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JP4879183B2 - データ送信装置、及びデータ受信装置 - Google Patents
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JP4879183B2 - データ送信装置、及びデータ受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、第3者による不法な盗聴・傍受を防ぐ秘密通信を行う装置に関する。より特定的には、正規の送受信者間で、特定の符号化/復号化(変調/復調)方式を選択・設定してデータ通信を行う装置に関する。
従来、特定者同志でのみ通信を行うためには、送信/受信間で符号化/復号化のための元情報(鍵情報)を共有し、当該情報に基づいて、伝送すべき情報データ(平文)を数学的に演算/逆演算することにより秘密通信を実現する構成が採用されている。図28は、当該構成に基づく、従来のデータ送信装置の構成を示すブロック図である。図28において、従来のデータ通信装置は、データ送信装置90001と、伝送路913と、データ受信装置90002とで構成される。データ送信装置90001は、符号化部911と、変調部912とからなる。データ受信装置90002は、復調部914と、復号化部915とからなる。ここで、符号化部911に情報データ90と第1の鍵情報91とを入力し、復号化部915に第2の鍵情報96を入力すると、復号化部915から情報データ98が出力される。さらに、第3者による盗聴行為を説明するため、図28は、盗聴者復調部916と、盗聴者復号化部917とからなる盗聴者データ受信装置90003を含むものとする。盗聴者復号化部917には、第3の鍵情報99が入力される。以下に、図28を参照しながら、従来のデータ通信装置の動作を説明する。
データ送信装置90001において、符号化部911は、情報データ90を、第1の鍵情報91に基づいて符号化(暗号化)する。変調部912は、符号化部911で暗号化された情報データを所定の変調形式の変調信号94に変換して伝送路913に送出する。データ受信装置90002において、復調部914は、伝送路913を介して伝送されてきた変調信号94を所定の復調方式で復調し、暗号化された情報データを出力する。復号化部915は、符号化部911との間で共有した第1の鍵情報91と同一の第2の鍵情報96に基づいて、暗号化された情報データを復号化(暗号解読)して、元の情報データ98を出力する。
盗聴者データ受信装置90003は、データ送信装置90001とデータ受信装置90002との間で伝送される変調信号(情報データ)を盗聴するに当たり、盗聴者復調部916が、伝送路913を伝搬する変調信号の一部を分岐、入力し、所定の復調方式で復調し、盗聴者復号化部917が第3の鍵情報99に基づいて復号化を試みる。ここで、盗聴者復号化部917は、符号化部911との間で鍵情報を共有していないものとする。即ち、盗聴者復号化部917は、第1の鍵情報91と異なる第3の鍵情報99に基づき復号化を行うため、元の情報データを正しく再生することができない。
このような数学的な演算に基づく数理暗号(または、計算暗号、ソフトウェア暗号とも呼ばれる)技術は、例えば、特許文献1の公報にも記されているように、アクセスシステム等に適用できる。即ち、1つの光送信器から送出された光信号を光カプラで分岐し、複数の光加入者宅の光受信器にそれぞれ配信するPON(Passive Optical Network)構成では、各光受信器に、所望の光信号以外の他加入者に向けた信号が入力される。そこで、互いに異なる鍵情報を用いて、加入者毎の情報データを暗号化することによって、互いの情報の漏洩・盗聴を防ぎ、安全なデータ通信を実現することができる。
特開平9−205420号公報 石橋啓一郎他訳、「暗号とネットワークセキュリティ:理論と実際」、ピアソン・エデュケーション、2001年 安達真弓他訳、「暗号技術大全」、ソフトバンクパブリッシング、2003年
数理暗号の中でも、ストリーム暗号と呼ばれる方式は、疑似乱数発生器の出力である疑似乱数系列と暗号化したいデータ(平文)をXOR演算することにより暗号文を生成するという簡易な構成をとっているため、高速化に有利であるという利点を持つ。その一方で、ストリーム暗号の安全性は乱数発生器のみに依存している。すなわち、盗聴者が何らかの方法で平文と暗号文との組合せを入手できれば、疑似乱数系列を正確に知ることができる(これは一般に既知平文攻撃と呼ばれる)。さらに、疑似乱数発生器の初期値、すなわち鍵情報と疑似乱数系列とは一意に対応付けられているため、何らかの解読アルゴリズムを適用すれば鍵情報を確実に求めることができる。さらに、計算機の処理速度は近年著しく向上しているため、現実的な時間内で解読される危険性が高まっているという問題点があった。
それ故に、本発明においては、鍵情報と疑似乱数系列、暗号文の相互の関係に不確定な要素を導入することにより、従来のストリーム暗号と比較して盗聴者が暗号文の解析に要する労力、すなわち計算量を増大させ、秘匿性の高いデータ通信装置を提供することを目的とする。
本発明は、暗号化通信を行うデータ送信装置に向けられている。そして、上記目的を達成させるために、本発明のデータ送信装置は、多値符号化部と変調部とを備える。多値符号化部は、予め定められた所定の鍵情報と情報データとを入力し、信号レベルが略乱数的に変化する多値信号を発生する。変調部は、多値信号に基づいて、所定の変調形式の変調信号を発生する。
多値符号化部は、多値符号発生部と多値処理部とを備える。多値符号発生部は、所定の鍵情報から信号レベルが略乱数的に変化する多値符号列を発生する。多値処理部は、所定の処理に従って、多値符号列と情報データとを合成し、多値符号列と情報データのレベルの組み合わせに対応した信号レベルを有する多値信号を生成する。
多値符号発生部は、乱数発生部と、反転ビット選択部と、乱数列ビット反転部と、多値変換部とを有する。乱数発生部は、所定の鍵情報に基づいて、複数の乱数列を発生する。反転ビット選択部は、複数の乱数列のうちビット反転させる乱数列を指定する反転ビット選択信号を出力する。乱数列ビット反転部は、反転ビット選択信号の値に応じて、複数の乱数列のうち1つ以上の乱数列のビットを反転させて出力する。多値変換部は、ビット反転させた乱数列を含む複数の乱数列を、多値符号列に変換する。
乱数列ビット反転部において反転されるビットは、情報データの振幅に相当する情報振幅と、反転されるビットに相当する多値信号の変動幅との比が、正規受信者の許容できる信号対雑音比よりも大きいという条件を満足する。
乱数列ビット反転部において反転されるビットは、最下位ビットを除くビットから選択される。
好ましくは、反転ビット選択部は、所定の乱数であるビット選択用乱数を発生する乱数発生部と、ビット選択用乱数の値に基づいて、ビット選択用乱数を反転ビット選択信号に変換する選択信号変換部とからなる。
乱数発生部で発生するビット選択用乱数は、真性乱数である。また、多値符号列のビット数は、鍵情報のビット数以下に設定される。
