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JP4861918B2 - 光学素子を備えた光モジュール用ホルダ、光モジュールならびに光コネクタ - Google Patents
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光学素子を備えた光モジュール用ホルダ、光モジュールならびに光コネクタ Download PDF

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Description

本発明は、光学素子を備えた光モジュール用ホルダ、光モジュールならびに光コネクタに係り、特に、光電変換素子から出射された光を光伝送路の端部に結合させるのに好適な光学素子を備えた光モジュール用ホルダ、光モジュールならびに光コネクタに関する。
近年、データ通信のさらなる高速化・大容量化にともなって、光ファイバを用いた光ファイバ通信技術の需要がさらに高まっている。
このような光ファイバ通信に用いられる光モジュールの1つとしては、光ファイバと光電変換素子(例えば、半導体レーザ)とを、レンズ面等の光学面が形成された光学素子を有する光モジュール用ホルダに取り付けたものが知られている。
このような光モジュールでは、光電変換素子から出射された送信情報を含む光を、光学素子の光学面による光の透過や屈折を利用して光ファイバの端部に光学的に結合させることが行われていた。
さらに、従来から、この種の光ファイバを用いた光通信においては、通信規格や安全性等の理由により、光電変換素子と光ファイバとの間で光学素子を介して結合させる光の光量(換言すれば、光の強度)を減衰させることが要求されることがあり、このような要求に応えるべく、従来から、光学素子には、光量減衰手段として回折格子が備えられていた(例えば、特許文献1参照)。
このような回折格子を備えた光学素子によれば、光電変換素子側から入射した光を回折させて特定の回折次数の光のみを光ファイバの端部に結合させることによって、光ファイバの端部に結合する光の光量を減衰させることが可能とされていた。
特開平11−142696号公報
ところで、光電変換素子の1つとしての半導体レーザは、一般的に、出射される光(レーザ光)の強度すなわち出力が、半導体レーザの使用環境温度に応じて変化する特性を有していることが知られている。
ここで、図7は、使用環境温度がT〔℃〕の場合における半導体レーザに供給される電流〔mA〕に対する半導体レーザから出射される光の出力〔mW〕の特性と、使用環境温度がT〔℃〕の場合における半導体レーザに供給される電流〔mA〕に対する半導体レーザから出射される光の出力〔mW〕の特性とを示すグラフである。ただし、TよりもTの方が高温とされている。
図7に示すように、半導体レーザは、供給される電流が増加すると出力が増加するようになっており、光通信に実際に使用される出力は、供給される電流が所定のスレショルド電流以上となった場合における出力とされている。
そして、この図7を見れば分かるように、半導体レーザは、使用環境温度がTの場合とTの場合とでは、高温T側の方が出力が低下する特性を有している。
このような特性を有する半導体レーザを、前述した光量減衰手段としての回折格子を備えた光モジュールに搭載する場合には、使用環境温度の変化によって半導体レーザから出射される光の出力〔mW〕および強度〔mW/cm〕が変化することにともなって、半導体レーザから出射された後に回折格子を経て光ファイバの端部に結合する特定の回折次数の光の強度も変化してしまうことになる。
このように、光ファイバの端部に結合する光の強度が変化することは、通信エラーが少ない安定した光通信(送信)を行う上で好ましくない。
これについて、例えば、半導体レーザに供給される電流を、使用環境温度の上昇にともなって増加するように調整すれば、使用環境温度の変化にかかわらず半導体レーザの出力を一定に保持することが可能と考えられる。図7の例で言えば、使用環境温度がTの場合において電流Iを供給して出力Pが得られていた状態から、使用環境温度がTに上昇した場合には、同じ出力Pを得るために電流をIに増加させればよい。
このような半導体レーザに供給される電流の調整を実現するには、使用環境温度の変化に応じて電流を調整するための調整機構が必要となる。調整機構は、例えば、図8の光モジュール23に示すように、半導体レーザ8の近傍に配置されるPDIC等の受光素子24と、半導体レーザ8から出射された光の一部を受光素子24側に反射させるCANパッケージ22のガラス窓25と、受光素子24によって受光される光の強度の変化が解消されるように半導体レーザ8に供給される電流を制御する制御回路(図示せず)とによって構成することができる。なお、図8の光モジュール23は、半導体レーザ8と光ファイバの端部とを光学的に結合する平凸レンズ27を備えている。このような調整機構によれば、半導体レーザ8の使用環境温度の変化を、半導体レーザ8から出射されて受光素子24へとフィードバックされる光の強度の変化として把握した上で、使用環境温度に応じた半導体レーザ8への電流の供給の制御を行うことは可能である。
