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JP4870038B2 - 歯科加工用ブロック - Google Patents
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JP4870038B2 - 歯科加工用ブロック - Google Patents

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Description

本発明は、フレーム材を削りだすための歯科加工用ブロックに関する。
近年、歯科治療に用いるクラウンまたはインレー修復等のフレーム材には、ブラックマージンの防止、金属アレルギーを持つ患者向け、あるいは高審美性を目的として、金属に代わる材料が使用されつつある。金属代替材料として代表的な材料には、レジンまたはセラミックスがある。たとえば、セラミックスからなるフレーム材を作製する場合には、セラミックス製のブロックに対してCAD/CAM装置を用いた精密切削・研削加工を施している。このような歯科加工用ブロックについては、特許文献1に開示されている。
直接咀嚼に関与する部分のフレーム材(歯科補綴物)には、咀嚼の際の圧力または衝撃に耐え得るものを使用する必要があることから、歯科加工用ブロックには、強度の高いセラミックスが好適に用いられる。特に欠損した歯の両隣の歯を結合させるブリッジの場合は、欠損した部分にかかる力に耐え得る必要があるため、より強度の高いセラミックスを用いることが要求される。
従来のセラミックス製のフレーム材には、次の3つの種類がある。第1のフレーム材は、仮焼結状態のブロックに対して患者に必要な形状とする切削・研削加工を行い、その後、完全に焼結するものである。第2のフレーム材は、完全に焼結したブロックを作製し、そのブロックを患者に必要な形状に切削・研削加工するものである。第3のフレーム材は、患者に必要な形状に金属酸化物の粉を築盛して仮焼結した後、ガラス粉末を表面にまぶしガラスを溶融、含浸させるものである。
特開2001−19539号公報(要約書等)
上述の第1のフレーム材の場合には、仮焼結状態のブロックがチョーク状の材料であるため加工しやすい。しかし、切削・研削加工後に完全に焼結するため、焼結後の収縮量を予測して切削・研削加工を行う必要があり、目的とした形状のものを得るのが困難である。また、第2のフレーム材の場合には、完全に焼結してから切削・研削加工を行うため、当該加工に長時間を要する上に研削工具等の劣化が早い。また、第3のフレーム材の場合には、その曲げ強度が500MPa程度と低いために、多数歯欠損のブリッジには適用できない。
そこで、本発明は、完全焼結後に切削・研削加工が容易で、かつ多数歯欠損のブリッジにも適用可能な曲げ強度を有するフレーム材を製造するための歯科加工用ブロックを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る歯科加工用ブロックは、ジルコニア、アルミナ、ムライトおよびスピネルの少なくとも一種を主材とする金属酸化物100質量部と、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウム1質量部以上23質量部以下とを含むものとしている。
本発明の歯科加工用ブロックでは、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムを、ジルコニア、アルミナ、ムライトおよびスピネルの少なくとも一種を主材とする金属酸化物に含有することで、金属酸化物の曲げ強度が低下する。そこで、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの含有量を、金属酸化物100質量部に対して1質量部以上23質量部以下とすることにより、切削・研削加工を容易とすると共に、多数歯欠損のブリッジにも適用可能な曲げ強度を有するものとできる。
他の本発明に係る歯科加工用ブロックは、上述の発明に加え、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムを、結晶体として存在させている。この構成を採用することにより、切削・研削加工がより容易となる。
他の本発明に係る歯科加工用ブロックは、上述の発明に加え、前記リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径が、0.01μm以上1μm以下である。このような平均粒径のリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムを用いることにより、切削・研削加工がさらに容易となり、かつ粗大になったリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体が破壊の起点となり難くなり、強度が向上する。
