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JP4875476B2 - 建材 - Google Patents
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Description

本発明は、外装材等に使用される建材に関するものであり、特に水性インクが塗布された高意匠性の建材に関するものである。
近年、外装材等に使用される建材として、インクジェット塗装等によりインクが印刷塗布された高意匠性の建材が用いられるようになってきており、外壁材、屋根材、塀材等の用途の拡大が期待されている。このような建材をインクジェット塗装にて得るにあたっては、例えばセメント系の無機質板を基材とし、コンベア上で搬送される基材の表面に向けて、この基材の搬送速度と同期させてインクジェットノズルヘッドよりインクを噴射することが考えられている。このようなインクジェット塗装は、これまで一般的に用いられてきた塗装ロール等に比べ、局所的なしかも位置制御された塗装が可能である。したがって、濃淡表現などにより自然な風合いの高意匠塗装された建材が製造可能であるという利点がある(特許文献1参照)。
このように基材に対してインクを印刷塗布するにあたり、基材に対してインクが十分に定着しない場合には、予め基材の表面にインク受理層を形成することが行われている。このインク受理層はインクジェット塗装時に塗布されるインクを滲みなく定着させる機能を有し、インクを吸収する性質を有するものが形成される。例えば無機粉体や吸水性ポリマー等を有機バインダーに添加した塗料を基材の表面に塗布することで、インク受理層が形成される(特許文献2参照)。
特開2004−17007号公報 特開平9−118068号公報
しかし、上記のように形成される建材の基材種によっては、受理層との付着性が得られず剥離やクラックが生じてしまい、インクの印刷塗布により形成された意匠模様の外観が悪化してしまうことがある。また、透明性の高い建材(ガラス板、プラスチック板など)を基材に用いて印刷による模様付けを行いたい場合、色のついた不透明なインク受理層を用いては、透明性を有する基材の特徴を活かすことができない。このため、種々の基材に対応することができ、しかも、インクの定着性に優れた化粧技術が求められるようになってきている。ここで、従来、カッティングシートや転写による印刷を行うことも考えられるが、フィルムやインク樹脂の劣化により耐久性に欠けるという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、基材の種類を選ばず、耐候性が高く、屋外に曝露しても剥離やクラック等が生じにくく、インクの塗布により形成された意匠模様の外観の悪化を防止することができる建材を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る建材は、基材1表面に親水性処理を施した後、水性インクを塗布して模様層2を形成して成ることを特徴とする。
請求項2に係る建材は、請求項1において、上記親水性処理が、基材1の表面に光触媒塗膜3を形成する処理であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1において、上記親水性処理が、界面活性剤による表面処理であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1において、上記親水性処理が、基材1の表面にアルコキシシラン縮合体コーティング5を施す処理であることを特徴とする。
請求項に係る発明は、様層2に対してクリアー層6、無機質塗料層7及び光触媒層8を順次積層して設けて成ることを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれか一項において、基材1が可視光透過率80%以上であることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、模様層2を構成する水性インクが基材1の表面に弾かれることなく付着し、水性インクを基材1の表面に定着させることができるものであり、またこのように基材1に有機バインダーを含むインク受理層を形成することなく水性インクを定着させることができるため、基材が透明であってもこの基材の透明性を低下させることを防止することができると共に、建材に紫外線が長期間照射されてもインク受理層を設けた場合のような有機バインダーの劣化が生じるようなことがなく、模様層2により形成された意匠模様の外観の悪化を防止して耐候性を向上することができるものである。
請求項2に係る発明によれば、光触媒塗膜3を形成することにより基材1に高い親水性を付与することができるものである。
請求項3に係る発明によれば、界面活性剤による表面処理によって、基材1に高い親水性を付与することができるものである。
請求項4に係る発明によれば、アルコキシシラン縮合体コーティング5を施すことで、基材1に高い親水性を付与することができるものである。
請求項に係る発明によれば、様層2に対してクリアー層6、無機質塗料層7及び光触媒層8を順次積層して設けているため、模様層2を保護すると共に耐候性を更に向上することができるものであり、またこのとき模様層2にクリアー層6を重ねて形成しても、水性インクは親水性処理がなされた基材1の表面に広がって定着されているため、この水性インクがクリアー層6に押しつぶされて滲むようなことがなく、このため鮮明な意匠模様を維持することができるものである。
請求項に係る発明によれば、インク受理層を形成していないためにこのインク受理層により建材の透明性が阻害されることがなく、建材を全体として透明に形成すると共にこの基材1に模様層2による意匠模様を付与することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1に本発明で得られる建材の一例を示す。
〈基材1〉
本発明における塗装の対象である基材1としては適宜のものを用いることができるが、例えばセメント系の無機質板を用いることができる。無機質板の作製には、セメントと補強繊維を主成分とする湿潤シート(グリーンシート)を用いることができる。この湿潤シートは、セメント系の水性スラリーを原料組成物として用いて、長網式、丸網式の各種の抄造法により抄造することができるが、押出成形等の他の適宜の手法も採用することができる。原料組成物としては、例えば水硬性のセメント成分が30〜95質量%、シリカ、珪石粉、フライアッシュ等の充填材が2〜60質量%、パルプ等の補強繊維が3〜10質量%を占める固形分からなるものとし、この固形分100重量部に対し、水50〜2000重量部程度の割合としたスラリーを用いることができる。尚、セメント成分は、普通ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント等の、適宜に組成調整されたものを用いることができる。補強繊維のパルプは、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、古紙パルプ、あるいはこれらのうち二種以上の混合物等を用いることができる。この湿潤シートを養生硬化することにより、基材1を得ることができる。
上記湿潤シートの養生硬化は適宜の手法で行うことができるが、オートクレーブ養生をすることが望ましく、その際の温度としては140℃以上とすることが好適である。また、実際的には、養生は、オートクレーブ養生と、これに先行しての促進前養生、つまり加温のために水蒸気が投入される前養生との二段階での養生であることが望ましい。これによって、基材1の強度が向上し、組織と性能の均一化が図られることになる。
この養生時には、養生前の湿潤シートの表面にシーラーを塗布することが望ましい。このシーラーを塗布することにより、養生時にエフロレッセンスが発生することを防止することができ、更にシーラーの塗膜が耐透水性を発揮することで、基材1の耐透水性を向上することができる。
シーラーは特に制限されないが、例えばアクリル系、酢酸ビニル系、エポキシ系、塩化ゴム系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等の水性樹脂エマルションを用いることができる。
