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JP4867102B2 - 多結晶シリコン膜の形成方法、およびそのための組成物 - Google Patents
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多結晶シリコン膜の形成方法、およびそのための組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファスシリコンの多結晶化方法および多結晶シリコンの形成方法、ならびにそれに用いるための組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池などに用いるための多結晶化シリコン膜の製造方法としては、モノシランガスやジシランガスを原料とした熱CVD法(J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)等)によるか、またはプラズマCVD法(Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)等)等により先ずアモルファスシリコン膜を形成してから次いでレーザーアニールや水素プラズマ処理等で多結晶シリコン膜に変換する方法が主流である。このようなCVD法を利用するシリコン膜の形成においては、▲1▼気相反応を用いるため、気相でシリコンの粒子が発生して装置の汚染や異物の発生による生産歩留まりが低い、▲2▼原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のものが得られにくい、▲3▼膜の形成速度が遅いため生産性が低い、▲4▼プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題があり更なる改良が待たれていた。
【0003】
近年、アモルファスシリコンを多結晶シリコンに変換するに際し、アモルファスシリコン表面に異種金属または金属シリサイド薄膜層を設け、熱処理を施す方法が報告されている。例えば、J.Appl.Phy.,69,6394(1991)、J.Appl.Phy.,70,5153(1991),JPn.J.Appl.Phys.,Part 1,29,729(1990)、J.Appl.Phy.,87,609(2000)等では、アモルファスシリコン上にアルミニウム、銅、ニッケル等の薄膜層を設け、500℃程度の熱処理により多結晶シリコンに変換できることが報告されている。
しかしこの方法によると、熱処理に比較的高温が必要なため、使用しうる基板の材質が限られてしまう欠点があり、そもそもアモルファスシリコン形成時にCVD法を採用しているため、上述した問題点をも有している。
また、近年、アモルファスシリコン表面の一部にNiSiを付着させ、380℃程度で熱処理することにより多結晶シリコンに変換できることが報告されている。この方法によると比較的低温で多結晶化が可能であるため、使用しうる基板の材料の自由度は大きいが、やはりアモルファスシリコン形成時にCVD法が必要なため、同様の問題点を有している。
【0004】
ところで、多結晶シリコン膜を太陽電池に用いる場合、表面に(220)結晶面を有することが好ましい。しかし、上記した方法で形成される多結晶シリコンは、いずれも(111)面が主であり、選択的に(220)面を形成することはできなかった。
太陽電池に好適に用いることができる(220)面を表面に有する多結晶シリコン膜を簡易な方法で形成しうる技術が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、CVD法やスパッタリング法等の煩雑で高価な真空系装置を必要とする方法とは異なり、簡易な操作や装置で基板上に(220)面を表面に有する多結晶シリコン膜を形成する方法、およびそのための組成物を提供することにある。
【0006】
本発明によれば、上記目的は、第一に、下記式(1)〜(3)のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物、
Ni(CO) ...(1)
Ni(CO)(SiF ...(2)
Ni(CO)(PF ...(3)
および溶媒を含有することを特徴とする、アモルファスシリコンの多結晶化に用いるための組成物(以下、「第1の組成物」ということがある。)によって達成される。
【0007】
上記目的は第二に、下記式(1)〜(3)のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物、
Ni(CO) ...(1)
Ni(CO)(SiF ...(2)
Ni(CO)(PF ...(3)
および下記式(4)で表される化合物
Si ...(4)
(ここで、複数個のRは互いに独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表し、nは3以上の整数であり、mはn〜2n+2の整数である。)
を含有する組成物(以下、「第2の組成物」ということがある。)によって達成される。
【0008】
また、本発明の目的は、第3にアモルファスシリコン上に上記第1または第2の組成物を塗布し、次いで熱処理することを特徴とする、アモルファスシリコンの多結晶化方法により達成される。
さらに本発明の目的は第4に上記第2の組成物を基板上に塗布し、次いで熱処理することを特徴とする、多結晶シリコンの形成方法によって達成される。
以下、本発明の組成物の各成分について詳細に説明する。
【0009】
第1の組成物
本発明の第1の組成物は、下記式(1)〜(3)のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物、
Ni(CO) ...(1)
Ni(CO)(SiF ...(2)
Ni(CO)(PF ...(3)
および溶媒を含有することを特徴とする。
上記(1)〜(3)式の化合物の合成方法は既知である。(1)式の化合物は、例えば、Inorg. Synth., 2, 234(1946)、Z. Anorg. Allg. Chem., 269, 308(1952)等に従って合成することができる。
