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JP4879986B2 - スパッタリングターゲット/バッキングプレート接合体 - Google Patents
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JP4879986B2 - スパッタリングターゲット/バッキングプレート接合体 - Google Patents

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Description

本発明は、安価で、強度と耐渦電流特性に優れる銅−亜鉛合金バッキングプレートを、その特性を低下させること無く、更なるハイパワー化に十分対応できる簡便なスパッタリングターゲット/バッキングプレート構造体に関する。
近年、スパッタリングターゲットの冷却・支持基板として、熱伝導性の良い銅合金が一般に使用されている。例えば、特許文献1には、黄銅、アルミニウム青銅及び加工強化純銅が、従来使われていた純銅(無酸素銅)、アルミニウム(アルミニウム合金)やステンレス鋼に比べて、傷が付き難く、十分な強度と熱伝導性があるとされている。
また、特許文献2には、クロム銅バッキングプレートとしてクロム0.5〜2wt%の銅合金、特に体表的なものとしてJIS Z3234(クロム1wt%含有)が挙げられている。
さらに、特許文献3には、マグネトロンスパッタにおけるマグネットの回転によって生ずる渦電流を可能な限り減少させ、マグネットの回転数の変動を抑制することによって、実効磁束の変動を抑制し、膜の均一性を高め、かつ成膜速度を上げ生産性を向上させるために、比抵抗値が3.0μΩ・cm以上であり、かつ引張り強度が 150MPa以上である銅合金又はアルミニウム合金製バッキングプレートが有効であるとされている。
特許文献3の実施例には、高純度Cuターゲット(6N)と比抵抗7.2μΩ・cm、引張り強度320MPaの黄銅とを拡散接合させ、総厚17mmのスパッタリングターゲット−バッキングプレート組立体を作成したとされている。
特許文献4には、拡散接合後の変形が小さく、かつターゲットとバッキングプレート間の剥離や割れの発生がないハイパワースパッタに耐えるタンタル又はタングステンターゲット−銅合金バッキングプレート組立体として、厚さ0.5mm以上のアルミニウム又はアルミニウム合金板のインサートすることが有効であるとされている。実施例には銅合金バッキングプレートとして銅クロム合金や銅亜鉛合金が使用されている。
特許文献5には、銅又は銅合金スパッタリングターゲットに対して耐渦電流特性とその他のマグネトロンスパッタリングターゲットに必要とされる特性をバランス良く両立させた銅又は銅合金ターゲット/銅合金バッキングプレートで、この銅合金バッキングプレートとしては低ベリリウム銅合金又はCu-Ni-Si系合金銅合金バッキングプレートが適しており、さらに導電率35〜60%(IACS)、0.2%耐力400〜850MPaであることが要求されている。
また、ターゲットで発生する熱による問題を解決する方法として、ターゲットとターゲットよりも熱伝導率の高いバッキングプレートを直接あるいは、ターゲットよりも高融点のスペーサを介して、爆着法、ホットロール法などで一体化したターゲット/バッキングプレート組立体が示されている(特許文献6参照)。
Al合金ターゲットの場合には、スペーサとして純銀、チタン、ニッケルなどが挙げられている。成膜の高速化及びターゲットの高温化を行なうことができ、高品質の薄膜を安定に成膜することができるとされている。
また、特許文献7には、ターゲットとバッキングプレート(バッキングプレートの材質はCu、Al、Cu93-Al17、Cu4-Al96)の間に銅、アルミニウムまたはそれらの合金挟むことによって、ターゲットの冷却効率を効果的にすることが記載されている。
この場合、冷却の不均一による、ターゲット材の再結晶による組織変化、ターゲット材の熱歪みによる変形(反り)、スパッタリング効率の低下、ターゲットの溶融といった問題に有効に作用すると記載されている。ターゲットの70%以上の面積、厚さは0.05〜0.5mm程度の範囲が良いとされている。
さらに、特許文献8には、少なくともエロージョン直下のバッキングプレート表面又は、ターゲット裏面に、ターゲットとバッキングプレートとの反応を防止する反応防止物を設けたことを特徴するスパッタ装置と記載されている。そして、反応防止物が、高融点金属またはこれらの窒化物、珪化物、炭化物ホウ化物とすること、または溝に埋め込まれたグラファイト層又は中空であることが示されている。
ターゲットとバッキングプレートが、スパッタリングによる熱で反応しターゲット交換時に取れなくなる、ターゲット中にバッキングプレート成分である銅が拡散し形成された薄膜中に不純物として混入して汚染が生じるのを防止すると記載されている。
特開平1-222047号公報 特開平8-269704号公報 特開2001-329362号公報 特開2002-129316号公報 WO2005/064036号公報 特開平4-131374号公報 特開平11-189870号公報 特開昭63-45368号公報
以上は、特許公報から得られた公知技術であるが、最近の技術として、90nm〜65nmプロセスのような微細配線網を形成するために、よりスパッタリングパワーを上げ、スパッタ粒子のイオン化率を向上させることによって、ウエハへ成膜されるスパッタ粒子の直進性を制御することが行なわれている。