また、本発明は、暗号通信を行うデータ受信装置にも向けられている。そして、上記目的を達成するために、本発明のデータ受信装置は、所定の変調形式の変調信号を復調し、多値信号を出力する復調部と、予め定められた所定の鍵情報と多値信号とに基づいて、情報データを出力する多値復号化部とを備える。多値復号化部は、鍵情報から信号レベルが略乱数的に変化する多値符号列を発生する多値符号発生部と、多値信号を多値符号列に基づいて識別し、情報データを出力する多値識別部とを含む。多値符号発生部は、鍵情報に基づいて、複数の乱数列を発生する乱数発生部と、複数の乱数列を多値符号列に変換する多値変換部とを有する。
多値変換部には、複数の乱数列のうち上位ビットのみが入力され、下位ビットとして固定値が入力されてもよい。
好ましくは、情報データの振幅に相当する情報振幅と、下位ビットに相当する多値信号の変動幅との比が、正規受信者の許容できる信号対雑音比よりも大きいという条件を満足する。
本発明のデータ通信装置は、鍵情報に基づいて情報データを多値信号に符号化・変調して送信し、受信した多値信号を同一の鍵情報に基づいて復調・符号化し、多値信号の信号対雑音電力比を適正化することにより、盗聴者が入手する暗号文に誤りを与える。これにより、盗聴者は、正しい暗号文が、自らが入手したものと異なる可能性を考慮して解読処理を行う必要があるため、誤りが無い場合と比較して解読処理に要する試行回数、すなわち計算量が増大し、盗聴に対する安全性を向上させることができる。
さらに、多値信号の値を決定する乱数列の一部に対して故意にビット反転を与えることにより、乱数列を生成するために必要な乱数発生器の初期値、すなわち鍵情報を盗聴者が特定することを極めて困難にできるため、多値信号の多値数が比較的少ない場合でも高い秘匿性を保つことができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図である。図1において、データ通信装置は、多値符号化部111と、変調部112と、伝送路110と、復調部211と、多値復号化部212とで構成される。多値符号化部111は、第1の多値符号発生部111aと、多値処理部111bとからなる。多値復号化部212は、第2の多値符号発生部212aと、多値識別部212bとからなる。また、多値符号化部111と変調部112とでデータ送信装置10101を構成し、復調部211と多値復号化部212とでデータ受信装置10201を構成する。伝送路110には、LANケーブルや同軸ケーブル等の金属路線や、光ファイバケーブル等の光導波路を用いることができる。また、伝送路110は、LANケーブル等の有線ケーブルに限られず、無線信号を伝搬する自由な空間であってもよい。なお、図2および図3に、変調部112から出力される変調信号波形を説明するための模式図を示す。以下に、第1の実施形態について、図2および図3を用いながら、その動作を説明する。
第1の多値符号発生部111aは、予め定められた所定の第1の鍵情報11に基づいて、信号レベルが略乱数的に変化する多値符号列12(図2(b))を発生する。多値処理部111bは、多値符号列12と情報データ10(図2(a))とを入力し、所定の手順に従って両信号を合成し、当該信号レベルの組み合わせに対応したレベルを有する多値信号13(図2(c))を生成し、出力する。例えば、図2では、多値符号列12がタイムスロットt1/t2/t3/t4に対して当該レベルがc1/c5/c3/c4と変化し、これをバイアスレベルとして、情報データ10を加算することで、L1/L8/L6/L4と変化する多値信号13を生成する。ここで、図3に示すように、情報データ10の振幅を“情報振幅”、多値信号13の全振幅を“多値信号振幅”、各バイアスレベル(多値符号列12のレベル)c1/c2/c3/c4/c5に対応して、多値信号13が取り得るレベルの組(L1、L4)/(L2、L5)/(L3、L6)/(L4、L7)/(L5、L8)を、第1〜第5の“基底”、多値信号13の最小信号点間距離を“ステップ幅”とそれぞれ呼称する。変調部112は、多値信号13を元データとして、所定の変調形式の変調信号14に変換して、伝送路110に送出する。
復調部211は、伝送路110を介して伝送されてきた変調信号14を復調し、上述した多値信号15を再生する。第2の多値符号発生部212aは、第1の鍵情報11と同一の第2の鍵情報16を予め共有し、当該第2の鍵情報16に基づいて、多値符号列12に相当する多値符号列17を発生する。多値識別部212bは、多値符号列17を閾値として、多値信号15の識別(2値判定)を行い、情報データ18を再生する。ここで、変調部112と復調部211とが、伝送路110を介して送受信する所定の変調形式の変調信号14は、電磁波(電磁界)または光波を多値信号13で変調して得られるものである。
なお、多値処理部111bにおける多値信号13の生成については、上述のように、多値符号列12と情報データ10の加算処理による方法以外に、情報データ10に従って、多値符号列12のレベルを振幅変調/制御する方法や、あるいは、両信号レベルの組み合わせに対応した多値信号レベルを予め記憶させたメモリから、両信号レベルに応じて逐次読み出す方法等、いかなる手順であっても構わない。
図2および図3では、多値信号の多値数を“8”として表記したが、これに限定されるものではなく、それより大きくても小さくても良い。また、情報振幅を多値信号のステップ幅の3倍、もしくは整数倍として表記したが、いかなる奇数倍や偶数倍であっても良い。また、情報振幅は多値信号のステップ幅の整数倍でなくても構わない。さらに、これに関連して、図2および図3では、多値符号列の各レベル(各バイアスレベル)が、多値信号の各レベル間の略中心になるよう配置したが、これに限定されるものではなく、多値符号列の各レベルは、多値信号の各レベル間の略中心でなくても良いし、あるいは多値信号の各レベルに一致しても構わない。また、多値符号列と情報データとの変化レートが互いに等しく同期関係にあることを前提としたが、この限りではなく、一方の変化レートが他方より高速(または低速)であっても良いし、非同期であっても構わない。
次に、第3者による、変調信号の盗聴動作について説明する。当該第3者は、正規の受信者が備えるデータ受信装置10201に準じた構成、もしくはさらに高性能なデータ受信装置(例えば、盗聴者データ受信装置)を用いて、変調信号を受信、解読することが想定される。盗聴者データ受信装置において、復調部(盗聴者復調部)は、変調信号を復調することにより、多値信号を再生する。しかし、多値復号化部(盗聴者多値復号化部)は、データ送信装置10101との間で第1の鍵情報11を共有しないため、データ受信装置10201のように、当該鍵情報から発生した多値符号列を基準とした多値信号の2値判定を行うことができない。このような場合に考え得る盗聴動作としては、多値信号の全レベルに対する識別を同時に行う方法(一般に「総当たり攻撃」と呼ばれる)がある。即ち、盗聴者は、多値信号が取り得る全ての信号点間に対する閾値を用意して同時判定を行い、当該判定結果を解析することにより、正しい鍵情報または情報データを抽出する。例えば、盗聴者は、図2に示した多値符号列のレベルc0/c1/c2/c3/c4/c5/c6を閾値として用いて、多値信号に対する多値判定を行うことにより、当該レベルを同定する。
