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JP4873378B2 - 吸入空気量センサの異常診断装置 - Google Patents
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JP4873378B2 - 吸入空気量センサの異常診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量センサ(エアフローメータ)の異常診断を行う吸入空気量センサの異常診断装置に関する発明である。
従来の吸入空気量センサ(エアフローメータ)の異常診断装置は、例えば特許文献1(特許第3052813号公報)に記載されているように、内燃機関の運転中にスロットル開度が所定スロットル開度以下(エンジン回転速度の変動により実吸入空気量が変動することのない小空気量領域)であるときに、吸入空気量センサの検出値(実吸入空気量)と目標吸入空気量との差が所定の判定しきい値以上であるか否かで、吸入空気量センサの異常の有無を判定するようにしたものがある。
特許第3052813号公報(第3頁等参照)
上記特許文献1の吸入空気量センサの異常診断装置では、実吸入空気量が少ない定常運転状態のときに、吸入空気量センサの検出値(実吸入空気量)と目標吸入空気量との差(誤差)が判定しきい値(許容誤差)を越えているか否かで吸入空気量センサの異常診断を行うものであるため、吸入空気量センサの応答特性がセンサ素子の劣化や回路故障等により悪化した場合でも、この応答特性の悪化を異常として検出することができない。これは、吸入空気量センサの応答特性が悪化しても、上記特許文献1で異常診断を行う定常運転状態では、吸入空気量センサの検出値が目標吸入空気量に収束するまでの時間が長くなるだけで、その時間が経過すれば吸入空気量センサの検出値と目標吸入空気量との差が判定しきい値以内に収まるためである。
しかし、吸入空気量センサの応答特性が悪化すると、エンジン始動後に吸入空気量を精度良く検出可能になるまでの時間が大幅に長くなったり、吸入空気量が変動する過渡時の吸入空気量の検出精度が悪化するため、エンジン始動後の空燃比制御や過渡時の空燃比制御の制御精度が悪化して、エミッション悪化等の問題が生じる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、吸入空気量センサの応答特性悪化の異常も検出できる吸入空気量センサの異常診断装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量センサの異常診断を行う異常診断手段を備えた吸入空気量センサの異常診断装置において、内燃機関の運転中に前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断して再投入する電源スイッチ手段と、内燃機関の運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定する定常運転判定手段とを備え、前記異常診断手段は、前記定常運転判定手段により内燃機関の運転状態が定常運転状態になっていると判定されている期間に前記電源スイッチ手段により前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断して再投入し、その電源再投入時の前記吸入空気量センサの出力立ち上がり特性(応答時間、時定数、所定時間経過後の出力等)を検出して、その出力立ち上がり特性の検出値に基づいて前記吸入空気量センサの異常診断を行うようにしたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の吸入空気量の変化に応じて出力が応答良く変化する高応答型の吸入空気量センサの異常診断を行う異常診断手段を備えた吸入空気量センサの異常診断装置において、内燃機関の運転中に前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断して再投入する電源スイッチ手段と、内燃機関の運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定する定常運転判定手段とを備え、前記異常診断手段は、前記定常運転判定手段により内燃機関の運転状態が定常運転状態になっていると判定されている期間に前記電源スイッチ手段により前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断して再投入し、その電源再投入時の前記吸入空気量センサの出力立ち上がり特性(応答時間、時定数、所定時間経過後の出力等)を検出して、その出力立ち上がり特性の検出値に基づいて前記吸入空気量センサの異常診断を行うようにしたものである。