また、このようなシーラー中には、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、ベントナイト、セリサイト、ドロマイト、タルク、クレー、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、珪藻土等の無機粒子を混合することができる。
そして、このようなシーラーを湿潤シートの表面に塗布し、加熱成膜することでシーラーの塗膜を形成することができる。
このようなシーラーの塗装は、養生前に行うものであるが、上記のように促進前養生を行う場合には促進前養生後にシーラーを塗布し、次いでオートクレーブ養生を行うことが好ましく、これにより基材1の耐凍害性や寸法安定性を向上することができる。
このような養生硬化により得られた基材1には、必要に応じて乾燥処理や切削加工が施される。
また基材1としては、上記のようなセメント系の無機質板のほか、各種のものを用いることができるが、特に本発明では基材1としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等から形成される透明な基材1を用いることが好ましい。このような透明な基材1を用いる場合には、その可視光透過率が80%以上であることが好ましい。
〈親水性処理〉
このような基材1に対して、模様層2の形成に先立って、この模様層2が形成される面に親水性処理を施す。
親水性処理としては適宜の手法を適用することができるが、親水性処理が施された基材1の表面の水の接触角が40°以下となるようにすることが好ましい。親水性処理の好適な例としては、光触媒塗膜3の形成、界面活性剤処理及びアルコキシシラン縮合体コーティング5を挙げることができる。
〈光触媒塗膜3〉
光触媒塗膜3は、光触媒機能を有する酸化物を含有する無機塗料を基材1の表面に塗布成膜することで形成することができる。
この無機塗料としては、下記一般式〔1〕で表されるケイ素化合物を含むものを挙げることができる。
2 nSi(OR14-n 〔1〕
〔n=0〜3を示し、R1、R2は1価の炭化水素基を示す。〕
この式〔1〕のR1、R2は1価の炭化水素基を示す限り限定はされないが、R2として炭素数1〜8の置換または非置換の炭化水素基を示す、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ビニル基、アリル基等のアニケニル基、クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、及び、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基が挙げられる。なかでも合成の容易さ、または、入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基、及び、フェニル基が好ましい。
式〔1〕のR1には炭素数1〜4のアルキル基を主原料にするものが用いられる。特に、n=0のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が例示され、n=1のオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が例示される。さらに、n=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が例示され、n=3のトリオルガノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソブチルメトキシシラン等が例示される。
このような無機塗料としては、例えば下記一般式〔2〕で表されるケイ素化合物、および/または、コロイド状シリカを20〜200重量部、
一般式:Si(OR14 〔2〕
下記一般式〔3〕で表されるケイ素化合物を100重量部、
一般式:R2Si(OR13 〔3〕
下記一般式〔4〕で表されるケイ素化合物を0〜60重量部の割合で含有するものが挙げられる。
一般式:R2 2Si(OR12 〔4〕
上記R1、R2は式〔2〕〜〔4〕において、同一の炭化水素基でもよいし、異なっていてもよい。
無機塗料の調製にあたっては、例えば、式〔2〕〜〔4〕で表されるケイ素化合物を溶剤で希釈し、硬化剤として水または触媒を添加し、加水分解、及び、重縮合反応を行い調製することができる。これらケイ素化合物の重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で算出される。この調製の際に、無機塗料の重量平均分子量(Mw)をポリスチレン換算で900以上にする。重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で900未満であると、重縮合反応の際に硬化収縮が大きくなり、焼き付けした無機塗料の塗膜にクラックが発生し易くなる。
式〔2〕で表されるケイ素化合物と併用し、またはこのケイ素化合物に代えて用いられるコロイド状シリカは、水に分散した水分散性のコロイダルシリカ、又は、アルコール等の非水系の有機溶媒に分散した有機溶媒分散性のコロイダルシリカである。上記コロイダルシリカは固形分としてのシリカを20〜50重量%含有している。無機塗料の調製の際に、上記水分散性のコロイダルシリカは、固形分外の成分として存在する水を硬化剤として用いることができる。また、有機溶媒分散性のコロイダルシリカは有機溶媒を水と置換することで容易に調製できる。上記コロイダルシリカが分散している有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールの誘導体、及び、ジアセトンアルコール等が挙げられ、これらの1種、もしくは2種以上が用いられる。さらに、親水性の有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。なお、上記コロイダルシリカの上記配合量は、分散媒も含んだ重量である。
無機塗料を調製する際に硬化剤として水が汎用されるが、この水の量は、無機塗料中に45%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
無機塗料を調製する際に用いられる有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールの誘導体、及び、ジアセトンアルコール等が挙げられ、これらの1種、もしくは2種以上が用いられる。さらに、親水性の有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。
上記無機塗料の調製の際は、無機塗料のpHを3.8〜6とすることが望ましい。このpH範囲であると無機塗料の保存性が良く、このpH範囲外であると調製期間から塗布できる期間が限られてしまう。このpHの調整方法は限定しないが、例えば、材料を混合した際にpHが3.8未満となった場合、アンモニア等の塩基性試薬を添加して調整すればよく、pHが6を超えた場合、塩酸等の酸性試薬を添加して調整すればよい。また、pHによっては分子量が小さい状態で反応の進行が遅くなった場合、加熱して反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応を進めた後に、塩基性試薬を添加して所定のpHとしてもよい。
また、無機塗料の他の例としては、一般式が下記式〔5〕で表される加水分解性オルガノシランを有機溶媒または水分散されたコロイダルシリカ中で、官能基(X)1モルに対し水0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解したオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液と、
一般式:R3 nSiX4-n 〔5〕
〔式中、R3は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数、Xは加水分解性基を示す。〕
平均組成式が下記式〔6〕で表される分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンと、
平均組成式:R4 aSi(OH)b(4-a-b)/2 〔6〕
〔式中、R4は同一または異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を示し、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。〕