例えば、このようなスパッタプロセスを自己イオン化(セルフイオナイズド)プロセスと呼ばれている。スパッタ装置のバッキングプレート背面側で回転しているマグネトロンによって発生する磁場の状態によっては、激しくエロージョンされる領域においてターゲットで発生する熱が非常に大きなものになってしまう場合がある。
一般に、バッキングプレート材として、安価に製造でき、強度が高く、熱伝導性に優れ、かつ渦電流の発生を抑制できる銅−亜鉛合金が使用されている。しかし、このように有用な銅−亜鉛合金をバッキングプレートに使用した場合において、エロージョンの集中する部分で添加合金元素である亜鉛が蒸発し、拡散接合した界面で剥がれてしまうという新たな問題が発生した。
特に、ターゲットとしては熱伝導率の低いタンタルあるいはタンタル基合金ターゲットにおいてこのような問題が顕著に発生し、バッキングプレートから剥離した部分は、熱の散逸経路が絶たれるために、この状態を放置しスパッタを継続した場合は熱が蓄積してターゲットが部分的に溶融(メルトダウン)してしまいスパッタを継続することが不可能となることもあった。
他のターゲット(例えば銅-0.5%アルミニウム合金ターゲット)では、ターゲット自体の熱伝導率がタンタルに比べて非常に大きいので、溶融(メルトダウン)するようなことは無かったが、スパッタ雰囲気中に僅かであるが亜鉛の存在が検出された。
亜鉛が蒸散するのは蒸気圧が高いためであり、仮想的な数値計算の結果から、最もエロージョンされる位置の直下、接合界面におけるバッキングプレートの最高温度が、およそ500°Cを超えるようになると問題が発生することが判明した。
本発明は、上記の問題点に鑑み、安価で、強度と耐渦電流特性に優れる銅−亜鉛合金バッキングプレートを、その特性を低下させること無く、更なるハイパワー化に十分対応できる簡便なスパッタリングターゲット/バッキングプレート構造体を提供することを目的とする。
ターゲットで発生する熱による問題を解決するためには、ターゲット/銅−亜鉛合金バッキングプレートの間に銅−亜鉛合金より熱伝導性の良いインサート材を挿入することにより、ターゲットで発生する熱をバッキングプレート側へより散逸させることができ、亜鉛が蒸散しない温度に銅亜鉛合金バッキングプレートの温度を低下させられることは類推される。
しかし、インサート材の厚さが薄い場合は、亜鉛が蒸散しない温度までバッキングプレートの温度を低下させることは出来ないし、あまりインサート材の厚いと、その分、バッキングプレート厚さが薄くなってしまうので、バッキングプレート強度が低下してしまうので適切でない。
例えば、ターゲットとしてタンタルを使用し、ターゲットと同じ面積の厚さ5mmの純銅インサート材を挿入した場合は、亜鉛の蒸散によるターゲットの剥離は発生しなかったが、インサート部で発生する渦電流の影響でマグネットの回転に変動が発生してしまった。インサート材がターゲットと同じ面積であるので、渦電流の影響は大きく、単に、インサートを用いるだけでは解決できない。
このような問題を解決するために鋭意に研究した結果、急峻なエロージョンが発生する領域のみに、熱を効率的にバッキングプレート側へ逃がすために、銅−亜鉛合金よりも熱伝導性が良く、蒸気圧の高い元素を含まない、そして銅−亜鉛合金と拡散接合される材料を埋め込んだ構造のバッキングプレートとしなければならないこと。さらに、ターゲットと銅−亜鉛合金バッキングプレートと拡散接合されなければならないので、純銅が最適であることが判明した。
また、マグネトロンスパッタリングでは、バッキングプレート背部でマグネトロンが回転しており、渦電流は磁場変動を抑える方向に磁場変動速度が速い外周部の方が大きく発生する。この渦電流は電気抵抗の低い材料で顕著に発生し、マグネトロンの回転を変動させてしまうことで膜のユニフォーミティーを低下させてしまう。
よって、この純銅埋め込み体の渦電流の影響を低下させるためには、ターゲット中央部に埋設することが必要であることが判明した。
本願発明は、この知見に基づき、1)スパッタリングターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレート接合体において、ターゲット中央部のバッキングプレート位置に純銅を埋め込んだ構造をもつことを特徴とするスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体、を提供するものである。
本発明は、主にスパッタリングターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレート接合体におけるスパッタ時の温度上昇、銅−亜鉛合金製バッキングプレートに含有する亜鉛の蒸発、そしてターゲット/バッキングプレート間の剥離を防止することである。しかしながら、一方では膜のユニフォーミティーを低下させる原因となる渦電流の発生を抑制する必要がある。
上記の通り、渦電流は磁場変動を抑える方向に磁場変動速度が速い外周部の方が大きく発生するので、バッキングプレート外周部は、渦電流の発生を抑制できる銅−亜鉛合金を使用する必要がある。したがって、エネルギーが集中するターゲット中央部のみを、亜鉛を含有せず、熱伝導性の高い純銅に置換する必要がある。
