JP4873884B2 - 紙の製造方法 - Google Patents
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Description
製品や装置へのピッチの付着を防止する方法として、従来以下の方法が知られている。
(1)ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)を用いる方法(特許文献1参照)。
(2)アミン・エピハロヒドリン重縮合物を用いる方法(特許文献2参照)。
(3)ポリビニルアルコールを用いる方法(特許文献3参照)。
(4)ポリビニルアルコールとゼラチンとカチオン性重合体を含有する組成物を用いる方法(特許文献4参照)。
しかし、上記(1)〜(2)のカチオン性重合体を用いる方法は、ピッチをパルプ繊維に歩留まらせるために、白水中でピッチが高濃度化することは少ないが、ピッチの凝集を促進させてしまうために問題が悪化する場合がある。上記(3)のポリビニルアルコールを用いる方法は、ピッチがパルプに歩留まらずに白水中に蓄積し高濃度化する場合があるうえ、他の製紙用薬剤などとの組み合わせによっては工程中で発泡し、操業性を低下させる場合がある。上記(4)の方法によっても、製品や装置へのピッチの付着、白水中へのピッチの蓄積及び発泡性について充分な解決には至っていない。即ち、製品や装置へのピッチの付着、白水中へのピッチの蓄積、及び発泡性が抑制された紙の製造方法は開発されていないのが現状である。
ポリビニルアルコール分子内の残存酢酸基の分布状態は、ヨード吸光度を測定することで簡便に相対評価でき、集団的に連なって分布している場合は、ランダムに分布している場合と比較して高い数値となることが知られている。これは、ポリビニルアルコールの分子鎖に沿って存在する残存酢酸基が連続して配列することで、ヨード呈色するためのポリヨードを形成する基盤となるためである(例えば、非特許文献2参照)。
一方で、ポリビニルアルコールの残存酢酸基量が増すと、残存酢酸基の連なりが起こりやすくなるため、ヨード吸光度も増大することが知られている。これらの点から、近似したケン化度のポリビニルアルコールを2種類以上比較する場合には、ヨード吸光度が高い方がよりブロック的であるとの相対的な判断は可能であるが、任意のケン化度のポリビニルアルコール1種類だけを評価する場合には、ヨード吸光度だけでは当該ポリビニルアルコールがブロック的か否かという判断は困難であった。
即ち本発明は、
(1) 平均重合度が300〜10,000、ケン化度が70〜92モル%及び
(ポリビニルアルコールのヨード吸光度)/(94.21×M3.207)
(式中、Mはポリビニルアルコールの残存酢酸基のモル分率を示す)
で表されるヨード吸光度比が1.6以上のポリビニルアルコール(A)(以下、A成分という)をパルプに添加した後に、アミン・エピハロヒドリン重縮合物(B)(以下、B成分という)をパルプに添加する方法であって、A成分及びB成分がパルプ固形分に対して各々0.1〜1,000ppmであることを特徴とする紙の製造方法、及び
(2)前記B成分をパルプに添加する前に、更に、
(イ)式[1]で示されるポリオキシアルキレン化合物由来の単位と
R1O(AO)nR2 [1]
(ただし、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基で、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜200である)
(ロ)無水マレイン酸由来の単位とを必須単位とし、(イ)と(ロ)のモル比が7:3〜3:7であり、かつ重量平均分子量が1,500〜200,000である共重合体あるいはその加水分解物、加水分解物の塩または加水分解物のエステル化物(C)を添加することを特徴とする前記(1)記載の紙の製造方法を提供する。
本発明者らは、前記非特許文献2のFig.16に示された、一般的な方法でケン化した各種ケン化度のポリビニルアルコールのヨード吸光度のグラフに基づき、ポリビニルアルコールの残存酢酸基モル分率Mとそのヨード吸光度pとの間に、下記式で示される関係があることを見出した。