触媒とからなるものが挙げられる。このとき、上記シリカ分散オリゴマー溶液はシリカを固形分として5〜95重量%含有し、加水分解性オルガノシランの少なくとも50モル%が、前記式〔5〕中のnが1であるオルガノシランであり、且つ、上記シリカ分散オリゴマー溶液を1〜99重量部に対して、上記ポリオルガノシロキサンを99〜1重量部で含有する。
上記シリカ分散オリゴマー溶液のシリカ分散オリゴマーは塗膜形成に際して、硬化反応に預かる官能性基としての加水分解性基を有するベースポリマーの主成分である。このシリカ分散オリゴマーは有機溶媒、又は、水に分散されたコロイダルシリカに、前式〔5〕で表される加水分解性オルガノシランの1種又は2種以上を加え、コロイダルシリカ中の水あるいは別途添加した水により、この加水分解性オルガノシランを部分加水分解することで得られる。
式〔5〕で表される加水分解性オルガノシランのR3は炭素数1〜8の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を示し、具体的には上述のR2と同様の炭化水素基が例示される。
上記加水分解性基を示すXとしては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液の調製のしやすいことからアルコキシ基が好ましい。
このような加水分解性オルガノシランは、式〔5〕で表される化学式中のnが0〜3の整数であるモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液の調製のしやすいことからアルコキシシラン類が好ましい。また、n=0のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が例示され、n=1のオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が例示される。さらに、n=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が例示され、n=3のトリオルガノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソブチルメトキシシラン等が例示される。さらに、一般にシランカップリング剤と呼称されるオルガノシラン化合物も上記アルコキシシラン類に含まれる。
上記加水分解性オルガノシランは、少なくとも50モル%が、式〔5〕のnが1で表される三官能性のオルガノシランであることが必要である。この三官能性のオルガノシランの割合は60モル%以上が好ましく、より好ましくは70モル%以上である。これが50モル%未満では十分な塗膜硬度が得られないと共に、乾燥硬化性が劣り易い。
上記加水分解性オルガノシランを有機溶媒または水分散されたコロイダルシリカは、無機塗料の硬化した塗膜の硬度を高くするものである。上記コロイダルシリカとしては、請求項1に係る無機塗料で上述した水分散性のコロイダルシリカ、又は、有機溶媒分散性のコロイダルシリカが例示される。
上記コロイダルシリカはシリカを固形分として5〜95重量%の範囲で含有する。この含有量は10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜85重量%である。上記含有量が5重量%未満であると、無機塗料の塗膜の硬度が得られず、含有量が95重量%を超えるとシリカの均一な分散が困難となり、ゲル化し易い等の問題が起きやすい。
前式〔5〕で表される加水分解性オルガノシランを有機溶媒または水分散されたコロイダルシリカ中で部分加水分解し、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液が得られる。加水分解性オルガノシランに対する水の量は、加水分解性基(X)1モルに対し水0.001〜0.5モルがよい。水の量が0.001モル未満であると、十分な部分加水分解が得られず、0.5モルを超えると部分加水分解物の安定性が悪くなる。上記部分加水分解する方法は特に限定されず、加水分解性オルガノシランとコロイダルシリカとを混合し、所定の水を添加すればよく、このとき部分加水分解反応は常温で進行する。なお、上記部分加水分解反応を促進するために60〜100℃に加温してもよい。さらに、部分加水分解反応を促進する目的で、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸及び無機酸を触媒に用いてよい。
上記シリカ分散オリゴマー溶液を長期的に安定して性能を得るには、液のpHを2.0〜7.0、好ましくはpHを2.5〜6.5、より好ましくはpHを3.0〜6.0にするとよい。pHがこの範囲を外れると、特に水の量が加水分解性基(X)1モルに対し0.3モル以上で上記シリカ分散オリゴマー溶液の長期的な性能低下が著しい。このpHの調整方法は限定しないが、液のpHが上記範囲より酸性側に外れる場合、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加して調整すればよく、pHが塩基性側に外れる場合、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を添加して調整すればよい。
上記無機塗料のシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンは平均組成式が式〔2
式〔6〕中のR4は炭素数1〜8の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基を示し、具体的には上述のR2と同様の炭化水素基が例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基、より好ましくはメチル基、及び、フェニル基である。また、前記〔6〕式中のa及びbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。aが0.2未満またはbが3を超えると硬化塗膜にクラックを生じる等の不都合があり、また、aが2.0を超え4以下の場合またはbが0.0001未満では硬化がうまく進行しない。
上記シラノール基を含有するポリオルガノシロキサンは、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、もしくはこれらに対応するアルコキシシランの1種、もしくは2種以上の混合物を公知の方法により大量の水で加水分解することで得ることができる。上記シラノール基を含有するポリオルガノシロキサンを得るに、アルコキシシランを用いて加水分解した場合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残る場合がある。つまりシラノール基と極微量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガノシロキサンが得られることもあるが、このようなポリオルガノシロキサンを用いても差し支えない。
上記触媒は、前述のシリカ分散オリゴマー溶液とポリオルガノシロキサンとの縮合反応を促進し、塗膜を硬化させるものである。上記触媒としては、例えば、アルキルチタン酸塩、オクチル酸錫およびジプチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレート等のカルボン酸の金属塩、ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩、酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩、テトラエチルペンタミン等のアミン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン等が挙げられる。
上記シリカ分散オリゴマー溶液とポリオルガノシロキサンとの配合割合は、上記シリカ分散オリゴマー溶液を1〜99重量部に対して上記ポリオルガノシロキサンを99〜1重量部であり、好ましくは、上記シリカ分散オリゴマー溶液を5〜95重量部に対して上記ポリオルガノシロキサンを95〜5重量部であり、より好ましくは、上記シリカ分散オリゴマー溶液を10〜90重量部に対して上記ポリオルガノシロキサンを90〜10重量部である。上記シリカ分散オリゴマー溶液の割合が上記範囲より少ないと、常温で硬化しにくく、充分な塗膜の硬度が得られない。上記シリカ分散オリゴマー溶液の割合が上記範囲より多いと硬化性が不安定となる。
