〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機について、図1〜14に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態のパチンコ遊技機は、枠ランプ17及びスピーカ18が配設された前面枠10と、前面枠10の内側に配設された遊技盤1とを備え、遊技盤1には遊技球が流下する遊技領域2が形成されている。遊技領域2には、ゲート8、電動チューリップ5を備えた始動入賞装置4、大入賞装置7、及び、普通入賞装置9が配設されている。遊技領域2の中央部には中央役物装置11が配設され、中央役物装置11には、画像表示器6の液晶画面6a、及び、可動役物装置3が配設されている。可動役物装置3は、演出のために遊技者に見せる部分である役物部70を備えている。また、遊技領域2の外側には、普通図柄表示器13、特別図柄表示器14、普通図柄保留ランプ15、及び、特別図柄保留ランプ16が配設されている。
図2に示すように、実施形態のパチンコ遊技機の電気系統は、主制御基板20、払出制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。主制御基板20には、払出制御基板21、及び、演出制御基板22が接続されるとともに、始動入賞装置4に設けられた始動口SW(スイッチ)4a、電動チューリップ5を作動させる電チューソレノイド5a、ゲート8に設けられたゲートSW8a、大入賞装置7に設けられた大入賞口SW7a、大入賞装置7を作動させる大入賞口ソレノイド7b、普通入賞装置9に設けられた普通入賞口SW9a、特別図柄保留ランプ16、普通図柄保留ランプ15、特別図柄表示器14、及び、普通図柄表示器13がそれぞれ接続されている。
また、演出制御基板22には、画像制御基板23及びランプ制御基板24が接続され、画像制御基板23には、画像表示器6及びスピーカ18が接続され、ランプ制御基板24には、枠ランプ17、及び、可動役物装置3が接続されて、可動役物装置3はランプ制御基板24から受信した信号に従って作動する。払出制御基板21には、遊技球払出装置(図示せず。)を駆動する払出駆動モータ26が接続されている。
可動役物装置3は、図3、4に示すように、駆動手段であるモータ31と、第1の揺動部材50と、第2の揺動部材40と、役物部70とを備えている。モータ31は、正逆回転可能なステッピングモータであり、中央役物装置11のベース板部12の後面側に固定されて、その回転軸はベース板部12を貫通している。モータ31の回転軸には駆動ギヤ34が固定され、駆動ギヤ34に噛み合う第1の従動ギヤ35、第1の従動ギヤ35と同軸の第2の従動ギヤ36、第2の従動ギヤ36に噛み合う第3の従動ギヤ37が、それぞれ設けられて、第3の従動ギヤ37の回転軸37aに第1の揺動部材50が固定されている。なお、第1の従動ギヤ35と第2の従動ギヤ36とは、互いに重ねられ係合された二重ギヤを構成している。第3の従動ギヤ37は、外周の略半分にのみ歯を有し、歯が無い部分の所定位置にスリット38が形成され、スリット38をフォトセンサ39で検出することにより、第3の従動ギヤ37が初期位置にあることを検出可能とされている。
なお、本明細書において、前後、上下とは、遊技盤1を使用時のように立てた状態における前後(なお、遊技領域2側を前、その反対側を後とする。)、上下をそれぞれいうものとする。また、左右とは、遊技盤1に向かって左右をいうものとする。
駆動ギヤ34、第1の従動ギヤ35、第2の従動ギヤ36、及び、第3の従動ギヤ37は、ベース板部12の前面に取り付けられたカバー部80で覆われて、ベース板部12とカバー部80との間に配設されている。カバー部80の前面には、後述する第3の揺動部材65の揺動端部65bを押圧する押圧手段となる押圧部81、第1の揺動部材50と当接してその揺動を停止させる第1のストッパ82、及び、第2の揺動部材40と当接してその揺動を停止させる第2のストッパ83が、それぞれ設けられている。押圧部81は、カバー部80の前面から前方に突出する柱部81aと、柱部81aの先端部に設けられて、柱部81aと直角をなす三角柱状の突起部81bとからなる。第1のストッパ82及び第2のストッパ83は、いずれも略コ字形状にカバー部80の前面から突出しており、第1のストッパ82の突出高さは第1の揺動部材50に当接する高さとされ、第2のストッパ83の突出高さは第2の揺動部材40には当接するが、第1の揺動部材50には当接しない高さとされている。