この場合、請求項2のように、前記定常運転判定手段は、内燃機関の回転速度、スロットル開度、バルブタイミング、点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量、空燃比、アクセル操作量、変速機の変速比のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいて内燃機関の運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定するようにすれば良い。これらのパラメータのいずれかが変動している運転状態は、過渡運転状態であり、吸入空気量が変動しているか又は変動しやすい状態であると判断できる。
ところで、吸入空気量センサの出力立ち上がり特性は、電源再投入直前の吸入空気量センサのセンサ素子の温度状態によっても変化するため、電源遮断時間が短すぎて吸入空気量センサのセンサ素子が十分に冷めていない状態で電源を再投入して吸入空気量センサの出力立ち上がり特性を検出すると、電源再投入直前の吸入空気量センサのセンサ素子の温度状態の影響を受けて吸入空気量センサの出力立ち上がり特性の検出値が変化してしまい、正常/異常を誤診断する可能性がある。
そこで、請求項3のように、電源スイッチ手段により吸入空気量センサの電源を一時的に遮断してから再投入するまでの時間は、電源遮断後に吸入空気量センサのセンサ素子の状態がほぼ初期状態(始動前の状態)に戻るまでの時間を考慮して設定するようにすると良い。このようにすれば、電源遮断後に吸入空気量センサのセンサ素子の状態がほぼ初期状態(始動前の状態)に戻ってから電源を再投入して吸入空気量センサの出力立ち上がり特性を検出するという制御が可能となり、吸入空気量センサの出力立ち上がり特性を精度良く検出することができる。
また、請求項4のように、電源スイッチ手段により吸入空気量センサの電源を遮断している期間(以下「電源遮断期間」という)は、運転制御手段によって電源遮断直前の吸入空気量センサの検出値を用いて内燃機関の運転状態(例えば燃料噴射量、スロットル開度等)を制御するようにすれば良い。つまり、本発明の吸入空気量センサの異常診断では、吸入空気量がほぼ一定となる定常運転状態中に、吸入空気量センサの電源を遮断するため、その電源遮断期間中の吸入空気量は、電源遮断直前の吸入空気量とほぼ同じになると推定できる。従って、電源遮断期間に、電源遮断直前の吸入空気量センサの検出値を電源遮断期間中の吸入空気量として用いて内燃機関の運転状態(例えば燃料噴射量、スロットル開度等)を制御することが可能となり、電源遮断期間中の内燃機関の運転状態の制御精度を確保することができる。尚、電源遮断直前の吸入空気量センサの検出値は、メモリに記憶しておけば良い。
また、請求項5のように、異常診断手段により吸入空気量センサの異常が検出された場合に、吸入空気量センサによる吸入空気量の検出を禁止し、吸気管圧力、スロットル開度、内燃機関の回転速度の少なくとも1つに基づいて吸入空気量を推定する異常時吸入空気量推定手段を設けた構成としても良い。このようにすれば、吸入空気量センサの異常が検出されたときに、直ちに吸入空気量センサの使用を中止して、内燃機関の運転制御のために設けられている他のセンサ(吸気管圧力センサ、スロットル開度センサ、クランク角センサ等)の出力を用いて吸入空気量を推定することが可能となり、吸入空気量センサの異常時でも、吸入空気量に応じた内燃機関の運転制御を継続することができる。
また、請求項6のように、異常診断手段により吸入空気量センサの異常が検出された場合にスロットル開度を所定開度以下に制限する異常時スロットル開度制限手段を設けた構成としても良い。このようにすれば、吸入空気量センサの異常時に内燃機関の出力を運転者が比較的安全に運転できる範囲内に制限して安全性を向上することができる。
また、請求項7のように、内燃機関の運転中に空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、空燃比フィードバック制御中に空燃比補正量を学習してその学習値で空燃比を補正する学習補正手段と、前記空燃比補正量の学習値を上下限のガード値で制限する学習値制限手段とを備えたシステムに本発明を適用する場合は、異常診断手段により前記吸入空気量センサの異常が検出された場合に、異常時ガード値拡大手段によって前記上下限のガード値の間隔を拡大するようにしても良い。
