以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
本発明のスピーカ付きマフラの一例を図1〜図7を参照して説明する。
この例のスピーカ付きマフラM1は、マフラ本体1、排気管2及びスピーカ3などを備えている。
マフラ本体1は、楕円筒状のアウタシェル1aと、その両端を塞ぐフロントプレート1b及びエンドプレート1cとを備えている。マフラ本体1の内部は、複数の仕切り板1d,1e,1fによって区画されており、低周波共鳴室11、拡張室12、干渉室13、及び、スピーカ3のエンクロージャ14が形成されている。これら低周波共鳴室11、拡張室12及び干渉室13は入口側からこの順で配置されており、干渉室13が排気ガス流れの最下流に配置されている。また、エンクロージャ14は干渉室13の側方で拡張室12に隣接して配置されている。
低周波共鳴室11と拡張室12とは、フロントプレート1bと平行に配置された仕切り板1dによって区画されている。また、拡張室12と干渉室13及びエンクロージャ14とは、エンドプレート1cと平行な仕切り板1eによって区画されている。この仕切り板1eの拡張室12側の面は断熱材16によって覆われている。
干渉室13とエンクロージャ14とは、エンドプレート1cと直角に配置された仕切り板1fによって区画されており、この仕切り板1fにスピーカ3がブラケット31を介して取り付けられている。仕切り板1fには、図7に示すように、スピーカ3の振動板に対応する部分に多数の貫通孔1gが開口されており、スピーカ3が出力するスピーカ音を干渉室13内に放出することができる。なお、仕切り板1fの貫通孔1gの形成部分は、干渉室13側に突出する円形凹部となっており、スピーカ3の振動板等と仕切り板1fとが干渉しないように構成されている。
排気管2にはエンジンからの排気ガスが導入される。排気管2はマフラ本体1を貫通している。具体的には、排気管2は、フロントプレート1b、低周波共鳴室11、仕切り板1d、拡張室12、仕切り板1e、干渉室13、及び、エンドプレート1cを順次貫通している。排気管2は、干渉室13の中央部を貫通しており、従って排気管2はマフラ本体1の中心に対して干渉室13側に偏心した状態で配置されている。
低周波共鳴室11内の排気管2には共鳴管21が設けられており、この共鳴管(開口)21を通じて排気管2の内部が低周波共鳴室11内に開放されている。低周波共鳴室11は、共振周波数が100Hz以下となるように容積が設定されており、排気音に含まれる100Hz以下の低周波音の音圧レベルを低減することができる。
なお、低周波共鳴室11の共振周波数fは、下記の(1)式(ヘルムホルツの式)で定義されるので、この(1)式に基づいて、共振周波数fが100Hz以下となるように、低周波共鳴室11の容積、共鳴管21の開口断面積及び長さを決定すればよい。
f=(C/2π)×(S/(L×V))1/2 ・・・(1)
ただし、C:音速、S:共鳴管の開口断面積、L:共鳴管の長さ V:共鳴室の容積
拡張室12内の排気管2には、多数の貫通孔22が設けられている。これら貫通孔22を設けることによって、見かけ上、排気管2が拡張室12内で切断されたものと等価な構造となり、これによって拡散室12内において排気ガスの流路断面積が拡大することによる拡張効果を発揮することができ、100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルを低減することができる。拡張室12内の排気管2の外周には断熱材15が巻かれている。このように排気管2の外周を断熱材15で覆うことにより、拡張室12内の温度上昇を抑えることができるとともに、気流音を低減させることができる。
干渉室13内の排気管2には、多数の貫通孔23が設けられており、これら貫通孔23を通じて排気音が干渉室13内に入り、その排気音とスピーカ3から出力されたスピーカ音とが干渉して音圧レベルが低減される。干渉室13内には、500Hz以上の高周波成分を消音するとともに、断熱材としても機能する吸音断熱材17が充填されている。
スピーカ3は、例えばボイスコイル式スピーカであって、排気音の逆位相の音、具体的には、エンジン回転数に同期した回転次数成分の音、及び、排気系の長さ・剛性等によって発生する固有の音を消音する相殺音を出力する。スピーカ3背面のエンクロージャ14は、目標とする最低共振周波数fc(例えば70〜100Hz)を達成できるような容積に設定されている。