第2の揺動部材40は、略扇形状をなして、その扇形の中心に設けられた孔41に、第3の従動ギヤ37の回転軸37aが挿通され、回転軸37aを中心に揺動可能とされて、第1の揺動部材50の後面側に重なった状態に配置されている。なお、回転軸37aは孔41に固定されていない。第2の揺動部材40には、外周部において扇形の弧に相当する円弧状の部分に、第1のラック部42が形成されている。すなわち、第2の揺動部材40には、回転軸37aを中心とする円弧状の第1のラック部42が形成されている。また、第2の揺動部材40には、外周部において扇形の半径に相当する上下の端縁40a、40bのうち、下の端縁40bに、前方に突出する係着部43が設けられている。係着部43は、後述する連結部60と共に連結手段を構成する。
第2の揺動部材40の後面には、後方に突出するばね取付部44が設けられ、ばね取付部44には、ベース板部12とカバー部80との間に設けられたコイルばね33の下端部が取り付けられている。コイルばね33は、第2の揺動部材40を第1の揺動部材50に対する所定の初期位置まで揺動させる弾性手段に相当する。カバー部80には、ばね取付部44の揺動軌跡に一致する円弧状の長孔84が形成され、ばね取付部44は長孔84に挿通されて、第2の揺動部材40の揺動とともに、長孔84内を移動する。コイルばね33の上端部はベース板部12に突設されたばね取付部32に取り付けられている。
第1の揺動部材50は、ベース部58と、ベース部58から前方に突設された円筒状の軸部57と、ベース部58の外周部に設けられたレール形成部51と、連結部60とを備え、軸部57に回転軸37aが挿通され固定されて、モータ31の回転により回転軸37aを中心に揺動可能とされている。レール形成部51には、長さ方向に沿った両端部に、前方に突出するとともに円弧状に延びるレール部52、52が形成され、レール部52、52間は一定の幅とされて、レール部52、52間には、レール部52、52に平行な円弧状の長孔56が形成されている。レール形成部51の後面側には、第1のラック部42に噛み合うように第1のピニオン53が配置され、前面側には第2のピニオン54が配置されて、第1のピニオン53と第2のピニオン54とはレール形成部51を貫通する軸55に固定されている。
連結部60は、ベース部58から外側に突設されたベース部61と、第1の揺動部材50の揺動面に対して平行にベース部61に固定された揺動軸64と、揺動軸64を中心に前後方向に揺動する第3の揺動部材65と、ベース部61と第3の揺動部材65との間に配置されたコイルばね63とを備えている。第3の揺動部材65は、第1の揺動部材50の揺動に伴って回転軸37aを中心として揺動するときに、揺動軸64を中心とする両側の揺動端部65a、65bが略同じ軌跡上を通るように、配置されている。そして、第3の揺動部材65の回転軸37aを中心とする揺動軌跡に沿った方向において、係着部43に近い方の揺動端部65aに、係着部43に係着される被係着部66が形成され、遠い方の揺動端部65bに、押圧部81に押圧される被押圧部68が突設されている。
また、揺動端部65bとベース部61との間にはコイルばね63が設けられている。詳しくは、ベース部61には前方に突出するばね挿入部62が設けられて、ばね挿入部62はコイルばね63の中心に挿入され、ばね挿入部62の先端部は揺動端部65bに形成された孔67に挿入されている。このため、コイルばね63は、揺動端部35bを前方に付勢し、逆に揺動端部35aを後方に付勢することとなり、被係着部66を係着部43に係着する方向に揺動端部35aを付勢する付勢手段に相当する。
役物部70は、ボクシングのグローブを嵌めた左腕の形状を模したものであり、第1の揺動部材50にスライド可能に装着されている。詳しくは、役物部70の後面には、レール部52、52間の幅より若干狭い所定の幅で離間した一対の突条部71が、腕の長さ方向に沿って円弧状に延設されている。そして、図5に示すように、突条部71、71がレール部52、52の内側に嵌合され、レール部52、52の内側を摺動することにより、役物部70は、レール部52、52に沿ってスライド可能である。なお、役物部70の後面には、ねじ孔を有する2つの突起部73が設けられ、突起部73、73は第1の揺動部材50の長孔56に挿入される。そして、外れ止め部材75が、第1の揺動部材50を挟むように、第1の揺動部材50の後面側から突起部73、73にねじ止めされることにより、役物部70が第1の揺動部材50から外れてしまうことが防止される。
また、役物部70の後面には、突条部71、71と平行な円弧状の第2のラック部72及び凹部74が形成され、図5に示すように、突条部71、71をレール部52、52の内側に嵌合することにより役物部70を第1の揺動部材50に装着したとき、第2のピニオン54の軸55の先端部は、凹部74内に配置され、第2のピニオン54は第2のラック部72に噛み合う。なお、役物部70のスライド方向は突条部71、71の延設方向(長さ方向)に一致し、第2のラック部72は、突条部71、71に平行に形成されていることから、役物部70のスライド方向に沿って形成されていることとなる。