(2)式の化合物は、例えばJ.Org.Metal.Chem.,259,337(1983)等に従って合成することができる。
(3)式の化合物は、例えば、Inorg.Chem.,,651(1965)等に従って合成することができる。
上記(1)〜(3)の化合物は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0010】
本発明の第1の組成物に用いられる溶媒は、上記(1)〜(3)式の化合物を溶解し、それらと実質的に反応しないものであればよく、その種類には特に制限はないが、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素形容媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、クロロホルムなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、とくにベンゼン、トルエン、キシレン、デュレンが好ましい。
これらの溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0011】
本発明の第1の組成物中の上記式(1)〜(3)で表される化合物の含有量は、所望の膜厚や目的によって適宜の値とすることができるが、通常0.00001〜1.0重量%、好ましくは0.0001〜0.5重量%、とくに好ましくは0.0005〜0.1重量%とすることができる。
【0012】
第2の組成物
本発明の第2の組成物は、下記式(1)〜(3)のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物、
Ni(CO) ...(1)
Ni(CO)(SiF ...(2)
Ni(CO)(PF ...(3)
および下記式(4)で表される化合物
Si ...(4)
(ここで、複数個のRは互いに独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表し、nは3以上の整数であり、mはn〜2n+2の整数である。)を含有する。
【0013】
上記式(1)〜(3)で表される化合物は、前述した第1の組成物と同様である。
上記式(4)におけるRは、複数個ある場合は互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基を好ましいものとして挙げることができる。
nは3以上の整数であり、mはn〜2n+2の整数である。nは好ましくは3〜8であり、特に好ましくは3〜6である。
【0014】
上記(4)式で表される化合物は、鎖状、環状、またはかご状であることができる。
上記(4)式で表される化合物のうち、Rのすべてが水素原子である化合物が好ましく用いられる。このような化合物として、式Sin2n+2で表される鎖状化合物、式Si2nで表される環状化合物、および式Siで表されるかご状化合物が好適に用いられる。特に好ましくは、式Si2nで表される環状化合物である。なお、「かご状」とは、プリズマン骨格、キューバン骨格、5角柱型骨格等を含むものを意味する。上記式におけるnは3以上の整数であり、好ましくは3〜8であり、特に好ましくは3〜6である。
上記式(4)で表される化合物のうち、とりわけ好ましいものとして、シクロペンタシラン、シリルシクロペンタシラン、シクロへキサシランを挙げることができる。
【0015】
本発明の第2の組成物中の上記式(1)〜(3)で表される化合物のうち少なくとも1種の化合物の添加量は、本発明の第2の組成物の使用目的により適宜設定できる。
本発明の第2の組成物を、アモルファスシリコンの多結晶化に用いる場合、上記式(1)〜(3)で表される化合物のうち少なくとも1種の化合物の添加量は、上記式(4)で表される化合物との合計に対して、通常0.0001〜10重量%であり、好ましくは0.001〜5重量%であり、特に好ましくは0.002〜1重量%である。
一方、本発明の第2の組成物を、基板上に多結晶シリコンを形成するために用いる場合、上記式(1)〜(3)で表される化合物のうち少なくとも1種の化合物の添加量は、上記式(4)で表される化合物との合計に対して、通常0.0001〜10重量%であり、好ましくは0.001〜5重量%であり、特に好ましくは0.002〜1重量%である。
【0016】
本発明の第2の組成物は、第1の組成物にて例示したものと同様の溶媒を含有することができる。
本発明の第2の組成物が溶媒を含有する場合、上記式(1)〜(3)で表される化合物のうち少なくとも1種の化合物および上記式(4)で表される化合物との合計量が溶液中に占める割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05〜80重量%、さらに好ましくは0.1〜50重量%である。
【0017】
次に、本発明の第1または第2の組成物を用いて、アモルファスシリコンを多結晶化する方法について述べる。
本発明の方法により、アモルファスシリコンを多結晶化する際には、アモルファスシリコンは基板上に形成されている膜状であることが好ましい。
このときに使用される基板は特に限定されない。塗膜を形成する基板は平面でも、段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。ポリシラン化合物塗膜の酸化処理を熱処理にて行う場合には、基板の材質は、処理温度に耐えられるものが好ましい。
このような基板の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、ランタン系ガラス等が使用できる。金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系開環重合体およびその水素添加物等を使用することができる。さらにこれらの基板の形状は塊状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。
【0018】