しかしながら、実際の伝送系では、種々の要因により雑音が発生し、これが変調信号に重畳されることによって、多値信号のレベルは、図4に示すように時間的・瞬時的に変動する。このような場合、正規受信者(データ受信装置10201)による2値判定動作における被判定信号のSN比(信号対雑音強度比)が、多値信号中の情報振幅と雑音量の比で決まるのに対して、盗聴者データ受信装置による多値判定動作における被判定信号のSN被は、多値信号のステップ幅と雑音量との比によって決まる。このため、被判定信号が有する雑音レベルが同一条件下においては、盗聴者データ受信装置における被判定信号のSN比が相対的に小さくなり、伝送特性(誤り率)が劣化することになる。即ち、第3者の全閾値による総当たり攻撃に対して識別誤りを誘発させて、盗聴を困難にすることができる。特に、多値信号のステップ幅を、当該雑音振幅(雑音強度分布の拡がり)に対して同オーダ、もしくは、より小さく設定すれば、第3者による多値判定を事実上不可能にして、理想的な盗聴防止を実現できる。
なお、上述のように被判定信号(多値信号、または変調信号)に重畳される雑音としては、変調信号に無線信号等の電磁波を用いた場合は、空間場や電子部品等が有する熱雑音(ガウス性雑音)を、光波を用いた場合は、熱雑音に加えて、光子が発生する際の光子数ゆらぎ(量子雑音)を、それぞれ利用できる。特に、量子雑音を伴った信号には、その記録や複製等の信号処理が適用できないことから、当該雑音量を基準に多値信号のステップ幅を設定することによって、第3者による盗聴を不可能として、データ通信の絶対的な安全性を確保することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、伝送すべき情報データを多値信号として符号化し、当該信号点間距離を、当該雑音量に対して適切に設定することにより、第3者による盗聴時の受信信号品質に対して決定的な劣化を与えて、その解読・復号化を困難にする、安全なデータ通信装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図である。本図において、データ通信装置は、多値符号化部111と、変調部112と、伝送路110と、復調部211と、多値復号化部212と、第1のデータ反転部113と、第2のデータ反転部213とから構成され、図1の構成に対して、第1のデータ反転部113と、第2のデータ反転部213を新たに備える点が異なっている。また、多値符号化部111と、変調部112と、第1のデータ反転部113とで、データ送信装置10102を構成し、復調部211と、多値復号化部212と、第2のデータ反転部213とで、データ受信装置10202を構成する。以下に、本実施形態の動作を説明する。
本実施形態の構成は、前述の第1の実施形態(図1)に準ずるため、同一の動作を行うブロックに関しては、同一の参照符号を付して、その説明を省略し、相違点のみを説明する。その構成において、第1のデータ反転部113は、情報データが有する“0”と“1”の情報と、LowレベルとHighレベルとの対応関係を固定せず、所定の手順で当該対応関係を略ランダムに変更する。例えば、多値符号化部111と同様、所定の初期値に基づいて発生させた乱数系列(疑似乱数列)との排他的論理和XOR(Exclusive OR)演算を行い、その演算結果を多値符号化部111に出力する。第2のデータ反転部213は、第1のデータ反転部113と逆の手順で、多値復号化部212から出力されたデータが有する“0”と“1”の情報と、LowレベルとHighレベルとの対応関係を変更する。例えば、第2のデータ反転部213は、第1のデータ反転部113が備える初期値と同一の初期値を共有し、これに基づいて発生させた乱数のビット反転系列と多値符号化部212から出力されたデータとの排他的論理和演算を行い、その結果を情報データとして出力する。
以上説明したように、本実施形態によれば、伝送すべき情報データの反転を略ランダムに行うことにより、暗号としての多値信号の複雑性を大きくして、第3者による解読・復号化をさらに困難とし、より安全なデータ通信装置を提供することができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図である。図6において、データ通信装置は、多値符号化部111と、変調部112と、伝送路110と、復調部211と、多値復号化部212と、雑音制御部114とから構成され、図1の構成に対して、雑音制御部114を新たに備える点が異なっている。さらに、雑音制御部114は、雑音発生部114aと、合成部114bとからなる。また、多値符号化部111と、変調部112と、雑音制御部114とで、データ送信装置10103を構成し、復調部211と、多値復号化部212とで、データ受信装置10201を構成する。以下に、本実施形態の動作を説明する。
本実施形態の構成は、前述の第1の実施形態(図1)に準ずるため、同一の動作を行うブロックに関しては、同一の参照符号を付して、その説明を省略し、相違点のみを説明する。雑音制御部114において、雑音発生部114aは、所定の雑音を発生する。合成部114bは、所定の雑音と多値信号13とを合成して、合成した信号を変調部112に出力する。即ち、雑音制御部114は、図4で説明した多値信号のレベル変動を故意に生じさせて、多値信号のSN比を任意の値に制御し、これにより、多値識別部212bに入力する被判定信号のSN比を制御する。なお、前述したように、雑音発生部114aで発生する雑音としては、熱雑音や量子雑音等が利用される。また、雑音が合成(重畳)された多値信号を雑音重畳多値信号22と呼ぶことにする。
以上説明したように、本実施形態によれば、伝送すべき情報データを多値信号として符号化し、そのSN比を任意に制御することにより、第3者による盗聴時の受信信号品質に対して決定的な劣化を故意に与え、その解読・復号化をさらに困難にする、より安全なデータ通信装置を提供することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係るデータ通信装置の動作を説明する。本実施形態の構成は、前述の第1の実施形態(図1)、または第3の実施形態(図6)に準ずるため、構成図は省略する。第4の実施形態において、多値符号化部111は、図7に示すように、多値信号の各ステップ幅(S1〜S7)を、各レベルの変動量、即ち各レベルに重畳されている雑音強度分布に従い設定する。具体的には、多値識別部212bに入力する被判定信号の隣り合う2つの信号点間で決まるSN比が略一致するように、当該信号点間距離を配分する。なお、各レベルに重畳される雑音量が等しい場合には、各ステップ幅を均等に設定する。
一般に、変調部112から出力される変調信号として、半導体レーザ(LD)を光源とする光強度変調信号を想定した場合、LDに入力する多値信号のレベルに依存して当該変動幅(雑音量)は変化する。これは、半導体レーザが自然放出光を「種光」とした誘導放出の原理に基づいて発光することに起因しており、その雑音量は、誘導放出光量に対する自然放出光量の相対比で定義されている。励起率(LDに注入するバイアス電流に対応)が高い程、誘導放出光量の割合が大きくなるため、その雑音量は小さく、逆に、励起率が低い程、自然放出光量の割合が大きく、雑音量は大きくなる。そこで、図7に示すように、多値信号のレベルが小さい領域ではステップ幅を大きく、レベルが大きい領域では小さく、非線形に設定することにより、被判定信号の隣り合う信号点間のSN比を一致させることができる。
