JP4865169B2 - スペーサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線発生装置において用いるスペーサの製造方法、および、そのスペーサを用いた電子線発生装置、画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、画像形成装置に使用される電子線放出装置において、その電子源としての電子放出素子には、熱陰極素子と冷陰極素子との2種類が知られている。この内、冷陰極素子では、例えば、表面伝導型放出素子や、電界放出型素子(以下、FE型と称す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下、MIM型と称す)などが知られている。
【0003】
前記表面伝導型放出素子としては、例えば、M.I.Elinson,Radio:Eng.ElectronPhys.,10,1290,(1965)や、後述する他の例が挙げられる。この表面伝導型放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0004】
この表面伝導型放出素子としては、前記エリンソンなどによる、SnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:”Thin Solid Films”,9,317(1972)]や、In2O3/SnO2 薄膜によるもの[M.HartwellandC.G.Fonstad:”IEEE Trans.ED Conf.”,519(1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]などが報告されている。
【0005】
これら表面伝導型放出素子の素子構成の典型的な例として、図23に示すように、前述のM.Hartwellらによる素子が挙げられる。ここで、符号3001は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物よりなるH字形の平面形状の導電性薄膜である。そして、この導電性薄膜3004に、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成される。なお、図中の間隔:Lは0.5〜1[mm],幅:Wは0.1[mm]に設定されている。ここでは、図示の便宜から、電子放出部3005が、導電性薄膜3004の中央に長方形で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0006】
M.Hartwellらによる上述の素子をはじめとして、表面伝導型放出素子においては、電子放出を行う前に、導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施して、電子放出部3005を形成するのが、ごく一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、もしくは、例えば、1V/分程度の、非常にゆっくりとしたレートで昇圧する直流電圧を印加して、通電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質させ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形成することである。
【0007】
なお、局所的に破壊、変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀裂が発生する。従って、前記通電フォーミング後に、導電性薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合に、前記亀裂付近において電子放出が行われる。
【0008】
また、FE型の例は、例えば、W.P.Dyke&W.W.Dolan,”Field emission”,Advance in Electron Physics,8,89(1956)や、あるいは、C.A.Spindt,”Physical properties of thin−film fie−ld emission cathodes with molybdenium cones”,J.Appl.Phys.,47,5248(1976)などが知られている。
【0009】
FE型の素子構成の典型的な例として、上述のC.A.Spindtらによる素子は、図24に示す構成であり、ここで、符号3010は基板、3011は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極である。この素子では、エミッタコーン3012とゲート電極3014との間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるのである。
【0010】
また、FE型の他の素子構成として、上述のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ平行にエミッタとゲート電極とを配置した例もある。
【0011】
また、MIM型の例として、例えば、C.A.Mead,”Operationof tunnel−emission Devices,J.Appl.Phys.,32,646(1961)などが知られている。MIM型の素子構成の典型的な例は、図25に示されている。ここで、3020は基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オングストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ:80〜300オングストローム程度の金属よりなる上電極である。このようなMIM型は、上電極3023と下電極3021の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極3023の表面より電子放出を起こさせるものである。
【0012】
上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較して、低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒーターを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶融などの問題が発生しにくい。また、冷陰極素子の場合には、熱陰極素子の場合(ヒーターの加熱により動作するため、応答が遅い)と異なり、応答が速いという利点もある。このため、冷陰極素子の応用研究が盛んに行われている。
【0013】
例えば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素子の中でも特に構造が単純で、製造も容易なので、大面積にわたって多数の素子を形成できる利点がある。そこで、本出願人による特開昭64−31332号公報において開示されるように、基板上に多数の素子を配列して、駆動するための方法が研究されている。
【0014】
また、表面伝導型放出素子の応用については、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビーム源などが研究されている。特に、画像表示装置への応用としては、本出願人による特開平2−257551号公報、特開平4−28137号公報、USP5,066,883号明細書において開示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されている。
【0015】
表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の、他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されている。例えば、近年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるため、バックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優れている。
【0016】
また、FE型を多数個ならべて駆動する方法は、例えば、本出願人によるUSP4,904, 895号明細書に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応用した例として、例えば、R.Meyerらにより報告された平板型表示装置が知られている[R.Meyer:”Recent Development on Micro−tips Display at LETI”,Tech.Digest of 4th Int. Vacuum Microele−ctronics Conf.,Nagahama,pp.6〜9(1991)]。また、MIM型を多数個並べて画像表示装置に応用した例は、本出願人による特開平3−55738号公報に開示されている。
【0017】
上記のような電子放出素子を用いた画像形成装置の内で、奥行きの薄い平面型表示装置は、省スペースかつ軽量であることから、ブラウン管型の表示装置に置き換わるものとして注目されている。
【0018】
上述画像形成装置は、一般にリアプレートとフェースプレートの間にスペーサが配置される。このスペーサは、リアプレートやフェースプレートが大気圧に耐えるように、これらを支持するもので、十分な機械的強度が求められるが、その存在によって、リアプレートとフェースプレート間を飛翔する電子の軌道に大きく影響してはならない。
【0019】
そして、電子軌道に影響を与える主な原因は、スペーサの帯電である。スペーサ帯電は、電子源から放出した電子の一部あるいはフェースプレートで反射した電子がスペーサに入射し、スペーサから二次電子が放出されることにより、あるいは、電子の衝突により電離したイオンが表面に付着することによるものと考えられる。
【0020】
スペーサが正帯電すると、スペーサ近傍を飛翔する電子がスペーサに引き寄せられるため、スペーサ近傍で表示画像に歪みを生ずる。しかも、帯電の影響は、リアプレートとフェースプレート間隔が大きくなるに従って顕著になる。
【0021】