p=94.21×M3.207
(式中、Mはポリビニルアルコール中の残存酢酸基のモル分率を示す。)
更に、上記の式を用いて次の式に示すヨード吸光度比を算出することで、任意のケン化度のポリビニルアルコールのブロック的度合いを判定する指標として用いることができることを見出した。
ヨード吸光度比=(ポリビニルアルコールのヨード吸光度)/(94.21×M3.207)
(式中、Mはポリビニルアルコール中の残存酢酸基のモル分率を示す。)
A成分は、ヨード吸光度比が1.6以上であり、好ましくは1.8〜5.0、更に好ましくは2.0〜3.0である。ヨード吸光度比が上記範囲内であれば、充分なピッチ付着防止性が得られ、また、発泡性が低いため好ましい。
なお、平均重合度についてはJIS K 6726(1994)の3.7に準じて求めることができる。
また、A成分のケン化度は70〜92モル%であり、好ましくは80〜91モル%、更に好ましくは85〜90モル%である。ケン化度が上記範囲内であれば、充分なピッチ付着防止性が得られ、好ましい。
なお、ケン化度についてはJIS K6726(1994)の3.5に準じて求めることができる。
A成分は、例えばブロックタイプとして市販されているポリビニルアルコールを用いることができ、具体的には、クラレ(株)製ではPVA−217E、PVA−217EE、PVA−220E、並びにPVA−224Eなどであり、日本酢ビ・ポバール(株)製ではJP−20E、並びにJP−24Eなどがこれに該当する。
B成分のもう一方の原料に使用するエピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を使用することができる。好ましくはエピクロルヒドリンである。
B成分は、その重量平均分子量が好ましくは5,000〜1,000,000、更に好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは20,000〜100,000である。重量平均分子量が上記範囲における下限値以上であれば、充分なピッチ付着防止性及び歩留性が得られ、発泡性が低く、また、重量平均分子量が上記範囲における上限値以下であれば、更に取り扱いが容易であり好ましい。
好ましくは、(イ)式[1]で示されるポリオキシアルキレン化合物由来の単位と
R1O(AO)nR2 [1]
(ただし、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基で、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜200である)
(ロ)無水マレイン酸由来の単位とを必須単位とし、(イ)と(ロ)のモル比が7:3〜3:7であり、かつ重量平均分子量が1,500〜200,000である共重合体あるいはその加水分解物、加水分解物の塩または加水分解物のエステル化物(C)(以下、C成分という)をパルプに添加するのが好ましい。
C成分のAOで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などが挙げられ、1種または2種以上が付加されていてもよい。2種以上のオキシアルキレン基を付加する場合は、ブロック状付加でもランダム状付加のどちらでもよい。また、nはオキシアルキレンの平均付加モル数を表し、n=1〜200であり、好ましくはn=3〜50である。nが上記範囲内であれば、充分なピッチ付着防止性が得られ、好ましい。
C成分の重量平均分子量は1,500〜200,000であることが好ましく、更に好ましくは5,000〜50,000である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、充分なピッチ付着防止性が得られ、好ましい。