また、変調信号として光変調信号を利用した場合でも、上記の自然放出光による雑音や光受信器に用いる熱雑音が充分小さい条件下では、受信信号のSN比は、主にショット雑音で決定される。当該条件下では、多値信号のレベルが大きい程、当該雑音量が大きくなるため、図7の場合とは逆に、多値信号のレベルが小さい領域ではステップ幅を小さく、レベルが大きい領域では大きく設定することにより、被判定信号の隣り合う信号点間のSN比を一致させる。
以上説明したように、本実施形態によれば、伝送すべき情報データを多値信号として符号化し、当該多値信号の信号点間距離を略均一に配置し、あるいは、瞬時レベルに依らず隣り合う信号点間のSN比を略均一に設定することにより、第3者による盗聴時の受信信号品質を常に劣化させ、その解読・復号化をさらに困難にする、より安全なデータ通信装置を提供することができる。
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図である。図8において、データ通信装置は、データ送信装置24105とデータ受信装置24205とが伝送路110によって接続された構成である。データ送信装置24105は、多値符号化部111と変調部112とを備える。データ受信装置24205は、復調部211と多値復号化部212とを備える。多値符号化部111は、第1の多値符号発生部156aと、多値処理部111bとを含む。多値復号化部212は、第2の多値符号発生部256aと、多値識別部212bとを含む。
図9は、第1の多値符号発生部156aの構成を示すブロック図である。図9において、第1の多値符号発生部156aは、第1の乱数列生成部157と、反転ビット選択部158と、乱数列ビット反転部159と、第1の多値変換部160とを有する。図9では、第1の多値符号発生部156aが発生する多値符号列12のビット数が4ビットである場合の例を示してある。図10は、第2の多値符号発生部256aの構成を示すブロック図である。図10において、第2の多値符号発生部256aは、第2の乱数列生成部257と、第2の多値変換部258とを有する。
例えば、第1の実施形態に係るデータ通信装置においては、多値信号13の最小信号点間距離であるステップ幅が量子ゆらぎのレベルと比較して大きい場合、多値識別の際に生じる誤りが十分発生しない可能性がある。このとき、あるタイムスロットにおいて、本来の多値信号レベルと同じレベルが盗聴者によって誤りなく識別されてしまう可能性がある。このような場合、盗聴者が多値識別によって得る乱数系列のうち、これらのタイムスロットに対応する部分には誤りが含まれないことになり、鍵情報の解読が可能となる恐れがある。本実施形態は、このような場合に対処するためのものである。
まず、本実施形態に係るデータ通信装置の動作を説明する。第1の乱数列生成部157は、第1の鍵情報11に基づいて、第1〜第4の乱数列58a〜58dを発生する。反転ビット選択部158は、所定の規則に基づいて、反転ビット選択信号60を出力する。この所定の規則は、盗聴者が容易に推測できないものであればどのようなものでもよいが、乱数によって決定されることが望ましい。乱数列ビット反転部159は、反転ビット選択信号60に基づいて、第1〜第4の乱数列58a〜58dのうち1つ以上を選択し、選択した乱数列のビットを反転して、第1〜第4の乱数列61a〜61dを出力する。第1の多値変換部160は、第1〜第4の乱数列61a〜61dを多値符号列12に変換する。第1の多値変換部160としては、具体的にはD/Aコンバータを用いることができる。
図11は、第1の多値符号発生部156aの具体的な構成例を示すブロック図である。図11において、第1の乱数列生成部157は、擬似乱数発生部1571と、S/P変換部1572とを持つ。擬似乱数発生部1571は、第1の鍵情報11に基づいて、擬似乱数系列57を発生する。S/P変換部1572は、擬似乱数系列57をシリアル・パラレル変換し、第1〜第4の乱数列58a〜58dとして出力する。
反転ビット選択部158は、ビット選択用乱数発生部1581と、選択信号変換部1582とを持つ。ビット選択用乱数発生部144は、ビット選択用乱数5を発生する。選択信号変換部1582は、ビット選択用乱数59に基づいて、反転ビット選択信号60a及び60bの値を変換する。ビット選択用乱数発生部1581は、人為的な擬似乱数ではなく、物理現象に基づく真性乱数を発生することが望ましい。乱数列ビット反転部159は、排他的論理和(XOR)回路1591及び1592を備える。
XOR回路1591には、第1の乱数列58aと、反転ビット選択信号60aとが入力される。XOR回路1591は、反転ビット選択信号60aが“0”の場合には、入力された第1の乱数列58aをビット反転せずにそのまま出力し、反転ビット選択信号60aが“1”の場合には、第1の乱数列58aをビット反転して出力する。XOR回路1592には、第2の乱数列58bと、反転ビット選択信号60bとが入力される。XOR回路1592の動作も、XOR回路1591と同様である。ただし、反転ビット選択信号60a〜60bのうち少なくとも1つの値は、“1”であることとする。
ここで、第1の多値符号発生部156aの動作について、図11の構成例を前提に、図12を参照しながら詳細に説明する。図12は、第1の多値符号発生部156aにおける信号変化を説明する図である。まず、第1の乱数列生成部157から出力される第1〜第4の乱数列58a〜58dと、ビット選択用乱数発生部1581から出力されるビット選択用乱数59とが、図12に示す値をとる場合について考える。選択信号変換部1582は、入力されるビット選択用乱数59の値が“0”の場合は、反転ビット選択信号60aを“1”とし、反転ビット選択信号60bを“0”とする。また、選択信号変換部1582は、入力されるビット選択用乱数59の値が“1”の場合は、反転ビット選択信号60aを“0”とし、反転ビット選択信号60bを“1”とする。
乱数列ビット反転部159は、反転ビット選択信号60aが“1”の場合は、第1の乱数列58aを反転し、反転ビット選択信号60aが“0”の場合は、第1の乱数列58aをそのまま出力する。また、乱数列ビット反転部159は、反転ビット選択信号60bが“1”の場合は、第2の乱数列58bを反転し、反転ビット選択信号60bが“0”の場合は、第2の乱数列58bをそのまま出力する。この場合、反転ビット選択信号60a、60bと、第1の多値変換部160に入力される第1〜第4の乱数列61a〜61dの値は、図12の表に示した値となる。すなわち、第1〜第4の乱数列61a〜61dの値は、第1〜第4の乱数列58a〜58dの値と比較して、少なくとも1ビットが反転した値となる。
次に、この第1〜第4の乱数列61a〜61dを用いて、多値信号13、及び変調信号14を生成する方法について説明する。図13は、本発明の第5の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する図である。情報データ1が、図13(a)に示す値をとる場合を考える。擬似乱数発生部1571から出力される擬似乱数系列57が、図13(b)に示す値をとる場合、図12で説明した手順により、多値符号列12の値は、図13(d)に示す値をとる。
多値処理部111bは、多値符号列12と情報データ10とを入力し、所定の手順に従って両信号を合成し、当該信号レベルの組み合わせに対応したレベルを有する多値信号13を生成する。図13の例では、多値処理部111bは、情報データ10の値“0、1、1、0”を16倍したものを、多値符号列12の値“10、14、4、11”に加算して、多値信号13として出力する。変調部112は、多値信号13を元データとして、所定の変調形式の変調信号14に変換して、伝送路110に送出する。