一般に帯電を抑制する手段として、帯電面に導電性を付与し、若干の電流を流すことで、電荷を除去することが行なわれる。この概念をスペーサに応用して、スペーサ表面を、酸化スズなどで被覆する手法が、特開昭57−118355号公報に開示されている。また、PdO系ガラス材で被覆する手法が、特開平3−49135号公報には開示されている。
【0022】
また、スペーサのフェースプレートとリアプレートとの当接面には、電極を形成することにより、被覆材に均一に電場を印加することにより、接続不良や電流集中によるスペーサの破壊を防ぐことができる。この様子を、図26を用いて説明すると、図中、符号901はスペーサ、902はフェースプレート、903はリアプレート、904はスペーサ表面に被覆された高抵抗膜、905はスペーサに形成されたスペーサ電極、906はスペーサのフェースプレート側当接面、907はリアプレート側当接面である。スペーサ電極905は通常、スパッタなどの方法を用いて形成される。
【0023】
また、特開2000−164129号公報には、スペーサ基体の両側面をガラス製固定治具によって挟む形で、複数のスペーサ基体を固定し、ガラス製固定治具から露出しているスペーサ基体の端部にスパッタにより低抵抗膜を形成する構成が開示されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
電子線発生装置におけるスペーサは非常に重要な部材であり、該スペーサを良好に製造する方法が求められているのが現状である。本願発明は、良好なスペーサの製造方法を実現することを課題とする。
【0025】
特に、スペーサにおいて非所望領域に膜が形成されてしまうと予期せぬ放電が生じるなど問題となる。本願発明は非所望領域への膜形成を抑制できるスペーサの製造方法を実現することを課題とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本願に係る発明の一つは以下のように構成される。
【0027】
電子線発生装置において用いるスペーサの製造方法であって、
ガラス又はセラミックスからなるスペーサ基体を挟持した状態で該スペーサ基体の膜形成面に、金属又は合金からなる膜形成のための材料をスパッタ法又は電子ビーム蒸着法により付与する付与工程を有しており、
前記膜形成面が挟持のための挟持部材の端部よりも突出しない状態で前記材料の付与が行われ、
前記挟持部材は、前記材料を付与する際に該挟持部材の端部が前記膜形成面よりも5μm以上突出し、
前記材料の付与がスパッタ法により行われる場合には、前記挟持部材の端部が前記膜形成面よりも突出する長さが10mm以下であり、
前記材料の付与が電子ビーム蒸着法により行われる場合には、前記挟持部材の端部が前記膜形成面よりも突出する長さが8mm以下であることを特徴とするスペーサの製造方法。
【0028】
この製造方法によると、膜形成面は挟持部材の端部よりも突出しない状態で材料の付与を行うため、膜形成面の側面への膜形成が抑制される。特に形成する膜が導電性が高い膜であり、電極となる膜である場合は、非所望領域への膜形成は望ましくない放電につながる可能性がある。そのような膜を形成する場合に特に本願発明を好適に採用することができる。
【0029】
特に本願発明は、前記電子線発生装置が、電子放出素子を配置した第1プレートと、該電子放出素子が放出した電子を加速する加速電位が印加される加速電極が配置された第2プレートとを有するものである構成において好適に採用できる。
【0030】
また特に、前記膜形成面が、前記電子線発生装置が構成されたときに、前記第1プレートもしくは第2プレートと相対する面である場合、膜形成面の側面への望ましくない膜の形成が放電を引き起こす可能性が高くなるため、本願発明を好適に採用することができる。前記電子線発生装置が構成されたときに、前記第1プレートもしくは第2プレートと相対する面に膜を形成する構成としては、例えば第1プレートに形成された配線(電極)、特には電子放出素子を駆動する信号を供給する配線に接する位置に膜を形成する構成や、第2プレートに形成された加速電極に接する位置に膜を形成する構成や、第1プレートと第2プレートの間に設けられた電極(グリッド電極、集束電極)に接する位置に膜を形成する構成が挙げられる。
【0031】
なお以上述べてきた各発明は、複数の前記スペーサ基体を、各スペーサ基体の間に前記挟持部材を配置した状態で保持し、前記材料の付与を行う構成に好適に適用できる。
【0032】
また、前記材料の付与時に、前記挟持部材の端部が前記膜形成面よりも突出しており、かつ、前記突出した端部の角部が丸みを有するようにすると好適である。この構成は挟持部材の欠陥を抑制する効果を奏するとともに、前記スペーサ基体を挟持する一対の前記挟持部材の端部が構成する開口部が、前記膜形成面から前記開口外に向けて徐々に挟持方向の開口幅が広がる部分を有する構成にもなり、材料の膜形成面への到達が良好になる効果も奏する。
【0033】
なお、以上述べた各発明は、前記スペーサが導電性を有しており、かつ異なる2つの電極と電気的に接続するものであり、該異なる2つの電極には互いに異なる電位が与えられる構成において特に好適に採用できる。スペーサを加速電極やグリッド電極や電子放出素子の駆動配線などの電極と電気的に接続させる場合、該電気的な接続を良好にし、またはスペーサにおける電位分布を良好なものとするために導電性の高い膜をスペーサが有すると好適である。特にスペーサ全体に高い導電性を与えてしまうとスペーサが電気的に接続する2つの電極間をショートさせてしまうため、スペーサ基体は絶縁性もしくは高抵抗な物とし、所定部分にのみ導電性の高い膜を形成するとよい。この導電性の高い膜はスペーサの端面のみに形成(端面から該端面に対する側面への回りこみがない)すると好適であり、そのような膜の形成に本願発明は特に好適に採用できる。
【0034】
以上述べた各発明は、前記スペーサ基体が絶縁性基体から構成されており、前記スペーサは前記付与工程によって形成される前記膜と、該膜以外の導電性膜とを有する構成において特に好適に適用できる。なお、前記付与工程は、前記導電性膜が形成されたスペーサ基体に対して行ってもよい。また、前記導電性膜は、前記付与工程によって形成される膜よりもシート抵抗値が高い膜である構成、特には該導電性膜が高抵抗膜である構成を好適に採用できる。
【0039】
なお、スペーサの表面に高抵抗膜を形成し、正帯電を中和することにより、帯電を緩和し、スペーサ近傍を飛翔する電子がスペーサに引き寄せられるのを防ぐことが可能である。また、上述したように、スペーサのフェースプレートとリアプレートとの当接面には、電極を形成することにより、上記被覆材に均一に電場を印加することにより、接続不良や電流集中によるスペーサの破壊を防ぐことができる。
【0040】
また本願発明を実施することにより、スペーサの電極が、その形成時において、形成精度の悪さにより、帯電面にはみ出して形成されることが抑制され、電子軌道に望ましくない影響を及ぼし、電子ビームを所望の位置に到達させることができなくなることが抑制される。この結果、スペーサ近傍で表示画像に歪みを生じることが抑制され、高品位の画像形成が可能となる。
【0041】
また、上述の高抵抗膜は、金属酸化膜、カーボン、合金窒化膜などを、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法、アルコキシド塗布法の何れかで、形成することにより構成されること、また、前記スペーサ電極は、前記高抵抗膜に比べて低い抵抗値を有する、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pbなどの金属あるいは合金、および、Pd,Ag,Au,Ru−Agなどの金属や金属酸化物とガラスなどから構成される印刷導体、あるいは、In2O3−SnO3などの透明導体、ポリシリコンなどの半導体材料から選択される材料で構成されていることが、本発明の実施の形態として、好ましい。
【0042】
また、前記付与工程を少なくとも含む1以上の工程によって形成される前記膜のシート抵抗値は前記高抵抗膜のシート抵抗値より小さいと好適であり、特には2桁以上小さいことが望ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係わる第1の実施の形態を、図面を参照して、具体的に説明する。まず、図1を用いて、本発明に係わるスペーサを製造する際の基本的手法を説明する。この実施の形態においてはスペーサに導電性の高い膜を形成し電極として用いる構成において、本願発明を適用する。なお、膜が形成され、完成されたものがスペーサであり、膜が形成される前の状態のもの(スペーサ基体)に対して膜を形成するのであるが、以下では発明の技術的意義の理解に混乱が生じない範囲でスペーサ基体のことをスペーサとも称している。図1において、101は電極形成の際の挟持部材であるスペーサブロック、20はスペーサ、102は電極を形成する膜形成面である。この実施形態におけるスペーサは電子線発生装置において他の電極(加速電極もしくは電子放出素子に信号を供給するための配線)とこの面で当接するので、以下では当接面とも称する。
【0044】
ここで、スペーサブロック101の高さbは、スペーサ20の高さaに対して、a≦bである。膜形成の際の挟持部材であるスペーサブロックの膜形成面からの突出長cはここではb−aである。このスペーサブロック101を用いて、スペーサ20を挟み、スパッタなどの手法で、スペーサ20の端縁に対して、矢印の方向から、電極材を形成した後、スペーサブロック101間からスペーサ20を取り出すことにより、スペーサの当接面102のみに電極(後述する)を形成することができる。
【0045】
この際、aおよびbの距離の差は、用いるスパッタなどの手法、装置に依存するので、その条件に最適な値を用いることが必要である。突出長c(ここではc=b−a)の大きさは、スパッタにおいて、10mm以下、好ましくは5mm以下が望ましく、また、電子ビーム蒸着において、8mm以下、好ましくは3mm以下が望ましい。なお、前者と後者の差は、スパッタ法では、回り込みにより、電極材が当接面に堆積し易い特徴があるためである。また、範囲の最小値は突出長cが0以上であれば本発明の効果が得られるが、スペーサおよびスペーサブロックの加工精度、電極形成時設置ずれを考慮して若干値を大きく設計することにより歩留まり向上を計ることが可能である。特に突出長cが5μm以上、好ましくは10μm以上となるように挟持部材の形状を設定しておけば、スペーサ基体を挟持するように挟持部材を取り付ける際の設置ずれを十分に許容することができる。