以上のように構成された可動役物装置3の動作について、次に説明する。
図4は、初期状態(初期位置にある状態)の可動役物装置3の正面図であり、図4に示すように、スリット38がフォトセンサ39により検出される位置(すなわち、スリット38がフォトセンサ39のセンサ部分に対向する位置)にあるときが、可動役物装置3の初期状態である。このとき、第1の揺動部材50のベース部58が第1のストッパ82に当接しており、第1の揺動部材50は、それ以上、左回り(反時計回り)方向へは揺動できない。図4に示すように、第1の揺動部材50が第1のストッパ82に当接しているときの位置が、第1の位置に相当する。
第1の揺動部材50が第1の位置にあるとき、第2の揺動部材40には、コイルばね33で引っ張られることにより、右回り(時計回り)方向へ揺動させようとする力が働いているが、係着部43が第1の揺動部材50の縁に当接しているため、第2の揺動部材40は右回り方向へは揺動できず、停止している。この係着部43が第1の揺動部材50の縁に当接しているときの位置が、第2の揺動部材40の第1の揺動部材50に対する初期位置に相当する。
第2の揺動部材40が第1の揺動部材50に対する初期位置にあるとき、第1のピニオン53は、第1のラック部42の一端部(左下の端部)42a付近に位置し、第2のピニオン54は、第2のラック部72の一端部(役物部70の先端部に近い方の端部)72a付近に位置しており、役物部70は、レール形成部51との重なりが最も大きい状態、すなわち、最も縮んだ(引っ込んだ)状態になっている。第1の揺動部材50が第1の位置にあるとき、図1の点線で示すように役物部70は遊技者からは見えない。
モータ31は、図4に示す状態から、駆動ギヤ34を右回りに回転させるように駆動し、第1の従動ギヤ35及び第2の従動ギヤ36は左回りに、第3の従動ギヤ37は右回りに回転する。これに伴って、第1の揺動部材50は、図4に示す第1の位置から、図6、7、8というように右回り方向に揺動する。第1の揺動部材50が右回り方向に揺動している間が、揺動の往路である。
揺動の往路について詳説すると、第1の揺動部材50が第1の位置から図6に示す位置まで揺動する間、第2の揺動部材40は、コイルばね33に引っ張られているので、第1の揺動部材50と共に右回り方向に揺動し、しかも、係着部43が第1の揺動部材50の縁に当接していることから、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との相対位置は変わらない。このため、第1の揺動部材50に取り付けられている第1のピニオン53は、第2の揺動部材40に形成されている第1のラック部42を移動せず、回転しない。したがって、第2のピニオン54も回転せず、役物部70はスライドしない。すなわち、役物部70は最も縮んだ状態のまま、右回り方向へ揺動する。
第1の揺動部材50が図6に示す位置に至ったとき、第2の揺動部材40は、上の端縁40aが第2のストッパ83に当接して、揺動が規制されて停止する。図6に示すように、第2の揺動部材40が第2のストッパ83に当接したときの第1の揺動部材50の位置は、第1の揺動部材50のみが揺動を開始する位置である単独揺動開始位置に相当する。
第1の揺動部材50は、図6に示す単独揺動開始位置から、図7に示すように、さらに右回り方向に揺動するが、第2の揺動部材40は第2のストッパ83により規制されて揺動しない。このため、第1のピニオン53が回転しながら第1のラック部42を他端部42bの方向へ移動し、これに伴って第2のピニオン54も回転して、第2のラック部72を図7の二点鎖線矢印に示す方向へ移動させる。したがって、役物部70は、第1の揺動部材50と共に右回り方向へ揺動しつつ、レール形成部51上をスライドして、第1の揺動部材50から徐々に伸びる(突出する)こととなる。
そして、第1の揺動部材50のみが右回り方向への揺動を続けると、ついには、揺動端部65aが第2の揺動部材40に当接し、図8に示すように、揺動端部65aが係着部43に乗り上げて(重なって)、コイルばね63の付勢力により被係着部66が係着部43に係着され、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とが連結される。図8に示すように、第1の揺動部材50の被係着部66が係着部43に係着されたときの位置が、連結位置に相当する。
第1の揺動部材50が連結位置に達したとき、図8に示すように、第1のピニオン53は第1のラック部42の他端部(右上の端部)42b付近まで移動し、これに伴って第2のピニオン54も、第2のラック部72の他端部(役物部70の先端部から遠い方の端部)72b付近まで移動している。したがって、役物部70は、第1の揺動部材50から最も伸びた状態となっている。