本発明によれば、完全な焼結後の切削・研削加工が容易で、かつ多数歯欠損のブリッジにも適用可能な曲げ強度を有するフレーム材を製造することができる。
本発明の実施の形態に係る歯科加工用ブロックを以下に説明する。
本発明の実施の形態に係る歯科加工用ブロックは、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、ムライト(3Al・2SiO)およびスピネル(MgAl)の少なくとも一種を主材とする金属酸化物100質量部と、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウム1質量部以上23質量部以下とを含むものである。以下、歯科加工用ブロックの製造に用いられる金属酸化物、リン酸ランタン/リン酸アルミニウムおよび製造方法について説明する。
(1.金属酸化物)
金属酸化物の原料粉末には、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、ムライト粉末、スピネル粉末の少なくとも1種であって、平均粒径が0.01〜50μmのものを好適に用いる。より好適には、平均粒径0.03〜20μmの原料粉末を用いる。平均粒径が0.01μmより大きい場合には、取り扱いが容易であり、かつ酸化物結晶の相変態が生じにくい。また、平均粒径が50μmより小さい場合には、焼結により粒大結晶粒が生成しにくく、強度の向上を図ることができる。
ジルコニア粉末は、単斜晶、正方晶、立方晶またはこれらの一以上の混晶の内いずれの結晶相をもつものでも良いが、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア等の安定化剤を含み正方晶と単斜晶からなる部分安定化ジルコニアが使用に適している。アルミナ粉末は、γ、δ、κ、θ、η、α型等のいずれの結晶構造を有するものであっても良いが、容易に入手可能なγ−アルミナあるいはα−アルミナの粉末が好ましい。ムライト粉末は、コランダム結晶あるいはガラス質を含むものでも良いが、ほぼ100%のムライト結晶からなるものが好ましい。スピネル粉末は、アルミナあるいはマグネシアを含んだものでも良いが、これらを含まないものが好ましい。
(2.リン酸ランタン/リン酸アルミニウム)
リン酸ランタンまたはリン酸アルミニウムの原料粉末には、平均粒径0.01〜1μm、好ましくは平均粒径0.03〜0.6μmのものを用いる。平均粒径0.01μm以上の粉末を用いる場合には、歯科加工用ブロックの切削・研削性が良好になる。一方、平均粒径1μm以下の粉末を用いる場合には、焼結により粗大粒が生成しにくく、強度の向上を図ることができる。
リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの含有量は、金属酸化物100質量部に対して1〜23質量部であり、好ましくは5〜22質量部である。リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの含有量を1質量部以上とすると、歯科加工用ブロックの切削・研削性が向上する。一方、当該含有率を23質量部以下とすると、歯科加工用ブロックの強度が向上する。したがって、易切削・研削性と高強度化とのバランスを考慮すると、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの含有量を1〜23質量部とするのが適切である。
上述のリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムは、ランタン塩および/またはアルミニウム塩の水溶液とリン酸塩の水溶液を混合させることにより、析出物として容易に製造することができる。この析出は瞬時に起こるが、数時間程度熟成させたものを用いても良い。なお、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムは、粉砕を用いた方法、析出を用いた方法のどちらでも良いが、析出させるほうが容易であるため好ましい。
上述のランタン塩としては、硝酸ランタン、塩化ランタン、臭化ランタン、臭素酸ランタン、塩素酸ランタン、ヨウ化ランタン等を用いることができ、これらの中でも硝酸ランタンを好適に用いる。また、上述のアルミニウム塩としては、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、臭素酸アルミニウム、塩素酸アルミニウム、ヨウ化アルミニウム等を用いることができ、これらの中でも硝酸アルミニウムを好適に用いる。これらランタン塩またはアルミニウム塩は、上記に例示したものの中の2種類以上の混合物であっても良い。
