JP4881854B2 - ジペプチドの製造法 - Google Patents
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Description
化学合成法によるジペプチドの合成では、官能基の保護・脱保護などの操作が必要であり、またラセミ体も合成されることから、化学合成法は経済的、効率的な方法とはいえない。また、化学合成法は大量の有機溶媒等を使うため環境衛生上も好ましい方法ではない。
しかし、タンパク分解酵素の逆反応を利用した方法では、基質となるアミノ酸の官能基の保護・脱保護が必要であり、ペプチド形成反応の効率化およびペプチド分解反応の阻止が困難といった問題点がある。耐熱性アミノアシルt−RNA合成酵素を利用する方法には、酵素の発現、目的産物以外の副生反応の阻止が困難という問題点がある。NRPSを利用する方法に関しては、酵素分子が巨大なためにDNA組換え法を用いて該酵素を発現することが困難であること、補酵素である4’−ホスフォパンテテイン(4’−phosphopantetheine)の供給が必要であり、効率的な製造法とはいえない。
ラルストニア・ソラナセラムGMI1000の染色体DNAの塩基配列、および遺伝子の推定塩基配列とも公知である(非特許文献6参照)。しかしながら、該遺伝子中のRSP1486遺伝子にコードされる蛋白質の機能はもちろん、RSP1486遺伝子が実際に機能を有する蛋白質をコードする遺伝子であるか否かも知られていない。
(1)以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質。
[1]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質
[3]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質
(2)以下の[1]〜[3]のいずれかに記載のDNA。
[1]上記(1)の蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列を有するDNA
[3]配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNA
(3)上記(2)のDNAを含有する組換え体DNA。
(5)形質転換体が微生物を宿主として得られる形質転換体である、上記(4)の形質転換体。
(6)微生物がエシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物である、上記(5)の形質転換体。
(8)上記(1)の蛋白質を生産する能力を有する微生物が上記(4)〜(6)のいずれか1つの形質転換体である、上記(7)の製造法。
(10)上記(1)の蛋白質を生産する能力を有する微生物が上記(4)〜(6)のいずれか1つの形質転換体である、上記(9)の製造法。
本発明の蛋白質としては、
[1]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質、
[2]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質、および
[3]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質、
をあげることができる。
配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、O−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、本発明の蛋白質がジペプチド合成活性を有するためには、配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列、好ましくは配列番号1で表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有していることが望ましい。
2.本発明のDNA
本発明のDNAとしては、
[1]上記1の[1]〜[3]の本発明の蛋白質をコードするDNA、
[2]配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列を有するDNA、および
[3]配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNA、
をあげることができる。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメータに基づいて計算したときに、上記したいずれかのDNAの塩基配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが、ジペプチドの合成活性を有する蛋白質をコードするDNAであることは、該DNAを発現する組換え体DNAを作製し、該組換え体DNAを宿主細胞に導入して得られる微生物を培養して得られる培養物から該蛋白質を精製し、該精製蛋白質を酵素源に用いて、該酵素源、並びに1種以上のアミノ酸、好ましくはL−アミノ酸およびグリシンから選ばれる2種のアミノ酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にジペプチドが生成、蓄積するか否かをHPLC等により分析する方法によって確認することができる。
3.本発明の製造法に用いられる微生物および形質転換体
本発明の製造法に用いられる微生物および形質転換体としては、本発明の蛋白質を生産する能力を有する微生物および形質転換体であれば特に限定されないが、該微生物としては、好ましくはラルストニア(Ralstonia)属に属する微生物、好ましくはラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)に属する微生物、より好ましくはRalstonia solanacearum GMI1000、Ralstonia solanacearum ATCC11696、Ralstonia solanacearum MAFF211270、Ralstonia solanacearum MAFF211272、Ralstonia solanacearum MAFF211282、Ralstonia solanacearum MAFF211396、Ralstonia solanacearum MAFF211402、Ralstonia solanacearum MAFF211403、Ralstonia solanacearum MAFF211544、Ralstonia solanacearum MAFF301520、Ralstonia solanacearum MAFF301522、Ralstonia solanacearum MAFF301523およびRalstonia solanacearum MAFF301526をあげることができ、該形質転換体としては、本発明の蛋白質をコードするDNAで形質転換された形質転換体をあげることができる。
本発明の蛋白質をコードするDNAで形質転換された形質転換体としては、上記2のDNAを含む組換え体DNAを用い、宿主細胞を公知の方法で形質転換して得られる形質転換体をあげることができ、宿主細胞としては、細菌などの原核生物、酵母、動物細胞、昆虫細胞および植物細胞、好ましくは原核細胞、より好ましくは細菌、さらに好ましくはEscherichia属に属する微生物をあげることができる。
4.本発明のDNAおよび形質転換体の調製