得られた共重合体は、加水分解を行い加水分解物としても、加水分解物を塩基性物質で中和して塩としても、加水分解物とアルコールとのエステル化反応を行いエステル化物としても用いることができる。中和に用いる塩基性物質としては、アンモニア、有機アミン、またナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩などが挙げられ、好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物である。エステル化に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、アリルアルコールなどが挙げられ、1種または2種以上のオキシアルキレン基が付加されていてもよい。
更に、A成分をパルプ原料に添加した後に、B成分を、紙を製造する設備に噴霧または浸漬してもよい。
本発明の方法をパルプ化工程または調成工程に適用するのが、充分なピッチ付着防止性及び歩留性が得られる点から好ましい。
なお、B成分をパルプに添加した後にA成分をパルプに添加した場合や、A成分とB成分を同時にパルプに添加した場合は、A成分とB成分が各々有する作用が相殺され、ピッチ付着防止性及び歩留性が不良となるばかりでなく、発泡性が高いため好ましくない。
本発明の方法は酸性、中性及びアルカリ性条件下で行われる紙の製造に適用することができ、得られる紙に制限はなく、例えば新聞用紙、上質紙やコート紙などの印刷用紙、PPC用紙や感熱紙原紙などの情報用紙、純白ロール紙や晒クラフト紙などの包装用紙、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの衛生用紙、食品容器原紙や塗工印刷用原紙などの雑種紙、ライナーや中しん原紙などの段ボール原紙、白板紙や色板紙などの紙器用板紙、石こうボードや紙管原紙などの雑板紙などが挙げられる。
なお、実施例で用いた本発明のA成分A−1〜5、B成分B−1〜5及びC成分C−1〜2並びに比較例で用いた成分A−6〜8及びB−6の構造及び性状を表1、表2、及び表3に示す。また、上記A−1〜8のヨード吸光度比は以下のようにして求めた。
ヨード吸光度比
ヨード吸光度の測定は非特許文献2に準拠して行った。即ち、20℃の恒温室中にて0.5質量%ポリビニルアルコール水溶液2mlに蒸留水を加えて全容量を9mlとし、これにヨード:ヨードカリ=1:2(質量比)の1/1000N水溶液を2ml加え、攪拌した後温度を20℃に調節し、波長480nmにおける吸光度を測定した。ヨード吸光度比を次の式により求めた。
ヨード吸光度比=(ポリビニルアルコールのヨード吸光度)/(94.21×M3.207)
(式中、Mはポリビニルアルコール中の残存酢酸基のモル分率を示す。)
表1に示す各ポリビニルアルコールA−1〜8、表2に示す重合体B−1〜6、及び表3に示す重合体C−1を、それぞれ固形分が2.5質量%になるように精製水と混合して表4に示すピッチコントロール剤a−1〜8、b−1〜6、及びc−1とし、以下に示す方法でピッチ付着防止性試験、歩留性試験、並びに発泡性試験を行った。
実施例7
表1に示すポリビニルアルコールA−5及び表3に示す重合体C−2を、A−5の固形分が2.5質量%、C−2の固形分が0.1質量%になるように精製水と混合してピッチコントロール剤d−1とした。また、表2に示す重合体B−2を、固形分が2.5質量%になるように精製水と混合して表4に示すピッチコントロール剤b−2とした。以下に示す方法でピッチ付着防止性試験、歩留性試験、並びに発泡性試験を行った。
古紙パルプを主原料として、ロジンサイズ剤、硫酸アルミニウム並びにポリアクリルアミドを添加して抄造するライナーマシーンのドライヤーに付着した異物について、クロロホルムで抽出を行い、その後その抽出残査を温水で抽出した。得られた各々の抽出物を濾過後、エバポレーターで濃縮乾固した。クロロホルム抽出物は4.0g得られ、スチレン・ブタジエン、ロジン化合物などが検出された。また、温水抽出物は0.4g得られ、ポリアクリルアミドなどが検出された。クロロホルム抽出物4.0gに50gのクロロホルムを加え加温溶解し、クロロホルム抽出物溶液を得た。また、温水抽出物0.4gに50gの水を加え加温溶解し、温水抽出物溶液を得た。クロロホルム抽出物溶液:温水抽出物溶液:エタノールを質量比1:1:2の比率で混合し、激しく振とうしたものを疑似ピッチ溶液として使用した。
実施例1
