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JP4873166B2 - ガラス基板熱処理用セッター - Google Patents
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Description

本発明は、大型のガラス基板熱処理用セッターに関し、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)等に使用される大型のガラス基板を、載置面に直接載置して加熱炉に導入するための平板状のガラス基板熱処理用セッターに関する。
近年、表示デバイスの多様化が進む中で、CRTに替わって大画面の平面ディスプレイが表示デバイスの主流になりつつある。その代表格であるPDPは、前面と背面とに2枚のガラス基板を対向配置し、上下を両ガラス基板で、側方を隔壁で挟まれた100〜150μmのセルにHe、Ne等の希ガスを封じ込め電圧の印加によりガス放電させて文字や画像を表示するものであり、表示画面の大きさに比して薄型であることを特徴とする。例えば、表示画面が42インチのPDPモジュールは、縦520mm、横920mm、奥行50mm程度の矩形のパネルである。
PDP用ガラス基板には、一般に厚さ3mm弱の平板状のソーダライム系ガラスや高歪点ガラスが用いられ、このガラス基板の上に電極、誘電体、蛍光体等を形成するためにペーストが塗布される。塗布されたペーストをガラス基板に定着させるために、ガラス基板は熱処理用セッター上に載置され、ローラーハースキルン等の加熱炉において450〜650℃の温度域で熱処理が施される。
このガラス基板熱処理用セッターとして、例えば、SiO2、Al23、Li2O、P25、TiO2、ZrO2を主成分とし、熱膨張係数が15×10-7/K以下の結晶化ガラスからなり、JIS R 3202で規定された単位長さあたりの反りの大きさの割合である平坦度が0.3%以下であり、かつ、載置面の表面粗さがRa値で0.1〜1μmの範囲にあるセッターが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、別の熱処理用セッターとして、結晶相としてβ−スポジュメン固溶体を含有するLi2O−Al23−SiO2系結晶化ガラス板からなり、ガラス基板を載置する面の表面積が14000cm2以上であるセッターが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。更に別の熱処理用セッターとして、表面の光沢度が5度以上であり、ペタライト(Li2O・Al23・8SiO2)系セラミックス、β−スポジュメン(Li2O・Al23・4SiO2)系セラミックス又はβ−ユークリプタイト(Li2O・Al23・2SiO2)系セラミックスからなるセッターが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2002−114537号公報 特開2006−8487号公報 特開2005−180743号公報
上記した特許文献1〜3に記載の熱処理用セッターは、ガラス基板の熱処理温度域で繰返し使用すると載置面が凸になるような反り変形が生じ、使用時間と共にその反り変形が大きくなる。この反り変形が大きくなると、ガラス基板がセッターの反り変形に倣って変形してしまう。更に、ローラーハースキルンで熱処理を行った場合、セッターをローラーで搬送する際に、セッターとローラーの接触面積が小さくなるため、正常に搬送されなくなるだけでなく、セッターがローラーに引っ掛かり、最悪の場合、ローラーやセッターが破損して焼成炉を停止しなければならなくなる事態に陥る虞があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、ガラス基板の熱処理温度域で繰返し使用しても反り変形が発生しにくいガラス基板熱処理用セッターを提供することを目的とする。
本発明者は、セッターの反り変形の原因が、熱処理中に発生するガラス基板中のアルカリ成分のセッターへの拡散反応による体積増加であることを突き止めた。すなわち、PDP用ガラス基板は、通常Na2OやK2Oを合量で10〜15質量%程度含んでいるため、セッターの載置面に直接ガラス基板を載せて450〜650℃にした焼成炉で熱処理を行うと、ガラス基板中のNa+イオンやK+イオンが、ガラス基板と密着したセッターへ拡散する。そのため、セッターの載置面での結晶組成やマトリックスガラス相組成が変化し、体積増加が生じて反り変形を引き起こすことがわかった。