するように底面を形成したことにより、引張り力により基材層が伸長するのを抑制することができるため、せん断力をより有効にテアラインの扉区画線状溝部及び表面層へ加えることができ、これによって安定した状態でテアラインの扉区画線状溝部や表面層を破断することができる。
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は内側にエアバッグ装置が設置されたインストルメントパネルの平面図、図2は同分解斜視図、図3は図1のA−A線に沿う断面図、図4は図1のB−B線に沿う断面図、図5は作用説明図である。
図1及び図2に示すインストルメントパネル本体1は、車室内の前部に設置されたもので、硬質樹脂を射出成形することにより形成された基材層2と、基材層2の表面を被覆する表面層3から構成された2層構造となっており、表面層3はポリウレタン等の軟質樹脂により形成されている。
インストルメントパネル本体1の内側には、図示しない助手席の前方に位置してエアバッグ装置4が設置されている。
エアバッグ装置4は、図3に示すように樹脂により成形された角箱状の上部ケース4aと、上部ケース4aの底部に取り付けられた金属よりなる下部ケース4bとを有していて、下部ケース4b内には、自動車が衝突した際高圧ガスを噴出するインフレータ5が収容されている。
上部ケース4a内には、折り畳まれた状態でエアバッグ6が収容されていて、エアバッグ6のガス導入口がインフレータ5のガス噴出口(何れも図示せず)に接続されていると共に、上部ケース4aの上面開口は蓋体4cにより閉鎖されていて、蓋体4cの前後方向のほぼ中央部に、エアバッグ6が膨張した際開裂する薄肉部4dが水平方向に形成されている。
また蓋体4cの前後縁部は、蓋体4cの一部を薄肉とすることにより形成されたヒンジ4eを介して上部ケース4aの開口縁に連設されており、エアバッグ6が膨張した際、各ヒンジ4eを中心に蓋体4cが上方へと開放されるようになっている。
そして上部ケース4aの開口縁に突設されたフランジ4fの上面と、蓋体4cの上面に形成された格子状の突出部4gが、インストルメントパネル本体1を構成する基材層2の裏面に、振動溶着等の接着手段により固着されている。
一方上部ケース4aのフランジ4f上面及び蓋体4cの上面が固着された基材層2の裏面には、テアライン2aが形成されている。
テアライン2aは、上下水平線状溝部2b,2cと、これら水平線状溝部2b,2cの両端間を縦方向に結ぶ左右垂直線状溝部2d,2eと、左右垂直線状溝部2d,2eのほぼ中間部間を結ぶ中央水平線状溝部2fとから形成されたほぼ日の字状をなしていて、V字溝により形成された中央水平線状溝部2fは、蓋体4cのほぼ中央部に形成された薄肉部4dの上方に位置している。
上下水平線状溝部2b,2cと左右垂直線状溝部2d,2eは、上部ケース4a内面の垂直方向の延長線2g上にほぼ位置していて、上下水平線状溝部2b,2cはV字溝により形成されているが、左右垂直線状溝部2d,2eは、図4に示すように延長線2gに対し底面2i,2jが非対称となったV字溝により形成されており、エアバッグ6が膨張した際開動する扉部2xの外郭線を区画形成する扉区画線状溝部を構成している。
非対称のV字溝を形成する底面2i,2jのうち、フランジ4fが固着された側の底面2iは、上部ケース4a内面の延長線2g即ちエアバッグの膨出方向に対して平行するようにほぼ垂直に形成され、蓋体4cが固着された側、すなわちエアバッグ6側の底面2jは、延長線2gに対し角度θだけ横臥する方向に傾斜されており、角度θだけ傾斜する底面2jの延長線2kと、上部ケース4a内面の延長線2gの交点2nの下方には、基材層2の上面に突条2pが突設されている。
突条2pは左右垂直線状溝部2d,2eとほぼ同じ長さとなっていて、延長線2k側が曲率の小さい曲線により、また反対側、すなわち延長線2g側が曲率が大きいなだらかな曲線により形成された断面形状となっており、これら突条2pによって基材層2の表面に被覆された表面層3に厚さtの薄肉部3aが形成されている。
次に前記した構成を有するインストルメントパネルの作用を説明する。
インストルメントパネル本体1は、車室内の前部に取り付けられており、インストルメントパネル本体1の内側に組み付けられたエアバッグ装置4は、助手席に着席した乗員(何れも図示せず)の前方に位置している。
この状態で自動車が衝突すると、折り畳まれた状態のエアバッグ6がインフレータ5より噴出される高圧ガスにより膨張を開始して、上部ケース4aの上面開口を閉鎖している蓋体4cを押し上げる。
これによって蓋体4cの薄肉部4dが破断されて、蓋体4cはヒンジ4eを中心に上方へ回動を開始するため、蓋体4cの押し上げ力Fにより、基材層2の裏面に形成されたテアライン2aの中央水平線状溝部2fが引張り力により開裂され、同時に中央水平線状溝部2fに沿って基材層2の上面に形成された突条による表面層2の薄肉部(何れも図示せず)が破断される。
さらにエアバッグ6が膨張すると、蓋体4cの押し上げ力Fにより図5に示すように上下水平線状溝部2b,2cと左右垂直線状溝部2d,2eにより枠状に囲まれた部分の基材層2が押し上げられるため、左右垂直線状溝部2d,2eを形成するV字溝の底面2i,2jのうち、角度θだけ横臥する方向に傾斜する側の底面2jの延長線2kに沿ってせん断力F1が、図5に示すように上方へ向かって集中的に発生する。
底面2jの延長線2k上には、突条2pにより表面層3に薄肉部3aが形成されていることから、底面2jの延長線2kに沿って集中的に発生したせん断力F1は、方向にバラツキを生じることなく直接薄肉部3aへと作用し、これによって表面層3の薄肉部3aが意図したラインに沿って確実に破断されるようになる。