しかしながら、このような調整機構は、部品点数が増加するばかりでなく、半導体レーザに供給される電流の調整に高い精度が求められるため、コストの上昇を余儀なくされてしまう。さらに、このような調整機構は、ガラス窓を備えることができるCANパッケージ型の半導体レーザに特化したものであり、小型化に適したガラス窓を有しない表面実装型の半導体レーザでは対応することができないため、小型化が困難となる上に、汎用性に欠けることにもなる。
したがって、従来は、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される光電変換素子から出射された光の強度の変化を安価に抑制することができないといった問題が生じていた。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、使用環境温度の変化にともなう光電変換素子から出射された光のうちの光伝送路の端部に結合される光の強度の変化を安価に抑制することができ、ひいては、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができる光学素子を備えた光モジュール用ホルダ、光モジュールならびに光コネクタを提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る光モジュール用ホルダの特徴は、光伝送路と、電流の供給によって光を出射可能とされた光電変換素子との間の光路上に配置された状態において、前記光電変換素子から出射された光を前記光伝送路の端部に結合させる光学素子を備えた光モジュール用ホルダにおいて、前記光伝送路の端部を取付けるための光伝送路取付部と、前記光電変換素子を取り付けるための光電変換素子取付部とを備え、前記光学素子は、前記光電変換素子側から入射した光を回折させて特定の回折次数の光を前記光伝送路の端部に結合させる回折格子を有し、前記回折格子が、前記光電変換素子の使用環境温度の変化にともなう前記光伝送路の端部に結合される前記光の強度の変化を示す結合光温度特性を、所定の許容限度内に抑制するように形成され、かつ、使用環境温度の変化にともなう前記回折格子から出射される前記特定の回折次数の光の強度の変化を示す特定光温度特性として、前記光電変換素子の使用環境温度の変化にともなう前記光電変換素子から出射される光の強度の変化を示す出射光温度特性に、前記特定光温度特性を加算することによって、前記許容限度内に抑制された前記結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を有するように形成され、かつ、前記回折格子の格子形状、前記回折格子の形成材料の屈折率の温度係数、および前記回折格子の形成材料の線膨脹係数が特定されていることによって、前記許容限度内に抑制された前記結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を有するように形成され、前記光学素子、前記光伝送路取付部および前記光電変換素子取付部が樹脂材料によって一体成形されている点にある。
そして、この請求項1に係る発明によれば、光電変換素子に供給される電流を使用環境温度に応じて調整するための調整機構を用いない場合、または、光電変換素子に供給される電流を高精度に調整することができない安価な調整機構を用いる場合であっても、回折格子によって、結合光温度特性を許容限度内に抑制することができるので、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができ、ひいては、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができる光学素子を実現することができる。また、調整機構を要しないので、表面実装型の光電変換素子を用いることによって光モジュールの小型化を図ることもできる。さらに、CANパッケージ型および表面実装型の双方の光電変換素子に適用することができるので、汎用性を向上させることができる。更に、出射光温度特性を考慮して、回折格子が、結合光温度特性を抑制するために最適な特定光温度特性を有するようにすることにができるので、結合光温度特性をさらに確実に抑制することができ、より安定的な光通信を行うことができる。更に、格子形状、屈折率の温度係数、および線膨脹係数を特定することによって、さらに確実に、結合光温度特性を許容限度内に抑制することができる。また、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができ、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができ、あわせて、光モジュールの小型化および汎用性の向上を図ることもできる光モジュール用ホルダを実現することができる。