第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とが連結されると、モータ31は、駆動ギヤ34を左回りに回転させるように駆動し、第1の従動ギヤ35及び第2の従動ギヤ36は右回りに、第3の従動ギヤ37は左回りに回転する。これに伴って、第1の揺動部材50は、図8に示す位置から、図9、10、11というように左回り方向に揺動し、図4に示す第1の位置に戻る。第1の揺動部材50が左回り方向に揺動している間が、揺動の復路である。なお、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とが連結されたとき、駆動ギヤ34の右回りの回転をすぐに停止できなくても、第2の揺動部材40の右回り方向への揺動が規制されるとともに、連結部60のベース部61が第2の揺動部材40に当接しているため、第1の揺動部材50も右回り方向へはそれ以上揺動できない。すなわち、図8に示すように、第1の揺動部材50が第2の揺動部材40と連結されたときの位置は、第1の揺動部材50の右回り方向への揺動の限界位置であり、第2の位置に相当する。本実施形態では、第2の位置は連結位置と同位置である。
揺動の復路について詳説すると、図8に示す位置から図10に示す位置までは、図9に示すように、第2の揺動部材40は第1の揺動部材50と連結されたままであることから、第1の揺動部材50と共に揺動し、第2の揺動部材40と第1の揺動部材50との相対位置は変わらない。このため、第1のピニオン53は、第1のラック部42を移動せず、回転しない。したがって、第2のピニオン54も回転せず、役物部70は、スライドすることなく、最も伸びた状態を維持したまま左回り方向に揺動することとなる。
図10に示す位置は、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除される直前の位置である。第1の揺動部材50は、図10に示す位置から、さらに左回り方向に揺動するので、図11に示すように、第3の揺動部材65の揺動端部65bにある被押圧部68が、押圧部81の突起部81bの後方に至る。すると、突起部81bで被押圧部68が押圧されることにより、コイルばね63の付勢力に抗して、揺動端部65bが後方に揺動するとともに、揺動端部65aが前方に揺動し、被係着部66が係着部43から外れる。したがって、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除され、第2の揺動部材40はコイルばね33に引っ張られて、右回り方向へ揺動し、図11に示すように、第1の揺動部材50に対する初期位置まで戻る。このとき、第1のピニオン53は、回転しながら、第1のラック部42の他端部42b付近から一端部42a付近まで移動するので、第2のピニオン54も、回転しながら、第2のラック部72の他端部72b付近から一端部72a付近まで移動し、これに伴って、役物部70はレール形成部51上を、第1の揺動部材50から伸びる方向とは逆方向にスライドして、第1の揺動部材50の方へ縮む(引っ込む)こととなる。なお、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除されると、コイルばね63により極短時間で(一気に)第2の揺動部材40が第1の揺動部材50に対する初期位置に戻るので、役物部70は一気に引っ込むこととなる。図11に示すように、被押圧部68が押圧部81の突起部81bの後方に至ったときの第1の揺動部材50の位置が、連結解除位置に相当する。
図12に基づいて、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結の解除について詳説する。図12(a)は、図10のXII-XII線矢視図であり、被係着部66が係着部43に係着されており、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とは連結されている。第1の揺動部材50は、図12(a)に示す位置から、さらに左回り方向(図12紙面上、右方向)に揺動する。すると、被押圧部68が、押圧部81の突起部81bの斜面に沿って突起部81bの後方(図12紙面上、下方)に潜り込み、突起部81bに押圧されるので、コイルばね63の付勢力に抗して、揺動端部65bが後方に揺動するとともに、揺動端部65aが前方(図12紙面上、上方)に揺動する。したがって、被係着部66が係着部43から外れて、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除される。第1の揺動部材50との連結が解除されると、第2の揺動部材40は、コイルばね33に引っ張られて、右回り方向(図12紙面上、左方向)へ揺動する。一方、第1の揺動部材50は左回り方向への揺動を続けるので、図12(c)のような状態となる。