ターゲットの材質によって温度上昇、バッキングプレートとの接合強度等に差異があるので、純銅の中心部における厚さと径の寸法は、ターゲットの材質に応じて適宜に設定する必要がある。しかし、スパッタリングターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレート接合体において、広く適用できる好適な値は存在する。それは、2)純銅からなる埋め込み体の直径がターゲット直径の1/20〜1/2であるスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体とすることである。
純銅からなる埋め込み体の直径が小さければ、強度が大きく、渦電流発生の抑制効果は高まるが、それだけ熱伝導性が低下するので、ターゲットの材質及び/又はスパッタリング条件に応じて調整することが望ましいと言える。
さらに、埋め込み型バッキングプレートの好ましい態様として、3)純銅からなる埋め込み体の厚さがバッキングプレートの1/5〜4/5であるスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体とすることである。
純銅からなる埋め込み体の径ほどの直接的影響を受けるものではないが、純銅からなる埋め込み体の厚さは、熱伝導性に大きく影響してくる。
当然ながら埋め込み体の厚さが大きいほど、ターゲットの除熱効果が大きく、ターゲット/バッキングプレート間の剥離が抑制できる。
純銅埋め込み型のバッキングプレートの構造を図1に示すが、埋め込み体である純銅は銅−亜鉛合金に抱え込まれる形状を呈している。これは、組立体の一例を示すものである。銅−亜鉛合金に比べ純銅の強度は低いが、このように純銅の周囲を銅−亜鉛合金で包囲する形状は、高温になるバッキングプレートの強度を全体的に維持できる機能を備えているという大きな特徴を有している。
図1に示すような構造のスパッタリングターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレート組立体では、純銅からなる埋め込み体3の厚さを銅−亜鉛合金製バッキングプレート2の1/4〜2/4とすることが、ターゲット1の除熱効果が大きく、ターゲット/バッキングプレート間の剥離が抑制できるより好ましい構造である。
上記抱え込まれる形状のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体の構造に対して、5)純銅からなる埋め込み体の厚さが銅−亜鉛合金製バッキングプレートの厚さで付き切り(貫通した)構造を持つようにすることもできる。この場合、バッキングプレートの背面からの冷却は、純銅からなる埋め込み体に対しての直接冷却となる。この場合は、冷却媒体と熱伝導に優れた純銅が直接接触するので、ターゲット中心部のより効率的な冷却が可能となる。
本発明のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体は、ターゲット材料の種類を問わず適用できるが、特に高温に加熱される6)ターゲットがタンタルあるいはタンタル基合金ターゲットに有用である。本願発明は、このように高融点金属材料のスパッタリングターゲットに適用できる。
また、本願発明は、7)ターゲットとバッキングプレートが拡散接合された構造を持つスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体に有用である。このような構造は、高融点ターゲットに一般的に必要とされる接合方法であるが、熱影響が極めて大きいことが強固な接合を要求される所以である。そして、本願発明は、それに適応できるスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体を提供できる。
本願発明のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体は、特に渦電流が発生し易い8)マグネトロンスパッタリング装置に、特に有用である。しかし、本願発明のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体は、このマグネトロンスパッタリング装置に限定される必要はないことを知るべきである。多くの場合、ターゲットの周縁部に比較して中心部はより熱が集中し易いので、ターゲットの均一な冷却を図るためにも、中心部に熱伝導性の高い純銅を使用した本願発明のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体は有用であるからである。したがって、一般的なスパッタリング装置にも適用できるものである。
本願発明のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体に使用する埋め込み材料となる純銅としては、9)純銅が無酸素銅を使用することができる。
スパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体に使用する10)銅亜鉛合金製バッキングプレートは、5〜40wt%の亜鉛を含有する銅−亜鉛系銅合金を使用することができる。バッキングプレート材として使用する銅−亜鉛合金は、安価であり、強度が高く、熱伝導性に優れ、かつ渦電流の発生を抑制できるからである。
以上によって、本発明は、安価で、強度と耐渦電流特性に優れる銅−亜鉛合金製バッキングプレートを、その特性を低下させること無く、更なるハイパワー化に十分対応できる簡便なスパッタリングターゲット/バッキングプレート構造体を提供することができるという優れた効果を得ることができる。
本願発明のターゲット/バッキングプレート組立体断面の説明図である。