【0046】
また、図2には、スペーサブロックの端縁のコーナー部に所要の曲率で丸み(ラウンド)を形成したものが使用される事例が示されている。スペーサブロックのコーナー部にラウンドを備えることにより、ブロックが脆性材料で作られていても、電極生成過程で、ブロックのコーナー部に欠けが発生して、電極形成において、不良品が発生するのを抑制することができ、また、ブロックに金属材料を用いた場合にも、作業工程中に、まれに発生する形状変形があり、これが原因で不良品が発生する率を抑制することが可能となる。また挟持部材の膜形成面からの突出端部が丸みを有することにより、膜形成面を内包する開口(一対の挟持部材の端部により構成される)が開口端に向けて徐々に広がることになり、膜材料が膜形成面に届きやすくなるという効果も奏する。
【0047】
ここでの曲率半径としては、突出長cよりも小さくするのが望ましく、ここではブロックの高さbから曲部半径を引いた値よりも、スペーサ20の高さaが小さければ十分である。また、スペーサ20のサイズ、ブロックの材質などにより、最適な値が変わるけれども、概ね、R=0.1mm以上の場合に、その有効性が確認できた。
【0048】
図3に示すように、このような、一辺の長さが、スペーサ20よりも大きいスペーサブロック101を多数、用いることで、スペーサ20を挟んで電極110を成膜する際の、量産性に優れたスペーサの端縁への、電極形成(図4を参照)が可能となった。
【0049】
特に本実施形態の構成によると、膜形成面と反対側の端面側でスペーサ基体と挟持部材とを同一平面に重力等により押し当てることでスペーサ基体と挟持部材との高さの違いに基づいて突出長の設定ができるので精度よくかつ短時間にスペーサを製造することができる。
【0050】
この電極形成の具体的な装置とその使用態様を図5および図6を参照して説明する。ここで、符号101はスペーサブロック、20はスペーサ、102はスペーサブロック101間で露出したスペーサ電極形成面、103は平面視でロ字形の枠部材、104は押し当て部材、105はゴム板、106は押し当て部材104を押し付けるため、枠部材103に螺合した送りネジ、107は送りネジ106の先端部(押圧力伝達部)、108は枠部材103の上に載置されるマスク板(想像線で示す)、109は露出するスペーサ側面である。
【0051】
ここでは、多数のスペーサ20を、多数のブロック101で挟み、その挟み付け方向から、ゴム板105を介して、枠部材103の一方の内側面と押し当て部104との間に配置する。スペーサの固定は、枠部材103に螺合した送りネジ106を、そのハンドル部106aを回すことにより、その先端部107を介して、押し当て板104に押圧力を加えることにより、実現する。なお、ここでのゴム板105は、ブロック101に対して押圧力が均等に加わる機能を果たしている。
【0052】
なお、この実施の形態では、スペーサ20のサイズは、300mm×1.8mm×0.2mm、スペーサブロック101のサイズは、340mm×2.4mm×1.5mmとした。また、ブロックのコーナー部の曲率半径は、0.1mmとした。更に、スペーサ20およびスペーサブロック101には、ガラス材を用い、軟化点付近の温度で加熱した後、一方向に引き伸ばす方法を用いて作製した。また、ゴム板105はシリコンゴム、治具はネジ以外をアルミ材、ネジは真鍮材を用いて形成した。
【0053】
また、マスク108には、スペーサ電極110の形成時に、マスクとして、アルミ板が用いられて、スペーサ両端部に、電極が形成されないようにした。これは、側面部109に電極材が回り込んで、電極が形成された場合、このスペーサを用いた画像形成装置などで、まれに起こる放電を未然に防ぐ効果がある。
【0054】
また、この実施の形態においては、本願発明によって形成する膜としてスペーサ電極110となるPt電極を、スパッタ法を用いて形成した。即ち、スペーサ20を固定した治具(上述)を、スパッタ装置(図示せず)に設置し、アルゴン雰囲気中で、高周波スパッタすることにより、0.1μmの厚みで、Pt電極を形成するのである。また、スペーサ20とPtとの密着性を向上させるために、下地層として、スペーサ20の表面に、Tiを0.05μmの厚さで形成した後に、Pt電極を形成している。
【0055】
このように、スパッタの形成後、ブロック101間からスペーサ20を取り出し、上下を反転して、再び、ブロック101間に設置し、同様の処理を繰り返すことにより、図4に示すように、スペーサ20の上下面にのみ、スペーサ電極110を形成するのである。
【0056】
(本発明に係わるスペーサを用いた電子線発生装置、画像表示装置)
ここで、本発明のスペーサの製造法で得られたスペーサを用いている電子線発生装置、および、画像表示装置を構成する場合について、その表示パネルの構成と共に、具体的に説明する。図7は、本発明に係わる表示パネルの斜視図であり、内部構造を示すために、パネルの一部を切り欠いて示している。図中、1015はリアプレート、1016は側壁、1017はフェースプレートであり、これら1015〜1017の構成により、表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器(所謂、外囲器)を形成している。
【0057】
この気密容器を組み立てるに際しては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるために、封着することが必要であるが、この封着は、例えば、フリットガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏:400〜500度で、10分以上焼成することにより達成できる。なお、気密容器内部を真空に排気する方法については後述する。また、上記気密容器の内部は、10-6[Torr]程度の真空に保持されるので、大気圧や不意の衝撃などによる気密容器の破壊を防止する目的で、この気密容器を耐大気圧構造体として構成するために、スペーサ1020(前述のスペーサ20に相当)が内部に設けられている。
【0058】
また、本発明の製造法により形成した、前述のスペーサを、画像形成装置の電子線発生部に用いたところ、スペーサ近傍のおける電子軌道に乱れのない、高品質の画像形成装置を提供できることになった。
【0059】
以上、画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明の電子線発生装置は、以下のような形態を有するものであってもよい。
【0060】
(1)電子線発生装置は、電子源より放出された電子を加速する加速電極1012を有しており、入力信号に応じて、冷陰極素子1012から放出された電子を前記加速電極に印加される加速電位により加速し、加速された電子をターゲットに照射して、画像を形成する画像形成装置を構成することができる。特に、前記ターゲットが蛍光体1018である画像表示装置を構成できる。
【0061】
(2)前記冷陰極素子1012は、電子放出部を含む導電性膜を一対の電極間に有する冷陰極素子であり、好ましくは、表面伝導型放出素子である。
【0062】
(3)前記電子源は、複数の行方向配線1013と複数の列方向配線1014とでマトリクス配線された複数の冷陰極素子1012を有する単純マトリクス状配置の電子源をなす。
【0063】
(4)前記電子源は、並列に配置した複数の冷陰極素子1012の個々を両端で接続した冷陰極素子の行を複数、配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方向と呼ぶ)に沿って、冷陰極素子1012の上方に配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、冷陰極素子1012からの電子を制御するはしご状配置の電子源をなす。
【0064】
(5)また、本発明の思想によれば、表示用として好適な画像形成装置に限るものでなく、感光性ドラムや発光ダイオードなどで構成された光プリンタの発光ダイオードなどを、代替の発光源として、上述の画像形成装置に用いることもできる。また、この際に、上述のm本の行方向配線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ライン状発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応用できる。この場合、画像形成部材としては、以下の実施の形態で用いる蛍光体のような、直接発光する物質に限るものではなく、電子の帯電による潜像画像が形成されるような部材を用いることもできる。
【0065】
また、本発明の思想によれば、例えば、電子顕微鏡のように、電子源からの放出電子の被照射部材が、蛍光体などの画像形成部材以外のものである場合についても、本発明は適用できる。従って、本発明は、被照射部材を特定しない一般的電子線装置としての形態も採り得る。
【0066】
次に、本発明の画像形成装置に用いることができる電子放出素子基板について説明する。冷陰極素子1012の配列の方式には、冷陰極素子を並列に配置し、個々の素子の両端を配線で接続するはしご型配置(以下、はしご型配置電子源基板と称する)や、冷陰極素子1012の、一対の素子電極のそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続した単純マトリクス配置(以下、マトリクス型配置電子源基板と称する)が挙げられる。なお、はしご型配置電子源基板を有する画像形成装置には、電子放出素子からの電子の飛翔を制御する電極である制御電極(グリッド電極)を必要とする。
【0067】
リアプレート1015には、基板1011が固定されているが、基板1011上には、冷陰極素子1012がN×M個形成されている(N,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定されるのであって、例えば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装置においては、N=3000,M=1000以上の数を設定することが望ましい)。N×M個の冷陰極素子は、M本の行方向配線1013とN本の列方向配線1014とにより、単純マトリクス配線されている。この1011〜1014によって構成される部分を、マルチ電子ビーム源と呼ぶ。