また、触媒の含有量は、上記シリカ分散オリゴマー溶液とポリオルガノシロキサンの合計100重量部に対し、0.0001〜10重量部が好ましい。より好ましくは0.0005〜8重量部であり、最も好ましくは0.0007〜5重量部である。触媒が0.0001重量部未満であると常温で硬化せず、10重量部を超えると耐熱性、耐候性が悪くなる。
上記シリカ分散オリゴマーに含有される加水分解性基と、ポリオルガノシロキサン中のシラノール基とは、触媒の存在下で、常温もしくは200℃以下の低温加熱で縮合反応し、塗膜を形成する。従って、上記無機塗料は、湿度の影響をほとんど受けずに常温で硬化する。また、上記低温加熱で縮合反応を促進することができる。
上記無機塗料は、取扱いの容易さから各種有機溶媒に希釈して使用できる。この有機溶媒の種類は、上記シリカ分散オリゴマー溶液とポリオルガノシロキサン中の1価の炭化水素基の種類や分子量により適宜選択される。上記有機溶媒としては、上記請求項1に係る無機塗料で記載したと同様の有機溶媒が例示される。
この無機塗料に含有させる光触媒機能を有する酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化レニウム等を挙げることができ、これらは一種単独で用い、或いは二種以上を併用することができる。この上記光触媒機能を有する酸化物は適宜の範囲で無機塗料中に混入させるものであるが、光触媒塗膜3により親水化された基材1の水の接触角が40°以下となるように配合量を調整することが好ましい。具体的には前記酸化物と無機塗料中の樹脂固形分との総重量に対する、この酸化物の重量百分率(PWC:顔料重量濃度)が5〜90%となる範囲で配合量を調整することができる。
また、上記光触媒機能を有する成分に金属が担持されていても良い。この金属としては、例えば、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、金、パラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウム、ルテニウムの単独、又は、2種以上の混合物が挙げられる。光触媒機能を有する成分に金属を担持した場合、電荷分離が推進され、光触媒の触媒が活性化される。
さらに、光触媒機能を有する酸化物を層間に挿入した粘土鉱物を含有してもよい。上記粘土鉱物は、膨潤性を有するスメクトイト型鉱物が適する。上記スメクトイト型鉱物は天然または合成のどちらでもよい。上記粘土鉱物に挿入される酸化物は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化レニウム等の1種以上が挙げられる。粘土鉱物の層間に酸化物を挿入すると、酸化物は微粒子に保持され、高い光触媒活性を示す。さらに、層間に挿入した光触媒機能を有する酸化物に金属を担持してもよい。上記金属としては、例えば、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、金、パラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウム、ルテニウムの単独、又は、2種以上の混合物が挙げられる。光触媒機能を有する酸化物に金属を担持した場合、電荷分離が推進され、光触媒の触媒が活性化される。
光触媒機能を有する酸化物を含有する無機塗料を調製する場合、上記光触媒機能を有する成分を溶媒に分散した状態や粉末の状態で用いられる。この粉末は、加熱乾燥、凍結乾燥、超臨界乾燥等の乾燥によって、得られる。
このような無機塗料の塗布にあたっては、刷毛塗り、スプレー塗り、浸漬、カーテン、ナイフコート等各種塗布方法が採用できる。塗布に際しては、有機溶媒で必要に応じて、適宜希釈すればよい。
このような光触媒塗膜3を形成した後は、更にこの光触媒塗膜3に対して紫外線光を照射することにより、更に親水性を向上して良い。
また、基材1の材質によっては、光触媒塗膜3の形成に先立って、密着性向上やクラック発生の防止のために必要に応じて基材1に適宜のプライマー層を設けても良く、また、基材1に対して直接又は前記のプライマー層を介して、予め光触媒機能を有する酸化物を含有しない無機塗料を塗布成膜しても良い。
〈界面活性剤処理〉
界面活性剤処理は、基材1に対して適宜の界面活性剤を塗布することで行うことができる。界面活性剤としては、適宜のものを用いることができ、その親水基がイオン性であっても非イオン性であってもよく、また低分子型でも高分子型でも良い。このような界面活性剤は、例えばアクリル系、ウレタン系、フッ素系、シリコン系などの樹脂に1重量%以下の割合で混合したものを基材1に塗布することができる。また、この界面活性剤を、水や適宜の溶剤など、この界面活性剤を溶解させることができる溶媒に1重量%以下の割合で混合して基材1に塗布しても良い。この界面活性剤の種類や塗布量を調整することで処理後の基材1の表面の親水性を調整することができる。
〈アルコキシシラン縮合体コーティング5〉
アルコキシシラン縮合体コーティング5は、下記式〔7〕で表される4官能性アルコキシシランのみを加水分解重縮合させて得られるシリコーンレジンを含む無機塗料組成物を基材1に塗布成膜して形成することができる。
Si(OR)4 〔7〕
[式中、Rは炭素数7までのアルキル基又はアリール基]
式〔7〕中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、及びフェニル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この4官能性アルコキシシランの具体例としては、たとえば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。4官能性アルコキシシランは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、シリコーンレジンの重合性成分として3官能以下のアルコキシシランを添加すると、形成される塗膜の表面親水性等の塗膜性能が低下してしまう。無機塗料組成物中のシリコーンレジンの形態は特に限定はされず、たとえば、溶液状のものでも分散液状のもの等でも良い。
シリコーンレジンは、無機塗料組成物中に主成分として含有される。主成分とは、無機塗料組成物の固形分中にシリコーンレジンが50〜100重量%の量で存在することをいう。好ましくは、無機塗料組成物の固形分中シリコーンレジンは50〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%の量で存在する。
また、この無機塗料組成物は適宜の機能性成分を含んでもよい。このような機能性成分には、硬化触媒、フィラー、着色材、製膜助剤、塗布助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等がある。
硬化触媒は、シリコーンレジンの縮合反応を促進することによって、塗布層の硬化を促進させる目的で用いられる。硬化触媒としては、特に限定はされないが、たとえば、アルキルチタン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、酢酸カリウム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げられる。しかし、これらの他に、シリコーンレジンの縮合反応の促進に有効なものであれば特に制限はない。無機塗料組成物が硬化触媒を含む場合、その量は、固形分基準でシリコーンレジン100重量部に対して10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。10重量部を超えると、無機塗料組成物の保存(貯蔵)安定性を損なう可能性がある。