また、請求項2に係る光モジュール用ホルダの特徴は、請求項1において、前記許容限度が、前記使用環境温度が所定の第1の温度から所定の第2の温度に変化するまでの期間中における前記結合光温度特性が示す前記光伝送路の端部に結合される前記光の強度の最大値と最小値との差分についての許容されるべき上限とされている点にある。
そして、この請求項2に係る発明によれば、結合光温度特性を、使用環境温度が第1の温度から第2の温度に変化するまでの期間中における光伝送路の端部に結合される光の強度の最大値と最小値との差分が許容されるべき上限以下に収まるように抑制することができるので、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化をより適切に抑制することができ、さらに安定的な光通信を行うことができる。
また、請求項に係る光モジュール用ホルダの特徴は、請求項1または2において、前記回折格子の格子形状が、周期、格子溝の深さ、および充填率の少なくとも1つを含む点にある。
そして、この請求項に係る発明によれば、回折格子の周期、格子溝の深さ、および充填率の少なくとも1つによって格子形状を特定するので、より確実に結合光温度特性を許容限度内に抑制することができる。
さらに、請求項に係る光モジュール用ホルダの特徴は、請求項1〜のいずれか1項において、前記光電変換素子が、半導体レーザとされている点にある。
そして、この請求項に係る発明によれば、半導体レーザに供給される電流を使用環境温度に応じて調整するための調整機構を用いない場合、または、光電変換素子に供給される電流を高精度に調整することができない安価な調整機構を用いる場合であっても、回折格子によって、結合光温度特性を許容限度内に抑制することができるので、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができ、ひいては、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に実現することができ、あわせて、光モジュールの小型化および汎用性の向上を図ることもできる。
また、請求項に係る光モジュールの特徴は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光モジュール用ホルダと、請求項1に記載の光電変換素子とを備えた点にある。
そして、この請求項に係る発明によれば、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができ、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができ、あわせて、小型化および汎用性の向上を図ることもできる光モジュールを実現することができる。
さらに、請求項に係る光コネクタの特徴は、請求項に記載の光モジュールと、この光モジュールを収容するハウジングとを備えた点にある。
そして、この請求項に係る発明によれば、使用環境温度の変化にともなう光伝送路の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができ、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができ、あわせて、光モジュールの小型化および汎用性の向上を図ることもできる光コネクタを実現することができる。
本発明によれば、使用環境温度の変化にともなう光電変換素子から出射された光のうちの光伝送路の端部に結合される光の強度の変化を安価に抑制することができ、ひいては、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができる。
以下、本発明に係る光学素子を備えた光モジュール用ホルダ、光モジュールおよび光コネクタの実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態における光モジュール1は、光軸2に沿って長尺とされた光モジュール用ホルダ3を有しており、この光モジュール用ホルダ3は、例えば、PEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル)等の光透過性の樹脂材料を射出成形することによって一体的に形成されている。
光モジュール用ホルダ3は、長手方向における中央に、光学素子5を有しており、この光学素子5は、光軸2方向における一方(図1における右方)の光学面が平面円形状の凸のレンズ面6とされたほぼ平凸レンズ状に形成されている。
また、光モジュール用ホルダ3は、レンズ面6の半径方向の外側から光軸2方向における一方(図1における右方)に向かって延在された筒状の光電変換素子取付部7を有している。