なお、この例に用いる断熱材15,16及び吸音断熱材17としては、例えばグラスファイバーメッシュからなる断熱材や、ステンレスウールからなる断熱材を挙げることができる。また、排気管2に設ける孔は、図2及び図3などに示すような円形の貫通孔22,23のほか、排気管2の管軸方向に沿って延びるスリット状の孔であってもよい。
以上の構造のスピーカ付きマフラM1において、排気管2を通じてマフラ本体1内に伝播した排気音のうち、100Hz以下の低周波音は低周波共鳴室11によって低減され、さらに拡張室12の拡張効果により100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルが低減される。そして、排気管2を通じて排気ガスが干渉室13に到達すると、この干渉室13内に充填された吸音断熱材17によって500Hz以上の高周波成分が消音されるとともに、スピーカ3から出力されたスピーカ音との干渉により排気温の音圧レベルが低減される。
以上のように、この例のスピーカ付きマフラM1によれば、低周波共鳴室11によって100Hz以下の低周波音が低減されるので、スピーカ3の出力音圧レベルを低く抑えることができ、スピーカ3の大型化を抑制することができる。すなわち、スピーカ3から100Hz以下の低周波域の音を大きな音圧で出力するには、スピーカ3の磁気回路を大型化して振動板の振幅を大きくするか、振動板の径を大きくする必要があるが、スピーカ音と排気音とを干渉させる干渉室13の上流側に低周波共鳴室11を配置し、その低周波共鳴室11によって、100Hz以下の低周波音を低減することにより、スピーカ3から低周波の音圧を出す必要がなくなるので、スピーカ3の大型化を最小限に止めることができる。
しかも、この例のスピーカ付きマフラM1では、スピーカ3を有する干渉室13を排気ガス流れの最下流に配置し、その干渉室13の上流に、上記した低周波音を低減する低周波共鳴室11と、100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルを低減する拡張室12とを配置しているので、干渉室13の配置位置つまりスピーカ3の配置位置に音が伝搬する前の段階で、低周波共鳴室11及び拡張室12の2つの消音室によって音圧レベルを十分に低減することができ、スピーカ3の出力音圧レベルを低くしても十分な消音効果を得ることができる。これによって、スピーカ3を更に小型化することが可能となり、マフラの小型化をはかることができる。そして、このような小型化によって省スペース化・軽量化、及び、コスト低減を達成することができる。
また、スピーカ3を有する干渉室13を排気ガス流れの最下流に配置することにより、スピーカ3の駆動上の利点もある。すなわち、ボイスコイル式のスピーカ3を用いた場合、ボイスコイルの駆動力が弱いため、スピーカ3を干渉室13の上流側に配置すると、干渉室13によって排気ガスの静圧が高くなってしまい、その静圧によってスピーカ3の振動板が押されて振動板が振動できなくなるが、スピーカ3を排気ガス流れの最下流つまり排気管2の大気開放近くにスピーカ3を配置することで、排気ガスの静圧を最小限にすることができ、振動板の振動が阻害されることがなくなるので、目的とする音圧レベルの音をスピーカ3から出力することができる。
ここで、この例のスピーカ付きマフラM1では、小型化を達成するために、スピーカ3をマフラ本体1に内蔵しているので、排気管2を流れる排気ガスの熱からスピーカ3を保護する必要がある。
これを達成するための具体的な構成として、この例では、(1)拡張室12内の排気管2の外周を断熱材15によって覆うことで拡張室12内の温度上昇を防止する。(2)拡張室12とエンクロージャ14との間の仕切り板1eの拡張室12側の面を断熱材16で覆うことにより、拡張室12からエンクロージャ14に熱が伝わることを防止する。(3)干渉室13内に吸音断熱材17を充填することにより、干渉室13内の排気管2(排気ガス)の温度がスピーカ3及びエンクロージャ14に伝達することを防止するという断熱構造を採用している。そして、このような断熱構造を採用することにより、スピーカ3をマフラ本体1に内蔵しても、スピーカ3の熱劣化を防止することが可能となり、スピーカ付きマフラM1の小型化を達成することができる。