第1の揺動部材50は、第2の揺動部材40との連結が解除された後も、第1のストッパ82に当接するまで、左回り方向に揺動する。このとき、第1の揺動部材50の縁が係着部43に当接していることから、第2の揺動部材40も第1の揺動部材50と共に揺動し、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との相対位置は変わらない。第1の揺動部材50が第1のストッパ82に当接する位置に至ったとき、図4に示すように、スリット38がフォトセンサ39によって検出されるので、モータ31は、駆動ギヤ34の左回りの回転を停止する。このため、第1の揺動部材50は、左回り方向への揺動を停止する。
以上説明した可動役物装置3の一連の動作を、図1、13、14を用いて説明する。図1に示すように、可動役物装置3が初期状態にあるとき、役物部70は遊技者からは見えない。なお、このときの役物部70の状態は、図4に示す状態に相当する。
図13は、揺動の往路における役物部70の動きを示す図であり、各状態の役物部70を区別するために、役物部70にA〜Cの符号を付しており、役物部70Aは図6、役物部70Bは図7、役物部70Cは図8に示す状態に相当する。役物部70は、図1に示すように遊技者に見えない状態から、図13の役物部70A、70B、70Cに示すように、右回り方向へ揺動しながら、徐々に遊技者に見える部分が多くなるように伸びていく。役物部70Cは、最も伸びた状態である。
図14は、揺動の復路における役物部70の動きを示す図であり、各状態の役物部70を区別するために、役物部70にC〜Fの符号を付しており、役物部70Cは図8、役物部70Dは図9、役物部70Eは図10、役物部70Fは図11に示す状態に相当する。役物部70は、最も伸びた状態を保ったまま、役物部70Cの状態から、役物部70D、70Eに示すように、左回り方向へ揺動する。そして、遊技者から見えなくなってから、役物部70Fに示すように縮んで、その後、図1に示す初期位置に戻る。
以上述べたように、第1実施形態のパチンコ遊技機によれば、モータ31が駆動することにより、第1の揺動部材50が単独揺動開始位置から連結位置まで所定方向(本実施形態では右回り方向)へ揺動する間、第2の揺動部材40の揺動が規制されて、第1のピニオン53が、回転しつつ、第1のラック部42を一端部42aから他端部42bに向かう方向に移動する。このため、第2のピニオン54も回転して、第2のピニオン54に噛み合う第2のラック部72が形成された役物部70は、第1の揺動部材50に対してスライドし、このスライド方向が第1の揺動部材50から突出する方向であることから、役物部70は、第1の揺動部材50と共に揺動しつつ、徐々に第1の揺動部材50から伸びることとなる。
そして、第1の揺動部材50が連結位置に達したときに、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とが連結され、モータ31が駆動することにより、第1の揺動部材50が連結位置から連結解除位置まで上記所定方向とは逆方向(本実施形態では左回り方向)へ揺動する間、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とは共に揺動して、第2の揺動部材40の第1の揺動部材50に対する位置は変わらない。このため、第1のピニオン53及び第2のピニオン54は回転せず、役物部70は最も伸びた状態を保持したまま、逆方向に揺動することとなる。
さらに、第1の揺動部材50が連結解除位置に達したときに、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除されて、コイルばね33により第2の揺動部材40が第1の揺動部材50に対する初期位置まで戻されるので、第1のピニオン53が、回転しつつ、他端部42bから一端部42aに向かう方向に移動する。このため、役物部70は第1の揺動部材50に対して上記スライド方向とは逆方向にスライドし、役物部70は第1の揺動部材50の方へ縮むこととなる。
このように、第1実施形態のパチンコ遊技機によれば、1つのモータ31で役物部70に揺動動作と伸縮動作とを行わせることができるため、揺動と伸縮とを行う可動役物装置3を低コストでかつコンパクトに製造できる。しかも、揺動の往路では、遊技者に見える位置(図6の位置)から徐々に伸びていき、復路では、伸び切った状態のまま戻ってきて遊技者に見えない位置(図11の位置)で一気に縮むというように、揺動の往路と復路とで異なる動きを実行できるため、ボクシングにおけるボクサーの左腕のガード、ノーガードといった一連の動きを模すことができる等、興趣に富んだ演出を行うことができる。