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ガラス基板熱処理用セッターの載置面に特定の深さ及び割合の凹部を形成することにより、反り変形が発生しにくくなることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラス製であり、ガラス基板を載置面に載置して熱処理するためのガラス基板熱処理用セッターであって、載置面において深さ3μm以上かつ20μm以下の凹部が、平均して500μmあたり1つ以上の割合で存在することを特徴とする。セッターの載置面に形成された凹部により、イオンの移動による体積変化を吸収することが可能となり、反り変形が発生しにくくなる。セッター載置面上の凹部の深さ及び数は、例えば、触針式表面粗さ測定器を用いて測定することができる。具体的には、一定距離における深さ3μm以上かつ20μm以下の凹部の数を測定し、500μmあたりの数に換算することにより算出することができる。ここで、凹部の深さは、図1のセッター表面形状の測定曲線の模式図に示すように、測定曲線の平均線から凹部先端までの距離Dを指す。なお、後述するセッター表面付近における凹部の幅とは、測定曲線の平均線上における凹部の幅Wを指す。
第二に、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、載置面の平均表面粗さが0.1μm〜2μmであることを特徴とする。特定の平均表面粗さを有することにより、ガラス基板を載置する際に、エアクッション作用によるガラス基板の滑りを防止し、安定して載置することが可能となる。なお平均表面粗さは、JIS B 0601に規定された算術平均粗さに準じて算出される。
第三に、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラスが、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであることを特徴とする。
第四に、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラスがLiOを1〜8質量%含有することを特徴とする。
第五に、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、ガラス基板が、高歪点ガラスであり、Na2OとK2Oを合量で5〜30質量%含有するガラスからなることを特徴とする。
第六に、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、載置面の面積が8500cm2以上であることを特徴とする。
本発明のガラス基板熱処理用セッターは、載置面において特定の深さ及び割合の凹部を形成することにより、ガラス基板中のNa+イオンやK+イオンが、ガラス基板と密着したセッターへ拡散することに起因する体積変化を吸収することができる。また、セッター表面に凹部を形成することにより、ガラス基板とセッターとの接触面積が小さくなり、イオンのセッターへ拡散を低減することができる。その結果、繰り返し焼成に使用することによる反り変形が発生し難くなる。
本発明のガラス基板熱処理用セッターは、結晶化ガラス製であり、載置面において深さ3μm以上かつ20μm以下の凹部が、平均して500μmあたり1つ以上の割合で存在することを特徴とする。
前述したように、ガラス基板からセッターへのNa+イオンやK+イオンが拡散すると、セッター中のガラス相や結晶相が変質し、体積変化を生じる。この変質による体積変化を吸収できる凹部があれば、拡散して変質したとしてもセッターは反り変形が起こり難くなる。本発明のガラス基板熱処理用セッターは、表面に体積変化を吸収する凹部が形成されているため、Na+イオンやK+イオンの拡散による体積変化が生じても、該体積変化が凹部に吸収されるため、ガラス基板の熱処理温度域で繰返し使用しても反り変形が発生しにくくなる。
セッター表面に形成される凹部は、できるだけ均等に分散して存在した方が、該体積変化をセッター全体として吸収することができ、長時間加熱した場合も反り変形し難くなる。具体的には、セッターの載置面において、深さ3μm以上の凹部が、平均して500μmあたり1個以上の割合で存在する必要があり、平均して500μmあたり2個以上の割合で存在することが好ましく、平均して500μmあたり5個以上の割合で存在することが好ましい。上限は特に限定されないが、基板ガラスへのセッター形状の転写しやすくなるため、平均して500μmあたり20個以下とすることが好ましい。
なお、長時間加熱した場合におけるセッターの体積変化を十分に吸収し、反り変形を抑制する点から、凹部の深さは3μm以上とする必要があり、3.5μm以上であることが好ましく、4μm以上であることが好ましい。上限は、熱処理中にガラス基板が軟化し、セッター表面の凹部の形状がそのまま転写される虞があるため、20μm以下とすることが好ましい。