なお、他の断熱構造として、例えば図8(A)及び(B)に示すように、拡張室12の外周壁の内面(アウタシェル1aの内周面)を断熱材18で覆うことで、拡張室12の外周壁(アウタシェル1a)からスピーカ3及びエンクロージャ14に熱が伝わることを防止するという構造を挙げることができる。
また、エンクロージャ14の内壁全面、つまり、仕切り板1e,1fのエンクロージャ14側の面、エンドプレート1cの内面、及び、アウタシェル1aの内周面を、それぞれ断熱材によって覆うことで、拡張室12及び干渉室13の熱が、仕切り板1e,1f、エンドプレート1c及び拡張室12の外壁(アウタシェル1a)を通じてエンクロージャ14に伝わることを防止するようにしてもよい。
以上のスピーカ付きマフラM1において、スピーカ3背面のエンクロージャ14の容積が目標とする最低共振周波数fcに対して不足する場合、例えば、図9(A)及び(B)に示すように、エンクロージャ14の外壁(アウタシェル1a)に貫通孔14aを開口し、その貫通孔14aを通じてエンクロージャ14の内部に連通する補正管(容器)4を設けてエンクロージャ14の容積不足分を補うようにすればよい。このような補正管(パイプ)14bを用いると、自由な方向に曲げることが可能であるので、スピーカ付きマフラM1の設置付近の空いているスペースに補正管4を配置することが可能となり、設計の自由度が大きくなる。なお、補正管4の管端部は閉塞しておく。
以上の例では、低周波共鳴室11の下流側に拡張室12を隣接して配置しているが、干渉室13が最下流であれば、低周波共鳴室11と拡張室12との位置関係は特に限定されず、拡張室12の下流側に低周波共鳴室11を配置してもよい。
<実施形態2>
本発明のスピーカ付きマフラの他の例を図10〜図16を参照して説明する。
この例のスピーカ付きマフラM2は、マフラ本体201、排気導入管202、排気導出管203及びスピーカ3などを備えている。
マフラ本体201は、楕円筒状のアウタシェル201aと、その両端を塞ぐフロントプレート201b及びエンドプレート201cとを備えている。マフラ本体201の内部は、複数の仕切り板201d,201e,201fによって区画されており、低周波共鳴室211、拡張室212、干渉室213、及び、スピーカ3のエンクロージャ214が形成されている。これら低周波共鳴室211、拡張室212、干渉室213は入口側からこの順で配置されており、干渉室213が排気ガス流れの最下流に配置されている。また、エンクロージャ214は干渉室213の側方で拡張室212に隣接して配置されている。
低周波共鳴室211と拡張室212とは、フロントプレート201bと平行に配置された仕切り板201dによって区画されている。また、拡張室212と干渉室213及びエンクロージャ214とは、エンドプレート201cと平行な仕切り板201eによって区画されている。
干渉室213とエンクロージャ214とは、エンドプレート201cと直角に配置された仕切り板201fによって区画されており、この仕切り板201fにスピーカ3がブラケット31を介して取り付けられている。仕切り板201fには、図16に示すように、スピーカ3の振動板に対応する部分に多数の貫通孔201gが開口されており、スピーカ3が出力するスピーカ音を干渉室213内に放出することができる。なお、仕切り板201fの貫通孔201gの形成部分は、干渉室213側に突出する円形凹部となっており、スピーカ3の振動板等と仕切り板201fとが干渉しないように構成されている。
排気導入管202にはエンジンからの排気ガスが導入される。排気導入管202は、フロントプレート201b、低周波共鳴室211、及び、仕切り板201dを貫通して、先端が拡張室212内に開口している。
一方、排気ガスを排出する排気導出管203は先端が拡張室212内に開口している。この排気導出管203は、仕切り板201e、干渉室213、及び、エンドプレート201cを貫通してマフラ本体201の外部に延出している。排気導出管203は、マフラ本体201の中心に対して干渉室213側に偏心した状態で配置されており、従って排気導入管202の管軸と排気導出管203の管軸とはオフセット配置となっている。
低周波共鳴室211内の排気導入管202には共鳴管221が設けられており、この共鳴管(開口)221を通じて排気導入管202の内部が低周波共鳴室211内に開放されている。