次に、本願発明の具体例を説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、この例によって本願発明は制限されるものではない。すなわち、本願発明は明細書に記載する全ての記載から把握できる技術思想にのみ制限されるものであり、この例に含まれる以外の種々の変形を包含するものである。
(タンタル/銅−亜鉛合金拡散接合体の熱影響の試験)
タンタル/銅−亜鉛合金拡散接合体バッキングプレートの強度については、これを加熱処理して、亜鉛の蒸発状況を観察することにより確認することができる。ターゲット及びバッキングプレートについては、次の材料を使用した。
ターゲット:タンタル 直径440mm、厚さ4.8mm
銅−亜鉛合金バッキングプレート(合金番号C2600):厚さ17mm
ターゲットと銅−亜鉛合金バッキングプレートの接合:拡散接合
このターゲット/バッキングプレート拡散接合体は、700°Cまでの真空加熱処理では、亜鉛の蒸散は起こらなかった。しかし、900°Cの真空熱処理では、銅−亜鉛合金製バッキングプレート材のタンタル/銅−亜鉛合金の拡散接合部が剥離する現象が生じた。
次に、この結果を数値計算で再現するために、仮想的に最もエロージョンされる中央部の直径50mmの領域に、均一に500W/cmのパワーを与えた(トータルスパッタパワー10kW:10kWが直径50mmの領域のみに集中的に作用すると仮定した。実際のスパッタリングパワーは40kWであり、これは剥離が発生する場合である。)また、バッキングプレートの背面側(ターゲットの反対側)は水冷した(冷却水の温度は20°Cとした)。
数値計算の結果から、タンタルターゲットの表面中央部の最高温度は、1040°Cであった。これは、実際のスパッタリング時のターゲット温度に近いものである。
銅−亜鉛合金製バッキングプレートの中心部、ターゲットとの接合界面の最高温度770°Cとなり、真空熱処理結果の700°Cでは問題が発生しなかったことも考慮にいれると、上記、数値計算条件では、銅亜鉛バッキングプレートがおよそ750°Cを超えると亜鉛の蒸散が起こることから、この態ではターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレートの剥離が起こることが予想される。
以上の実験と数値計算をベースとして、純銅を埋め込んだ各種ターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレート作製し、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度、スパッタ試験の結果を観察した。数値計算条件は、次の通りである。
ターゲット:タンタル 直径440mm、厚さ4.8mm
銅−亜鉛合金製バッキングプレート(合金番号C2600):厚さ17mm
最もエロージョンされる中央部に、直径50mm、厚さ6mmの埋め込み体を埋設。
最もエロージョンされる中央部の直径50mmの領域に、均一に500W/cmのパワーを与え、バッキングプレート側は水冷(冷却水の温度は20°Cとした)。
スパッタ条件は、上記形状のターゲット/バッキングプレート組立体をスパッタパワー40kWでスパッタした。
(実施例1−8及び比較例1−2)
実施例1−7については、表1に示すように純銅埋め込み体の直径を50mmと固定し、厚さを1mm〜15mmまで変化させ、実施例8については銅−亜鉛合金製バッキングプレートを突き切り(貫通させた)構造とした。
また、比較例1については、ターゲットと銅−亜鉛合金製バッキングプレートの間に1mmの純銅インサートを使用し、比較例2については、ターゲットと銅−亜鉛合金製バッキングプレートの間に6mmの純銅インサート材を使用した。
Figure 0004879986
(スパッタ試験の結果)
数値計算結果から、タンタルターゲットの表面中央部の最高温度1050°Cに達したが、実施例1の厚さ1mmの、純銅製埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は710°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は可であった。
このように、薄い純銅製埋め込み体を配置しただけでも、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの温度低下があり、有効であることが分る。上記の通り、純銅製埋め込み体を使用しない場合、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの中心部のターゲットとの接合界面の最高温度770°Cであったが、710°Cと低下し、60°Cの温度低下が可能であった。
表1に示すように、純銅埋込体の厚みが薄いものが、必ずしも成膜均一性が優れているとは言えない。これは、純銅埋込体の厚さが薄いものは、ターゲットの温度分布差が大きいことが原因と考えられる。
(実施例2−6)
実施例2は、厚さ2mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は680°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は可であった。
実施例3は、厚さ3mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は630°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は良好であった。