上述のリン酸塩としては、オルトリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、他の可溶性リン酸塩等を用いることができ、これらの中でもオルトリン酸を好適に用いる。リン酸塩は、上記例示したものの中の2種類以上の混合物であっても良い。
上述のランタン塩および/またはアルミニウム塩と、上述のリン酸塩との混合比率は、リン酸塩に対してランタン塩および/またはアルミニウム塩を、モル比で0.8〜1.2とするのが好ましい。なお、ランタン塩および/またはアルミニウム塩の水溶液とリン酸塩の水溶液に、予め金属酸化物の粉末を存在せしめ、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの粉末と金属酸化物の粉末との混合粉末を作製しても良い。
(3.歯科加工用ブロックの製造方法)
金属酸化物粉末100質量部とリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの粉末23質量部との混合に際しては、乾式混合の場合には、振動ミル、回転ミル、バレルミルを好適に用いる。一方、湿式混合の場合には、マグネチックスターラー、攪拌羽根を用いた混合、ボールミル混合等を好適に用いる。また成形方法としては、金型プレス、押出成形、射出成形、冷間静水圧プレス(CIP)等を好適に用いる。リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムは、成形時の結合助剤(バインダー)としての作用を有するため、何ら特別のバインダーを要しないで成形可能である。焼結に際しては、常圧焼結、ガス圧焼結、熱間静水圧プレス(HIP)等の方法を採用できる。また、焼結温度は、金属酸化物の種類、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの種類と添加量に応じて適切な温度を選択可能であるが、好適には、700℃〜1400℃の温度範囲の適切な温度とするのが良い。リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムは、焼結時において焼結助剤としての作用を有する。このため、他に何ら特別の助剤を加えなくても、常圧焼結において、焼結体の相対密度を97%以上に緻密化することができる。加えて、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムが結晶体として歯科加工用ブロックに存在するためには、焼結温度を高めに設定するのが好ましい。
(本実施の形態の主な効果)
本実施の形態に係る歯科加工用ブロックは、完全な焼結後の切削・研削加工が容易で、かつ多数歯欠損のブリッジにも適用可能な曲げ強度(600MPa以上)を有するフレーム材を製造可能なブロックである。完全な焼結後に切削・研削加工が容易となるのは、歯科加工用ブロックに含有されるリン酸ランタンおよびリン酸アルミニウムのへき開性に起因しているものと考えられる。ここで、「へき開性」とは、結晶等が特定の方向あるいは特定の面に沿って割れたり剥がれたりする性質である。同様にへき開性を有する物質には、雲母等があるが、雲母は口腔内の酸に侵され溶出しやすい。これに対して、リン酸ランタンおよびリン酸アルミニウムは、耐酸性に優れ、生体為害性が低い。このため、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムは、歯科加工用ブロックの添加物として適している。なお、ジルコニア、アルミナ、ムライトおよびスピネルも生体為害性が低いため、歯科加工用ブロック用の主材として適している。
リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの一部または全部が歯科加工用ブロック中に結晶体として存在する方が、非結晶体として存在するよりも切削・研削加工が容易となる。これは、当該結晶体のへき開性に起因すると考えられる。この歯科加工用ブロック中に存在するリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径は、前記原料粉末の平均粒径に由来して、通常、0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.6μmである。すなわち、本発明の歯科加工用ブロックは、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体が、係る範囲の平均粒径のものとして含有されている場合において、歯科加工用ブロックの切削・研削性が特に良好になり好ましい。
歯科加工用ブロックについての実施例を以下に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例において、各種物性の測定は以下の方法に従って実施した。