低周波共鳴室211は、共振周波数が100Hz以下となるように容積が設定されており、排気音に含まれる100Hz以下の低周波音の音圧レベルを低減することができる。なお、低周波共鳴室211の容積、共鳴管221の開口断面積及び長さは、上記した(1)式に基づいて決定すればよい。
拡張室212は、拡張効果により100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルを低減することができる。拡張室212の内壁全面は断熱材で覆われている。具体的には、共鳴室211と拡張室212との間の仕切り板201dの拡張室212側の面が断熱材215によって覆われており、拡張室212と干渉室213及びエンクロージャ214との間の仕切り板201eの拡張室212側の面が断熱材216によって覆われている。さらに拡張室212の外周壁を構成するアウタシェル201aの内周面が断熱材217で覆われている。
干渉室213内の排気導出管203には、多数の貫通孔231が設けられており、これら貫通孔231を通じて排気音が干渉室213内に入り、その排気音とスピーカ3から出力されたスピーカ音とが干渉して音圧レベルが低減される。干渉室213内には、500Hz以上の高周波成分を消音するとともに、断熱材としても機能する吸音断熱材218が充填されている。
スピーカ3は、例えばボイスコイル式スピーカであって、排気音の逆位相の音、具体的には、エンジン回転数に同期した回転次数成分の音、及び、排気系の長さ・剛性等によって発生する固有の音を消音する相殺音を出力する。スピーカ3背面のエンクロージャ214は、目標とする最低共振周波数fc(例えば70〜100Hz)を達成できるような容積に設定されている。
なお、この例に用いる断熱材215,216,217及び吸音断熱材218としては、例えばグラスファイバーメッシュからなる断熱材や、ステンレスウールからなる断熱材を挙げることができる。また、排気導出管203に設ける孔は、図11及び図12などに示すような円形の貫通孔231のほか、排気導出管203の管軸方向に沿って延びるスリット状の孔であってもよい。
以上の構造のスピーカ付きマフラM2において、排気導入管202を通じてマフラ本体201内に伝播した排気音のうち、100Hz以下の低周波音は低周波共鳴室211によって低減され、さらに拡張室212の拡張効果により100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルが低減される。そして、拡張室212に流入した排気ガスは排気導出管203を通じて干渉室213に到達し、この干渉室213内に充填された吸音断熱材218にて500Hz以上の高周波成分が消音されるとともに、スピーカ3から出力されたスピーカ音との干渉により音圧レベルが低減される。
以上のように、この例のスピーカ付きマフラM2によれば、低周波共鳴室211によって低周波音が低減されるので、上記した<実施形態1>と同様に、スピーカ3の大型化を最小限に止めることができる。しかも、スピーカ3を有する干渉室213を排気ガス流れの最下流に配置し、その干渉室213の上流に、上記した低周波音を低減する低周波共鳴室211と、100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルを低減する拡張室212とを配置しているので、干渉室213の配置位置つまりスピーカ3の配置位置に音が伝搬する前の段階で、低周波共鳴室211及び拡張室212の2つの消音室によって音圧レベルを十分に低減することができ、スピーカ3の出力音圧レベルを低くしても十分な消音効果を得ることができる。これによって、スピーカ3を更に小型化することが可能となり、マフラの小型化をはかることができる。そして、このような小型化によって省スペース化・軽量化、及び、コスト低減を達成することができる。
また、<実施形態1>と同様に、スピーカ3を有する干渉室213を排気ガス流れの最下流に配置しているので、スピーカ3の振動板に作用する排気ガスの静圧を最小限にすることができる。これによってスピーカ3の振動板の振動が阻害されることがなくなり、目的とする音圧レベルの音をスピーカ3から出力することができる。