基材層2のテアライン2a及び表面層3の薄肉部3aが開裂されると、蓋体4cとともに表面層3がヒンジ4eを中心に上方へと開放されるため、膨張したエアバッグ6が助手席の乗員側へと展開されて、衝撃時の衝撃から乗員を保護するようになる。
また角度θだけ横臥する方向に傾斜する底面2jに沿って発生したせん断力F1によりテアライン2aの左右垂直線状溝部2d,2eが開裂する際、フランジ4fが固着された基材層2には、図5に示すように垂直方向に引張り力F2が発生するが、フランジ4f側の底面2iは予めケース4aの内面とほぼ平行するように形成されていて、この引張り力F2を上部ケース4aが支持するため、基材層2に発生する引張り力F2により基材層2が伸長するのを抑制することができ、これによってせん断力F1をより有効にテアライン4aの左右垂直線状溝部2d,2e及び表面層3の薄肉部3aへ加えることができる。
さらに表面層3に薄肉部3aを形成すべく基材層2の表面に突設された突条2pの断面形状を、延長線2k側が曲率の小さい曲線により、また延長線2k側が曲率が大きいなだらかな曲線により形成したことにより、曲率の小さい曲線により形成された薄肉部3a側がより破断しやすくなり、これによって曲率の小さい曲線により形成された薄肉部3aに沿って破断が進行するため、表面層の破断ラインが蛇行するのを確実に防止することができる。
なおテアライン2aを形成するV字溝の頂部は、鋭角でもR形状でもよい。
また、上記実施の形態においては、テアライン2aは、上下水平線状溝部2b,2cと、これら水平線状溝部2b,2cの両端間を縦方向に結ぶ左右垂直線状溝部2d,2eと、左右垂直線状溝部2d,2eのほぼ中間部間を結ぶ中央水平線状溝部2fとから形成されたほぼ日の字状を呈するように形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、逆U字状を呈する溝部に形成する場合もあり、この場合、溝部全体が扉区画線状溝部を構成することになり、当該溝部の両端部を結ぶ線上には、扉部2xが開動しやすいように溝状のヒンジ部を形成することが考えられる。
本発明のインストルメントパネルは、扉区画線状溝部を形成するV字溝の底面のうち、エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面の延長線に沿ってせん断力が上方へ向かって集中的に発生し、このせん断力が表面層に直接作用するため、意図したラインに沿って表面層を確実に破断することができ、またエアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面に沿って発生したせん断力により扉区画線状溝部が開裂する際、基材層には垂直方向に引張り力が発生するが、エアバッグの膨出方向とほぼ平行するように底面を形成したことにより、引張り力により基材層が伸長するのを抑制することができるため、せん断力をより有効にテアラインの扉区画線状溝部及び表面層へ加えることができ、これによって安定した状態でテアラインの扉区画線状溝部や表面層を破断することができ、基材層の表面を表面層により被覆して構成すると共に、基材層の裏面にエアバッグが膨張した際開裂するテアラインが形成された2層構造のインストルメントパネルに最適である。
本発明の実施の形態になるインストルメントパネルの斜視図である。 本発明の実施の形態になるインストルメントパネルの分解斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 図1のB−B線に沿う断面図である。 本発明の実施の形態になるインストルメントパネルの作用説明図である。
符号の説明
1 インストルメントパネル本体
2 基材層
2a テアライン
2d 左垂直線状溝部(扉区画線状溝部)
2e 右垂直線状溝部(扉区画線状溝部)
2f 中央水平線状溝部
2i 底面
2j 底面
2k 延長線
2p 突条
2x 扉部
3 表面層
3a 薄肉部
6 エアバッグ
F1 せん断力
F2 引張力(エアバッグ膨張方向)

Claims (1)

  1. 基材層と、前記基材層の表面を被覆する表面層とからなるインストルメントパネル本体の内側に、蓋体を固着した状態で上部ケース内に収容されたエアバッグを設置すると共に、前記基材層の裏面に、前記エアバッグが膨張した際開動する扉部を形成するようにテアラインを形成して構成したインストルメントパネルであって、前記テアラインにおける前記扉部の外郭線を区画形成する扉区画線状溝部のうち左右垂直線状溝部をV字溝に形成して、該左右垂直線状溝部における前記扉部側に面する側を前記エアバッグの膨出方向とほぼ平行する底面とすると共に、前記左右垂直線状溝部における前記扉部に対向する側に面する側を前記エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面となるように形成しており、且つ、前記エアバッグの膨出方向に対して横臥するように傾斜する前記底面の延長線と前記上部ケースの内面の延長線との交点の下方において、前記基材層の表面に突条を突設することにより、前記表面層における前記底面のうち前記エアバッグの膨出方向に対して横臥する方向に傾斜する底面における前記延長線上に薄肉部を形成してなり、更に、前記突条の断面形状を、前記エアバッグの膨出方向に対して横臥するように傾斜する側底面の延長線側を曲率の小さい曲線により、また前記エアバッグの膨出方向とほぼ平行する底面側を曲率の大きいなだらかな曲線により形成したことを特徴とするインストルメントパネル。
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