フィラー(製膜助剤)は、形成される硬化塗膜の硬度を高くし、平滑性と耐クラック性を改善する等の目的で用いられる。シリカとしては公知のものを使用できる。塗料に導入する際のシリカの形態は特に限定されず、たとえば、粉体の形でもコロイダルシリカの形でもよい。上記コロイダルシリカとしては、特に限定はされないが、たとえば、水分散性あるいはアルコール等の非水系の有機溶媒分散性コロイダルシリカが使用できる。一般に、このようなコロイダルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50重量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定できる。
シリカはシリコーンレジンの調製の際に用いられる反応溶媒中にコロイダルシリカの形で分散させておくことで塗料に導入することが、製膜性、工程の簡素化の点で好ましい。しかし、この方法は限定的ではなく、たとえば、シリカ抜きで調製して得られたシリコーンレジンにシリカを混合した後、得られた混合物を塗料に導入してもよいし、あるいは、シリカをシリコーンレジンとは別途に塗料に導入してもよい。
ここで、水分散性コロイダルシリカを使用する場合には、このコロイダルシリカ中に固形分以外の成分として存在する水は、シリコーンレジンの原料である4官能性アルコキシシランの加水分解に用いることができる(加水分解の際の水の下記使用量に加算される)とともに、無機塗料組成物の硬化剤として用いることができる。
水分散性コロイダルシリカは、通常、水ガラスから作られるが、市販品として容易に入手することができる。また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記水分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換することで容易に調製することができる。このような有機溶媒分散性コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと同様に市販品として容易に入手することができる。
有機溶媒分散性コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリカが分散している有機溶媒の種類は、特に限定はされないが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセトンアルコール等を挙げることができ、これからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用することができる。これらの親水性有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。
シリカは配合量が多すぎると、硬化塗膜が硬くなりすぎてクラックが発生する恐れがある。そのため、シリカを用いる場合、その配合量は、固形分基準でシリコーンレジン100重量部に対して10〜90重量部、好ましくは20〜85重量部とする。この配合量が10重量部未満であると、所望の被膜硬度が得られなくなる傾向がある。一方、90重量部を越えると、クラックが発生しやすくなる。
また、無機塗料組成物は、必要に応じ、顔料、染料等の着色剤をさらに含むことにより、調色可能である。
顔料としては、特に限定はされないが、たとえば、カーボンブラック、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニングリーン、ハンザイエロー等の有機顔料;酸化チタン、硫酸バリウム、弁柄、複合金属酸化物等の無機顔料がよく、これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。顔料の分散は、特に限定はされず、通常の方法、たとえば、ダイノーミール、ペイントシェーカー等により顔料粉を直接分散させる方法等でよい。その際、分散剤、分散助剤、増粘剤、カップリング剤等の使用が可能である。顔料の添加量は、顔料の種類により隠蔽性が異なるので特に限定はされないが、たとえば、固形分基準でシリコーンレジン100重量部に対して5〜80重量部、好ましくは10〜70重量部とする。この添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる傾向があり、80重量%を超えると塗膜の平滑性が悪くなることがある。
染料としては、特に限定はされないが、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、インジコイド系、硫化物系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、チアゾール系、メチン系、ニトロ系、ニトロソ系等の染料が挙げられる。これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を組み合わせて使用しても差し支えない。染料の添加量は、染料の種類により隠蔽性が異なるので特に限定はされないが、たとえば、固形分基準でシリコーンレジン100重量部に対して5〜80重量部、好ましくは10〜70重量部とする。この添加量が5重量部未満の場合は隠蔽性が悪くなる傾向があり、80重量部を超えると塗膜の平滑性が悪くなることがある。
なお、レベリング剤、金属粉、ガラス粉、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等も、本発明の効果に悪影響を与えない範囲内で無機塗料組成物に含まれていてもよい。
無機塗料組成物中、全固形分濃度は、塗料全量に対し5重量%以下に調整されていることを要する。塗料の全固形分濃度がこのように薄いため、塗料の保存安定性が向上するとともに、塗膜薄膜化が容易で、塗膜薄膜化により、塗膜のクラックや剥離の発生が防止される。塗料の全固形分濃度は、これらの点で、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。また、染料の全固形分濃度の下限は、好ましくは0.001重量%、より好ましくは0.01重量%である。塗料の全固形分濃度が0.001重量%より低いと、塗料としての機能が出にくかったり何層もコーティングしなければならなかったりする傾向があり、好ましくない。
上記濃度の調整に用いられる希釈溶剤は、シリコーンレジン(光半導体材料を用いる場合はさらに光半導体材料)と混合可能なものであれば特に限定はされないが、たとえば、各種有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の種類は、シリコーンレジンの各成分の有する1価炭化水素基の種類、または、シリコーンレジンの各成分の分子量の大きさ等に応じて適宜選定することができる。
このような有機溶媒としては、特に限定はされないが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;および、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム、ジアセトンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上を使用することができる。
無機塗料組成物を製造する方法は、特に限定はされず、各成分を通常の方法および装置等を用いて混合すればよい。塗料に導入する際の各成分の形態についても、それ自身液状のものや、溶媒に溶解してなる溶液、分散媒中に分散してなる分散液等の液状、粉体等の固体状等を問わず、特に限定はされない。
各成分を溶液または分散液の形で導入する場合、その溶媒または分散媒としては、たとえば、水、上述の有機溶媒、または、水と上述の有機溶媒との混合物を使用できる。また、各成分は、別個に添加してもよいし、あるいは、2成分以上を予め混合しておいてから残りの成分と混合したり、全成分を同時に混合したりしてもよく、その添加や混合の時機等についても特に限定はされない。
無機塗料組成物は、例えば、無機材料の親水性溶液であって、その無機材料が重合性成分として4官能性アルコキシシランのみを含有する親水性溶液を調製し、この親水性溶液中で4官能性アルコキシシランを加水分解重縮合させて調製してもよい。ただし、加水分解縮合の際に、非重合性の他の無機材料が親水性溶液中に存在することは差し支えない。
4官能性アルコキシシランの加水分解縮合は、たとえば、上記親水性溶液に硬化剤としての水および必要に応じて触媒(たとえば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸および無機酸等の1種または2種以上)等を必要量添加して(必要に応じ加温(たとえば、40〜100℃)してもよい)行わせることができる。