【0068】
本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線、もしくは、はしご型配置した電子源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。従って、例えば、表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0069】
次に、冷陰極素子1012として、表面伝導型放出素子(後述)を基板上に配列して、単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。図8は、図7の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板1011上には、図9(a)および(b)で示すものと同様な、表面伝導型放出素子が配列され、これらの素子は、行方向配線1013と列方向配線1014により、単純マトリクス状に配線されている。行方向配線1013と列方向配線1014の交差する部分には、電極間に絶縁層(図示せず)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0070】
なお、図8の拡大図を図9の(a)に、また、B−B’に沿った断面を図9の(b)に示す。このような構造のマルチ電子源は、あらかじめ、基板上に行方向配線1013、列方向配線1014、電極間絶縁層(図示せず)、および、表面伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜とを形成した後、行方向配線1013および列方向配線1014を介して、各素子に給電して、通電フォーミング処理(後述)と通電活性化処理(後述)とを行うことにより製造される。
【0071】
この実施の形態においては、気密容器のリアプレート1015にマルチ電子ビーム源の基板1011を固定するような構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板1011自体が、十分な強度を有するものである場合には、気密容器のリアプレートとして、マルチ電子ビーム源の基板1011自体を用いてもよい。また、フェースプレート1017の下面には、蛍光膜1018が形成されている。
【0072】
また、ここでは、カラー表示装置を構成するので、蛍光膜1018の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えば、図10の(a)に示すように,ストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には,黒色の導電体1010が設けてある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても、表示色にずれが生じないようにすることや、外光の反射を防止して、表示コントラストの低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止することなどにある。なお、黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するものであれば、これ以外の材料を用いても良い。また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図10の(a)に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、例えば、図10の(b)に示すようなデルタ状配列や、それ以外の配列(例えば、図11の形状、配列)であってもよい。
【0073】
なお、モノクロームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1018に用いればよく、また、黒色導電材料は、必ずしも用いなくともよい。また、蛍光膜1018のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック1019を設けてある。メタルバック1019を設けた目的には、蛍光膜1018が発する光の一部を鏡面反射して、光利用率を向上させること、負イオンの衝突から蛍光膜1018を保護すること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、蛍光膜1018を励起した電子の導電路として作用させることなどが挙げられる。
【0074】
メタルバック1019は、蛍光膜1018をフェースプレート基板1017上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成する。なお、蛍光膜1018に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバック1019は用いない。
【0075】
また、この実施の形態では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェースプレート基板1017と蛍光膜1018との間に、例えば、ITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0076】
図12は図7のA−A’の断面を模式的に示したものであり、各部の番号は、図7に対応している。スペーサ1020は、絶縁性部材1の表面に、帯電防止を目的とした高抵抗膜11を成膜し、かつ、フェースプレート1017の内側(メタルバック1019など)および基板1011の表面(行方向配線1013または列方向配線1014)に面したスペーサ1020の当接面に低抵抗膜を成膜した電極110からなるもので、上記目的(補強)を達成するのに、必要な数だけ、かつ、必要な間隔をおいて配置され、フェースプレート1017の内側および基板1011の表面に接合材1041により固定される。
【0077】
また、高抵抗膜11は、絶縁性部材1の表面のうち、少なくとも気密容器内の真空中に露出している面に成膜されており、スペーサ1020上の低抵抗膜(本願発明により形成する膜である電極)110および接合材1041を介して、フェースプレート1017の内側(メタルバック1019など)および基板1011の表面(行方向配線1013または列方向配線1014)に電気的に接続される。
【0078】
ここで説明される態様では、スペーサ1020が、フェースプレート1017と基板1011との間で起立する薄板状の形状とし、行方向配線1013に平行に配置され、行方向配線1013に電気的に接続されている。スペーサ1020としては、基板1011上の行方向配線1013および列方向配線1014とフェースプレート1017内面のメタルバック1019との間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、かつ、スペーサ1020の表面への帯電を防止する程度の導電性を有する必要がある。
【0079】
スペーサ1020の絶縁性部材1としては、例えば、石英ガラス、Naなどの不純物含有量を減少したガラス、ソーダライムガラス、アルミナなどのセラミックス部材が挙げられる。なお、絶縁性部材1は、その熱膨張率が気密容器および基板1011を成す部材に近似するものが好ましい。
【0080】
スペーサ1020を構成する高抵抗膜11には、高電位側のフェースプレート1017(直接的には、メタルバック1019)に印加される加速電圧Vaを、帯電防止膜である高抵抗膜11の抵抗値Rsで除した電流が流される。そこで、スペーサの抵抗値Rsは、帯電防止および消費電力から、その望ましい範囲に設定される。帯電防止の観点から表面抵抗R/□は1014Ω以下であることが好ましい。勿論、十分な帯電防止効果を得るためには、1013Ω以下がさらに好ましい。表面抵抗の下限は、スペーサ形状とスペーサ間に印加される電圧とにより左右されるが、107Ω以上であることが好ましい。
【0081】
絶縁材料上に形成された帯電防止膜の厚みtは10nm〜1μmの範囲が望ましい。材料の表面エネルギーおよび基板との密着性や基板温度によっても異なるが、一般的に、10nm以下の薄膜は島状に形成され、抵抗が不安定で、再現性に乏しい。一方、膜厚tが1μm以上では、膜応力が大きくなって、膜はがれの危険性が高まり、かつ、成膜時間が長くなるため、生産性が悪い。従って、膜厚は50〜500nmであることが望ましい。
【0082】
表面抵抗R/□はρ/tであり、以上に述べたR/□とtの好ましい範囲から、帯電防止膜の比抵抗ρは、10[Ωcm]ないし1010[Ωcm]が好ましい。さらに、表面抵抗と膜厚のより好ましい範囲を実現するためには、ρは104ないし108[Ωcm]とするのが良い。
【0083】
スペーサは、上述したように、その上に形成した帯電防止膜を電流が流れることにより、あるいは、ディスプレイ全体が動作中に発熱することにより、その温度が上昇する。帯電防止膜の抵抗温度係数が大きな負の値であると、温度が上昇した時に抵抗値が減少し、スペーサに流れる電流が増加し、さらに、温度上昇をもたらす。そして、電流は電源の限界を越えるまで増加しつづける。このような電流の暴走が発生する条件は、以下の一般式(ξ)で説明される抵抗値の温度係数TCR(Temperature Coefficient of Resistance)の値で特徴づけられる。但しΔT、ΔRは室温に対する実駆動状態のスペーサの温度Tおよび抵抗値Rの増加分である。
【0084】
TCR=ΔR/ΔT/R×100[%/℃]・・一般式(ξ)
電流の暴走が発生する条件は、TCRとしては、経験的に−1[%/℃]以下である。すなわち、帯電防止膜の抵抗温度係数は−1[%/℃]より大であることが望ましい。帯電防止特性を有する高抵抗膜11の材料としては、例えば、金属酸化物を用いることができる。特に、金属酸化物の中でも、クロム、ニッケル、銅の酸化物が好ましい材料である。その理由は、これらの酸化物は二次電子放出効率が比較的小さく、冷陰極素子1012から放出された電子がスペーサ1020に当たった場合においても、帯電し難いためと考えられる。この金属酸化物以外にも、炭素は二次電子放出効率が小さく、好ましい材料である。特に、非晶質カーボンは高抵抗であるため、スペーサ抵抗を所望の値に制御しやすい。
【0085】