本発明のDNAは、例えば、配列番号3または4で表される塩基配列に基づき設計することができるプローブを用いた、Ralstonia属に属する微生物、好ましくはRalstonia solanacearumに属する微生物、より好ましくはRalstonia solanacearum GMI1000、Ralstonia solancearum ATCC11696、Ralstonia solanacearum MAFF211270、Ralstonia solanacearum MAFF211272、Ralstonia solanacearum MAFF211282、Ralstonia solanacearum MAFF211396、Ralstonia solanacearum MAFF211402、Ralstonia solanacearum MAFF211403、Ralstonia solanacearum MAFF211544、Ralstonia solanacearum MAFF301520、Ralstonia solanacearum MAFF301522、Ralstonia solanacearum MAFF301523またはRalstonia solanacearum MAFF301526の全DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、または配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、微生物、好ましくはRalstonia属に属する微生物、より好ましくはRalstonia solanacearumに属する微生物、さらに好ましくはRalstonia solanacearum GMI1000またはRalstonia solanacearum ATCC11696、Ralstonia solanacearum MAFF211270、Ralstonia solanacearum MAFF211272、Ralstonia solanacearum MAFF211282、Ralstonia solanacearum MAFF211396、Ralstonia solanacearum MAFF211402、Ralstoniasolanacearum MAFF211403、Ralstonia solanacearum MAFF211544、Ralstonia solanacearum MAFF301520、Ralstonia solanacearum MAFF301522、Ralstonia solanacearum MAFF301523またはRalstonia solanacearum MAFF301526の全DNAを鋳型としたPCR[PCR Protocols,Academic Press(1990)]により取得することができる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
本発明のDNAを組み込むベクターとしては、pBluescriptII KS(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT[Nucleic Acids Res.,18,6069(1990)]、pCR−Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pT7Blue(ノバジェン社製)、pCR II(インビトロジェン社製)およびpCR−TRAP(ジーンハンター社製)などをあげることができる。
上記方法によって得られる本発明の形質転換体としては、例えば配列番号4で表される配列を有するDNAを含有する組換え体DNAを保有する微生物であるエシェリヒア・コリ BL21/pRSP1486aをあげることができる。
5.本発明の製造法に用いられる形質転換体および微生物の製造法
本発明のDNAをもとにして、必要に応じて、本発明の蛋白質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、該蛋白質をコードする部分の塩基配列を、宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換することにより、該蛋白質の生産率が向上した形質転換体を取得することができる。
該組換え体DNAを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、本発明の蛋白質を生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞等、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、本発明のDNAを有する組換え体DNAは、原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列より構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
このような組換え体DNAとしては、例えばpRSP1486aをあげることができる。
原核生物としては、エシェリヒア属、セラチア(Serratia)属、バチルス属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)、アナベナ(Anabena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アスロバクター(Arthrobacter)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、クロマチウム(Chromatium)属、エルビニア(Erwinia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、フォルミディウム(Phormidium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリウム(Rhodospirillum)属、セネデスムス(Scenedesmus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、シネコッカス(Synechoccus)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物、例えば、エシェリヒア・コリXL1−Blue、エシェリヒア・コリXL2−Blue、エシェリヒア・コリDH1、エシェリヒア・コリDH5α、エシェリヒア・コリMC1000、エシェリヒア・コリKY3276、エシェリヒア・コリW1485、エシェリヒア・コリJM109、エシェリヒア・コリHB101、エシェリヒア・コリNo.49、エシェリヒア・コリW3110、エシェリヒア・コリNY49、エシェリヒア・コリMP347、エシェリヒア・コリNM522、エシェリヒア・コリBL21、バチルス・サチリス(Bacillus subtilis)ATCC33712、バチルス・メガテリウム(Batillus megaterium)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・イマリオフィルム(Brevibacterium immariophilum)ATCC14068、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)ATCC14066、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacteri um flavum)ATCC14067、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)ATCC13869、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC13032、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14297、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)ATCC13870、ミクロバクテリウム・アンモニアフィルム(Microbacterium ammoniaphilum)ATCC15354、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)、セラチア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)D−0110、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾジーンズ(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビ(Agrobacterium rubi)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、アナベナ・ドリオルム(Anabaena doliolum)、アナベナ・フロスアクア(Anabaena flos−aquae)、アースロバクター・オーレッセンス(Arthrobacter aurescens)、アースロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アースロバクター・グロブフォルミス(Arthrobacter globformis)、アースロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アースロバクター・ミソレンス(Arthrobacter mysorens)、アースロバクター・ニコチアナ(Arthrobacter nicotianae)、アースロバクター・パラフィネウス(Arthrobacter paraffineus)、アースロバクター・プロトフォルミエ(Arthrobacter protophormiae)、アースロバクター・ロセオパラフィナス(Arthrobacter roseoparaffinus)、アースロバクター・スルフレウス(Arthrobacter sulfureus)、アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)、クロマチウム・ブデリ(Chromatium buderi)、クロマチウム・テピダム(Chromatium tepidum)、クロマチウム・ビノサム(Chromatium vinosum)、クロマチウム・ワーミンギ(Chromatium warmingii)、クロマチウム・フルビアタティレ(Chromatium fluviatile)、エルビニア・ウレドバラ(Erwinia uredovora)、エルビニア・カロトバラ(Erwinia carotovora)、エルビニア・アナス(Erwinia ananas)、エルビニア・ヘリコラ(Erwinia herbicola)、エルビニア・パンクタタ(Erwinia punctata)、エルビニア・テレウス(Erwinia terreus)、メチロバクテリウム・ロデシアナム(Methylobacterium rhodesianum)、メチロバクテリウム・エクソトルクエンス(Methylobacterium extorquens)、フォルミディウム・エスピー(Phormidium sp.)ATCC29409、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・ブラスチカ(Rhodopseudomonas blastica)、ロドシュードモナス・マリナ(Rhodopseudomonas marina)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomona spalustris)、ロドスピリウム・リブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリウム・サレキシゲンス(Rhodospirillum salexigens)、ロドスピリウム・サリナラム(Rhodospirillum salinarum)、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス(Streptomyces aureofaciens)、ストレプトマイセス・アウレウス(Streptomyces aureus)、ストレプトマイセス・フンジシディカス(Streptomyces fungicidicus)、ストレプトマイセス・グリセオクロモゲナス(Streptomyces griseochromogenes)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans、ストレプトマイセス・オリボグリセウス(Streptomycesolivogriseus)、ストレプトマイセス・ラメウス(Streptomyces rameus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・ビナセウス(Streptomyces vinaceus)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等をあげることができる。
酵母菌株を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を用いることができる。
宿主細胞としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Sch izosaccharomyces)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオマイミセス(Schwanniomyces)属、ピチア(Pichia)属、またはキャンディダ(Candida)属等に属する酵母菌株をあげることができ、具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulans)、シワニオマイセス・アルビウス(Schwanniomyces alluvius)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、キャンディダ・ウティリス(Candida utilis)等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8(フナコシ社より市販)、pAGE107(特開平3−22979)、pAS3−3(特開平2−227075)、pCDM8[Nature,329,840(1987)]、pcDNAI/Amp(インビトロジェン社製)、pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE103[J.Biochem,101,1307(1987)]、pAGE210、pAMo、pAMoA等を用いることができる。
マウス・ミエローマ細胞としては、SP2/0、NSO等、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0等、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC CRL−1573)、ヒト白血病細胞としてはBALL−1等、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS−1、COS−7等をあげることができる。