復調部211は、伝送路110を介して伝送されてきた変調信号14を復調し、多値信号15として再生する。第2の多値符号発生部256a(図10参照)において、第2の乱数列生成部257は、第1の鍵情報11と同一の第2の鍵情報16を予め共有し、その第2の鍵情報16に基づいて、第1〜第4の乱数列58a〜58dに相当する、第1〜第4の乱数列63a〜63dを発生する。第2の多値変換部258は、第1〜第4の乱数列63a〜63dを多値符号列17に変換し、多値識別部212bへ出力する。多値識別部212bは、多値符号列17に対応した値を識別レベル(図13(e)に破線で表示)として、多値信号15の識別(2値判定)を行い、情報データ18を再生する。
次に、第3者による変調信号14の盗聴動作について説明する。図14は、想定される盗聴者の受信装置の構成を示すブロック図である。盗聴者は、図14に示す受信装置を用いて多値信号の全レベルに対する識別を同時に行い、鍵情報の抽出を試みるものと想定する。図14において、復調部801は、変調信号94を復調し、盗聴多値信号81として出力する。次に、多値判定部802は、盗聴多値信号81を多値判定し、盗聴多値信号81に用いられている基底を特定し、得られた基底に対応する多値符号列の値を盗聴多値符号列82として出力する。パラレル・シリアル変換部803は、盗聴多値符号列82をパラレル・シリアル変換して盗聴乱数系列83として出力する。鍵情報解読部804は、盗聴乱数系列83から数学的な処理によって鍵情報の解読を試みる。
このとき、盗聴者による盗聴多値信号81の多値識別結果は、図13(f)に示すように、本来の多値信号レベルに対して雑音(量子ゆらぎ)による誤りを含んだものとなる。識別の結果として得られる盗聴乱数系列82(10進表記)を図13(g)に示す。これに基づき盗聴乱数系列83(図13(h)参照)を再生すると、その結果は元の擬似乱数系列57と比較して、雑音(量子ゆらぎ)による誤りに加え、乱数列ビット反転部1591、1592におけるビット反転による誤りが加わったものとなる。ここで、値を反転させるビットをどのように選択したかという情報を盗聴者は持っていないため、盗聴者はビット反転による誤りを訂正することができない。さらに、反転させるビットを真性乱数により選択している場合は、盗聴者はそのビットを特定することが完全に不可能となる。しかも、多値符号列12は必ずビット反転されたビットを含むため、ビット反転による誤りは1タイムスロットに1度は必ず発生することになる。よって、量子ゆらぎによる誤りが十分発生しない場合においても、全体としては鍵情報の解読を不可能とするのに十分な誤りを盗聴者に対して与えることができる。
これにより、本実施形態に係るデータ通信装置は、上述したステップ幅を量子ゆらぎよりも大きく取ることが可能となり、多値数、さらには擬似乱数発生部の動作速度への要求を緩和することができる。
なお、上述した説明では、多値符号列12に1ビットのビット反転を与える例を示したが、反転させるビット数は1ビットに限定されず、複数ビットであってもよい。例えば、2ビットを反転させる場合の第1の多値符号発生部156aの具体的構成例を図15に、各部の信号がとる値の例を図16に示す。図15において、乱数列ビット反転部159は、XOR回路1591〜1593を3つ備えており、第1〜第3の乱数列58a〜58cの中から1つまたは2つを選択し、選択した乱数列のビットを反転させる。すなわち、選択信号変換部1582には、2ビットのビット選択用乱数59が入力される。選択信号変換部1582は、例えば、ビット選択用乱数59の1ビット目が“1”の場合は、第3の乱数列58cを反転させ、ビット選択用乱数59の2ビット目が“1”の場合は、第2の乱数列58bを反転させ、ビット選択用乱数59の2ビット目が“0”の場合は、第1の乱数列58aを反転させる。
復号
なお、以上に説明した第1の乱数列生成部157、反転ビット選択部158、及び乱数列ビット反転部159の構成、並びにビットの反転方法はあくまでも一例であり、乱数列の内の1つ以上を必ず反転させるという条件を満たしていれば、乱数列の発生方法、反転させる乱数列の数、さらにはビット選択用乱数59の値と反転させるビットとの対応関係はいかなるものであってもよい。また、乱数列57及び多値符号列12のビット数も4ビットに限定されず、任意に設定可能である。
ところで、データ送信装置24105で用いる多値符号列12と、データ受信装置24205で用いる多値符号列17との差は、識別の際に信号レベルの劣化、すなわちSN比の劣化として影響するが、この劣化したSN比がデータ受信装置24205の所要値を満足するように設定する。よって、情報振幅と、ビット反転対象の乱数列に相当する多値信号の変動幅との比は、正規受信者の許容できるSN比よりも大きいという条件を満足する必要がある。正規受信者の許容できるSN比は、正規受信者が必要とするデータのビット誤り率によって決まる。例えば、光通信では一般的に許容ビット誤り率として10-12以下という値が用いられるが、この場合は許容できるSN比は23dB以上となる。
また、別の方法として情報データに誤り訂正符号を適用し、正規受信者に対するビット反転の影響を抑える方法もある。この場合、データ通信装置の構成は、図17に示すように、送信装置250105aに誤り訂正符号化部161を、データ受信装置24205に誤り訂正復号化部259を設ける。誤り訂正符号化部161は、情報データ10にパリティビットを付加する誤り訂正符号化を施して多値処理部111bへ出力する。誤り訂正復号化部259は、多値識別部212bから出力される情報データに対して、誤り訂正符号化部161で付加されたパリティビットを用いて誤り訂正処理を行う。これにより、データ通信装置は、乱数列58a〜58dに与えたビット反転の影響によって、仮に多値識別部212bにおける2値識別に誤りが生じたとしても、これを訂正することができる。誤り訂正符号を適用する場合は、情報振幅と、ビット反転対象の乱数列に相当する多値信号の変動幅との比に対する制限は無く、全ての乱数列をビット反転の選択対象にできる。
以上のように本実施形態によれば、量子ゆらぎの大きさが不十分な場合においても盗聴者による鍵情報の解読を妨害できるため、送受信装置の要求性能、すなわち多値数や擬似乱数発生部の動作速度への要求を緩和することができる。
(第6の実施形態)
図18は、本発明の第6の実施形態に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図である。図18において、本発明の第6の実施形態に係るデータ通信装置の全体構成は、第5の実施形態(図8)と比較して、第1の多値符号発生部162aの構成のみが異なる。第2の多値符号発生部256aの構成は、図10を用いて説明したものと同様である。以下に、本実施形態について、第5の実施形態との差分を中心に説明する。第5の実施形態と同様の動作をするブロックについては、説明を省略する。