帯電防止特性を有する高抵抗膜11の他の材料としては、アルミと遷移金属合金の窒化物が、遷移金属の組成を調整することにより、良伝導体から絶縁体まで広い範囲に抵抗値を制御できるので、好適な材料である。さらに、上記窒化物は後述する表示装置の作製工程において、抵抗値の変化が少なく、安定な材料であり、かつ、その抵抗温度係数が−1%未満であり、実用的に使いやすい材料である。なお、その遷移金属元素としてはTi,Cr,Taなどが挙げられる。
【0086】
合金窒化膜は、スパッタ、窒素ガス雰囲気中での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着法などの薄膜形成手段により絶縁性部材1上に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形成法で作製することができるが、この場合、窒素ガスに代えて、酸素ガスを使用する。その他、CVD法、アルコキシド塗布法でも、金属酸化膜を形成できる。カーボン膜は蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法で作製され、特に、非晶質カーボンを作製する場合には、成膜中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガスに炭化水素ガスを使用する。
【0087】
本実施形態においては、絶縁性部材1及び高抵抗膜11からなる部材を本発明に係る膜形成工程を適用するスペーサ基体として膜形成を行う。ここで形成する膜は低抵抗膜であり、スペーサを電子線装置(画像形成装置)内の他の電極と電気的に接続しやすくするため、もしくはスペーサにおける電位分布を好適な状態にするために設ける。
【0088】
スペーサ1020の端縁の電極110を構成する低抵抗膜が本願発明に係る膜形成工程で形成する膜であり、高抵抗膜11を高電位側のフェースプレート1017(直接的には、メタルバック1019)および低電位側の基板1011(配線1013、1014)と電気的に接続するために設けられたものであり、以下では、中間電極層(中間層)という名称も用いる。中間電極層(中間層)は、以下に列挙するような、複数の機能を有する。
(1)高抵抗膜11をフェースプレート1017および基板1011と電気的に接続する。
【0089】
既に記載したように、高抵抗膜11はスペーサ1020表面での帯電を防止する目的で設けられたものであるが、高抵抗膜11をフェースプレート1017(メタルバック1019)および基板1011(配線1013、1014)と直接、あるいは当接材1041を介して、接続した場合に、接続部界面に大きな接触抵抗が発生し、スペーサ表面に発生した電荷を速やかに除去できなくなる可能性がある。これを避けるために、フェースプレート1017、基板1011および当接材1041と接触するスペーサ1020の当接面に低抵抗の中間層が設けられるのである。
(2)高抵抗膜11の電位分布を均一化する。
【0090】
冷陰極素子1012より放出された電子は、フェースプレート1017と基板1011の間に形成された電位分布に従って電子軌道をなす。スペーサ1020の近傍で電子軌道に乱れが生じないようにするためには、高抵抗膜11の電位分布を全域にわたって制御する必要がある。高抵抗膜11をフェースプレート1017(メタルバック1019)および基板1011(配線1013、1014)と直接、あるいは当接材1041を介して、接続した場合に、接続部界面の接触抵抗のために、接続状態のむらが発生し、高抵抗膜11の電位分布が、所望の値からずれてしまう可能性がある。これを避けるために、スペーサ1020がフェースプレート1017および基板1011と当接するスペーサ端部(当接面)の全長域に低抵抗の中間層を設け、この中間層部に所望の電位を印加することによって、高抵抗膜11全体の電位を制御可能とした。
【0091】
低抵抗膜は、高抵抗膜11に比べ、十分に低い抵抗値を有する材料を選択すればよく、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pbなどの金属あるいはその合金、および、Pd,Ag,Au,RuO2,Pd−Agなどの金属や金属酸化物とガラスから構成される印刷導体、あるいは、In2O3−SnO2などの透明導体およびポリシリコンなどの半導体材料より適宜選択される。
【0092】
接合材1041には、スペーサ1020が行方向配線1013およびメタルバック1019と電気的に接続するように、導電性をもたせる必要があるので、導電性接着材、金属粒子、導電性フィラーを添加したフリットガラスが好適である。
【0093】
なお、本実施の形態では、低抵抗膜110は高抵抗膜11の外側に設けたが、高抵抗膜11を低抵抗膜110の外側に設けても良い。高抵抗膜11は薄いので、低抵抗膜と配線もしくは加速電極との電気的接続は十分に行うことができる。
【0094】
また、図7において、Dx1〜DxmおよびDy1〜DynおよびHvは、当該表示パネルと電気回路(図示せず)とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線1013と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線1014と、Hvはフェースプレートのメタルバック1019と電気的に接続している。
【0095】
また、気密容器内部を真空に排気するには、気密容器を組み立てた後、排気管と真空ポンプ(何れも図示せず)とを接続し、気密容器内を10-7[Torr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前あるいは封止後に、気密容器内の所定の位置にゲッター膜(図示せず)を形成する。ゲッター膜とは、例えば、Baを主成分とするゲッター材料を、ヒーターもしくは高周波加熱により加熱し、蒸着して、形成した膜であり、該ゲッター膜の吸着作用により、気密容器内は1×10-5ないしは1×10-7[Torr]の真空度に維持される。
【0096】
以上説明した表示パネルを用いた画像表示装置では、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしDynを通じて、各冷陰極素子1012に電圧を印加すると、各冷陰極素子1012から電子が放出される。それと同時に、メタルバック1019に容器外端子Hvを通じて数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記放出された電子を加速し、フェースプレート1017の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜1018をなす各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0097】
通常、冷陰極素子である本発明の表面伝導型放出素子1012への印加電圧は12〜16[V]程度、メタルバック1019と冷陰極素子1012との距離dは0.1[mm]から8[mm]程度、また、メタルバック1019と冷陰極素子1012間の電圧は0.1[kV]から10[kV]程度である。
【0098】
以上、本発明の実施の形態での、表示パネルの基本構成と製法、および、画像表示装置の概要を説明した。
【0099】
(マルチ電子源の製造法)
次に、上述の実施の形態における表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発明に係わる画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。従って、例えば、表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0100】
ただし、表示画面が大きくて、しかも、安価な表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。すなわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や製造コストの低減を達成するのに不利な要因となる。また、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くて、しかも、均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。
【0101】
その点、表面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものが、とりわけ、電子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見いだしている。従って、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であるといえる。
【0102】
そこで、上述の実施の形態での表示パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず、好適な表面伝導型放出素子について、基本的な構成と製法および特性を説明し、その後で、多数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0103】
1表面伝導型放出素子の好適な素子構成と製法:
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0104】
(平面型の表面伝導型放出素子)
まず最初に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法について説明する。この平面型の表面伝導型放出素子の構成は図9に詳細に示されている。ここで、符号1101は基板、1102と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0105】
基板1101としては、例えば、石英ガラスや青板ガラスをはじめとする、各種ガラス基板、アルミナをはじめとする、各種セラミクス基板、あるいは、上述の各種基板上に、例えば、SiO2を材料とする絶縁層を積層した基板などを用いることができる。
【0106】