凹部の形状については特に限定されず、深さが3μm以上かつ20μm以下であれば、セッターの体積変化の吸収に寄与できるため、溝状、孔状などのどのような形状のものであっても構わない。特に、体積変化の吸収の効果が大きく、またセッター表面に形成することが容易である点で、溝状であることが好ましい。
セッター表面に凹部として溝を形成する場合は、その長さは特に限定されないが、幅については、大きいほどK拡散による体積増加を吸収する効果が大きくなり好ましい。例えば、研磨砥粒による研磨でセッター表面に溝を形成する場合、表面付近から深さ方向にいくに従い幅は小さくなるが、表面付近での溝の幅は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましい。ただし、溝の幅が大きすぎると、熱処理中におけるガラス基板の軟化により、セッター表面の溝の形状がそのまま転写される虞があるため、100μm以下とすることが好ましい。
セッター表面に凹部を形成する方法は特に限定されないが、例えば、研磨機を用いた研磨、具体的には、所定の番手の研磨砥粒を用いて研磨機でラッピングする方法などが挙げられる。
なお、結晶化ガラスからなるセッターは、比較的、強度に優れ破損しにくいため長寿命であり、更に熱伝導率が高く均熱効果が大きいなどの特徴があるが、セラミックス焼結体からなるセッターよりも緻密であることから、前述したようなNa+イオンやK+イオンの拡散による体積変化による影響を受けやすい。したがって、セッターとして結晶化ガラスを用いた場合には、セッター表面に凹部を形成することにより得られる本願発明の効果が大きいものとなる。
セッターの表面粗さについて、JIS B 0601に規定された算術平均粗さは0.1〜2μmであることが好ましく、0.2〜1.5μmであることがより好ましい。セッターの表面粗さが0.1μmより小さいとガラス基板を載置する際に、ガラス基板の表面とセッターの載置面との間に隙間がほとんど無く、エアクッション作用が生じてガラス基板がセッター上を滑って所定位置に安定して載置することが困難となりやすい。一方、セッターの表面粗さが2μm以上である場合、熱処理中にガラス基板が軟化し、セッター表面の凹凸形状がそのまま転写される虞がある。
上記した構成において、結晶化ガラスとしては、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLiO−Al−SiO系結晶化ガラスが挙げられる。この結晶化ガラスを用いた場合、セッター中に含まれるLiイオンとガラス基板中のNaイオンやKイオンとのイオン交換反応により、ガラス基板からセッター中へのNaイオンやKイオンの拡散が増大するため、より一層反り変形が大きくなる。この場合、セッター表面に凹部を形成することにより得られる本願発明の効果が大きいものとなる。
上記した構成において、結晶化ガラスがLiOを1〜8質量%含有することが好ましい。LiO含有量は、ガラス基板の熱処理過程におけるイオン交換反応を抑制するために、少なければ少ないほど良く、具体的には8質量%以下であることが好ましいが、急加熱・急冷却による破損がないようにするために、LiO−Al−SiO系の低膨張結晶又は負膨張結晶を多く析出させ、セッターの熱膨張係数を概ね25×10−7/K以下とする必要があることから、LiOの含有量は1質量%以上とすることが好ましい。
また、熱処理するガラス基板が、PDP用ガラス基板であり、Na2OとK2Oを合量で5質量%以上含有するガラスからなる場合、特にイオン交換による体積変化に伴い、反り変形が生じやすくなる。従って、該ガラス基板の熱処理用として用いる場合は、本発明におけるガラス基板熱処理用セッターの反り変形を抑制する効果が大きいものとなる。なお、PDP用ガラス基板のNa2OとK2Oは、それらの含有量が多すぎると歪点が低くなりすぎるため、合量で最大でも30質量%に制限される。また、ガラス基板の肉厚が2mm以下の場合にも、熱処理時のセッターの変形に倣って、ガラス基板の反り変形がより発生しやすいため、本発明の効果が一層大きくなる。
セッター載置面の面積が8500cm2以上、更には12000cm2以上であるような大型のセッターの場合、特に反り変形が大きくなるため、セッター表面に凹部を形成することにより得られる本発明の効果が大きい。
セッターの厚さは特に限定されないが、2〜10mmであることが好ましい。セッターの厚さが2mm未満であると加熱による反りが発生しやすく、また強度も不十分となる傾向がある。一方、セッターの厚さが10mmを超えると取り扱いが困難になったり、セッター熱容量が大きくなることによる熱処理炉使用電力量が上昇する傾向がある。