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態に係るパチンコ遊技機について、図15〜22に基づいて説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態の構成要素に対応する構成要素については同じ符号を用いて、その説明を適宜省略する。また、第2実施形態に係るパチンコ遊技機の全体構成及び電気系統は、図1、2に示す第1実施形態と同様であるので省略する。
第2実施形態の可動役物装置3では、図15、16に示すように、カバー部80の前面に、第1のストッパ82、及び、第2のストッパ83が、それぞれ設けられているが、押圧部81は設けられていない。また、カバー部80の前面には、前方に突出する略コ字形状の第3のストッパ85が設けられ、第3のストッパ85の突出高さは第2の揺動部材40には当接するが、第1の揺動部材50には当接しない高さとされている。
また、第1の揺動部材50は、ベース部58と、軸部57と、レール形成部51と、連結部60とを備えている。ベース部58の前面には、ばね取付部59が突設され、ばね取付部59にはコイルばね49の上端部が取り付けられている。第1実施形態とは異なり、連結部60は、軸部57から第1の揺動部材50の揺動半径に沿ってレール形成部51側とは反対側に突設され、連結部60には、吸着部に相当する第1の永久磁石69が固定されている。
第2の揺動部材40は、略扇形状をなして、下の端縁40bには、第1実施形態とは異なり係着部43は設けられてなく、被吸着部に相当する第2の永久磁石45が設けられている。第2の永久磁石45は、第1の永久磁石69が第1の揺動部材50の揺動に伴って回転軸37aを中心として揺動するときの揺動軌跡上に配置され、第1の永久磁石69と共に、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とを連結する連結手段を構成する。
第2の揺動部材40の前面には、揺動規制部47とばね取付部46とが突設され、ばね取付部46にはコイルばね49の下端部が取り付けられている。第2の揺動部材40の後面にはばね取付部44が突設され、ばね取付部44には、コイルばね33の下端部が取り付けられている。コイルばね33の上端部は、ベース板部12に突設されたばね取付部32に取り付けられている。コイルばね33は、コイルばね49と共に、第2の揺動部材40を第1の揺動部材50に対する所定の初期位置まで揺動させる弾性手段を構成する。
第2実施形態の上述した部分以外の部分は、第1実施形態と略同じ構成とされているので、その説明を省略する。
以上のように構成された可動役物装置3の動作について、次に説明する。
図16は、初期状態にある可動役物装置3の正面図である。このとき、第1の揺動部材50は、連結部60が第1のストッパ82に当接した第1の位置にあり、それ以上、左回り方向へは揺動できない。
第1の揺動部材50が第1の位置にあるとき、第2の揺動部材40には、コイルばね33で引っ張られることにより、右回り方向へ揺動させようとする力が働いているが、揺動規制部47が第1の揺動部材50の縁に当接しているため、第2の揺動部材40は右回り方向へは揺動できず、停止している。揺動規制部47が第1の揺動部材50の縁に当接しているときの位置が、第2の揺動部材40の第1の揺動部材50に対する初期位置に相当する。なお、コイルばね49は、第2の揺動部材40が、自重によりコイルばね33の弾性力に抗して、第1の揺動部材50に対する初期位置から左回り方向へ揺動してしまうことを防止している。
第2の揺動部材40が第1の揺動部材50に対する初期位置にあるとき、第1のピニオン53は、第1のラック部42の一端部42a付近に位置し、第2のピニオン54は、第2のラック部72の一端部72a付近に位置して、役物部70は、最も縮んだ状態になっている。
第1の揺動部材50は、モータ31が駆動することにより、図16に示す第1の位置から、図17、18、19というように右回り方向に揺動する。右回り方向への揺動について詳説すると、第1の揺動部材50が第1の位置から図17に示す位置まで揺動する間、第2の揺動部材40は、コイルばね33及びコイルばね49に引っ張られているので、第1の揺動部材50と共に右回り方向に揺動し、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との相対位置は変わらない。このため、第1のピニオン53は第1のラック部42を移動せず、回転しない。したがって、第2のピニオン54も回転せず、役物部70はスライドしない。第1の揺動部材50が図17に示す位置に至ったとき、第2の揺動部材40は、上の端縁40aが第2のストッパ83に当接して、揺動が規制されて停止する。図17に示す位置は、第1の揺動部材50の単独揺動開始位置に相当する。