さらに、この例のスピーカ付きマフラM2では、排気ガスを導入する排気導入管202の管端が拡張室212内で開口しているので、排気ガスの流路断面積が拡張室212内において急激に広がり、これによって効率的な拡張効果を得ることができ、排気音をより効果的に低減することができる。しかも、排気ガスを拡張室212に導く排気導入管202の管軸と、拡張室212に流入した排気ガスをマフラ本体201の外部に導く排気導出管203の管軸とをオフセットしているので、排気導入管202から流出する噴流剪断層が排気導出管203の管端(入口)に直接作用することがなく、排気導入管202の圧力変動が少なくなる。これによって、排気導出管203の気柱共鳴による騒音レベルを低減することができる。
ここで、この例のスピーカ付きマフラM2において、拡張室212に高温ガスが流れるので拡張室212が高温になるが、図11及び図12に示すように、拡張室212の内壁全面を断熱材215,216,217で覆っているので、拡張室212の熱が仕切り板201eを通じてエンクロージャ214に伝わることを防止することができ、スピーカ3の温度上昇を抑制することができる。さらに、拡張室212の外周壁を構成するアウタシェル201aからエンクロージャ214及びスピーカ3に熱が伝わることも防止することができる。また、干渉室213内に吸音断熱材218を充填しているので、干渉室213内の排気導出管203(排気ガス)の温度がスピーカ3及びエンクロージャ14に伝達することを抑制することができる。そして、このような断熱効果により、スピーカ3をマフラ本体201に内蔵しても、スピーカ3の熱劣化を防止することが可能となり、スピーカ付きマフラM2の小型化を達成することができる。
なお、スピーカ3を熱から保護するための他の断熱構造として、例えば、図17に示すように、エンクロージャ214の内壁全面つまり仕切り板201e,201fのエンクロージャ214側の面、エンドプレート201cの内面、及び、アウタシェル201aの内周面を、それぞれ断熱材、241,242,243,244によって覆うことで、拡張室212の熱が、仕切り板201e及び拡張室212の外周壁(アウタシェル201a)を通じてエンクロージャ214に伝わることを防止するという構成を挙げることができる。
また、他の断熱構造として、例えば図18に示すように、拡張室212内に断熱材245を充填し、拡張室212内の排気導入管202の熱、及び、排気導入管202から拡張室212に流出した排気ガスの熱が、拡張室212とエンクロージャ214との間の仕切り板201e、及び、拡張室212の外周壁(アウタシェル201a)に伝達することを抑制するという構成を挙げることができる。
ここで、この例のスピーカ付きマフラM2においても、スピーカ3背面のエンクロージャ214の容積が目標とする最低共振周波数fcに対して不足する場合、図9(A)及び(B)に示すような補正管(容器)4をエンクロージャ214に設けて、エンクロージャ214の容積不足分を補うようにすればよい。
なお、以上の例では、低周波共鳴室211の下流側に拡張室212を隣接して配置しているが、干渉室213が最下流であれば、低周波共鳴室211と拡張室212との位置関係は特に限定されず、拡張室212の下流側に低周波共鳴室211を配置してもよい。
<実施形態3>
本発明のスピーカ付きマフラの別の例を図19〜図27を参照して説明する。
この例のスピーカ付きマフラM3は、マフラ本体301、排気管302、断熱材303、保持筒304、及びスピーカ3などを備えている。
マフラ本体301は、楕円筒状のアウタシェル301aと、その両端を塞ぐフロントプレート301b及びエンドプレート301cとを備えている。マフラ本体301の内部は複数の仕切り板301d,301e,301fによって区画されており、低周波共鳴室311、拡張室312、干渉室313、及び、スピーカ3のエンクロージャ314が形成されている。これら低周波共鳴室311、拡張室312及び干渉室313は入口側からこの順で配置されており、干渉室313が排気ガス流れの最下流に配置されている。また、エンクロージャ314は干渉室313の側方で拡張室312に隣接して配置されている。
低周波共鳴室311と拡張室312とは、フロントプレート301bと平行に配置された仕切り板301dによって区画されている。また、拡張室312と干渉室313及びエンクロージャ314とは、エンドプレート301cと平行な仕切り板301eによって区画されている。