(1)X線分析
X線回折装置「RINT−1200」(株式会社リガク製)を用い焼結体のX線回折を測定し、焼結体中の結晶を同定した。
(2)リン酸ランタンまたはリン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径および含有量
走査電子顕微鏡「S−3400N」(日立ハイテクノロジーズ社製)(以下、「SEM」と略する)を用いリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径、およびその含有量を算出した。
平均粒径は、SEM観察画面において無作為に抽出した100個の結晶体粒子の平均値を算出した。
含有量は、SEM観察画面においてリン酸ランタンおよび/またはリン酸ランタンの占有面積および密度から算出し、ジルコニア100質量部に対する質量部として求めた。
なお、歯科加工用ブロックのSEM観察画面において、リン酸ランタンおよびリン酸アルミニウムの各結晶体の確認は、反射電子像における組成表示を用いることによって行った。
(3)密度
焼結体の体積を直径および厚みより算出した。焼結体を秤量し、質量と体積から密度を算出した。またジルコニア粉末「TZ−3Y−E」(東ソー株式会社製の商品名)の密度(6g/cm)と算出した密度から焼結密度を算出した。
密度=焼結体の質量/焼結体の体積
相対密度=焼結体の密度/(リン酸ランタンの密度×配合割合+リン酸アルミニウムの密度×配合割合+「TZ−3Y−E」の密度×配合割合)
(4)曲げ強度
焼結体について、3点曲げ強度試験を行った。試験のサンプルは、得られた焼結体を研削、研磨し、厚さ1.2mm、幅4mm、長さ25mmの寸法としたものである。このサンプルを、支点間距離15mmとなるように平行に配置した棒状の2本の支持具(サンプルに当接する部分の曲率半径は0.8mm)の上に、幅4mmの面を当接させるように載置する。そして、クロスヘッド(サンプルに当接する部分の曲率半径は0.8mm)を支点間の中央の1点(サンプルの中央の1点)に0.5mm/分の速度でサンプルが折れるまで押し付けた。そして、サンプルが折れるまでの最大応力を測定した(n=4)。
(5)切削性
ダイヤモンドポイントHP 形態25(松風製)を用い、焼結体の側面に対し垂直に水冷下10000rpm(ULTIMATE500(ナカニシ製)で研削を行い、5秒後の研削深さを測定した。
実施例1
硝酸ランタン6水和物(和光純薬工業株式会社製の試薬)27.8gと蒸留水300g(和光純薬工業株式会社製の試薬)を秤量、混合し硝酸ランタン水溶液を得た。また、オルトリン酸(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)7.8gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製の試薬)300gを秤量、混合し、リン酸水溶液を得た。硝酸ランタン水溶液に、リン酸水溶液を攪拌下混合した。混合直後に水溶液は白濁し、リン酸ランタン水溶液を得た。得られた混合物を、遠心分離機を用いて固液分離した。沈降物にエタノール(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)900gを加え、1時間混合し、遠心分離により固液分離を行った。同様の操作を2回行った後、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
得られた粉末(SEM観察において平均粒径0.20μm)10.0gと「TZ−3Y−E」100gおよび蒸留水300gを秤量、3時間混合し、遠心分離により固液分離を行い、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
沈降物を50℃24時間乾燥させた。乾燥物1gを直径13mmで金型プレスし、円盤状の圧粉体を得た。また、乾燥物を5mm×30mmで金型プレスし、四角柱の圧粉体を得た。圧粉体を、株式会社モトヤマ製の電気炉「スーパーバーン」を用いて、1250℃、2時間の条件で焼成させた。
実施例2
硝酸ランタン6水和物(和光純薬工業株式会社製の試薬)83.3gと蒸留水900g(和光純薬工業株式会社製の試薬)を秤量、混合し硝酸ランタン水溶液を得た。また、オルトリン酸(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)23.4gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製の試薬)900gを秤量、混合し、リン酸水溶液を得た。硝酸ランタン水溶液に、リン酸水溶液を攪拌下混合した。混合直後に水溶液は白濁し、リン酸ランタン水溶液を得た。得られた混合物を、遠心分離機を用いて固液分離した。沈降物にエタノール(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)900gを加え、1時間混合し、遠心分離により固液分離を行った。同様の操作を2回行った後、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