得られるシリコーンレジン(プレポリマー)の重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で、好ましくは800以上、より好ましくは850以上、さらに好ましくは900以上になるように調整する。シリコーンレジンの分子量分布(重量平均分子量(Mw))が800より小さいときは、被覆層が硬化する際、シリコーンレジンの収縮が大きくて、硬化後に塗膜にクラックが発生する怖れがある。
また、硬化剤としての水の量は、4官能性アルコキシシランのアルコキシ基1モル当量当たり、水0.01〜3.0モルが好ましく、1.0〜2.5モルがより好ましい。
4官能性アルコキシシランの加水分解重縮合反応の際に用いられる希釈溶剤(反応溶媒)としては、コロイダルシリカの分散溶媒の具体例として前述したものを使用可能である。
また、シリコーンレジンのpHは3.8〜6の範囲内に調整されていることが好ましい。pHがこの範囲内であれば、前記の分子量の範囲内で、安定してシリコーンレジンを使用することができる。pHがこの範囲外であると、シリコーンレジンの安定性が悪いため、塗料調製時からの使用できる期間が限られてしまう。
pH調整方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、シリコーンレジンの原料混合時、pHが3.8未満となった場合は、たとえば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて前記範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた場合も、たとえば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すればよい。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆に反応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間がかかる場合は、シリコーンレジンを加熱して反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応を進めた後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
無機塗料組成物を基材1の表面に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコートとも言う)、ロールコート、フローコート(基材1の被塗装部位の上部から塗料を流して塗装する流し塗り塗装法)、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、バーコート等の通常の各種塗布方法を選択することができる。
基材1の表面上に形成された無機塗料組成物の塗布層は、低温加熱するか、あるいは、常温放置することにより、シリコーンレジンの有する加水分解性基同士が縮合反応して硬化塗膜とすることができる。このような無機塗料組成物は、常温で硬化するときにも湿度の影響をほとんど受けない。また、加熱処理を行えば、縮合反応を促進して硬化塗膜を形成することができる。
塗布層の硬化方法については、公知の方法を用いればよく、特に限定はされない。また、硬化の際の温度も特に限定はされず、所望される硬化塗膜性能や、光半導体材料および基材1の耐熱性等に応じて常温〜加熱温度の広い範囲をとることができる。なお、基材1の種類によっては500〜700℃程度で焼成することも可能であり、その場合、シリカの超微粒子が表層に配置されたシリカ超微粒子層4を形成することも可能である。
形成される硬化塗膜の厚みは、クラックや剥離が発生しないためには、0.01〜0.5μm程度であればよいが、塗膜の各種機能をより効果的に発揮させたり常温での硬化時間をより短くしたりするとともに、硬化塗膜が長期的に安定に密着、保持されるためには、0.01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。
〈模様層2〉
このような親水性処理を施した後、基材1の親水性処理が施された面に対して、水性インクを印刷塗布して模様層2が形成される。
水性インクとしては従来から知られている顔料を分散剤で分散した顔料インクも使用可能であるが、インクジェット塗装では顔料濃度を高めることが困難で、かつバインダー樹脂量も少ないことから印刷物の色合いが暗くなりやすく、装飾材としての品位が著しく減少しやすい。このような観点からは、少なくとも一部が塩基で中和された酸基を有する皮膜形成性樹脂によって顔料粒子が被覆された着色樹脂粒子水性分散体からなる水性顔料タイプのインクが、優れた耐候性と共に色再現範囲が広く、高い印刷品位を得ることが可能なことから好適である。
上述した水性インクに用いる顔料は特に限定されるものはなく、例えばカーボンブラック、チタンブラック、チタンホワイト、硫化亜鉛、ベンガラ等の無機顔料や、フタロシアニン顔料、モノアゾ系、ジスアゾ系等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料がある。かかる顔料の使用量(含有量)は、特に規定されないが、水性インク中で0.5〜10重量%となるような量が好ましい。
水性インクの印刷塗布は適宜の手法を用いることができるが、好ましくはインクジェット塗装により印刷塗布する。
インクジェット塗装を行うために用いる塗装装置としては、図2に示すものを挙げることができる。この塗装装置は、噴射ノズル10を設けた塗装ノズルヘッド11、塗装ノズルヘッド11の噴射ノズル10にインクを供給するインク供給タンク12、塗装ノズルヘッド11の噴射ノズル10からのインクの噴射を制御する塗装制御システム13などを設けたインクジェット式塗装機14と、基材1を搬送する搬送手段15とを備えて形成されるものである。
塗装ノズルヘッド11はインクジェット式塗装機14の下端に設けられているものであり、建築板1の送り方向と垂直な方向に長いラインヘッドとして形成してある。
塗装ノズルヘッド11はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインクを噴出する4種類の塗装ノズルヘッド11y,11c,11m,11kから形成してあり、フルカラー印刷による塗装を行うことができるようにしてある。塗装ノズルヘッド11の個数はこれに限られず、使用するインクの種類に応じた個数が設けられる。インク供給タンク12も同様に4種類のものからなるものであり、イエローのインクを供給するインク供給タンク12yは塗装ノズルヘッド11yに、シアンのインクを供給するインク供給タンク12cは塗装ノズルヘッド11cに、マゼンタのインクを供給するインク供給タンク12mは塗装ノズルヘッド11mに、ブラックのインクを供給するインク供給タンク12kは塗装ノズルヘッド11kにそれぞれ接続してある。そして各塗装ノズルヘッド11y,11c,11m,11kは基材1の搬送方向に沿って配列してある。
塗装制御システム13は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成されるものであり、塗装データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備えて形成してある。塗装データ作成部は、原画をスキャナ等して得た色柄パターンのデータを入力して保存するものであり、塗装制御部は、塗装を行う建築板1に応じた色柄パターンのデータを塗装データ作成部から取り出し、この色柄パターンのデータに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力するものである。また噴射ノズル制御部は塗装ノズルヘッド11y,1c,11m,11kの各噴射ノズル10に接続してあり、噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて各噴射ノズル10を制御するものである。各噴射ノズル10は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザ光を照射する制御方式により噴射を制御されるようになっており、噴射ノズル制御部で各噴射ノズル10を制御することによって、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各インクの噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。