この光電変換素子取付部7には、図1に示すように、光電変換素子として、シリコン等からなる基板9の表面に実装された表面実装型の半導体レーザ8が取付けられるようになっており、この半導体レーザ8と光モジュール用ホルダ3とによって、本実施形態における光モジュール1が構成されている。なお、半導体レーザ8は、図7に示したように、電流の供給によって光を出射するようになっており、供給される電流の増加にともなって、出射される光の強度が増加するようになっている。
さらに、光モジュール用ホルダ3は、光学素子5におけるレンズ面6に光軸2方向において対向する光学面10の半径方向の外側から光軸2方向における光電変換素子取付部7と反対の方向に向かって延在された光伝送路取付部としての筒状の光ファイバ取付部11を有している。
この光ファイバ取付部11には、光ファイバ12が、この光ファイバ12のファイバコア14を保持するフェルール15とともに着脱可能に取付けられるようになっている。
このように、光ファイバ12と半導体レーザ8との間の光路上に光学素子5が配置された構成により、半導体レーザ8から出射された光は、レンズ面6から光学素子5に入射し、この光学素子5によって収束された上でレンズ面6に対向する光学面10を介して光学素子5から出射された後に、光ファイバ12の端部(長手方向の端部)に結合されるようになっている。
但し、本実施形態において、光ファイバ12の端部に結合される光は、光学素子5から出射された光のうちの一部に限定されるようになっている。
すなわち、本実施形態において、光学素子5におけるレンズ面6に対向する光学面10には、図2に示すように、直線状の複数の格子溝16が溝方向に直交する周期方向に一定の周期Λ〔μm〕を有した状態として整列された回折格子17が形成されている。なお、図2における回折格子17は、各格子溝16がいずれも同一寸法の断面矩形状(長方形状)に形成されている。また、格子溝16の非形成面Sは、格子溝16の底面Sに平行な平坦面に形成されている。
この回折格子17は、半導体レーザ8側から入射した光を回折させて特定の回折次数(例えば、0次)の光のみを光ファイバ12の端部に結合させることによって、光ファイバ12の端部に結合する光の光量を減衰させるようになっている。
さらに、本実施形態において、回折格子17は、結合光温度特性を、所定の許容限度内に抑制するようになっている。
但し、本実施形態において、結合光温度特性とは、半導体レーザ8の使用環境温度の変化にともなう光ファイバ12の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を示す特性をいうものとする。なお、本実施形態における結合光温度特性は、半導体レーザ8に供給される電流が一定であることを前提とした特性であってもよい。
この結合光温度特性の許容限度としては、コンセプトに応じて種々の態様を選択することができる。例えば、許容限度として、半導体レーザ8の使用環境温度が所定の第1の温度から所定の第2の温度に変化するまでの期間中における結合光温度特性が示す光ファイバ12の端部に結合される光の強度の最大値と最小値との差分についての許容されるべき上限を用いてもよい。
したがって、本実施形態によれば、半導体レーザ8に供給される電流を半導体レーザ8の使用環境温度に応じて調整する調整機構を用いなくても、回折格子17によって結合光温度特性を緩和する(平坦に近づける)ことができる。
この結果、半導体レーザ8の使用環境温度の変化にともなう光ファイバ12の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができるとともに、表面実装型の半導体レーザ8を用いることによって小型化を図ることができる。
より好ましくは、回折格子17が、特定光温度特性として、この特定光温度特性を出射光温度特性に加算することによって、許容限度内に抑制された結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を有するようにする。
但し、本実施形態において、特定光温度特性とは、回折格子17の使用環境温度の変化にともなう回折格子17から出射される特定の回折次数の光の強度の変化を示す特性をいうものとする。
また、本実施形態において、出射光温度特性とは、半導体レーザ8の使用環境温度の変化にともなう半導体レーザ8から出射される光の強度の変化を示す特性をいうものとする。なお、本実施形態における出射光温度特性は、半導体レーザ8に供給される電流が一定であることを前提とした特性であってもよい。
このようにすれば、更に、出射光温度特性を考慮して、回折格子17が、結合光温度特性を抑制するために最適な特定光温度特性を有するようにすることができるので、結合光温度特性をさらに確実に抑制することができる。
さらに好ましくは、回折格子17が、その格子形状、その形成材料の屈折率の温度係数(dn/dT)、およびその形成材料の線膨脹係数が特定されていることによって、許容限度内に抑制された結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を有するようにする。