光伝送を行う場合、量子ゆらぎの大きさは盗聴者の受信レベル(受光電力)に依存する。すなわち、受信レベルが小さくなるほど量子ゆらぎにより生じる盗聴多値符号列82の誤りの発生確率が大きくなる。量子ゆらぎによる誤りは、主に盗聴多値符号列82の最下位ビットに発生するが、送信側で多値符号列12の最下位ビットの値を反転させていた場合、量子ゆらぎによる誤りと相殺され、正しい値に戻ってしまうことがある。すなわち、量子ゆらぎによる誤りの発生確率が比較的大きい場合、送信側におけるビット反転との相殺の結果として盗聴乱数系列83に生じる誤りが少なくなり、安全性が低下する可能性がある。本実施形態は、このような場合に対処するためのものである。
図19は、本発明の第6の実施形態に係る第1の多値符号発生部162aの具体的構成例を示すブロック図である。図19を参照して、第1の多値符号発生部162aの構成要素と、その動作は第5の実施形態(図11)で説明したものと基本的に同じであるが、ビット反転の選択対象が第2〜3の乱数列58b〜58cである点が第5の実施形態と異なる。すなわち、第1の多値符号発生部162aは、多値符号列12の最下位ビットに相当する第1の乱数列58aをビット反転させない点が、第5の実施形態に係る第1の多値符号発生部156a(図11)と異なる。
図19において、XOR回路1592及び1593には、それぞれ第2の乱数列58bまたは第3の乱数列58cと、反転ビット選択信号60bまたは60cが入力される。XOR回路1592及び1593は、反転ビット選択信号が“0”の場合は入力された乱数列のビットをそのまま出力し、反転ビット選択信号が“1”の場合は乱数列のビットを反転して出力する。XOR回路1592、1593に入力されない第1の乱数列58a、第4の乱数列58dは、そのまま多値符号列のビットとして出力される。この場合も、反転ビット選択信号のうち少なくとも1つの値は“1”とする。
次に、第1の多値符号発生部162aの動作を図20を参照しながら詳細に説明する。まず、第1の乱数列生成部157から出力される第1〜第4の乱数列58a〜58dと、ビット選択用乱数発生部1581から出力されるビット選択用乱数59が図20に示す値をとる例を考える。選択信号変換部1582は、入力されるビット選択信号59の値が“0”の場合は、反転ビット選択信号60bを“1”とし、ビット選択用乱数59の値が“1”の場合は、反転ビット選択信号60cを“1”とする。乱数列ビット反転部159は、反転ビット選択信号60bが“1”の場合は、第2の乱数列58bを反転し、反転ビット選択信号60bが“0”の場合は、第2の乱数列58bをそのまま出力する。また、乱数列ビット反転部159は、反転ビット選択信号60cが“1”の場合は、第3の乱数列58cを反転し、反転ビット選択信号60cが“0”の場合は、第3の乱数列58cをそのまま出力する。この場合、反転ビット選択信号60b、60cと、ビット反転の結果得られる第1〜第4の乱数列61a〜61dの値は、図20の表に示した値となる。
次に、この多値符号列12を用いて、多値信号13を生成する方法について説明する。図21は、本発明の第6の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する図である。情報データ1が、図21(a)に示す値をとる場合を考える。擬似乱数発生部1571から出力される擬似乱数系列57が、図21(b)に示す値をとる場合、図20で説明した手順により、多値符号列12の値は、図21(d)に示す値をとる。多値処理部111bは、多値符号列12と情報データ10とを入力し、所定の手順に従って両信号を合成し、当該信号レベルの組み合わせに対応したレベルを有する多値信号13を生成する。図21の例では、情報データの値“0、1、1、0”を16倍したものを、多値符号列12の値“12、13、7、13”に加算して、多値信号13として出力する。

次に、第3者による、変調信号14の盗聴動作について説明する。本実施形態においても、盗聴者が図14に示す受信装置を用いて多値信号の全レベルに対する識別を同時に行い、鍵情報の抽出を試みるものと想定する。このとき、盗聴者による盗聴多値信号81の多値識別結果は、図21(e)に示すように、本来の多値信号レベルに対して量子ゆらぎによる誤りを含んだものとなる。量子ゆらぎによる隣接多値レベルへの識別誤りが発生すると、盗聴多値符号列82の最下位ビットに誤りが発生する。一方、送信側において乱数列に与えたビット反転による誤りは、盗聴多値符号列82の下位ビットから2ビット目と3ビット目に生じるため、最下位ビットに生じる量子ゆらぎによる誤りと相殺することがない。識別の結果として得られる盗聴乱数系列82(10進表記)を図21(f)に、盗聴乱数系列83を図21(g)にそれぞれ示す。
実際には、盗聴者が盗聴を行う位置は特定できないため、盗聴者の受信レベルは送信レベル以下であればあらゆるレベルを取る可能性がある。すなわち、量子ゆらぎによる誤りの発生確率も送信レベルと同じレベルで受信する場合を最小として、様々な値をとる可能性を想定する必要がある。本実施形態はこのような場合に有効である。
なお、以上に説明したビットの反転方法はあくまでも一例であり、第1〜第4の乱数列58a〜58dの内、多値符号列12の最下位ビットに相当する第1の乱数列以外のものを1つ以上必ず反転させるという条件を満たしていれば、ビット反転させる乱数列の数や、ビット選択用乱数59の値と反転させるビットとの対応関係はいかなるものであってもよい。また、乱数列58及び61のビット数も4ビットに限定されず、任意に設定可能である。
また、本実施形態においても、第5の実施形態と同様に、データ送信装置24105で用いる多値符号列12と、データ受信装置24205で用いる多値符号列17との差は、識別の際にSN比の劣化として影響するため、劣化したSN比がデータ受信装置24205の所要値を満足するように設定する。すなわち、情報振幅と、ビット反転の選択対象の乱数列に相当する多値信号の変動幅との比は、正規受信者の許容できるSN比よりも大きいという条件を満足させる。あるいは、図15を用いて説明したものと同様に、情報データに誤り訂正符号を適用してもよい。
以上のように本実施形態によれば、量子ゆらぎの大きさによらず盗聴者による鍵情報の解読を妨害できるため、第5の実施形態と同様の効果をより汎用的に実現することが可能である。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係るデータ通信装置の構成及び動作は、基本的に第5の実施形態において図8〜図13を用いて説明したものと同様である。本発明と第5の実施形態との差分は、多値符号列12及び多値符号列17のビット数を、第1の鍵情報11及び第2の鍵情報16のビット数以下に設定する点である。以下に、その意味について説明する。
擬似乱数発生器の中で最も単純な構成をとるものの1つとして、線形フィードバックシフトレジスタ(Linear Feedback Shift Register、以下ではLFSRと表記)がある。図22は、LFSRの構成例を示すブロック図である。図23は、LFSRの出力例を示す図である。これらの図は、初期値(鍵情報に相当)が4ビットの場合の例を示している。図22において、LFSRは、シフトレジスタ163a〜163dと、排他的論理和(XOR)回路164とから構成される。図22及び図23を例に、LFSRの動作を説明する。まず、与えられた初期値(“1001”)が各シフトレジスタ163a〜163dにセットされ、シフトレジスタ163aと163dとにセットされた値を排他的論理和して得られる値(“1”)が入力待ち状態となる。次のタイミングでは、シフトレジスタ163dにセットされた値(“1”)が出力され、シフトレジスタ163a〜163cにセットされた値(“100”)は、順に右側のシフトレジスタ163b〜163dにシフトされる。そして入力待ちの値(“1”)がシフトレジスタ163aにセットされる。以下、これを繰り返すことにより、LFSRは、擬似乱数系列を出力する。