基板上にアモルファスシリコンを形成するには、適宜の方法が使用できる。例えば、プラズマCVD法等の方法によっても良いし、WO00/58409号公報に記載の方法により溶液状の組成物から形成しても良い。
アモルファスシリコン膜の膜厚は、その目的により適宜の値を採用することができるが、通常0.01〜20μm、好ましくは0.02〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
【0019】
本発明の方法によりアモルファスシリコンを多結晶化するには、上記のアモルファスシリコン上に本発明の第1または第2の組成物を、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により、膜厚が好ましくは0.00001〜1.0μm、特に好ましくは0.0001〜0.1μm程度になるように塗布する。なお、組成物が溶媒を含有するものであるとき、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。
成膜工程は非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素等の酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすれば良く、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
【0020】
アモルファスシリコン上に本発明の組成物の塗膜を形成した後、適当な雰囲気下で熱処理することにより、アモルファスシリコン膜は多結晶シリコン膜に変換される。上記の熱処理は、非酸化性雰囲気下、通常アルゴン雰囲気あるいは水素を含有したアルゴン中で行われることが好ましい。処理温度としては、200〜1000℃程度で、好ましくは200〜850℃程度で、さらに好ましくは300℃〜500℃程度である。
熱処理時間は、通常1〜180分、好ましくは5〜120分である。
【0021】
次に本発明の第2の組成物を用いて、基板上に多結晶シリコンを形成する方法について述べる。
本発明の第2の組成物を、基板上に、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により、膜厚が好ましくは0.005〜10μm、特に好ましくは0.01〜5μm程度になるように塗布する。なお、組成物が溶媒を含有するものであるとき、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。基板は前述と同様のものを使用することができる。
成膜工程は非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。このような雰囲気は前述と同様に実現することができる。
【0022】
また、本発明の第2の組成物の塗膜を密着性よくかつ緻密に基板上に成膜するために、塗布前および後のうちの少なくとも一回、光照射処理を施すことが好ましい。
このような光照射処理に際しては、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては一般には、10〜5000Wの出力のものが用いられるが、通常100〜1000Wで十分である。これらの光源の波長は組成物または塗膜中のポリシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが170nm〜600nmが好ましい。
光照射処理を行う際の温度は、通常室温〜300℃であり、処理時間は0.1〜30分程度である。これらの光照射処理は、ポリシラン化合物の成膜工程と同様の非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0023】
上記のようにして成膜された本発明の第2の組成物の塗膜は、適当な雰囲気下で熱処理することにより、多結晶シリコン膜に変換される。
上記の如く形成された本発明の組成物の塗膜は、好ましくは非酸化性雰囲気下、通常アルゴン雰囲気あるいは水素を含有したアルゴン中で100〜1000℃程度で、好ましくは200〜850℃程度で、さらに好ましくは300℃〜500℃程度で熱処理され多結晶状のシリコン膜が得られる。
【0024】
本発明の方法によれば、上記の如くして多結晶シリコン膜が形成される。本発明の方法は、基板の面積や形状に関わらずに緻密な多結晶シリコン膜を形成することができ、高信頼性が要求されるデバイスを製造するために好適に使用することができる。また、本発明の方法は、真空装置などの高価な装置が不要なので低コストである。
また、本発明の方法により形成される多結晶シリコン膜は、(220)面が主の表面を有しており、太陽電池の製造に好適に利用することができる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
合成例1(Ni(CO)(SiFの合成)
200mLのナスフラスコに、ニツケル6.4g(0.11g/atm)、トルエン40g(0.44mol)、ヘキサフルオロジシラン68.1g(0.4mol)を秤量し、−196℃で2時間冷却した。析出した赤褐色の固体を加温し溶融させ、減圧下で過剰のトルエンおよびヘキサフルオロジシランを除去し、得られた黒色の粉末を40mlのトルエンで2回洗浄した。更に、窒素下でフイルター濾過し、淡黄色の濾液を得た。この淡黄色の溶液を、減圧下で溶媒除去し0.2gの淡黄色の固体を得た。このものの融点は95℃で、重クロロホルム溶媒中で測定したH−NMRは、2.5(s、3H)及び6.8ppm(s、5H)にピークを示し、生成物が(η−CCH)Ni(SiFであることを示した。
次に、0.05gの(η−CCH)Ni(SiFを100mLの2口のナスフラスコに秤量し、容器中を一酸化炭素で置換し充満させ大気圧下で1時間反応した。更に減圧下で副生したトルエンを除去し、白色の生成物を得た。生成物のIRスペクトルは、2100cm−1にC=Oの伸縮振動の吸収を示し、生成物がNi(CO)(SiFであることを示した。
【0026】
合成例2(シクロシランの合成)