この場合に、格子形状としては、図2に示す周期Λ〔μm〕、格子溝の深さd〔μm〕、および充填率の少なくとも1つを用いることができる。なお、充填率は、図2に示すような矩形の格子溝16を有する回折格子17の場合には、互いに隣位する格子溝16同士の間の周期方向の間隔W〔μm〕を周期Λによって除した値W/Λとして求めることができる。
ここで、本出願人が、このように、格子形状、屈折率の温度係数および線膨脹係数を特定することによって回折格子17が所望の特定光温度特性を有するようにすることが好ましいとするのは、次の事項に着目したことによる。
すなわち、本出願人は、まず、回折格子17から出射される特定の回折次数の光の強度に直接的に関与するとみなすことができる物理量として、回折格子17の回折効率に着目した。
この回折効率の一例として、フラウンホッファ回折に基づく回折効率は次の(1)式のように表される。
Figure 0004861918
但し、(1)式におけるηは、m次の回折光の回折効率である。また、(1)式におけるΛ〔μm〕は、回折格子の周期である。さらに、(1)式におけるmは、回折光の回折次数である。なお、mは、0および正負の整数の値をとる。
さらに、(1)式におけるΦ(x)は、回折格子の周期方向をx軸方向とした位相シフト関数であり、この位相シフト関数は、図2に示すような格子溝の底面を1段目、格子溝の非形成面を2段目と考えた2段(いわゆる2レベル)の矩形の格子溝を有する透過型の回折格子の場合には、次の(2)式のように表される。
Figure 0004861918
但し、(2)式におけるφは、段差すなわち格子溝の深さをd〔μm(nm)〕、回折格子の形成材料の屈折率をn、使用する光の波長をλ〔μm(nm)〕とした場合における{2πd(n−1)}/λで表される定数である。また、(2)式におけるaは、前述した充填率である。
これら(1)式および(2)式から分かるように、回折格子は、その製造条件として、周期Λ、格子溝の深さ、および充填率といった格子形状や、回折格子の形成材料の屈折率を特定すれば、これらの特定された条件に固有の回折効率を得ることができる。
次に着目すべきは、回折格子が、その形成材料に固有の屈折率の温度係数と線膨脹係数とを有する点にある。
すなわち、回折格子は、使用環境温度が変化すれば、形成材料の線膨脹係数に応じて格子形状(Λ、d、a)が変形するとともに、屈折率の温度係数に応じて屈折率nが変化する。
さらに、このような格子形状の変形および屈折率の変化にともなって、(2)式のφの値も変化し、さらに、このφの値をΦ(x)として(1)式に代入することによって求められるηの値も変化することになる。
そして、このような使用環境温度の変化にともなうηの値の変化は、回折効率の温度特性ということができる。
したがって、格子形状(Λ、d、a)とともに、回折格子の形成材料の屈折率の温度係数および線膨脹係数を特定すれば、これらの特定された条件に固有の回折効率の温度特性を規定することができる。
そして、前述のように、回折効率は、回折格子から出射される特定の回折次数の光の強度に直接的に関与する物理量とみなすことができるため、回折効率の温度特性が規定されれば、同時に、回折格子から出射される特定の回折次数の光の強度の温度特性、すなわち、特定光温度特性についても規定することができると結論付けることができる。
このような理由により、格子形状、屈折率の温度係数、および線膨脹係数を好適な値に特定することによって、許容限度内に抑制された結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を確実に規定することが可能である。
なお、このような特定光温度特性を規定するための格子形状、屈折率の温度係数、および線膨脹係数の特定は、(1)式や(2)式を用いた計算が困難な場合もあるので、その場合には、狙った特定光温度特性が得られるように、シミュレーションによって格子形状、屈折率の温度係数および線膨脹係数を特定するようにしてもよい。
このような本実施形態における光モジュール1は、図3に示すように、ハウジング18内に収容されることによって光コネクタ20を構成するようになっている。
本実施例においては、図4における三角形のプロットがなされた実施例のグラフに示すような結合光温度特性が得られるように、回折格子17の格子形状と、回折格子17を形成する樹脂材料の屈折率の温度係数および線膨脹係数とをそれぞれ特定する。
なお、図4における横軸は、半導体レーザ8の使用環境温度〔℃〕を、縦軸は、光ファイバ12の端部に結合される特定の回折次数の光としての0次光の強度〔W/cm〕の変化量〔dB〕をそれぞれ示している。なお、図4の縦軸は、例えば、原点0.0〔dB〕に相当する0次光の強度(図示せず)を基準の強度とした0次光の強度の変化量を示している。したがって、図4の縦軸は、0次光の強度そのものではなく0次光の強度の変化量であるものの、この変化量の変化の特性は、0次光の強度そのものの変化の特性とグラフ形状が必ず一致するので、図4の実施例のグラフを、使用環境温度の変化にともなう光ファイバ12の端部に結合する0次光の強度の変化を示す特性(結合光温度特性)として扱うことができる。