干渉室313とエンクロージャ314とは、エンドプレート301cと直角に配置された仕切り板301fによって区画されており、この仕切り板301fにスピーカ3がブラケット31を介して取り付けられている。仕切り板301fには、スピーカ3の振動板に対応する部分に多数の貫通孔301gが開口されており、スピーカ3が出力するスピーカ音を干渉室313内に放出することができる。なお、仕切り板301fの貫通孔301gの形成部分は、干渉室313側に突出する円形凹部となっており、スピーカ3の振動板等と仕切り板301fとが干渉しないように構成されている。
排気管302にはエンジンからの排気ガスが導入される。排気管302はマフラ本体301を貫通している。具体的には、排気管302は、フロントプレート301b、低周波共鳴室311、仕切り板301d、拡張室312、仕切り板301e、干渉室313、及び、エンドプレート301cを順次貫通している。排気管302は、干渉室313の中央部を貫通しており、従って排気管302はマフラ本体301の中心に対して干渉室313側に偏心した状態で配置されている。
排気管302は段付きの管であって、マフラ本体301を貫通する部分が両端部(入口部及び出口部)よりも縮径された形状に加工されており、その縮径部320に断熱材303が巻かれている。この断熱材303は、図26及び図27に示すように、排気管302の縮径部320両端の段部302a,302bの角によって位置決めされる。なお、断熱材303の詳細については後述する。
低周波共鳴室311内の排気管302には共鳴管321が設けられており、この共鳴管(開口)321を通じて排気管302の内部が低周波共鳴室311内に開放されている。
低周波共鳴室311は、共振周波数が100Hz以下となるように容積が設定されており、排気音に含まれる100Hz以下の低周波音の音圧レベルを低減することができる。なお、低周波共鳴室311の容積、共鳴管321の開口断面積及び長さは、上記した(1)式に基づいて決定すればよい。
拡張室312内の排気管302には、多数の貫通孔322が設けられている。これら貫通孔322を設けることで、見かけ上、排気管302が拡張室312内で切断されたものと等価な構造となっており、これによって拡散室312において拡張効果を発揮することができ、100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルを低減することができる。
拡張室312の内壁全面は断熱材で覆われている。すなわち、共鳴室311と拡張室312との間の仕切り板301dの拡張室312側の面が断熱材315によって覆われており、拡張室312と干渉室313及びエンクロージャ314との間の仕切り板301eの拡張室312側の面が断熱材316によって覆われている。さらに、拡張室312の外周壁を構成するアウタシェル301aの内周面が断熱材317によって覆われている。
なお、断熱材315〜317としては、例えばグラスファイバーメッシュからなる断熱材や、ステンレスウールからなる断熱材が用いられる。
干渉室313内の排気管302には、多数の貫通孔323が設けられており、これら貫通孔323を通じて排気音が干渉室313内に入り、その排気音とスピーカ3から出力されたスピーカ音とが干渉して音圧レベルが低減される。なお、排気管302に設ける孔は、図20及び図21などに示すような円形の貫通孔322,323のほか、排気管302の管軸方向に沿って延びるスリット状の孔であってもよい。
スピーカ3は、例えばボイスコイル式スピーカであって、排気音の逆位相の音、具体的には、エンジン回転数に同期した回転次数成分の音、及び、排気系の長さ・剛性等によって発生する固有の音を消音する相殺音を出力する。スピーカ3背面のエンクロージャ314は、目標とする最低共振周波数fc(例えば70〜100Hz)を達成できるような容積に設定されている。
次に、排気管302の断熱材303及び保持筒304について説明する。
断熱材303としては、例えばグラスファイバーメッシュからなる断熱材や、ステンレスウールからなる断熱材が用いられる。断熱材303には、図28に示すように、排気管302の共鳴管321に対応する位置に、共鳴管321の挿通が可能な大きさの貫通孔331が設けられている。また、断熱材303には、拡張室312内に配置される部分に長孔332が設けられている。この長孔332は周方向の3箇所に設けられている。そしてこのような断熱材303が排気管302の縮径部320の外周に巻き付けられる。
断熱材303が巻かれた排気管302は、円筒形状の保持筒304によって保持されている。保持筒304には、図28に示すように、排気管302の共鳴管321との干渉を避けるための切欠き341が設けられている。