また、基板1101上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極1102および1103は、導電性を有する材料によって形成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Agなどをはじめとする金属、あるいは、これらの金属の合金、あるいは、In2O3−SnO2をはじめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体などの中から、適宜材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、例えば、真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて用いれば、容易に形成できるが、それ以外の方法(例えば、印刷技術)を用いて、形成しても差し支えない。
【0107】
素子電極1102および1103の形状は、当該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的には、電極間隔Lは、通常、数百オングストロームから数百マイクロメーターの範囲から、適当な数値を選んで設計されるが、中でも、表示装置に応用するために好ましいのは、数マイクロメーターより数十マイクロメーターの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常、数百オングストロームから数マイクロメーターの範囲から適当な数値が選ばれる。
【0108】
また、導電性薄膜1104の部分には、微粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは、微粒子が互いに隣接した構造か、あるいは、微粒子が互いに重なり合った構造が観測される。
【0109】
微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲に含まれるものであるが、中でも、好ましいのは10オングストロームから200オングストロームの範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために必要な条件などである。具体的には、数オングストロームから数千オングストロームの範囲で設定するが、中でも、好ましいのは10オングストロームから500オングストロームの間である。
【0110】
また、微粒子膜を形成するために用いられる材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,SnO2,In2O3,PbO,Sb2O3などをはじめとする酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4などをはじめとする硼化物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WCなどをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfNなどをはじめとする窒化物や、Si,Geなどをはじめとする半導体や、カ−ボンなどが挙げられ、これらの中から適宜選択される。
【0111】
以上述べたように、導電性薄膜1104を微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、103から107[オーム/sq]の範囲に含まれるよう設定した。
【0112】
なお、導電性薄膜1104と素子電極1102および1103とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造をとっている。その重なり方は、図9の事例においては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層しているが、場合によっては、下から基板、導電性薄膜、素子電極、の順序で積層しても差し支えない。
【0113】
また、電子放出部1105は、導電性薄膜1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、数オングストロームから数百オングストロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難であるから、図9においては、これを模式的に示した。
【0114】
また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミング処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。
【0115】
薄膜1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくは、その混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下とするが、300[オングストローム]以下とするのが、さらに好ましい。なお、実際の薄膜1113の位置や形状を精密に図示するのは困難であるから、図9においては、模式的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0116】
以上、好ましい素子の基本構成を述べたが、実際には、以下のような素子が用いられる。即ち、基板1101には青板ガラスを用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用いた。素子電極の厚さdは1000[オングストローム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。また、微粒子膜の主要材料としては、PdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストローム]、幅Wは100[マイクロメーター]とした。
【0117】
次に、平面型の表面伝導型放出素子の製造方法について、図13を参照して説明する。図13の(a)〜(d)は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図9と同一である。
【0118】
1)まず、図13の(a)に示すように、基板1101上に素子電極1102および1103を形成する。これらを形成するに際しては、予め、基板1101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて、十分に洗浄した後で、素子電極の材料を堆積させる(堆積する方法としては、例えば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用いればよい)。その後、堆積した電極材料を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニングし、上述の素子電極1102および1103を形成する。
【0119】
2)次に、図13(b)に示すように、導電性薄膜1104を形成する。これを形成するに際しては、まず、(a)に示す基板に、有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である(ここでは、具体例として、主要元素にPdを用い、また、塗布方法として、ディッピング法を用いているが、それ以外の、例えば、スピンナー法やスプレー法を用いてもよい)。
【0120】
また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法としては、ここで用いた有機金属溶液の塗布による方法以外の、例えば、真空蒸着法やスパッタ法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0121】
3)次に、図13(c)に示すように、フォーミング用電源1110から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子放出部1105を形成する。通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、もしくは、変質させ、電子放出を行うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜の内、電子放出を行うのに好適な構造に変化した部分(電子放出部1105)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部1105が形成される前と比較すると、形成された後は、素子電極1102と1103の間で計測される電気抵抗が大幅に増加する。
【0122】
ここでの通電方法をより詳しく説明するために、図14に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、この事例の場合には、図14に示したように、パルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニターするためのモニターパルスPmを、適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計測した。
【0123】
この事例においては、例えば、10-5[torr]程度の真空雰囲気下において、パルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回の割りで、モニターパルスPmを挿入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子電極1102および1103の間の電気抵抗が1x106[オーム]になった段階、即ち、モニターパルス印加時に電流計1111で計測される電流が、1×10-7[A]以下になった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0124】
なお、上記の方法は、この事例の表面伝導型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば、微粒子膜の材料や膜厚あるいは素子電極間隔Lなど、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0125】