該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII(いずれもインビトロジェン社製)等をあげることができる。
昆虫細胞としては、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の卵巣細胞、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)の卵巣細胞、カイコ卵巣由来の培養細胞等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,84,7413(1987)]等をあげることができる。
プロモーターとしては、植物細胞中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーター等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いる方法(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第2606856、特許第2517813)等をあげることができる。
6.本発明の蛋白質の製造法
上記5の方法で得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に本発明の蛋白質を生成、蓄積させ、該培養物から採取することにより、該蛋白質を製造することができる。
酵母、動物細胞、昆虫細胞または植物細胞により発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加された蛋白質を得ることができる。
エシェリヒア・コリ等の原核生物あるいは酵母等の真核生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているTNM−FH培地(ファーミンジェン社製)、Sf−900 II SFM培地(ライフ・テクノロジーズ社製)、ExCell400、ExCell405[いずれもJRHバイオサイエンシーズ社製]、Grace’s Insect Medium[Nature,195,788(1962)]等を用いることができる。
また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
植物細胞を宿主として得られた形質転換体は、細胞として、または植物の細胞や器官に分化させて培養することができる。該形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、ホワイト(White)培地、またはこれら培地にオーキシン、サイトカイニン等、植物ホルモンを添加した培地等を用いることができる。
また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
本発明の蛋白質の生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、あるいは宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、選択した方法に応じて、生産させる蛋白質の構造を変えることができる。
また、特開平2−227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
本発明の蛋白質を生産する形質転換体が動物個体または植物個体の場合は、通常の方法に従って、飼育または栽培し、該蛋白質を生成蓄積させ、該動物個体または植物個体より該蛋白質を採取することにより、該蛋白質を製造することができる。
動物個体の場合は、例えば、本発明のDNAまたは本発明の製造法に用いられるDNAを導入したトランスジェニック非ヒト動物を飼育し、本発明の蛋白質を該動物中に生成、蓄積させ、該動物中より該蛋白質を採取することにより、該蛋白質を製造することができる。該動物中の該蛋白質を生成、蓄積させる場所としては、例えば、該動物のミルク(特開昭63−309192)、卵等をあげることができる。この際に用いられるプロモーターとしては、動物で機能するものであればいずれも用いることができるが、例えば、乳腺細胞特異的なプロモーターであるαカゼインプロモーター、βカゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、ホエー酸性プロテインプロモーター等が好適に用いられる。
例えば、本発明の蛋白質が、細胞内に溶解状態で生産された場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。
該可溶化液を、蛋白質変性剤を含まないあるいは蛋白質変性剤の濃度が蛋白質が変性しない程度に希薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該蛋白質を正常な立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることができる。
即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理することにより可溶性画分を取得し、該可溶性画分から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
また、本発明の蛋白質を他の蛋白質との融合蛋白質として生産し、融合した蛋白質に親和性をもつ物質を用いたアフィニティークロマトグラフィーを利用して精製することもできる。例えば、ロウらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,86,8227(1989)、Genes Develop.,4,1288(1990)]、特開平5−336963、WO94/23021に記載の方法に準じて、本発明の蛋白質をプロテインAとの融合タンパク質として生産し、イムノグロブリンGを用いるアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。
7.本発明のジペプチドの製造法
上記3の微生物または形質転換体の培養物もしくは該培養物の処理物、または上記1の本発明の蛋白質と1種以上のアミノ酸とを水性媒体中に存在せしめ、該媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取することにより、ジペプチドを製造することができる。
(1)本発明の蛋白質を酵素源として用いるジペプチドの製造法
本発明の製造法において、酵素源として本発明の蛋白質を用いる場合、基質に用いられる1種以上のアミノ酸、好ましくは1または2種のアミノ酸としては、アミノ酸、好ましくはL−アミノ酸、Glyおよびβ−アラニン(β−Ala)からなる群より選ばれるアミノ酸であれば、いずれのアミノ酸をいずれの組み合わせで用いてもよい。L−アミノ酸としては、例えばL−アラニン(L−Ala)、L−グルタミン(L−Gln)、L−グルタミン酸(L−Glu)、L−バリン(L−Val)、L−ロイシン(L−Leu)、L−イソロイシン(L−Ile)、L−プロリン(L−Pro)、L−フェニリルアラニン(L−Phe)、L−トリプトファン(L−Trp)、L−メチオニン(L−Met)、L−セリン(L−Ser)、L−スレオニン(L−Thr)、L−システイン(L−Cys)、L−アスパラギン(L−Asn)、L−チロシン(L−Tyr)、L−リジン(L−Lys)、L−アルギニン(L−Arg)、L−ヒスチジン(L−His)、L−アスパラギン酸(L−Asp)、L−α−アミノ酪酸(L−α−AB)、L−アザセリン(L−Azaserine)、L−テアニン(L−theanine)、4−ヒドロキシ−L−プロリン(L−4−HYP)、3−ヒドロキシ−L−プロリン(L−3−HYP)、L−オルニチン(L−Orn)、L−シトルリン(L−Cit)およびL−6−ジアゾ−5−オキソ−ノルロイシン(L−6−diazo−5−oxo−norleucine)などをあげることができる。