この図4の実施例に示す結合光温度特性は、半導体レーザ8の使用環境温度が20℃(第1の温度)から70℃(第2の温度)に変化するまでの期間中における結合光温度特性が示す光ファイバ12の端部に結合される0次光の強度の最大値と最小値との差分が、許容されるべき上限値(許容限度)としての0.5〔dB〕に相当する光強度幅以下に収まるものとなっている。
このような結合光温度特性が得られるようにするには、まず、使用する半導体レーザ8の出射光温度特性を把握しておく。ここで、本実施例における出射光温度特性は、図5のグラフに示すような特性とする。図5における横軸は、半導体レーザ8の使用環境温度〔℃〕を、縦軸は、半導体レーザ8から出射される光の強度の変化量〔dB〕をそれぞれ示している。なお、図5の縦軸は、例えば、原点0.0〔dB〕に相当する光の強度(図示せず)を基準の強度とした光の強度の変化量を示している。したがって、図5の縦軸は、光の強度そのものではなく光の強度の変化量であるものの、この変化量の変化の特性は、光の強度そのものの変化の特性とグラフ形状が必ず一致するので、図5のグラフを、使用環境温度の変化にともなう半導体レーザ8から出射される光の強度の変化を示す特性(出射光温度特性)として扱うことができる。この出射光温度特性は、実測によって得られたものであってもよい。
次いで、図4の実施例のグラフに示す結合光温度特性から、図5のグラフに示す出射光温度特性を減算することによって、図6のグラフに示すような特定光温度特性を取得する。なお、図6における横軸は、回折格子17の使用環境温度〔℃〕を、縦軸は、回折格子17から出射される0次光の強度の変化量〔dB〕をそれぞれ示している。なお、図6の縦軸は、例えば、原点0.0〔dB〕に相当する0次光の強度(図示せず)を基準の強度とした0次光の強度の変化量を示している。したがって、図6の縦軸は、0次光の強度そのものではなく0次光の強度の変化量であるものの、この変化量の変化の特性は、0次光の強度そのものの変化の特性とグラフ形状が必ず一致するので、図6のグラフを、使用環境温度の変化にともなう回折格子17から出射される0次光の強度の変化を示す特性(特定光温度特性)として扱うことができる。
そして、図6に示す特定光温度特性を狙って、シミュレーション等によって、回折格子17の格子形状と、回折格子17を形成する樹脂材料の屈折率の温度係数および線膨脹係数とをそれぞれ特定する。
この結果、周期が5μm、格子溝の深さが3.05μm、使用波長850nmにおける屈折率が1.64、樹脂材料の屈折率の温度係数(GEプラスチックス公表値)が−7.3×10−5、樹脂材料の線膨脹係数が−5.6×10−5〔/K〕の回折格子17を得ることができる。
このようにして得られた本実施例の回折格子17が形成された光モジュール1を用いれば、図4の実施例のグラフに示すように、結合光温度特性を許容限度内に抑制することができる。具体的には、半導体レーザ8の使用環境温度が20℃から70℃に変化するまでの期間中における光ファイバ12の端部に結合される0次光の強度の最大値と最小値との差分を、0.41〔dB〕に相当する光強度幅にすることができる。
なお、図4には、比較例として、光学素子に回折格子を形成しない場合における結合光温度特性を示す四角形のプロットがなされたグラフも表示されている。この比較例のグラフに示すように、比較例においては、半導体レーザの使用環境温度が20℃から70℃に変化するまでの期間中における光ファイバの端部に結合される0次光の強度の最大値と最小値との差分が、許容限度を遥かに超える約0.60〔dB〕に相当する光強度幅となり、本発明に比べれば性能が劣ることが分かる。
以上述べたように、本発明によれば、半導体レーザに供給される電流の調整を要することなく回折格子17によって結合光温度特性を許容限度内に抑制することができるので、使用環境温度の変化にともなう光ファイバ12の端部に結合される特定の回折次数の光の強度の変化を安価に抑制することができ、ひいては、耐熱性に優れた安定的な光通信を安価に行うことができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、本発明は、図8に示したような半導体レーザ8に供給される電流を調整する調整機構24、25を備えたCANパッケージ型の半導体レーザに適用した場合においても、回折格子17の機能によって結合光温度特性を許容限度内に抑制することができるので、CANパッケージに備えられた調整機構が電流の調整を高精度に行うことができる高価なものでなくても、安定した光通信を行うことができる。
また、本発明は、電流の供給によって出射される光の強度が温度依存性を有するような光電変換素子であれば、半導体レーザ以外の素子にも有効に適用することができる。