吸入空気量センサの異常時には、吸入空気量の検出精度の悪化により空燃比制御精度が悪化して実空燃比と目標空燃比とのずれ量が大きくなるため、請求項7のように、吸入空気量センサの異常時に空燃比補正量の学習値に対する上下限のガード値の間隔を拡大するようにすれば、吸入空気量センサの異常時に空燃比補正量の学習値を通常(正常時)よりも大きくして、大きな学習値で空燃比(燃料噴射量)を補正することができ、吸入空気量センサの異常時に空燃比フィードバック制御の学習補正機能を効果的に使用して実空燃比と目標空燃比とのずれ量を小さくすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した3つの実施例1〜3を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側には、吸入空気量を検出する吸入空気量センサ14が設けられている。この吸入空気量センサ14は、吸入空気量の変化に応じてセンサ素子14a(図2参照)の出力が応答良く変化する高応答型の吸入空気量センサである。
この吸入空気量センサ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。尚、この吸気管圧力センサ19を省略した構成としても良い。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、ノッキング振動を検出するノックセンサ29が取り付けられている。また、クランク軸27の外周側には、クランク軸27が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ28が取り付けられ、このクランク角センサ28の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)30に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された空燃比制御用の各ルーチンを実行することで、排出ガスセンサ24の出力に基づいて空燃比(燃料噴射量)を目標空燃比にフィードバック制御すると共に、この空燃比フィードバック制御中に空燃比補正量を学習してその学習値で空燃比を補正し、更に、空燃比補正量の誤学習を防止するために、空燃比補正量の学習値を上下限のガード値で制限(ガード処理)するようにしている。
その際、ECU30は、吸入空気量センサ14で検出した吸入空気量等に基づいて燃料噴射量を算出するが、もし、吸入空気量センサ14の応答特性が悪化すると、エンジン始動後に吸入空気量を精度良く検出可能になるまでの時間が大幅に長くなったり、吸入空気量が変動する過渡時の吸入空気量の検出精度が悪化するため、エンジン始動後の空燃比制御や過渡時の空燃比制御の制御精度が悪化して、エミッション悪化等の問題が生じる。また、吸入空気量センサ14が故障して、吸入空気量センサ14の出力が定常的に異常になった場合には、定常運転状態でも、吸入空気量の検出値が異常な値となる。
そこで、本実施例1では、図2に示すように、エンジン運転中に吸入空気量センサ14のセンサ素子14aの電源を一時的に遮断して再投入する電源スイッチ手段31がセンサ素子14aの電源回路に直列に設けられている。電源スイッチ手段31は、トランジスタ等の半導体スイッチング素子又はリレー等のいずれであっても良い。そして、図3に示すように、エンジン運転状態(吸入空気量等)がほぼ一定に維持される定常運転状態になっている期間に、電源スイッチ手段31を一時的にオフして吸入空気量センサ14の電源を一時的に遮断し、所定時間T1が経過した時点で電源スイッチ手段31をオンして電源を再投入し、その電源再投入時の吸入空気量センサ14の出力立ち上がり特性を検出して、その出力立ち上がり特性の検出値に基づいて吸入空気量センサ14の異常診断を行うようにしている。
この場合、吸入空気量センサ14の出力立ち上がり特性は、応答時間又は時定数を検出しても良いし、電源再投入時から所定時間T2が経過した時点の出力を検出しても良い。応答時間の検出方法は、電源再投入後に吸入空気量センサ14の出力が最終的な収束値(電源遮断直前の出力記憶値)の所定割合(例えば50%、63.2%、70%、80%、90%、95%等)を越えるまでの時間を応答時間として検出すれば良い。最終的な収束値の63.2%を越えるまでの応答時間は、一般に時定数と呼ばれている。応答時間又は時定数の検出値が正常時のばらつき範囲よりも大きければ、異常と判定できる。
電源再投入時から所定時間T2経過後の出力を検出する場合には、所定時間T2は、吸入空気量センサ14の正常な応答特性における例えば70%応答時間、80%応答時間、90%応答時間、95%応答時間等のいずれかに設定すれば良い。所定時間T2経過後の出力の検出値が正常時のばらつき範囲よりも低ければ、異常と判定できる。