LFSRは、初期値のビット数をkとすると2k−1ビットの周期を持ち、単純な構成で擬似乱数を発生できるため、CDMAを用いた通信システム等で広く用いられている。しかしながら、LFSRは、連続する2kビットの出力が得られれば初期値を特定できるという性質を持つため(非特許文献1 pp.423参照)、数理暗号用の擬似乱数発生器としては用いられていない。
ところで、以上に述べたLFSRの初期値の特定は、出力される擬似乱数系列に誤りがない場合を前提としており、もし連続する2kビットの中に必ず誤りが含まれていれば、初期値を特定できなくなる。ここで、図9及び図10において、第1の乱数列生成部157(擬似乱数発生部1571)及び第2の乱数列生成部257にLFSRを用いることを考え、第5の実施形態と同様に、盗聴者が図14に示す盗聴者受信装置を用いて、多値信号の全レベルに対する識別を同時に行い、鍵情報の抽出を試みることを想定する。盗聴乱数系列83は、多値符号列12のビット数をMとすると、擬似乱数系列57と比較してMビットに1個は必ず誤りを含む。また、連続して誤りを含まないビット数が最大となるのは、図24の例(M=4の場合)に示すように、全ビットがビット反転の選択対象であり、あるタイムスロットで最上位ビットを反転させ、次のタイムスロットで最下位ビットを反転させた場合である。このとき、連続して誤りを含まないビット数は2M−2ビットとなる。よって、2M−2が2kよりも小さければ、盗聴者がLFSRの初期値を特定することができなくなる。ここで、M、kは、いずれも自然数であるため、盗聴者が初期値を特定できない条件は次の数式1で表される。
Figure 0004879183
すなわち、本実施形態に係るデータ通信装置は、多値符号列12のビット数Mを第1の鍵情報11のビット数k以下に設定することにより、構成の単純なLFSRを擬似乱数発生部1571に用いることが可能になる。
なお、数式1は、LFSRを用いるために必要な条件であるが、LFSRを用いること自体は必須条件ではない。すなわち、数式1の条件を満たしているときに、他の種類の擬似乱数発生器を擬似乱数発生部1571に用いても構わない。ただし、擬似乱数発生器の初期値を特定するのに必要なビット数が2kビット以上であることが条件となる。
以上のように、本実施形態によれば、従来の数理暗号と異なり、LFSR等の構成の単純な擬似乱数発生器を用いることが可能になる。
(第8の実施形態)
図25は、本発明の第8の実施形態に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図である。図25において、本発明の第8の実施形態に係るデータ通信装置の全体構成は、基本的に第5の実施形態(図8)と同様であり、第2の多値符号発生部260aの構成のみが異なる。第1の多値符号発生部156aの構成及び動作は、図9または図11、及び図12を用いて説明したものと同様である。以下に、本実施形態について、第5の実施形態との差分を中心に説明する。なお、第5の実施形態と同様の動作をするブロックについては、説明を省略する。
本実施形態と第5の実施形態との相違点は、データ受信装置24208における識別レベルの設定方法である。図26は、本発明の第8の実施形態に係る第2の多値符号発生部260aの構成例を示すブロック図である。図26において、本実施形態の第2の多値符号発生部260aは、第1〜第4の乱数列63a〜63dのうち、第3の乱数列63c及び第4の乱数列63dのみを使用し、第1の乱数列63a及び第2の乱数列63bは使用しない。これらの第1の乱数列63a及び第2の乱数列63bは、第1の多値符号発生部156aにおいて、ビット反転の選択対象となる第1の乱数列58a及び第2の乱数列58bに相当する。なお、第2の乱数列生成部257の機能は、第5の実施形態(図10)において説明したものと同様である。
第2の多値変換部258には、上位ビットとして第3の乱数列63c及び第4の乱数列63dが、下位ビットとして固定値が入力される。第2の多値変換部258は、これらの入力されたビット列を多値符号列17に変換して出力する。送信側で生成される乱数列のうち、第1の乱数列58a及び第2の乱数列58bは、ビット反転の対象であるために、高い確率で誤りを含んでいるが、SNRへの影響は小さい。よって、第2の多値変換部60aは、これらに相当する第1の乱数列63a及び第2の乱数列63bのレベル変化を無視して識別レベルを決定しても、正規受信者の受信性能にはほとんど悪影響を与えない。
図27は、本発明の第8の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する図である。図27を用いて、本発明の第8の実施形態に係る識別レベルの設定方法について説明する。図27(a)〜(d)は、図13で説明したものと同じであるため説明を省略する。第2の多値変換部258には、図27(e)に示すように、上位ビットとして第3の乱数列63c及び第4の乱数列63dの値が、下位ビットとして固定値(この場合は“1,0”)が入力される。このとき、多値符号列17の値は、図27(f)に示す値となる。これに基いて、多値識別部212bで用いる識別レベルは、図27(g)に示す4つのレベルC0〜C3(対応する多値符号列17の値をカッコ内に表記)から選択される。多値符号列17の値が図27(f)に示す値をとる場合、識別レベルは、図27(g)に破線で示すように変化する。
次に、第2の多値変換部258に入力する乱数列の選択指針について説明する。使用しない乱数列(この例では、第1〜2の乱数列63a〜63b)に相当する識別レベルの変動幅は、識別の際に識別レベルの誤差として作用し、信号レベルの劣化と同様の影響を及ぼす。すなわち、使用しない乱数列は、SN比の劣化として影響する。このため、第8の実施形態に係るデータ通信装置は、この劣化したSN比がデータ受信装置24208における所要値を満足するように、第2の多値変換部258に入力する乱数列を選択する。具体的には、第8の実施形態に係るデータ通信装置は、情報振幅と、使用しない乱数列に相当する識別レベルの変動幅との比が、正規受信者の許容できるSN比よりも大きいという条件を満足するように、第2の多値変換部258に入力する乱数列を選択する必要がある。
なお、図26及び図27では、多値符号列17の全ビット数を4、そのうち固定値を与えるビット数を2としたが、これはあくまでも一例であり、以上に述べた条件を満足する限り、他の値に設定しても構わない。また、第2の多値変換部258に下位ビットとして入力する固定値を“10”としたのもあくまで一例であり、他の値でも構わない。あるいは、ビット数の少ない多値変換部258を用い、下位ビットの入力を省略することも可能である。
以上により、本実施形態によれば、多値符号列17の設定レベルの数が少なくて済むため、データ受信装置24205の構成を簡略化することが可能になる。
本発明に係るデータ通信装置は、盗聴・傍受等を受けない安全な秘密通信装置等として有用である。