また、保持筒304には、断熱材303の長孔332に対応する位置に長孔342が設けられている。この保持筒304の長孔342は、断熱材303の長孔332と同様に周方向の3箇所に設けられている。ただし、保持筒304の長孔342は、断熱材303の長孔332よりも大きく開口されており、断熱材303の長孔332に保持筒304の管壁が被さらないようにしている。このように保持筒304の長孔342の方を大きくすることで、断熱材303の長孔332から噴出した排気ガスが保持筒304に衝突することを避けることができ、保持筒304の温度上昇つまりスピーカ3及びエンクロージャ314への伝熱量を低く抑えることができる。
さらに、保持筒304には、干渉室313内に配置される部分に長孔342が設けられている。この長孔342は周方向の3箇所に設けられている。そして、保持筒304は、入口側端部のみが排気管302に溶接によって固定されている。また、保持筒304の外周面に、フロントプレート301b、仕切り板301d,301e及びエンドプレート301cが溶接によって固定されており、これらフロントプレート301b、仕切り板301d,301e及びエンドプレート301cが保持筒304の外周部に、排気管302に対して断熱された状態で配置されている。
以上の構造のスピーカ付きマフラM3において、排気管302を通じてマフラ本体301内に伝播した排気音のうち、100Hz以下の低周波音は低周波共鳴室311によって低減され、さらに拡張室312の拡張効果により100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルが低減される。そして、排気管302を通じて排気ガスが干渉室313に到達すると、スピーカ3から出力されたスピーカ音との干渉により排気温の音圧レベルが低減される。
以上のように、この例のスピーカ付きマフラM3によれば、低周波共鳴室311によって低周波音が低減されるので、上記した<実施形態1>と同様に、スピーカ3の大型化を最小限に止めることができる。しかも、スピーカ3を有する干渉室313を排気ガス流れの最下流に配置し、その干渉室313の上流に、上記した低周波音を低減する低周波共鳴室311と、100〜1000Hzの中周波帯域の音圧レベルを低減する拡張室312とを配置しているので、干渉室313の配置位置つまりスピーカ3の配置位置に音が伝搬する前の段階で、低周波共鳴室311及び拡張室312の2つの消音室によって音圧レベルを十分に低減することができ、スピーカ3の出力音圧レベルを低くしても十分な消音効果を得ることができる。これによって、スピーカ3を更に小型化することが可能となり、マフラの小型化をはかることができる。そして、このような小型化によって省スペース化・軽量化、及び、コスト低減を達成することができる。
また、<実施形態1>と同様に、スピーカ3を有する干渉室313を排気ガス流れの最下流に配置しているので、スピーカ3の振動板に作用する排気ガスの静圧を最小限にすることができる。これによってスピーカ3の振動板の振動が阻害されることがなくなり、目的とする音圧レベルの音をスピーカ3から出力することができる。
さらに、この例のスピーカ付きマフラM3においては、マフラ本体301を構成する部材(アウタシェル301a、フロントプレート301b、エンドプレート301c及び仕切り板301d、301e、301f)と排気管302とは断熱材303によって断熱されており、排気管302からマフラ本体301への伝熱経路(熱的に接触する部分)は排気管302と保持筒304との溶接部位だけであるので、排気管302の熱がマフラ本体301を通じてスピーカ3及びエンクロージャ314に伝わることを防止することができる。
このような点に加えて、(1)排気管302の縮径部320つまりマフラ本体301内に配置される部分の外周を断熱材303に覆っているので、拡張室312及び干渉室313の温度上昇を防止することができる。(2)拡張室312の内壁全面を断熱材315〜317によって覆っているので、拡張室312の熱が仕切り板301eを通じてエンクロージャ314に伝わることを防止できるとともに、拡張室312の外壁(アウタシェル301a)からスピーカ3及びエンクロージャ314に熱が伝わることも防止することができる。これによってスピーカ3をマフラ本体301に内蔵しても、スピーカ3の熱劣化を防止することが可能となり、スピーカ付きマフラM3の小型化を達成することができる。