一方、定常運転状態の判定方法は、エンジン回転速度、スロットル開度、バルブタイミング、点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量、空燃比、アクセル操作量、変速機の変速比のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいてエンジン運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定するようにすれば良い。これらのパラメータのいずれかが変動している運転状態は、過渡運転状態であり、吸入空気量が変動しているか又は変動しやすい状態であると判断できる。
また、吸入空気量センサ14の応答時間は、電源再投入直前の吸入空気量センサ14のセンサ素子14aの温度状態によっても変化するため、電源遮断時間が短すぎて吸入空気量センサ14のセンサ素子14aが十分に冷めていない状態で電源を再投入して吸入空気量センサ14の応答時間を検出すると、電源再投入直前の吸入空気量センサ14のセンサ素子14aの温度状態の影響を受けて吸入空気量センサ14の応答時間の検出値が変化してしまい、正常/異常を誤診断する可能性がある。
そこで、本実施例1では、電源スイッチ手段31により吸入空気量センサ14の電源を一時的に遮断してから再投入するまでの時間T1は、電源遮断後に吸入空気量センサ14のセンサ素子14aの状態がほぼ初期状態(始動前の状態)に戻るまでの時間とほぼ同一又はそれよりも少し長い時間に設定されている。このようにすれば、電源遮断後に吸入空気量センサ14のセンサ素子14aの状態がほぼ初期状態(始動前の状態)に戻ってから電源を再投入して吸入空気量センサ14の応答時間を検出するという制御が可能となり、吸入空気量センサ14の応答時間を精度良く検出することができる。
また、電源スイッチ手段31により吸入空気量センサ14の電源を遮断している期間(以下「電源遮断期間」という)は、電源遮断直前の吸入空気量センサ14の検出値(記憶値)を用いてエンジン運転状態(例えば燃料噴射量、スロットル開度等)を制御する。つまり、本実施例1の吸入空気量センサ14の異常診断では、吸入空気量がほぼ一定となる定常運転状態中に、吸入空気量センサ14の電源を遮断するため、その電源遮断期間中の吸入空気量は、電源遮断直前の吸入空気量とほぼ同じになると推定できる。従って、電源遮断期間に、電源遮断直前の吸入空気量センサ14の検出値を電源遮断期間中の吸入空気量として用いて燃料噴射量等のエンジン運転状態を制御することが可能となり、電源遮断期間中のエンジン運転状態の制御精度を確保することができる。尚、電源遮断直前の吸入空気量センサ14の検出値は、ECU30のメモリに記憶しておけば良い。
更に、本実施例1では、吸入空気量センサ14の異常が検出された場合に、吸入空気量センサ14による吸入空気量の検出を禁止し、吸気管圧力、スロットル開度、エンジン回転速度の少なくとも1つに基づいてマップ又は数式により吸入空気量を推定するフェールセーフ処理を実行するようにしている。このようにすれば、吸入空気量センサ14の異常が検出されたときに、直ちに吸入空気量センサ14の使用を中止して、エンジン運転制御のために設けられている他のセンサ(吸気管圧力センサ19、スロットル開度センサ17、クランク角センサ28等)の出力を用いて吸入空気量を推定することが可能となり、吸入空気量センサ14の異常時でも、吸入空気量に応じた燃料噴射制御等のエンジン運転制御を継続することができる。
以上説明した本実施例1の吸入空気量センサ14の異常診断処理とフェールセーフ処理は、ECU30によって図4及び図5の各ルーチンに従って実行される。以下、各ルーチンの処理内容を説明する。
[吸入空気量センサ異常診断ルーチン]
図4の吸入空気量センサ異常診断ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう異常診断手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、前回の異常診断時からの積算走行距離が所定距離を越えたか否かで、異常診断の実行タイミングであるか否かを判定する。この際、積算走行距離に代えて、前回の異常診断時からの経過期間(経過時間)が所定期間(所定時間)を越えたか否かで、異常診断の実行タイミングであるか否かを判定しても良く、また、1回又は複数回の走行毎に1回のみ異常診断を実行するようにしても良い。