得られた粉末(SEM観察において0.55μm)22.0gと「TZ−3Y−E」100gおよび蒸留水400gを秤量、3時間混合し、遠心分離により固液分離を行い、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
沈降物を50℃24時間乾燥させた。乾燥物1gを直径13mmで金型プレスし、円盤状の圧粉体を得た。また、乾燥物を5mm×30mmで金型プレスし、四角柱の圧粉体を得た。圧粉体を、株式会社モトヤマ製の電気炉「スーパーバーン」を用いて、1250℃、2時間の条件で焼結させた。
実施例3
硝酸アルミニウム9水和物(試薬、和光純薬製)27.7gと蒸留水(試薬、和光純薬製)300gを秤量、混合し硝酸アルミニウム水溶液を得た。また、リン酸アンモニウム(試薬特級、和光純薬製)15.0gと蒸留水(試薬、和光純薬製)300gを秤量、混合しリン酸水溶液を得た。硝酸アルミニウム水溶液に、リン酸水溶液を撹拌下混合した。混合直後に水溶液は白濁し、リン酸アルミニウム水溶液を得た。得られた混合物を、遠心分離機を用いて固液分離した。沈降物にエタノール(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)600gを加え、1時間混合し、遠心分離により固液分離を行った。同様の操作を2回行った後、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
得られた粉末(SEM観察において平均粒径0.06μm)10.0gと「TZ−3Y−E」100gおよび蒸留水300gを秤量、3時間混合し、遠心分離により固液分離を行い、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
乾燥物1gを直径13mmで金型プレスし、円盤状の圧粉体を得た。また、乾燥物を5mm×30mmで金型プレスし、四角柱の圧粉体を得た。圧粉体を、株式会社モトヤマの製電気炉「スーパーバーン」を用いて、1250℃、2時間の条件で焼結させた。
比較例1
実施例1にて用いた「TZ−3Y−E」を直径13mmで金型プレスし、円盤状の圧粉体を得た。また、乾燥物を5mm×30mmで金型プレスし、四角柱の圧粉体を得た。その圧粉体を、株式会社モトヤマ製の電気炉「スーパーバーン」を用いて、1250℃、2時間の条件で焼成させた。
比較例2
硝酸ランタン6水和物(和光純薬工業株式会社製の試薬)83.3gと蒸留水900g(和光純薬工業株式会社製の試薬)を秤量、混合し硝酸ランタン水溶液を得た。また、オルトリン酸(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)23.4gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製の試薬)900gを秤量、混合し、リン酸水溶液を得た。硝酸ランタン水溶液に、リン酸水溶液を攪拌下混合した。混合直後に水溶液は白濁し、リン酸ランタン水溶液を得た。得られた混合物を、遠心分離機を用いて固液分離した。沈降物にエタノール(和光純薬工業株式会社製の試薬特級)900gを加え、1時間混合し、遠心分離により固液分離を行った。同様の操作を2回行った後、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
得られた粉末(SEMにおいて0.25μm)27.0gと「TZ−3Y−E」100gおよび蒸留水400gを秤量、3時間混合し、遠心分離により固液分離を行い、沈降物を50℃、24時間の条件で乾燥させた。
乾燥物1gを直径13mmで金型プレスし、円盤状の圧粉体を得た。また、乾燥物を5mm×30mmで金型プレスし、四角柱の圧粉体を得た。圧粉体を、株式会社モトヤマ製の電気炉「スーパーバーン」を用いて、1250℃、2時間の条件で焼結させた。
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた各焼結体のX線分析、粒子径、質量部、密度、曲げ試験および切削性を表1に示す。
Figure 0004870038
その結果、実施例1、実施例2および比較例2にて得られた歯科加工用ブロックには、リン酸ランタン(LaPO)とジルコニア(ZrO)に相当するピークが認められた。そして、実施例3にて得られた歯科加工用ブロックには、リン酸アルミニウム(AlPO)とジルコニア(ZrO)に相当するピークが認められた。この結果から、実施例1、実施例2および比較例2にて得られた歯科加工用ブロックには、リン酸ランタンとジルコニアが存在し、実施例3にて得られた歯科加工用ブロックには、リン酸アルミニウムとジルコニアが存在していることがわかった。一方、比較例1にて得られた歯科加工用ブロックには、ジルコニアに相当するピークしか認められなかった。