よく洗浄したワイヤーを、7×21cmに切りとり、円筒状にしたものをテストピースとし、105℃にて1時間乾燥した後、デシケーター中で放冷し、秤量した[質量(イ)]。500mlのビーカーの中にCSF500mLのLBKPを0.5質量%含むパルプスラリー400gを入れ、ウォーターバス中で、40℃に昇温した後調製した溶液中にテストピースを入れて攪拌を開始した。ビーカーの中に擬似ピッチ溶液1mlを添加し、直ちにピッチコントロール剤a−3を8mg(ピッチコントロール剤固形分換算で、対パルプ100ppm)添加し、試験を開始した。試験開始時より1分後にピッチコントロール剤c−2を2.4mg添加し(ピッチコントロール剤固形分換算で、対パルプ30ppm)、試験開始時より2分後にピッチコントロール剤b−2を8mg(ピッチコントロール剤固形分換算で、対パルプ100ppm)添加した。試験開始より30分間攪拌した後にテストピースを取り出し、水を切った後105℃にて1時間乾燥させ、デシケーターで放冷し、質量を測定した[質量(ロ)]。ピッチ付着量を次の式により求めた。
ピッチ付着量=[質量(ロ)]−[質量(イ)]
また、次の式によりピッチ付着防止率を求めた。
ピッチ付着防止率(%)=[(薬剤無添加時ピッチ付着質量−薬剤添加時ピッチ付着質量)/薬剤無添加時ピッチ付着質量]×100
実施例2〜7及び比較例1〜6
表4に示すピッチコントロール剤を用いて、実施例1と同様に実施例2〜7及び比較例1〜6の各々の評価を行った。
◎: ピッチ付着防止率が70%以上である。
○: ピッチ付着防止率が60%以上70%未満である。
△: ピッチ付着防止率が50%以上60%未満である。
×: ピッチ付着防止率が50%未満である。
ピッチ付着防止性評価においてテストピースを取り出した後のパルプスラリーを、直ちに濾紙(Whatman社製41)で濾過し、濾液を得た。濾液の濁度(単位はNTU)をHACH社製濁度計2100P型で測定した。
◎:濁度が1.0NTU未満である。
○:濁度が1.0以上2.0NTU未満である。
△:濁度が2.0以上4.0NTU未満である。
×:濁度が4.0NTU以上である。
古紙パルプを主原料として、ミキシングチェスト内のパルプ原料にロジンサイズ剤、硫酸アルミニウム並びにポリアクリルアミドを添加して抄造するライナーマシンにおいて、A成分、又はA成分及びC成分をミキシングチェスト内のパルプ原料に、B成分をミキシングチェストより後段に位置するマシンチェスト内のパルプ原料に所定量添加した。A成分の添加を開始してから4時間後の、ワイヤー下に位置する白水ピット内の発泡性を目視にて以下の基準で実施例2及び7、比較例1及び5について評価した。
△:ピッチコントロール剤添加前より発泡性が高い。
×:ピッチコントロール剤添加前より著しく発泡性が高い。
Claims (2)
- 平均重合度が300〜10,000、ケン化度が70〜92モル%及び
(ポリビニルアルコールのヨード吸光度)/(94.21×M3.207)
(式中、Mはポリビニルアルコールの残存酢酸基のモル分率を示す)
で表されるヨード吸光度比が1.6以上のポリビニルアルコール(A)をパルプに添加した後に、アミン・エピハロヒドリン重縮合物(B)をパルプに添加する方法であって、(A)及び(B)がパルプ固形分に対して各々0.1〜1,000ppmであることを特徴とする紙の製造方法。 - 前記アミン・エピハロヒドリン重縮合物(B)をパルプに添加する前に、
更に、(イ)式[1]で示されるポリオキシアルキレン化合物由来の単位と
R1O(AO)nR2 [1]
(ただし、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基で、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜200である)
(ロ)無水マレイン酸由来の単位とを必須単位とし、(イ)と(ロ)のモル比が7:3〜3:7であり、かつ重量平均分子量が1,500〜200,000である共重合体あるいはその加水分解物、加水分解物の塩または加水分解物のエステル化物(C)を添加することを特徴とする請求項1記載の紙の製造方法。
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