上記ステップ101で、前回の異常診断時からの積算走行距離が所定距離を越えていないと判定されば、異常診断の実行タイミングではないと判断として、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ101で、前回の異常診断時からの積算走行距離が所定距離を越えていると判定されば、異常診断の実行タイミングであると判断として、ステップ102に進み、吸入空気量センサ異常検出フラグが異常未検出(正常)を意味する「0」にセットされているか否かを判定し、吸入空気量センサ異常検出フラグが異常検出済みを意味する「1」にセットされていれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ102で、吸入空気量センサ異常検出フラグが異常未検出を意味する「0」にセットされていると判定されれば、ステップ103以降の異常診断処理を次のようにして実行する。まず、ステップ103で、エンジン運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定するのに用いるデータとして、エンジン回転速度、スロットル開度等のエンジン運転パラメータを読み込む。この他、バルブタイミング、点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量、空燃比、アクセル操作量、変速機の変速比のいずれかを読み込むようにしても良く、要は、エンジン運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定するのに用いるエンジン運転パラメータを読み込むようにすれば良い。
この後、ステップ104に進み、上記ステップ103で読み込んだエンジン回転速度、スロットル開度等のエンジン運転パラメータに基づいて、エンジン運転状態が、吸入空気量がほぼ一定に維持される定常運転状態になっているか否かを判定し、定常運転状態ではなく、吸入空気量が変動する過渡運転状態であると判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。これらのステップ103、104の処理が特許請求の範囲でいう定常運転判定手段ととての役割を果たす。
これに対して、上記ステップ104で、定常運転状態になっていると判定されれば、ステップ105に進み、現在の吸入空気量センサ14の出力をECU30のメモリ(図示せず)に記憶すると共に、定常運転状態の判定に用いたエンジン運転パラメータ(エンジン回転速度、スロットル開度等)をECU30のメモリに記憶した上で、電源スイッチ手段31を一時的にオフして吸入空気量センサ14の電源を一時的に遮断する。
この後、ステップ106に進み、電源遮断時から所定時間T1が経過するまで待機する。この所定時間T1は、電源遮断後に吸入空気量センサ14のセンサ素子14aの状態がほぼ初期状態(始動前の状態)に戻るまでの時間とほぼ同一又はそれよりも少し長い時間に設定されている。
そして、電源遮断時から所定時間T1が経過した時点で、ステップ107に進み、電源スイッチ手段31をオンして電源を再投入する。この後、ステップ108に進み、定常運転状態の判定に用いたエンジン運転パラメータ(エンジン回転速度、スロットル開度等)を読み込んで、電源再投入直後のエンジン運転状態が電源遮断直前のエンジン運転状態と同じであるか否かを判定し、両者が同じでない場合(つまり電源遮断期間中にエンジン運転状態が変化した場合)には、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ108で、電源再投入直後のエンジン運転状態が電源遮断直前のエンジン運転状態と同じであると判定されれば、ステップ109に進み、電源再投入時から所定時間T2が経過するまで待機する。この所定時間T2は、吸入空気量センサ14の応答時間の設計値(仕様値)よりも少し長い時間に設定されている。
そして、電源再投入時から所定時間T2が経過した時点で、ステップ110に進み、現在の吸入空気量センサ14の出力を読み込んで、現在の吸入空気量センサ14の出力を電源遮断直前の吸入空気量センサ14の出力記憶値(ステップ105で記憶した記憶値)の所定割合に相当する判定しきい値Kと比較する。
判定しきい値K=電源遮断直前の吸入空気量センサ出力記憶値×所定割合
この場合、所定割合は、例えば50%、63.2%、70%等のいずれの割合であっても良く、吸入空気量センサ14の応答特性が正常な場合には、電源再投入時から所定時間T2経過後の出力が判定しきい値Kを越え、応答特性が悪化している場合には、電源再投入時から所定時間T2経過後の出力が判定しきい値Kよりも低くなるように設定されている。