上記製造法において、基質として用いるアミノ酸は、0.1〜500g/L、好ましくは0.2〜200g/Lの濃度になるように水性媒体中に初発または反応途中に添加する。
上記製造法において、エネルギー源としてATPを用いることができ、ATPは、0.5mmol〜10mol/Lの濃度で用いることが好ましい。
上記方法で製造されるジペプチドとしては、アミノ酸同士、好ましくはL−アミノ酸、Glyおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸同士、より好ましくはL−Ala、L−Gln、L−Glu、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Phe、L−Trp、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Tyr、L−Lys、L−Arg、L−His、L−Asp、L−α−AB、β−Ala、L−Azaserine、L−theanine、L−4−HYP、L−3−HYP、L−Orn、L−Cit、L−6−diazo−5−oxo−norleucine、Glyおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸がペプチド結合で連結したジペプチド、さらに好ましくは、式(I)
R1−R2 (I)
(ただし、R1がL−Alaのとき、R2はL−Ala、Gly、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Phe、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Tyr、L−Lys、L−Arg、L−Aspおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Glnのとき、R2はL−Ala、Gly、L−Val、L−Ile、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Glnのとき、R2はL−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸、R1がGlyのとき、R2はL−Ala、L−Gln、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Valのとき、R2はL−Gln、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Cys、L−AsnおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Leuとき、R2はL−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Ileのとき、R2はL−Gln、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Proのとき、R2はL−Ala、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Pheのとき、R2はL−Gln、L−Gln、Gly、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Phe、L−Trp、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Lys、L−Arg、L−His、L−Aspおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Trpのとき、R2はL−PheまたはL−Cysであり、R1がL−Metのとき、R2はL−Ala、L−Gln、L−Gln、Gly、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Lys、L−Arg、L−His、L−Aspおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Serのとき、R2はL−Ala、L−Gln、L−Gln、Gly、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Lys、L−Arg、L−Hisおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Thrのとき、R2はL−Ala、L−Gln、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Cys、L−Hisおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Cysのとき、R2はL−Ala、L−Gln、L−Gln、Gly、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Trp、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Lys、L−Arg、L−His、L−Aspおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Asnのとき、R2はL−Ala、L−Val、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Lysのとき、R2はL−Ala、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Argのとき、R2はL−Ala、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Hisのとき、R2はL−Ala、L−Gln、L−Glu、Gly、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−Pro、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−Cys、L−Asn、L−Lys、L−Arg、L−His、L−Aspおよびβ−Alaから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Aspのとき、R2はL−Ala、L−Phe、L−Met、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸であり、R1がβ−Alaのとき、R2はL−Ala、L−Phe、L−Met、L−Ser、L−Thr、L−CysおよびL−Hisから選ばれるアミノ酸である)で表される2つのアミノ酸がペプチド結合で連結したジペプチド、特に好ましくは、式(I)(ただし、R1がL−Alaのとき、R2はL−Ala、L−Val、L−Leu、L−Ile、L−PheおよびL−Tyrから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Cysのとき、R2はL−Cysであり、R1がL−Glnのとき、R2はL−Ala、L−CysまたはL−Valであり、R1がL−Hisのとき、R2はL−Ala、Gly、L−Leu、L−His、L−Met、L−Ser、L−ThrおよびL−Valから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Metのとき、R2はL−AlaまたはL−Metであり、R1がL−Pheのとき、R2はL−Ala、L−Phe、L−CysおよびL−Valから選ばれるアミノ酸であり、R1がL−Serのとき、R2はL−Ala、L−SerおよびL−Cysから選ばれるアミノ酸である)で表される2つのアミノ酸がペプチド結合で連結したジペプチドをあげることができる。