4)次に、図13(d)に示すように、活性化用電源1112から、素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善を行う。ここで、通電活性化処理とは、前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部1105に、適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる処理のことである(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113として模式的に示した)。なお、通電活性化処理を行うことにより、それを行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を典型的には100倍以上に増加させることができる。
【0126】
具体的には、10-4ないし10-5[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくは、その混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下、より好ましくは、300[オングストローム]以下である。
【0127】
この通電方法を、より詳しく説明するために、図15の(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。この事例においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して、通電活性化処理を行ったが、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、パルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、この事例の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0128】
図13(d)に示す1114は、表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計1116が接続されている(なお、基板1101を表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114として用いる)。活性化用電源1112から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して、通電活性化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112の動作を制御する。
【0129】
電流計1116で計測された放出電流Ieの一例を図15(b)に示す。ここでは、活性化電源1112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放出電流Ieが増加するが、やがて飽和して、ほとんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で、活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0130】
なお、上述の通電条件は、この事例の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0131】
以上のようにして、図13の(e)に示すような、平面型の表面伝導型放出素子を製造することができる。
【0132】
(垂直型の表面伝導型放出素子)
次に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子の、もうひとつの代表的な構成、すなわち、垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0133】
図16は、垂直型の基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1202と1203は素子電極、1206は段差形成部材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1213は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0134】
垂直型が先に説明した平面型と異なる点は、素子電極の内で、片方(素子電極1202)が段差形成部材1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材1206の側面を被覆している点にある。従って、図9の平面型における素子電極間隔Lに相当するのは、垂直型においては、段差形成部材1206の段差高Lsである。なお、基板1201、素子電極1202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204については、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1206には、例えば、SiO2のような電気的に絶縁性の材料を用いる。
【0135】
次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法について説明する。図17(a)〜(f)は、製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は、図16と同一である。
【0136】
1)まず、図17(a)に示すように、基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0137】
2)次に、図17(b)に示すように、段差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、例えば、SiO2をスパッタ法で積層すればよいが、真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。
【0138】
3)次に、図17(c)に示すように、絶縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0139】
4)次に、図17(d)に示すように、絶縁層の一部を、例えば、エッチング法を用いて除去し、素子電極1203を露出させる。
【0140】
5)次に、図17(e)に示すように、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。これを形成するには、平面型の場合と同じく、例えば、塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0141】
6)次に、平面型の場合と同じく、通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図13(c)を用いて説明した、平面型の通電フォーミング処理と同様の処理を行えばよい)。
【0142】
7)次に、平面型の場合と同じく、通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる(図13(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
【0143】
以上のようにして、図17(f)に示す垂直型の表面伝導型放出素子を製造することができる。
【0144】
(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の特性)
以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子について素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用いた素子の特性について述べる。図18に、表示装置に用いた素子の、(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難である上、これらの特性は、素子の大きさや形状などの設計パラメータを変更することにより変化するものであるから、2本のグラフは、各々任意単位で図示した。なお、表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0145】
第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると、急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0146】
第二に、放出電流Ieは、素子に印加する電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0147】
第三に、素子に印加する電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって、素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0148】
以上のような特性を有するので、表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いることができる。例えば、多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。即ち、駆動中の素子には、所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。
【0149】
また、駆動する素子を順次切り替えて行くことにより、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。また、第二の特性または第三の特性を利用することにより、発光輝度を制御することができるため、階調表示を行うことが可能である。
【0150】
(多数素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造)
次に、上述の表面伝導型放出素子を基板上に配列して、単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。図19に示すのは、図7の表示パネルに用いた平面図である。基板上には、図9で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列され、これらの素子は、行方向配線電極1013と列方向配線電極1014により単純マトリクス状に配線されている。行方向配線電極1013と列方向配線電極1014の交差する部分には、電極間に絶縁層(図示せず)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0151】