実施例1〜3にて得られた歯科加工用ブロックについて、リン酸ランタンまたはリン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径およびその含有量を測定した。その結果、実施例1にて得られた歯科加工用ブロックは、リン酸ランタンの結晶体の平均粒径は0.20μmであり、含有量は9.5質量部であること、実施例2にて得られた歯科加工用ブロックは、リン酸ランタンの結晶体の平均粒径は0.55μmであり、含有量は21.7質量部であること、実施例3にて得られた歯科加工用ブロックは、リン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径は0.06μmであり、含有量は9.8質量部であることがわかった。一方、比較例1にて得られた歯科加工用ブロックにはリン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体は見られず、比較例2にて得られた歯科加工用ブロックにおけるリン酸ランタンの結晶体の平均粒径および含有量は、それぞれ0.25μmおよび26.7質量部であった。
実施例1〜3にて得られた歯科加工用ブロックについて、密度を測定した。その結果、実施例1にて得られた歯科加工用ブロックは、密度は5.75g/cmであり、相対密度は99%であること、実施例2にて得られた歯科加工用ブロックは、密度は5.60g/cmであり、相対密度は98%であること、実施例3にて得られた歯科加工用ブロックは、密度は5.52g/cmであり、相対密度は98%であることがわかった。一方、比較例1にて得られた歯科加工用ブロックの密度および相対密度は、それぞれ5.83g/cmおよび98%、比較例2にて得られた歯科加工用ブロックの密度および相対密度は、それぞれ5.43g/cmおよび96%であった。
実施例1において、4つのサンプルの最大応力(曲げ強度)の平均値は780MPaであり、曲げ強度の最低値は750MPaを超えていた。実施例2において、4つのサンプルの最大応力(曲げ強度)の平均値は650MPaであり、曲げ強度の最低値は600MPaを超えていた。実施例3において、4つのサンプルの最大応力(曲げ強度)の平均値は700MPaであり、曲げ強度の最低値は650MPaを超えていた。この結果から、得られた歯科加工用ブロックは、多数歯欠損のブリッジに適用可能な曲げ強度を有するフレーム材を製造できることがわかった。多数歯欠損のブリッジに適用できるフレーム材の曲げ強度は、本実施例の測定条件で600MPa以上である。一方、比較例1にて得られた歯科加工用ブロックから切り出したサンプルの曲げ強度の平均値は900MPa、比較例2にて得られた歯科加工用ブロックから切り出したサンプルの曲げ強度の平均値は530MPaであった。
また、切削加工試験の結果、実施例1〜3および比較例2にて得られた歯科加工用ブロックについては、切削深さがそれぞれ0.5mm、0.8mm、0.7mm、1.0mmであり、火花が出たものは一つもなく、かつダイヤモンドバーの磨耗もなく、容易に研削できることがわかった。この結果から、得られた歯科加工用ブロックは、完全な焼結後の研削加工が容易なものであることがわかった。一方、比較例1にて得られた歯科加工用ブロックについては、切削深さが0.1mm未満であり、火花が出て、かつダイヤモンドバーの磨耗が観測され、当該ブロックが難研削性材料であることがわかった。
本発明は、フレーム材を削りだすための歯科加工用ブロックの産業上の利用可能性を有する。

Claims (3)

  1. ジルコニア、アルミナ、ムライトおよびスピネルの少なくとも一種を主材とする金属酸化物100質量部と、リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウム1質量部以上23質量部以下とを含むことを特徴とする歯科加工用ブロック。
  2. 前記リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムは、結晶体として存在していることを特徴とする請求項1に記載の歯科加工用ブロック。
  3. 前記リン酸ランタンおよび/またはリン酸アルミニウムの結晶体の平均粒径が、0.01μm以上1μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科加工用ブロック。
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