温度計、コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が2Lの4口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1.5Lとリチウム金属27.4gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。この溶液に、氷冷下で攪拌しながら、ジフエニルジクロロシラン500gを滴下ロートより添加した。リチウム金属が完全に消失するまで反応を続けた後、反応混合物を氷水中に注ぎ反応生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾別し、水で良く洗浄した後、シクロヘキサンで洗浄し208gの生成物を得た。この生成物を高速液体クロマトグラフイーで分析したところ、デカフエニルシクロペンタシランとウンデカフエニルシクロヘキサシランの混合物でその混合比は10/1(重量比)であつた。
次に、アルゴンで置換した3Lのフラスコに上記の生成物190gおよびトルエン2000mLを仕込み、塩化アルミニウム15gを加え、塩化水素ガスを導入した。H−NMRでフエニル基が塩素に置換されたのを確認後、冷却下アルゴン雰囲気中で塩素原子1個に対して1等量のリチウムアルミニウムヒドリドを加えて還元反応を行つた。反応で生じたアルミニウム化合物を除去することにより還元されたシラン化合物16gを得た。このものは、29Si−NMR、IRスペクトルおよびガスクロマトグラフイー分析により、Si10とSi12の混合物(重量比で10/1)であることが分かつた。
【0027】
実施例1
▲1▼アモルファスシリコンの形成
上記合成例1で得られたシクロシラン4gをトルエン10gに溶解し、0.2ミクロンメートルのメンブランフイルターで濾過してシクロシランの塗布溶液を調製し、アルゴン雰囲気下、ディップコートにより、石英基板上にシクロシランの塗膜を形成した。塗布基板について、アルゴン雰囲気中で溶媒を蒸発させた後、500℃で5分間加熱し基板上に金属光沢を有するシリコン膜を形成した。このシリコン膜の膜厚は1500Åであつた。このシリコン膜のESCAスペクトルを測定したところ、99eVにピークが観察された。このピークはSiの2p軌道に帰属される。
またこのシリコン膜のラマン散乱スペクトルは、100%アモルフアスシリコンであることを示した。
▲2▼アモルファスシリコンの多結晶シリコンへの変換
窒素置換した300mLのナスフラスコに、合成例1で合成したNi(CO)(SiF 10mgをトルエン200mLに溶解させた後、0.05μmのメンブランフイルターで濾過してNi(CO)(SiF溶液を調製した。
上記▲1▼で作製したアモルフアスシリコン上に窒素下で前記Ni(CO)(SiF溶液をスピンコートし、膜厚5Åの塗膜を形成した。次いで、450℃で1時間焼成した。
こうして得られたシリコン膜のラマン散乱スペクトルは、520cm−1にシャープなピークを示し、アモルフアスシリコンが多結晶シリコンに変換されたことを示した。
【0028】
実施例2
▲1▼Ni(CO)(SiF/シクロシラン組成物の調製
合成例1で合成したNi(CO)(SiF 50mgと合成例2で合成したシクロシラン10gを90gのトルエンに溶解させた後、0.2ミクロンメートルのメンブランフイルターで濾過してNi(CO)(SiFとシクロシランの混合溶液を調製した。
▲2▼多結晶シリコンの形成
上記▲1▼で作製したNi(CO)(SiFとシクロシランの混合溶液を、スピンコートにより石英基板にアルゴン雰囲気下で塗布した。塗布基板について、アルゴン雰囲気中で溶媒を蒸発させた後、450℃で1時間加熱し基板上に金属光沢を有するシリコン膜を形成した。このシリコン膜の膜厚は1.0μmであつた。
このシリコン膜のESCAスペクトルを測定したところ、Siの2p軌道に帰属されるピークが99eVに観察された。
またこのシリコン膜のラマン散乱スペクトルは、520cm−1にシャープなピークを示し、多結晶シリコン膜が形成されたことを示した。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、CVD法やスパッタリング法等の煩雑で高価な真空系装置を必要とする方法とは異なり、簡易な操作や装置で基板上に多結晶シリコン膜を形成する方法、およびそのための組成物が提供される。

Claims (6)

  1. 下記式(2)、(3)のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物
    i(CO)(SiF...(2)
    Ni(CO)(PF ...(3)
    および溶媒を含有することを特徴とする、アモルファスシリコンの多結晶化に用いるための組成物。
  2. 下記式(1)〜(3)のうちから選ばれる少なくとも1種の化合物、
    Ni(CO) ...(1)
    Ni(CO)(SiF...(2)
    Ni(CO)(PF ...(3)
    および下記式(4)で表される化合物Si...(4)
    (ここで、複数個のRは互いに独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表し、nは3以上の整数であり、mはn〜2n+2の整数である。)を含有する組成物。
  3. 上記組成物がアモルファスシリコンの多結晶化に用いるためのものであることを特徴とする、請求項に記載の組成物。
  4. 上記組成物が基板上に多結晶シリコンを形成するためのものであることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
  5. アモルファスシリコン上に請求項1または3に記載の組成物を塗布し、次いで熱処理することを特徴とする、アモルファスシリコンの多結晶化方法。
  6. 請求項4に記載の組成物を基板上に塗布し、次いで熱処理することを特徴とする、多結晶シリコンの形成方法。
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