図19のB−B’線に沿った断面が図20に示されている。なお、このような構造のマルチ電子源は、予め、基板上に行方向配線電極1013、列方向配線電極1014、電極間絶縁層(図示せず)、および、表面伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を、それぞれ、形成した後、行方向配線電極1013および列方向配線電極1014を介して、各素子に給電して、通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことにより製造できる。
【0152】
(第2の実施の形態)
図21および図22は本発明に係わる第2の実施の形態を説明するための図であり、図21は、スペーサブロック201にスペーサ20をセットした状態の上面図であり、21001はスペーサの電極形成面の一つ(上端面)、21002はスペーサの電極形成面の他の一つ(下端面)を示す。図22は図21のA−A‘断面図を示す。
【0153】
この実施の形態の特徴は、スペーサ20とスペーサブロック201を積み上げることにあり、スペーサ両端の上下の端縁102に、同時に、スペーサ電極を形成する点である。ここで、202はスペーサブロック201の両側に形成された上面の突起部、203は、同じく下面の突起部を示す。また、図22において、最上段には、電極形成時に、更にブロックを配置している状態を示している。
【0154】
この実施の形態においては、スペーサ20のサイズは350mm×1.6mm×0.3mm、ブロック101の外寸サイズは400mm×2.8mm×3mmとし、上下の突起部202、203の高さは、それぞれ0.2mmとした。スペーサの膜形成面からのブロック端部の突出長cは0.6mmである。また、スペーサブロック201は、切削性ガラスを切削加工して形成した。
【0155】
また、ここでは、前述のスペーサブロック201で挟持された状態で、スパッタ法を用いて、スペーサ20の、露出する上下端縁に、スペーサ電極(Al電極)を形成した。即ち、複数のスペーサ20を、図22に示した状態で、スペーサブロック201と共に、スパッタ装置(図示せず)に設置し、アルゴン雰囲気中で高周波スパッタすることにより、0.3μmの厚みで、Al電極を形成するのである。なお、ここで、突起部202、203は、スペーサ両端の側面部に、電極が形成されないように機能している。
【0156】
この事例で作製したスペーサを、既に、第1の実施の形態で説明したような、同様の画像表示装置に適用したところ、高品位の画像形成が可能となった。
【0157】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、SCE以外の冷陰極型電子放出素子の内、いずれの電子放出素子に対しても適用できる。具体例としては、本出願人による特開昭63−274047号公報に記載されたような、対向する一対の電極を、電子源を成す基板面に沿って構成した電界放出型電子放出素子を挙げることができる。
【0158】
また、本発明は、単純マトリクス型以外の電子源を用いた画像形成装置に対しても適用できる。例えば、本出願人による特開平2−257551号公報などに記載されたような、制御電極を用いてSCEの選択を行う画像形成装置において、電子源と制御電極間などに、上記のような支持部材を用いた場合である。
【0159】
また、本発明の技術的思想によれば、その対象は、表示用として好適な画像形成装置に限るものでなく、感光性ドラムと発光ダイオードなどで構成された光プリンターの、発光ダイオードの代替の発光源として、上述のような、画像形成装置にも、拡げることができる。また、この際、上述の、m本の行方向配線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ライン状の発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応用できる。
【0160】
また、本発明の技術的思想によれば、例えば、電子顕微鏡などのように、電子源からの放出電子の被照射部材が、画像形成部材以外の部材である場合についても、本発明の対象を拡げることができる。即ち、本発明は、被照射部材を特定しない電子線発生装置としての形態も採り得る。
【0161】
以上説明したように、本発明を適用したスペーサにおいては、スペーサ電極を、高い形成精度で、作成することができ、電子軌道の乱れを防止し、高品質な画像形成が可能となった。
【0162】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によると、好適なスペーサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を説明するスペーサと、これを挟むスペーサブロックの断面図である。
【図2】同じく、別の形態でのスペーサと、これを挟むスペーサブロックの断面図である。
【図3】本発明に係わる第1の実施の形態を示すスペーサとスペーサブロックの組み合わせ状態の斜視図である。
【図4】同じく、電極形成後のスペーサの断面図である。
【図5】同じく、スペーサの端縁への、電極形成時の治具の上面図である。
【図6】同じく、縦断断面図である。
【図7】本発明に係わる第1の実施の形態での、スペーサを用いた電子線発生装置、画像形成装置を説明する斜視図である。
【図8】同じく、マルチ電子ビーム源の基板の平面図である。
【図9】同じく、平面型の表面伝導型放出素子の平面図(a)および断面図(b)である。
【図10】同じく、表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図11】同じく、別の蛍光体配列を例示した平面図である。
【図12】本発明に係わる第1の実施の形態での、表示パネルのA−A’線に沿う断面図である。
【図13】本発明に係わる平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す断面図である。
【図14】同じく、通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示す図である。
【図15】同じく、通電活性化処理の際の印加電圧波形(a),放出電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図16】本発明に係わる垂直型の表面伝導型放出素子の断面図である。
【図17】同じく、垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す断面図である。
【図18】表面伝導型放出素子の典型的な特性を示すグラフである。
【図19】図7の表示パネルに用いた平面図である。
【図20】図19のB−B’線に沿った断面図である。
【図21】本発明に係わる第2の実施の形態での、スペーサとスペーサブロックとの組み合わせ状態を示す上面図である。
【図22】同じく、スペーサとスペーサブロックの断面図である。
【図23】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示す断面図である。
【図24】従来知られたFE型素子の一例を示す断面図である。
【図25】従来知られたMIM型素子の一例を示す断面図である。
【図26】従来例における表示パネルの断面図である。
【符号の説明】
11、101 スペーサブロック
20 スペーサ
102 スペーサ電極形成面
103 枠部
104 押し当て部材
105 ゴム板
106 送りネジ
106a ハンドル部
107 伝達部
108 マスク板
109 スペーサ側面部
110 スペーサ電極
Claims (6)
- 電子線発生装置において用いるスペーサの製造方法であって、
ガラス又はセラミックスからなるスペーサ基体を挟持した状態で該スペーサ基体の膜形成面に、金属又は合金からなる膜形成のための材料を、スパッタ法又は電子ビーム蒸着法により付与する付与工程を有しており、
前記膜形成面が挟持のための挟持部材の端部よりも突出しない状態で前記材料の付与が行われ、
前記挟持部材は、前記材料を付与する際に該挟持部材の端部が前記膜形成面よりも5μm以上突出し、
前記材料の付与がスパッタ法により行われる場合には、前記挟持部材の端部が前記膜形成面よりも突出する長さが10mm以下であり、
前記材料の付与が電子ビーム蒸着法により行われる場合には、前記挟持部材の端部が前記膜形成面よりも突出する長さが8mm以下であることを特徴とするスペーサの製造方法。 - 前記材料の付与によって形成される膜が電極であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサの製造方法。
- 前記電子線発生装置は、電子放出素子を配置した第1プレートと、該電子放出素子が放出した電子を加速する加速電位が印加される加速電極が配置された第2プレートとを有するものであることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のスペーサの製造方法。
- 前記膜形成面は、前記電子線発生装置が構成されたときに、前記第1プレートもしくは第2プレートと相対する面であることを特徴とする請求項3に記載のスペーサの製造方法。
- 複数の前記スペーサ基体を、各スペーサ基体の間に前記挟持部材を配置した状態で保持し、前記材料の付与を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスペーサの製造方法。
- 前記材料の付与時に、前記挟持部材の端部が前記膜形成面よりも突出しており、かつ、前記突出した端部の角部が丸みを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスペーサの製造方法。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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