搬送手段15はタイミングベルトなどの無限帯状のベルト16をプーリ17間に懸架したベルトコンベア15aで形成することができ、インクジェット式塗装機14の下側に配置されるものである。
インクジェット塗装を行うにあたっては、まず搬送手段5に基材1を供給する。このとき、複数の基材1を順次間隔をあけて搬送することができる。
このように搬送手段5にて搬送される基材1は、塗装ノズルヘッド11の下方を通過する。このとき塗装ノズルヘッド11から基材1上のインク受理層4に向けてインクがインクジェット方式で噴射されて塗装が施され、意匠模様が付与された建築板1が得られる。
このようにして親水性処理がなされた基材1に対して水性インクを印刷塗布して模様層2を形成すると、模様層2を構成する水性インクは基材1の表面に弾かれることなく付着し、水性インクを基材1の表面に定着させることができることとなる。
また、基材1に有機バインダーを含むインク受理層を形成することなく水性インクを定着させることができるため、形成される建材に紫外線が照射されてもインク受理層を設けた場合のような有機バインダーの劣化による黄変が生じるようなことがなく、インクジェット塗装にて形成された意匠模様の外観が悪化することがなくなって、耐候性が向上するものである。
また、インク受理層を設けていないため、インク受理層により透明性が損なわれることもなくなる。このため、基材1としてガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等から形成される透明性の高いもの、好ましくは可視光透過率が80%以上のものを用いると、全体として透明な建材を形成することができると共にこの建材に意匠模様を付与することができる。このとき特に基材1の可視光透過率が80%以上であると、透明性が特に優れた建材を得ることができる。
また、基材1にインクジェット塗装を施した後、更に必要に応じて、表面保護用のクリアー層6(有機クリアー層)を形成することもできる。クリアー層6は適宜のクリアー塗料を塗布成膜することにより形成することができ、例えばアクリル系エマルション等を用い、これをスプレー等にて塗布した後、100〜150℃で30秒以上加熱乾燥することにより成膜して、クリアー層6を形成することができる。このクリアー層6の厚みは特に制限されないが、5〜100μmの範囲であることが好ましい。
このようにクリアー層6を形成しても、インクジェット塗装による水性インクは基材1の表面に広がって定着されているため、この水性インクがクリアー層6に押しつぶされて滲むようなことがなく、このため鮮明な意匠模様が維持されることとなる。
また、この建材には更に無機質塗料層7(無機クリアー層)を形成することもできる。無機質塗料層7はクリアー層6の表面に無機質塗料を塗布成膜することで形成することができ、これにより建材の耐候性を向上することができる。
無機質塗料としては適宜のものを用いることができるが、例えばオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液に、ポリオルガノシロキサンや、アルキルチタン酸塩等の縮合反応触媒を加え、或いは更にシリカを加えたケイ素アルコキシド系塗料等を用いることができる。
具体的には、例えば下記式〔8〕で表わされる加水分解性オルガノシランを有機溶媒または水に分散されたコロイダルシリカ中で、X1モルに対し水0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解してなる、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液(A成分)と、下記式〔9〕で表わされ、この式〔9〕中のRにフェニル基を全R基に対して1〜30モル%含有するポリオルガノシロキサン(B成分)と、このA成分とB成分との縮合反応を促進する触媒とを必須成分とし、A成分においてシリカを固形分として5〜95重量%含有し、加水分解性オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1のオルガノシランで、A成分1〜99重量部に対してB成分99〜1重量部が配合されている無機質塗料を用いることができる。
SiX4−n…〔8〕
(式中、Rは同一または異種の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ハロゲン置換炭化水素基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基およびγ−メルカプトプロピル基からなる群より選ばれる、炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、nは0〜3の整数、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる加水分解性基を示す。)
Si(OH)(4−a−b)/2…〔9〕
(式中、Rは同一または異種の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ハロゲン置換炭化水素基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基およびγ−メルカプトプロピル基からなる群より選ばれる、炭素数1〜8の1価炭化水素基を示し、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。)
このような無機質塗料を静電塗装等して塗布した後、例えば60〜120℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、無機質塗料層7を形成することができる。この無機質塗料層7の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
また、更に光触媒層8(光触媒含有無機クリアー層)を形成することも好ましい。光触媒層8は、無機質塗料層7の表面に光触媒を含有する無機質塗料を塗布成膜することで形成することができ、これにより建材の防汚性を向上することができる。光触媒を含有する無機質塗料としては適宜のものを用いることができるが、例えば上記のようなケイ素アルコキシド系塗料に酸化チタン等の光触媒を加えたもの等を用いることができる。具体的には、既述の光触媒塗膜3を形成するための塗料と同様の塗料を用いることができる。このような塗料をスプレー塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等することにより成膜して、光触媒層8を形成することができる。この光触媒層8の厚みは特に制限されないが、0.2〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳述する。尚、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、測定機種HLC8020(東ソー株式会社製)を用いて測定し、標準ポリスチレンの検量線から求めた値である。
(実施例1)
基材1としてポリカーボネート樹脂板(筒中プラスチック工業株式会社製の「ポリカエースECK100L」;光透過率89%)を用い、この基材1に対して次のようにして親水性処理として光触媒塗膜3を形成する処理を行った。
まず、銀を担持した酸化チタン粉末を次のようにして作製した。酸化チタン粉末(日本アエロジル株式会社製:商品名P−25)を水に1重量%(以下%と記す)の水溶液になるよう分散した後に、この酸化チタン粉末に対し銀が5%の割合となるよう硝酸銀を添加し、紫外線を3時間照射し、酸化チタンの表面に銀を担持させた。その後、乾燥し、銀を担持した酸化チタン粉末を得た。
次に、メチルトリメトキシシラン100重量部に、IPAオルガノシリカゾル(触媒化成株式会社製:商品名OSCAL1432)を60重量部、イソプロピルアルコール(IPA)を100重量部混合した後に、水60重量部を添加し、攪拌し、60℃の恒温槽中で重量平均分子量をMw=950に調製した。この調製した液に、上記銀を担持した酸化チタン粉末を20重量部添加し、無機塗料を得た。