さらに、光ファイバ12の端部に結合させる特定の回折次数の光は、0次光に限る必要はなく、種々変更することができ、±1次以上の回折光を結合させるようにしてもよく、また、互いに異なる回折次数を有する2種類以上の光を結合させるようにしてもよい。
さらにまた、本発明における回折格子は、矩形の格子溝を有するものに限定されるものではなく、例えば、格子溝が楔状あるいはブレーズ状であってもよい。また、回折格子は、互いに半径が異なる平面円環状の複数の格子溝が同心上に配置された輪帯構造であってもよい。
ただし、図3におけるハウジング18内に、本発明の回折格子を備えた光モジュールとともに、受光素子を備えた受信用の光モジュールを図3における紙面垂直方向に沿って並設する場合には、回折格子は、図3に示した直線状の格子溝16を有する回折格子17であることが望ましい。図3に示すような向きに配置された直線状の格子溝16を有する回折格子17による回折光は、図3における上下方向に広がるため、受信用の光モジュールの光路上に回折光が迷光として侵入することを防止することができ、エラーの少ない双方向光通信を行うことができるからである。
本発明に係る光モジュール用ホルダおよび光モジュールの実施形態を示す構成図 図1の光学素子における回折格子を示す縦断面図 本発明に係る光コネクタの実施形態を示す概略構成図 実施例における結合光温度特性を比較例とともに示すグラフ 実施例における出射光温度特性を示すグラフ 実施例における結合光温度特性を得るための回折効率の温度特性を示すグラフ 半導体レーザの出力特性を示すグラフ 半導体レーザに対する供給電流の調整機構を備えた従来の光モジュールの一例を示す構成図
符号の説明
5 光学素子
8 半導体レーザ
12 光ファイバ
17 回折格子

Claims (6)

  1. 光伝送路と、電流の供給によって光を出射可能とされた光電変換素子との間の光路上に配置された状態において、前記光電変換素子から出射された光を前記光伝送路の端部に結合させる光学素子を備えた光モジュール用ホルダにおいて、
    前記光伝送路の端部を取付けるための光伝送路取付部と、
    前記光電変換素子を取り付けるための光電変換素子取付部と
    を備え、
    前記光学素子は、前記光電変換素子側から入射した光を回折させて特定の回折次数の光を前記光伝送路の端部に結合させる回折格子を有し、
    前記回折格子が、前記光電変換素子の使用環境温度の変化にともなう前記光伝送路の端部に結合される前記光の強度の変化を示す結合光温度特性を、所定の許容限度内に抑制するように形成され、かつ、使用環境温度の変化にともなう前記回折格子から出射される前記特定の回折次数の光の強度の変化を示す特定光温度特性として、前記光電変換素子の使用環境温度の変化にともなう前記光電変換素子から出射される光の強度の変化を示す出射光温度特性に、前記特定光温度特性を加算することによって、前記許容限度内に抑制された前記結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を有するように形成され、かつ、前記回折格子の格子形状、前記回折格子の形成材料の屈折率の温度係数、および前記回折格子の形成材料の線膨脹係数が特定されていることによって、前記許容限度内に抑制された前記結合光温度特性が得られるような特定光温度特性を有するように形成され、
    前記光学素子、前記光伝送路取付部および前記光電変換素子取付部が樹脂材料によって一体成形されていること
    を特徴とする光モジュール用ホルダ
  2. 前記許容限度が、前記使用環境温度が所定の第1の温度から所定の第2の温度に変化するまでの期間中における前記結合光温度特性が示す前記光伝送路の端部に結合される前記光の強度の最大値と最小値との差分についての許容されるべき上限とされていること
    を特徴とする請求項1に記載の光モジュール用ホルダ
  3. 前記回折格子の格子形状が、周期、格子溝の深さ、および充填率の少なくとも1つを含むこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の光モジュール用ホルダ
  4. 前記光電変換素子が、半導体レーザとされていること
    を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光モジュール用ホルダ
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光モジュール用ホルダと、
    請求項1に記載の光電変換素子と
    を備えたことを特徴とする光モジュール。
  6. 請求項に記載の光モジュールと、
    この光モジュールを収容するハウジングと
    を備えたことを特徴とする光コネクタ。
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