このステップ110で、現在の吸入空気量センサ14の出力が判定しきい値K以上と判定されれば、吸入空気量センサ14が正常であると判断して、そのまま本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ110で、現在の吸入空気量センサ14の出力が判定しきい値Kよりも小さいと判定されれば、吸入空気量センサ14が異常であると判断して、ステップ111に進み、吸入空気量センサ異常検出フラグを、異常検出済みを意味する「1」にセットし、次のステップ112で、運転席のインストルメントパネルに設けられた警告ランプを点灯したり、或は、運転席のインストルメントパネルの警告表示部に警告表示して運転者に警告すると共に、その異常情報(吸入空気量センサ異常検出フラグ、異常コード等)をECU30のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶して、本ルーチンを終了する。
[吸入空気量検出ルーチン]
図5の吸入空気量検出ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ121で、吸入空気量センサ異常検出フラグが異常未検出(正常)を意味する「0」にセットされているか否かを判定し、「0」であれば、ステップ122に進み、電源遮断期間中であるか否かを判定し、電源遮断期間中でなければ、ステップ127に進み、現在の吸入空気量センサ14の検出値を検出吸入空気量Mafm として用いる。
これに対して、上記ステップ122で、電源遮断期間中と判定されれば、ステップ126に進み、電源遮断直前の検出吸入空気量の記憶値を、電源遮断期間中の検出吸入空気量Mafm として用い、エンジン運転状態(例えば燃料噴射量、スロットル開度等)を制御する。この機能が特許請求の範囲でいう運転制御手段としての役割を果たす。
一方、上述したステップ121で、吸入空気量センサ異常検出フラグが異常検出済みを意味する「1」にセットされていると判定されれば、ステップ123に進み、吸入空気量センサ14の使用を中止して、現在の吸気管圧力センサ19の出力Pmを読み込み、次のステップ124で、この吸気管圧力センサ19の出力(吸気管圧力)Pmに基づいてマップ等により推定吸入空気量Mc を算出する。この後、ステップ125に進み、推定吸入空気量Mc を検出吸入空気量Mafm として用い、エンジン運転状態(例えば燃料噴射量、スロットル開度等)を制御する。これらのステップ123〜125の処理が特許請求の範囲でいう異常時吸入空気量推定手段としての役割を果たす。
以上説明した本実施例1によれば、エンジン運転状態(吸入空気量等)がほぼ一定に維持される定常運転状態になっている期間に、吸入空気量センサ14の電源を一時的に遮断して所定時間T1経過後に電源を再投入し、その電源再投入時の吸入空気量センサ14の出力立ち上がり特性を検出して、その出力立ち上がり特性の検出値に基づいて吸入空気量センサ14の異常診断を行うようにしているため、エンジン運転中に吸入空気量センサ14の出力立ち上がり特性を精度良く検出することができて、その出力立ち上がり特性の検出値に基づいて吸入空気量センサ14の応答特性悪化の異常も精度良く検出することができる。この場合、吸入空気量センサ14の出力が定常的に正常範囲から外れる定常的な異常が発生すれば、その影響で電源再投入時の吸入空気量センサ14の出力立ち上がり特性も正常範囲から外れるため、電源再投入時の吸入空気量センサ14の出力立ち上がり特性に基づいて吸入空気量センサ14の定常的な異常も精度良く検出することができる。
ところで、応答性の遅い吸入空気量センサ(エアフローメータ)を搭載した従来システムに本発明を適用した場合、電源遮断時間T1を長くする必要があるばかりか、電源再投入後に吸入空気量センサの出力が定常値に収束するまでの時間が長くなり、その間に、エンジン運転状態が変化して吸入空気量が変動する可能性がある。この場合でも、電源遮断期間中や電源再投入後に吸入空気量センサの出力が定常値に収束するまでの期間に、吸気管圧力、スロットル開度、エンジン回転速度の少なくとも1つに基づいて吸入空気量を推定するようにすれば、吸入空気量に応じた燃料噴射制御等のエンジン運転制御を継続することができる。
一方、本実施例1では、吸入空気量の変化に応じて出力が応答良く変化する高応答型の吸入空気量センサ14を用いているため、電源遮断時間T1を短くできると共に、電源再投入後に吸入空気量センサ14の出力が定常値に収束するまでの時間を短くすることができる。これにより、電源遮断直前の吸入空気量センサ14の検出値(記憶値)を用いてエンジン運転状態を制御することが可能となり、吸気管圧力センサ19等が無いシステムにも適用できる。