第1の揺動部材50は、図17に示す単独揺動開始位置からさらに右回り方向に揺動するが、第2の揺動部材40は揺動しないため、第1のピニオン53が回転しながら第1のラック部42を他端部42bの方向へ移動し、これに伴って第2のピニオン54も回転して、第2のラック部72を図18の二点鎖線矢印に示す方向へ移動させる。したがって、役物部70は、第1の揺動部材50と共に右方向へ揺動しつつ、レール形成部51上をスライドして、第1の揺動部材50から伸びる(突出する)こととなる。
図18の状態から第1の揺動部材50は右回り方向への揺動を続けるので、図19に示すように、ついには、第1の永久磁石69と第2の永久磁石45とが接触して、第1の永久磁石69が第2の永久磁石45に吸着され、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とが連結される。図19に示すように、第1の永久磁石69と第2の永久磁石45とが接触したときの位置が、連結位置に相当する。第1の揺動部材50が単独揺動開始位置から連結位置まで揺動したとき、第1のピニオン53は第1のラック部42の他端部42b付近まで移動し、これに伴って第2のピニオン54も第2のラック部72の他端部72b付近まで移動する。このため、役物部70は、第1の揺動部材50から最も伸びた状態となる。
図19の位置からは、モータ31は、駆動ギヤ34の左回りの回転を開始する。これに伴って、第1の揺動部材50も左回り方向への揺動を開始し、図19に示す状態から、図20、21、22というように左回り方向へ揺動して、図16に示す第1の位置に戻る。図19に示す位置は、第1の揺動部材50の右回り方向への揺動の限界位置であり、第2の位置にも相当する。本実施形態においても、第2の位置は連結位置と同位置である。
左回り方向への揺動について詳説すると、図21に示す位置に至るまでは、図20に示すように、第2の揺動部材40は第1の揺動部材50と連結されたままであることから、第1の揺動部材50と共に揺動し、第2の揺動部材40と第1の揺動部材50との相対位置は変わらない。このため、第1のピニオン53及び第2のピニオン54は回転せず、役物部70は最も伸びた状態を維持したまま左回り方向に揺動する。
図21に示す位置に至ると、第2の揺動部材40は、下の端縁40bが第3のストッパ85に当接し、それ以上、左回り方向へ揺動することができない。したがって、図21に示す位置からは、第1の揺動部材50のみが左回り方向に揺動するため、第1の永久磁石69と第2の永久磁石45とが離間して、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除される。すなわち、図21に示すように、第2の揺動部材40の下の端縁40bが第3のストッパ85に当接したときの第1の揺動部材50の位置は、連結解除位置に相当する。
第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除されると、第2の揺動部材40はコイルばね33及びコイルばね49に引っ張られて、右回り方向へ揺動し、図22に示すように、第1の揺動部材50に対する初期位置まで戻る。このとき、第1のピニオン53は、回転しながら、第1のラック部42の他端部42b付近から一端部42a付近まで移動するので、第2のピニオン54も、回転しながら、第2のラック部72の他端部72b付近から一端部72a付近まで移動し、これに伴って、役物部70はレール形成部51上を、第1の揺動部材50から伸びる方向とは逆方向にスライドして、第1の揺動部材50の方へ縮む(引っ込む)こととなる。
第1の揺動部材50と第2の揺動部材40との連結が解除された後も、第1の揺動部材50は左回り方向へ揺動する。第1の揺動部材50の縁が揺動規制部47に当接していることから、第2の揺動部材40も第1の揺動部材50と共に揺動し、第2の揺動部材40は第1の揺動部材50に対する初期位置を保持したままである。やがて、第1の揺動部材50は、第1のストッパ82に当接して、すなわち、図16に示す第1の位置まで戻って揺動を停止する。
このように、第2実施形態のパチンコ遊技機によれば、第1実施形態と同様に、1つのモータ31で役物部70が揺動と伸縮とを行い、しかも、揺動の往路と復路とで異なる動きを行う。このため、揺動と伸縮とを行う可動役物装置3を低コストでかつコンパクトに製造できるとともに、興趣に富んだ演出を行うことができる。また、第2実施形態では、第1の永久磁石69及び第2の永久磁石45を連結手段として用いているため、連結の不具合や故障の虞が少なくなる。