実施例4は、厚さ6mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は510°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は優れていた。
実施例5は、厚さ8mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は470°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は優れていた。
上記に示すように、純銅埋め込み体の厚さが増加するに従い、成膜均一性は向上し、厚さ6mm、8mmで成膜均一性が最も優れていた。
(実施例6−7)
実施例6は、厚さ12mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は360°Cであり、また、剥離は起こらず、成膜均一性は良好であった。この場合、温度が著しく低下したにもかかわらず、成膜均一性は、純銅埋め込み体の厚さが6mm、8mmの場合よりもやや低下した。これは、厚さの厚い場合は、上述したように渦電流に起因するマグネット回転の変動に起因するものと考えられる。
実施例7は、厚さ15mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は320°Cであり、また、剥離は起こらず、成膜均一性は可であった。この場合も、温度が著しく低下したにもかかわらず、成膜均一性は、純銅埋め込み体の厚さが6mm、8mmの場合よりも低下した。これは、厚さの厚い場合は、マグネットとの距離が近くなり上述したように渦電流に起因するマグネット回転の変動に起因するものと考えられる。
(実施例8)
実施例8は、厚さ17mmの、純銅埋め込み体を有する銅−亜鉛合金製バッキングプレート、すなわち銅−亜鉛合金製バッキングプレートと同一厚みであり、純銅埋め込み体が貫通した構造のバッキングプレートである。この場合の最高温度は270°Cであり、また、剥離は起こらず、成膜均一性は可であった。この場合、温度が著しく低下し、純銅の冷却効率が良好であることが分る。しかし、成膜均一性は、純銅埋め込み体の厚さが6mm、8mmの場合よりも、低下した。これは、厚さの厚い場合は、マグネットとの距離が近くなり上述したように渦電流に起因するマグネット回転の変動が大きく作用するものと考えられる。
(比較例1−2)
上記の通り、比較例1は、ターゲット全面と銅−亜鉛合金製バッキングプレートの間に1mmの純銅インサートを使用し、比較例2については、ターゲット全面と銅−亜鉛合金製バッキングプレートの間に6mmの純銅インサート材を使用した場合である。
比較例1、比較例2は、熱伝導性の高い純銅のインサート効果により、亜鉛合金製バッキングプレートの剥離は起こらなかったが、成膜均一性は不良であった。これは、渦電流に起因するマグネット回転の変動に起因し、純銅のインサートにより、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの抑制効果が減殺されたものと考えられる。
(実施例9−10)
次に、上記スパッタ試験結果が優れていた純銅埋め込み体の厚さを6mmに固定し、純銅埋め込み体の直径を変化させた場合の、試験結果を表2に示す。
ターゲット及びバッキングプレートの条件は、上記と同様である(再掲)。ターゲットの直径に対する純銅埋め込み体の直径の比で示した。
ターゲット:タンタル 直径440mm、厚さ4.8mm
銅−亜鉛合金製バッキングプレート(合金番号C2600):厚さ17mm
実施例9は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:2の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は420°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は良好であった。
実施例10は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:5の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は470°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は優れていた。この結果を表2に示す。
Figure 0004879986
(実施例11−13)
実施例11は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:7.5の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は500°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は優れていた。
実施例12は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:10の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は530°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は良好であった。