本発明の実施例2では、図6の吸入空気量検出ルーチンを実行するようにしている。
図6の吸入空気量検出ルーチンは、上記実施例1で説明した図5の吸入空気量検出ルーチンのステップ125の後に、ステップ128、129の処理を追加しただけであり、その他の事項は、前記実施例1と同じである。
図6の吸入空気量検出ルーチンでは、入空気量センサ異常検出フラグが異常検出済みを意味する「1」にセットされている場合は、吸気管圧力センサ19の出力(吸気管圧力)Pmに基づいて推定した推定吸入空気量Mc を検出吸入空気量Mafm として用いる(ステップ123〜125)。そして、次のステップ128で、要求スロットル開度が異常時ガード値よりも大きいか否かを判定し、要求スロットル開度が異常時ガード値以下であれば、そのまま本ルーチンを終了する。ここで、異常時ガード値は、運転者が比較的安全に運転できるスロットル開度上限値を考慮して設定されている。
これに対して、上記ステップ128で、要求スロットル開度が異常時ガード値よりも大きいと判定されれば、ステップ129に進み、要求スロットル開度を異常時ガード値でガード処理して、指示スロットル開度を異常時ガード値に設定して本ルーチンを終了する。これらのステップ128、129の処理が特許請求の範囲でいう異常時スロットル開度制限手段としての役割を果たす。
以上説明した本実施例2によれば、吸入空気量センサ14の異常が検出された場合に、指示スロットル開度を異常時ガード値以下に制限するようにしたので、吸入空気量センサ14の異常時に、エンジン出力を運転者が比較的安全に運転できる範囲内に制限して安全性を向上することができる。
本発明の実施例3は、エンジン運転中に排出ガスセンサ24の出力に基づいて空燃比(燃料噴射量)を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、空燃比フィードバック制御中に空燃比補正量を学習してその学習値で空燃比を補正する学習補正手段と、前記空燃比補正量の学習値を上下限のガード値で制限する学習値制限手段としての各機能をECU30に実装したシステムに本発明を適用した実施例である。
本実施例3で実行する図7の吸入空気量検出ルーチンは、前記実施例1で説明した図5の吸入空気量検出ルーチンのステップ125の後に、ステップ130の処理を追加しただけであり、その他の事項は、前記実施例1と同じである。
図7の吸入空気量検出ルーチンでは、入空気量センサ異常検出フラグが異常検出済みを意味する「1」にセットされている場合は、吸気管圧力センサ19の出力(吸気管圧力)Pmに基づいて推定した推定吸入空気量Mc を検出吸入空気量Mafm として用いる(ステップ123〜125)。そして、次のステップ130で、空燃比補正量学習値に対する上限ガード値に所定値を加算し、下限ガード値から所定値を減算することで、吸入空気量センサ14の異常時に上下限ガード値の間隔を通常(正常時)よりも拡大する。このステップ130の処理が特許請求の範囲でいう異常時ガード値拡大手段としての役割を果たす。
吸入空気量センサ14の異常時には、吸入空気量の検出精度の悪化により空燃比制御精度が悪化して実空燃比と目標空燃比とのずれ量が大きくなるため、本実施例3のように、吸入空気量センサ14の異常時に空燃比補正量の学習値に対する上下限のガード値の間隔を拡大するようにすれば、吸入空気量センサ14の異常時に空燃比補正量の学習値を通常(正常時)よりも大きくして、大きな学習値で空燃比(燃料噴射量)を補正することができ、吸入空気量センサ14の異常時に空燃比フィードバック制御の学習補正機能を効果的に使用して実空燃比と目標空燃比とのずれ量を小さくすることができる。
本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 吸入空気量センサのセンサ素子に電源を供給する電気回路図である。 吸入空気量センサの異常診断処理の実行例を示すタイムチャートである。 実施例1の吸入空気量センサ異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1の吸入空気量検出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例2の吸入空気量検出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例3の吸入空気量検出ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、14…吸入空気量センサ、14a…センサ素子、16…スロットルバルブ、17…スロットル開度センサ、19…吸気管圧力センサ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、24…排出ガスセンサ、28…クランク角センサ、30…ECU(異常診断手段,定常運転判定手段,運転制御手段,異常時吸入空気量推定手段,異常時スロットル開度制限手段,空燃比フィードバック制御手段,学習補正手段,学習値制限手段,異常時ガード値拡大手段)、31…電源スイッチ手段