(2)微生物または形質転換体の培養物もしくは培養物の処理物を酵素源として用いるジペプチドの製造法
本発明の製造法において酵素源として用いられる微生物または形質転換体の培養物としては、該微生物または形質転換体を上記6の培養方法で培養して得られる培養物をあげることができる。微生物または形質転換体の培養物の処理物としては、該培養物の濃縮物、該培養物の乾燥物、該培養物を遠心分離、または濾過等して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、および該菌体の固定化物などの酵素源として該微生物と同様の機能を保持する生菌体を含んでいるもの、並びに該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、および当該処理した菌体から得られる粗酵素抽出物などをあげることができる。
該酵素源の量は、当該酵素源の比活性等により異なるが、例えば、基質として用いるアミノ酸1mgあたり湿菌体重量として5〜1000mg、好ましくは10〜400mg添加する。
水性媒体としては、上記(1)の媒体を用いることができ、加えて酵素源に使用する微生物または形質転換体の培養物の培養上清も水性媒体として用いることもできる。
上記方法で製造されるジペプチドとしては、上記(1)と同様のジペプチドをあげることができる。
上記(1)および(2)の製造法において、水性媒体中に生成、蓄積したジペプチドの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法あるいは、有機溶媒による抽出、結晶化、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等により行うことができる。
Ralstonia solanacearum GMI1000の染色体DNA上に存在する配列番号3で表される塩基配列を有する、機能未知蛋白質をコードするRSP1486遺伝子の塩基配列情報(http://gib.genes.nig.ac.jp/single/index.php?spid=Rsol_GMI1000、http://www.genoscope.cns.fr/externe/English/Projets/Projet_Y/Y.html)に基づき、Ralstonia solanac earum ATCC11696、Ralstonia solanacearum MAFF211270、Ralstonia solanacearum MAFF211272、Ralstonia solanacearum MAFF211282、Ralstonia solanacearum MAFF211396、Ralstonia solanacearum MAFF211402、Ralstonia solanacearum MAFF211403、Ralstonia solanacearum MAFF211544、Ralstonia solanacearum MAFF301520、Ralstonia solanacearum MAFF301522、Ralstonia solanacearum MAFF301523およびRalstonia solanacearum MAFF301526の全DNA(染色体DNAおよびメガプラスミドDNA)から、それぞれRSP1486遺伝子の相同遺伝子を以下のようにして取得した。
該DNAの塩基配列を公知の方法で決定したところ、Ralstonia solanacearum ATCC11696からは、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号11で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF211270からは、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号12で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF211272からは、配列番号4で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号13で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF211282からは、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号14で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF211396からは、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号14で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF211402からは、配列番号5で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号15で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum ATCC MAFF211403からは、配列番号6で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号16で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF211544からは、配列番号7で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号17で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF301520からは、配列番号8で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号18で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF301522からは、配列番号9で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号19で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF301523からは、配列番号8で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号20で表される塩基配列を有するDNA、Ralstonia solanacearum MAFF301526からは、配列番号8で表されるアミノ酸配列をコードする配列番号21で表される塩基配列を有するDNAを単離できたことがわかった。配列番号1で表されるRSP1486蛋白質のアミノ酸配列と配列番号2で表されるアミノ酸配列を比較したところ、両者は94.7%の同一性を有していることがわかった。