本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図 本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する模式図 本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形の呼称を説明する模式図 本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号品質を説明する模式図 本発明の第2の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図 本発明の第3の実施形態に係るデータ通信装置の構成を示すブロック図 本発明の第4の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号パラメータを説明する模式図 本発明の第5の実施形態に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図 第1の多値符号発生部156aの構成を示すブロック図 第2の多値符号発生部256aの構成を示すブロック図 第1の多値符号発生部156aの具体的な構成例を示すブロック図 第1の多値符号発生部156aにおける信号変化を説明する図 本発明の第5の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する図 想定される盗聴者の受信装置の構成を示すブロック図 第1の多値符号発生部156aの具体的な構成例を示すブロック図 第1の多値符号発生部156aにおける信号変化を説明する図 誤り訂正符号を適用した場合のデータ通信装置の構成例を示すブロック図 本発明の第6の実施形態に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図 本発明の第6の実施形態に係る第1の多値符号発生部162aの具体的構成例を示すブロック図 第1の多値符号発生部162aにおける信号変化を説明する図 本発明の第6の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する図 LFSRの構成例を示すブロック図 LFSRの出力例を示す図 盗聴乱数系列における誤りを含まないビットの最大連続数を説明する図 本発明の第8の実施形態に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図 本発明の第8の実施形態に係る第2の多値符号発生部260aの構成例を示すブロック図 本発明の第8の実施形態に係るデータ通信装置の伝送信号波形を説明する図 従来のデータ通信装置の構成を示すブロック図
符号の説明
10、18 情報データ
11、16 鍵情報
12、17 多値符号列
13、15 多値信号
19、20 反転情報データ
14 変調信号
22 雑音重畳多値信号
55、56 制御信号
60、61 タイミング信号
84 乱数信号
85、89 選択信号
86、88 選択ビット
87 選択変調信号
110 伝送路
111 多値符号化部
111a 第1の多値符号発生部
111b 多値処理部
112 変調部
113、213 データ反転部
114 雑音制御部
114a 雑音発生部
114b 合成部
132 タイミング信号発生部
150 第1の鍵共有部
151 乱数発生部
152 選択信号伝送路
153 振幅制御信号発生部
154 振幅変調部
155 制御信号発生部
1501 鍵蓄積制御部
1502 選択信号復調部
1503 第1の鍵蓄積部
211 復調部
212 多値復号化部
212a 第2の多値符号発生部
212b 多値識別部
230 タイミング信号再生部
250 第2の鍵共有部
255 制御信号発生部
2501 鍵識別部
2502 選択信号変調部
2503 第2の鍵蓄積部
10101〜10103、23105〜23107 送信装置
10201〜10202、23205〜23207 データ受信装置

Claims (8)

  1. 暗号通信を行うデータ送信装置であって、
    予め定められた所定の鍵情報と情報データとを入力し、信号レベルが略乱数的に変化する多値信号を発生する多値符号化部と、
    前記多値信号に基づいて、所定の変調形式の変調信号を発生する変調部とを備え、
    前記多値符号化部は、
    前記鍵情報から信号レベルが略乱数的に変化する多値符号列を発生する多値符号発生部と、
    所定の処理に従って、前記多値符号列と前記情報データとを合成し、両信号レベルの組み合わせに対応したレベルを有する多値信号を生成する多値処理部とを含み、
    前記多値符号発生部は、
    前記所定の鍵情報に基づいて、複数の乱数列を発生する乱数発生部と、
    前記複数の乱数列のうちビット反転させる乱数列を指定する反転ビット選択信号を出力する反転ビット選択部と、
    前記反転ビット選択信号の値に応じて、前記複数の乱数列のうち1つ以上の乱数列のビットを反転させて出力する乱数列ビット反転部と、
    前記ビット反転させた乱数列を含む複数の乱数列を、前記多値符号列に変換する多値変換部とを有する、データ送信装置。
  2. 前記乱数列ビット反転部において反転されるビットは、前記情報データの振幅に相当する情報振幅と、当該反転されるビットに相当する多値信号の変動幅との比が、正規受信者の許容できる信号対雑音比よりも大きいという条件を満足する、請求項1に記載のデータ送信装置。
  3. 前記乱数列ビット反転部において反転されるビットは、最下位ビットを除くビットから選択される、請求項1に記載のデータ送信装置。
  4. 前記反転ビット選択部は、
    所定の乱数であるビット選択用乱数を発生する乱数発生部と、
    前記ビット選択用乱数の値に基づいて、前記ビット選択用乱数を前記反転ビット選択信号に変換する選択信号変換部とからなる、請求項1に記載のデータ送信装置。
  5. 前記乱数発生部で発生するビット選択用乱数は、真性乱数である、請求項4に記載のデータ送信装置。
  6. 前記多値符号列のビット数は、前記鍵情報のビット数以下に設定される、請求項1に記載のデータ送信装置。
  7. 暗号通信を行うデータ受信装置であって、
    所定の変調形式の変調信号を復調し、多値信号を出力する復調部と、
    予め定められた所定の鍵情報と前記多値信号とに基づいて、情報データを出力する多値復号化部とを備え、
    前記多値復号化部は、
    前記鍵情報から信号レベルが略乱数的に変化する多値符号列を発生する多値符号発生部と、
    前記多値信号を前記多値符号列に基づいて識別し、前記情報データを出力する多値識別部とを含み、
    前記多値符号発生部は、
    前記鍵情報に基づいて、複数の乱数列を発生する乱数発生部と、
    前記複数の乱数列を前記多値符号列に変換する多値変換部とを有し、
    前記多値変換部には、前記複数の乱数列のうち上位ビットのみが入力され、下位ビットとして固定値が入力される、データ受信装置。
  8. 前記情報データの振幅に相当する情報振幅と、前記下位ビットに相当する多値信号の変動幅との比が、正規受信者の許容できる信号対雑音比よりも大きいという条件を満足する、請求項に記載のデータ受信装置。
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