以下に、本発明のガラス基板熱処理用セッターを実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
セッター用の結晶化ガラスとしては、透明結晶化ガラス(日本電気硝子株式会社製、ネオセラムN−0(LiOの含有量:4質量%))を用い、セラミックス焼結体としては、ペタライト結晶を70質量%含有するLiO−Al−SiO系セラミックス焼結体(LiO含有量:6質量%)を用いた。この結晶化ガラス及びセラミックス焼結体の表面をダイヤモンドジェネレーターにより研削した後、実施例1及び参考例1では、1重量%の#400研磨砥粒を混ぜた#600研磨砥粒を用いて研磨機でラッピング、実施例2及び参考例2では、10重量%の#400の研磨砥粒を混ぜた#600研磨砥粒を用いて研磨機でラッピング、比較例1及び2では、#1000研磨砥粒を用いて研磨機でそれぞれラッピングすることにより表面加工し、溝状の凹部を形成した。
得られたセッター表面に形成された凹部の深さ及び数は、東京精密社製サーフコム756Aを用いて、0.3mm/sの駆動速度で1500μm測定し、検出された深さ3μm以上の凹部を500μmあたりの数に換算して求めた。なお、測定はセッター表面の中央部、及び中央部と四隅の中点付近4箇所の計5箇所で行い、その平均値として算出した。
セッターの反り変形は、1250×700×5mm(載置面の面積:8750cm2)のサイズのセッターの載置面の略中央部に、1000×560×2.8mmのサイズのPDP用高歪点ガラス(日本電気硝子株式会社製、PP−8;Na2O:5質量%、K2O:10質量%含有)を載置し、600℃で2週間加熱した後、セッターの載置面形状を、3次元形状測定装置を用いて測定し、最高部と最低部との高低差で評価した。結果を表1に示す。
エアクッション作用によるガラス基板の滑りについて、前記と同じ1250×700×5mmのセッターの載置面の略中央部に、10cm上方から前記と同じ1000×560×2.8mmのPDP用高歪点ガラスを載せ、エアクッション作用によるガラス基板の動きについて調べた。エアクッション作用により、ガラス基板がセッターからはみださなかった場合は○、ガラス基板の角の一部でもセッターからはみだした場合は×とした。結果を表1に示す。
表1からわかるように、実施例1、2及び参考例1、2のガラス基板熱処理用セッターは、いずれも反り変形が発生せず、比較例1及び2では反り変形が発生した。また、実施例1、2及び参考例1、2では、エアクッション作用によるガラス基板の滑りの問題は発生しなかったが、比較例1及び2では、エアクッション作用によりガラス基板が滑って移動し、セッターからはみだした。
以上説明したように、本発明のガラス基板熱処理用セッターは、PDPだけでなく、液晶ディスプレイ、FED等のフラットパネルディスプレイに使用されるガラス基板の熱処理用セッターとして好適である。
触針式表面粗さ測定器を用いて測定したセッター表面における測定曲線の模式図である。
符号の説明
D 凹部の深さ
W セッター表面付近における凹部の幅

Claims (7)

  1. 結晶化ガラス製であり、ガラス基板を載置面に載置して熱処理するためのガラス基板熱処理用セッターであって、載置面において深さ3μm以上かつ20μm以下の凹部が、平均して500μmあたり1つ以上の割合で存在することを特徴とするガラス基板熱処理用セッター。
  2. 載置面の平均表面粗さが0.1〜2μmであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板熱処理用セッター。
  3. 結晶化ガラスが、結晶相としてβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体を含有するLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板熱処理用セッター。
  4. 結晶化ガラスが、LiOを1〜8質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
  5. ガラス基板が、高歪点ガラスであり、NaOとKOを合量で5〜30質量%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
  6. ガラス基板が、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
  7. 載置面の面積が8500cm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラス基板熱処理用セッター。
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