Claims (7)

  1. 内燃機関の吸入空気量の変化に応じて出力が応答良く変化する高応答型の吸入空気量センサの異常診断を行う異常診断手段を備えた吸入空気量センサの異常診断装置において、 内燃機関の運転中に前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断して再投入する電源スイッチ手段と、
    内燃機関の運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定する定常運転判定手段とを備え、
    前記異常診断手段は、前記定常運転判定手段により内燃機関の運転状態が定常運転状態になっていると判定されている期間に前記電源スイッチ手段により前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断して再投入し、その電源再投入時の前記吸入空気量センサの出力立ち上がり特性を検出して、その出力立ち上がり特性の検出値に基づいて前記吸入空気量センサの異常診断を行うことを特徴とする吸入空気量センサの異常診断装置。
  2. 前記定常運転判定手段は、内燃機関の回転速度、スロットル開度、バルブタイミング、点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量、空燃比、アクセル操作量、変速機の変速比のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいて内燃機関の運転状態が定常運転状態になっているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の吸入空気量センサの異常診断装置。
  3. 前記電源スイッチ手段により前記吸入空気量センサの電源を一時的に遮断してから再投入するまでの時間は、電源遮断後に前記吸入空気量センサのセンサ素子の状態がほぼ初期状態に戻るまでの時間を考慮して設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸入空気量センサの異常診断装置。
  4. 前記電源スイッチ手段により前記吸入空気量センサの電源を遮断している期間に、電源遮断直前の前記吸入空気量センサの検出値を用いて内燃機関の運転状態を制御する運転制御手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の吸入空気量センサの異常診断装置。
  5. 前記異常診断手段により前記吸入空気量センサの異常が検出された場合に前記吸入空気量センサによる吸入空気量の検出を禁止し、吸気管圧力、スロットル開度、内燃機関の回転速度の少なくとも1つに基づいて吸入空気量を推定する異常時吸入空気量推定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の吸入空気量センサの異常診断装置。
  6. 前記異常診断手段により前記吸入空気量センサの異常が検出された場合にスロットル開度を所定開度以下に制限する異常時スロットル開度制限手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の吸入空気量センサの異常診断装置。
  7. 内燃機関の運転中に空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、
    空燃比フィードバック制御中に空燃比補正量を学習してその学習値で空燃比を補正する学習補正手段と、
    前記空燃比補正量の学習値を上下限のガード値で制限する学習値制限手段と、
    前記異常診断手段により前記吸入空気量センサの異常が検出された場合に前記上下限のガード値の間隔を拡大する異常時ガード値拡大手段と
    を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の吸入空気量センサの異常診断装置。
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