0.2μgの発現ベクターpET−21a(+)(ノバジェン社製)を制限酵素NdeIおよびXhoIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、上記と同様の方法により約5.4kbのDNA断片を回収した。
該反応液を用いてエシェリヒア・コリDH5α株(タカラバイオ社製)を、カルシウムイオンを用いる方法[Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69,2110(1972)]によって形質転換し、該形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布した後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析することにより、pRSP1486aが保持されていることを確認した。
実施例1で得られたpRSP1486aを保有するエシェリヒア・コリBL21(DE3)(エシェリヒア・コリBL21(DE3)/pRSP1486a)を50μg/mlのアンピシリンを含む3mlのLB培地が入った試験管に接種し、37℃で6時間振盪培養した。得られた培養液のうち100μlを100mLのLB培地が入った500ml三角フラスコに接種した。37℃で3時間振盪培養した後、終濃度が1mmol/lになるようにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して、さらに28℃で15時間振盪培養した。該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得した。
実施例2で得られた精製Hisタグ付加蛋白質を65μg/l、50mmol/lのTris−HCl緩衝液(pH8.0)、12.5mmol/lの硫酸マグネシウム、12.5mmol/lのATP、12.5mmol/lの表2の第1行目と最左列のアミノ酸の組み合わせからなる各種L−アミノ酸、Glyまたはβ−Alaからなる反応液を調製し、30℃で11時間反応を行った。反応終了後、反応液中に遊離したリン酸量をデタミナーL IP(協和メディックス社製)を用いて定量することにより、反応の進行を確認した。さらに反応生成物をFMOC(fluorenylmethyl chloroformate)で誘導体化した後、HPLC分析したところ、表1に示すジペプチドが生成していることが確認された。
HPLC分析は、基本的に以下の条件で行ったが、検出するジペプチドに応じて適宜、下記の溶液AのpHや濃度勾配スケジュールを多少変更した。
分離カラム:Develosil ODS−HG−5(野村化学社製)
移動層:溶液A[20mmol/lリン酸水素アンモニウム溶液(アンモニア水でpH6.5に調整):メタノール=85:15]および溶液B(アセトニトリル:水=9:1)を用い、分析開始から2分までは、溶液A:溶液B=75:25、2から21分までは、21分になったときに溶液A:溶液B=55:45になるように直線的に溶液Bの割合を増やし、21から36分までは、36分になったときに溶液A:溶液B=45:55になるように直線的に溶液Bの割合を増やし、36から37分までは、37分になったときに溶液A:溶液B=1:99になるように直線的に溶液Bの割合を増やし、37から39分までは、溶液A:溶液B=1:99で保持し、39から44分までは、44分になったときに溶液A:溶液B=82:18になるように直線的に溶液Bの割合を減少させ、44から50分までは、溶液A:溶液B=75:25とした。
流速:1.0ml/分
カラム温度:35℃
検出:254nmの励起光による、630nmの発光を検出した。
表1にあるとおり、本発明の蛋白質は、1種または2種のアミノ酸をペプチド結合で結合させ、種々のジペプチドを生成する活性を有することがわかった。
上記と同様に、Ralstonia solanacearum MAFF211270、Ralstonia solanacearum MAFF211272、Ralstonia solanacearum MAFF211282、Ralstonia solanacearum MAFF211396、Ralstonia solanacearum MAFF211402、Ralstonia solanacearum MAFF211403、Ralstonia solanacearum MAFF211544、Ralstonia solanacearum MAFF301520、Ralstonia solanacearum MAFF301522、Ralstonia solanacearum MAFF301523およびRalstonia solanacearumMAFF301526由来のRSP1486遺伝子の相同遺伝子がコードする蛋白質をそれぞれ精製し、ジペプチド生成反応を行ったところ、いずれの遺伝子産物も表1に示すRalstonia solanacearum ATCC11696由来のジペプチド合成酵素と同じ基質特異性を有するジペプチド合成活性を有する蛋白質であることが確認された。
実施例3で生成したジペプチドのうち、表2に示すジペプチドについて、MS分析、NMR分析、およびCE-MS分析を行い、その構造を確認するとともに、その生成量をNMR分析の際に内部標準として用いた1mmol/lのTSP([2,2,3,3-D4] sodium 3-3-(trimethylsilyl) propanoate)の積分値から計算した。
配列番号23−人工配列の説明:合成DNA
Claims (3)
- 以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質を生産する能力を有する微生物の培養物もしくは該培養物の処理物、または以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質と1種以上のアミノ酸とを水性媒中に存在せしめ、該媒体中にジペプチドを生成、蓄積させ、該媒体から該ジペプチドを採取するジペプチドの製造法。
[1]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
[2]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質
[3]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質 - 微生物が、以下の[1]〜[5]のいずれかに記載のDNAを含有する組換え体DNAを有する形質転換体である、請求項1記載の製造法。
[1]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質をコードするDNA
[3]配列番号1〜9のいずれかで表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつジペプチドの合成活性を有する蛋白質をコードするDNA
[4]配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列を有するDNA
[5]配列番号10〜21のいずれかで表される塩基配列と95%以上の同一性を有し、かつジペプチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNA - 微生物がエシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物である、請求項1または2記載の製造法。
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