なお、この例のスピーカ付きマフラM3においても、スピーカ3背面のエンクロージャ314の容積が目標とする最低共振周波数fcに対して不足する場合、図9(A)及び(B)に示すような補正管(容器)4をエンクロージャ314に設けて、エンクロージャ314の容積不足分を補うようにすればよい。
以上の例では、低周波共鳴室311の下流側に拡張室312を隣接して配置しているが、干渉室313が最下流であれば、低周波共鳴室311と拡張室312との位置関係は特に限定されず、拡張室312の下流側に低周波共鳴室311を配置してもよい。
以上の例では、干渉室313の側方にエンクロージャ314を隣接して配置し、これら干渉室313とエンクロージャ314とを区画する仕切り板301fにスピーカ3を取り付けているが、これに限られることなく、例えば図29に示すように、エンドプレート301cにスピーカ3の振動板に対応する大きさの穴310を開口し、そのエンドプレート301cにスピーカ3及びエンクロージャ340を取り付けて、スピーカ3をマフラ本体301の外部に配置してもよい。なお、上記した<実施形態1>及び<実施形態2>の各スピーカ付きマフラM1,M2についても、同様にして、マフラ本体1,201の外部にスピーカ3を配置してもよい。
−組み付け手順−
次に、図19〜図27に示す構造のスピーカ付きマフラM3の組み付け手順について図28を参照して説明する。
ST1:排気管302の外周部に断熱材303を配置し、排気管302の共鳴管321に断熱材303の貫通孔331を合わせた状態で、断熱材303を排気管302の縮径部320に巻き付ける。このような巻き付けを行う際に、断熱材303の端部を縮径部320の両端の段部302a,302bの角に合わせる(図26及び図27参照)だけで、断熱材303の位置決めを容易に行うことができる。
ST2:排気管302の縮径部320に断熱材303を巻き付けた状態で、それら排気管302及び断熱材303を保持筒304内に挿入(圧入)し、共鳴管321を保持筒304の切欠き341に嵌め込んだ後に、排気管302と保持筒304との位置合わせを行う。具体的には、図26に示すように、排気管302の両端が保持筒304の段部302a,302bの角に合うように排気管302と保持筒304との位置を調整する。
このような排気管302及び断熱材303の圧入を行うときに、断熱材303の両端の位置が排気管302の段部302a,302bによって規制されているので、断熱材303のずれが生じ難くなり、挿入作業を容易に行うことができる。なお、断熱材303の貫通孔331と排気管302の共鳴管321との係合だけでは、排気管302に対して断熱材303が斜めにずれる場合がある。
ST3:排気管302と保持筒304とを位置合わせした状態で、保持筒304の入口側端部を排気管302に溶接にて固定する。このとき、保持筒304と排気管302との溶接は、保持筒304の端部の周方向に沿って等ピッチで数箇所に施す。
なお、排気管302からマフラ本体301への伝熱抑制効果は少し低下するが、排気管302と保持筒304との固定を確実にするために、保持筒304の両端部を排気管302に溶接してもよい。
ST4:断熱材315,316をそれぞれ貼り付けた仕切り板301dと仕切り板301eとを保持筒304に挿し込み、所定位置に配置した状態で各仕切り板301d,301eを保持筒304に溶接にて固定する。さらに、保持筒304の両端部にそれぞれフロントプレート301b及びエンドプレート301cを挿し込み、その各プレート301b,301cをそれぞれ溶接にて固定する。
ST5:干渉室313とエンクロージャ314とを区画するスピーカ取付用の仕切り板301fを、エンドプレート301cと仕切り板301eとの間の所定位置に配置した状態で、スピーカ取付用の仕切り板301fをエンドプレート301cと仕切り板301eにそれぞれ溶接にて固定する。この溶接が終了した後に、仕切り板301fにスピーカ3を取り付ける。
ST6:拡張室312の外周壁の内面を覆う断熱材317を仕切り板301dと仕切り板,301eと間に挿入配置した後、アウタシェル301aで全体を覆った状態で、フロントプレート301b及びエンドプレート301cとアウタシェル301aとの溶接(全周溶接)を行うことによって、図19〜図27に示す構造のスピーカ付きマフラM3を得る。