なお、第1の永久磁石69及び第2の永久磁石45のいずれか一方を、鉄等の磁石に吸着される金属としてもよい。また、第1の永久磁石69や第2の永久磁石45、あるいは、それらのいずれかの代わりに用いる鉄等の金属を、磁力による吸着を妨げないような薄いカバーで覆ってもよい。要するに、第1の揺動部材50と第2の揺動部材40の一方に、永久磁石を備えた吸着部を設け、他方に、その永久磁石に磁力で吸着される被吸着部を設ければよい。
〈その他の変形例〉
第1、2実施形態では、いずれも、連結位置を、第2の位置と同位置としたが、単独揺動開始位置と第2の位置との間にあるものとしてもよい。かかる例を第2実施形態の変形例として、図23〜25を用いて説明する。なお、第2実施形態の構成要素に対応する構成要素については同じ符号を用いて、その説明を適宜省略する。
本変形例では、図23(a)に示すように、第2のストッパ83が、ベース部83aと、ベース部83aから前方に突設された突出壁部83bと、突出壁部83bと略直角をなしてベース部83aから前方に突設された被押圧部83cとから構成されている。そして、第2のストッパ83は、ベース部83aの後面側に取り付けられたコイルばね86により前方に付勢され、カバー部80の前壁部に形成された略L字形状の孔87から、突出壁部83bと被押圧部83cとを突出させている。被押圧部83cの前面は、左方程突出高さが低くなるように傾斜した曲面状とされ、最も突出高さが高い部分は、突出壁部83bの突出高さよりも高くされている。また、突出壁部83bは、第2の揺動部材40の上の端縁40aが当接するように、被押圧部83cは、第2の揺動部材40の上の端縁40aが突出壁部83bに当接したときに、第2の揺動部材40の外周部の円弧状の部分に略沿って突出するように、配置されている。なお、後述するように第1の揺動部材50により被押圧部83cが押し込まれたとき、突出壁部83bは、第2の揺動部材40の上の端縁40aに当接しない位置まで引っ込むように、突出高さが設定されている。また、第1のストッパ82は、第1の揺動部材50の後述する第2の位置までの右回り方向への揺動を妨げないように、第1の揺動部材50の連結部60には当接するが、ベース部58には当接しない突出高さとされている。
本変形例の可動役物装置3の動作について説明すると、第2の揺動部材40は、図23(a)に示すように、上の端縁40aが突出壁部83bに当接して、右回り方向への揺動が規制される。そして、第1の揺動部材50が単独で右回りへの揺動を継続するが、やがては、図24に示すように第1の揺動部材50と第2の揺動部材40とが連結されるとともに、図23(b)に示すように、第1の揺動部材50のレール形成部51(図23では、二点鎖線で示す。)が、被押圧部83cの前面に沿って被押圧部83cに乗り上げて、第2のストッパ83をコイルばね86の付勢力に抗して後方へ押し込む。すると、突出壁部83bが第2の揺動部材40に当接しない位置まで引っ込むため、第2の揺動部材40は再び右方向へ揺動可能となる。
本変形例の可動役物装置3では、図24に示す位置から、さらに第1の揺動部材50が右回り方向へ揺動するので、第2の揺動部材40は第1の揺動部材50と共にさらに右回り方向へ揺動する。そして、第1の揺動部材50は、図25に示す位置で右回り方向への揺動を停止し、左回り方向への揺動を開始する。すなわち、図25に示す位置が第2の位置であり、連結位置(図24に示す位置)は、第2の位置と同位置ではなく、単独揺動開始位置と第2の位置との間にあることとなる。なお、単独揺動開始位置は、第2実施形態の図17に示す位置と同様に、第2の揺動部材40が第2のストッパ83に当接したときの位置である。
また、第1、2実施形態では、いずれも、単独揺動開始位置を、第1の位置と第2の位置との間にあるものとしたが、第1の位置と同位置としてもよい。かかる例を第1実施形態の変形例として説明すれば、図4の状態(第1の揺動部材50が第1の位置にある状態)において、第2のストッパ83が第2の揺動部材40に当接するように構成すれば、単独揺動開始位置は第1の位置と同位置になる。
さらに、第1、2実施形態では、いずれも、連結解除位置を、第1の位置と単独揺動開始位置との間にあるものとしたが、第1の位置と同位置としてもよい。かかる例を第1実施形態の変形例として説明すれば、図4の状態(第1の揺動部材50が第1の位置にある状態)において、押圧部81が第3の揺動部材65の被押圧部68を押圧するように構成すれば、連結解除位置は第1の位置と同位置になる。
また、第1、2実施形態では、いずれも、第1のピニオン53に従動する第2のピニオン54を第2のラック部72に噛み合わせたが、第1のピニオン53が直接第2のラック部72に噛み合うように構成して、第2のピニオン54を設けないこととしてもよい。