実施例13は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:20の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は690°Cであり、剥離は起こらず、成膜均一性は可であった。
(比較例3)
比較例3は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:1.5の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は400°Cであり、剥離は起こらなかったが、成膜均一性は不良であった。これは純銅埋め込み体の直径が大き過ぎ、渦電流に起因するマグネット回転の変動に起因して成膜均一性が悪くなったもの、すなわち、純銅のインサートにより、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの抑制効果が減殺されたものと考えられる。
(比較例4−5)
比較例4は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:30の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は750°Cを超え、剥離が発生した。
これは純銅埋め込み体の直径が小さすぎ、熱拡散の効果が十分でなく、銅−亜鉛合金製バッキングプレートに一部溶融が生じたものである。
比較例5は、純銅埋め込み体の直径:ターゲットの直径=1:40の場合であるが、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの最高温度は750°Cを超え、剥離が発生した。上記比較例4よりも、その状態は悪化した。
これは純銅埋め込み体の直径が小さすぎ、熱拡散の効果が十分でなく、銅−亜鉛合金製バッキングプレートに一部溶融が生じたものである。
以上の例から明らかなように、純銅埋め込み体の直径の比率が増加すると、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの温度は低下するが、成膜均一性はそれほど向上しない。
一方、純銅埋め込み体の直径に比率が減少すると、銅−亜鉛合金製バッキングプレートの温度は上昇するが、成膜均一性が優れたものとなる。
しかし、その比率が極端に少なくなると、純銅埋め込み体の効果が減少し、成膜の均一性も低下してくる。以上から、いずれの場合も、最適条件が存在することが分る。
すなわち、純銅からなる埋め込み体の直径がターゲット直径の1/20〜1/2であること、さらには、純銅からなる埋め込み体の厚さがバッキングプレートの1/5〜4/5であることが、より望ましいことが分る。
本発明は、安価で、強度と耐渦電流特性に優れる銅−亜鉛合金製バッキングプレートを、その特性を低下させること無く、更なるハイパワー化に十分対応できる簡便なスパッタリングターゲット/バッキングプレート構造体を提供することができるという優れた効果を有し、特にターゲットがタンタルあるいはタンタル基合金等の高融点ターゲット材をスパッタする場合に有用である。

Claims (10)

  1. スパッタリングターゲット/銅−亜鉛合金製バッキングプレート接合体において、ターゲット中央部のバッキングプレート位置に純銅を埋め込んだ構造をもつことを特徴とするスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  2. 純銅からなる埋め込み体の直径がターゲット直径の1/20〜1/2であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  3. 純銅からなる埋め込み体の厚さがバッキングプレートの1/5〜4/5であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  4. 純銅からなる埋め込み体の厚さがバッキングプレートの1/4〜2/4であることを特徴とする請求項3記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  5. 純銅からなる埋め込み体の厚さが銅−亜鉛合金製バッキングプレートの厚さで貫通した構造を持つことを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  6. ターゲットがタンタルあるいはタンタル基合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  7. ターゲットとバッキングプレートが拡散接合された構造を持つことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  8. マグネトロンスパッタリング装置に使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  9. 純銅が無酸素銅であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
  10. 銅−亜鉛合金製バッキングプレートが、5〜40wt%の亜鉛を含有する銅−亜鉛系銅合金であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のスパッタリングターゲット/バッキングプレート組立体。
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