得られた無機塗料を、基材1に塗布し、温度120℃で20分間乾燥した。当該加熱温度は、基材1がポリカーボネート樹脂製であるため、この基材1への影響を考慮して決定した。硬化後の光触媒塗膜3の膜厚は10μmであった。
このようにして親水性処理を施した基材1の表面の水の接触角を測定したところ、35°であった。
次に、この基材1の光触媒塗膜3を形成した面に、株式会社マスターマインド製のインクジェットプリンタ「MMP13000」を用いてインクジェット塗装を施し、建材を作製した。このとき、インクとしてはセイコーエプソン株式会社製の水性顔料系インクであるブラックインク「ICMB25」、イエローインク「ICY25」、グレーインク「ICGY25」、ライトマゼンタインク「ICLM25」、マゼンタインク「ICM25」、ライトシアンインク「ICLC25」及びシアンインク「ICC25」の7色のインクを用いた
次いで、クリアー層6を形成した。このクリアー層6は、アクリル系エマルションをベースにしたアクリル樹脂塗料をスプレー塗装し、120℃で5分乾燥焼付けすることで、乾燥後塗膜厚みが20μmとなるように形成した。
次いで、無機質塗料層7を次のように形成した。
まず攪拌機、加温ジャケット、コンデンサーおよび温度計を取付けたフラスコ中にメタノール分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製「MA−ST」;粒子径10〜20mμ、固形分30%)100重量部、メチルトリメトキシシラン68重量部、水10.8重量部を投入して攪拌しながら65℃の温度で約5時間かけて部分加水分解反応を行い冷却し、固形分が36%のA成分を調製した。
また、攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を取付けたフラスコにメチルトリイソプロポキシシラン220重量部とトルエン150重量部との混合液を計り取り、1%塩酸水溶液108部を上記混合液に20分で滴下してメチルトリイソプロポキシシランを加水分解した。滴下40分後に攪拌を止め、二層に分離した少量の塩酸を含んだ下層の水・イソプロピルアルコールの混合液を分液し、次に残ったトルエンの樹脂溶液の塩酸を水洗で除去し、さらにトルエンを減圧除去した後、イソプロピルアルコールで希釈し平均分子量約2000のシラノール基含有オルガノポリシロキサンのイソプロピルアルコール40%溶液であるB成分を調製した。
また、C成分として、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランを用いた。
そして、上記A成分を70重量部、B成分を30重量、C成分を1部を混合攪拌し、これをスプレー塗布し、120℃で30分間硬化させて、厚み10μmの無機質塗料層7を形成した。
更に、光触媒を含有する無機質塗料として松下電工(株)製「フレッセラPS1000」を用い、これをスプレー塗布した後、常温で乾燥硬化して、膜厚0.4μmの光触媒層8を形成した。
(実施例2)
実施例1と同一の基材1に対し、界面活性剤(住友スリーエム株式会社製の「3M ノベックFC4432」)、イソプロピルアルコール(IPA)100重量部に対して0.5重量部添加したものを、スプレーで湿潤塗膜量で30g/m2塗布し、常温乾燥することで、界面活性剤処理を施した。
このようにして親水性処理を施した基材1の表面の水の接触角を測定したところ、40°であった。
次いで、実施例1と同様にインクジェット塗装による模様層2の形成、クリアー層6の形成、無機質塗料層7の形成及び光触媒層8の形成を行った。
(実施例3)
実施例1と同一の基材1に対し、親水性処理として次のようにアルコキシシラン縮合コーティングを施した。
テトラエトキシシラン50重量部、テトライソプロポキシシラン50重量部、酸性コロイダルシリカであるイソプロパノール分散オルガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」。触媒化成工業(株)製、固形分30%)100重量部に、希釈溶媒としてイソプロパノール75重量部を混合し、更に、水100重量部を添加し、撹拌した。得られた液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生成物である加水分解重縮合物の重量平均分子量(Mw)を1500〜1800に調整して加水分解重縮合物のアルコール溶液を得た。この溶液に希釈溶媒としてさらにイソプロパノール1000重量部を添加混合することにより、無機塗料組成物を得た。この塗料において、塗料全量に対する全固形分濃度は、4.1%であった。
この調製して間もない無機塗料組成物を、アセトンで洗浄した基材1にスプレー塗装法により塗布し、塗膜を室温下で0.5時間乾燥硬化させた後、150℃で1時間焼成することにより、厚み0.2μmのアルコキシシラン縮合コーティングを形成した。
このようにして親水性処理を施した基材1の表面の水の接触角を測定したところ、20°であった。
次いで、実施例1と同様にインクジェット塗装による模様層2の形成、クリアー層6の形成、無機質塗料層7の形成及び光触媒層8の形成を行った。
(比較例1)
実施例1と同一の基材1に対し、インク受理層を形成した。インク受理層は、アクリル系エマルション樹脂を70重量部、吸湿性樹脂(インキ吸収性ポリマー)としてポリビニルアルコールを30重量部、白色顔料として酸化チタンを100重量部(PWC=50%)を含む受理層形成用組成物を塗布成膜して、厚み30μmに形成した。
次いで、実施例1と同様にインクジェット塗装による模様層2の形成、クリアー層6の形成、無機質塗料層7の形成及び光触媒層8の形成を行った。
(比較例2)
実施例1と同一の基材1に対し、何ら処理を施すことなく、カッティングシートとして住友スリーエム株式会社製の「スコッチカル」を貼着した。
(付着性評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた建材に対し、JIS K5600に規定されるキセノンウエザオメーターを用いた促進耐候性試験を3000時間行った後、JIS K5600で規定されるクロスカット(1mm幅5×5マス)によるセロハン粘着テープを用いた剥離試験をおこなった。
その結果、実施例1〜3ではカットの縁が滑らかでどのマスにも剥がれは見られなかった。比較例1ではカットに関わらず全てのマスが剥がれた。比較例2では剥離試験を行うまでもなく、カッティングシートに剥がれが生じた。このように、実施例1〜3では優れた付着性を有するものであるのに対して、比較例1では塗膜のクラック発生と基材との層間剥離が生じ、付着性に劣るものであった。
(外観評価)
また、実施例1〜3及び比較例1〜2につき、上記付着性評価時の同様の促進耐候性試験を行った後の建材を目視で観察し、外観の評価を行った。
この結果、実施例1〜3では外観に変化が認められず、いずれも外観が良好なものであった。比較例1ではクラックが発生していたものの印刷の色劣化は見られなかった。比較例2ではカッティングシートの剥がれが生じた。
本発明で得られる建材の一例を示す断面図である。 インクジェット塗装装置の一例を示す概略の側面図である。
符号の説明
1 基材
2 模様層
3 光触媒塗膜
5 アルコキシシラン縮合体コーティング
6 クリアー層
7 無機質塗料層
8 光触媒層

Claims (5)

  1. 基材表面に親水性処理を施した後、水性インクを塗布して模様層を形成し、模様層に対してクリアー層、無機質塗料層及び光触媒層を順次積層して設けて成ることを特徴とする建材。
  2. 上記親水性処理が、基材の表面に光触媒塗膜を形成する処理であることを特徴とする請求項1に記載の建材。
  3. 上記親水性処理が、界面活性剤による表面処理であることを特徴とする請求項1に記載の建材。
  4. 上記親水性処理が、基材の表面にアルコキシシラン縮合体コーティングを施す処理であることを特徴とする請求項1に記載の建材。
  5. 基材が可視光透過率80%以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の建材。
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